禁断の惑星
Forbidden Planet |
1956米アカデミー特殊効果賞 |
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ニコラス・ネイファック(製)
シリル・ヒューム(脚) |
ウォルター・ピジョン |
アン・フランシス |
レスリー・ニールセン |
ウォーレン・スティーヴンス |
ジャック・ケリー |
リチャード・アンダーソン |
アール・ホリマン |
ジョージ・ウォレス |
ボブ・ディックス |
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★★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
5 |
4 |
5 |
5 |
5 |
特撮事典 |
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西暦2200年、十数年前突然連絡を絶った植民惑星アルテア4の調査に向かうに到着したアダムス船長(ニールセン)率いる宇宙船C-57-Dクルー達。アルテア4に着陸した彼らは調査隊の生き残りであるモービアス博士に出会う。博士はこの惑星は危険であるとクルー達に警告するのだが…
MGMが手がけた初のSF大作で(イドの怪物が実体化した際、ライオンの形をしているのはこのためらしい)、最初のワイドスクリーンSF。シェイクスピアの「テンペスト」をベースに、潜在意識の根源的衝動をモンスターとした深い内容を持つ作品。MGMの肝煎りで作られただけあって、特撮作品としては初めてのカラー・ワイド作品となった。
これには正直ビックリした。1956年と言えば、ハリウッドではまだ原子怪獣とかの見た目から作り物としか思えない化け物が闊歩し続けていた時代だ(決して嫌いなわけではないが)。『スター・ウォーズ』(1977)に遡る事20年、『猿の惑星』(1968)や『2001年宇宙の旅』(1968)からしても10年以上も前。そんな時代にこれ程完成されたSF映画がハリウッドで作られていたとは。
確かにSFXと言うにはお粗末な部分はあるけど、アニメーション合成など、当時の技術でここまで出来たのか。と目を見張らせるし、その見せ方も巧い。アイディアだって、現代に決して劣っていない(小説だってSFが人間の精神世界まで入ってきたのはいくつかの例外はあるけど、70年代になってからだ)。それに魅力的なキャラクター達。ロビーという素晴らしいロボットの存在。もう脱帽もの、と言うより、これ程素晴らしい作品をこの時代に作る事が出来たハリウッドの力というものにほとほと感服する。確かに金をかけた割りに当時は受けなかったそうだけど、この作品はあまりにも早すぎたのだ。この作品を受けいれるまでに時代の方が遅れすぎていた。結局受けいれられたのは劇中の万能ロボット“ロビー”だけだった(ロビーのブリキのおもちゃは日本にもあり、マニア垂涎の的だそうだ)。
物語は後年のテレビシリーズ『スター・トレック』の先取りと言った感じで、内容やアイディアなど、むしろTV作品に与えた影響の方が大きかった事を窺わせる(事実『スター・トレック』でもこの設定を思わせる物語があるし、TVシリーズの『トワイライト・ゾーン』では本作のSFXを流用した作品もあるそうだ)。この時代に精神世界の話を出してしまうと言うのは卓越した脚本だったぞ。
それにしても勿体ない。この時代にこれだけの作品を作っておきながら、本格的な宇宙もののSFが作られるまで、10年を要したというのが…実に勿体ない。仮にこれが受けいれられていたら、ハリウッドの映画はもっと早く進歩を遂げていただろうに。結果として、『2001年宇宙の旅』(1968)以前に、本当の意味で大人の鑑賞に堪えることが出来るのは『地球の静止する日』(1951)と本作くらいだ。
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ビニメイツ/ 禁断の惑星: ロビー・ザ・ロボット |