読書日誌
2023’10〜12月

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23'12'30 僕のヒーローアカデミア13
堀越耕平 (検索) <amazon> <楽天>
 ヒーロー仮試験の決勝はチームワークを必要とする救助任務だった。すぐに運営の意図を察知した学生達は能力を生かす連携を取って順調に任務をこなしていくが、その中で、轟に対抗心を燃やす夜嵐は、轟の邪魔をし始める。一方の轟もそんな夜嵐の態度が腹に据えかねる。そんな二人を見た緑屋は…

 前半はヒーロー仮免試験が展開。主人公の緑屋を差し置いて勝手なライバル関係にある轟と夜嵐の意地の張り合いが展開する。後半になると今度はオールマイト不在となった現在の世界の混乱が近づいていることを描いていく。
<A> <楽>
23'12'27 遊星からの物体X
J・W・キャンベルJr. (検索) <amazon> <楽天>
 南極観測隊員が氷の中から地球外の金属物体と、そこから這い出て凍ってしまった生物らしきものの死体を発見する。不注意から金属は燃え尽きてしまうのだが、生物を回収し、隊員の中の科学者が純粋な興味を隠せずにそれを解凍してしまうのだが…

 かつて「影が行く」という題で翻訳されたSF小説の新訳で、遊星よりの物体X(1951)遊星からの物体X(1982)遊星からの物体X ファーストコンタクト(2011)の原作となる。実質的にはファーストコンタクト(2011)が一番原作に近いのだが、これをちゃんと映画化したという意味では遊星からの物体X(1982)となるな。原作は1938年に書かれたものだが、今読んでも全く遜色なくSFホラーとして読める。間違いない傑作だ。
<A> <楽>
23'12'24 パタリロ!40
魔夜峰央 (検索) <amazon> <楽天>
 自分自身を見直したくなったパタリロは家出をして日本にやってきた。そこでシバイタロカ博士として生活を始めるのだが、自分の事を発明家と言ってしまったため、近所の高校生に頼まれごとされてしまう。

 いつもとは全く趣が異なる長編だが、主人公が高校生になって、なんだかおかしな青春ものになってた。ネタが無くなって適当に描いたような作品という感じ。
<A> <楽>
23'12'21 響け!ユーフォニアム 北宇治高校の吹奏楽部日誌
武田綾乃 (検索) <amazon> <楽天>
 三年生の卒業が迫り、北宇治高校吹奏部も新体制を取りつつある時、定期演奏会が近づいてきた。新部長である吉川優子と副部長の中川夏紀によって演奏会リーダーに選出されたのは鎧塚みぞれで、そのサポートに久美子が指名された。「冬色ラプソディ」」「星影セレナーデ」の二本の中編とインタビューを収録する。

 久美子が一年生だった頃の後半の思い出となる話。コンクールとは別のエピソードとなる外伝的作品。立華高校のマーチングバンドとの絡みもあり。お陰で本編のキャラの深みは増した。
<A> <楽>
23'12'17 JJM 女子柔道部物語9
小林まこと (検索) <amazon> <楽天>
 二年生の道大会へと出場したカムイ南高校女子柔道部。全員実力を上げており、個人戦では二年生も一年生も着実に勝ち進んでいく。中でもえもの実力はもはや高校生では止められないほどになってしまっていた。

 スポーツに限らないが、本当の実力者が正しい訓練をすると、とんでもない強さとなる。それを何の衒いもなく描いているのだが、特に著者の格闘描写は冴え渡っているので読んでいて大変心地良い。
<A> <楽>
23'12'14 裏世界ピクニック7 月の葬送
宮澤伊織 (検索) <amazon> <楽天>
 Tさん事件から数日後。“私”紙越空魚は唐突に裏世界に消えたはずの閏間冴月の訪問を受ける。的確に精神攻撃を仕掛けるようになった裏世界に対し、冴月の葬儀を行うことで影響を断ち切ろうとする“私”は鳥子と小桜、そして冴月によって特殊な力を得た潤巳るなを巻き込み、裏世界で葬儀を行おうとするのだが…

 前巻からの続きで長編が続いている。しかしこれで一応の区切りが付いた感じなのか、それともまだ続くのか。なんにせよ、そろそろ物語を閉じている過程のような感じはする。
<A> <楽>
23'12'09 悪役令嬢転生おじさん4
上山道郎 (検索) <amazon> <楽天>
 頓田林憲三郎が転生した悪役令嬢グレイスの魔法学園での生活は順調だったが、魔法学園祭が近づいた。生徒会では恒例となっている劇を行う事になったのだが、そこで生徒会に保管されていたシナリオを探してみたところ、グレイスの母ジャクリーヌが書いたシナリオを発見した。それを読んでみたところ、まるであつらえたように今の学園の生徒にぴったりの配役だった。そこでそのシナリオ通りに劇をすることになるのだが…

 学園ものの定番である学園祭。新しいキャラも入ってきたりしてますます賑やかになってる。内容的には相変わらずで、主人公が何をやってもみんなの好感度が上がってしまうと言ういつものパターン。色々手を変えてるので飽きないけど。
 少しずつだがこの転生の裏が見え始めてきているようで、どうやらこの世界を作り上げていたのがグレイスの母とアンナの母の二人らしいことはわかる。
<A> <楽>
23'12'05 わたしの推しは悪役令嬢4
いのり。 (検索) <amazon> <楽天>
 交換留学生としてナー帝国で学び始めたレイとクレアは、この帝国に何か裏がある事が分かってくる。そんな中、女帝ドロテーアに呼び出された二人は、そこでこの国の深部に魔族が存在することを知らされる。

 新たな舞台での話もだいぶ進んできている。この世界は人間だけのものではないと言うところだが、作品の都合上、どうしても百合展開に持っていく事になる。コメディでないとバランスが悪い感じもあり。
<A> <楽>
23'12'02 俺物語!!10
河原和音 (検索) <amazon> <楽天>
アルコ (検索) <amazon> <楽天>
 パティシエのコンクールに出場した一ノ瀬は大和を助手に付けて挑む。その一ノ瀬から一方的にライバル宣言されたことがショックの猛男は、いつものような気力が出ない日を送るのだが…

 前巻からの続きで、大和を巡って天才パティシエと猛男の三角関係となるのだが、オチとしては、最初から大和は猛男のことしか見てないのでそもそも三角関係が成り立ってなかった。恋に悩みながら、パワーで突っ切る猛男はいつも通り。読んでいて心地よかった。
<A> <楽>
23'11'26 ぜんしゅの跫
澤村伊智 (検索) <amazon> <楽天>
 比嘉姉妹をモチーフとした短編集。真琴が少しだけ出る「鏡」、オリジナルの「わたしの町のレイコさん」、野崎の知り合いの編集者が語る怪異「鬼のうみたりければ」、死んだ美晴が昔のクラスメイトを助ける「赤い学生服の女子」、真琴と琴子が活躍する「ぜんしゅの跫」を収録する。

 主に比嘉姉妹の活躍を描く短編集で、死んだ次女の美晴が彼岸で現実世界に関わっているという事が分かった。死んだから退場するわけでないというのが面白い。
<A> <楽>
23'11'24 ドリフターズ7
平野耕太 (検索) <amazon> <楽天>
 圧倒的な黒王軍に叩き潰されてしまった人類連合。王都に向けて侵略を続ける黒王軍をなすすべなく見送るしかなかったが、そんな中でも生き残ってしまった島津豊久は、山口多聞によって回収され、そこで傷を癒やすことになった。一方源義経による残党狩りに出くわしてしまった那須与一と織田信長だが…

 あっけない人類の敗北。しかしそれでは終わらなかった。戦いは絶望的でも、人類は滅びることはないという希望と、そこから巻き返しを図ろうとする面々のしぶとさでまだ戦いは続きそう。黒王側のエンズの面々も、なんかそれぞれに目的を見つけつつあるようで、終わりにはまだかかりそうな感じだ。
<A> <楽>
23'11'20 転生したらスライムだった件11
伏瀬 (検索) <amazon> <楽天>
 聖王国の支配者にして魔王の一人ルミナスから正式に招きを受け、テンペストの正式な表敬訪問として聖王国を訪れるリムル。訪問と両国の関係についての会議は順調に終えることが出来た。だが最後の晩に聖王国に攻め込む者がいた。

 前巻であっけなくマリア・ベルが退場し、更なる黒幕としてその祖父グランベルが出てきたが、なんとそれもこの巻で使い潰してしまった。展開が早いというか、それだけ書くものがあるって事だろうか?
 今回は八人の魔王のうち七人までが活躍し、更にヴェルドラを封印した勇者まで復活するという怒濤の展開になってる。非常に濃い内容の物語。
<A> <楽>
23'11'17 パタリロ!39
魔夜峰央 (検索) <amazon> <楽天>
 マリネラのダイヤモンド鉱山から一切ダイヤモンドが採れなくなってしまった。国家存亡の危機に調査に乗り出したパタリロは、それがバイキンの仕業だと突き止める。自ら縮小してバイキンに事情を聞くパタリロだが…

 今巻も短編。パタリロが小さくなってバイキンと折衝する話と、人間に恋してしまったスーパーキャットの話、マライヒを付け狙う殺し屋の話、パタリロが作ったロボットの馬が悪用される話。
<A> <楽>
23'11'13 錬金術師
H・P・ラヴクラフト (検索) <amazon> <楽天>
 若き天才科学者が遺産として受け継いだ屋敷で、思う存分研究を始めようとしたところ、この屋敷の持ち主である先祖が錬金術師だったことを知る。その人物以降の家系が代々短命である事に疑問を覚え、家に呪いが掛けられているのではないかと調べるのだが…

 典型的なゴシックホラーで、直球勝負と言ったところ。短編ながら著者らしさもしっかり残っていて、バランスの良い作品だった。
<A> <楽>
23'11'11 新仮面ライダーSpirits23
村枝賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 地上と異空間に同時に存在する大首領に対し、両面から攻撃をかけるライダーたち。大首領のテリトリーである異空間ではゼクロスとツクヨミ、アマテラスが大首領本体と対するが、自分のイメージを全て具現化する大首領にはまったく敵わない。一方ブラックサタンとデルザー軍団の守る地上の大首領になかなか近づくことが出来ないライダー達。

 この巻もあんまり物語は進まなかった。大首領が過去を振り返り、遠い星から三人でこの星にやってきて、仲違いをしたことでこの星に捕らわれたということを語ったくらい。
<A> <楽>
23'11'07 老妓抄
岡本かの子 (検索) <amazon> <楽天>
 長年のお勤めで一財産出来た老妓は、出入りの電気店の店員の若者が発明家だと聞き、彼のために金を出してやる。しかし生活が安定した途端、その若者は発明の気力を失ってしまう。

 人の業というのは難しいものだという話だろう。金を持っていても使い道がない場合、誰かの助けになろうとするものだが、その助けが助けどころか人の迷惑になってしまうというオチ。人とは難しいものだ。
<A> <楽>
23'11'03 マッチョグルメ
成田成哲 (検索) <amazon> <楽天>
 筋肉の化身と呼ばれるほどの美しい肢体を持つボディビルダー天王寺美貴。普段は徹底した摂生の生活をしているが、数週間に一度のチートデイには好きなものを好きなだけ食べるという楽しみを持っていた。そんな彼が食べる食事の数々を描きつつ、ボディビルダーの生活を描く。

 Twitterで断片的な画像を観ることはあって、その電子書籍があることが分かったので読んでみた。大男が気持ちよさそうに食べる姿は癒やされる。なるほど食べるだけでなく、ちゃんと物語にもなってて、完結してるので続編はなさそうだ。
<A> <楽>
23'10'31 蜘蛛ですが、なにか?9
馬場翁 (検索) <amazon> <楽天>
 なんとか魔王領にたどり着いた一行。未だ糸を出す以外の能力を出せていない“私”は、何もする気になれずひたすら閉じこもりの日々を送っていた。今だけはそんな“私”を助けられると、ソフィアはひたすら鍛練を重ねている。そんな折、突然この世界の神であるギュリエディストディニスから助力を頼まれる。

 無力だった主人公が少し能力を戻してきた。現時点では糸を出すことと空間転移のみだが、神の力を持つだけに、空間転移は現実世界のこの地球にまで来ることが出来るというとんでもない能力だった。その結果分かったのは、主人公の前世は人間の記憶を転写された本物の蜘蛛だったというオチだった。
<A> <楽>
23'10'27 パタリロ!38
魔夜峰央 (検索) <amazon> <楽天>
 CIAのヒューイットが左遷されたことを知ったパタリロは早速からかいに訪れるが、少女絡みでややこしい事件に巻き込まれてしまい、ついには共産圏へと亡命するとまで宣言してしまう。からかうつもりが一途なヒューイットに引っ張られてしまうパタリロ。

 二枚目で真面目だがノースダコタ出身とロリコンというだけの属性のヒューイットをここまでキャラ立てしたのは立派。他にも相変わらず浮気性のバンコランを懲らしめる話とか内輪受けの話が多い。
<A> <楽>
23'10'24 夫人探索
夢野久作 (検索) <amazon> <楽天>
 資産が入ったものの放蕩の末に全財産を失った男が、消えた金は未だ見ぬ妻が奪ったのだと思い至った。そこでその財産を取り戻そうと、妻を捜し求める。

 何を書いてるのか全く理解出来ない作品だが、妄想の世界の中の正しさというものをしっかり伝えてるのは確かだ。
<A> <楽>
23'10'20 反逆コメンテーターエンドウさん2
洋介犬 (検索) <amazon> <楽天>
 相変わらず正論を語り続け、色々批判もあるものの人気コメンテーターしてるエンドウさん。彼自身は一貫しているが、彼の周囲の人々が少しずつ変わり初めていく。

 正論だけしか言わない人物を魅力的に描くのは難しいのだが、このシリーズは結構それが上手くいってる。良い意味でも悪い意味でも周囲が徐々に変化していくところが面白くなってきた。まだまだ続いて欲しいシリーズ。
<A> <楽>
23'10'16 ヴェールを破るもの
ラムジー・キャンベル (検索) <amazon> <楽天>
 田舎から家に帰る途中たまたまタクシーで同行した男が自分と同じ怪奇好きと言うことが分かり、意気投合して彼の家にお邪魔したケヴィン。だがその男のやっていることは趣味の範囲を超えており、なんと悪魔を呼び出す儀式を目の当たりにしてしまう。だが呼び出されたものは…

 正統的なゴシックホラー短編。一応これもクトゥルフものになるらしいのだが、通常のホラーだな。
<A> <楽>
23'10'13 アオイホノオ24
島本和彦 (検索) <amazon> <楽天>
 春休みをを終え大学三年生となったホノオ。だがサンデーの編集部からはプロの漫画家として早く東京に来るようにせっつかれ、ついに退学を決意する。

 ほぼ丸々一巻かけてホノオが退学に至るまでを語る話になった。一行で「ホノオは退学した」で東京で漫画家として初めても良いくらいなので、内容は薄いが、これは本人にとっては本当に重要なイベントだったから、どうしても書かねばならなかったのだろう。
 ところで、著者の家は会社の社長ということは知っていたが、実は相当な苦労を経て会社を軌道に乗せたことが語られていて、人生色々なんだなあと。
<A> <楽>
23'10'12 源おじ
国木田独歩 (検索) <amazon> <楽天>
 佐伯という片田舎の町に若い教師がやってきた。そこで源おじと呼ばれる船渡しの船頭の話を聞く。その悲しき生涯に思いを馳せる。

 ただただ悲惨な名もなき男の生涯を語る話で、なんともしんみりとした気分にさせられる。これが著者の味というやつか。
<A> <楽>
23'10'08 うちの会社の小さい先輩の話7
斎創 (検索) <amazon> <楽天>
 ちょっとした拍子で篠崎の先輩の詩織と幼なじみの早川、姉がパジャマパーティを開くこととなった。男子禁制でやきもきする篠崎だが、当の詩織ははっきりと篠崎への好意を自覚し、それをみんなに打ち明けるかどうか迷っていた。

 お互い好意を持っているもののなかなか進展しない二人を主軸に、そんな二人をくっつけようとする周囲の人物達。しかしどこかみんなずれているため、何をやっても進展しないまま。もどかしい恋愛模様。
<A> <楽>
23'10'05 オーバーロード16 半森妖精の神人 下
丸山くがね (検索) <amazon> <楽天>
 アウルとマーレの教育のためダークエルフの村を訪れたアインズだったが、これと言った成果も上がらず郷を後にする。だがまさにその時、スレイン法国によるエルフの国への侵略が始まっており、その混乱に乗じてエルフの宝を回収しようと考えるアインズ。

 正直全く面白くない。もう終わりが近いと著者も言っているのだが、これと言って動きもないし、物語は硬直している。二巻使って、最後の戦いだけが唐突に伏線になっていたが、あまりに残念な出来としか言えない。
<A> <楽>
23'10'01 BEASTARS4
板垣巴留 (検索) <amazon> <楽天>
 隕石祭が近づき、それぞれ準備に余念のないチューリントン学園の演劇部の面々。そんな中で同じハイイロオオカミの女性ジュノから猛烈な恋愛感情を向けられて戸惑うレゴシは、自分の恋愛感情はやはりハルに向いていることを再認識する。

 もつれ合う恋愛感情が主軸だが、ルイが何故そこまで頑なに強者であろうとしているのかの一端も明らかにされた。ルイは元は裏世界の食肉用として育てられた鹿だったが、養父に引き取られることで、強烈なコンプレックスと共に、強くあり続けねばならない意識を持っていた。一方、全て恵まれたものを持っているハイイロオオカミのジュノは、逆に自分を特別なものにするために積極的に人に頭を下げる。このジュノが意外に面白い存在になってる。
<A> <楽>