| アプレンティス:ドナルド・トランプの創り方 |
| 2024米アカデミー主演男優賞(スタン)、助演男優賞(ストロング) |
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アリ・アッバシ
ルイス・ティスネ
ルース・トレイシー
ジュリアン・フォード
ヤコブ・ヤレク
ダニエル・ベーカーマン
リー・ブローダ
ニール・マティソン
アンディ・コーエン
ヌーア・アルファラー
グレッグ・デニー
ガブリエル・シャーマン
ニアフ・ネイガン
レヴィ・ウッドウォード
トーステン・シューマッハー
コンプトン・ロス
フィル・ハント
フレッド・ベネンソン
ジェームズ・シャニ
エイミー・ベアー(製)
ガブリエル・シャーマン(脚)
セバスチャン・スタン
ジェレミー・ストロング
マーティン・ドノヴァン
マリア・バカローヴァ |
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| ★★★ |
| 物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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3 |
3 |
5 |
3 |
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20代で父の会社の後継者として訓練中の青年実業家ドナルド・トランプ(スタン)は、父の不動産会社が人種差別をした事で政府に訴えられ、このままでは敗訴決定という窮地に陥っていた。そんな時、剛腕で知られる弁護士のロイ・コーン(ストロング)と出会い、彼に弁護を頼むことが出来た。お陰で窮地を脱し、そこから彼を師と仰いで勝利の定式を教えてもらい、それを応用してビジネスの世界で成功を手にしていく。
2017年から4年間大統領職にあり、そして2024年の選挙で返り咲いたドナルド・トランプ大統領。全米一の実業家とも言われるが、それまで全く政治の経験はなく、ただ凄まじいほどの人気を得ているトランプの姿勢は、とにかく攻めに攻めるというもの。一切の後退はなく、ひたすら攻め続けるのが信条だが、その信条は若き日に師事した人物ロイ・コーンから学んだというところに注目し、ドナルド・トランプとロイ・コーンの関係を、最初に出会った70年代から始め、1986年のコーンの死までの期間を描いた作品となる。
本作で出てくるロイ・コーンの信条は、ルール1「攻撃せよ」。ルール2「絶対に自らの非を認めるな」。ルール3「勝利を主張し続けろ」で、これこそまさにドナルド・トランプを象徴する攻めの姿勢そのものである。
ただし、このままでは本当にトランプはコーンのコピーに過ぎなくなるし、トランプ自身がそれは我慢できなかった。むしろそれをステップとして、その信条を更に推し進めていく。コーンは法曹界でその姿勢を進めていたが、トランプは不動産業界で、やがてそちら方面から政治を動かす方へと。トランプの方がより大きな範囲で、力もつけていく。
これはコーンの教えを推し進めていっただけではない。何故ならコーンは明確に勝利条件を持っていたのに対し、トランプの場合それを持たなかったから。弁護士であるコーンは弁護人の依頼を受け、それを全て完遂することで目的を果たすことが出来た。それに対し、トランプの目的は何かというと、全く見えてこない。ニューヨークに大きなビルを建てるのは目的の一つだったが、それで終わっていない。むしろ次々に大きな目標を作って、そのために努力している。つまりトランプにとっての目的は通過点に過ぎず、終わりというものがない。一方では俗っぽすぎる欲求を人々に押しつけもしている。
それを本作ではトランプの中にある闇のようなものとして考えているように思える。時折出てくる家族の描写は本当に殺伐としている。ドナルドの父は二人の息子に対して常に成果を求めていて、その時間がドナルドにとっては苦痛でしかなかった。そしてトランプタワーを建てたとき、祝福に訪れた父に勝ち誇ったように「お前を越えた」ような事を言っていたし、ラストでは病に倒れたロイ・コーンを屋敷に呼び、暖かく迎えるのだが、実はわかりやすく馬鹿にしていた。だから父であれ、コーンであれ、トランプにとってはそれは越えるべき存在であり、彼らを打ち倒し、ひれ伏させることを目的とする。だが、トランプにとって、それは通過点に過ぎない。敵を打ち倒したら、次の敵を求めていく。
そんな生き方しか出来ない人間として描いたのが本作の特徴となるだろう。
そしてそんなトランプがどこまで行くのか。これがフィクションで留まる限りは面白いのだが、実在する人間という最大の問題があって。
トランプ役を演じたスタンはMCUシリーズでのウィンターソルジャー役で知られるが、心に闇を抱える役が合うことも本作を観ると良く納得できる。 |
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