読書日誌
2018’4〜6月

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18'06'30 オーバーロード1
丸山くがね (検索) <amazon> <楽天>
 かつて大人気だったMMORPG(Massively Multiplayer Online Role-Playing Game「大規模多人数同時参加型オンラインRPG」)のユグドラシルもサービス終了を迎えようとしていた。その中で何年もかけて42人の仲間の協力で強大な居城を築いたアインズ・ウル・ゴウンというパーティがあった。既にほとんどのメンバーはログインを放棄している中、たった一人この城を守り続けてきたアンデッドの王“オーバーロード”の姿を取ったプレイヤー“モモンガ”は、最後に世界の終わりにつきあおうとしていた。だが、サービス終了となったにもかかわらず、ゲームは終わらず、世界には異変が起きていた。あるはずの無い肉体感覚があり、ログアウトが出来ない状態で、これ又突然意思を持ち始めたNPCの部下達に命じ、状況を調べさせるのだが…

 ゲームの世界に閉じ込められてしまう一種の異世界転生ものの作品。この世界で主人公が強大な力を持ち、その力を存分に振るうという、一種の無双もので、読んでいてとても心地良い。会話のキャッチボールも良く、すらすら読める。
<A> <楽>
18'06'27 河童の三平 上
水木しげる (検索) <amazon> <楽天>
 山奥で地主のおじいさんとひっそり暮らす孫の三平。河童にそっくりな顔つきの三平は河童の子に間違えられて河童の国に迷い込んでしまった。へそを抜かれて人間世界に戻された三平は、人間には見えないものを見ることができるようになっていた。最初に出会ったのが死神で、おじいさんを連れて行くというのだが…

 著者の何作かある長編作品の一編で、全く設定を変えて後にリメイクされ、テレビ番組にもなったという、著者らしい経緯を持つが、本作は貸本のために書かれた最も古いバージョンのもの。人間と妖怪では道理が違うため、人間にとっての当然が妖怪では全く異なるという基本設定は全ての作品に共通しており、死もとても軽くされている。
 妖怪の世界に片足突っ込んだためか、三平自身の生きる意思も弱く、いつしんでも良いという達観に彩られ、かなりペシミスティックな内容になってる。
<A> <楽>
18'06'23 犬とハサミは使いよう2
更伊俊介 (検索) <amazon> <楽天>
 死んだ後で意識だけそのままミニチュアダックスになってしまった春海和人は、憧れの作家秋山忍に拾われ、本に囲まれた生活を送っていた。本さえあれば満足という和人にとってこの生活も決して悪くなかったのだが、秋山忍本名夏野霧姫がスランプ状態に落ち込んでしまう。編集者の勧めもあって、今街で起こっているという通り魔の調査を始めた霧姫と和人だが…

 新キャラが二人。ドMを自覚している編集者柊鈴葉と主人公の妹で超ブラコンの春海円香。とにかく分かりやすいテンプレキャラだった。
 物語自体は本当に全く面白くないのだが、会話のキャッチボールがとにかく心地よく、読み進めているだけで気分良くなる。酷い作品かも知れないけど、最低限ラノベにほしいものが揃ってるのはありがたい。
<A> <楽>
18'06'20 日常2
あらゐけいいち (検索) <amazon> <楽天>
 ゆっこ、みお、まいの三人の学園生活を描く、不条理で変な日常生活。

 2巻になって主要三人の性格は固まったようで、ツッコミ担当、ツッコミとボケを行き来する担当、そして最初から最後までボケ倒す担当で上手いこと回ってる。ロボットの“なの”と博士の話は基本4コマになり、これも特徴付けられてる。
<A> <楽>
18'06'19 Re:ゼロから始める異世界生活3
長月達平 (検索) <amazon> <楽天>
 ロズワール邸にて何度も死に戻りを経験したナツキ・スバルは、死を回避しつつ館を守る方法を模索し始める。だが誰にも相談できない頑張りが精神的な不安定を引き起こしてしまうようになってしまう。
 二回目の死に戻りもなんとか回避が出来たという話。相当困難なミッションを無事クリアできたことで、物語としては読み応えのあるものだった。
 ただ、本当にこれ読みにくい。その理由を考えるに、主人公スバルの行動が全く理に適わないため、一切共感できないからだと分かった。物語を進ませるためにこういう行動を取らせるのだろうが、それが無理ありすぎるように思えてしまう。
<A> <楽>
18'06'16 夏目友人帳12
緑川ゆき (検索) <amazon> <楽天>
 妖怪を見ることが出来る夏目が出会った妖怪達や友人達との交流を描く短編3編。「代答」「怪しきものの名」「硝子のむこう」を収録する。

 初期のようなちょっとしたほのぼの系から、過去の祖母レイコにまつわる哀しい話、そして新たな物語を予見させるちょっと重めの話と、かなりバラエティに富んだ物語展開となっている。同じような話を続けるのではなく、そろそろ新たな動きが出てきそうな感じ。
<A> <楽>
18'06'13 風博士
坂口安吾(検索) <amazon> <楽天>
 突然失踪してしまった“風博士”。警察は殺害を疑い、助手の“私”を尋問する。そこで“私”が体験した“風博士”失踪の顛末を語り始める。

 ファンタジックというか、SFというかよく分からない話で、あまりに荒唐無稽なため、“私”の妄想で全て片付けた方がしっくりくる気がする。
 分かりづらいけど、著者流のコメディなのかも知れんな。
<A> <楽>
18'06'11 大家さんと僕
矢部太郎 (検索) <amazon> <楽天>
 自称“売れない漫才師”の“僕”矢部太郎はそれまで住んでいたアパートを追い出され、新しいアパートを探していた。不動産屋から紹介された物件は、一軒家の二階を貸してくれる人がいると言う事で、半分大家さんと同居するような住居だった。“僕”を見かねたのか、何かと面倒を看てくれる大家さん。そして体のあまり上部ではない大家さんを気遣う“僕”の交流を描く。

 最近はやっている、いわゆる“日常系”と呼ばれるジャンルになる四コマ漫画だが、主人公が中年男性で、一緒に登場するのが80代後半のおばあちゃんという、変な設定の作品となっている。というか、ほぼ実話ベースの話らしい。
 この手の作品を描いて読ませるのは大変難しいはずなのだが、それを易々と超えて面白く読ませるのは流石。絵の素朴さも良い味を出してる。
<A> <楽>
18'06'10 ヘルタースケルター
岡崎京子(検索) <amazon> <楽天>
 女の子に絶大な人気を誇るモデルのりりこ。完璧とも称される美しさを誇るりりこだが、実は全身整形による作られた美だった。しかも術による肉体的精神的に苦痛が続き、それを紛らすためにマネージャーの羽田に激しいイジメを与えていく。それでもかいがいしくりりこを支える羽田。そんなりりこに違法手術の臭いをかぎつけた検事の麻田。

 かなり凄まじい出来だった映画版を前提に読んでみたけど、あの映画ってちゃんと原作準拠だったことが分かった。ただ、あまりに精神的な痛みを与える描写が多く、読んでいて結構苦痛。よくもまあこんな漫画描けるものだと素直に感心した。
<A> <楽>
18'06'05 掟上今日子の備忘録
西尾維新 (検索) <amazon> <楽天>
 何故か人から疑われやすいという体質を持つため、どこに就職しても長続きしない隠厄介(かくしだてやくすけ)。これまでの人生経験から、何か疑いがかけられたらすぐに探偵に連絡するようにしているのだが、その中で最も早く事件を解決できる探偵がいた。彼女の名は掟上今日子。眠ってしまうと一日分の記憶を全て失ってしまうと言う「忘却探偵」。厄介が遭遇したいくつもの事件と、それを解決する今日子の活躍を描く連作短編。「初めまして。今日子さん」「紹介します。今日子さん」「紹介します。今日子さん」「お暇ですか。今日子さん」「失礼します。今日子さん」「さようなら。今日子さん」の5編を収録する。

 探偵小説は著者にとっては原点だけに、結構のびのびと描いてる感じの作品だった。推理そのものよりも探偵の個性の方に物語の重点が置かれるのも著者らしさかな。
<A> <楽>
18'06'03 仮面ライダークウガ8
井上敏樹 (検索) <amazon> <楽天>
横島一 (検索) <amazon> <楽天>
 死んだはずの五代雄介の体が変質していき、やがて目を覚ましていく。そんな変化だけでなく、グロンギによるゲゲルが少し変質している事に気づいていく一条。一方、自らの肉体までもが変化していく恐怖を抑えようとする津上。

 クウガがタイタンフォームとなったが、話自体は7巻からほとんど変化がなくぐるぐる同じ所を回るだけの津上翔一と、お節介すぎる五代雄介の鬱陶しさが強調されただけの話になっている。クウガVSアギトをやりたいのだろうけど、展開が間延びしてるようにしか見えないのが問題。
<A> <楽>
18'06'02 Re:ゼロから始める異世界生活2
長月達平 (検索) <amazon> <楽天>
 レムリアの徽章を守ることが出来たものの、重傷を負ってしまったナツキ・スバルはレムリアの後見人というロズワール辺境伯の元に連れ込まれ、一命を取り留める。レムリアと一緒にいたいというスバルの願いで、館の使用人として働き始めることとなった。つっけんどんな双子のメイド、ラムとレムと司書のベアトリーチェとも打ち解け始めるが…

 1巻でループから脱出できたが、2巻になって又しても死のループに巻き込まれるスバル。主人公の能力が死に戻りなので、そのような展開にならざるを得ないし、これはこれで大変面白い。ただ、スバルの性格が少々とんがりすぎているので、読みにくいところもある。
<A> <楽>
18'05'30 日常1
あらゐけいいち (検索) <amazon> <楽天>
 時定高校に通う高校生たち。ムードメーカーの“ゆっこ”と天真爛漫な“みお”と優等生ながら何を考えているか分からない“まい”の三人に、幼女の博士に作られたロボットの“なの”らを含め、不合理いっぱいの日常を描く。

 タイトルこそ「日常」だが、不合理で不条理な出来事ばかりが続く物語。ただし、それらをタッチと雰囲気でほんわか見せてるところが本作の特徴と言える。傍らに置いて、何気なくパラパラとめくるのに適した作品だろう。
<A> <楽>
18'05'26 紅茶 味わいの「こつ」
川崎武志(検索) <amazon> <楽天>
中野地清香 (検索) <amazon> <楽天>
水野学 (検索) <amazon> <楽天>
 世界各地で飲まれている紅茶。その奥深い世界を探る本で、それぞれの産地の歴史や特徴、その産地特有の淹れ方や、現在の世界的な紅茶事情を踏まえて語る。

 紅茶の本を読んだのはもう20年も前のこと。20年の間に紅茶を巡る事情が随分変化していたことを知らされて少々ショックを受けている。どんな業界であれ、最新の情報は入れておかないといかんと反省してる。
 20年前にメインだった茶葉の産地も、今は廃業された茶園が多くなり、世界的にアフリカ、台湾、日本が新しい紅茶を牽引し始めている事。淹れ方も微妙に昔とは異なりつつある事など。細かいところも合わせると、浦島太郎状態だ。
<A> <楽>
18'05'24 YASHA1
吉田秋生 (検索) <amazon> <楽天>
 沖縄にある離れ島で母と暮らしていた小学生の有末静は、ある日突然現れた男達によって拉致されてしまう。実は静は特殊な遺伝子と脳を持つ存在で、その研究のためにアメリカの研究室に引き取られることになる。そして6年後。恩師の教授の尽力で研究所から出られるようになった静は日本の洛北大学に教授待遇で迎えられることになる。その大学で幼なじみの永江十市と再会するのだが…

 巨大な陰謀の中で翻弄される主人公たちを描く話となる。最初となる本巻は人物紹介で終始した感じ。
 ただ、日本が舞台とは言え、かなり剣呑なキャラが続々と登場しているあたり、流石「BANANAFISH」と同じ時間軸で展開する物語といったところか。
<A> <楽>
18'05'22 黒死館殺人事件
小栗虫太郎(検索) <amazon> <楽天>
 黒死館と呼ばれる西洋建築の巨大な館でダネンベルク夫人が毒殺された。調査に乗り出した警察だが、過去から連綿と続いてきた怪死事件に連なる不可解な殺人と、何かを隠しているのは分かるのだが、非協力な館の住人の言動ににお手上げ状態となってしまう。そこで呼ばれたのは、非職業的探偵を名乗る法水麟太郎だった。冴え渡る推理で数々の見立てを見破っていく法水だったが、彼の頭脳をもってしてもこの複雑きわまりない事件を読み解くことは困難だった。そんな彼らをあざ笑うかのように更に事件は続いていく。

 三大奇書と呼ばれる作品の一つで、やっと読むことが出来た。確かに奇書と呼ばれるだけのことはあって、本当に訳が分からない。衒学的が過ぎてほとんど嫌味の領域だし、見立てを強調するあまり肝心の殺人の真相が無理すぎるとか、そもそも推理が推理になってないとか色々問題がある。
 ただ、本作の場合は物語そのものではなく、まさしくその衒学的な雰囲気を味わうことを楽しむ作品である。思考の迷路にどっぷりはまると、これはこれで麻薬的な面白さがある。
<A> <楽>
18'05'19 双亡亭壊すべし 5
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 異世界生命体を滅ぼすために地球に戻ってきたというセイイチ。だがその生命体は双亡亭に吸収され、全くの別な存在に生まれ変わっているという。一方、双亡亭の中で紅を救った凧葉は、他に双亡亭に取り込まれていない者はいないかと探すのだが…

 前巻で急にSFチックな話になってしまい、どうなるのかと思ってたが、無事(?)本来のホラー的な話へと戻ってきた。現時点では唯一双亡亭に取り込まれた人間を助けることが出来る凧葉が大活躍で、とても熱い展開になってる。
 SFよりも伝奇。これが本来の著者の作風だな。
<A> <楽>
18'05'18 東映ヒーロー 仮面俳優列伝
鶯谷五郎(検索) <amazon> <楽天>
 特撮の屋台骨を支えるスーツアクター。東映ヒーローにおける数多くのスーツアクターにインタビューを行い、その苦労話や、現在も尚中心となってるヴェテランがどのようなことに気をつけながら演じているのかなど、赤裸々な言葉が登場する。
 登場人物として、高岩成二、福沢博文、蜂須賀祐一、岡元次郎、清家利一、竹内康博、今井靖彦、おぐらとしひろ、押川善文、永徳、渡辺 淳、日下秀昭、岡本美登、喜多川 務、大藤直樹、村上 潤、竹田道弘、石垣広文、宮崎 剛そして大葉健二のインタビュー集。
 特に東映特撮に於いては等身大で複数のヒーローが出ることが多かったり、顔出し役者の変身後に違和感を感じさせないようにするなど様々な苦労があることがよく分かる。あまりスーツアクターのことは考えてなかっただけに、インタビューが凄く新鮮で、内容も濃い。
 特に女性ヒーローのスーツを演じる人の苦労話や、仮面ライダーの人間態からの違和感なしのアクションとか、色々と感心する事ばかりだ。
 あと、これも大変意外だが、スーツアクターはヴェテラン揃い。私と大して年齢が変わらない人たちが今も第一線で活躍中というのが驚き。
<A> <楽>
18'05'14 仮面ライダークウガ7
井上敏樹 (検索) <amazon> <楽天>
横島一 (検索) <amazon> <楽天>
 毒を受けた五代雄介は一度死を迎えた。だがその肉体は体温を失っていなかった。一方、姉の真実を知り、自らも肉体が変貌してしまった津上翔一はこの世をはかなみ…

 原作20話以降の話が展開し、クウガが新しいフォームになるまで。
 そちらは基本原作通りだが、そこにアギトの話を絡めたことで話がとても不安定になってる。クウガの物語がストレートなヒーローものなのに対し、アギトの話が暗すぎることもあって、整合性がとれてないというか、コミカルなのかシリアスなのか分からなくなってしまってる。
<A> <楽>
18'05'13 Re:ゼロから始める異世界生活1
長月達平 (検索) <amazon> <楽天>
 やや引きこもりがちな高校三年生ナツキ・スバルは、コンビニ帰りに気がついたら異世界にいた。ファンタジーの世界に転生したものの、なんら特殊な力がある訳で無く、途方に暮れている内に、チンピラ風の男達に絡まれてしまった。そんなスバルを助けてくれたのはサテラと名乗る銀髪の美少女で、彼女の捜し物を一緒に探すことにしたのだが…

 いわゆる異世界転生ものと呼ばれるジャンルの作品で、かなり新鮮な思いで読むことが出来た。主人公の能力は死んだ時に、特定の時間軸に戻されるというもののため、死なないと話が進まないという妙な構造を持つ話。
 読み進めてると、パターン的には「ALL YOU NEED IS KILL」と同じ構造で、何度も死んで攻略法を見つけるゲーム的な要素の強い話だと分かる。
<A> <楽>
18'05'12 鉄人28号 原作完全版 24
横山光輝 (検索) <amazon> <楽天>
 正体を現したブラック団は、ミサイルによって世界を脅迫し、世界統一を図る組織だった。ブラック団が擁する恐竜型ロボットのギャロンに全く敵わず、敗退を余儀なくする正太郎と鉄人だったが…

 これで最終巻。連載としては11年続いたそうだ。中盤以降は出てくる敵組織は多彩となった一方で話がどんどん単純化されていた。最後もそんな感じで、物語はとても単純だし、ギャロンの破壊も前回のVL2と同じパターンだった。
 なにか大きなドラマがあったり、正太郎が死んだり鉄人が破壊されて終わった訳では無いのであっけない感じだが、多分これは機会があったら続きを書くつもりだったのだろう。
<A> <楽>
18'05'10 小説 言の葉の庭
新海誠 (検索) <amazon> <楽天>
 都内の高校に通う秋月孝雄は雨が降った時は学校を休み、新宿御苑でスケッチをして過ごすことを日課にしていた。そんなある日、いつものように東屋に向かうと、そこには女性の先客がいた。そして次の雨の日も…いつしか彼女を心待ちにするようになっていく。

 映画版の監督によるノベライゼーション。映画とは大分ストーリーが変わり、文体もオムニバス群像劇になってる。基本的に一人称しか描かない著者には最もしっくりくる形だろう。
 改めてこれを一話ごとに一本という形で映像化してほしいとも思う。
<A> <楽>
18'05'06 シドニアの騎士10
弐瓶勉 (検索) <amazon> <楽天>
 無事イザナをシドニアに連れ帰ることが出来た長道とつむぎ。しばらくは大規模作戦もないため、纈を含めて4人(?)でしばらく暮らすこととなったが、シドニアの中で奇居子が出ると言う噂が流れ始める。

 これまで大分ハードな展開が続いていたが、ここでは比較的のんびりした日常が展開。相変わらず分かりづらいぬるいギャグが出てくるが、著者の独特の笑いのツボというのが分かると笑えるようになる。
 長手はともかく、裏ではつむぎに続くもう一体の融合個体が登場。つむぎよりも遥かに強力だが、性格が不安定なため、大変危険な存在へと成長し始めている。
<A> <楽>
18'05'03 はだかの太陽
アイザック・アシモフ (検索) <amazon> <楽天>
 かつてロボット刑事のダニールと共に地球上の殺人事件を解決したニューヨーク市警刑事ベイリは宇宙国家の一つソラリアで起きた殺人事件の調査を命じられる。再びダニールと組まされ、嫌々ながらもソラリアに行くのだが…

 「鋼鉄都市」続編となる作品で、全巻はスペーサー(宇宙人)と共に地上の事件を解決した話だったが、今度は宇宙国家に出向く話になってる。話自体はちょっと緩めの推理小説だが、設定が良いため、ぐいぐい読ませるのが
<A> <楽>
18'04'30 鉄人28号 原作完全版 23
横山光輝 (検索) <amazon> <楽天>
 とある田舎の町付近に隕石が落下した。それを調べに行った人たちが次々に死んでしまう。警察の捜査に同行する正太郎は、それが地球外生命体によるものだと言う事を知るのだが…

 前巻から続くVL2との戦いは意外な署長の活躍であっけなく終わり。その後は異星人との戦いへと移る。もうなんでもありって感じだ。いろんな話があって良いんだけど、ノリがなんか鉄腕アトムっぽくなってきた感じだ。
<A> <楽>
18'04'25 ラブコメ今昔
有川浩 (検索) <amazon> <楽天>
 自衛隊員の恋愛模様を描く連作短編。「ラブコメ今昔」「軍事とオタクと彼」「青い衝撃」「秘め事」「広報官、走る」「ダンディ・ライオン」を収録する。

 自衛官の恋愛話は二作目だそうだ。確かに目の付け所は良く、普通の作家なら逃げそうな素材を正面から大胆に、しかも甘々なものを描くもんだと感心する。だから右翼作家などと言われるのだろうけど、現代日本にあって、本当に命を賭けている人がいるということを示すのは作家としてちゃんと責任を果たしているとも言えるだろう。
<A> <楽>
18'04'24 双亡亭壊すべし 4
藤田和日郎 (検索) <amazon> <楽天>
 双亡亭の探索が続いている間、総理官邸に連れてこられた緑朗とセイイチ。歴代総理から申し送りになってきた双亡亭の謎について語られたセイイチは、45年の飛行機事故の後で一体何が起こったのかを語り始める。

 ホラー要素満点の話だったはずが、突然SFになってしまう。セイイチがこれまでいたのがどこかの星で、しかもそこの住民というか、現住生物はイドの怪物だったというオチだった。双亡亭の探索についてはお休みっぽいが、どんな関わりになって来るやら。
<A> <楽>
18'04'22 新本格 魔法少女りすか3
西尾維新 (検索) <amazon> <楽天>
 大魔法使い水倉神檎の居場所を探るべく福岡までやってきた“ぼく”供犠創貴と水倉りすか、そして城門管理委員ツナギの三人。だがホテルに入った三人はそこで待ち受ける魔法使いの襲撃を受けてしまう。「鍵となる存在!!」「部外者以外立入禁止!!」「夢では会わない!!」の三篇を収録する。

 三篇とも全てホテルの一室で終わるという不思議な話。それでも危機につぐ危機で、全て創貴の機転だけで解決するという話になってるため、最早魔法とか関係なくなってしまってる。
 しかし問題が一つ。これが出て既に10年。未だにその続きが出ないと言う事実。
<A> <楽>
18'04'18 鉄人28号 原作完全版 22
横山光輝 (検索) <amazon> <楽天>
 過去スノー国に旅行に行った人物が次々と殺害されていた。実はスノー国で開発中の殺人兵器の設計図が何ものかによって盗まれ、日本に持ち込まれたことが分かった。それに巻き込まれる形となってしまった正太郎と鉄人28号。警視庁に保管された設計図をめぐり、ロボットVL2が現れる。

 テロリストとの戦いとなる新展開。新しく登場したVL2はバラバラにして運ぶことが出来、什器さえあれば組み立てて戦えるというロボットで、しかも鉄人よりも能力が上という極めて高性能のロボット。
 それ以外はさほど語る事は無いかな?
<A> <楽>
18'04'15 天海の秘宝 下
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 暗躍する不知火団と不気味な黒犬、そして時折現れる武蔵を名乗る巨漢に江戸の町は騒然となったが、そんな中、堀河吉右衛門は、彼の友人達に向かい、今、自分がなすべきことがあると語る。吉右衛門が言う天海の秘宝とは?そして江戸で見られた巨大彗星大黒天とは…

 江戸時代の話なのだが、蓋を開けてみたらタイムトラベルもののSFだったというオチ。残念ながらSFとしては出来はさほどでなく、変な作品になってしまったが、そんな作品でも力押しで読ませてしまうのが著者らしさかな。
<A> <楽>
18'04'12 トクサツガガガ6
丹羽庭 (検索) <amazon> <楽天>
 故郷に帰ってきた仲村さんは、かつて高校卒業間近に特撮に再会した思い出を思い出す。そのきっかけを作ってくれた、今は無きビデオレンタル店へと足を向ける。一方、誕生日を迎え、母親からの電話に恐怖を覚えるのだが…

 今回はいつもの黄金パターンはあまり多用されておらず、仲村さんの思い出の話と、まさに誕生日を迎え、新たな特オタとしての新しい一歩を踏み出すこととか、色々節目を迎える話となっている。基本的には相変わらず特オタとして、仲間たちと語り合ったりするいつもの感じ。
<A> <楽>
18'04'10 天海の秘宝 上
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 江戸幕府が出来て一世紀ほどが経った時代。10年ほど前に江戸に来て寺子屋のようなことをしている武士の堀河吉右衛門。からくり好きで頭も切れる吉右衛門のところには彼を慕う子どもや好事家の大人達でいつも賑わっていた。そんな折、江戸では不知火と呼ばれる盗賊団が次々と事件を起こしていた。更にとうの昔に死んだはずの宮本武蔵を名乗る謎の男が剣の腕試しを申し出るという事件も起こる。

 著者にしては珍しい江戸時代を舞台にした作品。ただ、基本的にはやってることは「陰陽師」と同じバディものっぽい感じ。時代に合わせ、庶民的な雰囲気になってるので、それなりに時代考証も考えてはいるんだろう。
<A> <楽>
18'04'09 鉄人28号 原作完全版 21
横山光輝 (検索) <amazon> <楽天>
 何者かに拉致されてしまった正太郎と署長が連れて行かれたのは砂漠の国だった。そこで圧制者である国王を倒すために鉄人で手助けをしてくれと頼まれた正太郎。事情が分からないまま、襲われた人々を守るために鉄人を起動するのだが…

 強制的に内戦に巻き込まれてしまうという話。鉄人がこれだけ有名になってしまうと、操縦者の正太郎込みでこう言うことが起こってしまう。事情が分からないまま一方に荷担することが正義になるのか?という命題が出されているのにも注目。
 つまり正太郎という少年は一国の軍隊と渡り合えるだけの戦力を個人で保有していると言う事だから。その部分に関して作品では見ないようにしているのだが、こう言う話を挿入することで、強すぎる力を用いることの恐ろしさというのも示しているようだ。
<A> <楽>
18'04'06 小さなトロールと大きな洪水 ムーミン童話全集別冊
トーベ・ヤンソン(検索) <amazon> <楽天>
 いなくなってしまったパパを探しに旅に出たムーミントロールのママとその子。二人はいくつもの困難に遭いつつ、妖精達や人の協力をもらい、旅を続けていく。

 ムーミンがシリーズとなる以前に描いた著者のデビュー作。なんでもシリーズの始まりの話として書き直そうと考えてずっと単行本化されなかったらしいが、著者の方が諦めて古い形のまま刊行となったとか。
 シリーズと多少異なるのがムーミントロールというのは個体名ではなく種族名ということ。だからムーミンはこの作品では「ムーミントロールのこども」となる。
<A> <楽>
18'04'04 血界戦線10
内藤泰弘 (検索) <amazon> <楽天>
 レオの妹ミシェーラが婚約者と共にヘルサレムズ・ロットにやってきた。だがその婚約者を「神々の義眼」で見たレオは、それが魔界の住民によって支配されている事を知る。レオの眼に気がついた存在は妹と婚約者の命と引き替えにレオの眼を要求するのだが…

 過去自分の目と引き替えにレオに神々の義眼を与えたという妹のミシェーラが初登場。そして当然今回の主人公はレオで、その最大の危機と、彼を救おうとするライブラの面々の活躍となる。
 これまで一人一人の紹介のようにここまで来たが、ここでようやくレオという主人公の活躍となって、これで第一部の終わり。思った以上にすっきりした終わり方だが、大きな物語は全く進んでいないのも事実。
<A> <楽>
18'04'03 大泉エッセイ
大泉洋 (検索) <amazon> <楽天>
 大学時代から役者・タレント・ラジオパーソナリティと、大活躍している著者が過去いくつかの雑誌に連載していたエッセイを一つにまとめた作品。
 前々から芸達者だとは思ってたけど、エッセイの才能もある事が分かる一冊。確かに学生時代に書いていた初期の頃のは無理矢理椎名誠っぽく書こうとしていたことが分かるが、徐々に肩の力を抜いていき、いかにも著者っぽい語り口で描いてくれている。
 巻末には著者が大ファンだというあだち充との対談がちょっとだけあるけど、あだち充が他の人の本の表紙を書いたのはこれが初めてだとか。
<A> <楽>