ランガスタラム |
|
|
スクマール(脚)
ラーム・チャラン
チッティ・バーブ
サマンタ・プラブー
ラーマラクシュミ
プラカーシュ・ラージ
ダクシナ・ムールティ
ジャガパティ・バーブ
ブーパティ
アーディ・ピニシェッティ
クマール・バーブ |
|
★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
2 |
4 |
3 |
4 |
3 |
|
1980年代の地方の村ランガスタラム。そこでエンジニアをしているチッティ(ラーム・チャラン)は、難聴であまり耳が聞こえない上に気難しい性格をしていたが、何故か周囲から好かれる男で、お互いに好き合っていながら喧嘩ばかりしているラーマラクシュミ(サマンタ・プラブー)も加え、それなりに楽しく過ごしていた。そんなチッティの兄で大学出のエリートのクマール(アーディ・ピニシェッティ)が村に帰ってきたことで、村は少しずつ変わっていく。ランガスタラムは30年の間村長を務めるファニンドラによって完全な搾取構造が取られていることを見抜いたクマールは、ついに村長選挙に自らも出馬すると宣言するのだった。村長側の嫌がらせはエスカレートし、命の危険さえあったが、チッティはそんな兄を守りつつ選挙を応援していた。有力な政治家でクマールの恩師であるダクシナ・ムルシーの後援もあり、村長選挙はクマール有利だと思われていたのだが…
『RRR』(2022)のラーマ役であるラーム・チャランがそれ以前に出演してインド国内では大ヒットし、ラーム・チャラン自身が最も気に入った作品だという本作が、日本上陸。
『RRR』の方はラージャマウリ監督作品だと知っていたし、噂を聞いて是非観ようと思っていたものだが、本作はたまたま時間と他の映画の兼ね合いが上手く噛み合ったから観た作品だった。
三時間近い作品で、一体何を描いた作品なのかと言われると、大変難しい。内容はとても豊か。まるで日本の男はつらいよを思わせる人情家族ドラマありラブコメ展開あり活劇ありの娯楽超大作でもあり、聴覚障害者の立場を描いたものと、無知な村民を牛耳る支配者を選挙で破るための啓蒙活動を描いたものがあり、低位カーストと上位カーストの結婚の難しさを描いたインド特有の社会問題を直視した部分あり、更に大変時間を掛けた「ハムレット」を思わせる復讐譚あり。そして勿論ダンスあり。
これだけのものを一本の映画に収めてしまうのだから内容が濃すぎる。普通どれか一本に焦点を当てるべきを、全方位に全力投球で三時間それが続くのだから、流石に疲れる。何事にも全力投球で、削るよりも増やす方向に行くというのがインド映画の醍醐味なのかもしれない。その意味では最もインド映画らしさいものを観させてもらった気分ではある。
色んな要素を詰め込んだお陰でストーリーにいくつも矛盾が生じてもいるが、それも味と考えて良かろう。
しかしこれが80年代を描いたというのは、日本に住んでいると信じられない部分もある。日本の50年代くらいの描写かと思ったくらいで、日本から30年遅れてるのかという思いがあった。文盲の人も多いようで、田舎の現実って凄いもんだと思う。今はだいぶ変わっているだろうけど、カルチャーショックを受けたような気分。
それとやはりこの時代インドにはカーストが残っていることがよく分かった。ランガスタラムという村そのものがおそらく低位カーストに当たり、だから村が他から孤立していたし、文明が遅れていたのもそのせいなのかと思えてくる。それも話のキーワードになっているので、それも主題の一つなのだろう。それにこれがまさにインド映画ならではの重要な要素となっている。この部分あって、本作は社会派作品として成立もしている。 |
|