読書日誌
2022’1〜3月

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22'03'30 三体II 黒暗森林 上
劉慈欣 (検索) <amazon> <楽天>
 三体人に地球が居住可能惑星だと知られてしまい、移住計画が始まった。400年後にやってくる三体艦隊を迎え撃たねばならなくなった人類。しかし科学力は大きく隔たっており、更に三体からは智子(ソフォン)というマイクロコンピュータが最初に送り込まれ、地球人の言動や通信は全て筒抜けになってしまった。絶望的な状況の中、前代未聞の面壁計画が発動され、人類から選ばれた四人の面壁者に未来が託される。その一人で、何故自分が選ばれたのか分かってない羅輯(ルオ・ジー)は、何をして良いのか分からず、全ての責任から逃れようとする。

 第二部の上巻となる本巻は、第一部の直後から始まり、史安など、同じ人物も継続して登場。今回は基本的には四人の面壁者の動向と、その周辺の人物を描く群像劇になっているのが特徴。その中でも特に中心となる羅輯は、自分が何をすべきなのか全く理解していないまま、責任だけ押しつけられるという変な役回りの人物。面白くはあるのだが、羅輯に同化して読んでると、単に不安なだけの話でもある。
<A> <楽>
22'03'27 くちべた食堂1
梵辛 (検索) <amazon> <楽天>
 家と職場の間にありながら、なんとなく気まずくて5年の間入る事が出来なかった定食屋に入った高校教師。すっかりこの定食屋のファンになってしまったが、店員さんの女性とお客さんの二人とも口下手なため、なかなかコミュニケーションが取れないまま日々が過ぎる。そんな二人の奇妙なコミュニケーションを中心に描かれる日常。

 変わったコミュニケーションを主軸に描く作品で、これもTwitterで見かけて以来読み続けてきたが、ようやく単行本になってくれた。いざ紙になって読んでみても、中身は変わらない訳だが。
<A> <楽>
22'03'26 英国一家、日本を食べる 上
マイケル・ブース (検索) <amazon> <楽天>
 イギリス人フードジャーナリストの著者が、昔なじみの日本人から、日本食のことを何も理解していないと揶揄されたことが契機となり、三ヶ月間家族で日本を訪れて、食べられるだけの日本食を食べてみようと決心する。そこで味わった日本の味とは…

 前にちょっとだけアニメをチラ見してから気になっていたので読んでみる気になった。
 イギリス人ジャーナリストとして、いかにも「私は頑固なイギリス人です」という態度を崩すこと無く、あらゆるものを皮肉に見つめて描く日本食の旅。皮肉は皮肉なのだが、それを突き抜ける味覚の紹介が上手く、読んでいてとても心地良い気分にさせてくれる。
 本作で重要なのは、日本に住んでいながら日本食のことを知らない部分が多すぎることを知らされることだろう。日本は素晴らしいというならば、まず自分で理解しようと努力をしなければならないことを痛感させられる。
<A> <楽>
22'03'23 俺物語!!7
河原和音 (検索) <amazon> <楽天>
アルコ (検索) <amazon> <楽天>
 砂川にストーカーがいることが分かり、その人物を追い詰める猛男。それは実は幼稚園時代から猛男と砂川との幼なじみ天海悠紀華だった。10年も恋心をこじらせていたという天海に同情した大和の助言もあり、砂川との接触を増やしていく猛男。ついには遊園地でのダブルデートにこぎ着ける。

 丸々一巻かけて砂川の恋話。とはいえ、砂川自身は全く態度は変わらず、ストーカーの方が中心の話になっている。しかしここまで迫られてそれで「ごめん」なんだから全くぶれてない。この後の展開はあるのかないのか。
<A> <楽>
22'03'19 軍用鮫
海野十三 (検索) <amazon> <楽天>
 日中戦争が激しくなっている折、中国の異端科学者楊博士によって鮫を兵器にする計画が立てられた。調教によって、船を襲うように訓練された鮫たちが揃うが…

 コメディと言うよりコントに近いオチの話。ただ、これが書かれた年代そのものが戦争中という事を考えると、なかなか狂気的なものを感じてしまう。さくっと読めてしまうので、軽く読むには良い小品。
<A> <楽>
22'03'16 33歳女騎士隊長。2
天原 (検索) <amazon> <楽天>
 ゼニアルゼ王国に嫁いだクロノワーク王国の王女シルビアは、両国の友好の証として、街道整備を命じる。工事は良き日銭になるため喜んで街道整備の労働にいそしむメイルをはじめとしたクロノワークの女性兵士達。しかしこれはシルビア王女による遠大な計画の一環だった。

 基本的に下世話な女性側から見た中世ヨーロッパ的な世界の話で、一話一話だけで見ると、単なるギャグ作品なのだが、続けて読むと、かなり深い内容を持つ作品でもある。
 明らかに時代を超えた知見を持つ女王に主人公達が引っ張り回されているうちにいつの間にか成功しているというパターンで、言うなればいわゆる異世界転生ものの主人公を側近の目で見ている作品と言うべきか。
<A> <楽>
22'03'12 Re:ゼロから始める異世界生活20
長月達平 (検索) <amazon> <楽天>
 水の都市プリステラを支配した魔女教大司祭から奪い返すべくそれぞれが司祭達と戦う面々。ガーフィールドとヴィルヘルムは死者となった二人の英雄と、ユリウスとリカードはユリウスの弟の姿を取った暴食の大司教と。あまりに強すぎる相手に不利な中戦わねばならないが。

 プリステラでの戦いもこれで最後。クライマックスは戦いの連続。ただ中心はヴィルヘルムの過去の話で、主人公であるスバルがほとんど出番なし。いろいろな問題を抱えたままなので、すっきりしない終わり方で、これから話はまだまだ続きそうだ。
<A> <楽>
22'03'11 パタリロ!19
魔夜峰央 (検索) <amazon> <楽天>
 「散る薔薇咲く薔薇」情報屋のゴドーからキーンのアジトを突き止めたバンコランはパタリロに潜水艦を用意させて真っ直ぐアジトへと向かう。だがそれは既にキーンの知るところで、数々の殺し屋達が手ぐすね引いて待っていた。バンコランとマライヒの二人だけで次々と現れる殺し屋を乗り越えていく。

 完全にバンコランばかりが出てくる話になっているのだが、殺し屋との殺し合いだけで全部終わってしまった感じ。アニメだったら目を引くだろうが、マンガでは今ひとつと言ったところ。パタリロが目立ってないのが問題だったか。
<A> <楽>
22'03'07 孤狼の血
柚月裕子 (検索) <amazon> <楽天>
 昭和63年。呉原東署に機動隊上がりの日岡秀一が新米刑事として赴任した。日岡はすぐに大上章吾という刑事の下に付くことになったのだが、その大上はとんでもないはみ出し刑事だった。呉原市の覇権を争い一触即発の加古村組と尾谷組の間に入り込んで脅しをかける。そんな大上の姿に戸惑うばかりの日岡だが…

 映画が面白かったので原作を読んでみたが、雰囲気は随分違う。基本会話ばかりでアクションはないので、映画にする場合は動きを入れねばならないのは分かる。ただ、それは原作とは全く違ったものになってしまう。どっちも面白いので、映画と原作は両方楽しむべきだろう。
<A> <楽>
22'03'04 犬と猫どっちも飼ってると毎日たのしい2
松本ひで吉 (検索) <amazon> <楽天>
 トイ・プードルの犬と拾い猫を飼っている著者の、犬と猫を中心にした日常を描く作品。今巻は血統書を持つ犬の兄弟捜しを合わせて描く。

 小ネタばかりの作品なので、解説が難しいが、その小ネタが一々面白いので、コンスタントに面白い小ネタをよく持ってこれるものだと毎度感心する。ところでここで分かったのが犬も猫も既に9歳。人間で言うと壮年期に入っているはずだが、こんなにテンション高いのか。
 うちのわんこなんて2歳になった頃から完全に物臭になってしまって寝てばかりなんだが。
<A> <楽>
22'03'01 俺俺
星野智幸 (検索) <amazon> <楽天>
 大手家電販売員の“俺”永野均は、ある日間違えて他人の携帯電話を持ってきてしまう。そこにかかってきたその男の母親からの電話に、ついいたずら心を起こして詐欺行為を働いてしまう。その日から“俺”の周囲が少しずつ変化していった。そして自分は携帯の持ち主大樹という男になってしまっており、更に何故か“俺”の前に現れる複数の“俺”たち。

 俺俺(2012)の原作。人のアイデンティティとはなにかをコミカルに描いた話。かつて筒井康隆が得意としていて、大変味があるが、その領域にまでは行ってなかったかな?単にカオスなだけで終わってしまった感じだ。しかしこれを映画にしようとよく考えたもんだな。
<A> <楽>
22'02'26 サラリーマンが異世界に行ったら四天王になった話1
ベニガシラ (検索) <amazon> <楽天>
村光 (検索) <amazon> <楽天>
 日本のしがないサラリーマン内村伝之助は海外勤務で働いていたところ、突然異世界に召喚されてしまう。しかもその先は魔王であり、その魔王からいきなり四天王に抜擢するという申し出を受けてしまう。突然のことに戸惑うばかりの内村だったが、あまりの好待遇のため、しばらくの間ここに留まることにした。最初に与えられた任務は亜人種との交渉だった。

 なんだか最近よく読むようになってきた異世界転生もののコミック。元々は原作者のTwitterで書かれてたものだが、ちゃんと漫画家を立てて連載されたバージョンになってる。
 異世界で評価されるのはチートな能力とかではなく、折衝能力だというのがユニークで良し。
<A> <楽>
22'02'23 わたしの推しは悪役令嬢3
いのり。 (検索) <amazon> <楽天>
 革命が起こり、王国は共和制になった。魔法学園の教師として慎ましく生活を始めた“わたし”レイと元貴族のクレア。二人の養女を引き取り家族として仲良く暮らしていたが、隣国である帝国への使者として、大使の随行員として家族全員が帝国に行かねばならなくなってしまう。そこで二人は新たな人間関係を築いていく。

 一応二巻で物語自体は完結しているが、新しい舞台で話は続いていく。もはや主人公の事前知識はほとんど役に立たない未知の領域になるが、今度は強大な魔族まで登場して、スケールが大きくなっていた。まだ話は続く。
<A> <楽>
22'02'20 パタリロ!18
魔夜峰央 (検索) <amazon> <楽天>
 「キーンVSパタリロ」世界中の殺し屋を集めてバンコランを迎え撃とうとする叔父のキーンはバンコランに対して挑発を繰り返す。マリネラのダイヤモンド利権が関わるため、慎重に事を運ぼうとするパタリロはいきり立つバンコランを抑えようと、意識を失わせてスイスの母の元へと送り届けるが…

 前巻から始まったバンコラン家の内紛だが、そこにダイヤモンド利権を絡めたことで半ば無理矢理パタリロを巻き込んだ形になる。いつも周囲を引っかき回すだけのパタリロが唯一冷静に事を運んでいるのが面白い。金が掛かると人が変わるという言花。
<A> <楽>
22'02'17 良い狩りを
ケン・リュウ (検索) <amazon> <楽天>
 アヘン戦争後、イギリスによって急速に近代化していく中国で、退魔術師見習いをしていた梁は退魔術師の父の手伝いで妖狐退治中に子狐“艶”と出会い、彼女に心惹かれて逃がしてしまう。その後退魔術の仕事が一切無くなってしまったことで機械技術者として生活してきたが、時折彼の前に成長した艶が現れるようになった。女を武器に生きる艶は、自分の正体を知る梁に取引を持ちかける。

 本書最後の短編だが、超弩級のものが来てしまった。フェティシズムの固まりのような話で、激しく心惹かれる。作品の出来云々より、心に迫る作品だった。いろんな意味で胸に来る。
<A> <楽>
22'02'13 定額制夫のこづかい万歳3
吉本浩二 (検索) <amazon> <楽天>
 相変わらず月の小遣い2万1千円でやりくりする著者がいろいろな節約生活を楽しんでいる人々に聞き込んだエピソードを紹介する作品。イオンや100均やサイゼリヤの有効な使い方など具体的なテクニックも紹介していく。

 ほぼインタビュー記事のようなもので、雑誌とかに文章で書かれるものを漫画にしたような感じだが、著者の独特の描写が面白いし、好物を食べてる時の目の描写とか、やっぱり引き込まれてしまう。今巻はノウハウが多いが、具体的なので、確かに有効活用が出来そう。
<A> <楽>
22'02'10 異世界食堂3
犬塚惇平 (検索) <amazon> <楽天>
 七日に一度開くドヨウの扉から行ける異世界食堂へと集う面々を描く第三巻。

 流れは基本的に全く変わらないが、これまで登場してきたキャラが再登場する確率が増えてきた。更に従業員も増え、なかなかに賑やかな話になってる。店主の祖父で初代異世界食堂店主が実はこの世界の出身だという事実も明らかになった。
<A> <楽>
22'02'09 銀河鉄道999 12
松本零士 (検索) <amazon> <楽天>
 アンドロメダ星雲の中心へと向かう999。いよいよ鉄郎の旅も終わりを迎えようとしていた。謎めいた言葉を語るメーテルを、それでも信じ抜こうと決心する鉄郎。その先に待つ真実とは…

 銀河鉄道999の最初の終わりを描く。テレビアニメと劇場アニメでは観ていたものの、原作で読むのは初めて。かなりあっさりした終わり方に逆に驚く。むしろ劇場版のバランスの良さが際立つ感じだ。そういえば劇場版では重要となる最後の惑星の名前もなかった。
 尚、まだ鉄郎の旅は終わりではない。その後だいぶ経ってからもう一度アンドロメダへと向かうことになるはずなので、まだ続く。
<A> <楽>
22'02'05 草を結びて環を銜えん
ケン・リュウ (検索) <amazon> <楽天>
 中国明朝の末期。満州人に侵略を受けた揚州で縁鶸と雀という二人の芸妓が生きようとあがく。世慣れた縁鶸に邪剣にされながら彼女を頼るしかない雀。だが逃亡生活も長くは続かず、ついに二人は満人に捕らえられてしまう。

 この時代の話を読んだのは初めて。ファンタジックな話だが、なかなか興味深い話だった。
<A> <楽>
22'02'03 トクサツガガガ9
丹羽庭 (検索) <amazon> <楽天>
 海外ドラマの影響で仲村の会社でもリビングデッドブームが起こっていた。これも既に特撮の一つとして楽しんでいた仲村は久々に共通の話題が出来たと喜んでいたが…

 相変わらず特オタあるあるの小ネタ満載で、パターンは同じだがよくネタが枯渇しないもんだと感心する。それでもこの巻は一応「ウォーキングデッド」の影響でリビングデッドものの多少深い考察があり。どうしようもない作品でも、別方向から楽しめてしまうオタと、つまらなかったら観ないという一般人の温度差とか。
 後はオタ同士のお泊まり会は…色々これはやらかし案件が多くて身に迫るものがあった。あるあるネタ過ぎ。
<A> <楽>
22'01'30 転生したらスライムだった件2
伏瀬 (検索) <amazon> <楽天>
 死んだシズと、その中にいた上位魔神のイフリートを取り込んだため、人型への変化が可能となった“おれ”リムルは、自らの支配下に置いたゴブリンの村を発展させようと心に誓った。だがそんな矢先にジュラ大森林に不穏な空気が流れていた。オークロードの誕生と、彼に率いられる飢えるオークの群れが進軍を始めたのだ。オークの群れに襲われて村を焼かれたオーガの一団がゴブリンの村を襲う。

 新たな強力な仲間が増えたのと大戦争に巻き込まれるイベントが描かれていく。やってることが多いが、コンパクトにまとめて書かれていて、文体はかなりこなれてる感じ。
<A> <楽>
22'01'29 はじめの一歩129
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 千堂対ゴンザレスの試合はむき出しの暴力同士のぶつかり合いとなった。本来の野生を取り戻して挑むゴンザレスに、それ以上の野生で対抗する千堂。そのし合いを見せられた一歩は…

 久々にまともな試合と言った感じだった。しかし肝心の主人公である一歩はそれを観てるだけしかできず、肝心な一歩はどうなのやら。いっそ新しい作品書いた方が良いかもしれんぞ。
<A> <楽>
22'01'25 ランニング・シューズ
ケン・リュウ (検索) <amazon> <楽天>
 ヴェトナムの靴工場で働く14歳の少女ゾアンは事故で命を失ったが、自分が作っている靴に生まれ変わってしまった。そのままその靴はアメリカへと渡り、ある少女のものとなる。

 人間以外のものに意識があるとしたら、一体何が幸せなのか?というテーマに基づいた作品で、昔半村良の作品で似たようなものを読んだことがあった。これこそまさしくSF的テーマだ。
<A> <楽>
22'01'23 パタリロ!17
魔夜峰央 (検索) <amazon> <楽天>
 「11月のサナトリウム」パタリロの母エトランジュが何者かに命を狙われていると聞かされたパタリロは療養先のスイスへと向かう。
 「マライヒの浮気」バンコランの浮気癖に嫌気がさしたマライヒはパタリロを巻き込んで浮気の芝居をバンコランに見せつける。
 「バンコランVSバンコラン」バンコランの叔父キーンがイギリスにやってきた。バンコランに関わる人物と次々と会うキーン。全くこれまでの足跡を追えない叔父の背後に何かがいるのではないかと調べ始めるバンコラン。

 最初の二作が短編。最後の一編がこれから始まる長編の第一話となる話。バンコラン家の血の轍と若き日のバンコランの姿もある。
<A> <楽>
22'01'20 マルドゥック・アノニマス3
冲方丁 (検索) <amazon> <楽天>
 クィンテットに潜入して彼らの行動を監視していたウフコック。慎重に事を運んでいたはずだが、その存在をクィンテットリーダーのハンターに気取られてしまった。罠にはめられて正体を暴かれてしまい、更に仲間達の大半が殺されてしまう羽目に陥る。

 2巻ラストのウフコックとバロットの再会に至る、空白期間を描いたものになるが、それが丸々一巻あったわけだ。ミスというほどでは無いが、引き時を失ったウフコックのために仲間全員が陥った事態はシャレにならなかった。
<A> <楽>
22'01'17 ゴリせん1
酒井大輔 (検索) <amazon> <楽天>
 ゴリラのような風貌を持つ高校の体育教師、通称“ゴリせん”の周囲は物騒極まりなく、通常の人間なら確実に殺されるような事件が頻発し、必ずその渦中にゴリせんが存在する。何度死んでも不思議ではない事態に遭遇しながら、決して死なず怪我もしない特異体質で、ずれた言動を繰り返していく。

 元々はTwitterに掲載された四コマ漫画で、いわゆる死亡フラグを引き寄せてしまう特異体質の男が主人公。ただし一切ダメージを受けないため、殺そうとした側が逃げ出したり捕らえられたりするという、実に単純な話が続く話。でもその単純さが妙に楽しくて、ついつい読んでしまう。ぱらぱらめくるにはぴったりの作品だな。
<A> <楽>
22'01'14 結縄
ケン・リュウ (検索) <amazon> <楽天>
 中国奥地にあるフンナンナン族の天村に一人の西洋人の青年が訪ねてきた。村人は彼を胡散臭く思いつつ受け入れてきたが、“わし”はその青年を気に入り、この村に伝わる縄で記録を作る結縄の技を見せる。その技に感動した青年は“わし”にその技を伝授して欲しいと願う。

 文明の行き違いについて、なかなか皮肉めいた話。外から来た人の親切によって村が救われるが、その代わりに受け入れたくない文明を受け入れなければならない悲哀。
<A> <楽>
22'01'10 うちの会社の小さい先輩の話3
斎創 (検索) <amazon> <楽天>
 篠崎拓馬の部署で温泉旅行に行くことになった。憧れの先輩片瀬詩織里と一緒で心が浮き立つ拓馬だったが、旅行はハプニング続きで…

 相変わらず甘々なラブコメ物語が続いてる。ただし全員成人なので、結構きわどいギャグシーンもいくつか。そのアンバランスさも面白い。
<A> <楽>
22'01'06 蜘蛛ですが、なにか?4
馬場翁 (検索) <amazon> <楽天>
 エルロー大迷宮に陣取る主のクイーンタラテクトを倒すために、“私”は並列意思をクイーンタラテクトに送り込み、長期間にわたって精神攻撃を行い、自らは身を隠すために迷宮を出る。だが迷宮から出られて自由を手に入れたと思った矢先、なんとクイーンタラテクトまで地上へと出てきてしまい、更にクイーンタラテクトの生みの親であるオリジンタラテクト“魔王”まで現れてくる。

 メインの“私”の物語は順調にマザーを倒すところまで来たが、今度は最強の敵にして主人公の祖母に当たる魔王が登場。一方人間側の主人公シュンはエルフと同盟を組むが、他のファンタジー作品と本作ではエルフ描写にだいぶ違いがある感じも。
 あと、分かっていたとはいえ、蜘蛛の物語が15年前である事が本巻ではっきりと示された。
<A> <楽>
22'01'04 サイボーグ009 6
石ノ森章太郎 (検索) <amazon> <楽天>
 ブラックゴーストの追跡を逃れ、日本に潜伏していたギルモア博士とサイボーグたち。だが彼らの思惑を無視するようにサイボーグによる犯罪が連続して起こる。火の粉を払うように関わって行かざるを得ないジョーをはじめとする仲間達。

 今巻は00ナンバー誕生編の後半。連続した話で、人間の形をしていない0012と、おそらく最強のサイボーグである0013の登場回。どれだけ強くても人間の感情を持つ以上、サイボーグには必ず弱点があるが、同時にロボットでは強くなれないという事実もまた描かれていく。
<A> <楽>