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2018 | 機動戦士ガンダムNT(ナラティブ) 監督 | ||||||||||
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機動戦士ガンダムNT(ナラティブ) | |||||||||||||||||||||||||||
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「ラプラス事変」の決着が付いてから一年の月日が流れた宇宙世紀0097。事変に関わった二機のユニコーンガンダムは解体され研究に回されていたが、実は三機目のユニコーンガンダム"フェネクス”が存在していた。一体誰が乗っているのかも分からぬまま、忽然と姿を消したフェネクスは時折その姿を見せていた。強奪犯を捕らえるため、特別編成された部隊シェザール隊の戦艦に、フェネクスを捉えるために作られた特殊なガンダムナラティブのパイロットとしてヨナ・バシュタと、資金提供したルオ商会の特別顧問ミシェル・ルオが乗り込む。実はこの二人は過去「奇跡の子どもたち」と呼ばれた幼なじみであり、フェネクスにはもう一人の仲間リタ・ベルナルが搭乗していると推測していた。 機動戦士ガンダムシリーズの中の宇宙世紀を描く部分で、小説家福井晴敏による「機動戦士ガンダムUC」があった。小説の後でコミック化を経てオリジナルアニメとして7巻のシリーズ化された。それをリファインして2016年にテレビアニメとして放映したことから、知名度はそこそこ高いエピソード。 本作はそれから一年後の世界を描く話となる。脚本としてUC原作者の福井晴敏が再び起用され、UCからスムーズにつながる物語として描かれた。 本作は実はこれまでにはなかった不思議な物語でもある。 主人公はニュータイプではあるが、アムロのようなナチュラルな存在ではなく強化人間として作られた存在であり、しかもパイロットとしては「中の上」と称される程度の腕前で兵士としてほとんど期待されてない。彼の存在意義はニュータイプとして、いなくなったリタに呼びかけるためだけにある。 これまでのガンダムの主人公はニュータイプであると共に、卓越した操縦技術も持っていて、兵士としてエースとして衆目にも認められていたし、戦場において決定的な要素を生み出していたものだ。 例外的にはニュータイプではない一般兵士が活躍するものもあるが、本作はそのどちらにもカテゴライズされない。 主人公がこれまでにはない極端なニュータイプという設定だからである。 その目新しさが気に入った。 なんせこれまでのシリーズで、とことん「ニュータイプ」にこだわった作品はなかったものだから。 強いて言えばこの作品の一年前の話となる「機動戦士ガンダムUC」はかなりその領域に近寄っていたが、最終的に歴史を刻むことの方を優先した作りとなってしまい、「ニュータイプとは?」という問いに答えずに終わってしまった。 おそらくは脚本を担当した福井晴敏がそこでもう一度、改めて「ニュータイプとは?」と問い直したのが本作と言う事になるのだろう。これまで「何となく特別な力」で放っておいたものに正面から向き合った。これだけでも充分だろう。 実を言えば、かくいう私自身今から30年ほど前、時期的には『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』(1988)の時に「ニュータイプとは」という映画感想文のようなものを角川に送ったことがある。若気の至りというか、単なる荒ぶった中二病患者というか。そんな思い出があるのだが、その辺でオタクに区切りをつけたこともあって、その事を敢えて考える事を止めた。 もしあのままそれを考え続けていたらどうなったか? たぶん、本作がその答えになる。 私にとって、実は本作こそが30年越しの「本当に観たかったガンダム」なのである。いや正確には「本当に作りたかったガンダム」と言っても良い。 そんな夢のような設定を持った作品が目の前にある。それだけでもう充分である。 私の目にはもはやストーリーや演出などすべてぶっ飛んだ。ただひたすら設定を追うことで頭がフル回転していた。まさに「ニュータイプとはなんだ?」という問いに答えてくれ、次々に「そうか、俺の考えは間違ってなかったんだ」「あ、これ俺が思ったのと違ってる」という思いで溢れていった。 なんというか、もうとても心地良い時間だった。 それでなんでこの点数かというと、結局それは「30年前に観たかった」という一点に尽きる。せめてオタクに復帰した20年前。 今となってはもうそこまで感情を燃え立たせることも出来なくなった自分に気がつき、映画の終了と共に寂しさを抱えてる自分に気づくことになったから。 |