読書日誌
2015’10〜12月

Home
Book

15'12'31 花のズボラ飯3 (原作)久住昌之 (漫画)水沢悦子 <amazon>
 三十路一人暮らし女性の花が、日々だらけた生活の中で編み出す数々のズボラ飯レシピをおもしろおかしく紹介する。
 2巻で終わるのかと思ってたら、まだ連載続いてたのか。明らかにパワーが落ちているのと、2巻で出していた伏線っぽい部分が全く活かされてないのが不満ではあるが、まあ安定した物語展開ではある。
 ただ、飯が今ひとつ美味そうに見えないというのが最大の問題かもしれんな。これまで読み進めているなら、読む価値はあると思う。
15'12'27 赤の紋章 アクセル・ワールド12
川原礫 (検索) <amazon> <楽天>
 ISSが都庁に設置した強大な敵《大天使メタトロン》攻略のためには、メタトロンの放つ大出力レーザー砲を跳ね返すアビリティが必要だった。七王会議によってそのアビリティ《理論鏡面》獲得を命じられたシルバー・クロウ=ハルユキはそのための特訓を始めねばならないのだが、獲得の糸口さえも見えないままだった。そんな時、謎のバーストリンカー、ウルフラム・サーベラスに何度も勝負を挑まれ続ける。一方、リアル世界では学園祭という大イベントを目前とし、そこでも忙しくなるハルユキだが…

 リアルな世界とバーストリンクの世界とでいろんなキャラが登場してごちゃごちゃになってしまったが、本巻のメインはシルバー・クロウが新アビリティを得ること。ミッション自体は成功だが、なんだか違うアビリティを得てしまったというオチが付いてしまった。
15'12'23 シドニアの騎士3
弐瓶勉 (検索) <amazon> <楽天>
 シドニアを襲う奇居子(ガウナ)は、あたかも衛人そっくりな姿で、これまでとは全く動きが異なるものだった。衛人を中心とする迎撃部隊が次々と倒されてしまう。戦いに投入された長道は、奇居子に乗っているのが先の戦闘で戦死したはずの星白であることに気づく…
 前巻でヒロインのように扱われていたのに、あっけなく死んでしまって意外な展開だった星白が、実は奇居子によってコピーされていたという展開。
 あと、過去シドニアに何が起こったのかについても語られてる。長手の身体の秘密とか、その長手を連れて逃げた祖父のこととか、何故シドニアの住民は光合成が出来るのかとか、様々な謎が次々に明かされていくため、非常にテンションが高まる。
 コミカルな部分もかなり多く、随分著者も手慣れてきた感じ。
15'12'18 眠狂四郎孤剣五十三次 下
柴田錬三郎(検索) <amazon> <楽天>
 東海道を下り、京へと向かう眠狂四郎の前に立ちふさがる十三藩から選りすぐりの剣士達。時にそれは正々堂々と果たし合いを、時に卑怯な騙し討ちという形を取って。幾たびかの死地を乗り越え、狂四郎の行く末とは。
 孤高の剣士眠狂四郎を描いた下巻。基本的に短編の繰り返しになるのだが、これだけさらっと書かれている一編一編が充分長編に出来るだけの内容を備えているのが凄いところ。逆に短編の繰り返しだからこそ、いろんな伏線が活きることもあるし、又、彼と関わった女性が次々に死んでいくのも、短編だからこその虚しさと言ったところ。読んでいて心地良い作品だった。
 ところでここに登場する調所笑左衛門(wiki)とは、日本史に埋もれているが、近代日本を作った立役者でもある。
15'12'16 げんしけん18 二代目の九 (著)木尾士目 <amazon>
 朽木が卒業を迎えることになり、朽木のたっての希望で卒業(追い出し)旅行に出かけることになったげんしけんの面々。そこに強引につきあわされることとなった斑目は、この旅行で結論を付けるように釘を刺されるのだが…
 斑目ハーレム編は継続中。話はそれで盛りだくさんではあるのだが、はっきり言えば、既にこじれきってしまってるので斑目の方はもうどうでも良くなってる気がする。むしろこれまでずっと波戸を意識し続けてきた矢島に対し、ようやく波戸の方が視線を向けてきたということの方が重要な気がする。こちらはぎこちないながら、すごくノーマルな恋愛話になってるので、こちらの方がすっきり腑に落ちる。
15'12'12 眠狂四郎孤剣五十三次 上
柴田錬三郎(検索) <amazon> <楽天>
 水野越前守忠邦の側用人・武部仙十郎の依頼で、徳川幕府に逆らう薩摩藩ら十三藩の動向をさぐるため、参勤交代で国帰りする薩摩藩を追うように東海道を西へと向かう事になった眠狂四郎。自分のしていることは挑発行為以上のことではないことを知りつつも、十三藩から生え抜きの剣士と戦い続けることとなる。生きて江戸に帰る可能性のない旅へと向かう。
 このシリーズを読むのは初めてとなるが、映画が大好きだし、何で今まで読んでなかった?と言う位に面白い。
 やっぱり眠狂四郎のキャラだろうな。モロ中二病の塊みたいなんだけど、SFではなく時代劇になると妙にしっくりくるのが面白い。
 ところで著者の作品、実は昔結構読んでいたのだが、サイトに一本も上げてなかった。すると10年以上ぶりなんだな。面白い。
15'12'09 テラフォーマーズ8
貴家悠 (検索) <amazon> <楽天>
橘賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 裏切りは第四班によるものと発覚し、他の班全てはアネックスを奪還すべく、第四班に戦いを挑む。だが充分対抗措置を執っていた第四班の抵抗ははげしく、攻めあぐねるばかり。そんな時に、今までなりを潜めていたテラフォーマーが更なる進化を遂げて襲いかかってくる…
 これまでのテラフォーマーズとの戦いから一転。人間同士の戦いになるのだが、なんせ特殊能力者の集まりだけに、ほぼ化け物同士の戦いって感じ。これまでほとんど動いていなかった物語がきちんと動き始めた感じはあるので、見応えはあり。
15'12'06 断筆宣言への軌跡 (著)筒井康隆 <amazon>
 1993年に断筆宣言をした著者(現在は復帰しているが)が、断筆宣言をするに至るまで、比較的規制の緩やかな「噂の真相」誌上で書いてきたエッセイをまとめたもの。
 約15年にわたり、“差別”について書いたものを集めた作品。日本の文壇が“自粛”によって、自由な表現を規制してきたことを間近で体験してきた著者が、その怒りを高めてきたタイムラインが見えてきてなかなかに興味深い。直接的には著者の「無人警察」が日本てんかん協会から抗議を受けたことがきっかけだが、それに至るまでも確かに歴史があったことが分かる。
 表現は自由であるとは言われるが、一方で様々な立場の人たちに配慮する必要もあるため、乱暴に一括りにするわけにはいかないが、そのせめぎ合いは大切な事なんだろう。
15'12'02 はじめの一歩112
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 メインイベントとなるWBAWBC統一王者戦で対戦する鷹村とバイソン。フリッカーを使うバイソンのリズムに慣れない鷹村は、その挙動を真似て自らもフリッカーを使い、同じ土俵に持ち込んでいった。そこから始まる激しい攻防戦。

 鷹村の世界戦ではあるが、これまでやってきたように、対戦以前の描写が全くなく、突然現れた対戦者にえらく苦労してる。なんとなくそれが違和感あるのと、鷹村の右目の話がやっと出てきたが、もう時期的には遅すぎる。何年前からの伏線だよ。
<A> <楽>
15'11'29 とらドラ!3 (著)竹宮ゆゆこ <amazon>
 偶然亜美に抱きつかれたところを大河に目撃されてしまい、大河と竜児の間には奇妙な緊張関係が生じてしまう。そして季節は夏を迎え、高校はプール開きを迎えるのだが、体型にコンプレックスを持つ大河はますます荒れていき…
 話はこれまで同様、荒れる大河と、それに巻き込まれながらもしっかりフォローする竜児という構図は変わってないのだが、あくまでそれは保護者と幼児のような感じでここまで来ていたのが、少し立場に変化が見られてもきた。こういう微妙な表現がこの作品の面白さでもある。
15'11'24 夏目友人帳4
緑川ゆき (検索) <amazon> <楽天>
 里に雪の降った翌日。夏目とにゃんこ先生はしばの原という場所にある守り神像の妖に取り憑かれそうになる。危うくそれを雪兎に封じたところ、玄と名乗るその妖から、町に悪霊が向かっていることを告げられる。成り行き上、その封印の手伝いをすることになった夏目だが…「春に溶ける」「夏目、温泉へ行く」「桜並木の彼」「夏目観察帳@」「夏目観察帳A」「ニャンコつれづれ帳」を収録する。

 この巻も妖怪と夏目との交流を通してのちょっと良い話に溢れているが、相手が妖怪だと、儚さやその逆のふてぶてしさ、そして主人公夏目が命をかけるという演出をやりやすく、それだけ感動を呼ぶように出来るわけだな。上手い作りなのかもしれん。それをちゃんと分かって演出する著者の力でもあり。
15'11'21 坂の上の雲2 (著)司馬遼太郎 <amazon>
 未だ国力が安定しないまま、列強の力に対抗せざるを得ない日本は日清戦争へと足を踏み入れることになる。士卒としてそれぞれ従軍する秋山好古と真之兄弟が、その目で見たものとは。そして彼らの旧友正岡子規はそのとき何をしていたのか。
 本作のメインは日露戦争にあるため、日清戦争はかなり端折って描かれているが、国力も無い日本が何故日清戦争に勝つことが出来たのかということをできる限り公平に描こうとしている事は分かる。
 この巻で正岡子規は息を引き取ることになるが、彼と共に上京し、彼と共に日本文学の改革を誓い合ったはずの真之の思いというものに焦点が当てられているようでもある。それだけリリカルな描かれ方をしているとも言える。
15'11'17 銀の匙13
荒川弘 (検索) <amazon> <楽天>
 エゾノーでの学生生活も3年を迎え、八軒は学業の傍ら馬術部の全国大会、そして起業に向けての準備に余念が無かった。そんな中、念願の全国大会へと出場できるようになり、その選手となった八軒の挑戦が始まった。

 もう話を畳みにかかっているようで、話もどんどん加速している模様。伏線として残してきた駒場の夢との競合がこれから始まっていくのだろう。これからがクライマックスだ。
15'11'14 文学部唯野教授の女性問答 (著)筒井康隆 <amazon>
 著者の創造した文学部唯野教授が雑誌連載の形で、様々な女性の質問に対し、哲学者の言葉や生き様を通してアドバイスをする。
 連載時がかなり昔なので、哲学の素材もかなり古いものとなってるものだが、これはこれでかなり楽しい。哲学をかなりかみ砕いて提供するため、読んでいて実に楽しい。
 それに著者のキレは断筆前のこの時代が最も輝いているんだよな。やっぱりこの時代の著者作品はとても面白い。
15'11'11 テラフォーマーズ7
貴家悠 (検索) <amazon> <楽天>
橘賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 六つに分かれ、テラフォーマーと戦い続けていたアネックス1号の面々だが、地球との交信が一切出来なくなった理由は、人間側のどこかの班がわざとそれを妨害していることが判明した。アネックスの着地地点へと向かうそれぞれの班だったが、その前に立ちふさがるのはテラフォーマーではなく…
 これまでの人類対テラフォーマーの図式が一気に転換され、人類対人類が火星上で行われることに。これまでバケモノと戦う為のはずの能力が、今度は人類に対して用いられるようになった。
 でも、これがあってこそ、初めて本作は物語が構築される。これまでのように単純な戦いだけだったら、単調になりすぎる。しかしここまでそれを引っ張ってきたのは面白いな。これから特に面白くなっていきそう。
15'11'08 陰陽師 鳳凰ノ巻
夢枕獏 (検索) <amazon> <楽天>
 陰陽師安倍晴明と源博雅が出会うことになる京の町に出没する怪異。それに対し清明がどのように対するのかを描く。「泰山府君祭」「青鬼の背に乗りたる男の譚」「月見草」「漢神道士」「手をひく人」「髑髏譚」「清明道満と覆物の中身を占うこと」の七編を収録する。
 なんだか定期的に読みたくなる著者の作品で、今回は陰陽師。この作品、どれも同じパターンの話なのだが、その変わりの無さが不思議と心地良い物語となってる。気をおけずにするっと読むことが出来るため、ちょっと暇が出来た時に読むには最適の作品かもしれん。
<A> <楽>
15'11'06 アオイホノオ14
島本和彦 (検索) <amazon> <楽天>
 モユルが好意を持った同窓生は既に婚約者持ちだった。落ち込んだモユルは仲間を呼んでやけ酒を呷ることにしたが、まさにその時、小学館から連絡が入り、新人コミック大賞の佳作に入選したことを知る…

 ついに雑誌社から認められ、これからいよいよプロデビューへと向かうことになる。著者にとっては人生を変えた大きな出来事で、これから漫画家人生を歩むこととなる。
 それでこれまでの卑屈で痛々しい人生からおさらばするのか?と言うとさにあらず。やっぱり痛々しいままである事を手を変え品を変えて演出していく。特にこれから長い付き合いになるはずの担当には随分と含む所があるようで。その辺も含めて楽しめる。
15'11'01 新・オタク経済 (著)原田曜平 <amazon>
 今や日本経済の比較的大きな比率を占めるようになったコンテンツ“オタク”。昔から存在していた彼らではあるが、その実態は変化している。それらオタクをいくつかの典型に分類し、その中でどう変化していったのか、そして彼らが消費しているものは何であるのか。それらを経済的な立場で見つつ、その中でオタクを取り込む新しいビジネスを考察する。
 2000年代になってからオタクは変わってしまったと言われてきて、その原因などについても書かれている。根本的な部分でどうにも同意できない部分も存在するが、その論説の多くは納得いくもの。
 オタクという存在は社会学の範疇でのみ考えられることが多いが、経済学という範囲で見ているのがなんか新鮮な感じ。
15'10'29 夏目友人帳3
緑川ゆき (検索) <amazon> <楽天>
 ある日ニャンコ先生そっくりの黒ニャンコが現れ、夏目の持つ友人帳を奪ってしまう。慌てて探しに行った夏目の前に現れたのは多数の妖怪だった。人間によって封印されてしまった主を救うため、大挙して人間界へと攻め入ろうと相談しているのを聞いてしまった夏目は…「先生、黒色になる?」「闇に光るのは」「呪術師会合」「雛 かえる」の4話を収録。

 悪い言い方をすれば、お手軽な感動を与えてくれる作品ばかりだが、どんなお手軽でも、心に響く作品を毎回のように作れると言うだけで充分凄いこと。悠久の命を持つ妖怪が、ほんの一瞬人とふれ合うためだけに命を捨てる話とか、逆に自分を守り育ててくれた夏目とこれからも一緒にいたいために、妖力を抑えようとする妖怪とか、妖怪の方に人を超えた優しさを描く事が本作の良さというか新しさがあるのだろう。
15'10'27 悪夢探偵2 怖がる女 (著)塚本晋也 <amazon>
 他人の夢の中に入る能力を持った“悪夢探偵”影沼京一の前に、次々と同級生が奇怪な死を遂げたという高校生がやってくる。雪絵というその少女の願いを一旦は断る京一だったが、彼女の観る悪夢が自分の持つ過去のトラウマにつながる事を知った京一は、恐怖を克服するために雪絵の夢に潜ることを決意する。
 映画悪夢探偵2(2008)の原作で、悪夢探偵の過去にまつわる物語となっている。ただ、映画もそうだが、何故夢が共通しているのか、人の夢に入り込むことによって、自分のトラウマをどう克服するのかが分かりづらいことと、物語が中途半端に終わってしまった感があって、ちょっと不満の出る作品でもあり。
15'10'24 テラフォーマーズ6
貴家悠 (検索) <amazon> <楽天>
橘賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 他の班と分かれた第1班にも多数のテラフォーマーが襲いかかっていた。隊長の小町を始め、変異してテラフォーマーを迎え撃つ人類だが、知能を付けた群れによって、罠にはまってしまう。
 前巻が第5班の全滅という悲惨な状況だったが、第1班はほぼ全員無事。1巻時点で主人公であった小町が強すぎるため、それで人間側の反撃と言うところか。ただ、2巻時では主人公クラスだったはずのマルコスとアレックスの物語が随分お座なりにされてしまった感はありギャグもやや滑り気味な感じ。
 結果として、テラフォーマーと人間との戦いがちょっとマンネリ化してきた印象はあり。
15'10'21 売国妃シルヴィア グインサーガ134 (著)宵野ゆめ <amazon>
 サイロンを襲った黒死病はグイン王の適切な防疫措置のため収束を迎えることが出来た。だがその中で幽閉されていたはずのシルヴィア王妃が行方不明になってしまった。下水に流されて一旦は心停止までしてしまったシルヴィアは親切な旅人によって蘇生され、宿屋に引き取られるのだが…
 著者が描いた外伝の方で登場していたアウロラが登場してシルヴィアとの関係が描かれていく。この後の展開を考えると、シルヴィアが死ぬとは考えられなかったが、ここでドラマを作ったことで又話が長引くことになりそうだ。
 一方、ハゾスがグインを皇帝にしようとして暗躍しているが、それがなかなか上手く行かないという、二つの系列で物語が続いていく。ますます風呂敷を広げているため、終着点が全く見えない。
15'10'18 はじめの一歩111
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 メキシコから来た相手と拳を交える千堂。それはまさしく一歩のゴンザレス戦と同じ展開になっていく。そしてWBAとWBC統一戦へと挑む鷹村。第1ラウンドは様子見の様相だが…
 一歩から離れ、間柴戦、千堂戦、そして鷹村戦と軽快に話は進んでいくが、結果が分かっている以上、どんなにピンチ展開になってもどうせ勝つとしか思えないために盛り上がりに欠けてしまう。
 戦いの度に描写が変化するのが面白いが、ここでの鷹村戦はモノトーンで展開。描写的には変わってて良い。
<A> <楽>
15'10'16 坂の上の雲1 (著)司馬遼太郎 <amazon>
 江戸から明治へ。日本が急速に文明発展している時代。伊予松山から秋山好古と秋山真之という二人の兄弟が立身出世を夢見て上京した。無料で学問が出来、卒業後は軍の士官として就職できるとあり、二人は別々に士官学校へと入学した。兄の好古は陸軍で日本初の騎馬部隊の創設にあたり、弟の真之は海軍兵学校に入隊した。そんな中、真之は一緒に上京した正岡子規との交流を深めていく。
 「竜馬がゆく」と並んで司馬文学を代表すると言われる作品。前々から読もうと思っていたが、やっと読み始めることが出来た。
15'10'13 シドニアの騎士2
弐瓶勉 (検索) <amazon> <楽天>
 100年ぶりに現れた奇居子(ガウナ)を破壊したのは、まだ訓練生であった長道だった。そのため一躍ヒーローとなる長道。だがシドニアを特定した奇居子は更に襲いかかってくる。今度は兵士として奇居子と戦う事になる長道だが…
 鬼のような強さの主人公が敵を駆逐するというヒーローものの定式に則った上で、極めて乾いた死生観で展開するのが本作の特徴とも言えるだろう。わざわざ長道と親しくさせた上で殺させるという手の込んだ死を演出しつつ、それをさらっと描いてしまう。その描き方が独特なのが魅力なんだろうな。
 ヒロインになるかと思われた星白があっけなく死んでしまうところにそれが現れてる。
15'10'09 声優魂 (著)大塚明夫 <amazon>
 いくつもの代表作を持つヴェテラン声優の著者が、自ら歩んできた道を振り返りつつ、声優になりたいという人に対してのアドバイスを語る。尚、そのアドバイスとは唯一つ。「声優だけはやめておけ」。
 冒頭から「声優だけはやめておけ」と挑戦的な言葉から始まる作品だが、実際にこの世界で「食える」人がどれだけ少ないのか。何より「食い続けられる」人はほんの一握りしかいないという事実を突きつけてくる。掛け値無しに「この世界でしか生きる事が出来ない」と本人が思い込めるようにならないとやっていけないということを言っているわけだが、内部からそれを知っているために語れる言葉でもある。
 どの世界でもそうだが、「やる気がある」ってのは、気持ちではなく、自分から動くことが重要。人にどれだけ迷惑をかけても自分をアピールできるのか。そしてその為に自分を磨く努力を続けられるかと言うことが求められることになる。逆に言えば、それが出来ない人間はどんな仕事でもフェードアウトしていくしかない。その事実を飾らずに言っているだけだけど。
 後、個人的には『攻殻機動隊』シリーズのバトーに対する思いが語られているのが結構嬉しい。押井版、神谷版の二つの作品に出演しているからこそ分かるバトーの空気間の違いなんかもしっかり書かれているので、そちらが好きな人には是非読んで欲しい作品ではある。
15'10'06 仮面ライダークウガ1
井上敏樹(検索) <amazon> <楽天>
横島一(検索) <amazon> <楽天>
 連続凶悪放火犯を追う警視庁の刑事一条薫は、追い詰めた凶悪犯が目の前で不可解な死を迎える姿を目撃する。今度はそれを行った犯人を追うこととなったのだが、それは人知を越えた凶悪な生物との出会いともなった。一方、そんな一条に何かと関わってくる五代雄介という青年がいた。正義感の塊である雄介は、化け物に対しても素手で立ち向かうのだが…
 平成ライダー第1作となる仮面ライダークウガのコミカライズ。もう15年も前の作品になるが、(わたしを含めて)未だ根強い人気を誇る作品だけに内容的には不安があったが、作品としては「これしかない」作りに落としてくれた。
 これをノベライズ、もしくはコミカライズするならば、主人公を一条刑事にしたバディものにするのが一番良いと常々思っていたが、まさしくそれをやってくれたため、満足度は高い。後はタッチが好みかどうかというところではある。
15'10'02 超硬の狼 アクセル・ワールド11
川原礫 (検索) <amazon> <楽天>
 二度目の七王会議が開かれ、ハルユキのシルバー・クロウから災禍の鎧が完全に消え去ったことが確認された。もう一方で会議では危険な加速研究会の対策も練られていた。その結果として、シルバー・クロウには新アビリティである“理論鏡面”の習得が命じられる。初めて聞く言葉に戸惑うばかりのハルユキだが…

 災禍の鎧編が終了し、いよいよ物語は加速研究会との戦いへとフェーズが移行してきたわけだが、どうやらこれ、かなり長引くっぽい感じ。これから色々と伏線が終息していくのだろうが、まだ伏線の拡大傾向が見られるし、何より物語の枝葉が益々広がっているので、まだまだ物語は終わりそうにもないな。