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チャン・チェ
Chang Cheh
張徹

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鑑賞本数 5 合計点 14.5 平均点 2.90
書籍
香港アクションスター交友録
2002 6'22 死去
2001
2000
1999
1998
1997
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982 少林拳対五遁忍術 監督・脚本
1981 仮面復讐拳 監督
1980 少林拳対武当拳 監督・脚本
1979
1978 五毒拳 監督・脚本
1977 南少林寺VS北少林寺 監督
1976 続・嵐を呼ぶドラゴン 監督
少林寺列伝 監督
1975 続・少林寺列伝 監督
1974
1973 英雄十三傑 監督
ブラッド・ブラザース 監督・脚本
1972 復讐ドラゴン 必殺拳 監督
水滸伝 監督
嵐を呼ぶドラゴン 監督
1971 上海ドラゴン英雄拳 パオ・シュエリーと共同監督
新・片腕必殺剣 監督
フィストバトル 監督
1970 ヴェンジェンス 報仇 監督
Xiao sha xing(The Little Killer) 監督
Shi san tai bao(The Heroic Ones) 監督
You xia er(The Wandering Swordsman) 監督
Ying wang(King Eagle) 監督
1969 続・片腕必殺剣 監督・脚本
Fei dao shou(The Flying Dagger) 監督・脚本
Da dao ge wang(THE SINGING THIEF) 監督
1968 大女侠 監督・脚本
1967 断腸剣 監督・脚本
大刺客 監督
片腕必殺剣 監督・脚本
1966 辺城三城 監督・脚本
Hu xia jian chou(Tiger Boy) 監督・脚本
1965 Hu die bei(The Butterfly Chalice) 監督・脚本
1957 Ye huo(Wild Fire) 監督・脚本
1949 Alishan feng yun(Happenings in Ali-shan) 監督・脚本
1923 2'10 杭州で誕生

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五毒拳 1978

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チャン・チェ
ニー・クァン(脚)
フィリップ・コク
スン・チェン
チアン・シェン
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 害虫の動きを真似、中国拳法の中で“邪拳”として嫌われていた五毒拳。その師範も高齢のために死に往こうとしていた。そんな彼はかつて五毒拳を一人ではなく、五人の弟子達にそれぞれムカデ拳、ヘビ拳、サソリ拳、ヤモリ拳、ガマ拳として別々に教えていた。だがその弟子の何人かが裏切り、民を苦しめているという。師匠は最後に取った六人目の弟子ヤンにすべての業を教え、悪行を行っている兄弟子を見つけて倒すように命じる。
 香港映画の中でもかつて主流となった武侠映画。その中でひときわ目立った存在だったのがチャン・チェ監督だった。
 武侠映画は元々京劇から派生したもので、初期の頃は役者も京劇出身者で固められ、映画も京劇がベースとなっていた。これはどういう事かというと、つまり
殺陣にかける時間は充分に時間を取って、相手に剣を当てないようにして演じるというもの。作り物とは言え剣を当てるのは確かに危険だが、斬られた表現は表情とショットの切り換え以外に表現が出来にくかったらしい。特に京劇出身者はプライドが高いので、人気役者になると監督も頭が上がらず、結果として映画は京劇の表現に縛られっぱなしとなった。具体的には先に書いたように、剣を決して相手には当てない。京劇で使われてない武器は映画では使用しない。などかなり多岐にわたる制約が設けられていた。それが一種の“伝統”となっていた。
 そんな“伝統”に風穴を開けたのがチャン・チェ監督だった。監督は、これまでの伝統的な京劇そのものの立ち回りを、その良い部分を残しつつも、
本当に当てる描写を入れたり、複数の立ち回りを入れたり(しかも多人数の方が勝ったり)、新しい武器を考案したりして、色々な意味で新機軸を投入した。初期の頃はその残酷性が嫌悪されたりもしたらしいが、新しい描写によって一般には大受け。武侠映画に一時代を作り上げた。
 そしてその後武侠映画に代わり香港映画の主流となった功夫映画でもチャン・チェ監督の演出は冴え渡り、その一種の頂点となったのが本作だと言われている。
 本作の特徴はなんと言っても、実際の流派には全く存在しない害虫をモティーフとした拳法を作り上げたことで、しかも演出によって実際にあり得ないような動きも作り上げてくれる。ここでは
ムカデ拳は高速で手数を出し、ヘビ拳は地を這いつつ、下からの攻撃。サソリ拳は蹴りをサソリの尾に見立てた攻撃、ヤモリ拳は壁を自在に歩く、そしてガマ拳は気功によってあらゆる攻撃を跳ね返す。と技も多岐にわたる。
 その辺の描写も面白いのだが、でも本作の面白さは設定部分よりも、むしろ物語の方。主人公は決まっているものの、他の兄弟子の顔も知らず、しかも一体誰が敵で誰が味方なのか全く分からない状態から物語が始まるため、誰が一体仲間になるのか、誰が敵になるのか、その緊張感が持続する。途中で全部分かってしまうのはちょっといただけないものの、少なくとも途中までは本当に楽しく観ることが出来たし、ふんだんにその特長を活かした描写が登場するため、先の読めない展開にわくわくさせてくれる。
 描写も残虐性がかなり高く、当時としてはかなり頑張ってることがよく分かる。耳に針突っ込むとか、鼻に棒突っ込んで脳みそをかき回すとか、かなり精神的にもくるシーンが目白押し。
 途中で物語の方向性が分かってしまうと後は話が流れるだけになってしまうのがちょっと残念だし、描写が残酷なだけしか売りがないこと、キャラクタ性が薄いことなど、色々とマイナス面も目に付くので、もう一歩点数を上げにくいのだけど。

 ところで本作は結構ファンが多いらしく
(何でもアメリカではキワモノ作品としてかなり人気があるのだとか)、近年TV特撮の「獣拳戦隊ゲキレンジャー」でも全く同じ拳法“五毒拳”が登場してたりする。
上海ドラゴン英雄拳 1971

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チェン・クアンタイ
チン・リー
デヴィッド・チャン
チアン・ナン
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 山東の田舎から一旗揚げようと上海にやってきたマー・ヨンチェン(チェン・クアンタイ)は、何をやっても上手く行かず、やさぐれかけていた。そんな時、上海の大物のひとり、タン・スー(デビッド・チャン)の店で、タンに敵対する斧頭党を追い払ったことで、その腕っ節の強さと度胸をタンに見いだされる。マーは斧頭党が仕切る店に乗り込んでは、そこで大立ち回りを演じ、次々と店を奪っていく。そのうちにマーの名前は知れ渡るようになっていき、やがて独立して一家を構えるようになっていった。だが度重なる襲撃は、斧頭党大ボスのヤン(チアン・ナン)の逆鱗に触れ…
 実在した上海の英雄として知られる馬永貞。
『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』の黄飛鴻と並び、結構映画にされ易い人物だが、黄飛鴻のような道徳的な武侠家ではなく、馬は純粋なやくざものとして描かれることの方が多いのが特徴。そう言う意味では過激な暴力シーンを売りにするチャン・チェ監督作品にはぴったりの素材。更に、ここでは主人公は武器を持たず、肉体一つで敵の群れに突っ込み、そこで功夫業を披露して敵をなぎ倒すという快感が得られる。
 この前に『片腕必殺剣』で武侠映画に新風を吹き込んだチャン・チェ監督だが、本作においてその立ち回りの格好良さにより、これまでの武侠映画一辺倒の香港映画に功夫映画を導入することに成功した。実際この作品の大ヒットが契機となり、ブルース・リーもジャッキー・チェンも映画界に登場したのだから、非常に重要な位置づけにある作品だとは言える(細かいことだが、敵に斧を持たせる功夫映画がやたらと多いのは、本作に敬意を表しての事とも言われてる)。
 物語そのものは、腕っ節が強いだけの乱暴者が暴れてる内にストーリーが流れていくという他愛ないもので、物語としてはかなり稚拙なものだが、それを越えてアクションの派手さが目立つ。血しぶきが舞い、苦しみにうめく敵の姿など、剣で斬られてすぐに退場するのではない生々しさが本作の信条だ。
 それは主人公にとっても同じで、マーは敵によってどんどん傷つけられ、どんどん痛ましい姿に変えられていく。しかし、それでも戦い続け、最後は相打ちでも敵の首領を倒す!男臭さ満点で、快感度は非常に高い作品となってる。なんせラストではどてっ腹に斧ぶっ刺したまま立ち回りまでしてるんだから…トム・ヤム・クン!(2005)はこれのパクリかな?
 アラはとてもたくさんある作品だけど、これが功夫映画の原点。という思いを持って観るなら、とても感慨深い作品になるので、功夫映画ファンだったら必見。
新・片腕必殺剣 1971

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ニー・クァン(脚)
デヴィッド・チャン
ティ・ロン
クー・フェン
リー・チン
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
続・片腕必殺剣 1969

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ジミー・ウォング
チァオ・チァオ
ティエン・ファンロン
ワン・ピン
クー・フェン
ラウ・カーリョン
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
大女侠 1968

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チャン・チェ
ニー・クァン(脚)
ジミー・ウォング
チェン・ペイペイ
ロー・リエ
ラウ・カーリョン
ウー・マ
デヴィッド・チャン
クー・フェン
物語 人物 演出 設定 思い入れ
片腕必殺剣 1967

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チャン・チェ
ニー・クァン(脚)
ジミー・ウォング
チァオ・チァオ
ヤン・チーチン
ティエン・フォン
★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 幼少の頃より金刀派の師匠チー(ティエン・ファン)の元で剣術の修行に明け暮れるファン・カン(ウオング)。その実力は他の弟子に抜きんでていたが、真面目すぎる性格が災いして他の弟子達から疎まれてもいた。しかもチーの娘は求愛が拒まれたことを恨みに思い、弟子達をけしかけてファンの利き腕を切り落としてしまうのだった。瀕死の状態の彼を救ったのは一人で農業を営む娘シアオマン(チァオ・チァオ)。彼女の献身的な看病で一命を取り留めたファンはシアオマンと共に農業に生きることを決意するのだが…
 香港映画に一大ムーブメントを起こした
チャン・チェ監督の名前を上げ、その代表作と呼ばれる作品。本作はそれまでの武侠映画にはなかった新機軸を取り入れ、香港映画に新風を吹き込んだ。
 香港ではそれまでも数多くの武侠映画が作られてきたが、あくまで京劇の延長。切った張ったも基本は見立てによってなされていた。それを一気に変える事になったのがチャン・チェ監督であり、就中本作こそがその嚆矢となった。勿論本物でないのは当然ながら、劇中で血が流れ、手を切り落とすなどと言う残酷な描写を取り入れることで、それまでの見立て中心の武侠作品とは異なる生々しさを映画に導入することが出来たことと、既存のものとは異なる奇想天外な武器を映画に次々と投入するきっかけともなった(ここでは相手の刀をくわえ込むハサミ状の武器が登場するが、これはこの映画のために考案されたもの)。そういう意味では香港映画の一時代を作り上げた作品とも言えよう。
 物語そのものはそれほど複雑なものではなく、昔から良くあるパターンに則った作品なのだが
(割とこういう縛りを入れて達人を演出する方法は香港映画では昔からあるのだとか。ウォング自身がインタビューで言っていた)、盛り上げ方が分かってる分、どこが見所なのか明確だし、やっぱウオングの存在感がかなり大きい。まだ少年の面影を残しているものの、まさしく「男前」と言いたくなる存在感を示している。片手であるにもかかわらず物語後半になると強くなりすぎるのだが、そこにいたってウオングのふてぶてしい表情とよく合ってる。あの表情って、しがらみを全て捨ててしまったが故に、何物にも捕らわれない自由意志で戦っているという雰囲気を上手く演出出来ていたのではないかな。特に後半になるとウオングは無口になってるが、表情で全てを語っていた気にさせられた

 あと細かいところだけど、本作で中国の凄さというものを再認識したのが一箇所。既に老境に入っているライバル同士が対峙するシーンで「あれから十数年か。ますます強くなってるだろう」という言葉がすらりと出てくるところ。西洋文化では絶対に出てこない台詞が当たり前に出てくる。これが香港映画の醍醐味の一つだろう。

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