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2011 | マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 監督 | |
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2008 | マンマ・ミーア! 監督 | |
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1957 | 6'17 誕生 |
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 2011 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2011米アカデミー主演女優賞(ストリープ)、メイクアップ賞 2011英アカデミー主演女優賞(ストリープ)、メイクアップ&ヘアー賞、助演男優賞(ブロードベント)、脚本賞 2011NY批評家協会女優賞(ストリープ) 2011ゴールデン・グローブ女優賞(ストリープ) 2011放送映画批評家協会主演女優賞(ストリープ)、メイクアップ賞 2011アメリカ映画俳優組合主演女優賞(ストリープ) 2011タイム女性俳優1位(ストリープ) |
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“鉄の女”の異名を持つ、歴代唯一の英国首相マーガレット・サッチャー(ストリープ)。首相を引退して後、アパートでゆったりと過ごし、時に公式行事に出たり、自伝を買いたりして過ごしていたが、そんな彼女も前に度々亡き夫デニス(ブロードベント)の幻影が現れる。そんんあ幻影の夫との間で語られる会話を通し、これまでの半生を振り返っていくマーガレット… 既にアカデミーの常連であり、ノミネート数でだったら、世界一を誇る名女優メリル・ストリープに3つ目のオスカー(ノミネートはなんと17回目)をもたらした作品。ストリープはかなり好きな女優だし、歴史も好き。当然のごとくに観に行ってきた。 全般的に言ってこの作品、映画としての作りは間違ってる。でもストリープに賞を取らせるためには必要十分な説得力を持った作品でもある。 本作の間違った点。それは“鉄の女”を実は家庭的な一人の女性として描いてしまったことと言える。毀誉褒貶の激しい人物を、その業績を除いて家庭生活に特化させて描いてしまっては、折角の素材を活かすことができない。例えば本作ではフォークランド紛争における果断な決断を下すシーンがあるのだが、そこで“何のためにこの決断を下した”という部分が抜け落ち、単なるプライドを守るためにしか見せられてなかった。しかもそのことを死んだとは言え、夫の前で語らせるなど、少なくとも政治を主体に考えているのなら、やってはいけないこと。それを語らせずに、それでも意味があったことを演出で見せるくらいの気概が必要だったのではないか?そう言う部分を敢えて避けてしまい、単純に性差別の大きい国政の中、女性としてがんばってました。という部分だけクローズアップさせられても面白味に欠けるし、もったいないと思う。 単純に言うなら、この作品にはメッセージ性が全く見られない。これだけ危険な題材を使う以上、観てる側に伝わるようなメッセージがほしい。本来出して然るべきものを排除しては欲求不満になってしまう。 しかし一方ではストリープという女優を観るためと割り切ってしまうなら、本作は実にすばらしい作りでもある。ストリープはサッチャーを演じるに当たり、単に彼女の立ち居振る舞いを学んだだけではなく、ほとんど人前に姿を現さなくなった時代の老人を見事に演じきった。これ観てると、ストリープが本当に老人になってしまったとさえ感じてしまうほど。これまで持っている彼女のキャリアを全部ぶつけてくれたとさえ思うほど。特に幻覚を観て、軽く認知症を患っている演技なんかは名人芸的(アカデミーにはアル中や精神障害を負った人間を演じた人はオスカーを取りやすいというジンクスがあるが、今回もそれはしっかり受け継がれたようだ)。 一個人の女性政治家の一生を描くという意味であれば本作は十分におもしろいのも事実。実際政治のことなどほとんど関心がない連れが「面白かった」と言ってるくらいだから。 でも、それで終わらせるにはサッチャーという人物はユニークすぎたんだよな。そのユニークさを活かしきれなかった脚本には残念だ。 以降は蛇足。 サッチャーは1979年から1990年まで10年余に渡りイギリスの首相を務めた、現時点では唯一の英国女性首相だが、彼女の業績は目を見張るものがある。第二次世界大戦以来、70年代当時見事な経済復興を成し遂げた日本やドイツ、大量消費時代全盛で国力の強さを見せつけたアメリカとは異なり、イギリスは経済的に立ち直りが遅れていた。それというのも、大戦前持っていた植民地の大半を放棄せざるを得なくなり、国内での最大の産業は斜陽に向かう石炭産業だったし、それを潰そうにも労働組合の力が強すぎ、政府すら手出しをできなかった。実際「ストライキをする」と言われると政府の方が折れることの方が多かった。“大国”と言われたプライドだけはあっても、経済はジリ貧状態。 そんな中で首相となったサッチャーは“小さな政府”を掲げ、これまでのイギリスが自国に持っていた価値観を一旦リセットさせてしまう。具体的には政府の権限を強くさせ、福祉政策を転換させて政府主導で経済の建て直しをはかった。おかげで失業者は倍増したものの(この辺の事情が『フル・モンティ』や『リトル・ダンサー』(2000)で現される状況)、インフレーションを止めることができた。国民には犠牲を強いたものの、国としてなんとか体面を整えることができた。この強引さと、大衆に迎合しない姿勢こそが“鉄の女”を形作ったと言って良い。 また、フォークランド紛争に関しては国際法無視でフォークランドに上陸したアルゼンチン軍を断固とした態度で避難し、軍隊を派遣してアルゼンチン軍を撃退した(これによってますます国の経済は落ち込んだが、国民の支持は急上昇した)。 様々な意味で強いイギリスを作り上げた人だった。この辺のエピソードは一応全部映画にも入ってはいるのだが、それを理解させるように作ってなかったのが残念。 |
マンマ・ミーア! 2008 | |||||||||||||||||||||||
2008英アカデミー作曲賞、新人賞(クレイマー)、英国作品賞 2008ゴールデン・グローブ作品賞、女優賞(ストリープ) 2008ゴールデン・ラズベリー最低助演男優賞(ブロスナン) 2009MTVムービー・アワードブレイクスルー演技賞(セイフライド) 2008全米年間興行成績第13位 |
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エーゲ海に浮かぶ美しいリゾート地、カロカイリ島では、島一軒のホテルの娘ソフィ(セイフライド)と恋人スカイとの結婚式を明日に控えていた。だがソフィには一つの悩みがあった。実は母ドナ(ストリープ)と二人暮らしだったソフィは父親のことを何も知らないのだ。そこで母の日記を読んだソフィはそこに描かれている三人の男性の誰かが父親であると確信し、その三人をドナの名前で島に呼んだ。そんなことを何も知らず、それぞれの世界でそれなりの成功を収めているサム(ブロスナン)、ハリー(ファース)、ビル(スカルスガルド)はリゾート気分でカロカイリ島にやってくる… 近年しばしば作られるようになった、オールディーズナンバーを散りばめた舞台劇のミュージカル作の映画化。 このオールディーズというのは結構曲者で、使用されているナンバーを知っている人だったらはまれても、知らない人は何が何だか?という作品も多い。言ってしまえば本作はまさしくそう言った作品だ。物語などはほとんど付け加えに過ぎず、全編を覆うミュージカルパートを楽しめればいい。という割り切りによって作られている。とにかく明るく、ノリが良く。それだけの作品。 しかも本作では全編ABBAのナンバーを使うという、とてもニッチな作りをしてる。これはABBAというグループを知っているかどうかで評価は極端に分かれるはず。 ちなみに私はどうかというと… まさしくストライクど真ん中だったりするのが始末が悪い。 ABBAとは男女二人ずつのスウェーデンのユニットで、1970年代の後半から知名度がぐいぐい上がり、80年代中頃まで世界的にポップス界ではよく知られた存在。ところが人気絶頂の1983年に突然解散。以降は個々の活動に移っていくが、グループの魅力はやはり1980年前後に頂点だっただろう。 そしてその1980年前後というのは、私が丁度ポップスの楽しさに目覚めて“レコード”を買い始めた頃と適合。ベスト盤のレコード2枚は今もおそらくは実家で眠っているだろう。ABBAの楽曲は、私のポップス聴き始めで、最も耳に馴染んだ曲であり、あまりにも何度も聞いたため、曲が始まると口ずさめるほど(後にCDで出たベスト盤のABBA GOLDは世界で最も売れたCDの一つだそうで、現在私も保有してる)。 こんな私だから、冷静にこの映画を語る事は不可能。何せ思い入れが強すぎて、ミュージカルになった途端、映画館の中で一緒に歌い出してしまう始末だから(周囲に人がいなくて本当に良かった)。踊ってるのがもはや60近いメリル・ストリープだろうが、そんなこと関係なく気分的には乗ってしまった。思い入れだけで最高点あげたいほど(流石にこの物語で最高点上げてしまったら自分を許せないが)。いや、そもそもABBAなんてもう忘れたつもりでいたんだけど、いざ観てみたら、すっかり画面の中に引き込まれてしまった。 まあ、強いて言えば、なんでよりによってストリープなの?一夏のアバンチュールの結果子供が出来たとしても、年齢的には??どうしてもそこだけはツッコミいれないと。これだったらキッドマンを使ってた方が良くない?キッドマンなら歌唱力あるし、踊りも出来る人だからなあ(たまたま隣のハコで『オーストラリア』やってたからそう思っただけだけど)。 |