ポセイドン・アドベンチャー 1972 |
1972米アカデミー歌曲賞、特別業績賞(アボット)、助演女優賞(ウィンターズ)、撮影賞、作曲賞、美術監督・装置賞、衣装デザイン賞、音響賞、編集賞
1972英アカデミー主演男優賞(ハックマン)、助演女優賞(ウィンタース)
1972ゴールデン・グローブ助演女優賞(ウィンターズ) |
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スターリング・シリファント
ウェンデル・メイズ(脚) |
ジーン・ハックマン |
アーネスト・ボーグナイン |
レッド・バトンズ |
キャロル・リンレー |
ロディ・マクドウォール |
シェリー・ウィンタース |
パメラ・スー・マーティン |
ステラ・スティーヴンス |
ジャック・アルバートソン |
レスリー・ニールセン |
アーサー・オコンネル |
エリック・シェア |
フレッド・サドフ |
シーラ・アレン |
ジャン・アーヴァン |
バイロン・ウェブスター |
ジョン・クロフォード |
ボブ・ヘイスティングス |
エリック・L・ネルソン |
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★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
4 |
5 |
5 |
3 |
4 |
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大晦日の夜、パーティで賑わう豪華客船ポセイドン号を大津波が襲った転覆した船の中で生き延びた人々は生存を賭け、船内からの脱出に挑む。
1970年代前半に大流行したパニック映画ブームの火付け役にして最高傑作!。ニューシネマばやりのアメリカの1973年興行成績は見事にトップ。どれだけ国民がこの作品を待ち望んでいたかがよく分かる。
とにかく豪華そのものと言った内容で、オールスター・キャストによるストーリー展開も見応え充分。特にジーン=ハックマンの力強さは良いけど(特にラストは)、脇を固める面々も重要。ウィンターズの力強さ…というか観ていて心臓に悪いアクション。何をやるにしても不満たらたらのボーグナインが最後に見せる決断はストーリー的にも実に上手く作られている。天地が逆さまという状況の中で展開する人間ドラマも秀逸。何よりもこのセットを実際に作ってしまうと言う豪毅さが凄い(そのセットがあまりにも勿体ないとのことで、後年になって本作のプロデューサーだったアーウィン・アレン自身がメガフォンを取った『ポセイドン・アドベンチャー2』(1979)という駄作が作られている)。
それにしてもハックマン、若いねえ。彼には渋めの役が多いが、こういう溌剌とした役も上手い事がよく分かる。あれだけパワフルなヒーロー役なのに、最後に死んでしまうとは意外な展開ながら、それさえもしっかりストーリーに組み込まれているのが見事だった。牧師と言うにはちょっと型破りすぎる気もしたけどね。助演女優賞にノミネートされたウィンターズも、役作りのために20キロ以上も増量したと言い、その演技も素晴らしい。
ところでこれが作られた時代を見ると、まさに映画界におけるカウンター・カルチャーとも言えるアメリカン・ニュー・シネマが全盛の時代。スペクタクル作品はあまり顧みられることはなかったはず(いくら『ゴッドファーザー』(1972)という対抗馬があったとしてもこれだけの作品でオスカーを逃しまくったのはそれが理由だろう)が、そういう逆風の中でもこう言う作品が作られていたのだな。
これこそが変な現実主義に囚われず、映画ならではのリアリティを追求していくその姿、ハリウッドならではの、ある意味正しい映画の作り方と言えるだろう。
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