ハート・オブ・ウーマン |
2000ゴールデン・グローブ男優賞(ギブソン) |
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スーザン・カートソニス
ブルース・デイヴィ
ジーナ・マシューズ
ナンシー・マイヤーズ
マット・ウィリアムズ
カーメン・フィネストラ
スティーヴン・マケヴィティ
デヴィッド・マクファッゼン(製)
ジョシュ・ゴールドスミス
キャシー・ユスパ(脚) |
メル・ギブソン |
ヘレン・ハント |
マリサ・トメイ |
ローレン・ホリー |
ベット・ミドラー |
マーク・フォイアスタイン |
ヴァレリー・ペリン |
アラン・アルダ |
ローガン・ラーマン |
エリック・バルフォー |
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★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
3 |
4 |
3 |
4 |
4 |
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シカゴの広告代理店でやり手ディレクターのニック(ギブソン)はこれまでタバコや酒など“男っぽい”商品の広告で数々のヒットを飛ばしてきたが、ある日会社が女性向け商品に力を入れるという業務転換に従い、自分の上司に女性管理職のダーシー(ハント)がやって来くる。これまでの自分の仕事を散々けなされ、更に女性の気持ちが分からない男にろくな広告が作れるはずがない。と駄目出しされてしまう。だがそんな時、ニックはちょっとした事故がもとでなぜか周りの女性の考えが声として聞こえるようになってしまうのだった…
女流監督であるマイヤーズ監督による2本目の監督・製作作品。女性ならではの観点で、割と苦手なロマコメ作品もこの監督の作品はすんなり観ることが出来る。近年『ホリデイ』を投入し、オシャレな恋愛模様を描いてもいるが、本作はちょっぴりSF仕立て。
最初は単にギブソンが好きだから。というだけの理由で観たのだが、珍しくこれが又見事にすぱっとはまった。設定的に、相手の心を知る。というのは、メリットよりもデメリットの方が高い。というか、絶対に人間不信になるだろう。と、笑いの中にシニカルさが忍び込んでくる作りは巧い。
“男の中の男”を自負する男というのはどこか痛々しく、むしろどこかに弱いところ。女性的な部分を表すと、そこで魅力が増すものだが、本作のギブソン演じるニックは、その痛々しさが徐々に己を受け入れるところに至ったところで本当に魅力が増す。
男らしさを強調していたニックが女性の気持ちになりきろうとストッキングを穿こうと悪戦苦闘していたり、一旦女性の気持ちが分かってから、自分がどのように女性に思われていたかを知ってショックを受けたりしてる内、だんだんと相手のことを思うようになっていく過程がコミカルであっても、色々と考えさせられる部分。なるほどこれが女性監督らしさって奴か。私から観ても感心出来る。
ギブソンの魅力がたっぷりといっても、もちろんそれをサポートするハントの巧さも光る。この人は男社会の中でのし上がっていくために払った犠牲をしっかり受け止めつつ、女性であることを止めようとしない。ばりばりのキャリアウーマンっぽさのなかの仕草が結構色っぽかったり。あと、ピンポイントだがトメイが巧い。この人はハントの役所とは異なり、本当に女性女性しているのだが、心を知ると、どれだけ傷つきやすいのか、振られることに対し異様なまでに恐れる役所をそつなくこなしてる。この人はエキセントリックな役が結構似合うんだけど、その裏側を見せてくれた感じ。
結果として、登場人物全員が心の弱さを持っていて、殊更それを見せないように攻撃的になっているのだが、それを互いに知り合って受け入れ合う。それは結果として自分自身を受け入れることになる。
なんだかんだ言って全般的に巧みな作品だったと言える。
自分でもこれが好きなのは結構不思議ではあるんだけどね。 |
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