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2018 | 若おかみは小学生! 監督 | ||||||||||
2017 | |||||||||||
2016 | |||||||||||
2015 | |||||||||||
2014 | |||||||||||
2013 | |||||||||||
2012 | |||||||||||
2011 | |||||||||||
2010 | |||||||||||
2009 | |||||||||||
2008 | 崖の上のポニョ 作画監督補 | ||||||||||
2007 | 茄子 スーツケースの渡り鳥 監督 | ||||||||||
2004 | ハウルの動く城 キャラクター原案 | ||||||||||
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2003 | 茄子 アンダルシアの夏 監督・脚本 | ||||||||||
2001 | 千と千尋の神隠し 作画監督 | ||||||||||
1999 | CLOVER 監督 | ||||||||||
1998 |
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1997 | もののけ姫 作画監督 | ||||||||||
1995 | 耳をすませば 作画監督 | ||||||||||
1989 |
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1962 | 2'28 神奈川で誕生 |
若おかみは小学生! | |||||||||||||||||||||||||||
2018日本アカデミーアニメーション作品賞 | |||||||||||||||||||||||||||
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自動車事故で両親を失ってしまった関織子=おっこ(小林星蘭)は、祖母の峰子(一龍斎春水)にひきとられ、峰子が経営する温泉旅館の春の屋に住むこととなった。事故で死にかけたせいか、霊を見る力を持ってしまったおっこの前に春の屋に住んでいるという峰子の幼なじみの幽霊のウリ坊(松田颯水)がおり、ウリ坊の差し金でなんと若おかみにされてしまった。責任感の強いおっこは一旦それが決まると頑張りが始まるのだが… 令丈ヒロ子による児童文学シリーズの「若おかみは小学生!」シリーズのアニメ映画化作品。 2018年は原作ありなし含め、これまで以上にアニメ映画が数多く作られた。矢継ぎ早に作られるものだから、よほどの個性がないと記憶に残らない。本作も公開自体はひっそりした感じで、恐らくは2週間ほどでフェードアウトするだろうと思っていた。 ところが本作を観た多くの人たちがSNS上で大絶賛。フォロワーの人たちが本作を観て更に拡散したお陰で、静かにヒットが拡大していくという不思議なヒットの仕方をした作品になる。 かくいうわたし自身も当初は観る気が全くなかったのに、SNSで知り合いが絶賛したので興味を持って観た口。 それでわたし自身の感想は、やはり同じ。本作の良さにすっかりやられてしまった。 いくらかは難点も言える。 例えばおっこが健気すぎて、こんな小学生気いるか?とか、基本登場人物がいい人ばかりで話が出来すぎで、ひっかかるところがないとか。 でも、これらの難点こそが本作の売りでもある。 数年前からテレビアニメでは、いわゆる日常系のアニメというのが多く作られるようになった。多くのパターンでは、主人公を含めて友達とかはほとんど女の子で、会話中心の日常生活を描く事に特化した作品である。概ね物語は無きがごとし。盛り上がるような盛り上がらないような日常生活を描くため、疲れた精神を癒やすような優しい物語となっている。 本作もその延長線上に当たるとも言える。 おっこは両親の死という悲しい現実もありながら、ひたむきで努力家。ちょっと空気が読めないところもあったり、妄想癖(幽霊が見えるため)があると周囲から思われているが、ひたすらまっすぐで明るい性格をしている。彼女を慕う友達や幽霊なども含め、基本的にほんわかした雰囲気を持つ話になっている。この辺は映画を観ていながら、なんか愛玩動物を愛でている感じになってしまう。 一方、おっこは両親を失うという最も悲しい思い出を抱えているし、それを片時も忘れてないという部分が精神に突き刺さり、それがおっこの健気さをますます際立たせることになる。 この例えが正しいかどうかはともかく、「傷ついた小動物が一生懸命に生きようとしているのを見つめている」感覚と言うべきだろうか?あるいは親のような気分で健気な少女を見守るというか。終始優しい気分で観る事が出来る。 そういった感情を抱かせるアニメこそが一つの目的となるだろう。おそらくこれ以上ない理想的な作りだと言える。 それと、何気ない日常を描くからこそ、繊細な動きを大切にした演出も重要。手を抜かずに日常の細々した描写に力を入れてくれたお陰で大変素晴らしい時間を得る事が出来た。 |
茄子 スーツケースの渡り鳥 2007 | |||||||||||||||||||||||
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"ヴェルタ・ア・エスパーニャ"の最終日前日に国民的英雄レーサーのマルコ・ロンダーニが自殺した。来年でチームが無くなってしまうことが決定づけられたパオパオビールのレーサー、チョッチはロンダリーニと同郷であり、その死にショックを受け、レーサーとしての生活に疑問を感じはじめる。そんな彼の感傷とは別に、次のレースであるジャパンカップに向け、同僚のぺぺは大いに盛り上がっていた… 『茄子 アンダルシアの夏』続編。本作はオリジナルビデオではあるが、日本アニメとして初めてカンヌ国際映画祭の監督週間に正式出品されている。 前作はぺぺを主人公に、一つのレース内でのレーサーの感情やレースの駆け引きなどバランスよく詰め込み、作品としても良かったが、本作は、少々レースから離れたところにあるレーサーの感情を描いているのが特徴と言える。自転車レースに限らないが、どんなスポーツでも選手は多くのプレッシャーの中で生きている。前作主人公のぺぺはレーサー登録の抹消の危機にあって、最後の根性を見せるためのプレッシャーを見せていたが、それだけでなく、頂点に立っている人間はさらにプレッシャーに押しつぶされている。つまり、レーサーとして生きると言うことは、どんな立場にあったとしてもやはりプレッシャーの中にい続けねばならないと言うことになる。それをパワーに変えるのが本物のレーサーと言うことになるのだが、いやおうなく襲ってくるプレッシャーは、どんな頑強な人間の精神も侵していく。冒頭のチャンピオンの自殺はそれを単的に表した出来事になるのだろう。 そのプレッシャーこそがドラマを作っていく。この連作はどちらもレースを通して自分自身との戦いを描いた作品なのだ。その辺を上手くあしらいつつ、きちんとレースの実況と興奮を合わせて作っているから、尺は短くてもきちんとした話として観ることが出来る。 今回の主人公はチョッチの方だった分、ぺぺはやや狂言回しに近い役回りだったが、良く個性が出ていたとは思う。 実際なにも本作はアニメにこだわる必要はなかったような気がするが、作り手の監督自身がアニメ畑の人で、自分の得意とする描写を存分に活かしてくれたことがすばらしいところ(日本人に演じさせることが出来ないし、ましてやレース風景を実写でやったら金がかかりすぎる)。アニメらしいデフォルメとリアリティを上手く融合させている。アニメで何が出来るのか、すべきなのかを熟知しているからこそ出来た演出方法だと言えよう。 後は、表題の茄子の小じゃれた使い方も良し。前作を踏襲しつつも、きちんと日本風味を加えて、これまた上手い使い方。 |
茄子 アンダルシアの夏 2003 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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スペインのアンダルシア地方。そこでは現在、バイク(自転車)レースの“ブエルタ・ア・エスパーニャ”が行われていた(フランスの“ツール・ド・フランス”、イタリアの“ジロ・デ・イタリア”と並ぶ世界三大レースの一つ)。地元出身でベルギーのビール会社“パオパオビール”のチームに属するペペは摂氏40度を超えるレースを続けていたが、レース最中にスポンサーから解雇通告を受けてしまう…やがてレースは彼が生まれ育った村にさしかるが、丁度その時村の教会ではペペの兄アンヘルとぺぺのかつての恋人カルメンの結婚式が行われていたのだった。結婚式を終え、弟の応援に駆けつけるアンヘル達。それを横目にしながら、ひたすらペダルをこぐペペ… 映画を観ていて「本当に良かった」と思える時がある。勿論それは素晴らしい出来の映画を観た時の事だが、それでも思いっきり期待して観に行った時よりも、殆ど期待もせず観に行って、思わぬ拾いものをしたような気分になれた方がより「良かった」と思えることが多い(だから映画を観る時はなるだけ事前情報をカットし、出来るだけ期待しないようにしてる…って変か?)。で、本作は見事にそれに合致した。 本作は黒田硫黄によるオムニバス漫画「茄子」を原作としている。企画当初から好事家たちの話題に上ることが多く、更に日本のアニメでは初めてカンヌ映画祭に招かれたと言う経緯もある。かく言う私も好きな漫画なのだが、正直な話を言うとあんまり期待はしてなかった。 いや、私もアニメは好きだし、多分あの原作だったら、いわゆるオタク好みから離れた良い作品になってくれるだろう事は予想が付くが、何せ2時間を超える大作映画が目白押しの昨今。僅か50分程度の映画など。それに物語自身が分かってるからなあ。 そんな思いで観に行ったのだが、いやはや。である。 分かってる物語なのに、マジ燃えた。 この作品は何と言っても演出力が凄い。バイクレースの醍醐味である、スリップストームを利用したチーム・ワーク(ライバルを利用するためには自分も利用されなければならないというのは自転車競技ならでは)。そこから突出することの危険性を承知しながらスパートをかけるペペ。と言う緊張感を演出しつつ、彼の家族の姿などを映し出して、ちゃんと抜きどころを心得た演出をしてくれる。緩急の対比として、バイクで疾走するペペと止まっているアンヘルがレース中に出会うのはほんの一瞬だが、それが後々の展開にちゃんと続いていく演出もあり。殆ど喋ることのないライバル達もちゃんと個性を際だたせているし、ラストスパートの演出が突然漫画的になるのも巧い。ゴール前の緊張感、ドキドキ感が見事に演出されていた。レース部分で説明が足りなかった部分はその後でちゃんとフォローも入れてるし(レース終了で余韻を残して終わるのか?とも思ったけど、これはこれでしっかりした演出だと思う)。 結果、50分という、映画としては短い上映時間で非常に満足した気分に浸ることが出来た。 内容的には実写でやっても良い作品だけど、アニメだからこその演出が効いている。アニメとしてちゃんと主張できた映画として、そして劇場用作品として立派に鑑賞に堪える作品として評価したい。 敢えて文句を言うならば、声優慣れしてない人間を起用したためか、ちょっと声が固かったことかな?それが良い意味で緊張感を演出もしてるけど(これは監督がジブリ出身だって事も影響してるのか?)。それとこれも声優がらみだけど、レースの解説がえらくリアリティ溢れてると思ってたら、本物のバイクレーサー市川雅敏だった。こだわってるね。 |