| ゆきゆきて、神軍 |
1987ベルリン国際映画祭カリガリ映画賞(原一男)
1987ブルーリボン監督賞(原一男)
1987キネマ旬報日本映画第2位
1987 |
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| 物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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1969年に天皇に向かってパチンコ玉を射出したという過去がある奥崎謙三は、今は神戸市で妻と二人でバッテリー商を営んでいる。そんな彼の心残りは、彼がかつて戦ったニューギニア戦での出来事だった。ドキュメンタリーの取材協力の名目を得て戦死した戦友の家族を訪ねるのだが、そこで知った恐るべき真実。なんと奥崎の所属部隊・独立工兵第36連隊で、終戦後23日もたってから“敵前逃亡"の罪で二人の兵士が射殺された事件があったことを知ったのだ。その真実を検証するため奥崎は行動を開始した…
かつて皇居の一般参賀の日に昭和天皇に向かってパチンコ玉を発射して逮捕されたという経験を持ち、自分自身を“神軍平等兵"と名乗る奥崎謙三の姿を映したドキュメンタリー作品。そもそもは刑務所に入れられていた奥崎が今村昌平に手紙を出したのが発端となったそうで、今村が製作を引き受け、原監督自身がカメラを回して実現した。単館上映ながらロングランを記録する。
これはドキュメンタリーではあるが、強烈な個性を持つ奥崎が、完全に自分のために作らせたもので、徹底してカメラを利用しようとしている奥崎の姿が描かれていく。話が進むに連れ、その行動はどんどんエスカレート。後半になると素なのか演技なのか判断出来なくなってしまい、ここまで来ると最早ドキュメンタリーとは思えなくなってしまう。しかも最後の発砲シーンはやらせでもなんでもない、本当に撃ってるという事実。まるでどこまで映像は突っ込んでいけるのか?という実験をやってるかのように見える。
奥崎謙三という男の怨念が凄い作品だけど、彼に関わった人間は見たくないものを無理矢理見せられ、ひたすら隠してきたものが暴かれている。ドキュメンタリーってそこまでやるのか?やって良いのか?
とにかく全てが本物だ。と言う事をあらかじめ念頭に置いて観ると、その迫力に吐き気さえ覚える。はっきり言ってこれは観ているだけで気分が悪くなってくる。だけど、だからこそ目が離せない。
この気持ち悪さが逆に忘れ得ない強烈な印象となって残る。少なくとも希有な迫力を持った作品であるとは言えるだろう。
企画に本作は原一男監督の最大のヒット作。撮影開始から編集まで5年もかかったが、原監督はこれを「奥崎の毒気を消し、冷静な目で編集作業を行うため」と語っている。
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