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特撮事典

月光仮面

月光仮面/絶海の孤島


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小林恒夫(監)
 名探偵祝十郎(大村文武)の元にインドから依頼の手紙がやってくる。早速事務所の面々を残し飛行機に飛び乗る祝だったが、丁度その頃、科学者中山博士の発明したHOジョー発爆弾の機密入りの鞄が盗まれていた。そしてどくろ仮面と名乗る男から脅迫の手紙が…
 「どこの誰かは知らないけど、誰もがみんな知っている」というオープニングソングでよく知られている月光仮面。一大ブームを引き起こした本作が、後の仮面ライダーシリーズにつながったことからも、様々な意味で日本のテレビに大いなる影響を与えたこととなる。その仕掛け人は脚本家としての他作詞家や小説家としても知られる川内康範という人物である。
 この人が描いた原作をリサイズして作ったテレビ版が好評を博したため、同じ原作を用いた劇場用作品も作られた。
 ところで本作のテレビ版は放映当時のフィルムの保管状況の悪さもありかなり散逸してしまっており、残ったフィルムも状態が悪い。私も一通り拝見はしたが、ちょっとひどい状況だというのが正直な感想だった。特に致命的だったのは、肝心の第一話が残っておらず、なぜ主人公祝十郎が日本にいないのかが全くわからない。つまり主人公不在のまま唐突に物語が始まってしまっていることだった。
 その辺が映画版の本作ではきちんと描かれていることは評価されるべきだろう。それにきわめて低予算短時間で撮影されたテレビ版とは異なり、潤沢(とは言えないかもしれないが)な資金により、それなりに見栄えのする画面づくりも出来ている。
 でも評価できるのはそこまで。ぶつ切りのテレビ版(テレビ版の放映は一日10分弱で月〜金)より遙かにドラマ立てに出来るはずの映画版の方が明らかに出来が悪いという困った事態に陥ってしまった。これがふつうにツッコミどころだったら、それはそれで楽しいのだが、ツッコミさえ入れられない寒い演出が延々と続くだけで終わってしまうし、なによりキャラに華がない。テレビ版の大瀬康一は元より五郎八役の久野四郎など、それなりに楽しい面々が変わっただけでこんなに寂しくなるものか?と意外に思うほどだった。残念ながら失敗作じゃないかな?
月光仮面―恐怖の秘密兵器

 


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小林恒夫(監)
 月光仮面の活躍でどくろ仮面は追いつめられたかのように見えたが、次々と奇策を繰り出し警視庁を翻弄していく。それに対し祝十郎と月光仮面はそれらの罠をことごとく打ち破っていく。徐々に包囲網が狭められていく中、それでもHOジョー発爆弾の設計図を手に入れるどくろ仮面だったが…
 前作『月光仮面』一本で収まらなかった部分をフォローする形となった後編。
 私は前編の方を「失敗作」と称したが、その直接の続編である本作は単なる駄作だった。
 前作にあったお寒い演出はそのまま続いており、これだけ短い時間なのに間延びした演出と謎解きの単純さ。ほめるべきところがほとんど見つからないレベル。単純に演出を派手にするだけでなくテレビ版と映画版との違いをはっきりさせるべきだったんだけど、むしろテレビより劣化してるとしか思えなかった。
 特に本作の問題点は、最後の犯人を追いつめたシーンにあるだろう。テレビ版では月光仮面は犯人の赤星だけにその正体を明かし、それを見て満足した赤星が、この世にもう何も未練はないとばかりに海に飛び込むのだが、映画版では、月光仮面はわざわざ仮面をはずして赤星に素顔を見せつけた上、崖から蹴り落とすという非情さを見せつけていた。ペラペラと秘密を喋った挙げ句「これを知られた以上命はない」って、悪人が使う台詞を思い起こしてしまった。
 テレビ版にあった「憎むな!殺すな!赦しましょう!」というキャッチフレーズは映画版では無縁だったようだ。もやもやが残る内容。
 ただ、一応特撮部分にはかなり力が入っているので、一作目よりはちょっと点数は上げさせていただいた。
 現時点で原作は読んでないが、こちらの方が原作には近いという可能性もある。
月光仮面―怪人ドクロ仮面

 

赤星
【あかぼし】
 どくろ仮面によってさらわれた博士。だが実は彼こそがどくろ仮面の正体だった。 甘崎
祝十郎
【いわい-じゅうろう】
 祝探偵事務所所長にして警視庁から絶大な信頼を置かれている名探偵。依頼を受けインドへと向かったはずだが、それがどくろ仮面による罠であることを知り、急いで帰国した。 甘崎
H.O.ジョー発爆弾
【えいち-おー-じょーはつ-ばくだん】
 柳木博士が開発した強力な爆弾。類を抹殺できるほどの威力を持つ。 甘崎
カボ子
【かぼこ】
 五郎八同様祝の助手で探偵見習い。五郎八のツッコミ役。 甘崎
月光仮面
【げっこう-かめん】
 正義の使者。悪によって人間が危険な時に現れる。その正体は謎。 甘崎
木の実
【このみ】
 祝十郎が引き取って面倒を看ている孤児。 甘崎
【しげる】
 祝十郎が引き取って面倒を看ている孤児。 甘崎
タイガー
【たいがー】
 どくろ仮面配下の殺し屋。祝十郎の正義に触れ、全てを白状しようとしたところを暗殺された。 甘崎
どくろ仮面
【どくろ-かめん】
 赤星博士と柳木博士を狙う謎の人物。黒いマントに白いどくろの仮面が特徴。その正体は殺されたと思われた赤星だった。 甘崎
中山
【なかやま】
 ジョー発爆弾の開発者。設計図が盗まれたことを知り、祝十郎に調査を依頼する。 甘崎
中山あやこ
【なかやま-あやこ】
 中山博士の娘。どくろ仮面に誘拐されてしまう。 甘崎
袋五郎八
【ふくろ-ごろはち】
 祝十郎の助手で探偵見習い。調子の良い性格をしており、かなりのドジだが愛すべきキャラ。後先考えず突撃して窮地に陥ることもしばしばだが、それが事件解決の糸口となることも多い。 甘崎
松田
【まつだ】
 警視庁刑事。祝十郎に全幅の信頼を置いており、警視庁と祝の連絡役もしている。 甘崎
山本
【やまもと】
 東都タイムス記者。松田刑事や祝十郎と行動を共にすることが多い。 甘崎
ユリ
【ゆり】
 どくろ仮面配下の女性。タイガーの妹でもある。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

月光仮面 魔人の爪


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1958年
若林栄二郎(監)
 来日中のバラダイ王国のシャバナン殿下が“サタンの爪”を名乗る怪人によって暗殺された。シャバナンが持っていたはずの王国の秘宝の地図も奪われてしまった。事件を調査する警視庁の松田警部と私立探偵祝十郎だが、恐るべきサタンの爪の配下に命を狙われるように…
 TVシリーズ「月光仮面」の第2部「バラダイ王国の秘密」の劇場版。10分番組だった第一部とは異なり、30分番組となった第二部だが、慣れてないためか、演出的にややもたついた印象があったが、後半になって行くに従い、慣れが出ていたのが印象的だった。
 劇場版になるともたつきは解消され、かなりテンポ良くなってはいるが、逆にテンポ良くなった分、物語そのものの薄さが目立つ作品になってしまった。
 あと一作目の『月光仮面』(1958)の時も思ったが、やはり祝十郎はテレビ版の大瀬康一がおおはまりだったため、キャラが変わると違和感しか感じなくなってしまう。
 まあ、祝十郎のいないところに必ず月光仮面が現れるのに、誰も月光仮面の正体を見破ることが出来ないってのが問題だと思うんだが。バラダイ王国にまで都合良く現れるんだよ。しかも愛用のバイクまで一緒に。

 

浅川昌子
【あさかわ-まさこ】
 シャバナン殿下の愛人。シャバナンからアラーの眼を託されている。 甘崎
浅川不二子
【あさかわ-ふじこ】
 昌子の娘。シャバナン殿下との間の子と思われる。 甘崎
アダブラ・サタン
【あだぶら-さたん】
 かつてバラダイ王国転覆を謀り、追放された人物。その子孫がサタンの爪を自称する。 甘崎
アラーの眼
【あらー-の-め】
 バラダイ王国に代々伝わる宝石。宝の地図を照らすと、その場所が浮かび上がるとされる。 甘崎
祝十郎
【いわい-じゅうろう】
 祝探偵社の社長。警視庁とも懇意で、中村警部と協力して事件に当たることも多い。今回も中村警部の依頼でシャバナン殿下殺人事件の調査を行っている。 甘崎
カボ子
【かぼこ】
 祝探偵事務所所員で、五郎八の良きパートナー。 甘崎
月光仮面
【げっこう-かめん】
 謎めいたヒーローで正義の味方。祝十郎がいる場所に度々現れるが、一緒に現れることのない不思議な人物。バラダイ王国にも出現した。 甘崎
木の実
【このみ】
 祝が引き取って育てている孤児。繁と共にマスコット的存在。 甘崎
サタンの爪
【さたん-の-つめ】
 バラダイ王国に眠る財宝を狙い暗躍する謎の人物。目的のためには手段を選ばない非情さを持つ。 甘崎
サブーナ
【さぶーな】
 サタンの爪の配下の男。 甘崎
【しげる】
 祝が引き取って育てている孤児。木の実と共に良きマスコットとなっている。 甘崎
シャバナン
【しゃばなん】
 バラダイ王国の皇太子。度々日本を訪れているが、その行動をサタンの爪に読まれてしまい暗殺されてしまう。 甘崎
ジョン
【じょん】
 バラダイ人。 甘崎
タムラカン
【たむらかん】
 バラダイ王国の秘宝が隠されている洞窟のある場所。 甘崎
バラダイ王国
【ばらだい-おうこく】
 南太平洋にある小さな島の王国。ここには5千億円にものぼる莫大な金があるという。 甘崎
袋五郎八
【ふくろ-ごろはち】
 祝探偵事務所所員。立場としてはほぼコメディリリーフであり、あんまり役に立ってない。 甘崎
ベレーのお由
【べれー-の-おゆう】
 サタンの爪の配下の女性。シャバナン殿下の侍女を襲う。 甘崎
マリンのおたき
【まりん-の-おたき】
 サタンの爪の配下の女性。 甘崎
山本
【やまもと】
 東京の新聞社に勤める記者で、警視庁の番記者。 甘崎
結城
【ゆうき】
 民俗学者。バラダイ王国のことをよく知る人物で、宝の在処を探るために必要な呪文を教えられている。 甘崎
レンジーノ
【れんじーの】
 サタンの爪の配下。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

月光仮面 怪獣コング


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1959年
相野田悟(監)
 台風の直撃を受けた東京で、何者かによって8人の死刑囚が脱獄させられた。その後高名な科学者が次々と誘拐される事件が起こる。事件の調査依頼を受けた祝十郎は松田警部と共に現場へと向かうのだが、そこには祝宛てに事件に関わるなと張り紙がされており、更に猿のような姿をした怪獣が現れる…
 テレビで大人気の
「月光仮面」の劇場用第4作。これまでの1、2作がTV版第一部、3作が第二部を映画にしたもので、本作はTV版第三部「月光仮面 マンモス・コング」をベースにした物語になっている。ただし、これまでの3作が基本的にはテレビ版を踏襲したものだったが、これテレビ版とは大きく路線変更がされている。
 何が違うかと言うと、テレビ版は巨大な怪獣が現れ、その怪獣と戦う事が作品の大きな見せ場だった。実際これによって初めてテレビでミニチュアを使った特撮が使用された。一方、映画版では怪獣は出るものの、それは人間が薬によって変身したもので等身大。そのためあくまで月光仮面の戦いは人間に向かっているものとなっている。
 特撮に力を入れたテレビ版と、サスペンスとして仕上げた映画版と言う事で一応棲み分けは出来ているが、テレビ初の巨大怪獣の登場というインパクトが、劇場では無くなっているのがちょっと寂しい。
 物語としてどうか?と言われると、ほぼ同時期に公開されていた『電送人間』(1960)あたりと内容的にはかなりかぶり、やや特徴が薄れたかな?コングの正体についても謎というほどの演出はなかったし、ストーリー的にもう少し捻って欲しかったところ。
 テレビ版と較べ、その個性が薄いキャラ描写も、ますます薄くなってきた感じがするし。

 

祝十郎
【いわい-じゅうろう】
 祝探偵事務所所長。警視庁から山脇博士誘拐に関わる協力を求められる。 甘崎
怪獣コング
【かいじゅう-こんぐ】
 突如現れた猿のような姿をした怪人。銃弾にもびくともしないタフネス度と、怪力を持つ。人間を凶暴化する薬によって人間が変貌する。 甘崎
カボ子
【かぼこ】
 祝十郎の弟子で、五郎八とコンビを組む女性。 甘崎
月光仮面
【げっこう-かめん】
 正義の味方で謎の人。特に祝十郎の知り合いがピンチに陥ると度々現れて命を救う。今回は本物の怪獣と戦う。 甘崎
長曽我部
【ちょうそかべ】
 第五物産社長。実は国際暗殺団の首領であり、怪獣コングに変身する。 甘崎
第五物産
【だい-ご-ぶっさん】
 広く海外で取引を行っている会社。実は国際暗殺団の隠れ蓑。 甘崎
袋五郎八
【ふくろ-ごろはち】
 祝十郎の弟子で、見習い探偵。今回はあんまり活躍できなかった。 甘崎
松田
【まつだ】
 警視庁警部。山脇博士の誘拐で祝十郎に助けを求める。 甘崎
美恵子
【みえこ】
 警視総監の娘。国際暗殺団に利用され、鞄に時限爆弾を入れられた。 甘崎
山本
【やまもと】
 新聞記者。いつも松田警部に張り付き、そのため月光仮面のスクープを次々にものにしている。 甘崎
山脇
【やまわき】
 原子抗素学者。国際暗殺団によって捕まえられてしまった博士の一人。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

月光仮面 幽霊党の逆襲


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1959年
島津昇一(監)

 

祝十郎
【いわい-じゅうろう】
 祝探偵事務所長。不審な殺しの事件を追ううちに幽霊党と戦う事となる。 甘崎
大岡鉄蔵
【おおおか-てつぞう】
 山師。鉱脈を探し当て、その鉱石の鑑定を鈴木博士に依頼した。 甘崎
大岡はる子
【おおおか-はるこ】
 大岡鉄蔵の娘。 甘崎
カボ子
【かぼこ】
 祝探偵事務所の探偵見習い。今回は見所の大部分を五郎八に取られてしまったため、あんまり目立つことは無かった。 甘崎
月光仮面
【げっこう-かめん】
 正義の味方の謎の人。警察がピンチに陥った時に現れる。超能力を持つ敵を相手に、今回はかなり分の悪い戦いを強いられる。 甘崎
木の実
【このみ】
 祝十郎に育てられている孤児。 甘崎
【しげる】
 祝十郎に育てられている孤児。 甘崎
鈴木
【すずき】
 東都大学の地質学者。何者かによって殺された。 甘崎
鷹の羽道寛
【たかのは-どうかん】
 心霊学者。心神喪失してしまった藤田から情報を得るために警察に雇われた人物。実は彼こそが幽霊党の黒幕だった。 甘崎
竹林賢法
【たけばやし-けんぽう】
 幽霊党の首領とされた人物で、鷹の羽道寛のライバル。実は既に満州で死亡しており、道寛が化けていた。 甘崎
袋五郎八
【ふくろ-ごろはち】
 祝探偵事務所の探偵見習い。今回は岩井署長の命令でかなりあっちこっちに行かされることになる。 甘崎
藤田
【ふじた】
 鈴木博士の助手。幽霊党に連れ去られてしまった。 甘崎
山本
【やまもと】
 警視庁付きの事件記者。常に松田警部と行動を共にしている。 甘崎
幽霊党
【ゆうれい-とう】
 謎の犯罪集団。その狙いは政府を転覆させられるだけの鉱脈。 甘崎
名称
【】
  甘崎

 

 

事典目次