矢野博之

　ルパンが狙っていたお宝が次々と先んじて奪われる。手口は全く異なり、集団で、しかも容赦なく人を殺すものだったが、それらは全てルパンの仕業にされてしまった。怒ったルパンは真相を究明すべく、自分の名でなされた予告状の現場に出向くのだが、プロの暗殺集団の襲撃を受け、銭形が撃たれてしまう。しかもその凶器はルパンの愛用するワルサーＰ38。ルパンは自分の過去を清算すべく、暗殺集団“タランチュラ”の本拠地に忍び込むのだが…
　毎年恒例のルパン三世ＴＶスペシャルだが、毎年やってるだけに出来の良いものと悪いものとが混在してる。主観による点も多いけど、私はこの作品はかなり気に入った。
　本作は作りそのものはルパンの過去やヒロインとの心の交流、意外な犯人と派手なアクションと、かなりオーソドックスなものなのだが、演出が巧い。結構内容は盛りだくさんなのだが、時間をちゃんと使いアクションはしっかり見せつつ、しんみりさせるべき部分にちゃんと時間を使ってる。一見ダレ場と見える部分が一番見せる部分になっているのが興味深い。それにとにかく多数出てくるキャラをしっかり一人一人見せ場を作りつつも、時間の割り振りをしっかり行ってるため、脇役は脇役なりに。そして中心となるべき人物はそれなりにちゃんと時間が用いられてるのが巧い。ルパンの愛銃を主題にしたのも面白い。
　演出の良さで完成度は高いが、やはり物語自体が大変オーソドックスなので、点数はそれなり。

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