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イ・チャンドン
Lee Chang-dong

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鑑賞本数 合計点 平均点
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
書籍

_(書籍)

_(書籍)
2018 バーニング 監督・脚本
2017
2016
2015 わたしたち 企画
フィッシュマンの涙 製作
2014 私の少女 製作
2013
2012
2011
2010 ポエトリー アグネスの詩 監督・脚本
2009 冬の小鳥 製作
2008
2007 シークレット・サンシャイン 監督・製作・脚本
情事 セカンド・ラブ 製作
2006
2005
2004
2003
2002 オアシス 監督・脚本
2001
2000
1999 ペパーミント・キャンディー 監督・原作・脚本
1998
1997 グリーンフィッシュ 監督・脚本
1996
1995
1994
1993
1992
1991
1990
1989
1988
1987
1986
1985
1984
1983
1982
1981
1980
1979
1978
1977
1976
1975
1974
1973
1972
1971
1970
1969
1968
1967
1966
1965
1964
1963
1962
1961
1960
1959
1958
1957
1956
1955
1954 4'1 誕生

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バーニング
2018カンヌ国際映画祭パルム・ドール
2018全米批評家協会助演男優賞(ユァン)
2018LA批評家協会外国映画賞、助演男優賞(ユァン)
2018
インディペンデント・スピリット外国映画賞
2018
放送映画批評家協会外国語映画賞
<A> <楽>
イ・チャンドン
オ・チョンミ(脚)
ユ・アイン
スティーヴン・ユァン
チョン・ジョンソ
チェ・スンホ
ムン・ソングン
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 今は刑務所にいる父親の作った借金を返すために黙々とアルバイトにいそしむ青年イ・ジョンス(ユ・アイン)は、父親のお陰で友だちも去り、遊ぶことも出来ず鬱々とした日々を過ごしていた。そんな時、たまたま行ったカーニバルでシン・ヘミ(チョン・ジョンソ)という変わった女性と知り合う。変わり者同士意気投合した二人は付き合い始めるのだが、ある日突然シンは海外ボランティアに行くと宣言してイの元を去ってしまう。それからしばらくして、帰国したシンは、大金持ちの青年ベン(ユァン)と一緒だった。三人で色々遊ぶようになったのだが、ある日ベンはイに向かって、趣味は納屋を焼くことだと言い始める。更に今度はイの家の近くの納屋を焼く予定だというのだが…

 村上春樹の初期の短編「納屋を焼く」の映画化作品。舞台を現代の韓国にとって、原作の雰囲気とはだいぶ変わった印象のある作品になった。
 最初に村上春樹についての思い出を語ると、ノルウェイの森(2010)にも少し書いた記憶があるが、私も往年の「ノルウェイの森」ブームで読み始めたもので、いわゆる「にわかファン」である。ただ、割としつこい性格もしてるため、その後数年にわたって当時出版されていた村上春樹作品はほとんどすべて読み切った。もちろん原作の「納屋を焼く」もその時に読んでいる。
 ただ、今思うと、原作にはこれと言った印象はなかった。せいぜい著者らしいというか、軽いサイコパスを扱った作品かな?というくらい。人死に(?)は出るものの、あくまで短編のものだし、読み飛ばしていた。

 しかしそれが映像化したら、それまで抱いていた私の印象が一気に変えられてしまった
 現代韓国における就職の難しさは聞いていたが、その現実が目の前にある。本来仕事に希望を持つべき20代がまるで仕事に誇りを持てない現状を目の当たりにさせられる。貧乏暮らしは過去の作品にもあるが、本作に描かれる世界は若者に未来を閉ざすもので、絶望的な未来ばかりが目に付いてしまう。持つものと持たざるものとの格差は決定的。そしてなにより、これは日本の若者の姿に重なって見えるので、なんとも後味が悪い。
 そして出口の見えない状況の中、それでも自然は美しい。中盤、田舎で三人が観ている夕焼けの美しいこと。逆にどん詰まりだからこそ、その美しさが強調されているかのようだった。

 そして謎の解明の部分がなんともショッキング。これまでの伏線をきちんと回収しつつ、驚くべき真実を突きつけてくる。
 これが分かった時に初めてベンとシンの関係が見えてくる。単なる謎の解明ではなく、この二人の間にそれまであった緊張関係の理由が分かってくるから。
 単純に見るならば、ベンはシンを殺害しただけの関係なのだが、シンはその事をあらかじめ知っていたのだろうか?知っていたとすれば、何故ベンと付き合い続けたのか?
 これに関しては劇中では一切言及がないが、それまでの描写によって推測できるのは、ベンとシンは一種の共犯関係にあったと見ることが出来る。共犯と言うより、契約と言うべきかもしれないが、シンはベンが殺人鬼である事をあらかじめ知った上で自分を殺してくれる人としてベンを指名しており、ベンはその提案に乗って、彼女の願い通り殺害したということになる。ベンにとって、シンは「納屋を焼く」行為を許してくれる人であり、シンにとっては、ベンは自殺を手伝ってくれる人という関係になる。
 この二人の関係はいわゆるウィン・ウィンの関係で完結しているのだが、そこにイを間に挟む意味は何か。
 意味はある
 シンにとっては、これから消える自分自身が確かに生きていたという証がイの存在だったから。だからこそ、必要以上にイに絡み、自分を印象づけようとする。それが嫉妬心であったとしても、憎む心であったとしても構わないのだ。自分が生きていた事をはっきり知ってくれる人がいるならば。
 一方ベンは、自ら行っている行為を黙っていることが出来なかった。誰かに自分のやっていることを知ってほしいが、それを言うと犯罪者になってしまう。だからこそ、ターゲットをイに定め、「納屋を焼く」という言葉でそれを語る。それは犯罪自慢だったのかもしれないし、言わずにはいられない衝動だったのかもしれない。あるいは誰かに断罪してほしいという願いも込められていたのかもしれない。

 最後にイがベンに対して行ったことは、ベンにとってはある種の救いだったのかもしれないのだ。

 …という事がぶわっと頭に入ってきて、ほんとにこれ凄い作品だと思えた。
 暗喩を含めて観ている側に考えさせるところも大きいが、大変見事な作品である。
製作年 2018
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
納屋を焼く <A> <楽>
村上春樹 (検索) <A> <楽>
歴史地域
関連
allcinema Walker ぴあ IMDb CinemaScape
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ペパーミント・キャンディー
<A> <楽>
ミヨン・ケナム
上田信(製)
イ・チャンドン(脚)
ソル・ギョング
キム・ヨジン
ムン・ソリ
パク・セボム
ソ・ジョン
キム・ギョンイク
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
製作年 1999
製作会社
ジャンル
売り上げ
原作
歴史地域
関連
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