きけ、わだつみの声 Last Friends 1995 |
1995日本アカデミー作品賞、助演女優賞(鶴田真由)、監督賞(出目昌伸)、脚本賞、撮影賞、照明賞、録音賞 |
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早坂暁(脚) |
緒形直人 |
織田裕二 |
風間トオル |
鶴田真由 |
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田村高廣 |
高橋悦史 |
大杉漣 |
石橋蓮司 |
てらそま昌紀 |
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物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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1995年夏。ラグビーのプレイ中の鶴谷勇介(緒形直人)は、相手にタックルした瞬間に意識を失い、次の瞬間、彼は1943年10月21日に行われた学徒出陣の会場である神宮外苑でずぶ濡れになって行進する学生の集団の中にいた。鶴谷は理不尽な命令に従うことはできないと、逃亡者の道を選ぶのだった…一方同じく学徒出陣式に出席し、陸軍少尉として地獄のようなフィリピンの最前線に送られた勝村寛(織田裕二)は、国のため理不尽な命令をなんとかこなそうとする…
戦後50年記念で1950年に製作された『日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声』をリメイクした作品。多くの若手有力キャストを揃え、現代風の価値観をぶち込んで、作られた。その意気込みは感じることは出来る。
しかし、しかしだよ…
やっぱり、無理ない?この物語?
岡本喜八監督はかつて『激動の昭和史 沖縄決戦』(1971)という戦争映画を作ったが、これは多数の資料を用いて極めつけに冷徹に作ってくれたから面白かった。逆に思想を全面に出して、ひたすらその哀しみを表現しようとした『月光の夏』(1993)のような作品だったら好きになれるんだが…
しかし本作はあまりにも作り手側の主張が強すぎ。戦争という価値観に対して冷静になれないのが敗戦国である日本の悪い面だと思うけど、それがモロに露呈した感じ。しかも現代からタイム・スリップなどと言う姑息な手を用いたため、物語そのものがズタボロにされてしまっている。個々のストーリー、あるいはその演出についてはそこそこ見られるんだが、大元のストーリーが悪すぎる。しかもあのラストシーンは開いた口がふさがらないと言うか、すさまじく無駄な時間を過ごしてしまった気分にさせられた(ちなみに織田裕二が最後に敢行したトライ!のシーンはこれまた超駄作『バトル・ロワイアル II〜鎮魂歌(レクイエム)〜』(2003)でパロディとされている。良い組み合わせだな)。
ただ、本作で唯一面白いと思った部分はあるにはある。フィリピン前線で映画監督の卵が登場するが、あれって山中貞雄がモデルだろ?生きていれば戦後日本映画に多大な功績を残していたかも知れない人物を登場させたのは、なんか嬉しかったし。
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