蝿男の呪い
Curse of the Fly |
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ハリー・スポルディング(脚)
キャロル・グレイ
ジョージ・ベイカー
ブライアン・ドンレヴィ
ジェレミー・ウィルキンス
イヴェット・リース
バート・クウォーク |
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★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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物質転送装置の失敗によって蝿男となってしまったアンドレ=ドランブルの息子アンリ(ドンレヴィ)は、二人の息子と共に父の遺した研究を続けており、ついに実用に耐える転送装置を完成させた。息子の一人マーティンはカナダのモントリオールで装置を完成させ、ロンドンにいる父をカナダに転送させる。そしてマーティンは父に実はこのモントリオールで一人の女性と出会い、そこで結婚をした事を告白するのだった。パトリシアというその女性を紹介され、家族が出来たと喜ぶアンリだったが、マーティンと二人きりになると、彼を詰問するのだった。そして新生活が始まるが、パトリシアは居間で醜い姿をした女性がピアノを弾いているのを目にしてしまう。それを隠そうとする家人に不審の念を覚えたパトリシアは、入ってはいけないと言われた庭の片隅へと足を向けるのだが…。
一連の蝿男シリーズの“一応の”最終作(一応というのは、この後随分経ってからクローネンバーグにより『ザ・フライ』(1986)が作られたから)。ちなみに題字こそ『蝿男』の名前が出るものの、蝿男の姿はスチール写真一枚のみで、実際に本作には登場しない。だからこそ「呪い」なんだろう。
ここに登場するのアンリは2作目『蝿男の逆襲』(1959)のフィリップの息子と言うことになる。もう既にずいぶんな年齢になってるようだから、一作目から一体何十年経過したんだろう?(フィリップは一旦蝿男になった後で彼をこさえたので、ハエの遺伝子が彼の中にはあるそうな)尤も、本作ではむしろ主人公はその子のマーティン。なんと親子四代に渡っての研究という訳か。このマーティンという人間の描写が結構無茶苦茶。当初割とまともな人間と思わせておいて、ストーリーが進むに連れ、徐々に狂気描写が進んでいき、最後は青髭を地でやる役になってしまう。その辺の逆転の発想は面白いのだが、何せ本作はストーリーに無理がありすぎ。突拍子もないことがどんどん出てくるし、最後は唖然とする展開を見せることになる。一話目にあった叙情性は最早かけらも存在せず、完全なB級ホラーになってしまっている。監督がハマーで手腕を振るったシャープだけに、それに準じたと言うことだろうか?
まあ、ストーリーはともかく、描写に関してはなかなか面白くできている…というか、無茶苦茶気持ちが悪い。蝿男自身は出てこないものの、転送失敗してフリークスと化した人間が続々登場するし、電送シーンは観てるだけで緊張感というか、後の展開を予想して気持ち悪くなってしまうよ。
総評として言えば、「良く作ったもんだ」。これに尽きる。少なくとも、前々から観たい観たいと思っていたので、観られただけで充分。 |
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