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ウルトラマンティガ

ウルトラマンティガ事典

1996'9'6〜1997'8'30

 時代も平成となり、復活が望まれたウルトラマンシリーズの要望を受け、円谷プロが作り出した新シリーズのウルトラマン。大きな特徴としては旧来のシリーズとは関連を持たず、地球産のウルトラマンと言うこと。完全に新しいウルトラマンとして広く認知された。円谷プロにとっては、初めて本格的にCGを活用した制作となり、以降の作品の試金石となった。又テーマソングも人気グループのV6が歌い、更にそのメンバーの長野博を主役に抜擢することによって、旧特撮ファン以外からの新しいファンも作り出すことに成功し、後の「ダイナ」「ガイア」の二作品も制作された。そのためこの3作は「地球シリーズ」とも言われる。

 初の試みとして、ウルトラマンの形態変化がある。基本形態となる紫と赤と銀の形態(マルチタイプ)、赤と銀の形態(パワータイプ)、

 前半部分は作りが真面目なだけに、ツッコミ所が少なかったが、後半になってスタッフの慣れが出てくると、様々なお笑い要素も入るようになっていくが、その要素は次の「ダイナ」で見事に昇華されていく。

主な登場人物
マドカ・ダイゴ
ウルトラマンティガ
(役)長野博。V6のメンバー。彼のお陰で本作は広く周知されることとなり、V6の歌う主題歌のお陰で最も歌われる曲になった。
 GUTS隊員で、人柄は温厚。超古代人の遺伝子を受け継いでいたため、光を受け継いでウルトラマンティガに変身する能力を得る。
イルマ・メグミ (役)高樹澪。主にビデオ映画で活躍。
 GUTS隊長。地球外生命との交渉計画の責任者だったが、新設のGUTS隊長となる。基本的に軍事力に頼らずに怪獣を追い払う事を常に念頭に置いて行動している。夫と死別し、子どもは夫の実家に引き取られている。シリーズでは初の女性隊長である。
ムナカタ・セイイチ (役)大滝明利。OV版「ウルトラセブン」などでもちょい役で出演してるが、着ぐるみの格闘シーンの担当でもあるらしい。
 GUTS副隊長。主に後方で適切な指令を与えるイルマ隊長の全面的な信頼を受け、全線で活躍している。ジャズバー好きなのだが、実は酒が飲めない。
ホリイ・マサミ (役)増田由起夫。
 大阪弁が特徴のGUTS隊員。兵器開発の第一人者で、軽く見られることが多いが根は真面目。異星人とのコンタクトを夢見ている。
シンジョウ・テツオ (役)影丸茂樹。この当時から今に至る円谷作品の常連で、ウルトラマンシリーズに複数登場している。
 GUTSきっての射撃の達人。ダイゴと共に出動することが多いのだが、組んだ人間が悪いのか、よく墜落に巻き込まれる。意外に恐がり。ネーミングは若くして死んだ初期ウルトラマンシリーズの脚本家金城哲夫にちなむ。
ヤナセ・レナ (役)吉田多香美。
 GUTS隊員。エースパイロットでダイゴとパートナーを組むことも多い。宇宙ステーションデルタのヤナセ技官の娘だが、両親の離婚がトラウマとなっており、ヤナセと言う姓をあまり快く思ってない。
ヤズミ・ジュン (役)古屋暢一。
 最年少のGUTS隊員。コンピュータにかけては随一。本人は武闘派を気取っているが、イルマ隊長からいつも出撃を止められてしまう。
シンジョウ・マユミ (役)石橋けい。
 シンジョウ隊員の妹でTPC医務局に勤務している。オートレーサーである恋人のタクマとは15話で死別。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 光を継ぐもの

  監督:松原信吾
  脚本:右田昌万
  特技監督:高野宏一
 21世紀となった地球は軍事力を放棄し、TPC(地球平和連合)の設立により平和が確立。地球人類は平和を謳歌していた。しかし、謎の隕石の落下と怪現象が発生するようになった。そしてモンゴルに現れる怪獣。TPC極東本部の超常現象調査のエリート集団「GUTS」は謎の隕石を分析したところ、それは古代人類が作り出したタイムカプセルであったことが分かる。そこに込められたメッセージから、怪獣ゴルザとメルバの復活と、それに対抗するためにはティガの巨人が必要だと分かるのだが…

 敵は超古代怪獣ゴルザ超古代竜メルバ。ゴルザはモンゴルに現れた初めての怪獣で、四本足の硬い殻を持つ怪獣(二本足で立つことも可能)。ツノから光線を出すが、ティガのパワーの前に地中に逃げ帰る。メルバはイースター島から現れた翼を持つ怪獣。一番最初に倒された怪獣となった。この二体の怪獣は三体あったティガの像の内二体を破壊してしまう。
 「ウルトラマン80」から実に16年後に作られた新しいウルトラマンの誕生が描かれる。ここでのティガは宇宙からやってきた存在ではなく、古代人類が信仰の対象としていたもので、地球産であることが分かる。更に石像に人間が融合することで誕生するという、これまでとはひと味違った存在感を見せている。
 当然第一話だけにティガの圧倒的パワーが描かれる訳だが、体色の変化など、以降のティガの能力が惜しみなく出されていた。
 それと、これまでにはなかったCGの多用も挙げられよう。特撮も色々な意味で進化していることを感じさせる作品に仕上げられている。
<地球人類は武力を放棄したことになっている。しかし、GUTSは軍事力としか見えないようなものを持ってる。一手に軍事力を引き受けてるってコトハ、抑える存在がないってことだが…
 オープニングからいきなり「スター・ウォーズ」のパクリ。更にその得体の知れないメッセージをみんなあっという間に信じてしまう。平和とはかくも恐ろしいものか。>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 石の神話

  監督:松原信吾
  脚本:右田昌万
  特技監督:高野宏一
 久良々島の採石場で次々と行方不明事件が起こっていた。出動したTPCに対し、作業員はこれが伝説にあるガクマの仕業だと語る。救出に向かったTPCの面々も現れた怪獣によって次々と石にされてしまう。その頃、ダイゴはヤズミ隊員からティガの分析結果を聞かされていた。ティガは三タイプに変形が可能だが、3分しか活動できないと。又、GUTSはTPCの要請でガッツウィングを対怪獣用に武装強化させ、現れた怪獣ガクマに向かっていく。

 敵は岩石怪獣ガクマ。四本脚の怪獣で、口から吐く光線であらゆるものを石に変えてしまう。ツノが一本のものと二本のものが存在し、一本ヅノの方は改造を受けたガッツウィングで倒されるが、二本ヅノの方はティガの下半身を石にしてしまうものの、パワータイプに変身したティガのデラシウム光線に倒される。
 ティガの特徴が明かされる回で、ティガはマルチタイプ、スカイタイプ、パワータイプの三形態に変身でき、活動は3分のみという枷が与えられていた。そして古代人のDNAと光を受け継いだダイゴこそが実はティガに選ばれたと言うことが語られる。
 人間側の努力によって怪獣は倒されることが明らかになり、これも旧シリーズからの違いだろう。ティガは人間の努力でも倒せなかった場合だけに出てくると言うことか。
 特撮面においては特記することはあまりない。ただ、やはりパワータイプと怪獣との戦いは肉弾戦が主なので、見栄えはする。
<かなり初期からティガの能力が明かされる訳だが、なんでこんな説明風なのやら。こう言うのは話を重ねていく内に明かされるのが面白いのだが…あるいはこれも自信の表れか?>
第3話 悪魔の預言

  監督:村石宏實
  脚本:小中千昭
  特技監督:神澤信一
 ティガの姿がテレビで放映される。彼は敵か味方か。インタビューに答え、GUTSのイルマ隊長は「彼は私たちを守ってくれる存在」と答えるのだが、直後テレビ電波がジャックされ、「われわれキリエル人に従え」と言う放映がなされる。TPCはキリエル人対策会議を開いたが、その会議はむしろティガのことについてへと移っていった。

 敵はキリエル人で、巨大化して炎魔戦士キリエロイドと言う姿になる。そもそもキリエル人は昔から地球に存在した精神生命体で、自分たちを「人類を導く存在」と主張していた。キリエロイドは現れたティガに対抗すべく、キリエル人がイタハシ・ミツオという人物の姿を使ってティガと同じ大きさに巨大化したもので、姿はややウルトラマンに似てる感じ。自らの力を見せつけるためだったらしいが、スカイタイプのティガに散々いたぶられたあげくゼペリオン光線で粉砕される。
 ウルトラマンティガが人類の守護神として認知されることを快く思わない存在がいることが発覚する。キリエル人は古代に地球に侵入した精神生命体で、これまでも度々人類に神聖な存在として認識させてきたのだが、ティガの存在を疎ましく思ったらしい。この手の物語は確か初めてだ。
<GUTSの中には隊長室があるらしいが、イルマ隊長はその中に一枚の写真だけしか私物を持ち込んでない…と言うか、机以外何にもない部屋だった。書類が山積してるとか、そう言う描写が欲しかった所。
 キリエロイドになってしまうと言葉を喋れなくなるようだが、「き〜りきりきり」と妙な声は上げてるようだ。
 ティガもこれまでのシリーズ同様カラータイマーが点滅すると活動時間が残り僅かになるのだが、自分の胸を見て慌てる姿まで描くことはなかった気がする。>
第4話 サ・ヨ・ナ・ラ地球

  監督:村石宏實
  脚本:宮沢秀則
  特技監督:神澤信一
 巨大な飛行物体が地球に接近、エネルギー備蓄基地を襲撃する。迎撃に出たGUTSだが、飛行物体は高純度エネルギーを体内に吸収して逃げ去ってしまった。その頃、3ヶ月前に行方不明となった木製探査船ジュピター3号の乗組員が地球上に現れた形跡があった。飛行物体リガトロンの破片からジュピター3号の機体の一部が発見され、メッセージボックスが取り出された。ジュピター3号はリガトロンに吸収されてしまい、かに残った人間としての心と意志が家族の前に現れていたのだ。

 敵は複合怪獣リガトロン。そもそもはエネルギー生命体で、高純度のエネルギーを求めて宇宙を旅してきた。この姿は人類が恐怖を覚える姿に擬態したもの。強大な戦闘力を持ち、ティガをも圧倒するが、かつて吸収したジュピター3号の乗組員の意識によって逆に意識を乗っ取られてしまい、自滅する。最後にティガのゼペリオン光線でとどめを刺される。
 今回はGUTSの中でも特に激情家で人情家のシンジョウ隊員が中心となる話で、怪獣に吸収されてしまった人間の意識の哀しさを表した話。話は良いのだが、言葉で説明の部分が多すぎたためにちょっとややこしくなってしまった。前後編でやった方が良かったような気がする。
<シンジョウ隊員がなかなかの熱血漢であることが分かったが、その怒りも怪獣が倒れたらすぐに薄れてしまったように見える。「ウルトラマン」のジャミラの話が懐かしい。>
第5話 怪獣が出てきた日

  監督:川崎郷太
  脚本:小中千昭
  特技監督:北浦嗣巳
 海岸に怪獣の死体が打ち上げられ、その死体から出る悪臭に対する住民の非難を受けたGUTSは調査不足のまま怪獣を輸送しようとする。だが、実は怪獣は死んでおらず、腐った身体のまま動き始めてしまうのだった。あらゆる攻撃を吸収し、市街地に向けて歩み続ける怪獣シーリザー…

 敵はゾンビ怪獣シーリザー。怪獣の腐乱死体から出てきた怪獣でもの凄い悪臭を持つ。実は既に死んでおり、生命活動のないまま、本能の導くまま行動している。あらゆる攻撃を吸収してしまうが、ティガのゼペリオン光線を吸収しきれずに大爆発してしまう。
 マスコミの広報活動が前面に出された話で、GUTSの活動を邪魔するのは何も怪獣だけではなく、世論をも相手にしなければならないことを端的に示した話。怪獣災害アナリストなる人物まで出てきて、マスコミを煽っている。90年代の怪獣映画作りを端的に示す作品といえよう。
 今回の中心はムナカタ副隊長。現場の責任者として怪獣と面と向かいながら、一生懸命頑張ってる姿が見られるのだが、結局ティガにおいしい所を持って行かれてしまう。この人ジャズバーが好きでよく出入りしているのだが、実は酒が飲めないと言うことが発覚する。
<今回ティガはガッツウイングの操縦をレナに替わってもらい、格納庫で変身する。本シリーズでは初の等身大での変身だったが、これって普通ばれるよな。
 ムナカタは格好付けて酒を一息に煽ったは良いが、実は酒が飲めず、あとでふらついてる。>
VOL.2
<A> <楽>
第6話 セカンド・コンタクト

  監督:川崎郷太
  脚本:小中千昭
  特技監督:北浦嗣巳
 世界を覆う奇妙な雲を調査中だったミズノ博士の探査機が消息を絶った。ミズノの教え子だったホリイはショックを受けるが、調査に向かったダイゴ機までもが連絡不能に陥ってしまう。ホリイはそれがミズノ博士が提唱した電離層に住むというクリッターの群れではないかと推測する。怪獣ガゾートとセカンド・コンタクトを試みるホリイだったが…

 敵は変形怪獣ガゾート。どことなく「ウルトラセブン」のアイロス星人かギエロン星獣のような風貌をしてる。クリッターと呼ばれる空中にだけ住む微生物の群れだったが、地上から発せられる多量の電波のために住処の電離層を追われて怪獣化した。口からソニックブームを吐き、生物を喰い続ける。スカイタイプのティガと空中戦の末に倒される。
 大阪弁が特徴のホリイ隊員が中心の話。GUTSの中では奇妙な位置づけにある彼だが、こうやって中心にしてみると、ちゃんとキャラとして立っている。
 同時に本作は、文明の発達によって急激に電磁波の使用が多くなった人間社会への警鐘も含まれるようだ。
<ホリイの開発したサウンドトランスレーターはどうやら大阪弁も怪獣語に訳するらしいが、怪獣の言葉は共通語になってる。
 珍しく怪獣が人を食べるシーンがあり。勿論そのものは出さないんだけど、小学校の近くで口をくちゃくちゃしてるのはなかなかシュールな光景だ。
 今回は空中戦が楽しめるのだが、高速で飛行するため、そのソニックブームでビルがどんどん破壊されてる。二次災害の方が被害多そうだ。>
第7話 地球に降りてきた男

  監督:岡田 寧
  脚本:宮沢秀則
  特技監督:高野宏一
 宇宙ステーションデルタに向かって未確認飛行物体が高速接近してきた。呼びかけに全く答えないその宇宙船に、TPCのサワイ総監はバルキリー砲発射を指令する。デルタの責任者であり、GUTSのレナ隊員の父であるヤナセは最後までそれに反対しており、責任追及のために地上に呼び出されるが、帰還中に謎の宇宙船からの攻撃を受けて不時着を余儀なくされる。そんなヤナセの前に現れたレギュラン星人…

 敵は悪質宇宙人レギュラン星人。非対称なイカのようなデザインを持った宇宙人。地球侵略のために宇宙船を地球に呼び寄せたが、宇宙ステーションデルタに宇宙船は破壊され、たった一人生き残り、地球侵略を続行しようとする。妻と娘がいたが、宇宙船の破壊で殺されてしまう。ティガスカイタイプと空中戦を行い、墜落して死んだふりをするなど、意外に芸は達者だ。スカイタイプのランバルト光線により倒される。
 今回はガッツウイングのエースパイロットであるレナ隊員を中心とした話で、彼女が離婚した両親のことがトラウマになっていることが分かる。そのトラウマを乗り越えていく話がここでは語られる。ただ30分で、戦いも描かねばならないので、どうしても話は軽くなりがち。
<レギュラン星人はヤナセ技官から情報を得ようとしていたが、最初に脳の走査しているから、その辺は分かっていたことで、わざわざ娘のレナを人質に取る必要はなかったような?それに長々と説明してたお陰でGUTSの侵入を許してしまう…こいつ、ひょっとして落ちこぼれだったんじゃないのか?更に巨大化すると死んだふり&凶器攻撃というせこい攻撃をしてる。
 ちなみにヤナセ技官を演じたのは荒木しげる氏。「仮面ライダーストロンガー」の城茂である。>
第8話 ハロウィンの夜に

  監督:岡田 寧
  脚本:右田昌万
  特技監督:村石宏實
 ハロウィンの夜、強い電磁波が探知された。GUTSの面々はそれぞれお化けの格好で街に出て調査を開始する。すっかりはしゃいでいたダイゴは、魔女の格好をした女性を見かける。なんと鏡に映らない彼女を不審に思い、そのあとを付けていくと、妖しい館に吸い込まれてしまうのだった。
 敵は異次元人ギランボ。毎年ハロウィンの夜にやってきて魔女の格好で子供達を誘い、子供を連れ去ってしまう。分身を使ってティガを惑わすが、タイマーフラッシュに敗れ去る。
 ファンタジック風で、実質的には外伝的な要素を持つ作品。
<日本では全然流行らないハロウィンをわざわざ演出。はっきり言ってこの描写は完全に外してる。お化けというのは土地に根付くものだからかな?
 毎年ハロウィンの夜には子供が連れ去られてしまう事件が起こっていたと説明されるのだが、毎年そんなことが起こっていてこれまで何にも対策が立てられてなかった訳か?
 そう言えばギランボは色々説明してるけど、なんで地球にやってきたのか、肝心な目的が語られてなかった。
 ティガとギランボの戦いでは月に顔が付いてたり。
 レナ役の吉田多香美がネコ娘になったり下着姿になったりと、色々サービスしてる。>
第9話 怪獣を待つ少女

  監督:松原信吾
  脚本:小中千昭
  特技監督:北浦嗣巳
 建設現場から発見された謎の球体物体を調査するダイゴとレナ。そこに現れた少女が笛を吹くと、それは震動を始める。その少女にどこか見覚えのあるダイゴはTPCに少女と物体を連れてくるが…

 敵は守護怪獣マキーナ。サキと言う少女に反応した球体物体が呼び寄せた怪獣で、繭のような外殻を持ち、それを閉じるとあらゆる攻撃を防ぐことが出来るようになる。サキを迎えに来るためにやってきただけで害意はなく、サキと共に宇宙に帰って行く。
 ダイゴの子供時代の記憶と、何故かその時から全く変わらないサキという少女の姿が描かれる。何百年もの間お迎えを待っていたのだそうだが、それが今ひとつ上手く機能してなかったような気がする。
 シンジョウの妹マユミが登場。TPCのメディカルセンター所属。本人の言によれば「兄のコネで入れた」そうで、「全然似てない」とのダイゴの言葉に「似てたら生きていけない」と…
<ダイゴの子供時代、目つきが異様に悪いんだが、何かあって性格が変わったんだろうか?
 TPCのメディカルセンターの制服は、看護師と言うよりはどこぞのバーの制服のような感じ。誰かの趣味だろうか?なかなかシャレが利いてると思うぞ。
 ヤズミをおだてるため、レナは「今度デートするから」みたいなことを言ってる。「どうせしてくれないのに」とぶつぶつ言いつつもヤズミの表情がまんざらでもないのは、やっぱり男の扱い方をよく知っているみたいだ。
 ヤズミ隊員の組み上げた検索エンジンによれば、サキという少女は西暦1200年から生きていたそうだ。1200年代の絵画までスキャンできるみたいだが、どう見てもその絵ってのが、ついこの前書いたとしか思えない。っていうか、写真技術がない時代の写真まである。>
VOL.3
<A> <楽>
第10話 閉ざされた遊園地

  監督:松原信吾
  脚本:川上英幸
  特技監督:北浦嗣巳
 シンジョウは妹のマユミを連れて遊園地で休暇を楽しんでいた。いじめられっ子の兄妹を見かけたシンジョウはつい口を出してしまう。そんな時、地中から現れた角がバリヤーで遊園地を覆ってしまう。早速出動したGUTSだが、遊園地の子供を人質に取られた形で、手出しが出来ない。

 敵はバリヤー怪獣ガギ。両手に鞭を持った恐竜タイプの怪獣。バリヤーで遊園地を覆い、子供を地中に引きずり込む。地下には卵があり、その餌のために子供達をさらっていた。GUTSの冷却作戦によりバリヤーを破られ、ティガのパワータイプによるデラシウム光線で破壊される。
 ここのところGUTS隊員個々にスポットを当てる話が続くが、今回はシンジョウ。前回登場したマユミには恋人がいることが分かる。レーサーで世界中を飛び回っているそうな。それと、シンジョウが意外に恐がりなのだが、これは子供の頃の嫌な記憶が原因らしい。
 GUTSとティガの協力によって怪獣が倒されるというオーソドックスなストーリーだし、いじめられっ子が根性を見せるというのも定番。だけどかえってこういうストレートさが嬉しい。
<見えない壁を演出するってのはパントマイムでの定番。しかし、ここではどうやら本当にガラスの板を張っているらしい。
 足下に子供達がいるのに平気で怪獣に攻撃を加えるガッツウイング。この辺は流石と言うべきか…>
第11話 闇へのレクイエム

  監督:神澤信一
  脚本:武上純希
  特技監督:神澤信一
 海岸で異常な生体反応を感知したGUTSは調査に向かうが、怪獣の姿は無かった。そこでホリイは新発明のモンスターキャッチャーを手に調査を開始するが、調査先のホテルで大学時代の友人であるサナダ・リョウスケと、彼を追ってきたサヤカと出逢う。ホリイの前で突然体調を悪くするリョウスケ。そしてそのホテルに現れる怪獣。ホリイが撃ち込んだモンスターキャッチャーの反応は、なんとリョウスケから感知される…

 敵は異次元進化怪獣エボリュウ。元は人間でホリイの友人のサナダ・リョウスケという男がエボリュウ細胞の実験中に自らがその細胞に侵されてしまって変化したもの。生きるためには大量の電気が必要で、電気を得るためにリゾート施設を襲う。相手が人間だと知ったティガは攻撃が出来なかったが、体中の電気を放出しきって人間の姿で死んでしまう。
 マッド・サイエンティストの哀しみを描いた話で、心の闇に支配されてしまった科学者の憐れな末路が描かれる。人も死んでるし、思い話のはずだが、ホリイの存在感は上手い具合にそれを中和している。
 今回もホリイ隊員を中心とした話で、軽い性格に見えるホリイが過去に色々あったり、自らの発明が一人の人間を破滅に追いやったことに落ち込んだりしてる。
<エボリュウ細胞の実験で動物実験の写真が何枚も。全く問題はないんだが、動物愛護団体が見たら抗議されそうだ。
 「ホリイ君は足も短いし太ってるし、つまんないギャグ言うし、欠点だらけの人間よ」とか言われてしまってるんだが…
 エボリュウ細胞と融合した生物は多量の電気を必要とするそうなのだが、だったら巨大化なんかしない方が絶対効率的だと思う。それになんで発電所じゃなくてリゾート施設を襲うのだろう?>
第12話 深海からのSOS

  監督:神澤信一
  脚本:兒玉宣久
  特技監督:神澤信一
 地下核実験で突然変異を起こした海底調査のため、レナとマユミは海洋科学研究所に赴く。ここにはレナが「彼氏」と呼ぶイルカのミューがおり、はしゃぐレナだったが、そんな時海上の石油プラントに怪獣レイロンスが現れた。

 敵は深海怪獣レイロンス。魚とも貝とも、植物ともつかない姿をした怪獣。昔の放射能実験で誕生した変異海洋新生物が怪獣化したもの。
 核実験の影響という古典的な題材を例に取った作品だが、劇中で語られるとおり放射能の影響というのは大変長く続く。オーソドックスではあっても決して古びない題材には違いない。
 今回は一応レナが中心となるようだが、7話とは異なり、笑えるシーンが満載。しかし決してギャグ作品にはならないというバランスの良さがある。話そのものは薄味だけど。
 恋愛については大変無頓着なダイゴ。レナの気持ちを知らずに“彼氏”について得意げに語る。古いタイプのヒーローだな。
<レイロンスとティガの戦いは妙に笑えるシーンが多く、レイロンスが何かはき出すというのでティガがバリヤーを張ると、単なる水だったとか、それでもうそんな攻撃は効かないとばかりに仁王立ちになってたら、本当の攻撃が来たり。レイロンスの戦い方も、お尻ペンペンしたり、踊ったり、バックハンドでツッコミを入れたり…ティガも相当戦いにくそうだ。
 ラストでレナは水着姿になるが、制服の下に着込んでたようだ。これって本来始末書ものだろ?>
第13話 人間採集

  監督:村石宏實
  脚本:河崎 実
      村石宏實
  特技監督:村石宏實
 シンジョウの従弟シンイチが人間の拉致現場を見てしまう。続発する蒸発事件と関わりがあると見たGUTSはシンジョウとタイガを現場に向かわせるが、二人の見ている前でシンイチが連れ去られてしまう…

 敵は誘拐宇宙人レイビーク星人。母星でヒューマノイドタイプの生物を奴隷として使っており、地球の人間を縮小して母星に連れ帰って奴隷として使おうとする。何体も出現する。「カッカッカッカ」という泣き声が特徴。ティガはスピードタイプに変身し、レイビーク星人の母船を破壊する。スカイタイプで敵を倒したのはこれで2回目だ。
 ウルトラマンよりも東映の等身大特撮ヒーローものっぽい展開で、怪人もティガも基本的には巨大化しないまま…むしろ「ウルトラセブン」と言うべきかな?特にレイビークはGUTSの存在を知った上、自己紹介とその目的まで全部喋ってくれる。なんと親切な宇宙人だろう。
 等身大でのアクションのため、基本的に特撮を用いず着ぐるみアクションが主体となった。こういったアクション風景はウルトラマンシリーズではかなり珍しい。
 ちなみにこの脚本を手がけたのはあの河崎実…なるほど物語が破滅的になる訳か。
<レイビーク星人は勝ち誇るあまりシンジョウ隊員の通信を放っておく。この辺りの甘さもどことなく東映特撮っぽい感じ。
 壁をぶち抜くパワータイプティガは人形だが、拳をの部分を巨大化させるようパースが取られている。それを横から取ってるから、違和感ありまくり。
 今回カラータイマーの点滅がかなり遅い。巨大化しなかったため、エネルギー消費が少なかったのだろうか?>
VOL.4
<A> <楽>
第14話 放たれた標的

  監督:村石宏實
  脚本:中崎一嘉
      村石宏實
  特技監督:村石宏實
 アカミネ山に隕石らしき物体が落下した。調査に向かったダイゴとレナはそこで出会った少女ルシアを保護する。そしてその少女を狙い襲ってくる謎の人物が…

 敵は極悪ハンター宇宙人ムザン星人。人間狩りを楽しむ悪質な宇宙人で、通常は人間と同じ体格だが、巨大化すると怪獣のような姿となる。必要に応じ四本足飛行となる。等身大、怪獣体共々造形は極めて優れており、二足歩行タイプから四足歩行タイプへもギミックのみで変形している。
 人間狩りをテーマにした作品で、悪質な宇宙人と、それにつけ狙われる少女を保護しようとするGUTSの活躍が描かれる。結構重めの物語が展開する。
<ムザン星人は人間狩りするのに何故地球を選んだのか、その辺が今ひとつはっきりしない。
 最初に現れた時と言い、マユミに電撃を与えてにやける時と言い、ルシアの行動はあんまり“被害者”って感じじゃないんだよな。
 GUTS本部の周囲は田舎っぽい海岸線。結構田舎にあるようだ。東京のど真ん中にあるよりはリアリティがあるのか?>
第15話 幻の疾走

  監督:川崎郷太
  脚本:武上純希
  特技監督:高野宏一
        川崎郷太
 人工衛星から太陽光を取り込み発電させるシステムの実験が行われた。その際出る強い電磁波のため、パトロール中のシンジョウとダイゴのガッツウィングは墜落してしまう。シンジョウを心配してやってきたマドカは、婚約者のタクマを引き合わせようとする。そんな時、電磁波のため再びクリッターが活性化。パワーアップしたガゾートが誕生してしまう。
 敵は変形怪獣ガゾートII。6話に出てきたガゾートと同じ過程を通って誕生するが別個体。強力な電磁波を浴びることで自らも電磁波を発生させるようになった。
 シンジョウ隊員が中心となった話で、妹のマユミの婚約者タクマとの哀しい恋物語が展開される。ティガ版ゴースト ニューヨークの幻(1990)といった風情。
 最後にホリイ隊員が、人間の霊魂はプラズマであると言う説明をしているが、良い締めの言葉になってる。
<「お前のウェディング姿を見るまでは死ねるか」というシンジョウに対し、マユミは「それじゃすぐ死ねるかも」と発言。ツッコミじゃないけど掛け合いが良い。
 ホリイが開発したマイクロ波発生装置は車に搭載すると、車が動かなくなってしまうと言う弱点が…新しい発明って往々にしてこういう事が起こる。>
第16話 よみがえる鬼神

  監督:川崎郷太
  脚本:川上英幸
  特技監督:高野宏一
        川崎郷太
 大昔に錦田小十郎影竜という魔物を見ることが出来る剣豪が鬼神「宿那鬼」を退治したという伝説がある宿那山に三人組の泥棒が入り、祀られていた武将像と刀を盗んでしまった。それにより封印された宿那鬼が甦ってしまう。泥棒の一人に憑依した錦田は、ダイゴの正体を見破り、協力を要請するのだった。
 敵は二面鬼宿那鬼。錦田小十郎影竜に宿那山に封印されたという伝説を持つ鬼。封印が解かれることで甦る。一種の不死身で、影竜の刀でなければ倒すことが出来ない。後頭部にも目があり、それが二面鬼の由来。ティガはマルチタイプのまま戦っている。
 一種の定番とも言える伝説を用いた話。この辺は金子修介監督が得意なんだよなあ。
 このシリーズはあまりツッコミ所が多くないのだが、本作に関してはツッコミ所が満載。川上脚本の特徴かな?ダイゴも錦田に翻弄されるばかりで、完璧ツッコミ役に徹してる。
 ラスト、錦田の言葉が語られるのだが、ヒーローは孤独。しかし、心は強く持たねばならない。という本作を貫くテーマが語られるのが心憎い所。外伝的な話であるにもかかわらず、できばえもしっかりしてる。
<泥棒たちが食べてるラーメンは完全にのびきってる。キエモノは丁寧に描いて欲しいね。
 影竜が泥棒の一人に憑依する際、意味深げな叫び声が車から聞こえるんだけど、これって狙ってのこと?
 それで泥棒の仲間を切り捨てるのだが、「峰打ちじゃ」と言ってた…峰打ちってのは刀を逆にするんじゃなかった?普通に振ってるんだけど。ちなみにこの人、郷田ほずみ氏だとのこと。
 メグミ隊長が交信してる後ろでヤズミとシンジョウが何か言い合ってるんだけど、何をやってるのか不明。
 錦田の霊と喋るダイゴは、「本当にぃ?」と疑問顔。あんたに言われる筋合いはない。
 錦田に翻弄されっぱなしで、今回のダイゴはぶつくさ言いながらしょうがなくティガに変身。ヒーローがこんなので良いのか?
 ティガと宿那鬼が戦っている最中は何故か雅楽が鳴り響く。妙に和風テイスト。和風だけに真剣白刃取りなんて器用な真似もする。
 ティガの援護に向かうガッツウィング。レーザー砲をばしばし撃ってるんだが、これってティガに当ってるような気もするんだが。
 ツッコミじゃないけど、ティガと宿那鬼が戦っている背後には富士山があり。この山の形は山梨側だな。>
第17話 赤と青の戦い

  監督:冬木 椴
  脚本:宮沢秀則
      神澤信一
  特技監督:神澤信一
 地球人を兵士として母星に連れ帰ろうとやってきたステンデル星人のレドルとアボルバス。お互い敵対する軍に所属する二人はいがみ合っており、地球でも戦いを繰り広げていたが、そこで負傷したレドルは一人の老婆に助けられる。地球人の優しさに触れたレドルだったが…
 敵はステンデル星人のレドルとアボルバス。ステンデル星は昼の種族と夜の種族に分かれており、レドルは昼の種族、アボルバスは夜の種族に属する。レドルはアボルバスを追って地球に来たらしい。アボルバスは光に弱いため、ティガの光で倒されてしまう。今回もティガはマルチタイプのママ。
 赤色の怪獣と青色の怪獣の戦いというと、「ウルトラマン」の19話「悪魔はふたたび」のアボラスとバニラを思い起こさせるが、ここでは善玉と悪玉にはっきりと別れているのが特徴か。お陰でなんかほのぼのしたホームドラマみたいな展開が繰り広げられている。
 戦いのシーンは珍しくストップモーションを多用。そこそこ見応えはあるものの、夜だと今ひとつ格闘も映えない。
<レドルは自分を助けてくれた老婆とこたつで向かい合って会話してたり、並んでテレビ観てたりする(ホリイ隊員も一緒に)。「ウルトラセブン」8話の「狙われた街」にも似てるかな?
 川向こうの子供を眺めていた老婆に対し、「飛び込むなら早くしてくれ」とかぬかすバカップル。私が許す。こういう奴は再起不能になるまでボコれ。
 レドルは変身能力がないので、商店街を老婆を背負って普通に歩いてたりする。
 夜に喧嘩してたらアボルバスが現れるというので、GUTSの面々はストリートファイトすることに。レナは「今夜は長い夜になりそうですね」と発言…なんという大胆発言だ。
 夜にストリートファイトを行うGUTSの面々だが、どこから持ってきたのか、格好が無茶苦茶。特にムナカタはまるで大工さんみたいで、しかも頬を赤く塗ってる。
 アボルバスは絶対的優位にあるはずなのに、意味もなく巨大化。お陰でティガに倒されてしまった。>
VOL.5
<A> <楽>
第18話 ゴルザの逆襲

  監督:冬木 椴
  脚本:右田昌万
  特技監督:神澤信一
 休火山のはずだった霧門岳が突如噴火した。対処に追われるTPCだが、霧門岳地下のマグマ活発化に対し、GUTSが出動ピーパーで地下に潜ったダイゴとシンジョウはマグマを冷却してせき止める。だがダイゴは直感により調査を続行。そしてその先に怪獣の姿を見る…
 敵は超古代怪獣ゴルザ。かつてティガに破れ地下に逃げていたが、霧門岳の地底でマグマを吸収してパワーアップ。ティガも久々のパワータイプで対抗する。
 第1話に登場した初怪獣ゴルザが再登場して決着がついたと言うだけでなく、多くのエキストラを配して災害対策が描かれる。そういえば神戸淡路大震災が5年前にあったので、その辺の描写はかなりリアリティあるもの
<ピーパーは戦闘にドリルの付いた昔ながらの地底探査機。この辺の描写は模型でやる限りはさほどこの技術は上がってないようだ。
 最後にダイゴが「ティガが強いのはGUTSのお陰」という発言が聞ける。これはかなり重要な台詞で、本作の目的がどこにあるかよく分かるひと言になっている。
<マグマをピーパーのコールドビームにてせき止めることに成功。一体どれだけのエネルギーを積んでたんだろう?
 ゴルザの攻撃で故障したピーパーを外から修理しようとするダイゴ。圧力とか熱とか考えなくて良いんだろうか?>
第19話 GUTSよ宙(そら)へ・前編

  監督:村石宏實
  脚本:小中千昭
  特技監督:村石宏實
 夜中に都市部を謎のロボットが多数徘徊していた。それらはGUTSにより排除され、TPCの倉庫に放り込まれていた。その頃GUTSではヤオ博士による光を推進力とし超強力なエネルギーを発生させるマキシマオーバードライブの実験で、テスト中のレナは宇宙に浮遊する機械島を見かける…
 敵は巨大機械人形ゴブニュ。等身大のヒューマノイドタイプロボットで、都市部に多数出現する。簡単に排除されるが、回収された機体が合体して巨大化する。光そのものを推進力とするマキシマ・オーバードライブを開発した人類を滅ぼすために機械島から送り込まれた。
 ロボット怪獣の出現、前後編のストーリー展開と、「ウルトラセブン」の「ウルトラ警備隊西へ」の話と言った風情。人間が作り出した技術が人間の首を絞めるというストーリー展開もいかにもそれを意識した作りとなっている。
 初の宇宙を舞台にした話。ただし実際の戦いは水中で行われる。
<アートデッセイ号はほとんど宇宙戦艦。武装を見る限り「宇宙戦艦ヤマト」ではなく「惑星大戦争」の轟天を思い出させる。ドリルがないけど。>
第20話 GUTSよ宙(そら)へ・後編

  監督:村石宏實
  脚本:小中千昭
  特技監督:村石宏實
 ゴブニュの自爆から何とか逃れたティガ。だが、機械島に向かったアートデッセイ号は多数のゴブニュに囲まれ、ついには喜界島に取り込まれてしまっていた。
 敵は前回に続き巨大機械人形ゴブニュ。今回は機械島を取り込んで更なる進化を遂げた姿(オグマ)が登場。ティガはマルチタイプのまま
 ティガ自身の存在意義が問われる話で、ダイゴは夢の中でユザレおよびキリエル人と再会し、改めて戦いは人間の心の光が重要である事を再確認する。ただ、やはり「ウルトラ警備隊西へ」と較べてしまうと、どうもなあ。って感じ。ここでティガが更なるパワーアップを果たす!と言うのであれば、もうちょっと盛り上がったかも知れないけど。
 今回ティガが初めて宇宙で戦うシーンあり。あんまり特徴はないが、やはりティガは地球産だけに、宇宙での戦いは勝手が違うようで、結構苦戦してる。
<ゴブニュの体は金属で出来ていて、大変重そうなのだが、時折水に浮いたりもする。一体どんな金属なんだろう?>
第21話 出番だデバン!

  監督:北浦嗣巳
  脚本:太田 愛
  特技監督:北浦嗣巳
 各地に魔神エノメナが出現。破壊活動を行わない代わり、電磁波を用いて周囲の人間を凶暴にさせていた。そのエノメナが出現する所には必ずやってくるサーカス団「ゆかいな仲間たち」があった。その一座には友好な怪獣デバンがいた…
 敵は魔神エノメナ。亜空間種と呼ばれる亜空間の生命体。電磁波を用いて人間を凶暴化させる。デバンを狙って現れるらしい。ティガパワータイプによって電磁波発生装置を叩き折られ、亜空間に逃げようとした所を倒された。そしてマスコット小怪獣デバン。エノメナ同様亜空間種だが、エノメナの電磁波を中和する力を持つ。大きさは等身大で、「ゆかいな仲間たち」というサーカス団の巡業を手伝ってる。ティガとエノメナの戦いでは電磁波に苦しめられるティガを救った。
 人間に対し友好な怪獣が現れる話で、当然それが中心となる。ちなみにデバンの正式名称はデバンダデバンで、タイトルはシャレになってる。
<エノメナの出す電磁波は可視光線のようだが、まるで霧のようにゆーっくりと降下していく。電磁波ってそんなものか?
 シンジョウの手当てをしているヤズミは、シンジョウが「男に襲われた」と言った瞬間、脱兎の如く逃げ去る。「襲われた」の意味が違ってるぞ。
 ティガは電磁波には弱いことが判明。いくら肉体が強くても、精神は人間のものだから当然かも知れないけど、これを利用した怪獣はこいつのみだな。>
VOL.6
<A> <楽>
第22話 霧が来る

  監督:北浦嗣巳
  脚本:長谷川圭一
  特技監督:北浦嗣巳
 謎の隕石が落下し、宇宙観測センターからの連絡が途絶えてしまった。調査に向かったダイゴとホリイだが、強力な磁場に捕まってガッツウィングは墜落。脱出した二人はそこにいたミチルという女性を保護するが、助かった住民と二人の首には謎の寄生生命体が…
 敵は寄生怪獣マグニア。風船の塊みたいな姿をした怪獣で、その風船一個一個が生命体に寄生し、エネルギーを得ている。水に弱い。ティガパワータイプによって倒された。
 ホリイが中心となった話で、ホリイとミチルとの出会いが描かれる。ちなみにミチルは4話でリガトロンに吸収されてしまったエザキ博士の娘とのこと。この話では関連性薄いし、「エザキってだれ?」と返されるとそれまで。せめて思い出のシーンが欲しかった所。
 首筋に寄生する怪獣の細胞が出てくるが、描写はほとんどホラー。寄生された住民が鉈とか鎌とか持って家の戸を破ろうとする描写はかなりキてる。
 マグニアの細胞は水に弱いのが伏線になってるのかと思ったが、それも巧く活かせなかった。ホリイに寄生した瞬間にスプリンクラーが作動させるとかした方が良かった気もするが。ウルトラ水流も出したらマニアは喜んだだろう。
 ちなみにミチルが劇中喋っている小説はスティーヴン=キングによる、そのままズバリ「霧」という短編小説だと思われる。これはよくSFに用いられている。彼女が言ってるラストがちょっと違ったけど。
<霧の中マグニアの細胞に襲われたダイゴは「いくら撃ってもきりがないですよ」と叫ぶが、それに対し、ホリイは「シャレ言うてる場合ちゃうわ!」と返す。シャレだったの?
 なんだか今回シンジョウが妙な訛りを多用。博多弁(らしい)と大阪弁をちゃんぽんにしてた。この人どこの出身だ?>
第23話 恐竜たちの星

  監督:岡田 寧
  脚本:武上純希
  特技監督:大岡新一
 ダイナソアバレーで1億3千年前の氷漬けの恐竜が発見された。なんとその恐竜はサイボーグ化されていたのだ。その頃、宇宙の神と自称するナーガが巨大な宇宙船で飛来し地球支配の宣戦布告をし、恐竜は怪獣化して復活する。
 敵は恐竜兵器ウェポナイザー。ナーガにより改造された恐竜で二体登場する。この二体は胸に中性子爆弾がセットされており、両者が近づくと大爆発を起こす。ティガはスカイタイプで翻弄した後、二体を凍らせ、地中深く埋めてしまう。そしてウェポナイザーをコントロールする恐竜人類のアダムとイブ。人類と並行進化した恐竜ステノニコサウルスが人間に擬態化している。
 宇宙人が改造恐竜を使って地球侵略を企てる話で、設定的には前後編でもおかしくない密度を持つが、その分一話には詰め込みすぎと言った感じ。特にイブの変節はあまりにも簡単すぎ。もうちょっと引いた方が良かったんじゃないかな?話そのものが暗いのは武上脚本の特徴だけど、この人が書いた脚本は詰め込みすぎのきらいがあるのが特徴。
 ナーガとは一体何であるのか、それもはっきりしない内に宇宙船が破壊されてしまった。
<ところで改造された恐竜となると、これは超獣ではないのだろうか?
 恐竜人類が日本語喋るのはともかくとして、ウェポナイザーというのは英語じゃないのか?いつ付けた名前だろう?>
第24話 行け!怪獣探検隊

  監督:岡田 寧
  脚本:平野靖士
  特技監督:大岡新一
 霧によって起こされる怪現象が生じている利戸間町を調査するダイゴとホリイ。だが調査開始矢先に子ども達の悪ふざけに手を焼く羽目に。その後、子ども達は怪獣の泣き声を耳にするのだが、日頃の行いが災いし、大人たちは誰も彼らを信用しなかった。仕方なく自分たちで調査を始める子ども達だったが…
 敵は強酸怪獣リトマルス。頭が下にあるツインテール型の怪獣。強力な酸を放ち、利戸間町付近の樹木を枯らせていた。ティガはスカイタイプで戦うが、これは明らかに選択ミス。
 狼少年の話で、普段の行いが悪いとこうなるよ。と言う教訓話。物語の形式としては「帰ってきたウルトラマン」以来の伝統的手法が取られているが、物語が今ひとつすっきりしないのがなんとも。子ども達の演技も今ひとつリアリティに欠ける。
 この世界は未来が舞台だけに、公害が過去のものになってるという設定が出てきた。現在の公害も将来に影響を与える事があると言うこと。
<武装を持つシャーロックに悪ガキを乗せるダイゴとホリイ。どう考えても軽率だろうに。それ以前にボタンとかロック出来ないのか?
 リトマルスの隠れてる岩山でガキ大将が「排気ガスの匂いだ」と言ってたが、リトマルスの吐く酸って硫酸なのかな?説明がないよ。
 リトマルスの最後はスカイタイプのランバルト光線によるもの。しかし、爆風の後ろでまだ動いてるよ。>
第25話 悪魔の審判

  監督:村石宏實
  脚本:小中千昭
  特技監督:村石宏實
 数年ぶりに家に帰ったイルマ。実は夫を実験事故で失った時仕事で戻れなかったため、義母は息子のトモキを引き取りこれまで会わせないようにしていたのだ。そんな義母がメトロポリスを騒がす天使事件に関わっている事をトモキからのメールで知ったのだ。町に降りた天使はティガこそが悪魔だと人々に吹聴する…
 敵はキリエロイドII。3話に出てきた巨大キリエロイドがティガに対抗するためにパワーアップした姿。ティガ同様3タイプにモードチェンジ出来るようになった。全てのモードにおいてティガよりも強いが、人の光を得たティガには叶わなかった。
 本作を通して描かれる“光の戦い”を端的に表したような話で、どんな敵と出会っても、光がある限りティガは負けない。今回はそれが人間の作り出した人工的な光であったが。
 イルマ隊長を中心とした話。シリーズ初の女性隊長なのに、これまであまり存在感が無かった。どこか常に陰を持っていたのは、夫と死別し子どもも夫の実家に引き取られていたからという。
 そして二回目となるティガとキリエロイドの戦いは前回同様都市部での夜の戦いとなる。これもかなり見応えあり。
<イルマの息子トモキは天才的なハッキング能力を持つ。規則には結構厳しいイルマがそれを放っておくのは、やっぱり「ママ」って呼ばれただけで舞い上がって?公私混同ではないのか?
 ティガを力づけるのは光そのもの。しかし、これは逆に言えばティガは無敵の存在になってしまうと言うことでもある。設定的にはかなり問題あり。これが最終回であれば良かったのだが。
 ティガに光を与える人々の中には誘導灯を持ってる人もいたが、これって光を与えるものにしては貧弱すぎないか?
VOL.7
<A> <楽>
第26話 虹の怪獣魔境

  監督:村石宏實
  脚本:右田昌万
  特技監督:村石宏實
 ある家族が獅子鼻樹海ドライブ中虹を見た途端、魔境に入り込んでしまった。ここには数多くの怪獣が棲息しており、怪獣同士の戦いが繰り広げられている。そしてこの地域をパトロールしていたGUTSのダイゴとレナまでもが入り込んでしまう…
 敵はバリヤー怪獣ガギIIと剛力怪獣シルバゴン。ガギIIは10話に登場したものの二代目で、バリヤーを張って怪獣の住処を隠していた。そしてそのガギIIのバリヤーを平気で破壊して倒したシルバゴンは偶然に入り込んだ人間を捕食していた。大変なパワーの持ち主だが、目があまり良くなく、動くものしか見ることが出来ない。パワータイプの動きに翻弄された挙げ句、脳天逆落としで土に埋められた上で粉砕される。
 どこが悪いという訳ではないのだが、全般的に低調な話。ストーリーとしては家族向きホームドラマが展開。役に立たないと奥さんと子どもから責められるお父さんが、実はかなり生命力が強いという、父親の威厳を示した話となってる。しかし、出来の悪さはいかんともしがたい。ティガとシルバゴンの戦いも、ダルマさんが転んだを地でやるもの凄くマヌケだ。
 「ウルトラマン」の8話「怪獣無法地帯」のティガ版を作ろうとしたのかも知れないが、
<シルバゴンの強さを強調するためにあっけなくガギIIを倒すが、シャーロックのダイゴの横に乗っているレナは「ティガでさえあんなに手こずったのに」と、TPOをわきまえない発言を。
 ティガがゼペリオン光線を出したり、パワータイプに変身すると、シルバゴンも同じ行動を取り、光線が出ないことに苛立ったりする。これがコミカルに見えればまだ救いがあるんだが。
 シルバゴンに対し、“ダルマさんが転んだ作戦”を展開するティガ。要するにシルバゴンが見てる間は動かないというものだが…動いてる動いてる。
 今回ティガのカラータイマーは異様なほど長く点滅していた。
 最後にダイゴの替わりにレミを背負おうとするシンジョウ。その好意に対し、レナはひと言「いい」。シンジョウも可哀想に。>
第27話 オビコを見た!

  監督:川崎郷太
  脚本:太田 愛
  特技監督:川崎郷太
 彦野町を中心にオビコという妖怪を見たという目撃情報が続発する。不可思議な失踪事件も発生しGUTSが調査に乗り出す。大昔から闇に住むオビコが昼間にも出るようになった事で、GUTSもオビコ探しに狂奔する。
 敵は妖怪オビコ。正確にはオビコボウシ。カゲボウシという妖怪を引き連れて登場。夜泣き蕎麦屋に化けて人々を怯えさせ、真の闇を取り戻そうとする。巨大化するが、戦闘力はさほど高くなく、泣きながらティガに殺されることを望んだ。もう一体カゲボウシという不定形怪獣も出てくるが、こちらはオビコが死んだ後どうなったかは謎。
 16話の宿那鬼に続き、妖怪話をアレンジした話。こちらは特に前半部の追いかけっこなどでコミカルな演出がなされているのが特徴だが、後半部分になると随分と演出も哀しく変化していく。
 コミカルな演出とは言え、光に追われるオビコは哀しい存在で、同時に文明批判にもなってる。オビコを呼び寄せるため、町中の電気を消し去った彦野町を見て、「昔の村が戻ってきた」と大喜びする姿はとても哀しい。そして、自らティガに殺されることを望む姿…シリーズ中良作の一本。
<オビコが持つ夜泣き笛から出る光線は何故かナルトの形をしている。
 都市伝説で“走る婆さん”ってのがあったけど、ここではそのまんま“走る爺さん”をやってくれてる。屋台引きながら大声で笑いつつ走る姿は、まるで(以下略)
 ところで当初の理想郷となった地球という設定はどこに行ったんだろう?>
第28話 うたかたの…

  監督:川崎郷太
  脚本:川崎郷太
  特技監督:川崎郷太
 電離層のクリッターが活性化。その対処に追われるGUTSだったが、そんな時に怪獣ジョバリエが現れる。目的も不明でただ攻撃に対応して暴れ続けるだけのジョバリエに、GUTS隊員の中にも怪獣と戦い続ける。
 敵は甲獣ジョバリエ。背中に大きな甲羅を持った怪獣で、硬い装甲を持つ。ただ、何故暴れるのか全く分からず、その存在を消し去ることにGUTS隊員の中にも疑問の声が上がる。ティガマルチタイプとの格闘の末、ウルトラヒートハグで爆発四散する。
 ついに、と言った感じで登場した、GUTSおよびウルトラマンの存在意義を問いかける作品。これこそが平成ウルトラマンの主題とも言える。ここではむしろ怪獣の方を可哀想に、終始登場するTPCの兵器群の方がむしろ悪役に見られるように構成されており、まるで「ウルトラセブン」のようだ(平成版はこれを突き詰めた作品とも言えるんだけど)。
 人間の出す電磁波がクリッターを増やしてる。文明の進化が結局自分自身の首を絞めており、そしてクリッターは人間を見捨ててしまう。
 個々のストーリーもしっかり描写された作品で、存在意義が希薄だったヤズミ隊員が意外に過激な性格をしていることが分かったり、レナが真剣に怪獣との戦いを悩んだり…恋人を失ったシンジョウの妹マユミがようやく自立し始めたことも描かれている。なんかヤズミとマユミが良い感じになってきたんだけど。
 内容もしっかりしており、大変骨太な内容に仕上がった作品である。監督、特技監督、脚本まで全てを川崎郷太が行っていることで、一貫した内容になったのかも知れない。
 これまであまり出ることがなかったTPCの戦車の描写などもしっかりしてる。こう見ると、手作り部分の特撮も進化してるんだな。
<口だけでは威勢の良いことを言って実戦ではからきしなヤズミが個性を見せている。これが現代青年の典型例ってことなのかな?ツッコミじゃないけど。>
第29話 青い夜の記憶

  監督:原田昌樹
  脚本:長谷川圭一
  特技監督:大岡新一
 人気歌手のクルス・マヤは15年前の事故で生き残ったという過去を持っていた。一方GUTSではシンジョウがマキシマオーバードライブのテスト中事故を起こして墜落してしまう。意識を回復したシンジョウは何故か「俺はマヤの兄だ」と言い残して姿を消してしまう。そしてマヤの前にシンジョウが立つが…
 敵は侵略宇宙人ナターン星人。15年前にクルス・マヤの一族を全滅させようとしたが、生き残りが地球人に憑依したことを知り、更にマヤの兄が脱走したために一族もろとも抹殺するために地球にやってくる。とても弱く、あっという間にティガに倒されてしまった。
 複雑な人間関係が描かれる話。中心となるのは宇宙人の兄妹で、それぞれが地球人に憑依する事で邂逅するという、一種の七夕話になるのかな?よりによってシンジョウに憑依したお陰で、面倒くさい人間関係になってしまった感じがある。「ウルトラセブン」37話「盗まれたウルトラアイ」によく似た物語でもある。
 しんみりした良い作品ではあるのだが、もうちょっと深みを入れて欲しかった所かな?
 クルス・マヤは髪の毛がメッシュなのだが、これが何かの理由なのかどうか、もうちょっと設定を詰めて欲しかった所ではある。例えばシンジョウの髪も白髪を入れるとかしたら良かったのにね。
<シンジョウから頼まれマユミとライブに行った事を知ったヤズミは嫉妬心丸出しで食ってかかる。なるほど人間関係は前回から続いてるのね。
 ナターン星人の宇宙船は数多くの光を回転させる円盤。「謎の円盤UFO」かよ。
 憑依されてる間シンジョウの意識は無いのかな?シンジョウの目の前でダイゴはティガに変身してるけど。
 逃げようとするナターン星人の背後から蹴りを入れるティガ。これがヒーローとは…>
VOL.8
<A> <楽>
第30話 怪獣動物園

  監督:原田昌樹
  脚本:斎藤和典
  特技監督:大岡新一
 動物園でデート中のダイゴとレナの前に突如現れる巨大怪獣キングモーラット。だがキングモーラットは何をする訳でもなく、腹を空かして泣いているだけ。そんな姿を見たレナは攻撃中止を訴える。だが夜になるとキングモーラットは凶暴化する…
 敵は変異怪獣キングモーラット。モグラネズミが廃棄物質により巨大化した怪獣で、悪意は持っておらず、昼間は寝ているだけだが、夜になると食料を求めて破壊活動を行う。両耳から強力な電磁波を放つ。
 人間の勝手な行いによって出来てしまった怪獣は保護出来ないか?という話で、結局ティガは倒すことなく元の無害なモグラネズミに戻すことになる。このテーマは後の「ウルトラマンコスモス」へと移行していく。こういう物語が一話くらいあっても良いだろう。
<レナとデートを楽しむダイゴ。これって職場恋愛だろ?こんな大っぴらにやって良いのか?ホリイの発言から、GUTSには黙っていたようだが…
 キングモーラットを保護しようと言うレナは、怪獣を悪い奴と決めつけるのは人間の勝手な思いこみではないか?と訴えかけるが、一方では怪獣を勝手に保護するのも人間の勝手な思いこみでは無かろうか?
 キングモーラットはモラちゃんと名付けられて動物園で飼われることになる。レナはそれを見て「ちっちゃい」と歓声を上げてるけど、人間と同じくらいの大きさがあるんだけど…
 ガッツウィングが又しても落ちたので、シンジョウとダイゴがぼやいてるが、「これで何機目?」「数え切れねえよ」という会話が笑える。良くそれで生きてるよな。
 今回は飼育係のヤマモトさんがなかなか良い味を出してる。牛に込めた愛情はただならぬものがあるが、なんかこの人、独身なんだろうなあ。とか思ってしまう。>
第31話 襲われたGUTS基地

  監督:原田昌樹
  脚本:斎藤和典
  特技監督:大岡新一
 南極から宇宙生命体の破片が発見された。それを調べる生物工学研究所だが、職員が酸素中毒で次々と倒れてしまう。ホリイのパソコンにその生命体は侵入し、人類とのコンタクトを求めてくる。増殖することのみが目的の生命体ビザーモはホリイに乗り移ってGUTS基地内のメインコンピューター内に侵入、基地機能を占拠してしまうのだった…
 敵は人工生命体ビザーモ。元々は惑星ビザーモで作られたアメーバ状生物だが、鉱物化することが可能で、ホリイのパソコンに侵入して人類にコンタクトを図る。元々は汚れた大気を浄化するためだったが、自ら繁殖する事が目的で、惑星の文化を滅ぼし、更に地球に来て繁殖を続けようとする。パワータイプの力押しで倒された。
 ファーストコンタクトの話であるが、これは「新世紀エヴァンゲリオン」でもやったネタだ。ベチョベチョのアメーバ状生物は気色悪くて良いけど。演出もかなりホラー調。これも科学の危険について語られる。この辺りの話はこの手の展開が多い。
 ホリイはもはや「宇宙戦艦ヤマト」の真田さんみたいな存在になってきてる。「こんな事もあろうかと」は流石に言わなかったけど。
<最初に生物工学研究所の職員が酸素中毒になった描写があるが、演技過剰で、もの凄く痛々しい。
 ビザーモのメッセージを聞いたムナカタは「こいつは本当のことを言ってる」と断言してるけど、副長がこんなので良いの?
 ホリイのパソコンに侵入したビザーモをホリイは本部のメインコンピュータに平気でつないでる。今だったらウィルスの可能性でそんなことは絶対しないけどね…そう言う話なんだけど。
 シンジョウやレナはたまごっちをやってた。スポンサーがよく分かる話だ。
 ホリイの腹にくっついたビザーモを平気で撃ってたけど、やっぱり麻痺モードかなんか?>
第32話 ゼルダポイントの攻防

  監督:北浦嗣巳
  脚本:太田 愛
  特技監督:北浦嗣巳
 巨大怪鳥シーラがTPCの最高機密ゼルダポイントへ向かっていた。TPCのサワイ総監自らが指揮を取って怪鳥の進路を変更させようとする。結局シーラは浅間山中に墜落するが、ガッツウィングも落とされ、重傷を負いダイゴも怪我をしてしまう。実はゼルダポイントには20年前に根津博士が開発した、超強力ガスのゼルダガスが保管されていたのだ。
 敵は怪鳥シーラ。正式名称はシーラキート。元々は島津博士の娘が飼っていた小鳥が怪獣化したもの。ゼルダガスを憎んでおり、それを解放させようとしたかと思われたが、実は根津博士の娘アサミの遺志を継ぎ、ゼルダガスを消してしまうためだった。
 「ウルトラマン」20話「恐怖のルート87」によく似た話で、人間の思いを受け取った小動物が巨大化し、その無念を晴らそうとする話。前半部分は、すわ地球の危機!と言う緊張の展開だが、後半になると、それが涙涙の話へと転換していく。30分の番組でよくこれだけ作ったものだと思わされる。こういう暖かい話を作るのは太田脚本の特徴でもあり。
 演出も良し。特に後半、シーラが傷つき、血を流しながらひたすら歩く様は感動的なもの。この怪獣は、人間のために今まで生きてきたのだ。と言う事がその動きだけで再現出来ている。着ぐるみ繰演の傑作だろう。一方、ティガが情けなさ過ぎ。もしシーラ倒してたらティガの方が悪役になってたよね。
<怪獣の姿を一目見た根津博士はそれがシーラのなれの果てであることを見抜く。凄い眼力だけど、あるいはこいつはシーラを怪獣化させる何らかの改造を加えてたのか?
 人間体の怪我がウルトラマンにも影響するのは「帰ってきたウルトラマン」でお馴染みだが、ここでのティガの苦しみ方は尋常じゃない。そんな怪我してるように見えなかったけどね。
第33話 吸血都市

  監督:村石宏實
  脚本:長谷川圭一
  特技監督:村石宏實
 湾岸エリア内で連続失踪事件が発生。ムナカタはバーでオノダ記者からこの事件は吸血鬼の仕業だと告げられるのだった。調査を進めるムナカタが見た犯人は…
 敵は吸血魔獣キュラノス。南米の特定ウィルスに感染して吸血鬼になってしまった人間を守る存在。ティガの血を吸い、自由に操った。
 割とシリーズでは扱われることが多い吸血鬼。本作もそれを使っているが、ネタそのものはインタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(1994)そのまんまではあるが。
 ムナカタが中心となった話。この人は副官という立場からか、今ひとつ存在感が無く、今回も良い役をオノダ記者に取られてしまっているが、なんだかんだ言ってもイルマ隊長とムナカタは良い感じになってきている。恋愛話を普通に使うのは本作の特徴とも言えるか?
 ティガは光がないと変身出来ないと言うことが明らかになった話でもある。ダイヤモンド・アイか?でも光が完全になかった訳でもないんだよなあ。ここ何話か、ティガが弱すぎないか?
<吸血鬼探しの最中「これとそっくりな場面を映画で見たことがある」と言うレナ。自虐ギャグなのか?
 ティガの血を吸い、体の自由を奪うキュラノス。しかし光の巨人に血なんてあるのかね?
 最後にジャズバーに貼られている写真の中にオノダとユキナの姿がある。全然歳が変わってないようだが、一体ユキナはいつ南米に行ったんだ?>
VOL.9
<A> <楽>
第34話 南の涯てまで

  監督:村石宏實
  脚本:小中千昭
  特技監督:村石宏實
 クリオモス諸島へと向かったサワイ総監が突然消息を絶つ。その後衛星回線で、サワイは地球防衛軍を解体し地球平和連合を創設したと宣言する。ヨシオカ長官は第三者の陰謀と予測しGUTSによる武力解決を要求するが…
 敵は生体兵器デシモニア。クリオモス諸島に集まったTPC幹部を拘束する。
 前後編の前編。高度に政治的な話で、デシモ星系人は力押しではなく、政治家を捕らえることで地球を変えてしまおうとする。シリーズを通しても珍しい話となっている。同時にTPC創設の話にも言及され、サワイがどれだけ重要人物であるかを演出している。今ひとつ星人の主張が分かりづらかったのは仕方なかったことかな?
 ヨシオカとサワイの関係って「ウルトラセブン」のクラタとキリヤマの関係に似てる気がするけど、狙ったのかな?
 今回は特撮の力の入り方も凄く、車を空中から地面に本当に落下させたり、爆発シーンも多い。
 話はやや地味だが、さほどツッコミ所のない話に仕上がった。良い感じじゃないかな?
<サワイが秘密でクリオモス諸島に行ったのは、世界中にGUTSのような組織を作るためだったとか。つまり、現時点では平和は武力によって守らねばならないという結論なのか?>
第35話 眠りの乙女

  監督:石井てるよし
  脚本:小中千昭
  特技監督:大岡新一
 クリオモス諸島に出現したデシモニアと関係あると見られる冷凍睡眠中の宇宙人「眠りの乙女」がTPCに運ばれてきた。早速調査が開始されるが、冷凍されているはずの宇宙人が休養中のレナの前に現れその体にとりつかれてしまう…
 敵はデシモ星系人。24年前に地球に落下したグレイタイプの宇宙人。目的は地球を自分たちの住みやすい環境に変えることで、レナに乗り移り、崑崙に隠してあった宇宙鋼鉄竜グワームを起動する。グワームは巨大な竜の形をしたロボットで、デザイン的には大変すぐれている。赤いガスを吐き、地球の大気を変えようとする。頭にレナに乗り移ったデシモ星系人が乗っているため、ティガは思い切った攻撃が出来なかった。
 前後編の後編。前回に続き政治的な駆け引きがかなり主軸となっている。平和になったはずの地球に何故怪獣が出てくるのか。怪獣に対抗して武装強化は必要なのかが語られていく。他にもTPC内部の不協和音もあったりして、色々と複雑なお話へとなってる。この中でレナが中心となっているのが面白い所。
 改めて考えてみると、ここでのテーマの一つは間違いなく「平和とは何か?」と言うこと。それを真っ正面から捉えようとしているようだ。デシモ星系人の言葉によれば、人間はこの星を腐らせてしまうからこそ、地球を救うために宇宙からの侵略者がやってくるとのこと。小中氏脚本だが、なんか設定は武上氏のものみたい。
 今回のティガは等身大での変身の後、崑崙山中にテレポート。流石にエネルギーの使いすぎらしく、登場直後にはもうカラータイマーが点滅していた。
<一人暮らしの部屋では結構だらしないし、友達と電話でぞんざいな口調で話しているレナ。更にタンクトップ姿でびしょ濡れにもなる…これはサービスカットなのか?
 ガッツウィング2号は執拗にグワームの頭だけを狙ってる。これじゃそのまま悪役だよ。
 ところでエネルギー切れギリギリのティガはどうやって日本に戻ってきたんだろう?
 まだ休暇は続いているはずのレナをダイゴが制服で迎えに来ていた。デートへのお誘いだとしたら、懲戒免職ものだぞ。>
第36話 時空をこえた微笑

  監督:石井てるよし
  脚本:右田昌万
      長谷川圭一
  特技監督:大岡新一
 大正時代にバミューダ海域で行方不明になった船サザンポリス号が突如桜ヶ丘エリアに現れる。調査を開始するGUTSだったが、その前に、なんと大正生まれという女学生テヅカ・ユリと言う少女が現れるのだった。その面談を任されたヤズミだったが、ヤズミはそのユリという女性をかつて見たことがあった…
 敵は超力ゴルドラス。時空界の怪獣で、世界5カ所のミステリースポットの力を桜ヶ丘エリアに集めようとした。設定によれば実は26話に登場したシルバゴンの親玉で、時空を歪めて自分の力を上げようとしていた。強力なバリアを張ることが出来、更にパワーもあり。パワータイプのティガにより時空界に逃げ込もうとした所を引き戻され、パワーの源である角を反時空界エネルギーで破壊されて倒された。
 ヤズミ隊員が中心となった話。そう言えばヤズミ単独ではこれが初めての話か。28話でマユミと良い感じになってたと思ったけど、なんだかちょっと浮気性っぽいな。ただ、物語そのものはあっさり目。伏線がバレバレだったからかな?
<ユリは大正生まれと言うが、GUTSの面々はあっという間にそれを信じる。少しは疑えよ。
 ユリの保護を任されたヤズミはユリを落ち着かせるためデートのまねごとを…制服姿でそれやるのはかなり無茶じゃないか?この辺のいい加減さが半人前扱いされる理由か?
 基地でゴルドラスの弱点が角であることを推測するホリイ。その直後ティガも角を攻撃していた。電波かなにかでそれを知ったか?
 今回ティガはカラータイマー点滅した後の方が長く戦ってるんだけど?
 現場に救護班もいたから、マユミがいたらもうちょっと盛り上がった気もするな。>
第37話

  監督:実相寺昭雄
  脚本:薩川昭夫
  特技監督:服部光則
 しばらく怪獣騒ぎもなくなり、時間が出来たGUTSの面々はダイゴを留守番にしてお花見に行くことになった。お花見の傍ら、茶を点てていた女性が突然苦しみだし、イルマは彼女を救おうとするが、逆に車に引き込まれてしまうイルマ…
 敵は謀略宇宙人マノン星人。地球偵察のために二人が派遣され、人間に化けてGUTSに接触する。能面の翁のような顔をした宇宙人で、常に笑った表情のまま顔が動かないので、大変不気味。女性らしく、ちゃんと胸もある。
 実に久々と言える実相寺昭雄監督作品。のどかなナレーションは「ウルトラマン」34話「空の贈り物」を彷彿とさせ、光の演出やカメラアングルの凝り方など、本当に実相寺作品って感じ。オールドファンにはたまらない一本となっている。それにしても光の使い方は突出して良く、とても美しい作品に仕上げられた。
 物語そのものはやや捻りが入り、終始静かな物語に仕上げられている。花見の様子なども、後半に入ってくると、妙に物悲しい雰囲気が出ている。更にティガとマノン星人の戦いも拍子木の音の中、花道で能の舞のような殺陣を演じるという凝ったもの。お陰で爆発とか光線技とかほとんど無いけど。
<GUTSのお花見ではちゃんと酒を飲んでるようで、酔ったシンジョウが女性に絡もうとしていたり、飲めないムナカタが羨ましそうにみんなを見ていたり。
 ツッコミじゃないけど、マノン星人の宇宙船って「ウルトラセブン」に出てくる宇宙船みたい。それも狙ったかな?
 結局終始眠っていたホリイが一番の貧乏くじかも知れない。>
VOL.10
<A> <楽>
第38話 蜃気楼の怪獣

  監督:川崎郷太
  脚本:大西信介
  特技監督:川崎郷太
 怪獣の目撃情報が相次ぐ。しかし確たる証拠も被害もなく、いつしか「幻の怪獣」と呼ばれるようになっていく。その頃GUTSはヨーロッパから情報局の実権を握っていると噂されるタツムラ参謀が赴任していた。そしてタツムラは怪獣の情報を流しているのは実は自分たちであることをイルマに明かすのだった。
 敵は蜃気楼怪獣ファルドン。陽炎と共に現れ、その姿を瞬時に蜃気楼と実体に分けることが出来る。スカイタイプとなったティガも苦戦するが、イルマ機が実体を特定することによって倒される。そして奇獣デスモン。宇宙細菌に感染したサカサクラゲがマキシマの超微粒子に触れて変異したもの。ティガとは直接戦うことなく、TPCによって倒されたという。
 人間のメンタル部分を描いた作品で、シリーズものとしてもかなり異質な作品に仕上がった。TPCとGUTSの間の不協和音やGUTS隊員同士の軽い不信感など、珍しい話になってる。その分怪獣が今ひとつ目立たず、倒されたのもあっけなかった。
 怪獣は人間の醜い心から生み出される。と言う新しい解釈が登場したが、それを語るのは遅すぎたんじゃ無かろうか?
 ちなみに今回憎まれ役のタツムラ役は石橋保。憎々しいエリート役を上手くこなしていた。
<冒頭ダイゴが花粉症にかかったと医務室にやってくる。初めての事だが、ティガと同化している人間でもそう言うことが起こるの?
 今回ダイゴがティガに変身するのは、通信のみでダイゴ機が墜落した。という通信のみによって。バリエーションには苦労しているが、こう言うのも面白い。>
第39話 拝啓ウルトラマン様

  監督:川崎郷太
  脚本:長谷川圭一
  特技監督:川崎郷太
 怪獣ガルラが出現。防戦及び救援活動を行うGUTSだが、その中でダイゴはある青年からビル内に逃げ遅れた女性がいることを聞き、ティガに変身して救出した。その後、ダイゴの元に一通のメールが届く。そしてそこには「拝啓ウルトラマン様」と書かれていた…
 敵は超古代怪獣ガルラ。硬い装甲を持ち、ほとんどの攻撃を跳ね返してしまう。唯一の弱点は喉。第1話に登場したゴルザの同族とのことだが、姿はさほど似ていない。
 ウルトラマンの正体が知られてしまうというのは、これまでありそうで無かった話。見てみないふりという不文律を崩したが、考えてみると、なんでウルトラマンは正体を明かしてはいけないのか、その事については触れられてなかった。
 話は超能力者キリノとダイゴの会話だけでなく、レナとダイゴの接近がむしろ中心っぽくなってる。ちょっと欲張り過ぎだったかも。
 青年キリノとダイゴの会話は周りの人間が高速に動いてる中、二人だけが停止した空間にいるというもので、なかなかセンスが良い。他にもこの二人の会話シーンのカメラアングルなど大変凝ってる。
<ダイゴの挙動不審を敏感に察し、あとをつけてくるレナ。そのままデートに移行していくが、GUTSではそれ問題ないのかな?
 キリノ青年は相当にひねくれてるって設定のようだが、実際は結構良い奴だった。これでもう出てこないのはちょっと勿体ない。
 最後、ダイゴとレナに二日間の謹慎を命じるイルマ。なかなかさばけた人物であることがよく分かる。ここに来てようやく隊長らしくなってきたのかも。>
第40話

  監督:実相寺昭雄
  脚本:薩川昭夫
  特技監督:服部光則
 恋人に振られ、失恋してしまった青年生田は失意の中、夢の中で怪獣になって暴れていた。その時宇宙線が降り注ぎ夢の中の怪獣が現実化してしまう…
 敵は夢幻怪獣バクゴン。生田青年の見た悪夢が宇宙船によって現実世界に出現した怪獣。初めはモノクロだったが、徐々にパートカラー、フルカラーへと進化していく。ただし、夢だけにデザインはかなりふざけたもの。ダイゴの夢の中で変身したティガによって倒される。
 37話に続き再び実相寺昭雄監督作品。「花」ときたら、当然次は「夢」だろう(?)。今回も光の使い方とかアングルの取り方とかケレン味溢れる作品に仕上がってる。37話と較べても、メタフィクショナルな作品に仕上がり、やりたいように作ったって感じだな。
 物語そのものは「ウルトラマン」11話「宇宙から来た暴れん坊」のような作品。
 凄いのはキャストで、なんとゲストに浅野忠信、嶋田久作、寺田農と、豪華に尽きる。これも実相寺監督の人脈か?島田氏が妙にゲイっぽい役をやってるのが胡散臭くて良い。
<嶋田氏演じる怪しげな治療師から生田青年が受け取ったのは、嶋田氏のねっとりした声で「羊が1匹、羊が2匹〜」という怪しげなCDと、なんとウルトラマンのお面。怪しすぎる。
 ショックを受けた時、何でか「びょーん」という音が出るが、ティガとバクゴンが戦ってる時もそう言うのがあり。妙な雰囲気だった。
 ムナカタ副隊長は昔から刑事に憧れていたとのことで、脳波探知を行う時はなりきってた。でも、その格好はむしろへっぽこ探偵って感じ。
 それにしてもダイゴ、寝付きが早すぎ。
 怪獣を前に寝てしまったダイゴはイルマの叱責を受ける。だが、怖い顔しながら「たっぷり可愛がってあげるから」はやりすぎだろ?>
第41話 宇宙からの友

  監督:北浦嗣巳
  脚本:太田 愛
  特技監督:北浦嗣巳
 シンジョウの同期イヌイとキノサキの乗った宇宙船ロビンス号が地球に帰還しようとしていた。だが、船内に異常が発生、通信が途絶え地球へ墜落してしまう。現場に向かったシンジョウたちの目の前に現れたのはエイリアンに姿を変えたキノサキだった…
 敵はパラサイト宇宙人イルド。巨大脳を全員で共有する宇宙人で、他の星の生物もイルド化してしまう。何体ものイルドが合体することで巨大化も可能。
 シンジョウが中心となった話。他のキャラと較べてもこの人が中心となる話が多いが、今回は友情物語に仕上げられている。知らないながら親友を殺してしまったという重めの話。
 イルド化されることになんの抵抗も持たない町の住民の姿。平和が作り出すものではなくなって、人間の意識も変えられている事を示す良い例になっている。これが平成ウルトラマンシリーズの特色でもあろう。
 ここでガッツウィングの新型EX−J(エクストラジェット)が登場。ギミックも細かく描かれるが、これって玩具屋さんのテコ入れ?
<最初にシンジョウが通信したイヌイとキノサキが歌っているのはなんと「帰ってきたウルトラマン」の替え歌。
 もう2時間で地球に帰ると言ってた割に、その中で随分劇的なドラマが展開されていたらしい。イヌイの性格も随分変わってしまったみたい。
 イヌイが人間かどうか確かめるための合い言葉は「メロンパン」。ハードな物語の中で妙に浮いていた。
 イルドにされたいとか言って集まってきた若者達も、いざその場になると逃げまどっていたが、この辺はもうちょっと演出考えてほしかった。
 ところで無重力状態の宇宙から帰ってきてこんなに元気いっぱいに動き回れるものだろうか?>
VOL.11
<A> <楽>
第42話 少女が消えた街

  監督:北浦嗣巳
  脚本:長谷川圭一
  特技監督:北浦嗣巳
 バーチャルゲームに熱中するヤズミは最高得点をたたき出し、ついに念願の「タウン」へと招待される。保護者としてレナも同行することになったが、「タウン」の中の人間はまるで機械のようだった。レナが捕らわれてしまい、レナを救うべくヤズミは行動を開始するが、ヤズミの前に現れるのはかつてヤズミがゲームの中でクリアしたモンスターだった。そんな時一人の少女と出会うヤズミ…
 敵はメカ生命体ファイバス。正式にはサタンファイバス。「タウン」を統括するカレン−E90によって作られたロボット。ヤズミの必死の呼びかけによって茶道不能に陥った所をティガに倒される。他にムザン星人、レイビーク星人らが実態を持ったホログラムとして登場する他、ゲーム内のロボットなどが多数登場。
 ヤズミが中心となった話で、これまで半人前扱いされ続けたヤズミが根性を見せているのが特徴。コンピュータオタクのヤズミの話らしく、ゲームの話が展開し、物語の大部分がCGで構成される。この当時の技術力も充分面白い。機械が意志を持つというのは「ウルトラセブン」43話「第四惑星の悪夢」に似た話とも言える。
 ヤズミ役の古屋暢一の演技下手もあって、やや薄っぺらい印象があるのもなんだが。そう言えばこいつが中心になると、何故か少女との純愛の話が多くなるな。
<ゲームに興じるGUTSの面々。これが休み時間でないとすれば、かなりだらけた職場だな。
 バーチャル空間でダイゴに襲われるレナ。これがトラウマにならないと良いけど。
 マユミと良い雰囲気のはずのヤズミが36話のユリといい、この話のカレンと言い、なかなかおいしいキャラだな…まだ「浮気」って程じゃないと思うけど。>
第43話 地の鮫

  監督:村石宏實
  脚本:小中千昭
  特技監督:村石宏實
 熊本の地中から突然現れた巨大な鮫の背びれ。町を破壊しつつ熊本城を目指すがGUTSの攻撃により地中深くに姿を消した。ちょうどこの頃、TPCでタンゴ博士により分析されていた、ティガの石像を入れた容器“アーク”に異常が感知されていた…
 敵は地中鮫ゲオザーク。ネーミングはgeo+sharkかな?マサキ・ケイゴの作った地中探索用のロボットで、イーヴル・ティガの石像を発見するために使用される。ロボットだそうだが、見た目は怪獣そのまんま。ティガの倍は大きさがあり、造形技術の進歩を感じさせられる。パワータイプによって破壊される。
 前後編の前編でティガの存在そのものについて考察が行われた話。ラストに向けての布石ともなっている。
 ティガは光そのものであり、それを解明しようとしたのが天才マサキ・ケイゴ。科学には善悪はない。彼のやってることも間違ったことではないのだが、いかんせん人間の野望にそれを利用したら…という話になる。
 今回は熊本でロケが行われているが、いかにもタイアップ企画という感じ。
<話がハードな割にシンジョウとホリイの会話には「トンカラリン」という単語が頻発。
 ダイゴとマサキの格闘シーンは勿論本当に当てている訳ではないが、本人がやってるのが凄い所。ただ、つなぎがあんまり良くない。
 タンゴ博士がついに牙をむく。この人、頭は良いけど人間味が無いキャラなので、こういう事になりそうだった。マッド・サイエンティストはこうでなくてはいけない。良いキャラじゃないか。>
第44話 影を継ぐもの

  監督:村石宏實
  脚本:小中千昭
  特技監督:村石宏實
 スパークレンスを奪われたダイゴが熊本の地底で見たもの。それは巨大な怪獣と、もう一体の巨人像だった。そしてダイゴの目の前でマサキ・ケイゴはスパークレンスを用いて石像と同化する。だが、マサキの心は負荷に耐えきれず、町を破壊し始める。
 敵はイーヴル・ティガ。マサキ・ケイゴがスパークレンスを用いて巨人像と同化した姿だが、邪悪な心を持つマサキではその負荷に耐えられずに暴れ出してしまう。カラーリングがティガとはやや異なり、ちょっぴり吊り目。そして超古代狛犬怪獣ガーディー。巨人像と一緒に置いてあった怪獣像に子犬が同化した怪獣で、イーヴルの暴走を止めようとするが、イーヴルには到底敵わず。カラータイマーを持つのも特徴。
 前後編の後編。マサキ・ケイゴも又古代文明の遺伝子を持ち、ウルトラマンに変身出来る力があることが分かった。これまでにも偽物は何度かシリーズで現れたものの、邪悪なウルトラマンの誕生というのは初めてのこと。この相対するウルトラマンのイメージが後に「ウルトラマンガイア」につながっていったのだろう。
 イーヴル・ティガは青い目をしているが、これだけでも邪悪に見えてしまうのが面白い。あ、後偽物の特徴でもあるけど、ちょっと吊り目になってるね。
 イーヴル・ティガは自分で喋ってるのではなく、あらかじめ音声を吹き込んだものを使用している。だから見ていると、行動と台詞が全然合っておらずとても痛々しく感じる部分あり。この演出が上手い。
 他にも町を破壊しまくるウルトラマンの姿。悲しい音楽でイーヴル・ティガに立ち向かっていくガーディ、最後に死んだと思われた子犬が走り去る姿があるなど、とにかくこの話は演出が突出して良い。電線まで再現したミニチュアの作り込みも凄い。
<自分の発明を得意になってべらべら喋りまくり、ちょっとでも否定されると急に怒り出すタンゴ。このキャラ、やっぱ良いわ。
 イーヴル・ティガの着ぐるみはちょっと中の人と合ってなかったようで、ちょっとしわが寄りすぎてるけど。
 この話でマドカはダイゴがティガであることを察したんじゃないかな?その辺はあんまり語られてはいないけど。
 カラータイマーの点滅が…とはもはや言うまでもないか。>
第45話 永遠の命

  監督:松原信吾
  脚本:右田昌万
  特技監督:大岡新一
 異常なプラズマ反応を観測したGUTSはダイゴ、シンジョウ、レナを調査に向かわせる。そこに咲いていた花の花粉を吸ったレナとシンジョウは意識を失ってしまうのだった。そして太古の記憶を呼び覚まされたダイゴは少女テラと出会う。この花はギジェラと言い、超古代文明が滅びた時にも咲いたというのだ。実はこのギジェラは人間の体組織を変え、快楽と永遠の命を得るのだという…
 敵は超古代植物ギジェラ。人類の滅びの時が近づくと出現するという花で、人に快楽の夢と永遠の命を約束する。3千万年前にも現れ、その快楽に溺れている内に闇に支配されてしまう。
 3千万年前の人類に何が起こったのかを示す話で、何故光の巨人がこの地球を見捨てたのかも語られる。人間は快楽の虜になってしまうことで明日への希望を無くし、それが闇の世界の到来となる。そして一旦快楽を知った人間はそれから逃げることが出来ない。人間の限界というものを示している。ネタそのものは星新一のショートショートにもあったけど。
 そして、快楽よりも、苦しんで生きることを人類に突きつけるティガ。下手すればティガの方が悪人になっていた話である。
 話は重いが、演出そのものは結構コミカルで、なかなかバランスのいい話に仕上げられている。ラストはあるべき所に収まったが、ウルトラマンの存在理由まで語った重要な話となっている。
<それぞれが快楽の夢の中に入ってしまうGUTSの面々。ムナカタの快楽とはどうやら鍛え上げた自らの肉体を誇示すること…一人ポーズを取ってるムナカタは不気味。一方イルマは鳥になった妄想で笑いながら飛んでる…「ブーン」って…
 誰も名前も知らないはずのギジェラの名前をみんなが叫んでる。
 ティガと巨大ギジェラの戦いはほとんど『ゴジラVSビオランテ』…つーかそのまんまやん。>
VOL.12
<A> <楽>
第46話 いざ鎌倉!

  監督:松原信吾
  脚本:右田昌万
  特技監督:大岡新一
 江ノ電をひたすらに愛し、その写真を撮り続けるカメラマンの星野はある日怪獣を目撃する。しかし、GUTSの調査では怪獣の所在を確認されず、星野は意地になって怪獣を写真に撮ろうとするのだった…
 敵は虹色怪獣タラバン。カタツムリのような姿の宇宙生物で、隕石となって地球に落ちてきた。江ノ電の警笛を母の声と間違えて江ノ電の線路に擬態していた。特に悪気はなく、ティガによって宇宙に返された。「プワァーン」という電車の警笛のような声が特徴。
 ここ何話かハードな話が続いていたが、突然ゲストにガッツ石松を招いて親子の関係を描くハートウォーミングな話が展開。こだわりを持ちづけるオヤジをガッツ石松が好演していた。どことなく「ウルトラマン」35話「怪獣墓場」の話に似ている。ツッコミ所も多い話だった。
 他の隊員が全く信じていないのに、ダイゴとレナだけが星野の言葉を信じている。まあ、ちょっと信じ方が行きすぎの感はあるけど。
 妙に愛らしいタラバンのデザインは怪獣デザインコンテストで選ばれたもので、元の名前は「でんでんわに」だそうだ。
<本作の世界観は近未来のはずだが、江ノ電は江ノ電で全く変わらず。普通の町の中をGUTSの制服姿で歩いているのは妙な違和感あり。
 物語の展開上仕方ないんだろうけど、GUTSの制服を見た子ども達が無反応なのは気になるな。
 星野は奥さんを亡くしてるそうだけど、写真を見て「あの頃は駆け出しだった」と言ってたが、顔は全く変わってない。当たり前だけど。
 タラバンによって溶かされたシャーロックの中でティガに変身。あれでダイゴ=ティガと気付かない方がどうかしてる。
 タラバンには宇宙に同族がいることが分かるのだが、それを「お母さん」と断定するのは何故?
 宇宙にいるタラバンの母親の音声はステーションによって録音されているが、どうやって真空中の音を録音したんだろう?>
第47話 闇にさようなら

  監督:石井てるよし
  脚本:長谷川圭一
  特技監督:佐川和夫
 久々のミチルとデートを楽しむホリイ。そんな時TPC内で極秘裏に進んでいたD機関によるエボリュウ細胞を移植されて実験中のサルが巨大化して送電施設を攻撃し始めた。必死になって対策を練るホリイだったが、そんなホリイを見たミチルから誤解を受けてしまう…
 敵は異形進化怪獣メタモルガ。D機関によりエボリュウ細胞を移植されたサルが生きるために自己進化した姿。人類への復讐心を強く持っている。エボリュウ同様電気がないと生きられないが、ティガのセルチェンジビームまでエネルギーに変えてしまう能力も得ている。
 今回はホリイが中心の話で、11話の続編。ホリイの恋人として22話に登場したミチルも登場。更にエボリュウに変化してしまったサナダ・リョウスケの恋人サヤカも久々に再登場。で、ホリイはめでたくミチルとゴールイン。なんとも羨ましい奴だ。
 ホリイの恋が描かれる話ではあるが、特撮にも力が入ってる。電線がスパークして切れるシーンとか、完全ヒューマノイドタイプのメタモルガとの戦いも実に映える。
 メタモルガが力を失ったのは、なんとエボリュウの影のお陰。サナダ・リョウスケの心だったというのも上手い着地。
<久々にミチルとのデートでお好み焼き屋を選ぶホリイ。まあ、らしいっちゃらしいけど。
 ラストのホリイとミチルの結婚式はTPCメンバー勢揃いで、みんな礼服姿。ムナカタは何故か和服で日の丸のセンス持ってた。>
第48話 月からの逃亡者

  監督:石井てるよし
  脚本:右田昌万
  特技監督:佐川和夫
 TPCの月面基地ガロワが壊滅した。一人脱出して地球に帰り着いたキシナガ副隊長は、基地を全滅させたのは隊長であるハヤテだと報告するのだった。それを信じず、ハヤテの捜索を命じるイルマだったが…
 敵はエイリアンメンジュラ。二体の怪獣が合体した姿で、それぞれが人間に擬態することが出来る。仮に一方が倒されても、もう一方が残っている限り復活が可能。笑うような泣き声が特徴。これも怪獣デザインコンテストの入選作という。
 念願のウルトラマンへの出演を果たした京本政樹が全面にフィーチャーされた宇宙の話が展開。物語はまさに「ウルトラセブン」13話「V3から来た男」を意識した話で、キリヤマとクラタの関係がここではハヤテとイルマの関係となっている。宇宙人が人間を繭にして成り変わるってのは『ボディ・スナッチャー』で、物語もそれに近いけど。
 京本政樹ばかりが目立っているが、メンジュラに擬態された人間は皆無表情になるとか、なかなか人物描写も深い。
<念願叶って嬉しいのは分かるけど、京本政樹、一々格好付けすぎ。どっちかと言えば「仮面ライダーV3」の風見志郎みたい。イルマに言わせれば「照れ屋だから」だそうだが。
 メンジュラの叫び声はまるで笑ってるみたいだが、攻撃とかも一々コミカル…というか、相手を馬鹿にしてるようにしか見えない。思えばこんなふざけた怪獣は「ウルトラマンタロウ」のライブキング以来か。>
第49話 ウルトラの星

  監督:原田昌樹
      満田かずほ
  脚本:上原正三
  特技監督:北浦嗣巳
         高野宏一
 町にチャップリン風のおかしな男が現れる。パトロール中にその男を見かけたダイゴは超感覚で彼が宇宙人であることを突き止める。その男チャリジャは、生きた怪獣を捕らえるため、1965年の円谷英二に会いにいく。時空のゆがみに巻き込まれてしまったダイゴだが…
 敵は宇宙恐竜ヤナカーギー。1965年の竜ヶ森湖に潜んでいた凶悪な怪獣。チャリジャによって復活させられるが、ティガと初代ウルトラマンとが協力して倒す。そして宇宙魔人チャリジャ。1965年でヤナカーギーの持ち主で、ウルトラマンによって封印されたヤナカーギーを探し出し、暴れさせる。
 お祭り企画と言うべき作品で、ウルトラマンティガと初代ウルトラマンが協力して怪獣と戦う。確かに夢のような企画だが、スタッフの方も相当にノリノリに思える。話自体は円谷英二がダイゴと出会ったことで、ウルトラマンの着想を得たという物語となっている。そして最後、「ウルトラ作戦第1号」の撮影が始まった所で終了。更にEDテーマの映像は「ウルトラマン」から撮られてる。そして現代、その意志を継いだGUTSの出動で終了。
 円谷英二、金城哲夫と言った往年の有名人が次々と登場。ほのぼのしつつ燃える。
 演出に関しては、1965年の画面がモノクロームで描かれ、照明を向けた途端、カラーになると言う、面白い演出が用いられている。
<ティガ世界の円谷プロは巨大ビルと巨大な円谷マークが!手前味噌もここまで行けばたいしたもの。
 円谷英二と出会ったウルトラマンの声は「ウルトラマン」第1話に準じている。嬉しくなるね。>
VOL.13
<A> <楽>
第50話 もっと高く!

  監督:原田昌樹
  脚本:小中千昭
  特技監督:北浦嗣巳
 ギジェラが咲き乱れ、燃え尽きる世界のビジョンを夢で見るダイゴ。そして一人苦しむダイゴを何も言えずに見つめるレナ。そんな時、ニュージーランド沖に超古代文明の遺跡が現れ、怪獣ゾイガーがオーストラリアを襲撃するのだった…
 敵は超古代尖兵怪獣ゾイガー。超古代都市から現れた鳥型の怪獣で、超高速で飛行し、口から吐く火球で世界中の大都市を次々に襲撃する。ティガとレナの搭乗するスノーホワイトによって撃破されるが…
 最終章の始まり。充分に時間を取っているため、演出の溜めも良く、大変緊張感のある話に仕上がった。舞台も全世界的なものとなり、本当に地球の危機である事が強調されている。最初がオーストラリアだが、後半ゾイガーとティガが戦ったのはどうやらモンゴル。
 超古代文明と同じ過ちを繰り返し、滅亡に向かおうとしている人類と同時に、ダイゴの正体を知っていながら言い出せず、悩むレナの姿が非常に印象的な話となった。ただ、レナが妙に必死になっているのはちょっと唐突な印象があり。
 第1話に登場したユザレが再登場。滅びを予言しに現れる。
 そう言えば今回ティガは飛び去ることなく、そのままダイゴの姿へと戻ったが、これはレナに対してもう隠す必要がない。という意思表示だろうか?
 ちなみにED曲に合わせ、これまでのダイゴとレナの交流が語られている。なかなか心憎い演出だ。
<前回の予告でレナが「私、ダイゴがティガだって事知ってる」と叫んでいたが、これは今回無かった。
 シドニーが全滅する描写があったが、ここまで都市特定して良いのかな?>
第51話 暗黒の支配者

  監督:村石宏實
  脚本:右田昌万
      長谷川圭一
      小中千昭
  特技監督:神澤信一
 遺跡から次々に現れるゾイガーは世界各地に甚大な被害をもたらし、世界を闇に包んでいき、海底調査に向かったホリイとシンジョウも連絡が取れなくなってしまう。そして現れる邪神ガタノゾーア。ただ一人、ゾイガーの群れとガタノゾーアに立ち向かっていくティガだが…
 敵は前回に続き超古代尖兵怪獣ゾイガー。そして邪神ガタノゾーア。全長200メートルを超える超巨大な怪獣で、闇で全地球を覆おうとする。
 最終章の中編。絶望的な人間とティガの戦いが描かれていく。ゾイガー単独とはなんとか互角に戦えるティガも、圧倒的な力を持つガタノゾーアには無力で、光を失ったティガが石像になって海の底に沈むという終わり方も絶望的。
 物語はとにかくスピーディで、どんどん悪くなっていく状況をたたみ込んでいく。爽快感はほとんど無いが、ラストストーリーにはこの溜めが重要なのだ。これまでシリーズはラストストーリーでここまで引っ張ったのも本作が初めて。
 ガタノゾーアは全シリーズを通しても最大の怪獣だろう。これを動かせるようになったという事自体が、アナログの特撮技術の進歩を思わせる。「ウルトラセブン」48話、49話「史上最大の侵略」以来の盛り上げ方と言えるだろう。
 レナだけでなくイルマもダイゴがティガであることを知っていた。そりゃばれない方がおかしいとは思うけどさ。ダイゴに対し「ウルトラマンティガ」と呼びかけるのはなかなか映える。
 細かいことだが、パワータイプティガがゼペリオン光線に似たポーズで光線を撃っているが、この技には名称がない。ゼペリオン光線で良いのかな?
<イルマがダイゴの正体を知っていたことで、レナはちょっとショックを受けていたようだが、「自分だけは知っている」と思いたがったのかな?>
第52話 輝けるものたちへ

  監督:村石宏實
  脚本:右田昌万
      長谷川圭一
      小中千昭
  特技監督:神澤信一
 邪神ガタノゾーアの強大な力の前に全ての力を使い果たし、石に戻ってしまったティガ。その間にも闇の侵攻は進んでいた。最後の希望ティガの復活をかけ、TPCの努力は続く。
 敵は前回に続き、邪神ガタノゾーア。地球を覆う闇の本体でかつての超古代文明を滅ぼした最強の怪獣。だがグリッター化したティガの敵ではなかった。
 最終回。ティガの復活とパワーアップが描かれるのだが、もっと重要なのが人間の思いであることが描かれた話。バランスも良いし、最高の話に仕上げられている。ものとしては「ウルトラセブン」39話、40話「セブン暗殺計画」に沿っている。どれだけあの話が素晴らしかったかが改めて分かる話である。ただ、限られた人間の努力だけでなく、光を求める人々の心の力に焦点が当てられているのが本作の最大の特徴であろう。
 これまでの話の総括であり、懐かしい人物が次々と登場する。それはキリエル人であったり(キリエル人はガタノゾーアの復活させないように人間を導こうとしていたという)、マサキ・ケイゴが復帰だったり(ティガを復活させるため)、キリノであったり(ティガの意識が残っていることを確認)、ハヤテであったり(マサキを連れ戻す)、マキシマ・オーバードライブ(ティガの光を復活させるため)であり。それらが全員力を合わせてティガを復活させようとする。そして、それらが失敗に終わったかに思えた時、子ども達の声が…ここまで細かくやるとは凄い。
 そして現れるグリッターティガ。この盛り上がりは尋常じゃない。あまりにも圧倒的すぎてガタノゾーアさえあっという間に倒してしまったのがちょっとあっけなかったが。
 そして最後、ダイゴはウルトラマンとなる力を失ったが、人間の心に光があることを確認し、レナを得た…終わり方もすっきりしてるよ。
<ティガは国際的にも有名らしく、アメリカ?でもティガのフィギュアを握りしめた子ども達の姿が…出来過ぎじゃない?
 マサキ・ケイゴの復活。しかし、こいつほとんど壊れてたけど。結構面白い奴だったんだな。>
外伝 古代に蘇る巨人

  監督:原田昌樹
  脚本:山本 優
  特技監督:村石宏實
 かつてウルトラマンティガとなったマドカ・ダイゴの息子マドカ・ツバサはネオスーパーGUTS訓練生として最終テストを受けていた。だがそこに突然現れた怪獣ジョーモノイドと共に時空の裂け目に吸い込まれてしまう。そしてツバサは、なんと縄文時代へとタイムスリップしてしまう。
 敵は時空飛来怪獣ジョーモノイド。卒業訓練中のツバサが遭遇した怪獣で、ツバサと共に縄文時代に飛ばされてしまう。そして遮光器土偶魔神 ドグーフ。ドグラマグマが復活させた魔人。遮光器土偶に酷似した姿を持つ。
 「ウルトラマンティガ」外伝で、あれからもう30年の月日が経過。劇場版『ウルトラマンティガ』の更に20年近く未来の話。ダイゴの息子がティガに変身するという話になってる。話としてはかなり無茶苦茶で、縄文時代に現れたティガの活躍を描くこととなる。
 ここで面白いのが、ウルトラマンティガに変身するのが複数の人間と言う事。ダイゴの息子ツバサがティガになるのは当然だが、それは不完全な変身であり、実際の光の巨人として覚醒するのは縄文時代の少年だった。この設定は後の「ウルトラマンネクサス」に受け継がれることとなる。
<縄文時代にそんな複雑な言語体系が確立しているのが不思議と言えば不思議だが、完全な標準語を喋ってるのが何とも。まだ「ドラえもん」の方がリアリティある…と言うか、これって設定が『のび太の日本誕生』だと思う。>