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ウルトラマンマックス

ウルトラマンマックス事典
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 2005'7'2〜2006'4'1

 前作「ウルトラマンネクスト」がかなり不評に終わったため、新規まき直しが図られた作品。そのため物語はかなりの陽性。時として暴走が感じられる話も多々あるが、初代シリーズに思い入れの深い監督連中が好き放題やってる感じで、オールドファンが観ると、とてつもなく楽しめる作品に仕上がっている。他のシリーズとは一応関連は持たないのだが、「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の各話に対応した話などもある。
 金子修介、三池崇史など、現在の邦画界で活躍中の監督達が何人も参加しているのも特徴で、特に監督の個性が光る作品が多い。ウルトラシリーズでは実相寺昭雄監督の最後の作品でもある。

主な登場人物
トウマ・カイト
ウルトラマンマックス
(役)青山草太。「ホーリーランド」の手塚延彦役以来金子修介監督のお気に入りの男優。映画『DEATHNOTE』では松田刑事や「怪奇大作戦セカンドファイル」の野村洋役を演じている。
 DASH新人隊員。実はかつてDASHの入隊試験に落ちたという経歴があるが、持ち前のガッツと、自分の身を挺してまで人を救おうとする態度が評価されて隊員となった。その行動はウルトラマンマックスも知るところとなり、マックスと一心同体となる。
ヒジカタ・シゲル (役)宍戸開。
 DASH隊長。厳格な一面があるが、柔軟な考え方も有し、特に危機に際しては彼の発想が事態を打破することもしばしば。それらも含め、隊員達からは慕われている。
コイシカワ・ミズキ (役)長谷部瞳。
 DASH女性隊員。エースパイロットとしての誉れが高く、カイトとコンビを組んで出撃する事が多い。カイトを異性として意識しており、最終的には結ばれて孫まで出来る。
コバ・ケンジロウ (役)小川信行。
 DASH隊員。二丁拳銃を用いる射撃の名手。直情の熱血漢で、後半になるとエリーと良い雰囲気になっていく。
ショーン・ホワイト (役)ショーン・ニコルス。
 DASH隊員。DASHが国際的な組織であることをよく示したキャラ。メカニック担当で新兵器の開発を趣味としているが、勿論出撃とあらば真っ先に出て行く。カイトのことを「サムライボーイ」と言ってるのが面白いところ。
エリー (役)満島ひかり。
 DASH隊員で、サポートを専門とするアンドロイド。彼女が機能を停止するとDASHは事実上行動不能に陥るため、DASHの要の存在。話が進むに連れ人間っぽさが増し、コバのことを「好き」と言ったりしてる。
ヨシナガ・ユカリ (役)桜井浩子。「ウルトラQ」の江戸川由利子、初代「ウルトラマン」のフジアキコ隊員役などシリーズではお馴染み。
 UDF専属の怪獣生物学者。怪獣の生態に詳しく、DASHに適切なアドバイスを与える。
トミオカ・ケンゾウ (役)黒部進。言うまでもなく初代「ウルトラマン」のハヤタ役で有名な人物である。
 UDF日本支部の最高司令官。非常に厳直な性格かと思いきや、かなりお茶目な面も披露することあり。
ウルトラマンゼノン  マックスのピンチにやってきたウルトラの戦士。ただ、やったことはマックスにマックスギャラクシーを渡したことくらいで、本当の危機が訪れた時も何もしなかったという問題があり。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 ウルトラマンマックス誕生!

  監督:金子修介
  脚本:梶 研吾
      小林雄次
  特技監督:鈴木健二
 地震が続く日本。龍厳岳でキャンプを楽しんでいた一家の息子翔太は洞窟を覗くのだが、そこにはなんと巨大な目玉が。それを確認に行った翔太の前に、本物の怪獣が現れるのだった。たまたま地震の救援活動のボランティアをしていた青年トウマ・カイトは、翔太の救出へと向かう。一方、怪獣現るの報を受けたDASHはダッシュマザーを出撃させ、見事怪獣を破壊する。しかし更なる新しい怪獣までが登場して…
 敵は溶岩怪獣グランゴン。龍厳岳から登場した四本脚の鉱物怪獣で、DASHの攻撃により爆発四散するが、溶岩を浴びることによって復活。第一話から四本脚怪獣が出るなんて、これまでのシリーズからしても大変珍しい。更に冷凍怪獣ラゴラスが登場する。こちらは比較的オーソドックスな恐竜型怪獣。炎と冷凍の二面攻撃が展開される。
 ダークな魅力を持つ前作「ネクスト」から一転。原点回帰を目指し、サービスカットを多々盛り込んだ本作の始まりである。怪獣二体が突然現れたり、ストレートな熱いキャラクタ目白押しとか、いきなり子供向きの展開になってしまったのだが、古い特撮ファンにもちゃんと楽しめるように出来ているのが嬉しいところだ。桜井浩子(フジ隊員)や黒部進(ハヤタ隊員)を持ってくるとか、展開の方法がもろに「帰ってきたウルトラマン」5話「二大怪獣東京を襲撃」のグドン対ツインテールしてるとか、カイトとウルトラマンとの邂逅シーンが、赤い玉の中で本当に「ウルトラマン」1話「ウルトラ作戦第1号」でのハヤタの邂逅シーンそっくりに作られてるとか(「帰ってきたウルトラマン」のウルトラマンと郷の邂逅シーンも入ってる)、最後にカイトの言葉が「彼が救ってくれたんです!」これを持ってくるか!
 …色々な意味で子供も大人も楽しめる。監督が金子修介だけに、本当によく分かってる内容だ。特撮ファンとして、「よくぞこれを作ってくれた!」と声を大にして言いたい!
 又一方、ツッコミ所も山ほど。
<オープニングの河原でバーベキューを楽しむ親子。しかし、カメラが引くと、ここは地震災害の為、避難してる人たちが集まってるところ。おいおい、なんだこの親子の緊張感の無さは?
 ダッシュの初出撃シーン。どうやらこれが本当に初出撃らしく、命令が出てから発進するまでえらく時間がかかってる。幾重にもチェックしてから行動を起こすのは正しいと思うぞ。ただ、これが特撮作品でなければリアリティと言えるんだが、ここでは間延びとしか見えないところが悲しい。
 DASHのコイシカワ・ミズキにより注意を受けるカイト。その制服を見て「ああ、DASHの人」と反応。DASHはこれが初出撃のはずだが、そんなに有名なのか…つーと、裏読みすると、怪獣が現れないのに組織されてしまったため、お荷物として認識されていたってこと?まるで
『起動警察パトレイバー』の特車二課だな…と思ったら本人がDASHの隊員になろうと思っていたことが分かったが(笑)
 ところで冒頭に出てきたボランティア団体の名称は「関東ボランティアネット」…“Kanto Volunteer Net”か。じゃ何でテントに書いてあった略称は“KBN”なんだ?>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 怪獣を飼う女

  監督:金子修介
  脚本:梶 研吾
      小林雄次
  特技監督:鈴木健二
 夜の街に突如怪獣が現れ、街の電力を奪っていく。DASHは直ちに出撃するが、その怪獣“エレキング”は消滅してしまった。実はエレキングは小さくなって葉山美宇という女性の部屋におり、そこで卵を産み落としていたのだった…
 敵は放電竜エレキング。これが都合4度目の登場となる(「ウルトラセブン(OV版)」含む)メジャー怪獣だが、これまでのようにピット星人に操られていたのではないようだ(27話で実際にピット星人に操られていることが発覚する)。自ら高い知能を持ち、都会の孤独な女性を自分の保護者となるように操っていた。長い尻尾と回転する触角、放電とまさにエレキングだ。造形は見事だし、放電が常に起こっているのもそれっぽくて良し。
 一本目の熱さと較べると、途端にぬるくなり、まるで『ウルトラQ Dark Fantacy』の方に近い物語展開を見せる。しかし、これは多分狙いであろう。事実わざとこういう話を持ってくることで、カイト以外のDASHのメンバーの性格付けが出来た。特に一種の異分子であるエリーの描写が際だっているのが特徴か。それにこの作りって、やっぱり初代「ウルトラマン」全体に流れるイメージに合致してる。作り手がよく分かってるのが嬉しい。全体的に微笑ましいシーンが多いのと、全体が夜の演出が映えている。オリジナリティが無いという話は敢えて置いておこう。
<話自体がぬるいのは良いんだけど、出撃シーンが大変間延びしてるのは大変違和感を感じるのだが、バンクを使うことで予算を上手いこと浮かそうという姿勢も、嫌いではない。
 ところで本作には夜中の出撃シーンがあるが、あのあわてふためきぶりは明らかに「ウルトラマン」の34話「空の贈り物」を意識してるみたいだ。
 最近の風潮では“女三十代独身で犬を飼ってる”というのはいわゆる“●け犬”の代名詞とされているのだが、ここに出てくる葉山美宇というのは、まさに典型的な描写で、これも狙ったな。
 停電になったらアンドロイドのエリーまで動かなくなった。おいおいおい。こいつの電源はどうなってるんだ?昭和の家電製品か?だとしたら、ぶん殴ったら稼働するとか言う描写も欲しかったかな?>
第3話 勇士の証明

  監督:村石宏實
  脚本:川上英幸
  特技監督:村石宏實
 ヨシナガ博士はウルトラマンマックスが人類の味方であることに理解を示しつつも、彼は高い能力を持ったエイリアンである事も留意すべきと主張していた。そんな時、中米の遺跡より古代怪鳥レギーラが出現したとの通報が入り、DASHは早速出撃する。ヨシナガ博士の発言に気を悪くしたカイトはマックスの見せ場を作り出すためにわざとフォーメーションを崩してレギーラに突っ込んでいくのだが…
 敵は古代怪鳥レギーラ。中米では神としてあがめられていた巨大生物。形状は「ウルトラセブン」に出てきたアイロス星人のようで、極彩色に溢れている。最近では“いかにも人間が中に入っています”的な造形は少なくなったが、着ぐるみの良さに溢れている。
 特にかつてのシリーズ3作品のオマージュに溢れているのが本シリーズの特徴だが、今回はモロに「帰ってきたウルトラマン」の第2話の影響が強い。カイトが独断専行して強引にマックスを呼び出そうとする辺りはモロ。ただこれによって同乗の人間を危機に陥れることはなかったが…しかし、本来ヒーローとは自分の力を示すことではなく、人を守るためにいるという事実をしっかり捉えた作品に仕上がってる。マックスの望むこととDASHの存在理由は同じ。その事を知ることによって主人公は成長していくことになる。良い物語だ。
 カイトが怪我のため中盤後退したためか、隊員それぞれの個性がよく表れているのも特徴。隊員の成長を見守るヒジカタ隊長と言い、妙に勘の鋭いミズキ隊員といい(ウルトラマンマックスとカイトの関係に薄々気づいているような発言をしているが、展開としては随分早いね)、カイトのことを「サムライボーイ」などと呼んでるショーン隊員と言い、よく個性が出てる。
 戦い方も怪獣の腕をもぎ取るなど、これも珍しい描写だし、特撮も手作り風味に溢れている一方、ダッシュバードのCGの使い方もなかなかセンスが良い。気分としては怪獣をマクシウムソードでまっぷたつにする描写が欲しかった気もするが。
<DASH隊員を守るため、隊員の資格を剥奪されておりながら救出に向かうカイト。古い特撮作品では定番の描写だが、結局これもスタンドプレーに他ならない。それで叱責は無しか?便所掃除あたりをやってほしかった気はする。>
第4話 無限の侵略者

  監督:村石宏實
  脚本:梶 研吾
      小林雄次
  特技監督:村石宏實
 深夜、競技場に現れた異星人。現場ではスラン星人の怪光線が次々に作業員や警備員を消滅させていた。現場に急行したカイトとミズキもスラン星人に騙され、宇宙船に捕らわれてしまうのだが…
 敵は高速宇宙人スラン星人。持ち前のスピードであらゆる攻撃をその動きによって避けてしまうクロックアップか?)。又、宇宙船を不可視化させることも出来る。「地球が綺麗だから」という理由で侵略をしてきたのだそうだ。巨大化も出来るが、巨大化すると喋れなくなるのは「ウルトラマン80」に出てきたバルタン星人(5代目)っぽいかな?
 話自体は大変ストレートな侵略者もので、「ウルトラマン」第2話の「侵略者を撃て」のリメイクらしい話。出てくるスラン星人もデザインからしてどことなくバルタン星人っぽい。ただ、暗さがあまり感じられないため、本当に素直な作品になってしまった。基本的に宇宙人が一体しか出てこないのも定番か?
 ただウルトラマンだけでなくDASHの面々やメカも大活躍してるのは嬉しいところ。CGの使い方もセンスが良い。
<第2話に続き夜中の出撃で、今回はカイトがDASH制服のスラックスの代わりにパジャマを穿いて登場。
 ちなみにカイトとミズキのペアだとトラブル発生確率は99.95%だそうだ。よくこんなのを出撃させるよ。
 スラン星人の理屈は、この地球は美しいからいただく。と言うもので、とにかくストレートなものだが、ストレート過ぎて、妙に陳腐に聞こえるあたりがちょっと残念。
 カイトとミズキという人質を取って勝ち誇るスラン星人の宇宙船はダッシュマザーの攻撃であえなく撃墜されてしまう。勝ち誇る前にやることがあるんじゃなかろうか?
 今回は本当にマックスは3分ほど戦ってる。>
第5話 出現、怪獣島

  監督:栃原広昭
  脚本:たけうちきよと
  特技監督:鈴木健二
 太平洋上に突如新しい島が出現した。サブジェクト・ファントムと名付けられたその島の調査を開始するDASH。コバとショーンは島のサンプルを調べるべく基地へと帰り、カイトとミズキが島での調査を続けるのだが、カイトは不思議な石像を発見し、その後彼らの前にその石像そっくりなちっぽけな怪獣が現れる。
 登場は電脳珍獣ピグモン装甲怪獣レッドキング。ピグモンは「ウルトラマン」でも善玉怪獣とされているが、本作でもそれは継承されている。レッドキングは本作ではピグモンの石像で封印されていた悪魔のごとき怪獣として描かれている。特徴として、岩を吐くようになった。それと新怪獣として両棲怪獣サラマドン。恐竜ステゴサウルスを思わせる四本脚の怪獣で、ピグモンを守っていた。その後出現したレッドキングと戦うが、レッドキングのパワーの前に敗北する。そして最後の最後、これも新怪獣のバラグラーが登場して物語は終了。
 前後編で展開する前編。勿論これは「ウルトラマン」第8話「怪獣無法地帯」のオマージュに溢れた作品なのは明らかで、今回登場するのもピグモンとレッドキングという、まさにオールドファン感涙の作品に仕上がっている。旧作では多々良島となっているが、ここでは神秘的な浮遊島として描かれている。ただ展開としてはむしろ『エイリアン2』(1986)に近い気もする。
 それにしても着ぐるみ怪獣同士の戦いって、陳腐って分かっているのに、なんでこんなに熱くなるんだろう?(笑)
<カイトとミズキのコンビは必ずトラブルを起こす事が分かっているはずなのに、何故かここでもコンビを組まされている。
 ただ本作は優等生的な作品なので、ツッコミ所はあまりないのが寂しい…贅沢か?>
VOL.2
<A> <楽>
第6話 爆撃5秒前!

  監督:栃原広昭
  脚本:たけうちきよと
  特技監督:鈴木健二
 レッドキングを沈黙させたものの、突如新しい怪獣バラグラーが現れる。しかしバラグラーはピグモンの呼びかけに応じ、おとなしくなる。サマラドンとバラグラーはこの島を守っていたと直感したミズキだったが、地下に逃げたレッドキングは今度はバラグラーに対し攻撃をかけるのだった。一方、傷つき倒れたカイトはなんとピグモンによって助けられた。ピグモンはカイトの心に直接語りかけ、このサブジェクト・ファントムの秘密を語るのだった。しかし日本に迫ってきたサブジェクト・ファントムに対し、UDF本部は最終兵器コスモ・ディーバによる破壊を決定していた…
 登場はピグモンレッドキング、それに飛膜怪獣バラグラー。バラグラーは両腕に皮膜を持った怪獣。サラマドン同様、ピグモンに従ってこの島を守ろうとしていたようで、レッドキングと戦うが、レッドキングのパワーに敗北。そのレッドキングは倒されると大爆発を起こしてしまうため、マックスが宇宙に運んで破壊した。ピグモンは実は宇宙からやってきた生体コンピュータで、地球人に文明を与えた存在。自ら石化することでサブジェクト・ファントムを消し去る。
 怪獣総出演にトレジャー・ハンターの思惑、最終兵器コスモ・ディーバの発射など、とにかく詰め込むだけ詰め込んだという感じの話。それでもわりとバランス良くまとまっている。特に日本を守るために仲間を見捨てねばならないという究極の選択が描かれていたり、怪獣同士の戦いも着ぐるみが本当に良く動くといった、見所が大変多い話に仕上がっている。これまでのウルトラマンシリーズを特に良く研究していることが覗える。それとオールドファンにとっては、トミオカ長官(黒部進)とヨシナガ教授(桜井浩子)の会話シーンが結構長く取られている事も嬉しいところだ。特にトミオカ長官は、任務のために非情な命令を下しつつ、ヒジカタ隊長の独断専行を密かに応援してるなど、なかなか良い役やってるよ。
<今回登場したバラグラーだが、形状と言い、腕の下の皮膜と言い、まさにこれはバランだ。金子監督は妙にバランに固執していた事もあったが、その思いを受けてか?
 コスモ・ディーバの発射にはテロップでカウント・ダウンが演出されているが、これがストーリーに締まりを与えているものの、これは『宇宙戦艦ヤマト』(1977)からだろうか?
 レッドキングは岩塊を吐く事が出来るのだが、ストックに限りがあるらしく、途中で岩を吐けなくなってしまい、煙を吐きつつ焦る姿が妙に可愛い。最後は
「ウルトラマンタロウ」の対ライブキング戦からか?
 良い作品だけど、元ネタバレバレのパクリも多い。>
第7話 星の破壊者

  監督:梶 研吾
  脚本:梶 研吾
      大倉崇裕
  特技監督:菊地雄一
 朝霧山に謎の光が落下した。次元震動を感知したDASHはカイトとミズキが調査に向かわせる。突如生じた霧の中、洞窟にたどり着いたミズキは宇宙人らしき人物と出会う。怪我をして動けないケサムというその人物を介抱するミズキだったが、実はケサムは惑星の自然を破壊する種族を高性能爆弾で消去する命令を受けていたのだった。
 敵は宇宙工作員ケサム(ケサム星人に非ず)。人類を滅ぼす密命を受けて地球にやってくる。高性能爆弾を発動させたものの、ミズキの説得を受けて去っていくことになる。巨大化し、ちょっとグロテスクな宇宙人の姿になることも可能。結局最後は死んでしまう。
 これまでの明るさ一辺倒の話から、「ウルトラセブン」っぽい重めの話が展開する。一応これもファーストコンタクトものになるのかな?ただ、その重さが良く機能していたかというと、ちょっと疑問の部分はある。それは多分、この作品には優しい人物しか出てこないからかと思える。過激な人間がいることが必要とは言えないまでも、ちょっと足りないものがあり。脚本は武上純希っぽさが強いかな?それでもラストは暗くなりすぎないようちゃんと配慮されているのは嬉しい点だ。
 バトルシーンは人間型同士の戦いのため、動きは大変素早い。前作「ウルトラマンネクサス」からのCGアクションも品良くまとまってる感じだ。
<だから必ずトラブルを起こすカイトとミズキを何故組ませる?トラブル起こすことが前提なのか?
 ウルトラマンは基本的には声を出さないため、ここではコバとショーンに「ウルトラマン」「マーックス」と叫ばせている。出来すぎだけどこれはこれで結構はまってるんじゃないかな?
<そういえばケサムって何星人なんだろう?正体については何も言ってなかったよな。
 別段ツッコミじゃないが、ヒジカタ司令には娘がいるらしいことが発覚。>
第8話 DASH壊滅?!

  監督:梶 研吾
  脚本:林壮太郎
  特技監督:菊地雄一
 誕生日を迎えたカイトのためにDASHの面々によるどっきりパーティが開かれた。そんな時に突如隕石が日本に向かって落下してきたという警告が。幸いダッシュマザーの活躍によって市街地を回避して落下した隕石に不審な点が見受けられ、それを持ち帰ってDASH本部で分析を開始する。だが、隕石の内部にはビームを照射した人間に原因不明の高熱をもたらす怪獣バグダラスがいたのだ。バグダラスの照射に次々と倒れていくDASHの面々…
 敵は甲虫型宇宙怪獣バグダラス「ウルトラマン」のアントラーと「ウルトラセブン」のダリーをくっつけたようなデザインで、当初は人間大だったが、小さくなったり巨大化も出来る。目から強烈な光線を放つが、それを照射された人間は病気のような高熱を発する。
 マックス自身よりもDASHのチームワークに主眼が置かれた話となった。ヒジカタ隊長、ショーン、コバ、そしてエリーの個性がよく表れていた。特にいざ何か事あれば、身を挺して隊員を守ろうとするヒジカタ隊長の言動は素直に格好良い。時として目立たなくなる隊員の個性付けにもちゃんと気を配っているという事実が嬉しい演出だ。
<タイトルで「DASH壊滅?!」と来て、オープニングの展開を観てると、どうしても「機動警察パトレイバー」の「特車二課 壊滅す!」のやりとりを思い出してしまう…狙ったのか?あり得るぞ。
 エリーの右人差し指には発火能力もある事が判明したが、一体何のためにそんな能力を?>
第9話 龍の恋人

  監督:佐藤 太
  脚本:小林雄次
  特技監督:村石宏實
 奈津川湖畔にある奈津川村にスパリゾート建設の計画が持ち込まれていた。だが温泉が湧き出るポイントには龍の祠があり、開発のためには祠を壊さねばならない。村長は伝説の龍ナツノメリュウを怒らせないかと恐れるが、村長の息子はこれ幸いと作り物の龍を使って野次馬を集める事に成功した。一応調査を依頼されたDASHはカイトとミズキを派遣するのだが、カイトの前に白い服を着た不思議な少女が現れる…
 敵は伝説怪龍ナツノメリュウ。本物の竜っぽいデザインだが、むしろ西洋的なドラゴンのイメージもある存在。デザイン上動きは限られるとはいえ、繰演も含めてかなりよく動く。背中に炎の翼を背負って登場するシーンはかなり格好良かった。
 ウルトラマンのシリーズでは決まって何話か出てくる伝説をベースとした話。人間の自分勝手な開発と、それに対して自然が怒るという形を取ってる。ただテーマとしては70年代のものをそのまま持ってきた感じ。現代風味が欲しかった。更にこういった伝説ものは後味を悪くするのが普通だったが、ここではすっきりしすぎ。
 ナツノメリュウはデザイン上繰演を必要とし、更にウルトラマンと格闘させねばならないというハンディがあるためか、ここでの戦いは夜になってる。炎の照り返しを受けて戦う姿は大変映えている。そういった幻想的雰囲気も含め、特撮部分は大変力が入ってる。
<話は「ウルトラセブン」の「ノンマルトの使者」っぽくもあるが、こういった物語展開が好きな金子監督ではなく佐藤監督がメガフォンを取ってる。
 龍の祠を取り壊してリゾートを建設しようと言うのは分かるが、その祠を壊してるのが青年達ってのがどう考えても実情には合わない。やっぱり70年代からそのまま話を持ってきたとしか。>
VOL.3
<A> <楽>
第10話 少年DASH

  監督:佐藤 太
  脚本:黒田洋介
  特技監督:村石宏實
 UDFはその活動に対し広く理解を深めるため、数ヶ月に一度子供達を招いて社会科見学を行っていた。今回選ばれた子供の中に将来DASHに入隊する事を心に決めているマサユキという少年がいた。そんな所に遅刻してやってきたコバ隊員に対し、マサユキは辛らつな言葉をかけるのだった。そして子供達の見学が終わらないうちに怪獣メタシサスが現れる…
 敵は空間転移怪獣メタシサス。重力を操って空間を跳び越えることが出来る怪獣で、実体化してもすぐに姿を消すことが出来る。姿を現す際、特殊な電波を放出する。
 今回脚本は黒田洋介。アニメの脚本家としては大変良質な脚本を書く人だが(要するにファンなんだが)、特撮でもちゃんと良い脚本書いてくれてるのが嬉しい…というか妙に好みだ。そういえば子供と防衛組織が密接な関係を持つというのは初期シリーズでは結構多かったが、特に平成に入ってからは全然描写されなくなっていた。それを極々自然に演出した脚本は見事。しかも通常あまり活躍の場のないDASHの一般隊員コバを主人公に持ってくるなど、着眼点も良し。ちょっと子供が単純すぎて、クサすぎる気もするが、その方がむしろ映えるってもんだ。
 それ以外にもいくつか「ウルトラマン」のエピソードから引っ張ってきたような描写もさりげなく出してるところも心憎いね(最後にコバがバッジをマサユキに渡してる所とか、ウルトラマンと隊員がアイコンタクト取る所とか、いかにも)
<小憎らしい少年のマサユキはDASH隊員全員の名前を覚えてるようだが、他の隊員には全員「〜隊員」と付けてるのに、ロボにだけは「エリーさん」と付けるあたり、なかなか出来た子供だ。ところで、DASH隊員に見切りを付けてマックスに情報を教えようとか言ってるけど、どうやって?>
第11話 バラージの預言

  監督:金子修介
  脚本:尾崎将也
  特技監督:金子修介
 カイトとミズキがダッシュバードでJT557エリア上空をパトロール中、巨大地震が襲った。その際生じた強力な磁気嵐はベースタイタンの機能までも狂わせてしまう。地震の調査のため不時着したカイトがそこで見たのは強力な磁気を発する怪獣だった…
 敵は磁力怪獣アントラー。勿論「ウルトラマン」で出てきたものと同じで、磁気嵐を起こし、金属を吸い込んだり、計器を狂わしたりと、その能力も準じている。ただし、ここでは日本に現れたと言う点が特徴。バラージの青い石によって動きを止められてしまう。
 「ウルトラマン」7話「バラージの青い石」の続編とも言える作品で、アントラーがもし日本に現れたら?と言う展開は「ウルトラマン」でやってても不思議はなかったのは確か。でも、逆に言えばあの物語を知らないと、本作を本当に楽しむことが出来ないと言うことでもある。これだけのこだわりがあったら、出来れば前後編でやって欲しかった話だ。バラージとかノアの神とか、全部キーワードでしかなかったのが残念。
 今回特技監督も金子監督が務めている。よほど昔の特撮に思い入れがあるのか、モロばれのおもちゃを特撮に使ってくれている。ここまで来るとちょっと嫌味っぽいかな?と言うか…かつて『ガメラ3』は特技監督まで口を出して樋口真嗣と仲違いしたという逸話もあるのに、懲りてないというか…
<冒頭、子供が「ゴジラの方が強いぞ」「ガメラの方が」とか言ってソフビをぶつけ合ってる。そのどちらも監督した金子修介だからこそ笑って許せる範囲。
 坂田由里と共に病院の救出活動をしてるミズキが、何気なく「バラージの青い石があればなあ」とか漏らしていた。これもちょっと物語を急ぎすぎ。
 アントラーが地中に逃げ込んだ際、まるで煙幕のように砂が舞い、それをマックスが振り払う仕草をする。そう言うもんなの?これだけでなく、今回の戦いは全般的にコミカルだ。>
第12話 超音速の追撃

  監督:金子修介
  脚本:金子二郎
  特技監督:金子修介
 新型のダッシュバードβのテスト飛行をしていたコバは、マッハ9.5で飛行するダッシュバードβよりも速く飛行する物体に追撃され、不時着を余儀なくされてしまう。その怪獣はヘイレンということは分かったものの、あまりの高速のため、ダッシュバードでの追撃は不可能だった。ヘイレンはバッド・スキャナーズというバンドの音楽に反応することが分かったため、おびき寄せる作戦に出るのだが…
 敵は超音速怪獣ヘイレン。鳥のような姿をした怪獣で、ダッシュバードβよりも速く飛行することが出来る。ちゃんと二本脚で立つことも可能。ダッシュバードβのブースター音を嫌ってやってくる性質を持つが、たまたまその音はバッド・スキャナーズというバンドの奏でる音楽と酷似していたため、それに向かって行く。
 前回に続き古典的な特撮番組っぽく仕上げられている。通常では撃退不可能な怪獣が出てきて、物語の間に出てきた伏線を用いる。これは昔から「ウルトラマン」シリーズで連綿と繰り返されてきたテーマ。この辺り、やはり金子監督分かってらっしゃる。
 ただ、今回は中心がヒジカタ隊長となっているが、これまで単なるお堅いキャラだと思われたのが、結構色々笑える要素満点の性格であることがよく分かった。
 マックスとヘイレンの戦いのシーンは「ウルトラマン」の対ジラース戦を思わせる、妙にコミカルなものになってる…ってか、ヘイレンの仕草って明らかに昭和ゴジラそのものじゃん。いろんな思い入れがあるんだろうね。
<どうでも良いが、ヘイレンってギャオスとガメラを混ぜ合わせたような顔してるなあ…で、ミズキはそれを「凶悪な顔」と称する。これは狙ったんだろうな。
 今回ヒジカタ隊長がお笑い担当に徹している。大変開放的なDASHの雰囲気をよく表しているが、なんとなく緊張感が足りないというか…それにしても、チケットを持ってないからと言って警備員に止められ、長蛇の列の最後に並ぼうとするとか、変な所で律儀な所がある(カイトの方が冷静に非常法規を持ち出して会場に入るんだが。で、バッド・スキャナーズにおっさん呼ばわりされて怒るとか、ヘイレンの動きを止めるために演奏を再開させ、「もっとハードに。ハードに!」と叫ぶとか。
 それにしてもバッド・スキャナーズって、メジャーデビューしたばかりと言うが、全員老け顔ばっかだな…
 今回特撮シーンは今ひとつ。ヘイレンの火球を避けるためにトンボをきってるのだが、あの軌道だと当たってるよ。
 バッド・スキャナーズのファンらしいミズキ隊員は律儀にデビューコンサートのチケットを買っているが、どうやって行くつもりだったんだろう?
 ロボ…エリーの食料は電気らしい。充電完了するとほっとした顔を見せるが、どことなく食事が終わったと言うより、トイレが終わったって雰囲気なんだが…>
第13話 ゼットンの娘

  監督:八木 毅
  脚本:上原正三
  特技監督:鈴木健二
 宇宙からの脅威に対抗すべくUDFは世界中の上空に32基の監視衛星を配備した。その頃、「ゼットンの娘」と名乗る女性小田夏美がヨシナガ教授に面会にやってきていた。彼女はゼットン星人が地球を狙っており、ゼットンが送り込まれてくるという謎の発言をするのだった。
 敵は変身怪人ゼットン星人宇宙恐竜ゼットン。ゼットン星人は一万年前に自らの遺伝子を人間の中に残しており、その完成体として生まれたのが小田夏美となる。ゼットンは旧シリーズ同様火球とバリヤーが武器で、本当に最強でウルトラマンマックスの攻撃を完全に跳ね返した上に、攻撃力も圧倒的。マックスは全く敵わず、助けに現れたゼノンさえも圧倒する。最後はゼノンによりマックスに与えられたマックスギャラクシーにより一刀両断にされる。
 かつて「ウルトラマン」で最終最強の怪獣として(正確には「恐竜」だが)登場したゼットンがこんな途中で登場している。マックスでは敵わない怪獣を出すことで、新しい戦士ウルトラマンゼノンの出現に説得力を持たせようとしているのだろう。
 今回初登場となるゼノンはここでは顔見せ程度で、マックスにマックスギャラクシーを持ってくる以外はほとんど活躍していない。ちょっともったいない使い方ではあり。
 ここでの脚本は本当に久々の上原正三。かつてのウルトラシリーズの脚本家だが、これもオールドファンのためのサービスと見られる。敢えて重要人物を下町の住民にしたのもそれっぽい。そして現れたのがゼットン(ここではゼットン怪獣)。まるで映画のような音楽の使い方と町を破壊するゼットンの姿は、オールドファン感涙もの。ここに登場した小田夏美役は長澤奈央。「忍風戦隊ハリケンジャー」の七海役である。
 ただ、演出面に関しては、その多くは『スター・ウォーズ』(1977)にインスパイアされたようなのが、ちょっと違和感大きいか?
<ゼットン星人はやはりケムール人に準じた姿をしている。「ウルトラマン」の最後に出てきた宇宙人はやはり「ゼットン星人」でよかったようだ。
 しかし、夏美がDASH本部に侵入するのに忍者装束はなかろう。狙ったにしてもやりすぎ。
 ゼットンが登場した際、異様に動揺した姿を見せたトミオカ長官…やっぱり別世界で自分を殺した存在に怯えてたんだろうか?>
VOL.4
<A> <楽>
第14話 恋するキングジョー

  監督:八木 毅
  脚本:上原正三
  特技監督:鈴木健二
 四つの軌道衛星をゼットン星人に破壊されたUDFは衛星を破壊したという四機の戦闘機を追うが、発見した戦闘機は突然姿を消し、残された上空には“キングジョー”というメッセージが。一方、“ゼットンの娘”と言われた小田夏美を調査するように特命を受けたカイトは休暇を装い、夏美の働く幼稚園へとやってくるが、近所の松本板金で子供達を連れて遊ぶ夏美を発見する。そしてそこには子供と遊ぶキングジョーというロボットがあった。
 敵は侵略ロボットキングジョー。言うまでもなく「ウルトラセブン」に登場したロボットで、ここではペダン星人ではなく、ゼットン星人によって操られている。ここでは強いロボットと言うよりは危なくなるとすぐにパーツを外して攻撃を回避するという、機動性溢れるロボットとして描写される。小田夏美が操縦していたが、マックスギャラクシーによって夏美を取り出された上で破壊される。そしてキングジョーを操る存在としてゼットン星人が続いて登場。
 下町情緒溢れる中で、リリカルな話が展開している。夏美とカイトの雰囲気が良くなり、それを我知らず嫉妬深く見つめるミズキ。こんな話は珍しい。これを一話でまとめてしまうのは上手い編集だ。昔からウルトラマンを描き続けていた上原正三がこんな話も作れるとは。
 ヒーローとは恋愛には疎くあるべき。その事をよく表した話でもある。そして周りの人間は無遠慮にそれをちゃかす…ちょっとそれが嫌味っぽくなってるのも確かだが。
<ツッコミどころはそう多くないのだが、忍者装束の夏美が正気に戻ったら普通の格好をしていたことくらいか?寝間着姿じゃなかったのね?
 それとトミオカ長官がゼットンという名前に対し過敏な反応を見せているのは、やっぱりファンサービスかな?>
第15話 第三番惑星の奇跡

  監督:三池崇史
  脚本:NAKA雅MURA
  特技監督:三池崇史
 ミズキの知り合いのアッコという少女は視力を失っていたが、ピッコロ奏者として再起していた。そしてその発表会が迫る時、原因不明の物体が落下してきた。繭のようなその物体を焼き払うように命じるヒジカタだったが、攻撃すればするほど怪獣は醜悪に、そして攻撃力を増していく。これは自らに受けたあらゆる攻撃を無効化し、同じ攻撃をコピーできる完全生物だったのだ。
 敵は完全生命体イフ。当初巨大な繭だったが、炎の攻撃を受ければ火を吐けるようになり、ミサイルを受ければミサイルを合成して発射と言う具合に、攻撃を受ければ受けるほど強くなる生命体で、なんとマクシウムカノンさえもコピーしてしまった。しかし、一方攻撃されない限りはこちらからは攻撃しないし、音楽を奏でられると、その楽器へと変化するようになる。
 この話の監督は三池崇史。日本映画では既に一流監督として知られる人物だが、本作は本当に好き放題に作ったという感じがする。特撮作品として考えても相当の異色作に仕上がっていて、どんな形でもウルトラマンとして作ることが出来る一話完結の強味を最大限活かした作品とも言える。
 東京が焼け野原になると言う描写は近年全く観られなくなったシチュエーションで、それを敢えて行ったことに本作の特徴があるだろう。異色作とはいえ、一話でこれをやってしまったのは凄い。最後のショーンが「いつかDASHが解散できる日が来ると良い」と言っているのも含め、かなり質の高い作品に仕上がっている。実際この話は本作における転換点だったのかもしれない。今まで旧作に縛られていたのが、むしろ全てを包含して、やりたい放題出来る用になってきたと言う意味で。実際本作と次回作の三池作品は、良い意味にせよ悪い意味にせよ挑戦作だったのは事実。
 掛け値無しにこの怪獣は最強であり、DASHはおろかマックスさえも通用しない。DASH隊員達の絶望感までもちゃんと演出している描写はやっぱり見事と言えよう。演出も巧い。よ〜く考えてみると、この作品って、実は「ウルトラマンコスモス」全話を通してやったことをたった一話でやってしまった話のような感じがする。
<イフの設定はさほど目新しいものではなく、
「スペースコブラ」の中に出てくる究極兵器と同じだけど、これ自体がオリジナルじゃないし…設定というのは、色々だ。
 アッコの奏でるピッコロの音にイフは楽器へと形を変えていく。それを見るミズキが何か言おうとすると、傍らにはマックスが人差し指を口に当て…気が付かないのか?>
第16話 わたしはだあれ?

  監督:三池崇史
  脚本:NAKA雅MURA
  特技監督:三池崇史
 世間では住民の物忘れが続発していた。それは人間だけでなく犬や九官鳥と言った動物にまで及ぶ。そして記憶障害はますます拡大していく。その事を重く見たDASHは調査を開始。一月前に落下し、その時の調査では何も発見できなかった隕石が怪しいと睨む。その時ベースタイタンの前に奇妙な怪獣が現れた。それを目撃したDASHの面々は全員記憶障害を起こしてしまう。しかも、運良く変身したマックスまでもが戦い方を忘れてしまっていた…
 敵は宇宙化猫ミケタマクロ。宇宙からやってきたバケネコ。その姿はバックベアードというか、ビホルダーというか、凶悪な面相をしてるのだが、しっかりうしろには猫の尻尾と脚が…有機物の記憶を奪うことが出来、なんとマックスの記憶まで奪ってしまった。その目で感情を示すらしく、目が点になったり、驚いた時は大きく見開いたり。マックスの攻撃を受けた時は「×」の字になってたり…防御力はとても低いらしい。
 前回がしんみりした話が展開し、三池監督の実力を見せつけたのだが、同じ三池監督作品ながら、今度は徹底的にコメディ路線を貫いてる。どことなく「帰ってきたウルトラマン」48話のヤメタランスの話っぽくまとめられており、敵の名前もミケ、タマ、クロと、ほとんどおちゃらけ。DASHのテーマが流れる中の出撃では音楽が突然止まって「どうやって操縦するんだ?」とかパニックを起こすし、カイトは変身ポーズを忘れ、靴を脱いではだしの脚を色々触ってみたり。偶然変身に成功したものの、今度はマクシウムカノンの打ち方を忘れ、変なポーズを色々やってみて首を傾げてるとか…よくやるな。
 有機物の記憶を奪うことが出来るが、コンピュータであるエリーは無事。だから今回はエリーが中心となる訳だが、他のキャラがみんなおかしくなっていく中、一人なんとかまとめようとして、最後は頭から煙吹いてキレる。そんなおちゃらけ路線を突っ走りながらも、物語自体は破綻してないのが凄い。三池監督を完全に見直してしまった。
 この二話はシリーズの中では相当の異色作となるだろうが、本来特撮作品が持っていた大きな幅を思い出させる。実際これは面白いぞ。実際この話で完全にスタッフ側も吹っ切れたのだろう。以降毛色が明らかに変わっていく。
<前回の予告でこの路線ははっきりと見えていた。あれだけの時間でよく情報を放り込んだものだ。ナレーションで真面目な声で「ポチ、タマ、クロ」とか言われるとねえ。
 凄まじい作品で、確信犯なので、ツッコミはやるべきじゃないんだろうけど、マックスが命のポーズを取った際、「イノチ」と喋ってるのは芸細かかったり…つーか、マクシウムカノン撃とうとしてあのポーズはなあ。大体格闘で突っ込んでいくもんじゃないのか?
 電撃を受けたショーンはレントゲン写真よろしく時折黒い骨が…懐かしい描写だな。しかし、これは漫画では良くやっても、実際映像化されるとなかなか映える。
 うわ。トミオカ長官、カレー食って登場してる。それでスプーンではなくカレー皿の方を空に掲げてる…完全に「ウルトラマン」のオマージュと分かる。
 エリーがマックスに技を教えてるのだが、「ご飯を食べる時にお茶碗を持つ手です」って、分かるのか?…で、マックスは本当に物食べる格好してから頷く。
 みんながおかしくなっていく中、エリーはついにキれ、「ええかげんにせんかい!」と啖呵を切る。どこでそんなプログラムを入れた?
 最後はヒジカタ隊長の「仲間を守る心を大切に」という言葉で締められるが、そこでコバ隊員を忘れていたというオチが付いた。エリーが「忘れてた」って…
 そう言えば、これまでのシリーズの中でキャラクタがこれだけ移動しなかったのは初めてじゃなかろうか?ベースタイタンの中と周辺にしか出てない。>
第17話 氷の美女

  監督:村上秀晃
  脚本:金子二郎
  特技監督:菊地雄一
 南極の氷の下から10万年前の人間が発見された。氷付けされた美しい女性はニーナと名付けられ、UDFで管理されることになったが、最初に調査のためにDASHに連れてこられる。そんな時、南極の氷の下を移動する怪獣エラーガが発見された。UDFオーストラリア支部によりあっけなく倒されるのだが、ヒジカタ隊長はこれを重く見、調査を開始する。
 敵は宇宙古代怪獣エラーガ。タイプとしてはオーソドックスな恐竜タイプで、どことなくバラゴンに似ている感じ。南極の氷の下から出現した怪獣で、同じく南極から発見されたニーナと呼ばれる女性を助けるために日本に向かってくる。ニーナが生きている限り何度でもパワーアップして復活する。
 人類の発祥について語られる話だったのだが、話は個人レベルに収束。なんか「ウルトラセブン」っぽい印象を受ける。「地底GO!GO!GO!」か「ノンマルトの使者」あたりの話を思わせる。人類にとって世紀の発見であっても、一人の人間を救うためには敢えてそれを破壊する。現代にあっては、それは後味の悪い事件に他ならないが、それが目的なんだろう。ニーナは一体なんだったのか?推測以外全く語られずに終わる。
 話の中心は又コバ隊員だった。絶世の美女に心惹かれ、最後は彼女をその手にかけねばならない。その苦渋の選択が迫られることになる。割と重い話だった。
<零下50度では火傷と同じ。ガラスに手を付いたコバ隊員の皮膚がはぎ取られてしまうのだが、保安上、人間の手が触れる所をそんなに冷たくする事は無かろう。>
VOL.5
<A> <楽>
第18話 アカルイセカイ

  監督:村上秀晃
  脚本:福田卓郎
  特技監督:菊地雄一
 突如太陽が二つ出るという事件が起こった。強力な電磁波によって宇宙監視衛星からの通信も不能となってしまう。エリーはそれが巨大な反射板のようなものと結論付けたが、そんな時にベースタイタンに一人の男が現れる。シャマー星人と名乗った彼は「有効な宇宙人」と自称しつつ、地球を支配下に置くことを宣言する。
 敵は幻影宇宙人シャマー星人。青いカッパというか、カエルというか、凄まじい造形の宇宙人で(あ、「キャプテンウルトラ」に出てきたバンデル星人に似てるかも)、人間の姿を取るタイプと巨大なタイプがある。巨大な方は、街で踊り回り、手からビームを出したり、お尻からガスを出してビルを破壊したりする。反射板衛星を使って太陽や自分自身を投影して混乱を呼び込む。実は実体は僅かに10センチ足らずで、暗闇になると実体を表すため、実体を悟られぬように太陽を反射させていたらしい。宇宙船は破壊されたが、一体だけは地球に残っているようだ。
 これもコメディ編。いくつかこう言うのがあるのが本作の面白さだが、この幅がなんとも嬉しい。今回はなんと言ってもシャマー星人の性格があんまりにも無茶苦茶なのが良い。ちなみにシャマー星人の人間形態を演じているのは佐藤正宏氏。ここまでぶっ飛んだキャラを作り上げた事が本作の肝だった。
 それと、今回はカイトとミズキの連携が良いのも特徴的だった。非番の時はパスタを一緒に食べに行くし、報告書を一緒に作ったり、マックスの意志を感じるとそれに連携して戦いを展開している。
 ただ、コメディだけという訳でも無く、太陽エネルギーというクリーンなエネルギーを使うシャマー星人の方が地球を優しく使えるというのは考えさせる内容になっているのも確か。
<太陽が二つあるのは巨大な反射衛星を使うことによって太陽を投影していたことが分かる…これって「宇宙戦艦ヤマト」の反射衛星砲?
 調子の良いシャマー星人が名刺を差し出すと、思わずヒジカタ隊長まで名刺を出してしまう。サラリーマンの習性か…
 巨大シャマー星人の攻撃でお尻からガスを出すのがある。ご丁寧に中腰になって「プッ」と音がしたりして。しかもこの破壊力は高い。これで死んだら嫌だろうな。踊ってる内にビリっとか音がしていきなりお尻を押さえたりする描写あり。
 最初の戦いで実体を持たないシャマー星人に完膚無きまでに敗北を喫したマックス。しかし、全く悲壮感が感じられないってのもなあ。
 12話の「超音速の追撃」に続き、ヒジカタ隊長がコメディ要因となってる。彼自身は真面目そのものなのだが、その真面目さ故にふざけた相手にまで真面目に対処してしまうのが原因。これだけ楽しい隊長は前代未聞だろう。今回全然頼りない隊長をフォローするかのようにカイトが冷静すぎ。
 今回マックスはシャマー星人を倒すことなく、結局その宇宙船だけを破壊してる。こう言うのも良し。>
第19話 扉より来たる者

  監督:村石宏實
  脚本:林壮太郎
  特技監督:村石宏實
 太陽が三つある惑星で怪獣と戦っていた夢を見たカイト。一方、三日月山遺跡発見の報を受けたヨシナガ博士は遺跡調査の隊長オザキと会っていた。そこで出土した粘土板にはなんとウルトラマンマックスの姿が。その粘土板にカイトが手を触れたところ、突如扉が現れ、ヨシナガ博士とミズキ隊員が吸い込まれてしまう…
 敵は空間移転宇宙人ターラ星人戦神ギルファス。ターラ星人は「スタートレック」のクリンゴン星人っぽいデザインをしたヒューマノイド型の宇宙人で(転送ゲートの設定も「スタトレ」っぽい)、かつて地球にやってきた時、地球人に助けられ、その争いの歴史を止めるべく、自らが神として君臨しようとしていたが、M78星雲人に阻止された過去を持つ。ギルファスはターラ星人に操られる鋼鉄の巨人で、ロボットっぽい。
 「かつてウルトラマンは地球に来ていた」話(有名どころだと「ウルトラマン」のノアの神、「ウルトラマン80」の光の巨人など)。粘土版に書かれているのがウルトラマンではなくマックスというのが本作の特徴かも。
 森次晃嗣登場。セブンではなく、オザキ博士として登場しているが、トミオカ長官の後輩だったとか(言うまでもないがトミオカは黒部進)、眼鏡をまるでウルトラアイのようにしてかけるとか、とにかくサービス満点だ。そしてトミオカ長官と出逢った際「お互いに歳を取りましたね?」と…ツボ抑えてるなあ。
 結局今回は森次晃嗣が中心となってしまったため、他があんまり印象深くないんだが、それだけで充分だとも言える。前述した「スタートレック」だけじゃなく「スターゲイト」とか「アルゴ探検隊の大冒険」などからのオマージュも感じられる。
<冒頭で寝坊したカイトを起こしに来るミズキの姿が見られる。ラブコメの定番だが、パジャマのズボンをはいてないカイトに怒鳴りつけるというオチまで定番だった。
 コバ隊員は「カイトとミズキが一緒に出動すると胸騒ぎがする」と言っていたが、それはこれまでの経緯を見たら確かにそう言うだろう。それでも敢えて組ませるのはなんか理由あるの?
 サービス精神満点で展開したが、ターラ星人の台詞が棒読みだったのが残念。最後の「まーてー」はちょっと外したな。
 異次元空間でもマックスギャラクシーを呼び出すことが出来たみたいだが、これってどういう原理なんだろう?
 そういや今回コバ隊員は二丁拳銃をやたらと持ち出していたが、これは「ウルトラマンA」の山中隊員を念頭に置いてのことだろうか?>
第20話 漂流怪獣

  監督:村石宏實
  脚本:太田 愛
  特技監督:村石宏實
 太陽光に乗って怪獣が地球に飛来した。怪獣は山口家の上空に静止したまま。しかも眠っているらしいことが分かる。怪獣を起こさないよう亜空間に戻そうとするDASHの面々。
 敵は亜空間怪獣クラウドス。亀のような姿をした怪獣。亜空間から現れた怪獣だが、ほとんど全編眠ったまま。眠っていると体が軽くなり、起きると重くなるらしい。ほとんど全編眠っているだけという珍しい怪獣。体内のプラズマを誘発することで亜空間に戻される。
 又してもコメディ編。最初から飛ばす飛ばす。普通の家の朝の風景から始まり、何も行動しないクラウドスに対して、いかにして亜空間に戻すか。という作戦が展開する。「ウルトラマン」の「空からの贈り物」の話を思い起こさせる話が展開する(隠し味で多量にその雰囲気が味わえる)。同じ系統であれば「ウルトラマンコスモス」の11話の「動け!怪獣」もあり。
 結局怪獣は何もせずに、周囲ばかりが焦っていくという話。ワイヤーで動かない怪獣を動かそうとするのは「空からの贈り物」でもあった。怪獣を眠らせるためにダッシュアルファを振り子のごとく左右に揺らして眠りを誘うとか、妙ちきりんな作戦ばかりが大まじめに展開される。極めつけはショーンの考案したイヤーシールド・アンド・サンダー作戦。これはクラウドスを眠ったまま亜空間に返してしまおうというDASHの作戦で、クラウドスの耳にイヤーシールド、つまり耳栓をつけて雷によるプラズマをクラウドスにぶち込み、亜空間に返そうというもの。眠ったまま怪獣退治をしようとした訳だが、間違えて鼻に耳栓を突っ込んでしまって起こしてしまった。しかも起きたクラウドスは重すぎてマックスには持ち上がらず。
 今回とにかくトミオカ長官が無茶苦茶個性出してる。怪獣の名前を付けて、「おかしいかな?」と恥ずかしそうにしてエリーにツッコまれるとか、とりあえず無責任な発言を繰り返すとか…それをフォロー仕様とする隊員達。こんなところがサラリーマンっぽい。コメディリリーフとして良い感じ。一方ヒジカタはほとんど何にもしてない所が個性出してる。こいつだんだん壊れてきてないか?単純な事ながら意外に見落とされがちなのが怪獣のネーミング。特に怪獣の場合自己紹介をする訳でないので、誰かがその名前を付けねばならない。
<土曜日の朝に怪獣が現れたというので、テレビを付けると「ウルトラマンマックス」がやってたりする。おいおい。
 高校上空でクラウドスの運搬を行うDASH。下では高校のブラスバンドがDASHのテーマを演奏してる…牧歌的な風景だ。
 イヤーシールドをクラウドスの耳ではなく鼻にくっつけてしまう。ヨシナガ博士がそれを指摘すると、ヒジカタは花を持ちだし、コバは「ナハ?」とタケチャンマンの真似を…
 クラウドスを持ち上げようとして音楽がフェードアウトするのも「ウルトラマン」のスカイドンの話と同じ。
 しかし、コメディ寄りの話がこんなに多いと、後々本作が単なるコメディという認識にならないか?とちょっと心配。>
第21話 地底からの挑戦

  監督:栃原広昭
  脚本:高木 登
  特技監督:鈴木健二
 長野県の和奈村に隆起地帯があることを聞きつけた若者二人が見物にやってきた。そこに現れる等身大のゴモラサウルス。フリドニア共和国にしか棲息しないというゴモラサウルスが何故日本にいるのか、調査をしていたフリージャーナリストの宮原香波はこれが20年前に密輸されたものであると言う。しかも密輸したGSTEという組織には香波の父が属していたという…
 敵は古代怪獣ゴモラ。言うまでもなく「ウルトラマン」で大阪城を破壊した有名怪獣で、強力な尻尾が武器で、体から切り離されても尻尾単独で動き回る。尻尾をマクシウムカノンで破壊した後、マックスギャラクシーで倒される。WEB上のファン投票でトップを取り、満を持して登場となった。確かに強力な尻尾や、科学的見地から生態を考えるなど、旧作への思い入れはたっぷり(最後に破壊されずに回収される下りも同じ)。
 今回中心はジャーナリストの香波という女性。過去に色々あって父との確執が未だ取れてない人物だが、父の犯した間違いを正そうというのか、父を救おうというのか、今ひとつはっきりしない役柄だった。これは多分名前が出てきただけの得体の知れない組織やら国やらの陰謀のスケール感に失敗したのと、中心を敢えてDASHと別方向に取ってしまった事によるのだろう。このスケール感だったら前後編でやるべきだったかも。それにゴモラも普通の怪獣となんら変わりがなかったようだし。ちょっと勿体ない作品だった…それでもゴモラの演出は一見の価値はある。
 久々にヒジカタ隊長の凛々しい姿が拝める。このところコメディリリーフ的な描写が多かっただけに、面目躍如と言った所。
<WEB投票ではゴモラがトップだったようだ。しかしどうせならこれまで出てきてなかった「帰ってきたウルトラマン」からグドンとかムルチとかであってほしかったな。ちなみに私も一応投票したんだよ…スペル星人で(実話)>
VOL.6
<A> <楽>
第22話 胡蝶の夢

  監督:実相寺昭雄
  脚本:小林雄次
  特技監督:菊地雄一
 「ウルトラマンマックス」の脚本家蓮沼は、このところ執筆中に居眠りをしてしまうことがよくあり、その度ごとに自らがカイトと同一化していることに気づく。一方、蓮沼の描く脚本の中のカイトも最近調子が悪く、ベースタイタンの中に蓮沼の部屋を見てしまうようになってしまう。現実世界の蓮沼と脚本の中のカイト。二人はある造形家の女性に新たなる怪獣の造形を頼むことになるのだが…
 敵は夢幻神獣魔デウス。デウス・エクス・マキナ(機械仕掛けの神)からの“金城的”発想によってネーミングされた。不定形物体で、基本的には球形ながら、攻撃を避けるためあらゆる形に変形する。マックススパークも通用せず、マックスを自らの中に取り込んでしまうが、マックスが体内のパワーを全開することによって内部から破壊。
 「ウルトラマン」の時代から活躍している実相寺昭雄の、本当に久々のシリーズ作品。しかしなんというか、ここまでメタフィクションな作品は前代未聞。さすが実相寺。今でもその冴えは健在のようだ。どっちかというと「ウルトラQ」のエピソードに近い(あるいは前衛舞台劇か?)。こんな実験的作品が許されるのは本作の幅の広さか?逆に、本作を受け入れることによって、本作は新たな段階へと進めるようになったのかも知れない。さすがかつて「ウルトラマンティガ」で「夢」、「ウルトラマンダイナ」で「怪獣戯曲」なる作品を作っただけのことはあり。それ以上にメタフィクショナルな作品に仕上がった。
 脚本家がマックスの世界に入り込み、カイトが現実世界に行ってしまう。結果的に脚本家の方がマックスに変身。カイトが自ら脚本を書くという、不思議な作品に仕上げられている。
 更に未だに健在なのが実相寺アングル。カメラアングルに無茶苦茶なこだわりが見られる辺り、やっぱり実相寺作品だな。
 「胡蝶の夢」(荘子)とはよく言ったものだ。脚本家自身現実にそう言う夢を見ることで脚本を書いているのだから…しかし、眠るたびに現実世界に怪獣を呼び出してしまうってのは救いようがないラストだな。
 しかし、これ朝っぱらから見た子はトラウマにならないだろうか?
<無茶苦茶メタな作品なのだが、なんと話の中に故金城哲雄の名前まで登場する。
 本作で遊ばれる事が多いのがヒジカタ隊長とエリーだが、ここでもエリーにけたたましく笑わせていたりする。>
第23話 甦れ青春

  監督:栃原広昭
  脚本:小林雄次
  特技監督:鈴木健二
 ミノス島にあるベース・ポセイドンへの視察に出かけるトミオカ長官のお供にカイトはダッシュバードを飛ばす。そこに待っていたのはなんとヨシナガ教授と、もう一人ダテ博士だった。実は最近ベース・ポセイドンの周囲の海水の温度が急激に上がっていることを調べるためにヨシナガはやってきていたのだ。そんな時、ミノス島に海中から高速で近づいてくるものが…
 敵は飛魚怪獣フラグラー。一見モグラのような姿をしているが海中での動きが素早く、口から高圧水流を吐く。トビウオの突然変異によるものらしい。弱点は背中にあるエラで、ここをダッシュバード3によって狙撃された後、マクシウムカノンで破壊される。
 ここも懐かしのキャラ登場の話で、今回は二瓶正也。「ウルトラマン」でのイデ隊員である。すっかり貫禄が付いたね。トミオカ(ハヤタ)、ヨシナガ(フジ)、ダテ(イデ)の三人はUDF結成以前から防衛庁で一緒に働いていたという…この3ショットは感慨深い。最近おちゃらけてばかりのトミオカ長官が、今回はとても凛々しいのも特徴か?
 今回は他にダテが開発したという特殊潜行艇が登場。後にダッシュバード3と命名される。ウルトラマンマックスと人間とが協力して怪獣を倒すという黄金パターンが展開される訳だが、これが一番バランスが良い。
<トミオカとカイトの出撃に際し、ヨシナガが「似たもの同士ね」と言っている…確かに似てるよな。ツボを突いてる。
 見事フラグラーを倒したウルトラマンマックスを見たトミオカは「ありがとう。ウルトラマン」で、しばらく時間をおいてから「マックス」と呟く。どっちもツッコミというほどじゃないけど。>
第24話 狙われない街

  監督:実相寺昭雄
  脚本:小林雄次
  特技監督:菊地雄一
 北川町で突如人々が凶暴化し、暴れた後で失神するという事件が続発。しかも記憶を取り戻すと、その記憶が全くない。実は数十年前も北川町では似た事件が起きていることが分かる。その時はタバコが原因だったのだが、今回はそれとは違っているようだ。カイトやミズキと共に調査に当たった楢崎刑事は被害を受けた人間は皆携帯を眺めていたと言う事実に気づく…
 敵は対話宇宙人メトロン星人。かつて「ウルトラセブン」に登場したのと同一個体で、下町で匿われて傷を癒され、40年の時を雌伏していた。実験的に携帯電話に怪電波を送るが、このままでは人間は放っておいても知性が後退すると判断し、そのまま宇宙に帰ってしまう。
 実相寺監督による「ウルトラセブン」第8話「狙われた街」のセルフリメイク作。しかし相変わらず実相寺は実相寺だ。今回は特に自らのプロットを破壊するほどの問題作。かつて「狙われた街」では、何故メトロン星人に地球が狙われたかという説明は、人間がお互いを信頼する社会を作り上げたから。だった。然るに本作ではメトロン星人は、地球人はわかり合えないことを理解して地球を狙うことをあきらめている…皮肉だな。今回バンクも多かったが、セブンの世界とマックスの世界は時空的に連続なのか…セブン自身が未来の話だそうだから、それも可能だろうが、むしろ本作も実相寺得意のメタ世界と思って見た方が良いのかも知れない。
 人間は放っておけば知性をどんどん失っていくと言うのが本作のテーマらしい。事実今の携帯社会はそう言われても仕方ないのでは?
 勿論四畳半での対峙シーンは健在。今回は社屋だけに広い空間に四畳半分の畳を敷いただけだった。
<わざとだろうが、リメイクだけあって構図と言い雰囲気と言い、本当に「狙われた街」を思わせる部分が多々出てくる。バンクシーンも多用。
 メトロン星人がカイトを誘って入り込んだのはなんと円谷の社屋にある怪獣倉庫。シーボーズ、ミクラス、ゴドラ星人などの着ぐるみが置いてある…というか、動いてる。
 チョキしか出せないメトロン星人が「ジャンケンしよう」と言っているけど…
 最後の怪獣説明の部分で昔のメトロン星人を紹介した後、「今はマックスがいるから大丈夫だよ」と言ってたけど、大丈夫じゃなかったんじゃないか?>
第25話 遙かなる友人

  監督:八木 毅
  脚本:太田 愛
  特技監督:鈴木健二
 ある夜、駈の部屋にやってきた友好的な宇宙人ネリル星人キーフ。怯えさせないように人間の姿となったキーフと友達となった駈。やがてDASHはキーフを見つけ出して保護するのだが、世論は彼を信用しない方向に動いていた。
 友好異星人ネリル星人キーフが登場。宇宙の観測員で、故郷に帰ろうとした際ワープの故障で既に母性が滅びていたという結構間抜けな宇宙人。本体は銀色の宇宙服姿の異星人だが、地球人に擬態することも出来る。あくまで人間に対し友好的に接するが、人間の方が彼を危険視している。キーフは自分よりも、これから地球にやってくる友好的な異星人のため、たとえここで殺されようとも有効な態度を崩さない。そしてその後地球にやってきた巨大異星人ゴドレイ星人。どことなくエビのような堅そうな装甲を持つ異星人で、腕の装甲を合わせることでマクシウムカノンも防ぎ、再生能力も持つため、マックスを追いつめるが、キーフが自らの身体を粒子化することでマックスへの攻撃を防ぎ、マックスギャラクシーにより粉砕される。
 地球人と異星人との友情が描かれる話で、70年代のSF小説にはこう言うのが結構多かった事を思い出す。ここに描かれている差別のメッセージはかなり強烈なのだが、割と温か目の話に仕上げたのが太田脚本らしさ。
 かつての「ウルトラセブン」シリーズを現代風に仕上げたような作品となっている。ラストでゴドレイ星人が出てきたのはちょっと間に合わせのようだが、これがないと話が成立しないから仕方ないか。これを否定的に捉えたら「ウルトラセブン」(OV)になる。どちらの側面で見るかによるな。話によってはこのまま実はキーフの死さえも擬態で、本当に地球を侵略しに来た。と言う具合に持って行くことも可能だったが、それをやらなかったのが良し。
<キーフは地球に不時着したという割りには地球人の習慣をあっという間に理解したらしく、コミュニケーションはおろか新聞まで読んでる。
 DASH基地でショーンの計らいでキーフと会見したカイト。キーフは「君がこの星を守ってる巨人だね?」と良い、カイトは頷くわけだが、ショーンはそれを聞いてなかったんだろうか?>
VOL.7
<A> <楽>
第26話 クリスマスのエリー

  監督:八木 毅
  脚本:太田 愛
  特技監督:鈴木健二
 コバとショーンはエリーを連れてクリスマスプレゼントを買いに出かけた。クリスマスというのが理解できないエリーだが、人混みにまぎれてコバとショーンとはぐれてしまった。そんなエリーは不思議な老人を見かける。何かの探査機を用い、「ユニジン」を見つけていると言うのだ。その老人に同行するエリーだったが…
 神話の幻獣ユニジン登場。すっきりしたデザインで、光の演出とあいまって神々しいイメージを演出してる。時空を旅するプラナリアのような生物で、12年に一度、ほんの一瞬だけ現代の地球に来るという。古理博士が捕獲装置を作ったため、現在の時間に多少長く止まったが、そのために周囲の時空をゆがめることになる。
 珍しいエリーが中心の話で、彼女が感情豊かになるために人間にもまれていく過程を描いている。自分のペースでエリーを引きずり回す古理博士はなかなか良い配置の仕方。特にエリーが自分自身に生じた感情に戸惑っている姿は妙にはまってる。クリスマスらしい作品で、これも太田愛脚本の特徴か。
 基本的に害を及ぼさないユニジンにどうやってマックスを絡ませるか?と思ったら、なるほど存在自体が周囲に害を及ぼしてしまうと言う具合に持って行き、その周囲にバリアを張って時空の乱れを調整していた。
<ミズキが今回ぶっ壊れてる。古理博士に対し、「よくもウチのエリーを…って。女将さん化してる。
 古理博士は色々な店から万引きして、しかもカメラに映ってるというのに、警察ではなくDASHが活動してる。つーか、誰もそれを指摘しないようだけど。>
第27話 奪われたマックススパーク

  監督:八木 毅
  脚本:小中千昭
  特技監督:八木 毅
 アパートで男が暴れているという通報を受けた警察が男のアパートに踏み込むと、そこには昏睡状態の男と、エレキングの幼体の姿が発見される。DASHの分析で、エレキングは侵略を目的とする何者かが作ったバイオメカニックであることが判明。しかも都内には微弱ながら同じ周波数が発信されていることが分かった。調査に向かったカイトとミズキだったが…
 敵は放電竜エレキング。幼体はまるで蛇のような姿をしていることが今回判明。結構気持ち悪い。そしてエレキングの目的は電気を奪うことだが、それも人間の脳波から出る電気を奪うと言うことが判明する。そして変身怪人ピット星人も登場する。そもそも「ウルトラセブン」ではエレキングを操っていた宇宙人だが、ここでは人間の脳波の電気を奪うため複数のエレキングの幼体を送り込んでいた。人間体に変身することも出来、カイトからマックススパークを奪い取る。
 再びエレキングの話となるが、今度は前回登場しなかったピット星人までが登場してる。前回のエレキングが何故出てきたのか?と言う所まで突っ込んでなかったのはこのためかと思われる。巧い構成だ。
 言うまでもなく本作は「ウルトラセブン」37話の「盗まれたウルトラアイ」からの影響が強く感じられる作品。
 今回の演出は大変凝ったもの。カメラアングルや、バストアップの撮り方、そして一々画面に色の演出を入れるなど、これまでにないエフェクトを多用している。それでどことなくホラー映画のような印象を受けるが、事実ここまでやると映画並みに迫力が感じられる。
 エレキングに魅入られたミズキの命を救うことでカイトとミズキの仲が少しは進展したっぽい。お互いに「隊員」を付けないで呼び合ってる所にそれを感じさせる。
<ミズキと一緒に出撃したカイトは「こうやって一緒に出撃すること、多いよね」と発言。すぐにミズキにたしなめられるが、確かにこのパターンは多すぎる。
 マックススパークを奪われた状態のカイトは何故か無茶苦茶に強い。『ダイ・ハード』っぽい。逆にピット星人は人間の姿を取っている方が強いのは何故?>
第28話 邪悪襲来

  監督:村石宏實
  脚本:林壮太郎
  特技監督:村石宏實
 正月を迎えたDASH基地では書き初めをしていた。正月休みを取ったカイトは古巣の関東ボランティアネットワークに“里帰り”していた。そこで新しくボランティアを始めているリリカという女性と知り合うカイトだったが、彼女は自分が地球人でないことをカイトに告げ、邪悪の化身が地球にやってきていることを告げる。
 敵は凶獣ルガノーガー。両手が龍の顔になっている凶悪な怪獣で、デザイン的にもまさに「邪悪」っぽいイメージ。実は怪獣デザインコンテストの最優秀賞を得たもの。体組織は堅牢でビームを跳ね返し、やはり口の付いた尻尾からはあらゆるエネルギーを吸い取ってしまう。
 話は極めてストレートな展開を見せる。邪悪な怪獣が宇宙からやってきて、その前に危機を伝えるために善良な宇宙人がやってきている。正月に放映だと言うことからか、かなり派手な作り方をしているのも特徴か?オーソドックスすぎてそれ以外に特徴が感じられないけど。
 どことなく伊福部マーチに似た音楽の使い方も良い。
 そう言えばカイトが孤児と言うことがここではっきりした。
<冒頭、「緑溢れる惑星」とナレーションが入ったが、本当に緑色の惑星だった。普通比喩的に地球を指すことが多いんだけど。
 子供達と無邪気にドッジボールをしているカイトに対し、ミズキは呆れて「男って幾つになっても子供なんだから」と呟いたら、隣に少女がいて、完全にハモっていた。>
第29話 怪獣は何故現れるのか

  監督:村石宏實
  脚本:小中千昭
  特技監督:村石宏實
 テレビの怪獣災害についての対談に出演したヨシナガ教授は、日本人がずっと以前より怪獣を想像してきたことを指摘するSF作家の佐橘と激論を戦わせる。その放送中、渋谷に怪獣が現れたが、カイトとミズキがいたカフェではマスターが「40年以上前に、こいつの牙を一本折ったのは私だ」と謎の言葉を語るのだった…
 敵は牛鬼怪獣ゲロンガ。40年前「ウルトラQ」の撮影最中に現れたという曰く付きの怪獣で、マックスに牙を折られ、奥多摩の地下に戻される。尚、久々に着ぐるみ俳優の演技の妙を魅せてくれた。
 これまた遊び心に溢れたメタ作品で、今回は「ウルトラQ」について言及されている。そもそも「ウルトラQ」とは「ウー」という企画が「UNBARANCE」となり、最終的に怪獣の登場する番組へと変えられた推移を持っているが、その辺までちゃんと説明されているのが凄い。ついでに言えば、オープニングで「ウルトラQ」のナレーションである「これから30分、あなたの目はあなたの身体を離れ、この不思議な時間に入り込むのです」というナレーションまで入ってる。それに佐原健二、西條康彦、そして桜井浩子という「ウルトラQ」トリオが再現されているのが、ファンとしてはたまらない内容になっている。はっきり言って画面の前で悶絶したぞ。私ゃ。
 勿論「ウルトラQ」は基本的にはウルトラヒーローが登場しない作品なので、ここにマックスを持ってくることでしっかり差別化も図られている。コミカル且つ重厚な物語は、勿体ないくらいの素晴らしい出来だった。
<最初に明らかにデートを楽しむカイトとミズキ。ここまで明確に出したのは結構珍しいことだね。
 佐原健二演じる佐橘(なんだこのネーミング?)は「日本ではスクリーンやテレビに数多くの怪獣が現れ…」と語っているが、それはひょっとしてこの作品自身を語っているのでは?メタフィクションとはまさにこのことを言う。>
VOL.8
<A> <楽>
第30話 勇気を胸に

  監督:高野敏幸
  脚本:小中千昭
  特技監督:高野敏幸
 カイトは夢でマックスと出会った時のことを思い出していた。ただし夢の中でのマックスはラゴラスの冷凍光線で瀕死のカイトを無視し、カイトはそのまま死んでしまうという内容。目覚めたカイトは、何故マックスが自分を選んだのかと改めて考えるのだが、丁度その時、怪獣出現の報が…
 敵は進化怪獣ラゴラスエヴォ。1話に登場したラゴラスの進化体で、攻撃力、知力とも上がっている。マックススパークまでも跳ね返すが、ショーンの開発したA.G.メーザーにより破壊される。
 ウルトラマンシリーズの一つの命題“何故ウルトラマンは自分を選んだのか?”という主人公のアイデンティティが描かれる話。これはある程度目をつぶることによってシリーズは成り立つのだが、それを改めて見直すというのも面白い試みだろう。カイトのみならずショーンの悩みも同時に描かれており、それが「ウルトラマン」のハヤタとイデの関係を思わせるのだが、旧作との関わりを強調した脚本を書く小中千昭だけに、これは偶然では無かろう。
 話もかなり進んで、終わり近くになってこういう話を出すというのも面白い所だ。マックスも「もう長くはいられない」とカイトに告げている。
 マックスに変身することを躊躇することで、マックスとの繋がりは増し、更にDASH隊員として地球の平和を守る思いを強くする。そして人間の知恵が怪獣を撃退。ベタではあるが、巧い作りでもある。
<冒頭でヒジカタ隊長が、殺されてしまったカイトを見やって「勇気と無茶は違う」と言ってたけど、これは「魔法戦隊マジレンジャー」でも同じ事を…>
第31話 燃えつきろ!地球!!

  監督:梶 研吾
  脚本:中島かずき
  特技監督:高野敏幸
 最近盆栽に凝り、どことなくぼんやりとした感じのトミオカ長官。それを見たショーンは燃え尽き症候群ではないか?と推測していた。そんな時に地球に落下してきたモエタランガはテレパシーでカイトにこの地球はまもなく私のものだ。と宣言する。モエタランガに攻撃を開始するダッシュバードだが、DASHの面々は例外なく極端に心が燃えていき、無謀な攻撃を銜えていく…
 敵は挑発星人モエタランガ。生物の生体時計を10倍に早めることが出来るモエタランガウィルスを放出する。基本的に次元移動して敵の攻撃を避けるだけだが、勝手に自滅してくれる。
 懐古趣味と笑いがミックスされた、やっぱりギャグ編の一編。「帰ってきたウルトラマン」のヤメタランスの逆パターン。モエタランガの目的も「地球征服」と口では言っていながら、実は人間の精神を食うという、単なる食事だと言うのも人を食っていていて良い。冒頭でぼんやりしていたトミオカ長官がモエタランガのお陰で普通の反応になってるとか、ダテ博士の再登場とか、見所も多い。
 しかし、ギャグだけで終わらせていないのも本作の面白さ。ウルトラマンは地球人と合体することで「肉体という牢獄」に捕らわれているというモエタランガの発言に対し、実はそれこそがウルトラマンの強さであると言うことがここで語られる。ヨシナガ教授が「計算外をやるのが人間の可能性」と言っているのが実は人間の強さとなっている。たとえ人間は燃え尽きようとも、復活することが出来る…なんともストレートな、文字通り燃えるような作品に仕上がってくれた。
 一人冷静な存在としてエリーがいるのは本作の強味だな。それに「ウルトラマン」トリオの活躍が面白い。
<冒頭、トミオカ長官が登場。懐から剪定鋏を取り出して、まるでベータカプセルのように空にかざす。というか、このポーズは本当に懐かしい。
 モエタランガのウィルスに感染すると、みんな目に炎が宿る。ヒジカタ隊長はダッシュバードが墜とされてもいっこうに気にせず、「ファイトー」と叫びながら落下してる。それで生きてるなよ。ついでに言うならマックスの変身及び動きも10倍増し。
 カイトはエネルギー切れのままマックスに変身。変身した途端に倒れ込んでしまう。
 トミオカ長官はダッシュバードで出撃するが、コクピットにはしっかり盆栽の姿が…
 マックスはモエタランガを袈裟懸けにする。それで真っ二つになるか?と期待したが、結局はマックスギャラクシーでとどめを刺してた。切断はやっぱり無理か?>
第32話 エリー破壊指令

  監督:梶 研吾
  脚本:大倉崇裕
  特技監督:高野敏幸
 射撃訓練を行っているコバをアドバイスしていたエリーは何者かにハッキングされてしまう。ダッシュアルファで基地の外に出てしまうエリーを必死に追うコバ。実はエリーをハッキングしたのはかつて地球に来たケサムの同胞ケルスであり、エリーをミサイルの誘導装置に仕立てたのだ。それを知ったトミオカは苦渋の選択としてエリーの破壊を指令する。後は名前のない工作員が大挙して登場。
 敵は宇宙工作員ケルス。7話に登場したケサムと同族の宇宙人で、ケサムと較べて遥かに好戦的。エリーをミサイル誘導装置に仕立て、地球の全DASH基地を破壊しようとする。巨大化も出来、地下に潜って下からマックスを攻撃したりする。
 7話「星の破壊者」の続編とも言える内容で、ケサムと酷似した宇宙工作員ケルスが登場。ただ、7話と較べるとケルスの描写は純粋な悪役であり、その分話は単純になってる。
 上層部に対する現場の反乱というのは割とウルトラマンシリーズには多いが、エリー破壊を命じるのが顔の見えない上層部というわけでなく、トミオカであったという点がこれまでとは異なる展開か。
 それで単調に陥りがちの展開を回避したのがキャラクタの描写。これまでバイプレイヤーとして色々おいしい所を持って行ったエリーが中心となる話で、彼女は自分を機械であると認めつつ、心があると発言しているのが、本作を通して彼女も成長していることを強調しているのだろうと思われる。コバのエリーに対する思いもいつの間にか機械として見ていないようになってることも分かる。
<ケルスは事ある毎にケサムをこき下ろしてるが、コンプレックスの裏返しにしか見えない。
 マックスと同時に巨大化したケルスも巨大化シーンはシリーズのウルトラマン変身と酷似してる。マックスとの対比なのかな?>
第33話 ようこそ!地球へ 前編 バルタン星の科学

  監督:飯島敏宏
  脚本:千束北男
  特技監督:菊地雄一
 遠ヶ崎の海岸で市ノ瀬勉という少年が巨大な怪獣を目撃。早速DASHに通報するのだが、怪獣は忽然と姿を消してしまった。そして次の日、同じ海岸で今度は駐在が怪獣を目撃する。再び出動したDASHだが、やはり怪獣はいなかった。嘘つき呼ばわれ去れ、更に駐在からも「忘れよう」と言われてふてくされた勉だったが、そんな勉の前に小さな宇宙人が現れる。彼女はタイニーバルタンと名乗り、今地球はダークバルタンによって侵略されようとしていると伝えてくるのだが…
 超科学星人タイニーバルタンが登場。かつて宇宙忍者と言われたが、ここでは超科学星人と付けられ、地球に危機を知らせに来ている。そして敵としてダークバルタンも登場。「フォフォフォフォ」という鳴き声も健在。時間や重力を自在に操り分身を駆使するほか、通常の巨大化以上の超巨大化も可能。それに対抗して超巨大化したマックスだが、エネルギー消耗の激しさのため、あっというまに倒れてしまった。
 前後編の前編だが、タイトルにまで「前編」と書かれたのは本作では初めてのこと。
 バルタン星人は勿論「ウルトラマン」が初出の最も有名な怪獣だが、なんとその2話「侵略者を撃て」の監督飯島敏宏が本作の監督をしているという豪華なお話(ついでに言えば脚本の千束北男は飯島敏宏のペンネーム)。
 それと今回も特別ゲストが登場。最初に登場した駐在さんは真夏竜。言わずと知れた「ウルトラマンレオ」のおおとりゲンである。更に警備員役として毒蝮三太夫…「侵略者を撃て」と同じくバルタン星人と接触した役になってる(こちらはほのぼのしてるが)。
 今回ヨシナガ教授が常識的な大人を演じ続けているのも特徴だろう。
<タイニーバルタンが変身した少女は箒に乗って飛んでいく。
 DASH司令室が無重力になってしまうが慣性の法則は通用されてない。
 バルタン星人はDASHに通信を送り、自分を「私はバルタンの星からやってきた宇宙人だ。地球人を破滅するためにやってきた正義の宇宙人だ」と自己紹介。これも懐かしい演出だ…というか絶対狙ってるだろ?
 今回のカイト、無重力でダッシュアルファから放り出された所でマックスに変身してるけど、この角度だと絶対見られてるって。
 ツッコミじゃないけど、真夏竜が出てきたんだったら、折角だから森次晃嗣も出て欲しかった。一度オザキ博士役で出たんだから、それも可能だったんじゃないかな?…そんなことしたら収拾付かなくなったか?>
VOL.9
<A> <楽>
第34話 ようこそ!地球へ 後編 さらば!バルタン星人

  監督:飯島敏宏
  脚本:千束北男
  特技監督:菊地雄一
 ダークバルタンによりマックスは倒され、DASH基地の司令室も重力バランスを崩し、回復の目処が立たない。タイニーバルタンは一度バルタン星に帰って秘密兵器を持って来るという。それにつきあうことになったミズキだが…
 タイニーバルタンおよびダークバルタンの続編。ダークバルタンはマックスに対し勝ち誇っていたが、マックスの復帰により、自らの体を無数に分裂させて攻撃してくる。スペルゲン反射板もしっかり装備(ここではなんと言うんだろう?)。銅鐸の音に心打たれ、本来の心優しき姿に戻ってタイニーバルタンと共にバルタン星に帰って行く。
 「ウルトラマン」の「侵略者を撃て」とは異なり、子供を主体にした話に仕上げられてるのが特徴。それで割を食ったのがなんと主人公のマックス。最大のライバル相手に良い所無しとは、なんとも可哀想な。それにしても無数に分裂したバルタン星人とマックスの戦いは無茶苦茶だ。
 バルタン星で何が起こっているのかがここで語られる。過激派と穏健派がやり合っているというのは、どこか「帰ってきたウルトラマン」の49話「宇宙戦士その名はMAT」のミステラー星人の話に似てもいる。
 話自体は結構馬鹿馬鹿しい感じもするが、宇宙に出られるようになった地球人というものの未来をえぐる話にもなっている。宇宙侵略を企てる地球人に味方するマックスとはなんだ?飯島監督の意地だろう。ラストはほのぼので終わったと思ったら、海岸にはうち捨てられたゴミの山が…お陰でこれだけの時間に詰め込むだけ詰め込んだ感じだ。
<OPのラストで「フォッフォッフォ〜」というバルタン星人の鳴き声が聞こえる。なかなかこれは巧い演出だ。
 エリーを通常に戻すためにヒジカタがコバに命令したのは、まるで動物の餌付けのような方法…なんだかヒジカタって柔らかくなりすぎ。それでエリーは「私の好きなコバのために正常に戻します」…おいおい。
 タイニーバルタンの言葉に従ってミズキは方舟アークの元にタイニーバルタンを連れて行く時、「当たって砕けろ。身を捨てて浮かぶ瀬もあれ。瓢箪から駒。五里霧中」と呟いてる…最後の言葉は?
 タイニーバルタンは子供達の目の前でカイトを助け、「ウルトラマンマックスに!」と叫ぶ。子供達にバラしていいのかよ?
 シリーズを通して妙に日本語に堪能なバルタン星人。今回は「お茶の子さいさい」等という言葉を使っている。
 タイニーバルタンがバルタン星から持ってきたのが美しい音を持つ銅鐸。こんなものがあるんだったら、もっと早くバルタン星は平和になって然りだったのでは無かろうか?
 今回に関してマックスはエネルギー切れを全く気にせずに戦ってる。これもタイニーバルタンから力を与えられた結果だろうか?ちょっと都合良すぎる気もするけど。
 イデ隊員ダテ博士が最後に取り出したメタモルフォーザー。この際「こんな事もあろうかと」という台詞が…感涙もの。>
第35話 M32星雲のアダムとイブ

  監督:金子修介
  脚本:藤川桂介
  特技監督:鈴木健二
 地球より230万光年離れたM32星雲に超新星の爆発が発見された。そしてそこから地上に落下した怪獣ホップホップ。DASHはそれを保護するが、マスコミはこの怪獣の危険性を指摘する。一方、そのホップホップから分かれて落下した物体を二人の姉弟生田希望と宇宙が発見する。
 星雲守護獣ホップホップ登場。オウムガイのような可愛い姿が特徴の怪獣。M32星雲の第五惑星の守護獣だが、惑星の爆発で地球に送られてきた。眠っているが、メッセージを繰り返し送っている。目覚めた時に守っていたアダムとイヴがいなくなっていたので、暴れ回るが、マックスにより、より生存に適した金星に連れて行かれる。そしてホップホップが守っていた星雲小獣アダムとイブ。この二体の怪獣がM32星雲の命をつないでいくことになる。
 久々の藤川桂介脚本。70年代にはアニメや特撮で大活躍した人だが(シリーズでは「ウルトラセブン」以来)、本作も70年代風のファースト・コンタクトものとしてまとめられている。それを受け止めたか、金子監督はノスタルジー溢れる作品に仕上げている。SFに大きな夢があった頃の面白さを思い出させてくれる。
 怪獣の無害を主張する主人公に対し、危険性を訴えるのがマスコミの側という構図も懐かしい。
 懐かしくオーソドックス。ということで、ツッコむところも少ない。
<あれだけ巨大な物体が地球に落下した際に起こる爆発は考えに入れてないらしい。これは昔からの不文律。
 「ウルトラマンマックスは怪獣が現れたら殺しちゃうよ」と言う少女の主張…そりゃそうだけどさ。それで慌てて否定するカイトの焦った様子がなかなか笑わせてくれる。
 ラスト、「どこに行ってたの?」と聞くミズキに対し「ちょっと金星まで」と応えるカイト…嘘は言ってないけどね。>
第36話 イジゲンセカイ

  監督:金子修介
  脚本:福田卓郎
  特技監督:鈴木健二
 UDFはベース・タイタンに新しい防衛システム“ディメンション・フォース”を導入することになった。ところがこの開発者の四谷博士はとてつもない変わり者で、DASH隊員を見下す発言を繰り返し、更に研究室を絶対に覗くな。と厳命する。ところが研究が進むに連れ、ベース・タイタンの周囲に異変が…
 敵はこれまで現れた装甲怪獣レッドキングで、これを呼び寄せたのはかつて散々DASHを翻弄した幻影宇宙人シャマー星人だった。他に危険を伝えるため電脳珍獣ピグモンも登場する。
 18話の「アカルイセカイ」も笑える話だったが、同じシャマー星人が登場するこの話もやはりかなり笑えるものに仕上がっている。特にシャマー星人を演じていた渡来敏之の怪演ぶりが映える。
 エリーがピグモンと同化してしまい、カイトに懐いてしまった。そこで混乱するDASHの面々の姿が描かれる。
 レッドキングはかつてマックスによって宇宙に吹っ飛ばされたはず。例のご都合主義か?と思ったら、「別個体です」とちゃんと説明が入ってた。
<カイトはピグモンのことを「友好珍獣」と紹介しているが、そちらはオリジナルの方で、こちらでは「電脳珍獣」が正しい。
 ピグモンと同化してしまったエリーを巡って混乱するDASHの面々。ベタベタとカイトにスキンシップを求めるエリーに対し、特にコバは「動物が懐いてるだけだ」と自分に納得させるのに、後ろでミズキが「そうとは思えないけどね」と致命的なこと言ってるよ。
 ピグモンはマックスがカイトであることを知っているため、マックスの姿を見て思わず「頑張ってカイト」と応援してしまう。この辺の下りが笑える。
 マックスを異次元に吹っ飛ばそうとするシャマー星人の放つ光線の気配を感じ、さっとよけるマックス。だけどなんとレッドキングまで避けてしまった。その後なんと右手を突き上げた飛行ポーズをとってレッドキングが大ジャンプ。無茶なことするな。
 シャマー星人のディメンション・フォースは生命体のみを異次元に吹っ飛ばすのだが、ビルを消し去ってしまった。この中にいた人はやっぱり異次元に言ってしまったのだろうな。
 ショーンが開発したブラック・ディメンションは一定空間を暗闇で覆ってしまうと言うものだが、これって要するに墨ぶっかけてるだけという気もしないでない。>
第37話 星座泥棒

  監督:八木 毅
  脚本:小林雄次
  特技監督:鈴木健二
 デートで天体観測をしていたカイトとミズキの前で突如星が集まりだし、星獣ケプルスの姿を取った。光を嫌うケプルスは街の光を次々と消し去っていく。そしてミズキの前に現れた成宮という男はミズキを自らの同胞と語りかけるのだった…
 敵は星獣ケプルス。サトン星人が呼び出した怪獣で星空の光が集合して出現した、天球界の創造と終焉を司るという守護獣。光の集合体のため、物理的に倒すことは出来ず、サトン星人と共に宇宙に帰って行った。
 ミズキを中心としたファンタジックな話として仕上げられる。こう言うのを包含する幅が本作の特徴だろう。ミズキが実は異星人の子孫であったと言う事実と、宇宙の広がり。そしてミズキとカイトとの恋愛の様子も描かれている。
 話自体はファンタジックだけど、内容的にはかなり硬質な話。星空に憧れる人間は、やがて自分自身の光を作り出し、星空へのあこがれを捨ててしまった。それを寂しさと共に、これが人類の進歩につながるという希望を同時に描いている。特撮としては珍しいタイプの作品だ。
<ここで天球界の事について語られるのだが、宇宙は巨大なプラネタリウムというかなり無茶苦茶な理論になっていて、この話だと、今までとの整合性が取れなくなってしまうが、この世界では。という注釈なのだろう。
 ラストのエリーの願い「いつまでもみんなと一緒にいられますように」というのは、最終回を目前とした本作の行く末を暗示しているようだ。
 そう言えばサトン星人には通り名が無いんだな。珍しい。>
VOL.10
<A> <楽>
第38話 地上壊滅の序曲

  監督:八木 毅
  脚本:小中千昭
  特技監督:八木 毅
 怪獣スカウトバーサクが出現。カイトはマックスに変身し、これを退けるが、まるでそれを見守るかのように街には不思議なオブジェがあった。そしてそのオブジェは自らをデロスと呼び、地球人類に地球を守るため文明を退化させるように忠告。日本のベース・タイタンおよび世界各国のUDF基地が全滅してしまった。更にマックスはカイトに「もうすぐ地球を去りM78星雲に帰らねばならないと告げる…
 敵は機械獣スカウトバーサク。都心に現れた龍のような機械で出来た怪獣。あっけなくマックススパークで粉砕されるが、これはマックスの戦力分析を行っているだけだった。そして機械獣サテライトバーサク。デロスを守っており、「ウルトラセブン」に登場したユートムのような存在だろうか?
 本作最終話の序曲。これまでの展開とは大きく異なり、地球の未来を含めて大変重い内容になっている。文明が地球を滅ぼすというのは、70年代の特撮作品ではよく用いられたネタであるが、脚本の小中千昭らしい難解な言葉遊びが多用されている。更にミズキの生命活動停止。そしてカイトの絶望など、実に骨太な内容に仕上がっている。テンションも異様に高い。
 オープニングでベース・タイタンが既に壊されている状況で始まり、話は二週間前へと戻るという面白い構成をしており、最初はかなり混乱した。それだけ情報量が詰まっていると言うことになるだろう。
 話自体は「ウルトラセブン」の17話「地底GO!GO!GO!」を拡大したような話で、やや42話の「ノンマルトの使者」が入り込んでる感じ。やはりハードな物語はセブンってことだろうか。
<たたみかけるような物語に圧倒されてしまったため、ツッコミを入れる余地がなかったが、敢えて言うなら、モホロビッチ不連続面にある空洞が普通の洞窟と変わらなかったことくらいか?>
第39話 つかみとれ!未来

  監督:八木 毅
  脚本:小中千昭
  特技監督:八木 毅
 ミズキの死を信じられないカイトは必死に蘇生術を施し、ミズキの命は助けられた。それを見たデロスは地上人が命を大切にする事を知る。だがバーサクシステムは既に発動されており、デロスにも既に止められないという。マックスの能力を全て解析しているというバーサークは対マックス用にギガバーサークを作り出し、マックスに戦いを挑むのだった。既にエネルギー不足に陥っていたマックスはなすすべもなく…
 敵は機械獣ギガバーサーク。バーサクシステムによってマックスを倒すために作られた巨大怪獣。その大きさは人間と通常の怪獣の対比に比するほど。太陽エネルギーにより復活したマックスが更に巨大化し、地球規模に伸びたマックスギャラクシーの光の剣で倒される。
 話自体は「ウルトラマン」最終話「さらばウルトラマン」を意識しているように見えるが、マックスの力も及ばない強大な敵に対し、人間側が努力するあたりは「ウルトラセブン」41話「セブン暗殺計画」と共通してる(他にカイトがミズキにカミングアウトするのも49話「史上最大の侵略」から)。
 地球の先住民族と人間の関係をどう描くかが本作の重要点だったが、人間同士の思いやりを見せることで和解するという話に持って行った脚本は巧い。結果的に人間の心の力こそが最強の強さを見せるというのは平成ウルトラマンでは一貫したテーマとなってる。
 DASHの面々全員にしっかり見せ所を持って行く演出も良し。実にバランスの取れた脚本となっている。最終回はこうあって欲しいという内容をしっかり演出してくれてる。多少パクリ部分は多いにせよ、「ウルトラマン」のゾフィのような存在が無かったのも良かったと思う。“なんでもあり”的な部分が大変多い作品だったけど、しっかり締めるべき所は締めてくれた。
 カイトがミズキに対し、自らがマックスであることを明かしている。自分から正体を明かすのはこのシリーズではいくつかあるが、それが同僚の女性というのは「ウルトラセブン」以来か?
 最後は50年後の話が描かれている。38話でエリーが予測した未来図をきちんと覆してくれている訳だな。それに、これを演出することによって、本作が他のウルトラシリーズとは異なり、単体で“閉じた”物語であることを印象づけてくれた。
<特撮では極めて珍しいキスシーンがあり。ただしここでは人工呼吸だが…これって「愛の戦士レインボーマン」でもやってたな。
 地球先住民族であるデロスをマックスは敵と見なしてなかったが、ギガバーサークには戦いを挑んでる。
 ヨシナガ博士は「マックス」と呼ばずに「ウルトラマン」と呼んでる。ただし、彼女にはこれが許される!
 地球を救ったマックスを宇宙で待つゼノン…助けに来なかったのは脚本上大切な要素だったが、結構冷たい奴だな。
 最後50年後の未来が描かれ、カイトとミズキが結婚して老人となっている事が分かるが、異様に若すぎるんじゃなかろうか?
 全く的はずれなツッコミかもしれないが、エリーと一緒にいるロボットの名前が“ココ”だったのは、エリーが最後に「ココ、どこ?」と言わせるための伏線だったのか?>
第40話 スペシャルフィナーレ ウルトラの未来へ

  監督:八木 毅
  脚本:小中千昭
 回想形式でこれまでの戦いを振り返る話。
 基本的にバンクながら、なんと39話全ての怪獣を紹介しつつも、きちんと一つの方向性を作り上げていた。その中で基本はカイトとミズキの関係で、最後に結婚して、その孫が宇宙に出る所までしっかりと描いていた。