| ボルテスV レガシー |
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ダーリング・プリドトレス
ティージェイ・デル・ロザリオ
白倉伸一郎
シニアエグゼクティブプロデューサー
ヘレン・ローズ・セセ
ラーソン・チャン(製)
スゼッテ・ドクトレーロ(脚)
ミゲル・タンフェリックス
ラドソン・フローレス
マット・ロザノ
ラファエル・ランディコ
イザベル・オルテガ
アルバート・マルティネス
ガビー・エイゲンマン
カーラ・アベラナ
マーティン・デル・ロザリオ
リーゼル・ロペス
カルロ・ゴンザレス
エピ・クウィゾン |
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| ★★★ |
| 物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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ある日突如宇宙から銀河の多くの星々を支配するボアザン帝国が地球にやってきた。司令官プリンス・ザルドス(ロペス)率いる先見軍は小型宇宙船を多数飛ばして各国の空を司会すると共に、巨大ロボットのビースト・ファイターを繰り出して都市部の破壊を始めた。圧倒的なボアザン帝国軍に地球の軍隊はほとんど敵わず、このままでは地球はあっけなく支配されるかと思われたのだが、実は秘密裏にビースト・ファイターと戦えるロボット兵器が完成していた。アームストロング三兄弟をはじめとする五人の聖栄チームはそのロボット、ボルテスVを起動させる。
1977年に東映アニメーションで作られたロボットアニメ「超電磁マシーン ボルテスV」。これは1976年の「超電磁ロボ コン・バトラーV」に続く作品で、東映の名物アニメ監督長浜忠夫が中心人になって数年間作られた作品で、今では長浜ロマンと知られる一作である。日本では知名度において「コン・バトラーV」に劣るのだが、海外では圧倒的な人気を持つ作品である。特にフィリピンではとんでもない人気を誇ったという。資料によれば、なんと視聴率58%というとんでもない数字が出ている。
これには理由があった。フィリピンは当時マルコス大統領による独裁政治が行われており、それに対して反抗が出来ない状態にあったのだが、その中で独裁者に対する反抗を描いた「ボルテスV」は、大衆自らの代弁者とも受け取られていった。勿論作品自体は子どものものだが、敏感な子どもだからこそ、今の国がおかしいという事をアニメを通して学ぶと言うことがおこっていく。結果として、作られた当時の意図からだいぶ離れ、勝手に話が大きくなってしまった。フィリピンではこれが民主化の願いを背負うことになった。
創作物には時としてそういう力があり、その典型的例がこの「ボルテスV」だったのだが、それを実写でテレビシリーズ化するまでとは驚き。
結果として日本ではなくフィリピンで実写化された作品がやってきた。
元はテレビ版であり、その内に放映されることは分かっていたのだが、それでも映画館の大画面で観てみたいという気持ちは強くて劇場で拝見してきた。
ざっくりした感想を言えば、映画として観るにはきついが、思い入れがあれば楽しめる。と言った感じだろう。
本作はテレビ版の二話分を再編集して入れている。そのため前半と後半で二つの物語が展開するのだが、前半はボルテスVの活躍を中心にしており、後半はアームストロング三兄弟と母の物語になっているため、全体的な俯瞰に欠け、物語としても中途半端な印象。ストーリーも散漫で観ているとかなり飽きてくる。
これこそテレビ再編集の弊害というものだろう。5〜6話を凝縮して入れて再編集していればだいぶ変わったと思うのだが、2話分をそのまま流してるだけだから致し方ない。
ただ、本作で色々考えることもあった。
本作を作っている監督は、本作を完成度高く作る事を最初から放棄しているようだった。監督の考える本作は、アニメ版の完全再現で、アニメ版と同じ演出で作り上げることが最大の命題だったようだ。
正直、この当時のアニメの完成度は現代の目からするとだいぶ稚拙である。いや、そうではなく、まだノウハウを蓄積する前だったと言うべきか。その分演出がややゆったりしている。そのゆったりした演出をそのまま蘇らせた結果、なんだか妙に古くさい作品に仕上がってしまった。
特に後半なのだが、オリジナル版の演出家である長浜忠夫演出の癖がそのまま出てしまっている。
長浜演出は際だった特徴がある。それは僅か数秒の出来事を10数分かけて演出するというもの。間に回想シーンを入れたり、思いを告白させたりして、台詞を使ったり、顔のアップで止め絵を多用したりして、とにかく時間を稼いで、一瞬を長引かせるのを得意としている監督として知られていた。。
長浜忠夫が確立したその演出はアニメだから可能なもので、実写でそれをやると、それは数秒の出来事ではなく、リアルタイムで時間が流れることになってしまう。その結果、お母さんに対してボアザン帝国はずっと攻撃を行わないし、目の前にいるはずの敵に対して飛行機は現場に着くまでに五分くらいかかる(走ってもそれくらいで着くだろう)。お陰で相当間延びした演出になってしまうのだが、逆にアニメの演出をそのまま実写に使うとこうなるのか!という新鮮な驚きも与えてくれた。その意味では逆に貴重な体験を与えてくれる作品とも思える。 |
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