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仮面ライダー響鬼

2005'1'30〜2006'1'22

 平成仮面ライダーシリーズでは第6作目にあたり、これまでのシリーズでは名実共に最長記録を果たした。だが実は「仮面ライダー剣」で5本を数えた平成ライダーシリーズを一旦リセット。全く新しい作品として「音激戦士響鬼」という作品として当初考えられていたが、そのままライダーの中に組み込まれてしまった。
 元が全く違った作品だったこともあって、今までのシリーズが大変暗い内容だったのに、なんか突き抜けた明るさと、妙に癒し系の展開に最初は戸惑う…が、徐々にこれが味であると思えるようになるのが不思議。久々に完成された大人をヒーローとし、それに憧れる少年を主人公とすることで、大変質の高い物語展開ではあった
 本作も複数のライダーが登場するが、一つの組織に属する仲間だというのもこれまでにはなかったパターン。
 ところが、途中までは大好評だったのだが、玩具の売り上げが芳しくないとの事らしく、途中テコ入れが入って方向転換。ここから話がどんどん変になっていく。たとえ異色作と言われようとも名作にもなり得た作品だったのに、残念な終わり方をしてしまった。
 複雑な設定をベースとする平成ライダーシリーズの中ではおそらく最も単純な話。何者かが何らかの目的で(最後まで明らかにされない)古来から作り出してきている魔化魍を封じるべく選ばれた“鬼”と呼ばれる人々の戦いを描く。結果として、これは歴史の一コマであり、これからも戦いは続いていくこととなる。
 2008年6月18日。立花日菜佳役の神戸みゆき氏が25歳という若さで急逝。これからの人だったのに。

仮面ライダー響鬼事典
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主な登場人物
ヒビキ
仮面ライダー響鬼
(役)細川茂樹
 鬼に変身する能力を持つ青年(?)。猛士のメンバーとして魔化魍から人々を守るため、響鬼に変身する。武器は音撃鼓と呼ばれる太鼓で、これを魔化魍に取り付け、連打することで浄化する。
安達明日夢 (役)栩原楽人
 高校受験を控えた中学生。法事で母と共に屋久島に行ったところヒビキと出会う。本シリーズの語り部としての役割を果たしている。
天美あきら (役)
 イブキの弟子として活躍する少女。鬼の名門の出で幼少の頃魔化魍に両親を殺された過去を持つ。魔化魍に対して異常とも言えるほどの憎しみを持っているが、やがてその思いを明日夢と京介に託し、自分の道を進んでいくことになる。
仮面ライダー威吹鬼
イブキ
(役)渋江譲二
 鬼に変身する青年。猛士のメンバーとして魔化魍から人々を守るため、威吹鬼に変身する。武器は音撃管・烈風
仮面ライダー轟鬼
トドロキ
(役)川口新五。
 新たに鬼となった新米戦士。半人前であることを自覚しており、何かと先輩に頼る所があるが、鍛えられて一人前の戦士となっていく。
仮面ライダー斬鬼
ザンキ
(役)松田賢二。「仮面ライダーキバ」の次狼役など。
 猛士の擁する鬼の一人でヒビキ同様の鬼。5話で名前のみ登場するが、その後仮面ライダー斬鬼として再登場。だが、身体は既にボロボロで、隠退して弟子の戸田山に後を託す。最後は戸田山が変身した轟鬼を救うために命を捨てる。
桐矢京介 (役)中村優一。「仮面ライダー電王」の桜井侑斗役。
 明日夢のクラスに転向してきた少年。常に人を見下した態度を取り、何かと明日夢に突っかかっていく。文系の活動はなんでも出来るが、実は運動音痴で暗所恐怖症。後に明日夢と共にヒビキの弟子となり、鬼としての訓練を受ける。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 響く鬼

  脚本 : きだ つよし
      大石真司
  監督 : 石田秀範
  アクション監督 : 宮崎 剛
 高校受験を控えた中学生の明日夢は法事のためにやってきた屋久島で不思議な男を見かける。人間とは思えない身のこなしと調子っぱずれの歌を歌うその男はヒビキと名乗り、一人屋久島の奥へと向かっていく。そして退屈な法事を抜け出し、屋久杉を眺めていた明日夢の前に突然現れる謎の影。そして突然変身してみせたヒビキ…
 敵は童子と姫。とりあえずここでは顔見せ程度だが、とりあえず童子は伝統に則ってクモ男であることは分かった。
 な、なんだ?この仮面ライダーを冒涜するかのようなコメディミュージカルは?しかもライダーであるヒビキは突然「イルカだ〜イルカだ〜…そ、そ、そそそそそそそそそ蘇我入鹿」とか歌い出すし…ひょっとしてこれは仮面ライダーシリーズではなく、『シャンゼリオン』の系統なのでは?
 響鬼は顔もライダーっぽくないし、バイクにも乗らない。更に火を吐く…うわあ。なんだこいつ?
 これだけではなんとも言えないが、このところ妙に暗い作品ばかりやってるので、突き抜けた明るさが見えるかも知れない。
VOL.1
<A> <楽>
第2話 咆える蜘蛛

  脚本 : きだ つよし
      大石真司
  監督 : 石田秀範
  アクション監督 : 宮崎 剛
 怪童子に襲われ、危ういところを鬼のような姿をした怪人に助けられた明日夢。怪人はヒビキの姿となり、共に山を下りる事になる。自分のことを話したがらないヒビキだったが、ヒビキに親しみを感じ始める。
 敵は魔化魍ツチグモ。巨大な化け物だが、さすがに最初の敵と言うだけあって、割と簡単に倒されてしまう。巨大な敵を倒す方法は音撃鼓と呼ばれる太鼓のようなものを魔化魍に貼りつけ、ドンドンと手にした音撃棒でぶっ叩くと倒れてしまう。音波攻撃か?
 一話目にも思ったが、とにかく妙に明るい雰囲気が本作の特徴で、肝心のヒビキはいろんな人に正体を簡単にばらすし、車の運転をしようとしたら、実はペーパードライバーでエンストしまくるし。
 それで出てきたモンスターはかなり大きい。シリーズで巨大怪獣と戦うライダーというのも、これはこれで新しい形式だな。
<しかし、バイクに乗れないライダーが「ライダー」を名乗って良いだろうか?>
第3話 落ちる声

  脚本 : きだ つよし
      大石真司
  監督 : 諸田 敏
  アクション監督 : 宮崎 剛
 屋久島で響鬼と遭遇した明日夢は、東京に帰ってもその事を忘れられずにいた。自分の進路のことで悩む明日夢だったが、母の郁子から奥多摩でヒビキと出会ったことを聞かせられる。ヒビキは香須実と共に奥多摩の山奥へと足を踏み入れるのだった。
 敵は妖姫と怪童子で、ここでは猿のように敏捷な姿で現れる。今回は魔化魍は登場せず。
 今回もオープニングは明日夢のミュージカルで始まる。更に敵は怪童子と妖姫のみで、多分このパターンで続いていくのだろう。しばらくは「仮面ライダーV3」タイプで2話連続で続いていくのかな?
 自然の中で戦うと言うのも新機軸か?
第4話 駆ける勢地郎

  脚本 : きだ つよし
      大石真司
  監督 : 諸田 敏
  アクション監督 : 宮崎 剛
 奥多摩でヤマビコ退治を開始した香須実とヒビキだったが、童子は倒したものの、肝心なヤマビコが見つからない。一旦捜査を打ち切ったヒビキは、明日夢に中途半端に自分を明かしてしまったことを気に病み、いっそ信頼関係を持つためには正体をばらした方が良いか?と考える。一方の明日夢はヒビキと知り合いという不思議な男、勢地郎と出会っていた…
 敵はヤマビコ。奥多摩に住む魔化魍であり、巨大な人間形をしているが、その頭部は髪に覆われ、耳以外の顔が見えない。童子や姫に食料となる人間を捕らえさせていたが、童子と姫がいなくなってから、自分で人を襲うようになった。
 ヤマビコを探すヒビキと言い、勢地郎を追いかける明日夢たちと言い、なんだかほとんど走ってるシーンばかり。その中でちょっと笑える演出がちょこちょことあり、緊張感があるのやら無いのやら分からない話。そのバランスが本作の信条だ。ヤマビコに向かって「よっ」と挨拶するヒビキとか、大体ヒビキの正体だって、さほどばれることを恐れてるわけでもないし。
 起き抜けの明日夢君のセクシー・ショットが見られる…別に見たくないんだけど(笑)
第5話 溶ける海

  脚本 : きだ つよし
      大石真司
  監督 : 諸田 敏
  アクション監督 : 宮崎 剛
 明日夢はひょんな事からヒビキと再会し、受験を頑張るようにと励まされる。だが、彼が思っていた以上に受験戦争は厳しいというと言う現実に直面せざるを得なかった。一方、これまで以上のペースで魔化魍を浄化しなければならない事になったヒビキは一人房総半島へ向かう…
 敵はバケガニ。鬼の一人である斬鬼を倒したという強者。妖姫を倒した響鬼の腕を溶かしてしまう。
 鬼は響鬼だけじゃないことがはっきりした回。「ヒビキさんたち」と言ってみたり、斬鬼とか息吹鬼とかいう名前も出てくる。話そのものはゆるやかだが。
 今回オープニングのミュージカルはなかったが、ヒビキの調子っ外れのカエルの歌の替え歌が又出てくる。
<「城南を知らない」というヒビキ…そんな。仮面ライダーを名乗る人間が城南を知らないなんて言わせるとは。>
VOL.2
<A> <楽>
第6話 叩く魂

  脚本 : きだ つよし
      大石真司
  監督 : 坂本太郎
  アクション監督 : 宮崎 剛
 高校に受かるまではヒビキと会わないつもりでいた明日夢だったが、受験の厳しさに不安を覚えているうちに、いつしか足は「たちばな」に向かい、そこでやはり不思議な男イブキと出会う。一方、音撃鼓さえ飲み込んでしまうヒビキは魔化魍バケガニの退治に失敗。成り行きでイブキと共に新しい音撃鼓をヒビキに持って行くことになった明日夢だが…
 敵はバケガニ。響鬼の音撃鼓を飲み込んだりする力を持つが、響鬼によりひっくり返されて音撃棒で連打されて浄化される。
 魔化魍にやられて切実なはずなのに、妙にとぼけた会話と雰囲気が楽しめる…なるほど。これがこの作品の特徴か。最近のシリーズは暗いばかりだから、この雰囲気は結構気に入ってる。「鍛え足りなきゃ、鍛えなきゃ」など、ヒビキも迷言をよく使う。
<おやっさんが明日夢に城南高校のことを懐かしく語っているシーンがあるが、そこの教員に「カザミ」という教師がいることを語る…まさかカザミって、あの日本一の男だったり、行動隊長だったり、弓矢使いだったりする男か?>
第7話 息吹く鬼

  脚本 : きだ つよし
      大石真司
  監督 : 石田秀範
  アクション監督 : 宮崎 剛
 無事城南高校に入学することが出来て喜ぶ明日夢。早速たちばなに報告に行くが、ヒビキは現在トレーニング中であることを聞かされる。ヒビキに会うべく、電車に乗った明日夢だったが、そこで出会った少女が童子と姫に襲われた。そこに竜巻と共に現れたのは…
 敵はイッタンモメンを守る童子と姫。足が長く伸びて人間を捕らえ、体液を搾り取る。
 今回はヒビキさん、トレーニング中にメリーさんの羊の替え歌を歌ってる…この人、そう言うキャラなのね。ようやく分かったよ。
 今回は主にヒビキのトレーニングが描かれる話で、替え歌を歌いながらのトレーニングだが、内容はかなりハード。これは魔化魍と戦うためより鬼に変身するために必要なものだとか。
 そして初めて響鬼以外の鬼である威吹鬼が登場。当然イブキが変身してる。
 ちなみにイブキにはアキラという弟子がいるらしいことが分かるが、これは明日夢が響鬼の弟子となることの伏線なのかな?
第8話 叫ぶ風

  脚本 : きだ つよし
      大石真司
  監督 : 石田秀範
  アクション監督 : 宮崎 剛
 仮面ライダー威吹鬼に変身したイブキは妖姫を倒すが、残った童子は突然現れた魔化魍イッタンモメンにより救出される。湖に姿を消したイッタンモメンと童子を見守るだけの威吹鬼とアキラ。一方明日夢はヒビキを探し、山中へと入った明日夢はすっかり迷ってしまう。そんな中でキャンプを張っている威吹鬼とアキラに出会うのだが…
 敵はイッタンモメン。奥久慈の山奥に棲む魔化魍。水の中で成長し、成長しきると翼を持ったエイのような姿になる。威吹鬼の音撃管烈風により浄化される。
 威吹鬼の弟子のアキラが前回明日夢が出会った少女であることが発覚する。やがてこの子も鬼になるんだろうか?最初とげとげしい態度をしていたアキラだったが、やがて暖かい表情も見せるようになる。
 明日夢が行方不明になったというのに、妙に明るい郁子。しかし一人の食卓をわびしく食べるなど、母親の複雑な心境が描かれてもいた。こういうのって珍しいね。
第9話 蠢く邪心

  脚本 : きだ つよし
      大石真司
  監督 : 諸田 敏
  アクション監督 : 宮崎 剛
 高校にも受かって春休みを満喫して惰眠をむさぼる明日夢。その頃ヒビキやイブキらは、今日も今日とて童子と姫を相手に戦っていた。秩父に出る魔化魍が猛士のデータでは分からないと言う事態を招いていた。
 敵はオオアリ。藤岡の地中に棲息する魔化魍で、巣の周りに落とし穴を掘り、その穴に落ちた人間を食料としている。童子も姫も一話で響鬼により退治されてしまった。
 これまで二話で一本の物語だったのだが、珍しく一話完結型になってる。ヒビキの方はそれで、終わりだが、イブキの方の物語は続いているようだ。
 冒頭部分でひたすらまどろむ明日夢の姿。なんかほんとこれが特徴だな。
 いつも人の名前を間違えるおやっさんがイブキに向かって「イビキくん」と発言してるシーンあり。ヒビキとイブキの合成?
VOL.3
<A> <楽>
第10話 並び立つ鬼

  脚本 : きだ つよし
      大石真司
  監督 : 諸田 敏
  アクション監督 : 宮崎 剛
 万引きを目撃してしまい、それを逆恨みされた明日夢だったが、すんでの所をおやっさんに助けられる。一方、どうしても魔化魍の特定が出来なかったイブキとアキラの前にオトロシが現れる。本来威吹鬼が倒すべき存在ではなかったが、一応追跡を開始する。やがてヒビキもそれに合流するのだが…
 敵はオトロシ。サイのような姿をした魔化魍で、一見岩のように見えるが、人間を前にするとその体重で押しつぶした上に、手足を伸ばして捕食する。威吹鬼と響鬼の連係攻撃によって浄化される。
 表題の通り二体の鬼が並び立って魔化魍を退治する話。結局良いところを響鬼に取られてしまい、魔化魍を倒す事が出来なくて落ち込んでいると思いきや、実はヒビキに壊された愛車“竜巻”の変わり果てた姿を見てたという…確かに可哀想だ。
 童子や姫達が徐々にディスクアニマルを全く気にかけないほどに強くなってるのも特徴。本作も大きな流れが出来つつある。
 一方、明日夢は明日夢で色々と悩む事がある様子。物語がどうなっていくのか、まるで想像がつかない。
<一応本作は“仮面ライダー”という名称がついてるはずなのだが、バイクに乗れない主人公がいて、その名前を付けていて良いのか?戦いの最中に手を合わせて威吹鬼に謝ってたり、最後は笑ってごまかしたりと、ヒーローらしくなさも魅力の一つ?>
第11話 呑み込む壁

  脚本 : きだ つよし
  監督 :坂本太郎
  アクション監督 : 宮崎 剛
 無事入学式を終えた明日夢はひとみから“たちばな”へと誘われるが、先日の万引き事件の心の整理が付いていない明日夢はなんとなく行きそびれてしまう。しかし、町で大きな荷物を持った女性とぶつかってしまい、お詫びにその荷物を持つと言うと、その女性みどりは“たちばな”へ入っていくのだった…
 ヒビキの戦いよりむしろ明日夢のドラマの方が中心。この物語の方向性がこれだから良しか。一応謎の男が現れて童子と姫がパワーアップなんかしたりするけど、これはあくまでちょっとした転換点だろう。
<主人公が女性とぶつかって関係が始まるってのは古典的手法。衒いもなくそれをやってるのも特徴と言えば特徴か。>
第12話 開く秘密

  脚本:大石真司
  監督 :坂本太郎
  アクション監督 : 宮崎 剛
 甘味処たちばなの奥に開いた壁を調べようとした明日夢は壁の向こうに落ちてしまう。そこは先程合った女性みどりが白衣で何事かを研究している様子。そこで明日夢はみどりがヒビキの同級生であり、鬼となったきっかけがそこにあったことを聞かされる。一方、ヨロイを身にまとった童子と姫に圧倒された響鬼は、彼らが身体を強化していられる時間を知り、その時間差を利用して攻撃することとするのだが…
 敵はヌリカベ。下野に出現した魔化魍。鬼太郎の仲間では正義の味方だったが、ここでは古くさい土塀に足とナメクジの頭が付いたような姿をしてる。今回の響鬼の戦いは童子と姫に対するものが主だったため、本当に簡単に倒されてしまった。
 戦いの最中にもユーモアを忘れないヒビキと香須実。しかし、山奥で二人してニコニコして冗談言い合ってる姿って…。「メリーさんの羊」の曲に合わせて「み〜どりのゴリラ〜ゴリラ〜ゴリラ〜」とか歌ってるとか、みどりも笑えないダジャレを次々連発するし、なんだかなあ。
 関東で働いてる鬼がファイル化されて結構出てくるが、これからこれらの鬼達が次々登場していくのかな?
<明日夢に尋ねられるまま鬼について説明していくみどりだが、それにしても次々と鬼の秘密を一般人に明かしていって良いんだろうか?>
第13話 乱れる運命

  脚本:大石真司
  監督 :金田 治
  アクション監督 : 宮崎 剛
 たちばなではなかなか学校に行く時間が取れないアキラの勉強を明日夢に見てもらおうと、なかなか盛り上がっていた。しかし一方、かつて童子と妖姫に力を与えた謎の男が暗躍していた。その男から力を授けられたウブメの童子は乱れ童子に変形し、ウブメと妖姫を喰らい、威吹鬼に襲いかかってくる。
 敵はウブメだが、なんとウブメを守るための童子がその幼生体を喰らってしまう。結果としてその童子(乱れ童子)が実質的な敵となる。乱れ童子は更にオトロシの童子と姫まで喰らってしまう。
 明らかに新展開を目した話で、童子が本来守るべき魔化魍を喰らってしまうとか、それで急激なパワーアップするとか、二体の魔化魍の童子と妖姫が出るとか、かなり色々いじられている。
 しかし、その回で活躍するのが主人公の響鬼ではなく威吹鬼だというのがなかなか面白いところだ。
VOL.4
<A> <楽>
第14話 喰らう童子

  脚本:大石真司
  監督 :金田 治
  アクション監督 : 宮崎 剛
 威吹鬼を圧倒し、その血を吸い取り始めた乱れ童子。だが、瀕死の威吹鬼とアキラを残し、童子は去っていく。途中響鬼とも遭遇するのだが、やはり響鬼に対しても圧倒的な力を見せつけるのだった。一方、盲腸で入院してしまった明日夢を見舞いに来たひとみはそこで従兄の戸田山と出会う。
 敵は乱れ童子。おやっさんの言葉からすると、共食いする変種らしい。
 明日夢は入院してしばらく退場か?と思ったら、ここに弾鬼が入院してたり、鬼の見習いの戸田山が出たりと、何かと周りは忙しい。
 イブキと日菜香に、弟子を取るように迫られるヒビキの姿が拝めるが、果たして明日夢が鬼になる日は来るんだろうか?
第15話 鈍る雷

  脚本:大石真司
  監督 :石田秀範
  アクション監督 : 宮崎 剛
 明日夢と同じ病院に入院していたザンキは弟子の戸田山と共に童子と姫と戦っていた。仮面ライダー斬鬼に変身したザンキだったが、脚の怪我が治りきっていなかったため、童子を取り逃がしてしまった。更に現れたバケガニに、斬鬼は苦戦を強いられる。
 敵はバケガニヤマアラシで、バケガニは5話で斬鬼が倒されてしまったため、その雪辱戦かとも思われる。
 今回中心は前回初登場したザンキで、斬鬼に変身するが、弟子の戸田山と共に魔化魍と戦っている。確か関東には11人の鬼がいると言うが、そちらもそれぞれ中心となっていくのだろうか?今回はザンキより戸田山の成長に重点が置かれているようだ。
 一方、それで割を食ったのがヒビキの方で、今回は妄想でバイクの傍らに立ってるシーンと、買い物していて郁子と会い、明日夢のお宅にお邪魔するシーンだけで登場。更に瞬間的だが裁鬼という鬼も出てきている(出てきただけであっという間にヤマアラシに負けてたが)
<ところで明日夢がパンツに手を突っ込んでる所(盲腸の傷に張ってあったバンデージを外そうとしてるんだが)を母の郁子が見てしまい、郁子は急いで部屋を出て行くシーンがあるんだが、いいのかなあ?こんなのやって。>
第16話 轟く鬼

  脚本:大石真司
  監督 :石田秀範
  アクション監督 : 宮崎 剛
 現れた魔化魍ヤマアラシに立ち向かうザンキと戸田山。烈雷を戸田山に渡した斬鬼は童子と妖姫に立ち向かい、戸田山のサポートに回る。斬鬼の声に励まされた戸田山ではあったが、ヤマアラシに捕らえられていた裁鬼を助けることには成功したものの、肝心なヤマアラシには逃げられてしまう。一方、安達家にお邪魔したヒビキは明日夢と対話し、改めて明日夢を弟子にするつもりはないと宣言するのだった。
 敵はヤマアラシ。足尾に現れた本当にヤマアラシの姿をしてる魔化魍。背中の針を飛ばして攻撃する。戸田山こと、轟鬼のデビュー戦の相手となる。
 今回も主人公である響鬼は活躍することなく、戸田山とザンキの物語が中心となる。実力派一人前でも覚悟が出来ていなかった戸田山が自分なりの戦い方を覚え、轟鬼としてデビューを果たす…最後はちゃんと決めたと思った途端、顔だけ変身を解くことが出来ず全裸に…おい
第17話 狙われる街

  脚本:大石真司
  監督 :諸田 敏
  アクション監督 : 宮崎 剛
 イブキのサポートでなかなか学校にも来られないアキラがようやく学校に現れ、明日夢はヒビキに言われたとおり授業のノートをアキラに手渡すが、それを見ていたひとみは心中穏やかではいられなかった。そんな時、普通現れることのない人里に突然現れた童子と妖姫。偶然買い物途中でそれを見かけたイブキは戸惑いながらも早速出動する。
 鬼達の休日が描かれる話。休日と言ってもヒビキはみどりと共に相変わらず訓練してる。一方のイブキは香須実を伴ってお買い物。割と優柔不断な性格がよく表れている。一方のトドロキはおやっさんに日菜香との関係について詰め寄られる…こんな話が普通に出せるところがこの作品のおもしろさだろう。
 これまで人里離れた所にばかり出現した童子や妖姫が街中に出るようになった。これはやはり物語の転機を表すのだろうな。
VOL.5
<A> <楽>
第18話 挫けぬ疾風

  脚本:大石真司
  監督 :諸田 敏
  アクション監督 : 宮崎 剛
 東京の地下に突如現れた魔化魍はオオナマズであったことが分かった。傷の手当てを受けたイブキはアキラと共に東京の地下水道へと潜るが、サポートするアキラの前には凄まじい邪気を発する黒ずくめの男が…
 敵は魔化魍のオオナマズ。東京地下に住み着いた魔化魍で、多量の人間を食するため、童子と妖姫に落とし穴を掘らせ、そこに落ちた人間を餌食にしていた。胃袋だけでも行動が出来、溶解液を吐く。仮面ライダー威吹鬼の雷電激震で倒される。
 今回はヒビキをさしおいてイブキが大活躍。常に飄々とした態度を崩さないが、鬼としての使命を全うすることを誰よりもよく分かっている人物として描かれていて、なかなか格好良いぞ。むしろヒビキは小ネタ要因と言った感じ。みどりとは見事な漫才コンビになってる。まあ、このまったり感がこの作品の最大の魅力なんだろうな。明日夢もいつの間にか“たちばな”で無給バイトまで始めてしまい、はっきり言って“燃える”と言うよりはなんか“癒される”という雰囲気…いや、勿論これからどんどんハードになっていくんだと思うのだが。なんだかこの雰囲気のままでまったりと2年くらい続いてくれないだろうか?とか思ってしまった。
<威吹鬼のトランペットは水中でもが吹けるらしい。空気はともかく、音の伝導そのものができないのでは?>
第19話 かき鳴らす戦士

  脚本 : きだ つよし
  監督 :高丸雅隆
  アクション監督 : 宮崎 剛
 斬鬼の跡を継ぎ、魔化魍退治にいそしむ仮面ライダー轟鬼。続出するバケガニを連続して倒していた。一方“たちばな”でバイトを始めることになった明日夢も初めてトドロキと出会う。
 敵は連発してバケガニばかり。出てくるだけでも3体もいる。
 元気いっぱいのトドロキが主役の話で、相変わらずたちばなの面々からからかわれているようだ。ただ元気いっぱいのトドロキだけに、その元気さが逆に不安の種となっているのが特徴か。その分ヒビキ、イブキ共に全然活躍の場なし。それと、明日夢がたちばなでバイトすることによって、より猛士とのつながりを増している。
 新人のトドロキを前面に出すことで、次につながる話を演出しているっぽい。その分語れるトピックは少ない。
第20話 清める音

  脚本 : きだ つよし
  監督 :高丸雅隆
  アクション監督 : 宮崎 剛
 次々とバケガニの魔化魍を倒していく轟鬼は、相変わらず魔化魍を倒した後に激しく弦を響かせるパフォーマンスを続けていた。そんなトドロキに与えられた次なる使命はアミキリだったが、アミキリは弦の攻撃が効きにくいため、ザンキがサポートにつくことに。一方、たちばなでアルバイトを始めた明日夢は、そこで自分が任される割合が高いことを知らされる…
 敵は大洗のアミキリ。バケガニによく似た魔化魍だが、むしろエビかヤゴのようでもあり、飛行能力も有する。バケガニの変異体らしい。怪童子や妖姫も空を飛ぶことが出来る。本来威吹鬼の担当なのだろうが、響鬼と轟鬼、それに斬鬼の連携によって倒される。
 全開に続き、今回もトドロキが中心の話だが、徐々に話は進展していっているようだ。謎の男の暗躍も徐々に目立ってきたし、明日夢は明日夢で猛士のサポートとして活動が開始されているっぽい。それで割食ったのはやっぱりヒビキで、アミキリの背中に乗ったはいいが、すぐに振り落とされるとか、今回は全然良いところがない。
<最後、ザンキがトドロキに対しサポーターになることを宣言した際、「尻ぬぐいは俺がやってやるよ」と言っていたが…これってひょっとして腐女子へのサービスか?>
第21話 引き合う魔物

  脚本 : きだ つよし
  監督 :石田秀範
  アクション監督 : 宮崎 剛
 謎の男の暗躍により、次々と魔化魍が生まれ出ていた。猛士の鬼達もフル稼働で撃退に当たっている。しかし魔化魍自身も強化していたため、イブキはウブメを、トドロキはヤマアラシを逃がしてしまう。まるで引き合うように二体の魔化魍…
 敵はウブメヤマアラシ。どちらも既出だが、更に強化されている感じ。そういえばウブメって一回目はほとんど活躍しないうちに清められてしまってたから、ようやく活躍の場が与えられたって所かな?
 まるでキャラの紹介のようだった前2話から話は一転。強力な魔化魍に対抗する鬼達の活躍へと移っていく。一応ダンキという新キャラが登場しているのだが、今回は人間体で電話してるだけ。活躍は次回以降か。今回は威吹鬼と轟鬼の二人が同時に変身したりと、相変わらず響鬼を置いてけぼりにして活躍中。
 ヒビキと明日夢がたちばなのお使いで会話してるシーンが登場。あくまで日常会話だが、まるで兄弟みたいな感じだ…というか、ヒビキ、言ってることがオヤジっぽすぎ。
 ツッコミではないが、この作品ほど実際の東京の風景をよく映してる特撮作品もない。下町の良さがよく現れてる。これが狙いだとすれば、見事だ。
VOL.6
<A> <楽>
第22話 化ける繭

  脚本 : きだ つよし
  監督 :石田秀範
  アクション監督 : 宮崎 剛
 ウブメおよびヤマアラシの怪童子と妖姫と戦う威吹鬼と轟鬼。しかし戦いの最中にサポートのアキラがヤマアラシの妖姫の針を浴びてしまう。その頃、ウブメとヤマアラシの魔化魍は合わさって繭を作り出し、やがて合体した姿を現す…
 様々なバージョンで魔化魍が出来ているが、今回はウブメヤマアラシの合体魔化魍。威吹鬼、轟鬼の単独攻撃では全く通用せず、響鬼、威吹鬼、轟鬼の三人が共にそれぞれの清めの音を一緒に奏でることで撃破することになる。
 これまで平成ライダーシリーズはライダー同士の戦いばかりが描かれていたが、ここは最初から仲間なので、共同して戦うというのが、新鮮だ…本来これって当たり前のことではないのか?
 一方、明日夢の物語は、なんかもう…甘酸っぱいというか、背中が痒いというか(笑)。これが本作の味であり、バランスの良さだろう。
<戦いに関しては強いものの、結構これで気弱なところのあるトドロキの描写が良いのだが、このキャラ、狙いすぎでは?
 ヒビキが登場した際、「俺の出番だな」と鼻に親指をつけ、片足を岩にかけて呟く。お前は小林旭か!>
第23話 鍛える夏

  脚本:大石真司
  監督:諸田 敏
  アクション監督 : 宮崎 剛
 パワーアップのため、轟鬼に太鼓の叩き方を伝授する響鬼。だが、太鼓は専門外なため、どうしても響鬼の思うような音を轟鬼は出すことが出来ない。ヒビキは厳しく指導するのだが、それがトドロキには面白くない。そんな二人を遠目に、又しても謎の男が現れ、謎の童子と姫を呼び出していた。一方、高校のブラスバンドに入部した明日夢が割り当てられたのはドラムではなくホイッスル。どうにも気合いが入らなかった。
 敵はドロタボウの怪童子と妖姫。しかしこれは自然発生したものではなく、白い服装にイメチェン(?)した謎の男によって作られたもの。なんだか妙にほのぼのしたキャラではあるが、しっかり人間は殺してるし、強さもかなり。
 トドロキが主人公となる話。ヒビキに太鼓の特訓を受ける姿は、なんかとっても体育会系。大体ヒビキ自身、何故トドロキが太鼓の特訓をしなければならないのかを説明する際、「お前は鬼の新人で、俺は鬼の先輩だから」とかほとんど理屈になってないことを言っている。だけど、私自身がかなり強い体育会系ノリ好きなので、こういうのって結構好き。明日夢の方の展開もやっぱり体育会系の先輩後輩っぽい。最近の風潮はそういうの否定的になってるから、ここでやってくれるのは結構嬉しい。
第24話 燃える紅

  脚本:大石真司
  監督:諸田 敏
  アクション監督 : 宮崎 剛
 魔化魍ドロタボウと戦う響鬼と轟鬼。だが、変幻自在の攻撃をするドロタボウに一時退却を余儀なくされる。失敗に落ち込むトドロキを慰めるようにヒビキの過去の失敗を語る香須美。一方、ドラムに未練のある明日夢はホイッスル役をどうしても打ち込むことが出来なかったが、同様の話を日菜佳から聞かされる。
 敵は前回に続き(と言うより、前回は顔見せ程度だが)ドロタボウ。攻撃を受けると自らの分身を作り出し、更に轟鬼の烈雷は全く効かず。それに対抗するため、響鬼は特殊な形態である紅響鬼へと変身する。
 響鬼の過去と形態のパワーアップが語られる話。平成ライダーシリーズでは常にパワーアップが行われるが、響鬼の場合は元々そういう形態になるらしいので、意味合いはちょっと異なっている。
 ここでもトドロキがおいしい役をもらってる。新米のヒーローが先輩に鍛えられていくってのは、これまでほとんど無かったが、新しいストーリー展開がしっかり描かれるのには好感。
 ツッコミどころが多いようで見つからない話だった。
第25話 走る紺碧

  脚本:大石真司
  監督:諸田 敏
  アクション監督 : 宮崎 剛
 夏の魔化魍退治のため、香須美には内緒で水泳の特訓を始めたヒビキ。一方、「たちばな」の面々はそれぞれが夏休みを満喫していたのだが…
 敵はカッパ。そのまんま河童の姿をした魔化魍。最初裁鬼と戦い、川に引きずり込んで裁鬼を下すが、響鬼との戦いでは、逆に川から引きずり出され、更に紅へと変身した響鬼によって倒される。
 全般的にコミカルながら、見所はかなり多い。ヒビキがついにバイクに乗り、名実共に「仮面ライダー」の名前を冠するようになったこと。ようやくこれでシリーズとしてまとめられるようになったか。その他に明日夢とひとみ、トドロキが妙に仲良く、そこに努という青年が絡んでくるとか、香須美とヒビキの関係が妙に微妙になってるとか…人間関係がちょっと複雑になってきたかな?そうそう香須美の水着シーンも拝める。
 夏の魔化魍は手強いと言うが、二回連続で子供を産んでる。分身を作ることが出来るってのが手強さなんだろうか?
<これまで二回登場した裁鬼は、二回ともやられ役。鬼の中では最も厳つい顔してるのに、こんな役ばっかり。そういえば弦じゃなくて棒使って攻撃してたな。
 今回は水泳の話に合わせてか、トドロキもパンツ姿で登場。この人の売り方はあまりにも作為的な気がするな。>
VOL.7
<A> <楽>
第26話 刻まれる日々

  脚本:大石真司
  監督:石田秀範
  アクション監督 : 宮崎 剛
 休息中に明日夢のドラムの練習を眺めていたヒビキは、その鉢さばきに感心し、今度共に祭りで太鼓を叩こうと誘う。その後、たちばなでバイトを続けていた明日夢だったが、トドロキから電話が入り、夏の魔化魍が現れたとの連絡が…
 敵はバケネコ。これも夏の魔化魍で、大きさは人間並だが、動きが素早く、しかも二体同時に現れる。
 久々に二話続きの前編で、これまでいくつか出ていた設定のばらしと、新たな設定が登場している。魔化魍の種類などがばらされ、前回出てきた努と呼ばれる少年が猛士と関係があることが分かった。概ねはちょっと一休みって感じ。
<みどりさん、研究一本で家事が出来ないらしい。人と話してる間も包丁持って振り回してたりする。山姥か?
 ザンキの名前を連呼するトドロキに対し、日菜佳はトドロキのことを「トドロキさん、ザンキさん大好きだもんね」と揶揄。これも狙ってるよな?>
第27話 伝える絆

  脚本:大石真司
  監督:石田秀範
  アクション監督 : 宮崎 剛
 紅となった響鬼は魔化魍バケネコと戦うが、複数、しかも怪童子および妖姫と見事な連携を見せるバケネコを逃してしまう。ディスクアニマルを放ち、一旦退却した響鬼に替わり、単独でバケネコを追うザンキ。一方、たちばなに現れた努という少年が気になって仕方のない明日夢だが…
 敵はバケネコ。怪童子や妖姫も同じ姿になり、更に子供を産み続けるため、とにかく多数登場。それとこれまでに何度も登場していた黒と白の不気味な男達の名前はクグツと言うことが分かる。
 今回は久々にザンキが中心の話となった。サポーターとなり、もう変身できないザンキは素手で戦うのだが、それでも充分強い。それと明日夢の物語が展開していくのだが、割とストレートな青春ものっぽい物語になってる。明日夢は鬼にはなるつもりがないようだが、その心境も少しずつ変わってきたのかも知れない。
 物語としては派手さが無い割と落ち着いた感じで、設定部分に関わる話となっている。緩急で言えば緩にあたるが、そういう話を許すのが本作の面白い所だろうね。
<なんでもザンキは飲み会の三次会辺りになるとトドロキのことを「可愛い可愛い」と連呼するらしい。なんでこう狙うかな?>
第28話 絶えぬ悪意

  脚本:大石真司
  監督:金田 治
  アクション監督 : 宮崎 剛
 夏の魔化魍退治にいそしむ響鬼達鬼。一方明日夢は前に目撃した万引き少年から逆恨みされ、ヤキを入れられてしまって顔に痣を作っていた。そんな明日夢はヒビキと共に山にハイキングに行くことになっていた。
 敵はツチグモの童子と妖姫。これまでにも幾たびか登場していたクグツ達の活動が垣間見られる。クグツは複数おり、中には研究を続けてるのもいるらしい。それと新しい鬼である鋭鬼が登場。颯爽と登場した割には武者童子と鎧姫に囲まれてしまい、谷底に落とされて行方不明に。
 割とこれまで二つの物語に分かれていたヒビキと明日夢の話がリンク始めたようだ。主人公は明日夢の方だから、これが本来の物語の形なんだろう。大人として行動するヒビキと、それによって鍛えられる明日夢。良い構図じゃないか。ところで明日夢は本当に鬼になるのかどうか…勿論他の鬼達の戦いも同時進行してるが、短い戦いの割に上手い演出を使ってる。
<みどりにからかわれる香須実。だんだんイブキを男として意識してきたらしいが、それって周りからの煽りが一番功を奏してるんじゃないか?>
第29話 輝く少年

  脚本:大石真司
  監督:金田 治
  アクション監督 : 宮崎 剛
 武者童子と鎧姫に大苦戦の威吹鬼と轟鬼。ようやく鎧姫を倒したものの、成長途中のツチグモまでもが現れ、撤退を余儀なくされてしまう。一方、心にわだかまりを持ったままヒビキとのキャンプを続ける明日夢だったが、その中でヒビキの強さに触れていく。
 敵はツチグモだが、これも又パワーアップしてヨロイツチグモへと変化している。ツチグモの武装強化タイプだが、更に大きくなった感じだし、生物よりもロボットのような感じになってる。
 鬼達はそれぞれ苦しい戦いを強いられていくのだが、その中で実は主体は明日夢の方。大人の強さによって一皮むけていくなんて、これこそ特撮の本来持っていた醍醐味では無かろうか?その意味で本作は特撮の原点であり、進化形であると言っても良い。こんな作品が出来るのに、何故今まで作ろうとしなかったのやら。まあ、明日夢があんまりにも素直すぎるのが一つの強味なんだが。
 良いお話だった。
<ここでも鋭鬼が登場。その体を心配する轟鬼に対し、「俺は一晩寝て英気を養ったから大丈夫」だそうだ。その割にヨロイツチグモにあっけなく吹っ飛ばされてるが。
 ところで、ヒビキが明日夢を見ながら最後に「少年、第一歩だな」と呟いてるが、これは深い意味があるのだろうか?>
VOL.8
<A> <楽>
第30話 鍛える予感

  脚本:井上敏樹
  監督:諸田 敏
  アクション監督 : 宮崎 剛
 元気になった明日夢だが、そんな明日夢のクラスに桐矢京介というその少年が転向してきた。何をやってもプロ級の腕前を持つ京介は何かと明日夢に突っかかってくる。一方、イブキたちの前に、新たな魔化魍である火車魔化魍が現れる…
 敵はカシャ。等身大の魔化魍で、キツネのような姿をしている。人間を攻撃する際は体の回りに火の車を回し、体当たりしてくる。
 話自体はヒビキ達鬼を放っておいて明日夢が中心となっているが、一体これは何をやろうとしていたのか、よく分からない
 京介という、何でも出来る少年が出てきたが、とにかくこいつが浮きまくってる。明日夢をライバル視しているようだが、いくらなんでもこんな奴がいるか?というレベル。お約束のようにどーしようもない人間だと言うことも後で分かるし。
 プロデューサの意向で方向転換。メインライターが大石真司から井上敏樹に代わったことで、それなりのファンの間では「終わった」と言わしめた作品となった。
 何かと話題となった話で、一気に話が変わっている。これは脚本がこれまでのメインライターであった大石真司から井上敏樹に変わったこともあるが、何よりもテコ入れが行われたためだろう。これまでの展開が好きな人間にとっては戸惑うばかりだ。少なくともはっきりしてるのは、これまで放映してきた作品とは全く方向性が違うと言うことだけは確か。
 ここには突っ込む所がないというか、もはや突っ込む気にもなれない、一種とてつもない素晴らしい話となってる。
第31話 超える父

  脚本:井上敏樹
  監督:諸田 敏
  アクション監督 : 宮崎 剛
 響鬼の戦いを目の当たりにした京介は俄然響鬼に興味を持ち、明日夢に探りを入れるようになった。実は京介は消防員の父を前に亡くしており、父を超えることが出来ないことを悔しく思っていたのだ。突然たちばなに現れ、ヒビキに「戦ってくれ」と申し出る京介。一方、その京介に父のことを聞かれ、離婚した父に会いに出かける明日夢…
 敵は前回に続きカシャ。今回も街中に現れるが紅となった響鬼に倒される。
 前回から方向転換し、京介という少年に触発された明日夢の行動が描かれていく。これも一応ありだと思う…思うのだが、今までの展開よりは質が落ちてる。と言うか、道を見失ってるように思える。これはこれで某かの一貫した物語があるのかも知れないから、もう少し展開を見守る必要はありそうだ。いずれにせよ、ここのところでは久々にあんまり書くことがない。
<ヒビキを追い回す京介。その姿はほとんどストーカー。腐女子用?最後の「お前はいずれ、おれのものになる」ってのは狙いすぎでは?>
第32話 弾ける歌

  脚本:井上敏樹
  監督:高丸雅隆
  アクション監督 : 宮崎 剛
 洋館の実験室ではクグツが新しくスーパー童子とスーパー姫が誕生させていた。他の怪童子や妖姫を全く問題にしないどころかクグツにまで襲いかかる。そこにやってきた響鬼と轟鬼もまるで歯が立たなかった。一方、たちばなに木暮という人物がやってくると聞き、おやっさん以下全員が大あわて。叱られないようにとすぐに掃除を始めていた。
 敵はスーパー童子スーパー姫、そしてカマイタチ。スーパー童子とスーパー姫はこれまでにまして強力な敵で、自分たちを作り出したクグツにさえ攻撃する。カマイタチは三つの首を持つイタチのような姿をした魔化魍で最後に登場。
 いきなり新キャラ木暮役に布施明が登場。この人特撮初登場だよね。なかなか強烈な人で、無礼な人間に対しては容赦なく怒鳴りつけ、警策でぶっ叩く。実は吉野の武器開発主任の人で、新開発のアームドセイバーを持ってきた。しかし肝心のアームドセイバーは強力すぎてどんな鬼も使えないという問題がある。
<相変わらず明日夢の方は京介にまといつかれて迷惑きわまりないって感じ。昔私にも似たような知り合いがいたっけ…妙に腹が立ってきたな。
 これまで和風にまとめられていたのに、アームドセイバーなんてネーミング誰が考えた?もうちょっと和風な名前に考えられなかったか?>
第33話 装甲う刃

  脚本:井上敏樹
  監督:高丸雅隆
  アクション監督 : 宮崎 剛
 強力なスーパー童子とスーパー姫に対しアームドセイバーを抜く轟鬼だったが、その強力なパワーにはじき飛ばされてしまった上に、アームドセイバーを奪われてしまう。怒る木暮はヒビキたちに特訓を命じるのだが、なんとその特訓とは発声練習だった…
 敵はスーパー童子スーパー姫、そしてカマイタチ。カマイタチは極端にパワーがあるらしく、威吹鬼の攻撃を歯牙にもかけなかったが、響鬼のアームドセイバーにより倒される。
 アームドセイバーの話の後編。アームドセイバーは鬼の体力を極端に奪うらしく、もし拒絶反応が出たら一ヶ月は変身できなくなってしまうらしい。そしてその拒否反応を抑えた響鬼のみがアームド響鬼に変身できた。
 しかし、本来パワーアップというのはえらく盛り上げられるものだが、なんとなくするっと終わってしまった感じがする。
 今回も京介は暴走してるんだが、ヒビキの前にどんどん矮小化していく。これが狙いか?
 今回突っ込むべき所というより、意識して妙な雰囲気を作り出してる感じ。新展開になってちょっと変になったかと思ったけど、これはこれで又楽しくなってきたよ。
<何というか、木暮とイブキの二人が並ぶと、思いっきり会話がかみ合わない。妙な雰囲気が醸される…大体腹芸ができない天然のイブキにいくら嫌味を言っても無駄だって。
 トドロキが思った以上に音痴だと分かったが、それを怒る木暮の背後でヒビキまで変なポーズを取ってる。それでもなんだかトドロキは昔バンドを組んでいたとか…歌聞いた日菜佳にまで泣かれてるし。
 一番木暮のことをよく知ってるザンキは妙に木暮を褒めてるんだが、そうすると木暮もどんどん増長…この二話は全部木暮で持って行ってしまった。最後は「“少年よ”を歌います。と言ってEDが流れるのは面白い作り方だ。>
VOL.9
<A> <楽>
第34話 恋する鰹

  脚本:井上敏樹
  監督:石田秀範
  アクション監督 : 宮崎 剛
 平穏な日々がたちばなに戻った。日菜佳の誕生日に高級レストランに招待するトドロキだったが慣れない場所だっただけにワインを吹き出し、ステーキの肉を日菜佳にぶつけ、テーブルをひっくり返し、あげくに「誕生日プレゼント」と称し、生の鰹を渡そうとする。ついに日菜佳はキレてしまい、「しばらく会わない方が良い」と絶縁状を手渡してしまう。一方、ひとみが京介にラブレターを手渡す姿を見てしまった明日夢はショックを受けてしまう。
 敵はウワンとスーパー童子にスーパー姫。夏の魔化魍でもないのにウワンは等身大だった。相変わらずおちゃらけ続けるスーパー童子(首が180度回転してけたけた笑ってるような描写あり)を抑えるかのようにスーパー姫が活躍。ウワンは幼虫体で、口吻から相手に毒を注入できる。
 別名「カツオじゃねえ!」。全般的にコミカルな演出がなされた作品で、こんな所にテコ入れの影響が見られるようだ(と言うか、これこそ井上脚本の持ち味とも言えるが)。そう言う演出も受け止めるだけの幅があったと言う側面はあるものの、妙に外しまくってる気がせんでも…その中で不器用な生き方しかできないヒビキが立ってるよ。
 それに対し、とにかく今回はトドロキが貧乏くじ引きっぱなし。このキャラ女性に絡むと弱くなるからね。
<ウワンに襲われるカップルの会話「っていうかさあ、この時期にしては蝉が多いよね」「そう言えばそうよね」。「異常気象かなんかかな」「異常気象だね」…この間の抜けた会話は何とかならんか?アドリブでももうちょっと気を遣ってくれや。
 恋は盲目とは言うが、あの日菜佳に対し「スタイルが良くて上品で」とか言ってるあたり…経験あるだけにこっぱずかしい。>
第35話 惑わす天使

  脚本:井上敏樹
  監督:石田秀範
  アクション監督 : 宮崎 剛
 新兵器アームドセイバーの鬼神覚醒によりウワンを下した響鬼。だが、日菜佳にふられたトドロキの落ち込みは激しかった。ヒビキは日菜佳にトドロキのことを考えてやれと助言するが、逆に「無神経」と言われてしまう。しかも轟鬼のスランプは威吹鬼にまで伝染していく…
 敵は前回に続きウワン。これは前のウワンから分裂したものらしく、更に三体に分裂するが、響鬼、威吹鬼、轟鬼の必殺技により倒される。そして今回もスーパー童子とスーパー姫が出てくる。スーパー童子は相変わらずおちゃらけてるが、スーパー姫の方は随分シリアスになってきた。これも成長らしい。
 トドロキの恋愛が描かれつつ、とにかくこっぱずかしい演出ばかりが演出される。これもやっぱりテコ入れの結果だろうか?悪い訳じゃないんだけど、やっぱり何かなあ。このままでは本当に『シャンゼリオン』になってくような気がする…それはそれで一つの形ではあるか(結構好きだし)。少なくともこれまでのシリーズの中ではこれでも充分面白い方だ。
<相変わらずずれた感性を持つトドロキだが、彼は彼なりに一生懸命なんだろう。ただ、トドロキと日菜佳の仲を取り持とうとするヒビキもザンキも全部ずれまくり。
 明日夢は青春中。それにしてもトイレの中で「やったー」とか言うのはなんとも。>
第36話 飢える朱鬼

  脚本:井上敏樹
  監督:坂本太郎
  アクション監督 : 宮崎 剛
 アキラを待ち伏せした京介は遠慮無く鬼について訊ね始める。無視して立ち去るアキラだったが、何故鬼になろうとしているのか、何故イブキは未だに鬼になることを許さないのか。彼女は悩み始める。その頃、吉野の神社から鬼の鎧が盗まれ、神主と巫女が襲われる事件が起こった。その鎧を使い、魔化魍ノツゴと戦っている裁鬼を倒してしまう。
 敵は魔化魍ノツゴ鬼の鎧。ノツゴはサソリのような姿をした巨大魔化魍で、10年に一回位しか出ない強力な魔化魍。ザンキの師匠である朱鬼が唯一倒せなかった魔化魍だという。一応スーパー童子とスーパー姫が現れるが、これは鬼の鎧のパワーを示すためだけだったようだ。最後に現れる朱鬼は轟鬼同様音錠を用いて変身する鬼で、竪琴を武器とする。
 鬼達の内部事情が多少描かれる話で、斬鬼の師匠の事とアキラの悩みが描かれている。アキラは両親を鬼に殺されたために憎しみをパワーに変えようとしていたが、鬼になると言うことは、憎しみを捨て去る必要があるらしい。
 鬼の鎧を盗んだのは斬鬼の師匠だった朱鬼。どうもこの鬼の鎧は後々意味を持ってきそうな気がする。
<鬼の鎧の姿って、多分カラス天狗をイメージしたんだと思うのだが、一見「変身忍者嵐」のようにも見える。
 これまで3回登場し、3回ともやられポーズだけで終わる裁鬼。狙ったとしか思えないキャラだな。>
第37話 甦る雷

  脚本:井上敏樹
  監督:坂本太郎
  アクション監督 : 宮崎 剛
 朱鬼の参戦がありながら響鬼達はノツゴを逃がしてしまい、アキラはノツゴの攻撃を受けて川に流されてしまう。朱鬼に助けられたアキラは朱鬼が自分同様両親を魔化魍に殺されてしまったと言うことを知らされるのだった。一方、吉野から鬼を除名されながら轟鬼から音錠を奪って鬼に変身してしまった朱鬼を倒せ。と言う鬼祓いの命令を受けるイブキ…
 敵は前回に続きノツゴ。弱点は口の中だが、人間を食らう時だけ口を開けるという。朱鬼が自らの体を盾として、斬鬼に倒させる。そしてスーパー童子がこれまでのおちゃらけた性格を変えた。
 前回に続き、朱鬼の話が展開する。憎しみだけを糧としてきた朱鬼の最後と、久々の斬鬼の雄志が観られる。そして初めて鬼が殺されるシーンもあり。
 アキラの心の闇の話も更に深まっていくし、久々にヒビキが大人の対応を見せているのが興味深い。久々の好作。
<ノツゴは人を食らう時だけ口を開けるそうだが、よく観ると、普通に口を開けてるシーンもある。
 死に顔を見られたくないと言うシュキの顔に次々に花を置いていくザンキ。良いシーンなんだが、そこに飾られてる花って、季節感バラバラ。どう見ても河原に咲いてるものじゃないのが多数…>
VOL.10
<A> <楽>
第38話 破れる音撃

  脚本:米村正二
  監督:田村直己
  アクション監督 : 宮崎 剛
 ブラスバンドの部長からホイッスルも必要がないと言われてしまう明日夢。食い下がることもなく笑ってそれを受け止める明日夢だったが、京介によって全てばらされてしまった「たちばな」では、みどりがブラスバンドの補欠を集めて合宿をしようと提案するのだった。一方、スーパー童子とスーパー姫と戦う響鬼だったが、二人はますます力を付けており、更に二人が呼び出したヨブコは鬼神覚醒さえもはねのけてしまう。どうやら館の男女によってパワーアップされているらしい。
 敵はヨブコ。翼を持ったトカゲのような姿をした等身大の魔化魍。空気の壁を作ることで音撃武器を無効化してしまう。
 明日夢とアキラの悩みは続くが、それが周囲にも波及していく。人間関係を気にしすぎるあまり心にもないことを言ってしまい、落ち込んでしまう明日夢と、シュキと出逢うことで鬼になれない事に苛立つアキラ。それがヒビキやイブキ、そしてトドロキにも影響を与えていく。鬼達もだんだんと悩み始めたようだ。これが行きすぎないことを願おう。特にエリートのイブキはこれまで挫折を知らずにおり、それ故に落ち込みが激しいようだ。
 結局みんな落ち込んだままで終わってるため、爽快感は低い。
第39話 始まる君

  脚本:米村正二
  監督:田村直己
  アクション監督 : 宮崎 剛
 スーパー童子とスーパー姫に明日夢とみどりをさらわれ、更に音撃が通じないヨブコに敗北した響鬼は京介に助けられる。そしてアキラに去られ失意のイブキ。ザンキから叱られ自棄になるトドロキ…
 敵は前回に続いてヨブコ。一切の音撃が効かないが、なんと明日夢が波動を感知したことによって防御が崩され、そこをアームドセイバーで倒される。
 これまで何の苦労もしてないように見える京介が変身しようとしたり、明日夢がついに鬼になろうとしたりと、色々イベントはあるのだが、四者四様の話が展開。しかも全部まとまってない。まるでこれ「仮面ライダー剣」そのまんまだよ。なんとも面白くない話に仕上がってしまった。それぞれのキャラの危機感を煽ろうとしてるのかも知れないけど、この作品に関して言えばそれは失敗としか思えない。色々出すべきものがあるのに、全部ちぐはぐ。
 いつもナチュラルな魅力を醸していたイブキまでもが深く悩んでいる。目の前の敵を放っておいて弟子のアキラのために…なんだかなあ。
<たちばなに忍び込んだ京介はトンネルをくぐる時に「暗いの怖いよ」と泣き叫ぶ…面童終太郎か?
 轟鬼が駆けつけるまでヨブコと戦っていたのは…やっぱり裁鬼。このキャラやられるためだけに出てるとしか思えない。
 戦いのさなかに全く別次元でザンキとトドロキ師弟の関係が出てくるが、戦いはどうなったのやら。>
第40話 迫るオロチ

  脚本:井上敏樹
  監督:金田 治
  アクション監督 : 宮崎 剛
 初めて響鬼の手伝いが出来たことに自身を持つ明日夢だが、鬼になりたいという京介の発言に心穏やかではなかった。そして京介につられてしまい、自らも鬼になると言ってしまう。一方、奇妙な森の中で謎の魔化魍と戦った轟鬼は森自体が動くことで後退を余儀なくされてしまう…
 敵はコダマ。童子と姫を連れず、自らの分身として森を作り出すことが出来る。この存在自体が“オロチ”を呼び寄せる前兆らしい。ヒビキのアームドセイバーも全く通用しない。
 少しずつ最終回に向けて伏線が張られ始めたかな?明日夢の周りも徐々に複雑になってきたし、敵もどんどん強くなってきている。これまで目の前の敵だった洋館の男と女もなんか焦ってるみたいだ。それにこれまで頑なに弟子を取ることを否定してきたヒビキも、色々と悩み始めているようだ。いつかはこう言う時がやってくるだろうと思っていたが、思っていた以上に話が重くなってる。
 ここのところ鬼になることに疑問を持ってきていたアキラがついに変身?顔が見えない所で次回に続くになってしまったけど。
<それにしても京介はますます嫌な奴の度合いが増してる。よくこんなキャラを作ったもんだな。>
第41話 目覚める師弟

  脚本:井上敏樹
  監督:金田 治
  アクション監督 : 宮崎 剛
 威吹鬼と響鬼のピンチに鬼に変身してコダマにぶつかっていくアキラ。だがあっけなくはじき飛ばされてしまう。何とかコダマから逃げ切ることが出来た響鬼達に、京介と明日夢は鬼になりたいと訴えかけるのだが…
 敵はコダマ。森の中に現れた魔化魍だが、実はその森自体がコダマだったという。そしてその森はたった一本の木からなるため、その木を破壊することによって消え去る。
 今回は明確に謎の男女が鬼との共闘を申し出るとか、明日夢と京介が響鬼の弟子になるとか、アキラが鬼になることをあきらめるとか、物語としてもターニングポイントに当たる訳だが…
 う〜〜ん。展開として、これは無いんじゃないか?改変後の物語でも、ターニングポイントにこんな話を持ってくるか?前半の面白さに引きずられてなんとか好意的に観ようと思ってたけど、こうなると、ちょっと考えてしまうな。
 天然さが魅力だったイブキまでもがどんどん悩んでいくことになるし、どうも展開が盛り上がると言うよりは暗くなっていくだけの感じがしてならない。
<「俺は逃げたりはしない」という京介。フォロー部分が全くないので、全部自分の自慢になってしまうのがなんとも。
 コダマに襲われる香須実は悲鳴を上げる訳だが、なんかとってつけたような悲鳴の声だな。>
VOL.11
<A> <楽>
第42話 猛る妖魔

  脚本:井上敏樹
  監督:坂本太郎
  アクション監督 : 宮崎 剛
 明日夢と京介を弟子にしたヒビキだったが、魔化魍の力は強力になっており、なかなか教育に専念できない。そんな時、吉野の会議から帰ってきたおやっさんは魔化魍が異常発生するオロチというカタストロフが起こる可能性が高いという。もしそれが起こってしまえば人類は魔化魍に食い尽くされてしまう…
 敵として前に出てきたウブメやオオアリ、ネコマタなどが登場するが、数が急激に増している。それとスーパー童子とスーパー姫も出てくる。洋館の男女は鬼と協力したいようなことを言っていたはずだが、その命令を受けてる二人が何故か鬼を襲う。
 明日夢と京介がヒビキの弟子となったが、具体的な修行はまだ先。ただ、ヒビキ自身は最終的に弟子を一人に絞るつもりらしい。これは後で何らかの意味合いを持つことになるんだろう。
 一応最終回に向けての伏線へと入ってきた感じで、今回はその最初の話と言うことなんだろう。登場人物それぞれに見せ場は用意されている。
<トドロキと日菜佳が結構良い関係に。こういう話があると大体はその本人が危機に陥るもんだが、オトロシに踏んづけられて本当にその通りとなった。分かりやすかったな。
 運動音痴の京介は鬼の修行というのはもっと精神的なものだと思っていたらしいが、鬼ってのはむしろ体力勝負のようで、割とあっけなく京介は音を上げてる。> 
第43話 変われぬ身

  脚本:井上敏樹
  監督:坂本太郎
  アクション監督 : 宮崎 剛
 オロチに飲み込まれ、巨大魔化魍のオトロシに踏みつけられてしまったトドロキは緊急手術に。命は取り留めたものの、二度と鬼には戻れないという残酷な宣告が下されるのだった。鬼になれないくらいなら殺してくれ。とまで言うトドロキは、ザンキは一つの決心を固める。一方ヒビキの弟子となった明日夢と京介だが、ヒビキから命じられたのは体力作りばかり。運動オンチの京介はこんな事をして何になるとヒビキに食ってかかる…
 オロチは続いており、今回はウワン、ヌリカベ、テング。そして最後に大量のバケガニ。それに合わせるようについにザンキが再び変身する。
 話は二つの方向に分かれ、一つは明日夢とヒビキによる鬼の訓練。ここではこれまで散々威張り散らしてきた京介のボロがついに出てきた。一方はザンキとトドロキ師弟の問題。トドロキはとうとう鬼に変身できなくなってしまったという。
 話はどんどん暗くなってきた。危機を前に盛り上がるというのとはちょっと違ってる。少なくともヒーローに「俺を殺してくれ」みたいな事を言わせないでほしいもんだ。
<トドロキが変身できなくなってしまった。この作品もいよいよ終わりに近くなったのだろうけど、話としてそれでちゃんと保つのか?
 なんだか最近ヒビキに対する携帯がかかってくるのは明日夢ばかりだ。>
第44話 秘める禁断

  脚本:井上敏樹
  監督:鈴村展弘
  アクション監督 : 宮崎 剛
 バケガニの群れに襲われている響鬼と威吹鬼を助けるため、止められている変身を行った斬鬼。見事にバケガニを一掃したが、その身体は既に…一方、自ら響鬼の弟子を止めたと宣言した京介の周りではきな臭い事件が続発していた。そんな京介を心配する明日夢だったが…
 今回オープニングでバケガニの群れが出てきたのと、バケネコやカッパ、ウワンなどが多数出てくるオロチ現象が続く。
 ザンキの話と京介の話が並行して語られていく。どちらもきつい物語だ。ザンキは明らかに死に向かっているし、トドロキはリハビリの辛さを日菜佳に打ち明ける。一方の京介はこれまで隠れていた悪行が明るみに出てきた。
 これも鬼の師匠と弟子の絆の深さを描こうとするからだろうと思われる。話は完全に迷走状態。
第45話 散華する斬鬼

  脚本:井上敏樹
  監督:鈴村展弘
  アクション監督 : 宮崎 剛
 禁止された変身を行い、更に多数のバケネコに襲われ、ついに散った斬鬼。しかし何故かトドロキが入院している病室にザンキは現れていたのだ。一方、ヒビキから与えられた陰陽環を京介に盗まれてしまった明日夢は、高校生の連続殺人があるいは京介によるものではないかと勘ぐるのだが…
 相変わらずオロチ現象は続いている。ここでは火を纏ったバケガニであるエングモが登場している。
 明日夢と京介の仲違いと和解。そして轟鬼の復活と斬鬼の死が描かれる。話は一応ラストに向けて盛り上げようとしているようなんだけど、燃える要素が無く、ただ淡々と死と友情めいたものが描かれている。困ったな。気持ちが盛り上がってこないよ。終わりになって行くに従い面白くなくなっていくのは困りもんだ。
 ザンキも返魂の術とか出されてもちょっと困る所なんだよな。死んでも生き返るみたいなのはやるべきじゃないんじゃないか?
<冒頭に変身が解かれたザンキはオールヌード。こういう描写は珍しいな。
 京介の元同級生はカシャと出会って友達を殺されているはずなのに、全く普通に歩いてる。この辺の描写は本当に必要だったんだろうか?>
VOL.12
<A> <楽>
第46話 極める鬼道

  脚本:井上敏樹
  監督:坂本太郎
  アクション監督 : 宮崎 剛
 初詣にでかけたたちばなの一同。何をお祈りしたのかと訊ねる明日夢に、ヒビキは逆に「死について考えたことがあるか?」と問いかける。死を覚悟すれば生きることの意味が分かるようになると語りかける。修行を続けるため、学校を辞めてしまう京介。一方パネルシアターに参加した明日夢は思い悩む。一方オロチ現象を浄めるためには太鼓の技が必要だが、おやっさんが指名したのはヒビキではなく、吉野宗家のイブキの方だった。
 相変わらずオロチが続いているが、他にスーパー童子とスーパー姫が出てくる。
 一応“死”をどう考えるか?と言うのがテーマのようだ。
 最終回近くなってるのに、なんかたるい物語が展開中。鬼の弟子を辞めたと思った京介が又復帰。で、相変わらずの性格。どうも困ったな。こりゃ。
 オロチ現象も続いてるけど、中心はイブキになってる。
<前回復帰したばかりで病み上がりのはずの轟鬼が今回一番活躍してるようだけど、ちょっと変じゃないかな?>
第47話 語る背中

  脚本:井上敏樹
  監督:坂本太郎
  アクション監督 : 宮崎 剛
 オロチを鎮めるため音撃棒を使ったイブキの特訓が始まった。しかし慣れない音撃棒に戦いは精彩を欠く。同時に二人の弟子を鍛えるヒビキは、自ら過酷な戦いに身を投じていくのだった。一方、その明日夢は自分の生き方を見つめ直していた。
 オロチは続いており、多くの魔化魍が登場。その中で変身もせずに魔化魍を倒していくヒビキの姿が印象深い。
 ラス前。脚本のまずさがモロに出てきた話で、キャラの中心が一定せずに話があっち飛んだりこっち飛んだり。盛り上がっているはずなのに、全然そう見えない。
 この状態では無理なんだけど、これまで登場してきた弾鬼やら裁鬼やら…関東には11人の鬼がいるはずだが、その設定もどうやら活かされないまま終わりそうだ。
<オロチ鎮めという最も重要な儀式をやってる時にサポートが二人しかいないなんて変じゃない?
 自分の意志を持ち始めたスーパー童子とスーパー姫だが、ここまで引っ張っておいて、洋館の男と女にあっけなく消滅させられてしまった。こいつらは一体何のために出てきたんだ?>
第48話 明日なる夢

  脚本:井上敏樹
  監督:坂本太郎
  アクション監督 : 宮崎 剛
 響鬼達がオロチを鎮めてから1年が経過した。鬼になることをあきらめ、ヒビキとも会わなくなった明日夢は大学の医学部進学に向け高校生活をエンジョイしていた。一方ヒビキは京介を弟子に相変わらず鬼退治に励んでいたのだが、ひょいと明日夢の前に姿を現す。お互いぎこちないまま別れた二人だったが…
 敵はサトリロクロクビ。サトリは犬の顔をした等身大の魔化魍で、京介の変身体と戦った後、威吹鬼と轟鬼に倒される。ロクロクビはサメとムカデを合成したような巨大な魔化魍。アームド響鬼により粉砕される。
 これで最終回なのだが、なんともすっきりしない終わり方だった。明日夢が結局人から強いられたのではなく自分の道として医者を目指すってのは良いと思うのだが、京介が鬼になれるってのが納得いかない。こいつ何のために出てきたのか最後まで分からなかった。あんまり良い奴にはならなかったし。
 結局洋館の男女って何の意味があったのか、全く分からないままだった。どうやらこいつも何者かに使役される存在だったと言うことだけが分かっただけ。
 それにオロチを鎮めたのも、結局は言葉で説明されただけ。
 シリーズ前半で培った物語の方向性がテコ入れを受けることで中途半端な方向に行ってしまったのが最大の問題か?全般的に言えば、やっぱり勿体ない作品だった。こ
<それにしても明日夢って何で助けを求めるのにどこにいるのか分からないヒビキに連絡付けようとするんだろうか?それ以前に子供を抱えた状態で大声を上げる方が良かったと思うのだが。
 アームドセイバーで叩ききられたロクロクビの衝撃波を受けて倒れる明日夢。身体の左側に衝撃波が走ったのに、次の瞬間右側に爆発が起きて左に吹っ飛んでる。
 最後に一つ疑問だけど、これまでの鬼は全て本名の頭文字が鬼の名称の頭文字になっていた。そうすると京介が鬼になったら「キ〜鬼」となるはず。「狂鬼」だと面白いね>