オオカミの家
La casa lobo |
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| ★★★★ |
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人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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美しい山に囲まれたチリ南部に助け合って生きているドイツ人集落があった。動物が大好きな少女マリアは、食用にされることを知ったブタを逃すのだが、大人達によって激しく怒られてしまう。罰から逃げたマリアは森の奥に一軒家を発見し、そこに逃げ込むのだが、そこには二匹の子豚がいた。その子豚の面倒を看るようになり、一人と二匹はそれなりに楽しい生活を始めた。だがやがて森の奥から不気味な声が聞こえはじめ、徐々にそれは近づいてくるように聞こえてくる。その声を聞いたブタは少しずつおかしな行動を取るようになっていく。
チリ在住の二人の映像作家による不思議な映画。世界的に見ても映像作家としてはかなり異端的で、比するとすれば、ヤン・シュヴァンクマイエルくらいだろう。少なくともこんなのを作って成功するのは極めて少ない。このようなシュールなアニメーション作家が生き残れる映画界はまだまだ捨てたもんじゃない。
しかしヤン・シュヴァンクマイエルと似ているとはいえ、大きく違うのは、根本的な作り方。本作で使われているのはミニチュアではなく、本当に人間と同じ大きさで作られている。そのため、自然な形で同一画面に人とオブジェクトが置かれていても違和感がないし、怖さが増す。それこそシュヴァンクマイエルの『オテサーネク 妄想の子供』からの引用っぽさがあるものの、それを越えようと頑張っているのが分かる。
そして本作で重要なのは、チリという国で作られたという事。この作品はピノチェト軍事政権下に実在したコミューン“コロニア・ディグニダ”がモチーフであり、そのコミューンそのものの暗喩とも、あるいはそこから逃げ出した人間の向かった先とも言われているが、SFに皮肉を込めるのは作家としての矜持が感じられる。
そう考えると、スペイン内戦を暗喩として用いたパンズ・ラビリンス(2006)や永遠のこどもたち(2007)とも比して考える事が出来るし、これを機にチリのことを調べてみたくもなった。
暗喩ばかりで分かりにくい作品ではあるものの、実に味がある作品でもある。 |
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