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ウルトラセブン

ウルトラセブン事典
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1967'10'1〜1968'9'8

 ウルトラシリーズ第3作でウルトラマンシリーズの第2作。前作「ウルトラマン」と同様巨大ヒーローが侵略者と戦うのがメインストーリーとなるが、かなり差異化が図られており、本作も様々な挑戦がなされている。何でもありと言った風情の前作と比べ、本作は明確に宇宙人と戦う事と、正義のアイデンティティを正面から描いており、脚本もハードなものが多い。「ウルトラマン」と並び、未だに特撮ファンに愛され続けている作品の一本。
 本作は「ウルトラマン」とは異なり、なかなか海外では日の目を見なかったそうだが(ストーリーがシリアスすぎたためと、やたらと怪獣切断シーンが合ったためと思われる)、20年以上も後でカナダが英語吹き替え版を放映。吹き替えがあまりにも酷すぎたため、これも又一種の伝説とされてしまった作品と言われている。
 当時の裏話だが、「ウルトラセブン」というタイトルは本当なら原始時代を舞台とした特撮コメディ作品として作られるはずだったが、並行して企画されたヒーローものの「ウルトラ・アイ」という企画の方が通り、それでタイトルだけ流用したのだとか。

主な登場人物
モロボシ・ダン
ウルトラセブン
(役)森次浩司(現森次晃嗣)。本作がデビュー作となり、以降かなりの数の映画に出演するが、平成になって再びモロボシダン役でカムバック。マッチョな中年ぶりを見せてくれる。
 正体はM78星雲人の恒点観測員340号。地球をパトロール中、勇敢な青年薩摩次郎を助け、その姿を借りる。ちなみに薩摩次郎本人はちゃんと生存していて、17話では競演(?)もしてる。突然パトロール中のフルハシとソガの前に現れ、「名前?そう。モロボシ・ダンとでもしておきましょう」とうそぶくが、そんな怪しい人間をあっさり入隊させてしまうウルトラ警備隊も凄い。
キリヤマ・カオル (役)中山昭二。当時既にヴェテランで、以前にも「スーパージャイアンツ」「忍者部隊 月光」などいくつもの特撮番組に出演している。1998年没。
 ウルトラ警備隊隊長。ひらめきと何でも知っている頭脳を持つ(この人の知識は一体どれほどあるのか感心するほど…ご都合主義とも言える)。ザンパ星人およびノンマルトを全滅させたのはこの人で、見ようによっては大変な悪人でもある(実際後年ネットで行われた「悪人ベストテン」でベストテン入りしている)。
友里アンヌ (役)菱見百合子(現ひし美ゆり子)本作がデビュー作で、この後映画やテレビドラマで活躍。実は最初は東宝専属の女優豊浦美子に白羽の矢が立ったそうだが、会社の方針で駄目になったのだとか。
 宇宙航行学や生物化学の権威である友里源三郎の孫娘。普段はメディカルセンターで隊員の健康管理を担当している。後半は度々ダンとのデート風景が見られ、実際ダンも彼女のことを好いているようだが、最後にダンは彼女に正体を明かした後、彼女を振り切って変身する。
フルハシ・シゲル (役)石井伊吉(現毒蝮三太夫)。「ウルトラマン」のアラシ役に続いて続投。平成シリーズではウルトラ警備隊隊長になってる。
 柔道・空手とともに五段という豪腕且つ豪快な男。猪突猛進型。北海道出身。
ソガ (役)阿知波信介。本作以外では戦争映画に良く出演してる。後、芸能プロダクション社長となるが、2007'5'7鹿児島にて入水。
 ウルトラ警備隊が誇る射撃の名手だが、常に三枚目でお笑い担当。京南大学に婚約者の南部冴子がいる。
アマギ (役)古谷敏。多くの特撮映画&テレビ番組に出演。「ウルトラマン」ではウルトラマンの着ぐるみに入り、全話をこなしていた。
 メカニックに強く、主に通信で活躍する。実戦はやや苦手だが、警備隊員として数々の宇宙人に立ち向かう。幼い頃に近くで花火工場の事故があり爆発物が苦手だったが後に見事克服。
クラタ (役)南廣。既にヴェテランの役者で、その風貌からか、警察ものが多い。1989年3月4日没。
 宇宙ステーションV3の隊長で、警備隊のキリヤマ隊長とは戦友。この二人が中心となってザンパ星人を滅ぼしたらしい。豪快な性格をしており、部下に恐れられているが、実は義に厚い。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 姿なき挑戦者

  監督:円谷 一
  脚本:金城哲夫
  特殊技術:高野宏一
 続発する人間消失事件。現代の科学では説明不可能なこの事件に、地球防衛軍はこれが宇宙人の仕業と断定。地球防衛軍のエリート、ウルトラ警備隊の出動が決定される。調査に向かったウルトラ警備隊のフルハシとソガの前に風来坊の青年が現れる。「名前?そう。モロボシ・ダンとでもしておきましょう」ととぼけたため、最初ふざけていると思いこんだフルハシとソガだったが、突然現れた見えない宇宙船の攻撃をダンによって助けられる。ダンを防衛軍基地に連れてくる二人だが、彼らの前に基地のモニターからクール星人と名乗る不気味な声が聞こえてくる。臨時隊員として参加したダンを含め、ホーク1号による作戦を開始する警備隊の面々だったが、宇宙船の攻撃を受け、不時着してしまう…
 敵は宇宙ハンタークール星人。巨大な頭を持ち、多数の手、毒針を思わせる尻尾と、明らかに昆虫をイメージしている優れたデザインしてる。ただ、その形状故、直接戦うわけにもいかず、アイスラッガーでバラバラにされるだけ。他にカプセル怪獣の一体目としてウインダムが登場。ひょこひょこ歩いて円盤を潰す役。
 『ウルトラマン』の後を受けて開始された本作品。第1話から『ウルトラマン』と同じにはしないぞ。と言う心意気が感じられる。
 名シーンが目白押しだが、やはり極めつけはフルハシとソガがダンと出会うシーンだろう。不審な人物が目の前に立っていると言うだけの理由で煙幕を張って追っ払おうとするとか、名前を聞かれたダンが「名前?そう。モロボシ・ダンとでもしておきましょう」と言うシーンとか…しかし、ダンってよくウルトラ警備隊に入れたよな。洗脳でもしたのか?
 もう一つ重要なのは、変身したウルトラセブンの変身が最初は等身大の姿だと言うこと。ウルトラマンは確かに名作だが、先発だけにいくつかの問題があった。その一つは巨大すぎて人間とのコミュニケーションが放棄されていたことがある。対してセブンは人間と同じ大きさになれるから、人間とも、宇宙人ともコミュニケーションが取れる存在である事をここで宣言したのだと思われる。
 さすがに第1話だけあって、藤田進、平田昭彦、佐原健二とオールスターが登場してる点も勿論重要な部分。
VOL.1
<A> <楽>
第2話 緑の恐怖

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:金城哲夫
  特殊技術:高野宏一
 宇宙ステーションV3から休暇で地上に帰ってきた石黒隊員の庭に巨大な隕石のようなものが出現していた。石黒隊員を送ってきたダンはその物質を見て、ワイアール星にしかない金属・チルソナイト808であることに気づいて不審を抱く。その晩から石黒家の近所で人間が怪物と化す事件が起きるのだった。調査に向かったダンとアンヌはその隕石をウルトラ警備隊に運び、石黒隊員の机から同じくチルソナイト808で出来た物体を発見するのだった。一方、家族と共に箱根行きの電車に乗った石黒隊員は突然苦しみだし、その正体を現すのだった。彼こそワイアール星人。地球人を仲間に変え、地球侵略を開始していたのだ。
 敵はワイアール星人。宇宙をさすらう植物状の怪物。狙いを定めた星に生物に擬態した一体と通信機器のチルソナイト808を送り込み、それから胞子を人間に植え付け、仲間を増やす。高度な文明を持っているように見えて、意外に行動は行き当たりばったり。セブンのアイスラッガーでバラバラにされた上にエメリウム光線を受けて爆発炎上。
 ワイアール星人が持ち込んだ金属はチルソナイト808。これは「ウルトラQ」のガラモンを構成しているチルソナイトとの関連が考えられるが、劇中では最後まで明らかにされない(脚本は同じ金城哲夫)。
<ところで、第1話で名前が呼ばれることがなかったウルトラセブンの名前がしっかりここで呼ばれているが、1話と2話の間にウルトラ警備隊がそれを知るイベントがあったのだろうか?…これはウルトラ警備隊の7番目の隊員と言うことで「セブン」と名付けられたらしい。地球人が名前を付けたのは珍しい。>
第3話 湖のひみつ

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:金城哲夫
  特殊技術:高野宏一
 木曽谷に巨大な円盤が墜落し、現場に向かったダンとフルハシは内部に侵入する。だがそれはピット星人の罠で、ガスの噴射により気を失わされたダンはウルトラアイを盗まれてしまうのだった。更に少女に変装したピット星人はウルトラ警備隊本部に侵入し、司令部を破壊。更に怪獣エレキングを呼び出すのだった。
 敵はピット星人エレキング。ピット星人はメタルナミュータントみたいな姿してながら、女性に変身することが出来て、それで人間を安心させる。視覚作戦だが、設定を見るとまるで『スペース・バンパイア』(1985)だな。それとやはり特徴的なフォルムを持つエレキング。巨大感もあり、角が回ったり尻尾が独立して動くなど造型の細かさもある。更にカプセル怪獣のミクラスを圧倒。かなり力が入ってる…と思ったら、これが制作第1話とのこと。気合いが入ってたんだな。
 ここではホーク1号〜3号までの全ての発進シーンが見られたり、煽りを用いた怪獣の巨大さなど、視覚的にも大変見所の多い話で、更にウルトラセブンのお約束…と言うか、特徴としてウルトラアイが盗まれるシーンも入ってる。前作「ウルトラマン」と似せた構成でしっかり個性を出してる辺り、かなりの好作である。
第4話 マックス号応答せよ

  監督:満田かずほ
  脚本:山田正弘
      金城哲夫
  特殊技術:有川貞昌
 アマギとソガが極秘指令で原子力潜水艦マックス号へと向かった。二人を送ったダンは警備隊本部に帰る途中で現れた女性にウルトラアイを奪われてしまう。一方、タケナカ参謀と共にマックス号で行方不明の船の探索に向かったアマギとソガだったが、問題の地点に着いたマックス号は突如空中に浮かび上がり、宇宙へ連れ去られてしまった。ホーク2号の探索で、マックス号が宇宙にいることを察知したウルトラ警備隊だったが、ゴドラ星人の本当の狙いは全く違ったところにあった…
 敵はゴドラ星人。長い顔と頭の頂上に目が付いてるのが特徴。画面には一体しか出てこないが、実際は多数のゴドラ星人が登場する。そのうちの一体は人間の女性に化け、ダンのウルトラアイを強奪し、その後警備隊本部と共に自爆する任務を帯びていたという。なかなか泣かせる設定だね(私は特攻好き)。ゴドラ星人は複数出てくるが、巨大化は一体だけでほんの短い間なので、セブンの等身大での戦いに重点が置かれた話だった。
<それにしてもこれがないと変身できないというウルトラアイをこうも易々と奪われてしまうダンって、結構危機意識が低いんじゃないのか?それが魅力っちゃその通りだが。
 ダンを虜にしたゴドラ星人は「飛んで火に入る夏の虫だ」と言っていた。ずいぶん日本語に堪能なことだ。
 宇宙に浮かぶマックス号からウルトラセブンの先導で逃げ出す乗組員たち。ウルトラホーク2号で救出されていたが、ずいぶん宇宙空間をゆっくりと移動していた。>
第5話 消された時間

  監督:円谷 一
  脚本:菅野昭彦
  特殊技術:高野宏一
 地球の頭脳と称されるユシマ博士が防衛軍極東基地に視察にやって来た。だがその本当の目的は、博士が発明したユシマダイオードを使って基地に超遠距離レーダーを設置することだった。だが、防衛軍基地に向かう飛行機の時間が突然止まる。次の瞬間何事もなかったように飛んだ飛行機は防衛軍基地に向かう。その夜、再び時が止まり、ユシマ博士の泊まった部屋のテレビから不気味な声が響き渡った。次の日、ユシマ博士は防衛軍のレーダーを強化するふりをして破壊してしまう。そしてその作業を行ったダンに疑いの目が注がれる。ユシマ博士の正体を見破ったものの、誰にもそれを信じてもらえず、牢に入れられてしまう…
 敵はビラ星人。エビとカニを合わせたような宇宙人で、殊更人間型から離れようとしたセブンの宇宙人でもかなり特異な形状をしている。1話のクール星人に続く繰演による宇宙人だが、ここではセブンと直接戦ってるシーンが力入ってる。繰演が又上手いこと。感心できるよ。多数のビラ星人がいたはずだが、出てきたのは一体のみ。
 全般に質が高い作品だけど、ちょっと気になるところも多かった。
 ユシマ博士は29歳で博士号を5つも持っているという青年学者なのだそうだが、妙に老けてるのが気になるな。そのユシマ博士がダンに何事かを言ったようで、ダンが「何故ユシマ博士はあんな事を言ったのか。僕が宇宙人だと知っているのか?」と一人呟くシーンがあるけど、一体何を言われたんだろう?何も喋ってなかったように思うんだけど。
 ダンがセブンへの変身シーンは、等身大となる。ウルトラマン=巨大という図式に留まらない演出がやはりセブンの醍醐味だ(尤も巨大化してしまったら防衛軍基地がバラバラになるんだけど)。変身して最初にやった事って牢破りというのがちと情けないか(笑)…後でどうやって牢から出たのか、ちゃんと説明したんだろうか?
 それと、何故防衛軍の地下に牢屋なんてあるんだろう?本当にこんなの必要なのか? 
 もう一つ。「我々は全宇宙の征服者、ビラ星人だ」と言うシーンを観て、しみじみ思った。こんな奴に征服される宇宙ってえらく安っぽく思えてしまう。これ又大きなお世話か?
VOL.2
<A> <楽>
第6話 ダーク・ゾーン

  監督:満田かずほ
  脚本:若槻文三
  特殊技術:有川貞昌
 アンヌ隊員の部屋に現れた黒い影。助けを求められたダンがアンヌの部屋にやってきたところ、その黒い影は口をきき、自分は宇宙人で怪我をしているのでしばらくそっとしておいてほしいと頼む。丁度その頃、ウルトラ警備隊本部に謎の通信が入り、宇宙都市ペガッサが動力部が故障して地球の軌道上に乗ってしまったため、地球の軌道変更を要請してきた…
 敵はペガッサ星人。両目の飛び出た黒色の宇宙人。自分の星が破壊されたことを知らされず、地球を破壊しようとする。ただ科学は優れているようだが、肉体的特徴として武器は持たないらしい(拳銃でセブンを狙ってた)。アイスラッガーに拳銃をたたき落とされて逃亡。最後まで生き残ったため、そのまま地球に住んでいると思われるが…
 宇宙人との感性の違い、交流の難しさを正面から捕らえた好作。地球人であれペガッサ星人であれ、自分の星を守りたいという点で一致しているのだが、お互いの力を知らないため、すれ違う。宇宙人との交流は実に危ういバランスの上に立っていることを思わせられる。仮にセブンがいなかったら地球とペガッサの心中ということになったのかな?ラストのダンの言葉も意味深。地球人が正義を果たしている訳じゃないからね。
 ペガッサ星人が地球を指して、「勝手に動いているものの上に人間は乗っかってるだけなのか?」という問いは、宇宙人と人間との感性の違いをみせるよう。演出も考えられてる。
 …敷衍して考えると、なにもこれは宇宙人と地球人だけじゃない。人間同士だってすれ違うんだから。
第7話 宇宙囚人303

  監督:鈴木俊継
  脚本:金城哲夫
  特殊技術:的場 徹
 宇宙からの怪電波をキャッチする宇宙ステーションV3。既に宇宙人は地球に降り立っており、ガソリンスタンドに現れた宇宙人は、ガソリンを飲み干して人を次々と襲っていた。V3のミズノ隊員が怪電波の解読を終えたところ、これはキュラソ星からのもので、凶悪な犯罪者303号が逃亡したとのことだった。人質を取り、地球上で逃亡を続けるキュラソ星人だが、最後はアンヌ隊員を人質としてウルトラホークベータ号を奪い、宇宙へ逃亡しようとする。
 敵はキュラソ星人(の犯罪者)。ケムール人によく似た宇宙人だが、明確に自分から「キュラソ星人」と名乗っていないため、あるいはキュラソ星に捕らえられていた他の宇宙人の可能性もあり。今回はセブンとの直接対決は無しで、戦ったのはダンだという珍しい回。一応巨大化するが、体内のガソリンに引火して爆死。セブンはベータ号から逃げ出すためだけに変身。
 一話毎にストーリーが練り込まれているのが本作だが、ストーリーを重視するあまり、セブンの活躍よりもダンやウルトラ警備隊の活躍の方が目立つ回が多い。これも本シリーズの特徴だろう。
 「宇宙でも、この地球でも、正義は一つなんだ!」と言うのがダンの一言。これでキュラソ星との友好関係が築けるかも知れない。と言うところで終わるんだが、果たしてそれが良かったのか悪かったのか。
 …余計なことを言わせてもらうと、地球にやってきたキュラソ星人が本当に犯罪者なのかどうか、最後まで実証できてない。ひょっとしたら、キュラソ星から逃げてきた正義の人だったのかも知れない。
第8話 狙われた街

  監督:実相寺昭雄
  脚本:金城哲夫
  特殊技術:大木 淳
 北川町で起こる怪事件。普通の一般市民が突然暴れだし、人を襲うようになったのだ。タクシーの運転手は暴走を起こした上に客に暴行を働き、おとなしい青年はライフルを乱射する。タクシーの運転手が突如乗客に暴行を始めた。調査を開始したダンだったが、何者かに襲われた挙げ句、「この事件から手を引け」と警告を受ける。一方、ウルトラ警備隊ではフルハシやソガが北川町で買ったタバコを吸った途端に狂暴化する事件が発生する。そこに隠された赤い結晶が人を狂暴化させる事が分かる。
 敵はメトロン星人。畳敷きの部屋でちゃぶ台を挟んで会話するメトロン星人とダンの姿はウルトラセブンを代表する名場面の一つ。こういった変な描写はやはり監督の実相寺昭雄ならでは。セブンとは実際戦うと言うより、『椿三十郎』(1962)っぽい居合いで一瞬にして決まってしまう。本来の売りである怪獣プロレスに凝らない作りが面白いところ。
 この回は大変カメラアングルに凝ってるのも特徴。煽りを多用したり、暗い店内から明るい窓を映し、キャラクターをシルエットで表現したり、ピント合わせをずらして遠近感を出したり、逆光を多用したり。フルハシがタバコ吸った途端、赤いライトに照らされ、目つきが急に変わるシーンは不気味さや、前述のちゃぶ台に座るメトロン星人の姿も良し。
 下町のアパートの屋根が開いて宇宙船が飛び出すシーンはおそらくうる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー(1984)のハリアー発進の元ネタとなったと思われる(確かに押井守が好きそうな素材だ)。夕陽が多用されるのも特徴(特殊技術の大木淳の趣味だという話も…なんせ「夕陽のジュンちゃん」だもんな)
 ストーリーも、諧謔趣味にあふれていて、人間によって人間が殺される事実をあっさりと描ききり、下町にスポットを当てて、一種のやりきれなさを演出していた(今の特撮作品はどんどん明るくなって、闇の部分の演出がどんどん下手になってきてるなあ)。ラストのナレーションが泣かせるよ。「こうしてメトロン星人の恐るべき作戦は失敗に終わった。だが心配せずとも、これは遠い未来の話である。なぜなら、我々人類は宇宙人に狙われるほどまだお互いを信頼していないからだ」。メトロン星人が人間の信頼を壊す事を目的としていたことからだが、何という皮肉か。
 とても質が高い作品だが、終わってみると、やっぱり実相寺監督、やってくれるな。と言う感想。
 ちなみに、客演でライフル魔を尋問する刑事は穂積隆信。
第9話 アンドロイド0指令

  監督:満田かずほ
  脚本:上原正三
  特殊技術:的場徹
 フルハシとソガは、パトロール中にダンの事を尋ねる金髪美女と出あう。悪戯心を起こし、つい自分がモロボシダンと名乗ったフルハシが彼女と握手すると、突然高圧電流を流され、危うく殺されそうになる。しかしフルハシは逃げる女からブローチを奪っていた。そこには暗号文書が書かれており、その文字の解読結果は、「アンドロイド0指令」というものだった。その後、公園で玩具の鉄砲で遊ぶこども達を見かけたダンは、こども達の付けているワッペンに例のブローチと同じ模様が描かれていることに気付く。一体こども達はこのワッペンをどこから?そして「アンドロイド0指令」とは?
 敵はチブル星人。第1話のクール星人と似たようなデザインをしてるため、本では合わせて紹介される事が多い。殆ど頭だけの宇宙人で、知能も高そうなのに、やってる作戦が結構お粗末なのはご愛敬か?(話の大部分が暗闇で進行する物語自体は結構緊張感があるのだが)。エメリウム光線一発で溶けてしまうのも情けないところ。
 そう言えば、ここでもセブンは変身出来ないという危機に見舞われる。ダンとソガがチブル星人の罠に陥り、二人揃って暗闇に残されるシーンなのだが、ダンは自分がセブンであることを隠し通しておきたいため、ソガがいる限り、変身出来ない…それでダンは「ソガ隊員、すまん」と言うなり、当て身を食らわせて気絶させてしまう…チブル星人が張った罠ってこの程度?
VOL.3
<A> <楽>
第10話 怪しい隣人

  監督:鈴木俊継
  脚本:若槻文三
  特殊技術:的場徹
 交通事故で足を怪我して別荘で療養していたアキラ少年は、2ヶ月ほど前に隣に越してきた隣家の住人に不信の念を覚える。彼は眠りも食事もしないままずっと座ったままで、何か作っているのだ。アキラの姉の友人であるアンヌはダンと共にアキラを見舞いに来たが、アキラの言葉の正しさを直感したダンはアンヌの見守る前で突然消えてしまった。ダンが連れて行かれたのはイカルス星人が作り出した四次元空間で、ダンはここでは変身が出来ず、カプセル怪獣も出すことが出来ない。イカルス星人は四次元から地球を攻撃すると宣言するのだった。
 敵はイカルス星人。デザインが良く、よく見る怪獣。巨大な耳が特徴だが、ちゃんと動いてるのが芸の細かさ。最初人間の姿を取り四次元空間発生装置を作り、ダンをそこに誘い込む事に成功するが、ダンに四次元空間を破られてしまい、本性を現す。宇宙船と自らアロー光線を使ってウルトラセブンを苦しめる。しかし、四次元空間を発生させる装置をわざわざダンの手が届くところに置いておいて、それを破壊されたら「お前を見くびっていたようだ」とか発言してるのだが、ちょっと間が抜けてるというか…
 最近ではこういう特殊空間に何らかの名前が付いてるものだが、“四次元空間”と言うストレートなネーミングには、なんか時代を感じてしまう。
 それと、四次元空間ではセブンに変身出来ないという設定は良いけど、投げつけたカプセル怪獣のカプセルはちゃんと回収したのだろうか?(画面に登場しなかった残り二つのカプセルのひとつだという話もある)
 イカルス星人及び宇宙船の出すアロー光線は相当な威力らしく、セブンは山の陰に隠れて顔だけこっそり出して宇宙船の動向をうかがっているシーンがあって、なんかその姿が笑える。
 結構珍しいパターンなのだが、倒されたイカルス星人は死ぬ描写が描かれない。アイスラッガーで腹を打たれ、もがき苦しんでるところをセブンの超能力で山の向こうに放り投げられる。そこから立ち上る煙で死が推測されるだけとなっている。
第11話 魔の山へ飛べ

  監督:満田かずほ
  脚本:金城哲夫
  特殊技術:的場徹
 岩見山で、若者達が突然死するという事件が多発する。しかも死因は全く不明なのだった。ウルトラ警備隊のダンとソガが出動するのだが、別々に調査していたソガが振り返ると、なんとダンが倒れていた。ダンの弔い合戦として調査を続ける警備隊は岩見山の洞窟で謎の怪人を発見し、撃退する。怪人が落としたカメラのようなものを調査すると、そのフィルムにはこれまでの犠牲者達のもがき苦しむ姿が…このカメラは命を吸い取りフィルムに焼き付ける兵器だったのだ。犠牲になった人達は、肉体は死んでいるが命はフィルムの中で生き続けていることが判明する。一方、洞窟の調査を続けるソガはワイルド星人と出会う。彼は老化し死に絶えようとしている自分の星の住民のため、若い生命を採取に来たので、許して欲しいとソガに懇願する。ウルトラ警備隊では、命を吸い取られた人間をもう一度カメラで撮影すれば、生き返ることをアマギが発見、早速ダンを生き返らすが、フィルムを返してもらえなかったワイルド星人は宇宙竜ナースを呼び出し、隊員達を襲わせるのだった。
 敵はワイルド星人。ゴリラのぬいぐるみに白塗りの人間の顔が出てるような、無茶苦茶変なデザインをしている。金かかってないなあ。ワイルド星の住民は既に老化しており、その命を救うために若い命を持ち帰るために地球に来たのだという。地球侵略には興味がないので、許して欲しいと懇願する姿は、なんか妙にもの悲しいものがある。しかし、それを勝手な言いぐさと断定し、攻撃をかけるソガ。ファーストコンタクトものとしてはかなり自分勝手な地球人の姿だよな。妥協点をどこかで見つけようって気は無いのか?(ダンが死んでしまったので、それでキレてたとも考えられるが)。結局逃げていくところを狙撃されて炎上…結局可哀想なだけじゃないか?そしてワイルド星人が呼び出したナース。これはデザインセンスは突出した美しさ。宇宙竜の異名を取るだけに、細長い身体をくねらせて空を飛び、時として身体を円盤状に巻き付けて飛行する。具体的な光線技とかは持ってないが、セブンに自らの身体を巻き付かせて絞め殺そうとするのだが、セブンの怪力の前に、バラバラにされてしまう。
 本作は小道具とかキャストとが結構面白い回で、ダンの死亡を確認する三人の医師は、それぞれ脚本家の上原正三、金城哲夫、赤井鬼介である。更にダンの現像に使われた機械は、かの有名なオプチカルプリンター。こんな所でその勇姿が拝めるとは! 魂と肉体の合成に用いるあたり、なかなか皮肉というか、納得のいく機械である。
第12話 遊星より愛をこめて

  監督:実相寺昭雄
  脚本:佐々木守
  特殊技術:大木 淳
 次々と若い女性が貧血のような症状を起こして意識不明になる事件が続発した。彼女達に共通しているのは不思議な形をした時計をはめていたこと。原爆病によく似た症状だとダンは気づくのだが…
 敵はひばく怪獣スペル星人。スペリウム爆弾で荒廃してしまった故郷の星を救うため、人類の血液を必要とし、スペリウムで出来た時計を女性に渡して血液を奪っていた。途中で若い女性よりも子供の血の方が効果的であることに気づく。
 本作はスペル星人の二つ名が雑誌に載ったことで某所からのクレームで「不謹慎だ」と非難を受け、欠番とされてしまった話。確かに被爆者の事とか原爆症の事とか話されてはいるが、内容的に決して問題はないはず。むしろ佐々木守の持ち味が良く出た話に仕上がった話じゃないかな。そして実相寺監督らしいアングルの凝り方と陰影の付け方も上手い。スペル星人達が集まって秘密会議らしきものを開いているシーンの不気味さと、会話の切実度はかなり凄い。更にセブン対スペル星人の対決は夕陽の中で、ストップモーション多用。特技監督の大木淳の実力がよく分かる。湖に放り込まれたスペル星人の姿がちょっとしょぼいのが難点だが。
 終わり方も、「地球人も他の星の人も同じように信じ合える日が来る」と綺麗にまとめられている。
 アンヌ隊員の高校時代の友達役で桜井浩子が登場してる。「ウルトラマン」以来だが…
 ダンとアンヌのデート姿も見られる。本来サタケとサナエのデートを見張るための偽装のはずだが、なんかとても良い雰囲気。
<倒れた女性を診察した医師は「意識不明になった」と言っていたが、フルハシは「亡くなった女性は?」と訊ねてた。あれれ?
 ロケットを描いて宇宙時計をもらおうというキャッチフレーズに引かれた子供達の前に立ちふさがるウルトラ警備隊の面々。子供達は騒ぎもせずに恨みの籠もった目でじっと警備隊を見ていた。怖いよ。
 サナエの弟シンイチを連れて行くサタケの正体を暴くために銃を乱射するダン。角度から言って、絶対シンイチにも当たってるよ。
 最後、宇宙人達とも仲良くなれる日が来る。と言う確信で物語は閉じられるが、直前までその当の宇宙人をボコボコにした挙げ句真っ二つにたたき割ったセブンにそれを言う資格はないと思うぞ。>
第13話 V3から来た男

  監督:鈴木俊継
  脚本:市川森一
  特殊技術:高野宏一
 宇宙ステーションV3の包囲網を突破し、宇宙船が地球に侵入。V3との連絡が途絶えてしまう。V3の隊長、クラタはステーションホークで地球に向かうが、出迎えのホーク1号もろともに謎の宇宙船に撃墜されてしまった。クラタはウルトラ警備隊に救出されたものの、アマギとフルハシはアイロス星人に捕まってしまう。アイロス星人の要求するエネルギーの交換に、キリヤマ隊長は応じることを決意するのだった。一方クラタはアイロス星人の言葉を信用せず、攻撃を主張する。一人ホーク3号でアイロス星人の待つ空域にやってきたキリヤマ隊長は、宇宙船より攻撃を受けてしまうが、そこにホーク1号を駆るクラタが現れ…
 敵はアイロス星人。翼を持つ頭でっかちの宇宙人。乗っていた宇宙船のエネルギーが切れたため、地球に不時着。アマギとフルハシを人質にとって宇宙専用のエネルギーを要求する。巨大化すると大変強く、エメリウム光線も、アイスラッガーも通用しない。結局ワイドショットで爆死。
 今回は男同士、仲間としての友情、同じ隊員同士の友情が描かれる回で、しかもベタベタしたものでないのがポイント高い回となっている。ワイルドで自分勝手な言動を繰り返し、ひょっとして敵の回し者か?とさえ思わせるクラタが実は義に厚く、友人のキリヤマを命令無視で命を賭けて救いに行くとか、待機命令を受けていたのに、やっぱりアマギとフルハシが心配で駆けつけるソガとダンとか。
 V3の部下を失い、やっと帰ってきたクラタにマナベ参謀が「無事だったか」と尋ねるのに対し、「また一人で戻りました。今度は月にでも放り出しますか」とか言う、クラタの描写が見事だった。
 大きさを自在に変えることが出来るのがウルトラセブンの特徴だが、今回は変身した直後は人間と同じサイズで、アマギとフルハシを救出した後、巨大アイロス星人と戦うために巨大化。巨大化のシーンもちゃんとある。
<義に厚いのは分かるが、こんな命令無視する奴らばっかりいるウルトラ警備隊ってのも、組織としてはなんか怖いぞ。>
VOL.3
<A> <楽>
第14話 ウルトラ警備隊西へ(前編)

  監督:満田かずほ
  脚本:金城哲夫
  特殊技術:高野宏一
 六甲山防衛センターの地球防衛会議に出席する各国の要人が次々にさらわれていく。これは実は地球が打ち上げた観測ロケットを侵略と誤解した第8銀河系のペダン星人の復讐だったのだ。アメリカ防衛科学班のドロシー・アンダーソンを護衛して神戸へ向かうウルトラ警備隊はそのドロシーを狙う男を捕まえる。その男は秘密諜報員マービン・ウェップで彼からドロシーこそがペダン星人で本物のドロシーは誘拐されてると聞かされるのだった。
 敵はキング・ジョー。シリーズでは何体か登場しているロボット怪獣だが、合体変形や、圧倒的な力など、その存在感は明らかに抜きんでている。ウルトラセブンのアイスラッガーもエメリウム光線も通用せず(アイロス星人のように何らかの防衛機能によってはじき返すのではなく、正面から受け止めている)、肉弾戦でもセブンを圧倒。まざまざとその強さを見せつけていた。頭や胸の電飾がピカピカと光るのも大きな特徴。一応合体するが、ちょっと無理っぽい変形か?
 本作は一応スパイ仕立てで、最初怪しさ大爆発のマービン(声は山田康男だ)が実は味方であり、護衛しているドロシーこそがペダン星人のスパイだったと言うオチが付く。しかし、あれだけ怪しかったら警戒もされるのも無理はないと思う。
 キング・ジョーの合体シーンもそうだが、今回ミニチュア撮影にえらく力が入っていて、ウルトラ警備隊の地下とか、防衛センターを守る銃座がせり上がっていくとか、見ていてとても楽しい。又、キング・ジョーとセブンとの戦いで、エメリウム光線を発射した時、手前にある湖が泡立つなどの表現も素晴らしい。この演出の素晴らしさは特筆もの
<ドロシーの唇の形を見ると日本語を喋っているのだが、声は明らかに吹き替えで、唇の動きと合ってない。>
VOL.4
<A> <楽>
第15話 ウルトラ警備隊西へ(後編)

  監督:満田かずほ
  脚本:金城哲夫
  特殊技術:高野宏一
 ウルトラセブンを圧倒し、防衛軍に迫る怪ロボットのキング・ジョー。だが、一旦キング・ジョーは防衛線ターを前に退却。ウルトラ警備隊の面々は変装してペダン星人を探し回るが、ダンの前にはドロシーが現れる。二人は宇宙人同士の約束としてお互いの侵略を止めることを誓い合うのだが…
 前回に続き、敵はキング・ジョー。ライトンR30爆弾に弱い事がようやく発覚。ウルトラセブンと戦っているところを狙撃されて破壊される。そしてシルエットのみだが、ようやく登場したペダン星人がいる。キング・ジョーの中で操縦してるのだが、キング・ジョーが破壊された時、宇宙船で逃げようとしてセブンのワイドショットで破壊される…あれ?キング・ジョーと同じ装甲じゃないのか?それともワイドショットは効くとか?
 冒頭、どこかに消えていた(笑)ダンが戻ってきた時、妙にペダン星人の心理について詳しく語るが、それをなんの疑問も挟まずに受け入れる警備隊の面々。更にドロシーと話した結果をダンが警備隊の面々に語る際、「宇宙人同士」と口走ってるけど、それを簡単に受け入れてしまう。こいつら、主体性ってものがないのか?
 それにしても全員変装してペダン星人を見張るって、そう言う専門機関は無いのか?警備隊は他にもやることがたくさん詰まってるだろうに。
 ウルトラ兄弟の中で唯一カラータイマーを持たないセブンだけに、全編に渡って戦っても大丈夫。セブン対キング・ジョーの戦いが長く続くのは、なんか、特撮ファン冥利に尽きるっていうか。
 今回もミニチュア撮影が大変凝っていて、ホークの飛び去るのを見守るシーンやら、キング・ジョーに襲われる神戸港のシーンやらが見事。特に神戸港に停泊してる貨物船を持ち上げてセブンをどつき回す姿は大迫力だ。更にそのキング・ジョーを狙撃するシーンは、煽りと合成を上手く使って見事な姿を見せていた。
 あともう一つこの作品で重要なのは、被害者のふりをして実は着々と地球侵攻を狙い続けたペダン星人と、和解を信用すると明言しながら、対ペダン星人ようの武器を作り続けた人間の側。どっちもどっちだが、平和ってのは難しいもんだな。「あれは観測用のロケットだった」「じゃあなんのための調査なの?」…実にその通り。これが国際情勢というものだ。
第16話 闇に光る目

  監督:鈴木俊継
  脚本:藤川桂介
  特殊技術:高野宏一

 アンノン星を調査中に失踪した無人ロケット“サクラ9号”が突然地球に帰還し、地獄山に着陸した後爆発する。丁度地獄山に来ていたいじめられっ子のヒロシ少年は不思議な石を拾ったのだが、それを手にして虐められそうになると、石が不思議な力を発し、いじめっ子を苦しめるのだった。実はこの石こそがアンノン星人の肉体だったのだ。アンノン星人はヒロシにその石を地獄谷に持ってくるように頼み、その代わりとして、強くしてあげると持ちかける。
 敵はアンノン星人。肉体を分離出来る精神生物。しかし、木とか石とかに目玉だけ現れたりする。
 探査のために送った宇宙船を侵略してきたものと勘違いして逆に地球に攻撃をかけてくると言う物語の構造は前回のペダン星人の話と基本構造は同じ。ただし、今回はセブンの説得がちゃんと効いてるのが特徴か?
 今回はウルトラ警備隊がみんな無茶する。こども達が苦しんでいる前で、木が怪しいと、調査もせずにいきなり発砲するダンとか、それまで散々アンノン星人を攻撃しておいて、敵わないと見ると、説得しようとする。なんか間に合わせっぽいぞ。
 しかし、こんな人間を守ろうとするセブンって博愛精神に溢れてるんだなあ。

第17話 地底GO!GO!GO!

  監督:円谷 一
  脚本:上原正三
  特殊技術:大木 淳
 朝池炭坑で落盤事故が起こり、一人の青年が生き埋めになってしまった。事故が起こる直前奇妙な光が見えたことから不審な点があったため、ウルトラ警備隊が出動することに。生き埋めとなった薩摩次郎青年の安否は、そして警備隊の眼前に広がる地底都市とは?
 敵はユートム。地底都市を守る人間と同じくらいの大きさのロボットで、左手がハンマー、右手が銃となっているが、さほど防御能力はないらしく、警備隊の銃であっというまに機能停止に陥る。
 ウルトラセブンがモロボシダンになった理由がここで語られる。登山中に友人を救う為に自ら自分のザイルを切り200m下の谷底に落下したと言う青年薩摩次郎の姿に感動し、彼を助けたのがセブンであり、彼をモデルとしてモロボシダンとなった。勿論モデルになったくらいだから、そっくり(二役だし)。その辺はとても感動的なエピソードには違いない。ただし問題はその後の物語の展開。ここに出てくる地底都市とロボットのユートムが、一体何者であるのか全然語られることが無く、今回も奪われてしまったウルトラアイ奪還の仕方がご都合主義に過ぎた…ってか、ウルトラアイを引き寄せる力があるんだったら、これまでの話でもそれ使ってりゃよかったじゃん。果たしてユートムが敵なのか、それとも単に調査のためにダンたちを捕獲したのか分からないまま、地下都市を爆破してしまうウルトラ警備隊の行いも鬼畜っぽい。一体ユートムのご主人様がどんな格好してるのかも分からないまま。爆破したら地上にどんな影響が与えられるのか?
 最後のナレーションは「それにしてもあの巨大な地底都市、あれは何だったのでしょう?」だったら爆破なんかしないで調査しろよ!
 あと、次郎とダンがそっくりなのは作業してる人たちは分かってるわけだから、ダンの顔を見て、「次郎じゃないか!」と一言欲しかった気もする。
 ここでウルトラ警備隊の地底探索機械であるマグマライザーが登場。やっぱドリルは燃えるぜ(笑)
第18話 空間X脱出

  監督:円谷 一
  脚本:上原正三
  特殊技術:大木 淳

 スカイダイビングの訓練中、ソガとアマギが行方不明になってしまう。霧のたちこめる森の中に着地した2人は怪しい鈴の音に苦しめられるのだった。更に宇宙蜘蛛グモンガや宇宙スフランと言った怪獣が二人を襲う。ソガのビデオシーバーを受信したマナベ参謀はそれがベル星人の疑似空間だと見破り、ダンとアンヌはホーク1号を駆り、二人の救出に向かうが…
 敵はベル星人。鳥類と昆虫の顔を混ぜ合わせたような顔をした特徴のある風貌の宇宙人で、森に疑似空間の実験場を作っていたらしい。キリヤマ隊長も知らなかったが、を何故かマナベ参謀はそれを知っていたらしい。発する鈴の音に似た音波は人間の脳に干渉するもので、鋭敏な知覚力を持つウルトラセブンは更にダメージが大きいようだ。空を飛び、アイスラッガーを避けるほどの俊敏さを持つが、空中でセブンに脚を捕まれ、振り回された上にウルトラスパイラルビームを食らう。しかし実際に殺されたのは、セブンに湖に顔つっこまされて…窒息死?更にその疑似空間ではグモンガとスフランが現れる。グモンガはクモの怪獣で、吊りで動かしてるようだが、なかなか滑らかに動いてる。スフランは植物の怪獣で、空間Xに迷い込んだソガとアマギを絡め取ろうとする。
 スカイダイビングに恐れをなすとか、疑似空間に閉じこめられて悲鳴を上げるとか、アマギ隊員が結構臆病であることを強調した回となった。仮にもウルトラ警備隊の一員。描写がちょっと寂しい感じ。又、キリヤマ隊長はダンがまだ疑似空間にいる間にホーク1号で全員脱出を命じる。一人の命よりもより多くの命を救うことが大切だ。という意識の表れだろうか?それにしても「神なき知恵は知恵ある悪魔を作ることなり」なんて言葉を言っているが、捨て台詞のようにしか聞こえないのは何故?
 そうそう。今回のセブンの変身シーンはウルトラアイを用いず、ダンがポーズを取ったら変身してたという特殊なもの。

VOL.5
<A> <楽>
第19話 プロジェクト・ブルー

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:南川 竜
  特殊技術:的場 徹
 月と地球をバリアで包む「プロジェクト・ブルー」計画がミヤベ博士によって進められていた。これによって飛躍的に地球防御が強化されるはずだった。だが、休暇中のミヤベ博士を襲う謎の影。宇宙の帝王を名乗るバド星人にとらえられたミヤベ博士はプロジェクト・ブルーの進捗状況を聞かれるが…
 敵はバド星人。猿のような顔をした…というか、ぶっちゃけて言えばおっさん顔した宇宙人。なんつーか、なまじ人間の顔に似てるだけに、かなり生理的嫌悪感を催させる顔してる。ミヤベ博士が夜中にこの顔を見て悲鳴を上げたが、さもありなんである。大きさは人間サイズで少なくとも三体の個体が地球に来ていた。ウルトラセブンも最初バド星人に合わせ、人間サイズで変身。その後、逃げるバド星人の宇宙船を追いかけ、巨大化し、まるでそれに合わせるようにバド星人も巨大化する…しかし、宇宙の帝王を名乗るだけの知能を持ちながら、武器を持たずにプロレス技でセブンに挑んだり、凶器攻撃したりと、変な宇宙人だ。少なくとも自分から「宇宙の帝王」を名乗るようなキャラは大抵弱っちいものだが、バド星人も例外ではないらしい。最後はセブンに投げつけられただけで血を吐いて死亡…弱いな。
 ここまでいろいろな話が出てきたが、科学者が主人公の話は確か初めてだったはず。マッドサイエンティスト好きな私としては、かなり嬉しい話の展開だ。最後にアンヌ隊員が設計図はどこにあるのかと聞かれた際、落ち着いて「どこにも隠しちゃいないよ」と余裕の発言。実は妻のグレースにプレゼントした服に書き込まれていたという落ちなのだが、やっぱり隠してるじゃん。
 最後、「全部ウルトラセブンのおかげです」とキリヤマ隊長に報告するアンヌに対し「こいつぅ」とアンヌの頭を小突くダン。良い雰囲気だ
第20話 地震源Xを倒せ

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:若槻文三
  特殊技術:的場 徹

 青沢山岳地帯に頻発する地震の調査を地球核の世界的権威イワムラ博士に要請するウルトラ警備隊だが、ダンとソガはあまりの剣幕に一喝されてしまう。先に青沢山岳地帯に向かってしまったイワムラ博士を追いかけるダン・アンヌ・フルハシは途中ラリーで迷った2人組の女性と共にイワムラ博士とその助手サカキと合流する。しかし、博士はその二人の女性の手にした石が地球の核を形成するウルトニウムであることに気づき、驚愕する。何者かがウルトニウムを地下から多量に掘り出し、それが地震となったのだと主張するイワムラ博士の主張により、マグマライザーで地下を調査することとなった警備隊だったが…
 敵はシャプレー星人と怪獣ギラドラス。シャプレー星人はヒューマノイド型の非常にスマートな宇宙人で、イワムラ博士の助手サカキに変装していた。イワムラ博士の指摘により、ばれたときは高笑いして正体を現すのだが、あっけなく殺されてしまった。ギラドラスはウルトニウムを掘り出すためにシャプレー星人が用いた怪獣で、断末魔のシャプレー星人の呼びかけに応えて登場する。シリーズでは珍しい四本脚の怪獣で、相当セブンを苦しめるのだが、最後はアイスラッガーにより首を落とされる(落とされた首からは血の代わりにウルトニウムがぼろぼろと落ちてくる)。
 誰彼なく怒鳴り散らすイワムラ博士は警備隊でも苦手意識が強いらしく、誰をイワムラ博士のところに送るかで相当に揉めるシーンがある。分かるよなあ。サラリーマンの辛さってやつだ。
 ところで毎回変身シーンに趣向を凝らすのが本シリーズの特徴だが、今回はほかの二人の隊員がいる前でどうセブンに変身するかだった。都合よく(?)暑さで気絶してしまったのは良いが、ダン自身も暑さで目がくらみ、ウルトラアイを落としてしまう。
 暑いのと寒いのの両極端な中で戦うセブンの姿が結構健気。

第21話 海底基地を追え

  監督:鈴木俊継
  脚本:赤井鬼介
  特殊技術:大木 淳

 海で次々に海難事故が起こっていた。日本近海でも第三黒潮丸が被害に遭い「戦艦大和を見た」との無電を最後に消息を絶つ。ウルトラ警備隊はハイドランジャー2隻で徳之島沖の沈没したはずの大和を捜索するが、そこに沈没したはずの大和は無かった…
 敵はミミー星人とミミー星人が作ったアイアンロックス。ミミー星人は登場せず、星形の宇宙船のみ。アイアンロックスは昔の戦艦の寄せ集めで作られ、ゴテゴテしたデザインとなっているが、そのベースとなっているのは戦艦大和。ウルトラセブン用の拘束具を射出し、セブンの両手両足を縛り付けてしまうなどの技を使い、更に海岸線近くで自爆しようとするが、拘束具を取り外したセブンによりエメリウム光線で破壊される…え?自爆とどこが違うんだ?
 やっぱり大和はいいなあ。ちょっとちゃちいけど(笑)。しかも鉄錆まみれってのが芸の細かさだ。艦砲射撃までやってくれる(やっぱりちゃちいけど)。ここでは海底戦艦になってるけど、これって確か「青の6号」で同じネタが…
 ウルトラ警備隊の海底探索船ハイドランジャーが登場。1号と2号の2隻が登場する。それで海底の描写がなされているが、あぶくが明らかに光沢を持っていて、シャボン玉だとわかり、しかも下向きに落ちてくるという描写が…やっぱり難しいんだな。
 ダンの搭乗するホーク1号が海底深く沈んでしまい、そこでウルトラセブンに変身するのだが、いつもの事ながら、どうやって外に出てるんだろう?

第22話 人間牧場

  監督:鈴木俊継
  脚本:山浦弘靖
  特殊技術:大木 淳
 アンヌは友人のルリコの誕生日パーティに出席していたが、飼い犬の鳴き声が変だと外に出たルリコの姿は消えて無くなってしまった。その後ルリコはひどく衰弱した姿で保護された。しかもルリコの治療に当たっていたアンヌも謎の宇宙人に襲われ、胞子を埋め込まれてしまう。診察の結果、彼女たちはブラコ星人の食料となる赤い胞子を埋め込まれているのが分かり、その治療のためには土星の鉱石に含まれる放射線アルファ73が必要だと分かる。
 敵はブラコ星人。上半身がブドウの固まりのような結構気色悪い宇宙人(これを言ったら身も蓋もないが、ウ×コに似てるような…)。自分たちが繁殖するため女性の身体を食料にするために赤い胞子を埋め込む。女性限定というところがなかなか助平くさくて良いぞ(笑)。しかしブラコ星人自身はほんのちょっとしか出番はなく、後は全部円盤ばかり。
 やっぱり宇宙人と言ったらこれ。キャトルミューテーションについて描かれた作品で、時間とのせめぎ合い、アンヌを案じるダンの苦悩など、ドラマ部分も見所が多いが、他にもフィルターを付けた撮影が多用されたり、ホーク1号がきりもみ状態でブラコ星人の宇宙船に攻撃をかける部分とか、技術的な部分でも面白い作品。その分ウルトラセブンが全然戦ってないというのもあるが、それも又、本シリーズの良いところだ。
 ブラコ星人の胞子の治療には放射線アルファ73が必要で、そのためにダンはホーク3号で土星に向かうのだが、途中でブラコ星人の宇宙人に特攻。セブンに変身して土星に向かう。それでキリヤマ隊長は「ダンのことだ。きっとどこかで生きてる」って、暢気なんだか、とぼけてるんだか。 
VOL.6
<A> <楽>
第23話 明日を捜せ

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:上原正三
      南川 竜
  特殊技術:的場 徹
 03倉庫が爆発されることを予言したため、宇宙人に命を狙われていると主張し、警備隊に保護を求めてきた占い師のヤスイ。占いなどインチキだと一笑に付すウルトラ警備隊の面々だったが、一人キリヤマ隊長だけがヤスイの言葉を信じる。
 敵はシャドー星人とその操る怪獣ガブラ。シャドー星人は体型は人間そっくりで全身黒ずくめのトレンチコートを着て登場。本体はブロンズ像のような顔をした宇宙人で、男と女とがいるらしい。ガブラは四本足に尻尾付きというシリーズでは珍しい純粋な怪獣。長い尻尾の動きの描写が素晴らしい。あっけなくアイスラッガーによって首を落とされてしまうが、円盤の操作で首だけで動き回ることが出来る。首だけで飛び回り、セブンの肩に噛みつくとか、ホラー的な攻撃をしてくれる。
 タイトルの「明日を捜せ」というのは劇中に何度と無く語られ、「明日はどっちだ」とかも言われてる。『あしたのジョー』か?それにしても「明日を捜す」ためにわざわざ休暇を取るキリヤマ隊長って、結構ロマンチスト
 予知能力を逆用し、ウルトラ警備隊を罠にはめようとするシャドー星人はヤスイに対し、ウルトラ警備隊に出向き、でたらめな予言をするように強要するが、その際、ヤスイが「そうしておいて地球防衛軍基地をドカーン」と口を滑らす…それを聞いたシャドー星人は、ヤスイを称して「恐ろしい奴だ」と感心するシーンがある。しかし、予言者でなくても分かりそうなもんだぞ。この理屈は。
 ヤスイは本当の超能力者で、小泉八雲の「むじな」の物語を地でやったり、戦うセブンのサポートをしたりと大活躍だったが、最後は超能力を失ったことで大喜び…そうなんだろうな。余計な能力なんて無いに越したことはない。
第24話 北へ還れ

  監督:満田かずほ
  脚本:市川森一
  特殊技術:高野宏一
 母が危篤との連絡を受け、実家のある北海道に帰ったフルハシ隊員。だが、それが自分に実家の農場を継がせたいための母の狂言だと言うことが分かり、東京に戻ってくる。その後、北極上空で続発する旅客機の行方不明事件を捜査するため、ホーク3号で北極をパトロール中、ホーク3号がカナン星人の策略により操縦不能に陥ってしまった。偶然そこを飛行中で、同じく操縦不能となった旅客機との追突を防ぐため、キリヤマはホーク3号を自爆させ、脱出するよう命令するが、自爆装置作動後、脱出機能まで狂わされていた事に気づいてしまう。折しもフルハシの母が上京。
 敵はカナン星人だが、セブンと戦ったのはなんとカナン星人によって電子頭脳を狂わされたカプセル怪獣のウインダムだった。この戦いは大変コミカルで、セブンが雪原をぐるぐる回り、それをウィンダムが追いかけていく内、セブンは輪から離脱。ウィンダムだけがぐるぐる回り続け、最後は目を回して倒れてしまう。一方のカナン星人は昆虫を思わせるデザインの、大変優れたもので、登場するのがピット星人に続き女性だけと言うのも良い。ただ、結局逃げるところをセブンに落とされるだけしか役割がなかったのが残念と言えば残念。
 フルハシの責任感と母への愛着が大変物悲しい作品なのだが(涙をこらえながら笑う毒蝮の名演!)、一方、ウィンダムとセブンの戦いは大変コミカル。ギャップが凄い作品。フルハシの母と話すダンがおろおろしてる姿も見所の一つ。更にアンヌとその役目を交代する際、アンヌにちょっと弱音を吐きつつしかってる姿がなんか夫婦漫才みたい(笑)
 でもこれも良い作品だね。
<ところで危機一髪ホーク3号を自爆させずに済んだフルハシだが、自爆装置が作動する前に旅客機とすれ違ってるんだが…絶対このタイミングだったら絶対衝突してたぞ。それにダンもダンだ。機械の機能を狂わすカナン星人に対し、なんでロボットのウィンダムを出すかね?>
第25話 零下140度の対決

  監督:満田かずほ
  脚本:金城哲夫
  特殊技術:高野宏一
 日本を零下112度という大寒波が襲う。ポインターでパトロール中のダンは歩いて基地に帰らねばならなくなった。一方、やはり寒さに震える防衛軍基地では何者かによって原子炉の地下ケーブルが切断され、基地の機能が麻痺してしまう。寒さのため、倒れてしまう
 敵はポール星人ガンダー。ポール星人はかつてガンダーを使って「二度ほど」地球を凍りづけにしたという恐ろしい宇宙人だが、シルエットのみで現されるその姿はいかにもマリオネットで動いてるのが分かるカクカクしたもので、造形自体に問題が…結局倒されることなく、高笑いしながら去っていくし。一方のガンダーはデザインセンスは大変良い。いかにも怪獣然としてるが、妙にぬめっとした感じの皮膚感覚と言い、飛び出した目と言い、妙に愛着がある。セブンに変身できないため、ダンはカプセル怪獣のミクラスをガンダーにぶち当てることになるが、猪突猛進しか出来ないミクラスに対し、飛べる上に冷凍光線まで吐けるガンダーは絶対的有利。案の定、ミクラスはボロボロ。ガンダー自身は防衛軍の「カルテット作戦」でいたぶられた上にアイスラッガーであっさり殺されてしまうのだが…
 この回はセブンの設定そのものに関わる重要な話なのだが、物語自体はかなり無茶苦茶。零下112度で「たいしたこと無い」と笑うソガ…どういう感覚をしてるんだ?更にガンダーにより壊された原子炉が放射能を全く出してない上に、なんと電気ドリルとスパナで直ってしまう
 ウルトラセブンは普通の人間よりも寒さに弱いと言うのが明らかにされる回なのだが、前回北極で平気で動き回ってたのはどういう事?それに寒さに弱いんだったら、「温かいコーヒーとスチーム」を求めて歩き回るよりも、セブンに変身してひとっ飛びで防衛軍近くまで来れば良いんじゃないか?しかもお約束のウルトラアイ紛失までしてるし。更にようやく変身できたのは良いけど、ボロボロになっても戦ってるミクラスを見捨ててエネルギー補給に行ってしまう。お陰でミクラスはもう出てこなくなってしまった
 警備隊もガンダーと戦う際、ホーク1号を三つに分離、ホーク3号との連係攻撃による「カルテット作戦」が展開される。
 セブンは今回の寒波の影響で、以降活動限界がもうけられることになった。セブンが強すぎるためのテコ入れらしいが、これまでの戦いで疲労が蓄積していたのかも知れない。
<地球の氷河期がガンダーという怪獣一匹によってなされたという衝撃の事実発覚。しかし、どうやったらあの大きさで地球規模を冷やせるんだろう?>
第26話 超兵器R1号

  監督:鈴木俊継
  脚本:若槻文三
  特殊技術:的場徹
 地球防衛軍のセガワ博士とマエノ博士は惑星攻撃用の「超兵器R1号」を完成させる。しかも更に攻撃力を増したR2号を開発すべく、R1号の実験としてシャール星座の第7惑星ギエロン星を狙う。見事ギエロン星を破壊し尽くしたR1号だったが、ギエロン星には生物がおり、その生き残りが爆弾のため突然変異を起こし、ギエロン星獣となり、地球を攻撃してきた。死の灰を撒き散らすギエロン星獣に対し、防衛軍はR2号を使用しようとするが…
 敵はギエロン星獣。R1号の破壊力を誇示するために破壊されたギエロン星の生物が突然変異したという哀しい存在。その皮膚は放射能の影響か、極めて堅くできており、なんとアイスラッガーを4回も跳ね返すほど。しかもたとえバラバラにされても復活する。ただし、接近戦は苦手らしく(腕が曲がらないからね)、最後はセブンに喉をかっ切られて死亡。斬られた身体から羽毛のようなものが出ているので、元は鳥類だったのかな?
 哀しい話だ。まるで冷戦を象徴するかのように、超兵器の存在を宇宙に知らしめようとする地球防衛軍(アンヌ隊員まで笑いながらそれを言ってるところが薄ら寒くなる)は星一つを破壊する兵器を平気で他の星に使用する。ここで悪いのは一方的に地球の方で、ギエロン星獣は被害者に過ぎない。
 脚本の若槻文三の主張が遺憾なく発揮された回で、ダンがフルハシに対し、「地球を守るために何をやってもいいのですか」とか、「それは血を吐きながら続ける哀しいマラソンですよ」とか言い、更にモノローグで「僕は絶対にR1号の実験を妨害するべきだった。本当に地球を愛していたなら、地球防衛と言う目的のために」。の名台詞を吐いている。
 R1号は新型水爆の8千個の威力を持ち、更にR2号はその十数倍の威力を持つらしいが(R1号で星一つを破壊できる)、東京で暴れ回ってるギエロン星獣に対し、R2号を使用しようとする防衛軍…地球が壊れるって。
 冷戦をここまで正面から皮肉った作品として、記憶にとどめるべき作品だ。ラスト、何とも言えない表情で車を回し続けるラットをみやるダンの表情も特筆すべき。
VOL.7
<A> <楽>
第27話 サイボーグ作戦

  監督:鈴木俊継
  脚本:藤川桂介
  特殊技術:的場徹
 ソガの後輩で防衛軍通信隊員のノガワと婚約者のサナエがドライブ中に突然現れた宇宙船によってさらわれてしまう。その後、ノガワは防衛軍に戻ってきたが、その頭には催眠プレートを埋め込まれ、ボーグ星人の操り人形にされてしまっていた。次々とプレート爆弾を基地に仕掛けていくノガワを一人ダンだけが不審の念を持って見ているが…
 敵はボーグ星人。これも本シリーズでは良く出てくる女性型の宇宙人。西洋の甲冑を思わせるデザインが大変格好良いのだが、やってることはちょっと間が抜けている。わざわざあんな足の付くサイボーグ作戦を行うより、自分で忍び込んでいけばいいのではないだろうか?事実作戦失敗で自分で防衛軍基地に忍び込んでいるじゃないか。まるで人形みたいなしゃべり方で恋人の前に現れたら、絶対不信感抱かれる事に気づかないんだろうか?更にどうしても発見できなかった爆弾がセブン本人に付けられていることをばらしてしまったため、爆弾を投げ返されてしまう。最後はアイスラッガーで首を落とされて死亡。
 ダンは防衛軍基地に設置された爆弾を次々と発見するが、一つだけどうしても発見できない。その理由はダンの足につけられていたから。これは盲点というか、かなり間抜けな話なのだが、わざわざ爆発前にそれをボーグ星人が教えてくれる辺り、これも又間の抜けた話だ。
<ボーグ星人とセブンの戦いでは、猛牛よろしくつっこんでくるセブンをボーグ星人が軽くいなし、セブンが崖から落っこちそうになる。緊迫感ある演出ながら、セブンは飛べるんだから、そんなの危機ではないはず?>
第28話 700キロを突っ走れ!

  監督:満田かずほ
  脚本:上原正三
  特殊技術:高野宏一
 地球防衛軍の開発した高性能爆薬スパイナー。しかしこれを狙う組織が存在し、スパイナーを実験場に運搬するため、ダンは開催中のラリーに参加して運搬しようとする。途中バイクによる人間爆弾や地雷、マシンガンの狙撃をくぐり抜け、実験場に着いたダンとアマギだったが、実は自分たちが囮であり、すでにスパイナーは運び込まれていることを知るのだった。そしていよいよ実験と言う時、なんとそのスパイナーを銜えて地中から恐竜戦車が現れる。
 敵は恐竜戦車キル星人(未登場)によって作られた、転輪の上に恐竜が乗っているという、画期的なデザインを誇る改造怪獣。要塞のごとき盤石さとパワーを誇り、セブンが倒れたところを転輪で腕を轢いてしまうという描写もあり。しかも足下にスパイナーが置いてあるため、セブンもなかなか攻撃できず、うろうろするばかり。最後はそのスパイナーの上を恐竜戦車が通り過ぎたところを爆破する。
 番組が違ってるんじゃないか?という位に変わった物語が展開する。爆弾を乗せた車を運転することになったダンが「まさに走る時限爆弾だ」…って、あんたが提案したんだろ?更にレース中に次々に襲いかかる謎の敵の魔の手。ダンはセブンに変身することなく、あくまでレーサーとして任務を全うしようとする。普通のアクション作品を観てるようだ。そしてスパイナーを奪おうとする敵の攻撃も凄い。バイクに乗って突っ込んできたり(自爆かよ!)、コースに地雷を埋め込んだり(って、他のレースの車巻き込むか?)、マシンガンで狙撃されたり(だからなんでそんな正面切った攻撃する?)、時限爆弾を積み込んでみたり(時限式にせずに最初から爆破すれば良いんじゃないのか?)、果てはヘリコプターで車にアドバルーンをくっつけて飛ばせてみたり(だからなんでそんな面倒くさい事するんだ?しかもキリヤマ隊長はダンとアマギが乗ったまま、風船の狙撃を命令する)。そしてオチは実はスパイナーは既に運び込まれていたと言う…更にダンとアマギを守る形で夜中に林の中でマンドリンを爪弾くキリヤマ隊長(しかも「怪しい」とやってきたダンとアマギに「車を離れるな!」と活を入れる。そんなに怪しい姿で何を言う)。あまつさえ、敵は誰だか最後まで描かれない。
 又、ここでアマギのトラウマが描かれる。子供の頃爆発を見て以来、爆発物に異様な恐怖心を覚えるようになったとのことだが、そんな人間がよく警備隊に入隊できたんだろう?いや、それ以前にこれまで爆発を見てきて平気だったのはどういう事だ?それでこんな任務に就かせたキリヤマをなじるのだが、結局これはキリヤマによる親心と分かって、責任感を取り戻していく。
 そうそう。最初のシーンでダンとアンヌのデートが描かれているが、映画を見ながら人間の頭より大きい巨大な煎餅をかじりつつ、「走りたいなあ。アフリカ大陸横断。地平線の果てまで突っ走るんだ!。ブーンブブブブブ…」と、大変楽しそうにつぶやくダンの姿も忘れられない。ただ、そこで走ってる車はどう見てもアフリカには見えず。そこら辺の空き地で撮ったとしか思えないのがなんだが。
 大変面白くはあったけど、ツッコミどころが多すぎて書くのも困ってしまうほどだ。
第29話 ひとりぼっちの地球人

  監督:満田かずほ
  脚本:市川森一
  特殊技術:高野宏一
 世界初の科学衛星が宇宙に向けて発射された。その衛星を作り上げた仁羽教授の属する京南大学にはソガの婚約者学生のナンブ・サエコがいた。サエコは仁羽教授の部屋で怪しい物音を聞き、そこで怪物の姿を目にする。教授に私淑するサエコの学友イチノミヤから情報を聞き出そうとするウルトラ警備隊だったが、イチノミヤは逃げだし、教授を問いつめるソガは逆に教授に捕まってしまった。
 敵はプロテ星人。シリウス系第7惑星プロテ星からやってきた宇宙人で、地球をスパイすることと、イチノミヤの設計した電送装置を完成させるために来たらしい。セブンとは暗闇の中で戦い、セブンに幻影を見せて翻弄。エメリウム光線、アイスラッガー、ワイドショットまで無効化してしまう。この戦いの様子は大変緊迫感あり。セブン特有のスリムな宇宙人として、造形も大変優れていた。
 ソガ隊員に婚約者がいることが発覚。アンヌにそれを茶化されて照れる姿がほほえましい。又、スーツ姿のソガをポインターで送るダンがソガを祝福するポーズを取ってるのも良い演出だ(これは任務でニワ教授を調べるため)
 世間から認められず、地球に嫌気がさしているイチノミヤが、最後に地球を思う心を捨てられず、自らの身を挺してプロテ星人を葬り去る。漢だ。
 ラスト部分でサエコが又不審な物音を聞くのだが、せっかくの余韻を壊してしまったから、失敗してたかな?

 ちなみにプロテ星人とセブンが戦っている脇にあるピラミッド状の建物は学習院大学にある有名な「ピラミッド校舎」を模したもの。つまり京南大学=学習院大学ということになる。
第30話 栄光は誰れのために

  監督:鈴木俊継
  脚本:藤川桂介
  特殊技術:的場 徹
 星ヶ原一帯で大規模な野戦訓練を行う防衛軍。その中のウルトラ警備隊に同行したアオキ隊員はダンに異常なライバル意識を持ち、ことごとく突っかかってくる。そしてエスカレートしたアオキの暗い感情はプラチク星人を呼び寄せてしまうのだった。
 敵はプラチク星人。全身をプラスチックの皮膜で覆われた宇宙人で、アオキ隊員の暴走に乗じ、訓練中のマグマライザーを奪取。それによって防衛軍を危機に陥れる。口から出す噴霧によって相手をプラスチック状態にしてしまう。セブンとの戦いでは、まるでセブンに対し、謝っているような仕草をして、不憫に思ったセブンが背を向けた途端、プラスチック噴射する。卑怯なり。しかし、肉弾戦は結構これで強く、セブンとほぼ互角。最後にセブンとはいずり回りながら戦うが、動けなくなったところをエメリウム光線を受け、骨だけになってしまう。骨だけでも生きているのだが、アオキ隊員の瀕死の一撃で破壊される。
 「ウルトラ警備隊の栄光」にあこがれるアオキ青年が中心となる話なのだが、一人で暴走して何十人もの防衛軍隊員を殺す結果となり、瀕死の重傷の上、死んでしまうと言うシャレになってない内容。誰だ?こんな脚本…と思ったら藤川佳介か。なるほどね。しかし、死にかけてるアオキにビンタを食らわせるダンもダンだが
 前半部分で戦闘機同士のドッグ・ファイトが楽しめる。大変見応えのあるシーンだけど、国籍不明機だってだけで撃墜しようとするアオキ…こいつ、これでよく防衛軍に入隊出来たもんだ。いや、フルハシも訓練が危険だと聞いて、「何かありそうな方が迫力があって訓練にも力が入るってもんだ」とか言ってるから、どっこいどっこいか。防衛軍ってこんな奴らばっかりか?
 ところでエメリウム光線で燃え上がるプラチク星人だけど、火の中で動いてるんだよね。中の人、大丈夫だったのか?
 先に挙げたドッグファイトのみならず、他にもマグマライザー同士の銃撃戦とか、ミニチュアの使い方が素晴らしい作品だった。
VOL.8
<A> <楽>
第31話 悪魔の住む花

  監督:鈴木俊継
  脚本:上原正三
  特殊技術:的場 徹
 一面のお花畑で花の匂いを胸一杯に吸い込んだカオリは突然気絶してしまった。特殊な血液を持つカオリに適合するのはウルトラ警備隊のアマギ隊員だけで、喜んでカオリに血液をあげるが、夜な夜なカオリはアマギの血液を狙い、アマギを襲うようになるのだった。実はカオリの身体にはダリーという細菌怪獣が巣くっている事が分かり、ダンはセブンに変身すると、カオリの体内に入り込む。
 敵はダリー。巨大怪獣はこれまでにも数あれど、ミクロの怪獣というのは本邦初。細菌サイズと言うことで、デザインもそれっぽくなってる。セブンもミクロ化して戦うのだが、泡を吐いてセブンを封じ込めてしまおうとする。最後はウルトラバブルなる技で逆に泡で封じ込められてしまう。
 セブン版『ミクロの決死圏』(1966)(あるいは「ミクロ決死隊」)と言った内容の作品で、人間の体内に入り込むセブンの姿を巧く映し出していた。なかなか緊張感ある作品だった。
 本作はそれだけでなく、若き日の松阪慶子が登場していることも話題となった作品。確かに綺麗だけど、それに対しダンが言った台詞が凄い。「こんな美しい顔で血を吸うわけがない。きっと何か原因がある」…って、美人は得じゃな
第32話 散歩する惑星

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:山田正弘
      上原正三
  特殊技術:高野宏一
 未確認物体が地球に侵入したとの報を受け、ホーク1号で調査に向かったダン、フルハシ、アマギの三人だったが、なんとそれは小惑星。その直後小惑星に取り込まれてしまうホーク1号。ホーク1号を乗せたまま、小惑星は強力な電磁波を撒き散らしながら飛行を続けていた。電磁波のため通信が途絶してしまった防衛軍内では、マナベ参謀はホーク1号を残したまま、妨害電波に食らいついて発信源を破壊するという新兵器キリーの使用を決定するのだった。
 敵はリッガー。シリーズでは珍しい竜型の怪獣(最近は更に少なくなったが、ウルトラマンのシリーズを通しては結構出ていた)。最初、強力な電磁波のためにウルトラセブンに変身できなくなったダンが新カプセル怪獣のアギラで対抗するが、結局アギラを撃退。その後セブンと戦うが体高が低いため、セブンも苦戦するが、最後はアイスラッガーで首を落とされる。
 実は私にとってはこれが「セブン」初体験作品。ポインターが飛んでる!というので大笑いしてしまった記憶がある。実際は飛ぶんじゃなくて、ホバーでジャンプするんだけどね。
 ところでタイトルの「散歩する惑星」はダンがシャレで言った言葉なのだが、どこかで聞いたと思ってたら、2000年に同名の映画があったんだな。観てみたい。
 大体においてカプセル怪獣はダンの選択がまずく、あっという間にやられてしまうパターンが多いのだが、今回のアギラはリッガーとほぼ互角に戦ってる。眠そうな顔してる割に(笑)良くやるじゃないか。最後はパワー負けしてしまうけど。
 そう言えばこの「散歩する惑星」だが、何者が地球に送り込んできたのか全く語られることなく、更に3人を救出に来たはずのキリヤマはダンを放っておくし、結構無茶苦茶な話だったんじゃないのか?
第33話 侵略する死者たち

  監督:円谷一
  脚本:上原正三
  特殊技術:高野宏一
 パリ本部から各国の某援軍基地が記されたマイクロフィルムが盗まれた。一方日本の防衛軍では警備隊員の前に飛び出す男達が続発。しかもそれは全て死体だった。メディカルセンターに送られた男達だったが、その死体がシャドーマンとなって突然動き回り始める。異変に気づいたダンはウルトラセブンに変身するが、シャドーマンに小型化され、コップに閉じこめられてしまう。
 この作品の特徴で言えば、怪獣が出てこないと言うこと(シリーズには3本存在する)。何者かによって操られたシャドーマンも人間だった。
 ただ、怪獣が出ないからと言って決してこれが手抜きではない。オプチカル合成や暗闇の中で浮かび上がる描写など、ホラー映画ばりの力の入った特撮を見せてくれている。全般的に光を上手く使った話だった。大体、これ放映したのは『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』(1968)より前ではないか?
 ただ、何者かに操られているとは言っても、たかが人間に引けを取ったり(小さくされていたのに、ダンに戻った途端普通サイズになってる)、ホーク2号で宇宙に出たのは良いが、あっという間にホーク2号は撃沈。セブンになったら、拘束されてしまい、檻に入れられてしまうとかのセブンの情けなさが妙に目立った話でもあった。最後まで結局何者が攻撃したのか名称が明らかにされてないのもちょっと中途半端な感じ。
 そう言えばダンが乗ったホーク2号が爆発したのが分かってるのに、みんなして笑いながら防衛軍基地に帰ってくるのは何故?実際ダンは無事なんだけど。
第34話 蒸発都市

  監督:円谷一
  脚本:金城哲夫
  特殊技術:高野宏一
 パトロール中のソガとダンは怪しい車を追跡中、ポインターごと姿を消してしまう。二人を捜索するウルトラ警備隊だったが、そんな時にある街のビルが突然消失するという事件が起こった。ユタ花村という霊媒師が防衛軍に連絡を入れ、タケナカ参謀に謎の宇宙人のメッセージを伝える。その宇宙人は一時的に地球を居住区にしたと言う。もし彼らを放っておくならば、ダンとソガを返すと言う。
 敵はダンカン。泡状物質から登場する怪獣。二本歩行するハリネズミのような姿で、これが結構かわいらしい。これが宇宙人本体なのかどうかはちょっと不明。丸まって転がって攻撃したり逃げたりもする。実は宇宙人もダンカンも本体は泡の方なのかも知れない。
 なんとセブンが宇宙人に洗脳され、街を破壊してしまうという恐ろしい描写がある。しかもこのときのセブンは機械音をきしらせているという描写も。ウルトラマンの時はハヤタとウルトラマンは別人格だから、「ウルトラマン」22話の「地上破壊工作」ではハヤタ状態で洗脳されても変身すれば大丈夫だったが、セブンの場合はそうでないらしい。
 ビル消失事件を空から探査していたキリヤマ隊長。消えたビルの跡地に泡状の物体が出ているのを発見した際、いきなり「撃て」…おい。先ず調査から始めないか?普通。
 街が出来て土地が疲れ切っていることを指摘するフルハシ。「これが人間だったら俺は死んじまっただになってるよ」。フォーク・クルーセイダーか。これは懐かしい。
 タケナカ参謀のレディ・ファーストぶりや、ダンを心配するアンヌの微妙な表情とか、一区画だけ作られた街で戦うセブンとダンカン(ホライゾンがわざとらしいところがいかにも「何もないところに街が出来ました」という細かいところに見所が多い。
 結局田園地帯に移された都市はそのまんまなのだが、「ビルにとってはこの方が良かったのかも知れません」とナレーションでまとめられている。
VOL.9
<A> <楽>
第35話 月世界の戦慄

  監督:鈴木俊継
  脚本:市川森一
  特殊技術:高野宏一
 地球防衛軍の月面基地が何者かに爆破されてしまった。キリヤマ隊長はダンと共にホーク1号で月に向かうが、何故か計器が故障。しかも宇宙ステーションV3から月へ到着したクラタは部下のシラハマに襲いかかられていた。実はシラハマはかつてキリヤマとクラタにより滅ぼされたザンパ星人の生き残りが化けた姿であり、キリヤマとクラタに復讐する機会を待っていたのだ。クラタを強迫し、キリヤマに嘘の情報を流そうとするザンパ星人だったが…
 敵はザンパ星人。超音波遠隔指示機を用い、ホーク1号の計器を故障させ、更にクラタとキリヤマを同時に殺そうとするが、二人のアイコンタクトで正体がばれてしまう。詰めが甘いぞ。それと怪獣ペテロ。風船を集めたような特異な風貌をした怪獣で、月が夜になって、力の出せないセブンをいたぶるが、月に落下した隕石のパワーを吸収したセブンに倒される。
 13話以来のクラタが再登場。ここでもキリヤマとの友情が描かれていた。「生きてたら又合おうぜ」と手を打ち合うシーンは格好良いなあ。
 キリヤマ隊長が大活躍の回だが、結構凄いことやってる。宇宙でタバコ吸ってるよ。良いのかよ。しかも計器が故障した時、ダンをじっと見ながら「ここには二人しかいない」…おい、ダン自身が乗ってるんだから、そんな馬鹿な真似はしないだろ。疑いすぎだよ。そう言えばこれまで散々ダンを見殺しにしてきた(?)キリヤマが今回だけはダンの安否を気にしてるのも面白い特徴だ。
 25話でセブンは寒さに弱いことが明らかになったが(更に時間制限まで付けられてしまった)、ここでそのことが明確に表されている。
第36話 必殺の0.1秒

  監督:野長瀬三摩地
  脚本:山浦弘靖
  特殊技術:高野宏一
 地球防衛軍が計画する人工太陽計画の関係者が次々と暗殺される事件が続発する。そして来日する人工太陽計画最高責任者のリヒター博士を護衛するため、ウルトラ警備隊のソガ隊員の実力をしのぐ拳銃の名手ヒロタがその護衛に選ばれたのだが、実はヒロタには裏の顔があった。かつて射撃大会でソガに勝ちたいがためにベガ星人に魂を売っていたのだ。
 敵はベガ星人。体は青い雪男と言った風情で、そこに真っ黒な山羊の顔をくっつけている。自分は地球の気圧に耐えられないため、地球人を催眠術にかけて操る。
 自分の欲望のために宇宙人に魂を売り、結果的に改心するというのはよくあるパターンだが、なんだかあんなしょぼい感じの射撃大会で「悪魔に魂を売る」なんて、どうにもリアリティがないし、しかも標準装備としてウルトラガンがあるのにリボルバーでわざわざ射撃大会するのもなんか変。ベガ星人も地球の大気に耐えられないそうで、宇宙船から出ることが無く、セブンも宇宙船としか戦ってないため、結果として印象が薄い。
第37話 盗まれたウルトラアイ

  監督:鈴木俊継
  脚本:市川森一
  特殊技術:高野宏一
 謎の怪電波が続き、その特定が出来ない地球防衛軍は悩まされていた。その調査中、ダンはウルトラアイを謎の女性に盗まれてしまう。ようやくその電波がマゼラン星に向けて繰り返し「迎えはまだか」と発進されていることを突き止めた防衛軍。
 怪獣の出ない二度目の話となる。地球に送り込まれ、見捨てられた故郷に思いをはせるマゼラン星人の女性の寂しさがよく現れた話で、単なるアクション作品となっていないところがシリーズのおもしろさの証だろう。
 地球は侵略に足る星ではなく、破壊こそがふさわしいと判断するマゼラン星。当時の厭世的雰囲気が良く出ている。さらにマゼラン星人を取り巻く環境も妙に物寂しい。周りに人がいればいるほど寂しさが増す感じが上手かった。
 ここでもウルトラアイを盗まれてしまい、それを取り戻すために敢えて作戦無視してキリヤマの待つホーク2号に乗らずにウルトラアイを探しに行くとか、マゼラン星人を探しに行ったディスコで袋叩きに遭うとか、ダンはろくな目に遭ってない(ダンの代わりにホーク2号にはアンヌが乗る)。
 マゼラン星人のミサイルを破壊すべくセブンが空を飛ぶ際、仰向けになる珍しい姿が見られる。
 大変寂しい感じの話だが、全般的にドラマ性が高い良作。
第38話 勇気ある戦い

  監督:飯島敏宏
  脚本:佐々木守
  特殊技術:高野宏一
 心臓手術を控えたアンヌの友人の弟スギサキオサムに会いに行ったダンは、手術が怖いと怯えるオサムに明日の手術に立ち会うと約束する。一方、オサムの手術をするというスイスからやってきたユグレー博士を乗せたアンヌの車の前に巨大ロボット、クレージーゴンが現れる。
 敵はロボット怪獣クレージーゴンバンダ星人の操るロボット怪獣で、バンダ星の物資不足を補うため自動車を奪うべく地球にやってきた…なんか設定が強引すぎないか?エメリウム光線やアイスラッガーさえもはじき返す強力な装甲を持つが、名前の通り、セブンには目もくれず、ひたすら車を喰い続ける。最後はセブンがフルハシの銃の弾丸となって体当たりで破壊する。スクラップの固まりみたいで不格好のくせに、妙に格好良く感じるのは私の生来のロボット好きのせいか?細かいギミックも魅力的だ。そしてクレージーゴンを操るバンダ星人。宇宙船のみ登場で、あっという間に壊されてしまう。
 今回登場するクレージーゴンはセブンをまったく歯牙にもかけず、自分のしたい放題をやり続けるが、この描写がなかなか。クレージーと名前が付けられるわけだ。弾丸となって飛んでいくセブンのミニチュア特撮も力はいってる。
 他にも病院でのダンとオサム少年のやりとりなど、見所は多い。オサム少年が恐怖心のあまりダンをなじる辺り、心憎い演出だよ。
 宇宙船を発見した途端、「バンダ星人の宇宙船じゃないか」と不用意な発言をしてしまうダン。オサム少年心配のあまり、不用意な発言をしてしまったらしく、しっかりそのことを突っ込まれ、ごまかしている描写があり。
VOL.10
<A> <楽>
第39話 セブン暗殺計画(前編)

  監督:飯島敏宏
  脚本:藤川桂介
  特殊技術:高野宏一
 セブンを倒し、地球人を意気消沈させた上で降伏させると言う作戦に出たガッツ星人は怪獣アロンを用いてセブンの能力を解析し、セブン暗殺計画を立てていた。その頃ウルトラ警備隊ではフルハシにアフリカから綺麗な宝石が送られてきた。その後、アンヌと共にパトロールに出たダンは現れたガッツ星人の挑発を受けてセブンに変身。ガッツ星人と戦うが、セブンの能力を解析したガッツ星人はセブン(およびウィンダム)を撃破。セブンを十字架に磔にし、朝に処刑を行うと宣言するのだった。
 敵はアロンガッツ星人。アロンは冒頭モノクロシーンでセブンにあっさり倒されてしまうが、これはガッツ星人によるセブンの能力を解析するための怪獣。そしてセブンの能力を解析したガッツ星人。鳥のような顔を持つ宇宙人で、見た目あんまり強そうに見えないのだが、「我々はいかなる戦いにも負けたことがない無敵のガッツ星人だ」と自己紹介するだけのことはあり、分裂したり、ワイドショットをはじき返したり出来る(実際はヴィジョンらしいが…それにこれは「シェイクハンド光線」だという話もある)。そしてセブンのエネルギー切れを待って、執拗にビーム攻撃…強すぎる。
 シリーズ中屈指の緊迫感を持った作品で、夕陽の中で巨大な十字架につけられたセブンの姿はシリーズ中最高の見せ場の一つだ。又、久々に登場したカプセル怪獣のウィンダムがあっけなくガッツ星人に負けてしまい、カプセルに戻る間もなく破壊されてしまうと言うシーンが描かれていた。これは確かに凄いな。
 それだけじゃなく、これまで全く浮いた話の無かったフルハシにプレゼントを贈る女性がいた事も明らかにされている。ナツと言うその女性がフルハシに送ってきた石が後編で意味を持つ。
第40話 セブン暗殺計画(後編)

  監督:飯島敏宏
  脚本:藤川桂介
  特殊技術:高野宏一
 セブン処刑の時間が刻一刻と迫る中、ウルトラ警備隊では怪しい発信音を受信する。解析の結果、それはセブンから発信されているものだと言うことが分かる。活動のために必要なマグネリウムエネルギーを送ってくれるように語ってくるのだった。そのエネルギー精製に必要なのは、なんとナツがフルハシに送ってきたアフリカ産のダイモード鉱石だったのだ。フルハシの持つ鉱石だけでは足りず、ナツが持つと言うもう一つの鉱石を探しに行く警備隊の面々だったが…
 セブン処刑?と言うショッキングな前編に続いての本作は、基本的にセブンが動けないためにウルトラ警備隊の面々の活躍に話は移る。この緊迫感はたいしたものだ。ただ、ちょっと物語がご都合主義なのは仕方のないことか?復活シーンは文句なしの格好よさだ。
 こんな時にもしっかり笑いは演出され、ナツが持っていた偽物の鉱石を奪ったガッツ星人の間抜けぶりをフルハシが大笑いで笑っていながら、しっかりカメラ目線で「シーっ」とかやってる。
 それにしてもガッツ星人、前編であれだけの強さを見せていながら、今回はセブンの光線であっけなく倒され、宇宙船の中で逃げ回るシーンは、とても前回「我々はいかなる戦いにも負けたことがない無敵のガッツ星人だ」と言ってる同一宇宙人とは思えず。しかもセブン、まるで鬱憤を晴らすように執拗に攻撃を続けるんだよね。よほど腹が立ってたらしい。
第41話 水中からの挑戦

  監督:満田かずほ
  脚本:若槻文三
  特殊技術:高野宏一
 河童の目撃情報のあった伊集湖に集まった日本河童クラブの面々は夜を徹して湖を見張る。一方、降下した宇宙船を調査するため、ウルトラ警備隊も又、伊集湖にやってきていた。そこで彼らが見たものとは…
 敵はテペト星人テペト。テペト星人は本当に河童そっくりで、物陰から人間の動向を窺うようなキャラ。テペトは伊集湖でテペト星人が持ってきた卵から生まれた巨大怪獣で、これ又河童みたい。頭の皿の部分から光線を出すことが出来、降参のふりをしてセブンをだまし討ちする(2回もひっかかってるの)。最後は水に潜ったところをアイスラッガーで真っ二つにされる。本シリーズは水中での戦いが結構多いが、セブンが水を泳いでる姿は初めてじゃないか?テペト星人の宇宙船はウルトラ警備隊によって破壊されるが、具体的にそれほど悪さをしてないような気もする。ファーストコンタクトものの話で、一方的に地球人が攻撃を加えてるだけのように思えるのはひがみ根性か?
 河童は実は宇宙人?という話。河童は妖怪のたぐいなので、怪談話っぽく演出されているのが特徴だ(X−ファイルっぽくもあるな)。
 前回と次回がえらく力が入っていた分、割喰ったのか、やや雑な印象を受けるが、日本河童クラブなんてなかなか面白いものを出してくれる。
 そうそう。珍しく髪を下ろしたアンヌの姿がここで見られる。
第42話 ノンマルトの使者

  監督:満田かずほ
  脚本:金城哲夫
  特殊技術:高野宏一
 海底開発が進む中、それを邪魔するように奇怪な事件が続発した。休暇で泳ぎに来ていたダンとアンヌの目の前でも海底開発船シーホースが爆発炎上した。その事件の前にアンヌに「海底開発を止めろ」と言ってきた少年がおり、その少年真市は言う。「海はノンマルトのものであり、人間は侵略者」なのだそうである。どうやら海底にノンマルトと言う一族がおり、それが地上への攻撃を画策しているとして、ウルトラ警備隊は先制攻撃をかけることにしたが、ダンだけはM87星雲では地球人のことをノンマルトと呼んでいたことを思い出していた。あるいはノンマルトこそが本来の地球人ではなかっただろうか?
 敵はガイロス。紫色のタコのような姿をしている。地球防衛軍の潜水艦で一度撃退されるが、復活してウルトラセブンと戦う。それとノンマルト。彼らは人間の作った原子力潜水艦グローリア号で地上を攻撃するが、これは彼らにとっては防衛だった。グローリア号はどうやらミサイルを積んでいないらしく、回転式のマシンガンのようなもので攻撃してくる。
 社会問題に真っ正面から取り組んでいた本シリーズだが、本作はモロに沖縄問題とコミットしていて、シリーズ中でも、最悪に後味が悪い話となっている。脚本の金城氏、これを書きたかったんだろうな。
 ノンマルトは本来地球の先住民族で、地上を好戦的な人類に明け渡し、自分たちは戦いを避けて海底に逃げていたのだ。結局人類は一方的な加害者であり、防衛しようとしたノンマルトを全て滅ぼしてしまったと言うことになる。しかも悩むセブン自身が侵略の手伝いをしたと言うことになる。実際地上を攻撃し、死者まで出しているが、理は確かにノンマルトの方にあるというのが本作のミソだ。苦渋の選択ながら、かつてのザンパ星人に続き、ノンマルトまで滅ぼしてしまったキリヤマ隊長が非道い人間に見えてしまう(なんせ最後は一方的な攻撃で海底都市を破壊してるもんな)。「我々の勝利だ。海底も我々人間のものだ」と叫ぶキリヤマの姿が、何というか凄まじいものがある…(ただし、これはあくまで真市の主張に過ぎず、それが本当かどうかは最後まで明らかにされてないが)
 最後に真市の使命というのが分かるが(表題はそのまま)、「ウルトラ警備隊の馬鹿野郎!」と言う真市の声で終わる虚しさよ。
 冒頭、科特隊のイデ隊員が海底調査をしているのも重要(本人かどうかは言及されておらず)。相変わらずドジな姿を見せている。それとダンとアンヌのデート風景もあり。見所満載だ。
VOL.11
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第43話 第四惑星の悪夢

  監督:実相寺昭雄
  脚本:上原正三
      川崎 高
  特殊技術:高野宏一
 長距離宇宙ロケット“スコーピオン”の訓練に出るダンとソガ。星占いでこれが不吉な暗号であるとソガは心配するが、スコーピオンは予定通りダンとソガが睡眠に入ったまま航行。30日後無事目的地に到着する。何故かそこは日本そっくりな場所で、地球に帰ってきたのかと思った二人だったが、実はここは機械が人間を支配している星“第四惑星”であり、労働力供給のため地球に侵略しようとしていたのだった。
 怪獣のでない三つ目の話。低予算ながら、しっかりSFしてる。監督が実相寺だけに演出力は突出してる…なんかキューブリックの作品みたい(笑)
 ソガが結構迷信深いのが分かる話。しかしあながち星占いも間違ってないのが面白いところ。機械に支配される第四惑星を描くことで、機械に頼りすぎる人間に対する警鐘ともなってる。
 地球そっくりって事でそのまま日本の風景が使えるのが強みだが、どことなく違和感を出してるのも成功してる。特に何にもないところにぽつんと赤電話が置いてあるところとか…なんでダンが10円玉を持っていたのか?とか、それがちゃんと使えるのか?とか言ってはいけない(笑)
 それにダンがウルトラセブンに変身するシーンだが、横にソガがいるのに突如巨大化。憐れソガは瓦礫の下敷きに…とはならないけど(笑)。更に地球に向けて発信されたミサイル群をセブンは全部破壊するのだが、その直後地球に帰って行くので、第四惑星自体がどうなったのかが描かれてない。セブンは放っておいたのかな?
 それにしても気になるのが警備隊長が口で何かをコロコロと転がしてる音。飴でも舐めてるのか、妙に不快なような、聴いてると腹が減るような(笑)
 妙にツッコミ所も多く、(笑)と言う表記を多用したくなる話だ。
第44話 円盤が来た

  監督:実相寺昭雄
  脚本:上原正三
      川崎高
  特殊技術:高野宏一
 毎晩毎晩星を眺めて暮らす青年フクシンはある夜、円盤の大群を望遠鏡に捉える。しかし勿論それを取り合う人はおらず、ウルトラ警備隊の調査も異常はなかった。次の晩もフクシンは円盤の大群を目撃するが、結果は変わらなかった。この世にすっかり嫌気がさしたフクシンの前に少年の姿をしたペロリンガ星人が現れる…
 敵はペロリンガ星人。なんでもペガッサ星雲にある星らしい。真っ赤なチャボのような顔をしたフレンドリーな宇宙人で、フクシン青年の肩を抱いて地球から逃げることを勧めるあたり、良い奴のようにも思えてしまう。
 前作に続いての実相寺監督作品で、監督らしいお茶の間の延長に宇宙があるSF要素満点の作品。まるで70年代のジュブナイル作品だ。又、やはりこれも実相寺監督らしく、画面のエフェクトに無茶苦茶凝っていて、時折目が痛くなることもあり。宇宙人が決して悪ではないというオチも人を食ってて良い。
<夜な夜な星を観ているオタク青年が主人公の話で、現実世界では仕事の出来ない奴とされて嫌味を言われ、その逃避のように好きな星を毎晩眺めてる。それでその結果、眠くてますます仕事が出来なく…なんだ。現在のオタクと何も変わりが無いじゃないか。>
第45話 恐怖の超猿人

  監督:鈴木俊継
  脚本:上原正三
      市川森一
  特殊技術:大木淳
 ある夜、二人の警官が何者かによって襲われて撲殺された。目撃情報からそれはゴリラのようなものと思われたが、現場から採取された血液は人間のものと判明した。近くのモンキーセンターを調査するダンとアンヌはゴールデンライオンタマリンの檻の前で考え込む。これは本当に猿なのだろうか?と。
 敵はゴーロン星人。ゴールデンライオンタマリンの姿に変装してモンキーセンターに潜入しつつ、研究所員を洗脳して人間の脳と猿の脳を交換し、猿人間を作り出していた。その正体は金色のたてがみを持ったモロに猿。結構強く、アイスラッガーを跳ね返し、力比べではセブンを圧倒する。その割にセブンを引きずってる間にエメリウム光線を後頭部に受けたりと、間抜けな部分も。持ち上げられたのがよほど腹に据えかねたか、セブンはハンディショットを呆れるほど連続してゴーロン星人にぶち当ててる。何故かセブンとの戦いでは何度も動物園の猿の姿がカットインされてる。又、ゴーロン星人に操られ怪力を持つ猿人間ゴリー。警備隊により射殺される。
 なんか『猿の惑星』(1968)を彷彿させる話で(他にも『フランケンシュタイン』(1931)とかの要素もあり)、人間が猿に変化するとか、バラバラにされたゴーロン星人の姿を克明に写すとか、脳改造とかホラー要素満点。特にアンヌが猿人間に襲われて助手の女性によって鞭で打たれるところなんかは…(そりゃ別の意味だ)
 ダンとアンヌがモンキーセンターに調査に行くが、そこでの会話とかはデートに見えるんだが、まあこの二人の仲はもう公然か。ポインターが故障してモンキーセンターに泊まることになった時のダンが妙に嬉しそうなのも良いね。
 ところでダンに言われ、ウルトラ警備隊に向かうアンヌは何故か川下りしてる。他に方法は無かったの?って言うより、ビデオシーバーで警備隊に連絡して姿隠すのが本当じゃないの?
 ラストはかなり恐ろしさを煽ってるけど、モンキーセンターとタイアップしてる割に猿を怖がらせてどうするんだ?
第46話 ダン対セブンの決闘

  監督:鈴木俊継
  脚本:上原正三
      市川森一
  特殊技術:大木淳
 伊良湖岬で怪現象が起きたとの報を受け、ウルトラ警備隊のダン、アンヌ、フルハシが急行する。そこに現れた怪しげな女性を追うダンはサロメ星人に捕まってしまう。サロメ星人よりセブンそっくりなロボットを見せられ、セブンとほとんど能力まで同じのこのロボットを地球侵略に用いると言われるのだった…
 敵はサロメ星人ロボットセブン。サロメ星人はロボットセブンを作って地球を侵略しようとするが、とりあえず普通の人間の姿。ロボットセブンはダンの協力(?)でウルトラビームを搭載することで完全形となる。セブンとの戦いではお互いに右手から出したビームが空中で交差してくっつき合ってしまう。それをお互いに引っ張りあいっこするという、珍しいシーンが見られる。奥の手(?)の空中回転してるセブンに突っ込むが、それでお互いに海に落ちて爆発。
 特撮作品には一度は使われる偽物の話だが、何というか、ツッコミどころの多すぎる作品となった。怪しい女性を追うダンは罠の可能性を全く関知せず、あっけなく捕まるわ(後で調査に来たキリヤマ隊長はちゃんとそれを感知してる)、車にウルトラアイを忘れるわ(その割にアギラーは出してるんだが)、トークマシンという機械を使われると、あっという間にウルトラビームの構造式をばらしてしまうし、良いところ無し。更にサロメ星人は折角捕まえたダンをわざわざ二回も拘束具を外して基地を案内してるし、車をほったらかしにしてたため、ウルトラ警備隊の介入を招くわ、拘束具はライターで焼き切れる程度の強さしか持たないしで、一体何をしたかったのかも不明。ロボットセブンが船を攻撃するのを見た警備隊は「狂ったのか?」…というのは良いにせよ、アンヌが自信たっぷりに「そんなことはないわ」と返す。その根拠はどこにある?更にアギラーとロボットセブンとの戦いでは、アギラーは全然敵わず、岩場で丸くなって攻撃を避けていたところ、ロボットセブンを見失い、顔をぽりぽり掻いてたら、後ろに迫っていたロボットセブンに足蹴にされて挙げ句ぼこぼこにされる。可哀想に。
 ところでサロメ星人がダンに言わせようとしたウルトラビームって何だろう?エメリウム光線か?
 サロメ星人は人間と全く同じ姿だし、ロボットセブンはセブンの着ぐるみの使い回し。予算の問題なのかな?
VOL.12
<A> <楽>
第47話 あなたはだあれ?

  監督:安藤達巳
  脚本:上原正三
  特殊技術:的場徹
 酔っぱらって帰ったサトウは妻も子も、隣人や警察官も彼のことを知らないという。更にその夜サトウは空飛ぶ円盤を目撃し、ウルトラ警備隊に電話するが、その途中何者かに襲われて電話が切れてしまう。会話の中に「宇宙人」という言葉を聞いたダンはフルハシと共にその団地に向かうが、そこには失踪したサトウを案ずる家族の姿だけがあった。その夜も団地に張り込んだダンとフルハシを何者かが襲う。
 敵はフック星人。コウモリのような風貌をした宇宙人で、珍しく三体も出てくる。夜な夜な団地を丸ごと住民ごと移し替えて地球人にすり替わり、そこを地球侵略の拠点としていた。更に計画がばれ、セブンが巨大化すると、三体全員が巨大化して襲ってくる。超音波を発することが出来、三方からセブンを苦しめる。
 派手な演出は無いけど、SF要素満点のお話で、まるでジュブナイルを読んでいるよう。ただ、本当にジュブナイルっぽく、ツメが甘過ぎ。こんな手間暇かけてすぐにばれるような侵略計画を立てたフック星人もそうだが、電話でしか話してなかったサトウが捕らわれている姿を発見した時、すぐに「サトウさん!」と駆け寄るフルハシとダンとか。そう言えばサトウ、フルハシ、ダンに催眠ガスを噴射した時、ダンだけが逃れたため、みすみすセブンに変身させてしまう。更に計画がばれて地球侵攻を始めたフック星人の宇宙船がホーク1号および3号にあっけなく全機撃沈されてしまう弱さもなんだな。
 ちなみにサトウを演じたのは小林昭二。科特隊のムラマツキャップとウルトラ警備隊のキリヤマのツー・ショットもあるのだが、さらりと流されてしまった。ちょっと残念。
第48話 史上最大の侵略(前編)

  監督:満田かずほ
  脚本:金城哲夫
  特殊技術:高野宏一
 度重なる戦闘の末、ダンの身体はボロボロとなり、脈拍360、血圧400、体温90度という異常な値を出すようになる。折からM87星雲人がダンの元に、これ以上の戦闘は死をもたらすと警告しに来た。一刻も早くM87星雲に帰らねばならなかったが、そんな時にゴース星人の駆る怪獣パンドンが地上で暴れ回る。
 敵は幽霊怪人ゴース星人とゴース星人が操る怪獣双頭怪獣パンドン。ゴース星人はまるで黒い幽霊という感じで、長い黒髪が特徴。パンドンは二つの口を持ち、どちらからも火炎を放射する(片方の口は油だという話もある)。さほど強そうに思えない怪獣なのだが、何せセブンの方が既にボロボロ。徹底的に痛めつけられてしまった。
 主人公の身体がもうボロボロというショッキングなオープニングから始まる話で、目に隈作って脂汗を流すダンの姿が痛々しすぎる。しかもセブンに変身したは良いけど、エメリウム光線は届かず、アイスラッガーは落とすし、戦いそのものも痛々しくて見ていられないほど。こう言う時こそカプセル怪獣使うべきだったんじゃないか?しかも再起不能となったダンがV3からやってきたクラタに「自業自得だ」と言われ、胸ぐらを掴まれたり…可哀想すぎる。
 ここで名前のないM87星雲人(セブン上司)が登場。ダンにセブンに変身してはいかん!と警告するが、だったら援軍を送るなり自分が行くなりのことをしたって罰は当たらんぞ。ゾフィーじゃないのはまだゾフィーがウルトラ兄弟の長兄という設定が出てなかったからと思われる(着ぐるみがなかったと言う話もある)。
 ダンがセブンに変身する際、地面に転がったウルトラアイに向かって倒れ込んで装着すると言う珍しいシーンが見られる。
第49話 史上最大の侵略(後編)

  監督:満田かずほ
  脚本:金城哲夫
  特殊技術:高野宏一
 瀕死状態ながら一命を取り留めたダンはゴース星人による地球攻撃の最中、メディカルセンターを脱走する。一方ゴース星人に捕まり洗脳されてしまったアマギから地球に対して、降伏か地球人類抹殺かの最終勧告が出されるのだった…
 敵は前回に続き幽霊怪人ゴース星人と、前回セブンに切り落とされた左手と右脚を改造を受けた双頭怪獣改造パンドン。動きはちょっとぎこちなくなってるけど、既にほとんどの力を失ってしまったセブンを徹底的にいたぶる。
 これぞ最終回!世界各地を襲う爆弾で破壊される都市群(力入ってると思ったら、ひょっとしたら『世界大戦争』(1961)のバンク?)。ボロボロになりながら戦わねばならないセブンや、アマギを犠牲にしてまでも地球を守ろうとするウルトラ警備隊の涙の決断。地球を守り抜くため、セブンと共に死ぬ気で突っ込んでいくウルトラ警備隊の面々。そしてアンヌに自分の正体を明かすダン。バックに流れるピアノのBGM。
 ところで自分がウルトラセブンであることをアンヌに明かすダンだったが(瞬間的にピアノが鳴り響き、人物像が影絵になる演出あり)、それに対しアンヌは「人間であろうと宇宙人であろうとダンはダンに代わり無いじゃないの。たとえウルトラセブンでも」と言ってるけど、ウルトラセブンの方が本体だろ?ちょっと失礼なもの言いのような…
 この作品はスタッフにとっても最後の怪獣作品(この後で円谷が作ったのは怪奇大作戦)だと言う思いがあったからか、色々な意味で思いを込めて作ったのだろう。
 ラスト、セブンは必ず帰ってくる!と言う確信を持って語られ、エンドロール…まあ、確かに何度も帰っては来たけどさ(笑)