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ターミネーター


ターミネーター
1984年
ジェームズ・キャメロン(監)
 2029年。ここでは人間によって作り出された機械が人間を支配していた。機械達により不要とされた人間は抹殺されるのを待つばかりに見えたが、そんな中でジョン=コナーという人類の救世主が現れ、機械に対する激しい抵抗運動を組織していた。そんな彼を生まれる前に抹殺しようと考えた機械たちはヒューマノイドボディの抹殺機械“ターミネーター”(シュワルツェネッガー)を送り込む。1984年のLAに現れた彼はジョンの母であるサラという名前の女性を次々に殺していくのだった。最後に彼が標的に定めたのはウェイトレスのサラ=コナー(ハミルトン)。彼女こそが未来のジョンの母親であり、人類の希望だったのだ。そんな彼女を守るべく、未来のジョン自身が一人の男を送り込む。リース(ビーン)の言うことを最初は全然信用しないサラだったが、ターミネーターの脅威は容赦なく二人を追いつめていく…
 1984年。この年は私にとっては多大な映画の影響を与えられた年。日本ではアニメーションが流行っていた時期だが、同時にこの年はハリウッドでも次々とSF作品が作られていった。一例を挙げるだけでも『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』『エルム街の悪夢』『ゴーストバスターズ』『スターマン 愛・宇宙はるかに』
『2010年』などなど。しかしその中でも最も世界的に衝撃を与えた作品と言えば、本作を於いて他には無かろう。
 本作は監督のキャメロン、俳優のシュワルツェネッガー二人にとっての出世作であり、この作品を契機に二人は大きく躍進した(もう一人特撮のスタン=ウィンストンの名を飛躍的に高めることにもなったが)。
 実際、どこからどう見てもB級作品でしかないのだが、それをここまでのヒットに押し上げたのはこの二人の力量を存分に引き出した事による。
 そもそもキャメロンはホラー畑出身だが、彼が求めていたのは、おそらく本格的なSFだったのだと思われる。それでいくら安価に上げようとしても、カメラアングルだけはいくらでも凝ることが出来る。そのたった一つの強味を存分に生かし切った。特にここでのカメラの手法はまさにホラーながら、不気味さを“怖さ”ではなく“強さ”へと見事に転換させていた。
 そしてそのキャメロンの演出に見事に応えたシュワルツェネッガー。この人は本来とても陽気な人物だそうだが、当時はオーストラリア訛りが激しいため、台詞が少ない役を選んだとのことだが(脚本には何と16行だけしかなかったという)、このはまり方は尋常でなかった。台詞を喋らない分、立ち居振る舞いだけで存在感をアピールし、しかもそれが一々堂にはまってる。その役のはまり方はいくらでも言えるが、ここでは目の動きを挙げておきたい。本作ではほとんどの場面でサングラスをかけているため、あまり目が見えないけど、時折見せる目つきの良さは特筆すべき。特に周囲を見渡す時の目つきが良い。横を見る時、顔を全く動かさず、一旦目だけを動かして横を見て、それで追い切れないとなって、ようやく顔を動かす。ほんの僅かな顔の動きだけど、これがとても非人間的に見えてしまう。更にその特徴的な目の動きは、目玉を失っても健在。いや、片目を失うことで、かえって機械っぽさは増していたので、これは大成功だろう。最後まで人間と機械の融合体としての違和感を保ち続けていた。
 本作の大ヒットにより、この後、山ほど亜流作品が作られたが、やはりこの二人の組み合わせなしでは、魅力は出せない。本作が唯一無二の作品だろう。
 なんでも、当初シュワルツェネッガーはカイル役で、ターミネーター役にはランス=ヘンリクセンの予定だったが、シュワルツェネッガーは自分から悪役をやりたいと立候補したとのこと。
 ちなみに
本作で使用された費用は僅か650万ドル(ターミネーター2では8500万ドルに跳ね上がる)。それに対し興行収入は8000万ドルをたたき出す

 

カイル
【かいる】
 カイル=リース。2029年からサラを救うためにジョンによって1984年に送り込まれた青年。役はマイケル=ビーン。 甘崎
サラ
【さら】
 サラ=コナー。LAでウェイトレスをしている女性。突然ターミネーターによって命を狙われるが、実は彼女の息子ジョンこそが未来の人類の希望となっている。 役はリンダ=ハミルトン。甘崎
死にたくなければついてこい
【しにたく-なければ-ついてこい】
 ターミネーターに追われるサラにカイルが言った台詞。後の全ての作品にこの台詞は入っている。 甘崎
ジョン
【じょん】
 ジョン=コナー。2029年の地球で機械に対して激しい抵抗運動を繰り広げている人類のリーダー。実はサラとリースの間の息子である。本編には名前のみの登場。 甘崎
ターミネーター
【たーみねーたー】
 本来の意味は「中断者」。2029年の機械が人類の希望ジョンの母親抹殺のために1984年に送り込んだヒューマノイドボディの殺人機械。外見は人間そっくりだが、皮膚を破られるとそこにはメタリックボディがあり。役はアーノルド・シュワルツェネッガー。 甘崎

ターミネーター4


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2009年
マックG
 スカイネットが引き起こした“審判の日”は世界を焼き尽くし、かろうじて生き延びた人間たちもスカイネットが送り込む機械達によって次々と殺されていった。生き残った者達は抵抗軍を組織し、スカイネットとの戦いに身を投じる。ジョン・コナー(ベイル)もその一員として戦闘に参加していた。そんな戦いの中、過去の記憶を無くしたマーカス・ライト(ワーシントン)がLAに現れた。廃墟と化したLAでスターという少女と共に機械と戦っている少年カイル・リース(イェルチン)と出会うマーカス…
 
『ターミネーター』シリーズ最新作。これまでのように現代の中にターミネーターが現れるのではなく、人間と機械の戦いのさなかを描いた作品となっているのが特徴で、これからジョン・コナー3部作の開始となるらしい(きちんと売れればの話だが)
 さて、それで本作だが、普通のSFアクションとして観る分には水準以上。演出に関しては全く問題なし。特に劇場の音響で観ると、腹に来るほどの重低音と画面いっぱいの迫力ぶりは拍手ものだし、かなり単純化されているとは言え、テンポもよろしい。素直に面白い作品だとは思う。

 ただ、演出の良さというのは、
今やSF映画にとっては当然のことで、その前提にあってどう話を作っていくかが重要になるのだが、その部分がなんとも薄い感じがしてならない。特にこの数ヶ月の間に私にとっても『ウォッチメン』『スター・トレック』と言った、実に楽しめる作品を連発して観ていた分、本作のはまれ無さには閉口した。単体の作品としては良いんだが、『ターミネーター』の続編だからこそ、ならではの驚きを与えて欲しかった。言ってしまえば「そうだよ。これがターミネーターだよ」と、劇場を出るときに呟かせて欲しかった


 概ねにおいて本作が失敗とは言えないのだが、本作の場合、作品の根本的な問題が二つあると思う。

 一つにはオリジナル版である
『ターミネーター』との整合性を取ろうとした結果、物語がそれに終始してしまったということ。『3』で、未来は変わらないことを確認したのは良いが、その後、どうやって一作目につなげるか(あるいは2、3作につなげるか)で試行錯誤してる感じ。全体的な物語に矛盾こそ無いものの、単体としての物語では話の持って行き方が強引すぎる。確かに旧作のファンとしては、その辺の丁寧なつくりはありがたいことだし、もしそれを無視した展開があったら、(多分ここで)ボロカスに評するだろう。でも本作では少なくとも矛盾するような設定は見当たらなかったし、『ターミネーター』におけるT-800がどれだけ高性能のロボットなのかをしっかり見せつけたのは高感度高い。シュワちゃんも、本人出てほしかったけど、あれはあれでOKだろ。
 しかし、その丁寧さが逆に話を制限してしまった感があり。本作の主人公はマーカスのはずだが、それと等分してカイルとジョンにも見せ場を作らなければならないため、話が最大三つに分裂してしまい、それぞれを掘り下げることができなくなってしまった。スカイネットが何故生きた人間を必要としたのかとか、ジョンを捕えるために仕掛けた罠の意味合いは何だったのか、それも全く描かれずに終わる。結果として物語および設定が非常に薄味なうえに中途半端になってしまった。
「なんだこの程度の物語かよ」というのが観終えた直後の正直な感想。

 そして第二に、キャラ描写の問題があり。
 この作品観て、本当に残念に思ったのは、まさしく本作はベイルのために書かれた脚本だったということ。
 ただし、ベイルは明らかにジョン役ではない。
 ベイルは実に完成度の高い俳優で、どんな役もそつなくこなせる役者なのだが、その本領を発揮するのは、精神的にきつい役柄を演じる時にある。亡くなったヒース・レジャーばかりが言われるが、『ダークナイト』におけるベイルの苦難に満ちたヒーロー像はまさしくはまり役で、ストレートなヒーローではない、どこかねじ曲がったヒーロー役こそが彼には似合う。
 本作は前述したとおり、半機械人間のマーカスが物語の中心だが、自分が機械の体であるとは全然思っておらず、途中でそれが分かった時、アイデンティティを保つために大きな苦悩が描かれる事になる。この姿は通常のヒーロー像にはならず、かなりの実力を持った役者に演じてもらう必要性というのがあるのだが、これがベイルにはぴったりで、この役をこそベイルにやらせたかった。
 対する今回のジョン・コナーは、ストレートすぎるヒーロー像そのもの。勿論こういう役もベイルはそつなくこなすものの、どっちが似合う?と言われたら、間違いなくマーカスの方だった。最も似合う人間を別な役に就けてしまったのは、本作の最大の失敗だと思う。勿体ない使い方だ。
 私なりに言わせてもらうなら、ジョン役にはもっと若い、悩みを引きずった人物を配置しつつ、あまり見せ場は多く取らず、マーカスとのやりとりでジョンが精神的成長を遂げる。と言った具合に持って行ければ、物語性も良くなったような気がする。

 あくまでこれは新生
『ターミネーター』の第一弾に過ぎないので、相当にまき散らした伏線を上手く使った続編の方に期待したいところ。

 

アシュダウン
【あしゅだうん】
 人類軍を統括する将軍。潜水艦を本部とし、そこから世界中に指令を送っている。 甘崎
カイル
【かいる】
 LAでスターという少女とたった二人で機械と戦い続けている少年。マーカスと出会ったことで、ジョンのいる人類軍へと身を投じることになる。後に過去に行ってジョンの父親となる運命を持つ人物。役はアントン・イェルチン。 甘崎
ケイト
【けいと】
 人類軍の戦士の一人でカイルの妻。軍では医療班に属している。役はブライス・ダラス・ハワード。 甘崎
ジョン
【じょん】
 ジョン・コナー。機械と人類の戦いにおいて“運命の子”と呼ばれる人物。現在人類の軍隊の中核を担っている。役はクリスチャン・ベイル 甘崎
審判の日
【しんぱん-の-ひ】
 2018年。スカイネットが人類抹殺の指令を出した日。この日世界中に核の雨が降った。 甘崎
スカイネット
【すかいねっと】
 人類抹殺を開始した超高性能コンピュータネットワーク。本来は巨大企業サイバーダイン社が作り上げた、人類を守るためのプログラムだった。 甘崎
スター
【すたー】
 LAでカイルと行動を共にしている少女。口が不自由。 甘崎
セレーナ
【せれーな】
 スカイネットに属する医師で、かつてマーカスをサイボーグにした張本人。その知識は今もスカイネットの中に眠っている。 甘崎
T-800
【てぃー-はっぴゃく】
 スカイネットが開発した最新型のターミネーター。基地の中で一体だけ存在し、ジョンに仕掛けた罠の要となっていた。 甘崎
T-600
【てぃー-ろっぴゃく】
 量産型ターミネーター。圧倒的な火力を持つが、一方動きが遅いためにそこを人類軍に突かれることもしばしば。 甘崎
ハーヴェスター
【はーう゛ぇすたー】
 人類捕獲用ターミネーター。10メートルを超す巨体を持つ。 甘崎
ハンターキラー
【はんたーきらー】
 飛行型ターミネーター。 甘崎
ブレア
【ぶれあ】
 ブレア・ウィリアムズ。人類軍の女戦士。マーカスに命を助けられたことで、ジョンのいる軍にマーカスを連れて行く。役はムーン・ブラッドグッド。 甘崎
マーカス
【まーかす】
 マーカス・ライト。審判の日以前に死刑になった人物だが、死刑の直前にスカイネットと契約し、体をサイボーグとして献体していた。突然蘇生し、ジョン率いる軍隊へと向かう 甘崎
モトターミネーター
【もと-たーみねーたー】
 追跡型ターミネーター。高速二輪走行が可能で、ハーヴェスターの体に内蔵される。 甘崎
名称
【】
  甘崎

ターミネーター: 新起動/ジェニシス


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オブライエン
【おぶらいえん】
 1984年のNYPD警官。T-1000の襲撃に巻き込まれ、それが長い間トラウマになっていた。独自に未来からの使者のことを調べており、2017年時に再登場。役はJ・K・シモンズ。 甘崎
カイル
【かいる】
 カイル・リース。審判の日以後に生まれ、ジョンによって命を助けられて以来、彼を慕って人類側の兵士として働いた。スカイネットが1984年にT-800を送ったことを知り、カイルの指令でジョンの母サラを助けに過去に向かう。役はジェイ・コートニー。 甘崎
サイバーダイン社
【さいばーだいん-しゃ】
 1984年時の複合企業。社の前にT-800の部品が散乱していたことから、それを回収解析し、スカイネットを作り上げたが、本作ではT-800を回収できなかったため、そのまま巨大なコンピューター会社として成長し、やがて全てを手元のデバイスで管理するというハード及びソフトの「ジェニシス」を作り上げる。 甘崎
サラ
【さら】
 サラ・コナー。後に審判の日以後の人類の救世主となるジョンの母。幼少期にT-800と出会い、彼から未来に起こる事を聞かされ、共にその準備を進めてきた。カイルと結ばれる運命にあるが、本人はそれに否定的見解を持つ。役はエミリア・クラーク。 甘崎
ジェニシス
【じぇにしす】
 サイバーダイン社が開発したタブレット。これによりあらゆる電子機器を操作できるようになる便利グッズだが、この開発には未来のスカイネットの介在があった。 甘崎
ジョン
【じょん】
 ジョン・コナー。2029年の機械に対するレジスタンスリーダー。カイルを1984年に送り込むが、その際機械側の刺客に襲われてウイルスを仕込まれ、T-3000として甦らされてしまう。両親であるサラとカイル以外の人類を抹殺することを目的にする。役はジェイソン・クラーク。 甘崎
審判の日
【しんぱん-の-ひ】
 サイバーダイン社が掲げたスカイネットによる完全なる機械による人類平和の日となるはずだったが、既に人類を排除することを決定していたコンピュータによる反乱の日となった。この日に人類の大半は死滅することになる(『ターミネーター3』を参照)。ただし、時空が変えられてしまいT-800の部品をサイバーダインが回収できなかったため、その日は大分遅くなり、2017年になっている。「ジェニシス」が起動する日。 甘崎
スカイネット
【すかい-ねっと】
 サイバーダイン社によって作られたプログラムで1997年に人類を滅ぼすこととなる。この話ではサイバーダインがT-800の部品を回収することが出来なかったため、スカイネットは誕生しなかったことになっている。 甘崎
T-3000
【てぃー-さんぜん】
 T-1000を超えるターミネーター。体は磁気を持った粒子によって構成され、任意に姿を変える他、あらゆる所に入り込むことが出来る。人間に注入することによって、その人間をターミネーター化させることも可能。 甘崎
T-1000
【てぃー-せん】
 スカイネットがT-800に続いて1984年に送り込んだもう一体のターミネーター。体は液体金属で出来ており、任意の姿に変えることが出来る他、バラバラになってもすぐに復活できる。役はイ・ビョンホン。 甘崎
T-800
【てぃー-はっぴゃく】
 @2029年にスカイネットが1984年に送り込んだ殺人機械。
 Aそれより未来に人類側がサラを手助けするため、1973年に送り込んだ“守護者”。時間の経過と共に人工皮膚が劣化するため、歳を取ったように見える。役は全部アーノルド・シュワルツェネッガー。 甘崎
名称
【】
  甘崎