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イナズマン・イナズマンF

イナズマン事典

 1973'10'2〜1974'3'26

 これまでも数々の特撮作品の原作を書いてきた石森章太郎原作作品。他のヒーローものと差別化を図るため、ヒーローをミュータントとし、サナギマンからイナズマンへと二段階に変身(変転)させることを特徴とした。第一段階のサナギマンは人間よりは強いと言った程度の強さで、このままでは敵ミュータンロボには到底戦えず、二段変転でイナズマンになってからが本当の戦いとなる。
 当初ミュータントという描写が決して活かされていたとは言えないが、回が進むに連れ、話はどんどん重くなっていき、渡五郎は孤独なヒーローとしての地位を確立していく。中でも白眉は原作者石森章太郎が監督した11話「バラバンバラはイナズマンの母」で、この実験的な作品が成功したため、話はどんどんハードボイルド風味を増していく。
 新人類との戦いは第2クールで終了。この際、イナズマンは自らの体から超能力増幅装置ゼーバーを生み出し、見事バンバを倒す。だが、その前から現れていたウデスパーが、実は新たな敵デスパー軍団の尖兵であることが分かる。
 そして第3クールとなり、番組名も「イナズマンF(フラッシュ)」となる(これを別番組として考える向きもあるが、物語は完全につながっているためにここでは一本の物語として考えさせてもらう)。新たな敵デスパー軍団が登場すると、ハードな物語の展開ぶりはますます上がっていく。前半で活躍した丸目豪作も少年同盟も登場せず、代わりに登場した荒井誠と共にイナズマンの孤独な戦いが始まる。特に後半のデスパーの作戦は日本全土を舞台とした作戦が多くなり、街角の子ども達を守るような描写は少なくなっていき、イナズマン本人も苦悩を抱えるようになっていく。

主な登場人物
渡五郎
イナズマン
(役)伴直弥。「人造人間キカイダー」のジロー、「忍者キャプター」の出雲大介、「バトルフィーバーJ」の神誠、「超獣戦隊ライブマン」の星博士など、東映作品には数多く出演。ホラー映画にもかなりの数に出演している。
 東南大学3年生。新人類との戦いに巻き込まれ、サラーにより自分が強力な超能力者であることを知らされ少年同盟の一員となる。訓練によってサナギマンに変身することが可能となった。
丸目豪作 (役)北村晃一。
 渡五郎の同級生でルームメイト。スキンヘッドに髭が特徴の九州男児。気っぷが良いがややドジな所あり。五郎のお陰でいつもトラブルに巻き込まれるが、熱血漢故にポジティヴに考えているようだ。
大木サトコ (役)桜井マリ。後の大木サトコ。
 少年同盟の一員でカツミの姉。気丈な性格でファントム軍団に立ち向かっていく。少年同盟本部では優しいお姉さんと言った感じ。役は桜井マリ(後に役名と同じ大木サトコ)。裏話だが、JACでは本来この役を志保美悦子に演らせようとしていたとか。そうなってたらアクション派のヒロインとなっていただろう。
大木カツミ  少年同盟の一員でサトコの弟。怖いもの知らずの少年で、時折無謀な行動に走ることもあり。
帝王バンバ (声)飯塚昭三
 「新人類」と名付けられた超能力を持つ人間を集め、ファントム軍団を組織する。自身も優れた超能力者であり、特に最高の超能力者である渡五郎には執着していたが、五郎がイナズマンとなり敵対してからは、抹殺に動く。その正体は火炎ファイターだった。
荒井誠 (役)上野山功一。
 髭ともみあげがセクシーな(?)インターポール秘密捜査官で、イナズマンのパートナー。実はかつてデスパー軍団に捉えられていた過去があり、その際妻子を置き去りにしてしまった。自身もサイボーグ手術を受けている。普段は冷静沈着だが、時として感情を抑えきれないことがある。
ガイゼル総統 (役)安藤三男。悪の首領役がとにかくはまる人で、「ジャイアント・ロボ」のドクトル・オーヴァ。「人造人間キカイダー」プロフェッサー・ギル。「秘密戦隊ゴレンジャー」黒十字軍総統。「スパイダーマン」モンスター教授など多数。
 ガイゼル軍団を統べる総統。超能力を持つ人間を許さず、根絶やしにしようとするが、実は自身が優れた能力者であることが最後に発覚する。
話数 タイトル 脚本など コメント DVD
第1話 恐怖の新人類 バンバの挑戦!!

  監督:田口勝彦
  脚本:伊上 勝
 悪のミュータントを集めた新人類帝国ファントム軍団の決起集会が行われた。それを阻止せんものと乗り込んだ少年同盟のサトコとカツミだが、ファントム軍団の罠にはまってしまう。たまたまそこを通りかかった渡五郎と丸目豪作は、なんとかサトコとカツミを助け出したものの、イツツバンバラによって重傷を負ってしまう。少年同盟に介抱された五郎は、盟主サラーによって自分も強力な超能力を持っていることを知らされるのだった。
 敵は
イツツバンバラ。細長く五つの顔を持つ怪人。地震を起こしたり、真ん中の顔から火を出す。上田博士を殺して成り代わっていた。
 本作の紹介編となった話。イナズマンの強さを示すためか、割と展開が早い。第1話目から既にフォーマットに則った話になっているのは、これまでの幾多のシリーズを手がけてきた東映らしいけど、好みで言えば、1話くらいはもうちょっと溜めを作って欲しかった気もする。
 五郎も調子よく、あっけなく正体をさらけ出してしまう。
<少年同盟は一々ポーズを取るのが特徴で、何かというと、すぐにポーズを取って指さしてる。端から見たら凄く変に見えるけど。
 サラーによって「共に戦おう」と言われた五郎は直ぐさま「戦い方を教えてください」とか言ってる。ほとんど新興宗教じみたこの組織にすぐに馴染む五郎の性格が凄い。
 五郎が最初に変身したのは当然ながらサナギマン。イツツバンバラにちゃんと名前を名乗ってた。よってイツツバンバラは直ぐさま「おのれサナギマンめ」と言ってる。「お前は誰だ?」のひと言がほしかったね。
 イツツバンバラは口から火を吐くが、なんだか顔自体が燃えてた。ラストの戦いでは真ん中の顔の鼻がなかった。
 大学で戦っていたはずなのに、イナズマンに変身したらいきなりビルの谷間に。更にイツツバンバラが倒れる時は造成地に…色々な所でロケをしてたんだな。
 イツツバンバラはバンバと同じく「バラバラバラ」という口癖を持つが、倒れる時は「バラ、バラ、バラ…」とデクレッシェンドしながら倒れてた。>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 危うし少年同盟! 呪いの水!

  監督:山田 稔
  脚本:伊上 勝
 少年同盟員の江川ミドリの乗ったバスがミズバンバラの襲撃を受けて海の底へ沈んでしまう。超能力によって地上に脱出したが、ショックのために気絶してしまう。ミドリが病院に運ばれたことを両親に知らせに行く五郎だったが…
 敵は
ミズバンバラ。海草をまといつかせたクラゲのような怪人。体を溶かして水のある所にはどこにでも現れる。任意に水を出現させ、海草で攻撃する。
 少年同盟員が襲われ、それを守るために戦うというフォーマットは既に第1話で出来ていたが、今回もそのままのフォーマットが用いられる。
 前回もそうだが、本作ではよく人が死ぬ。今回は海底に沈められたバスの乗客は全員死んでしまったらしい。
 今回は五郎の友人豪作が大活躍…と言っても悲鳴を上げるばかりだが。でも良いキャラだ。
<少年同盟員の格好をした五郎の格好は凄く恥ずかしい。その格好で平気で病院とかに出入りする五郎の感性もなかなか凄い。
 ミズバンバラの襲撃から守るため、大学の寮にミドリを連れて行って自分のベッドに寝かせる豪作。今だったら表現的にかなりヤバイ。
 十字架に付けられたミドリの両親は「お父さんとお母さんはどうなっても良い」と叫ぶ。やっぱりこれだよな。>
第3話 黒い死を呼ぶファントム地獄!

  監督:田口勝彦
  脚本:高久 進
 コブバンバラは自らのエネルギー源であるバンバ細菌の研究を藤波博士を進めさせていた。だが博士は完成した細菌を持って新人類の基地を脱走し、娘のルミと再会。彼女の持つぬいぐるみの中に細菌を隠す…
 敵は
コブバンバラ。強力なサイキック能力を有し、口からは人間を溶かす溶解液を吐く。背中にはノコギリのようなプロペラが内蔵されており、それを使って強風を起こすことも可能。そのサイキックパワーのためにはバンバ細菌が必要で、その研究をさらってきた科学者達に強要している。
 これまでやられっぱなしだった少年同盟が初めてファントム軍団とまともに戦っていることが示された話でもあり。
<コブバンバラは時折妙な敬語を使う事あり。アップでそれ言われると不気味さが更に増す。
 コブバンバラが倒そうとしたビルを綱で引き戻そうとしているイナズマン。その間は隙だらけなのだが、コブバンバラはその隙を狙おうとしなかった。結構フェアプレイ?
 コブバンバラの溶解液をモロに浴びた藤波ルミは、その後元気に登場してた。どういう体をしてるんだろ?>
第4話 日本列島大爆発!!

  監督:山田 稔
  脚本:島田真之
 富島博士は日本の火山帯がひとつにつながっており、その中心部を爆破すれば日本中の火山を一挙に爆発させることができる事を発見した。それを知ったホネバンバラは博士から火山帯中心部の地図を記録したマイクロフィルムを奪うのだった。
 敵は
ホネバンバラ。骸骨のような顔が特徴の怪人だが、その体はなんと内臓剥き出し。なんつーデザインだ。様々な超能力を有し、富島博士から日本火山帯中心を聞き出して日本全体を爆破させようとする。
 新兵器を開発した博士が狙われるという、フォーマットの一つ。極々まともな内容だが、豪作のお陰で結構メリハリが効いてる。
<偶然富島博士がホネバンバラに襲われている所に行き会わせる五郎。この偶然…は東映のお家芸か。
 シャッターを下ろしている店の前にパンを剥き出しのまま置いておくパン屋さん。牧歌的な時代だったんだな。
 二度目に富島博士に出会った五郎はすぐに「博士」と呼びかけてる。随分物知りな奴だ。
 用心深い富島博士は五郎も信用しないが、逃げていく先は人気のない寂しい所。「襲ってくれ」と言ってるようなもんだ。
 豪作が勉強してるのは駄菓子屋さん。なんでも店番を任されてるそうだが、当然置いてあるお菓子は懐かしいものばかり。チョコベーなんてもんもあったよ。
 豪作がマイクロフィルムを食べてしまったことを知ったホネバンバラは「良いことを聞いた」とか言いつつ、豪作は放っておいて富島博士の方をさらっていった。こいつは何を考えてるんだ?>
第5話 大空中戦!かみつくライジンゴー!!

  監督:山田 稔
  脚本:高久 進
 伸一青年の運転するダンプカーが突然宙に浮かんでしまう。イナズマンのライジンゴーによって伸一自身は救出されたもののダンプは故障し、伸一は修理代が払えずに苦悩する。そんな時、ひとりの男が彼に近づき、事故はライジンゴーの仕業だと告げるのだが…
 敵は
カゼバンバラ。曲がりくねった樹木のような姿をした怪人。風を起こすことが出来て、ダンプカーまでも空中に浮かせてしまう。兄弟を騙してイナズマンを襲わせようとした。
 これまで単なる車としてだけの活躍だったライジンゴーが中心となった話。存分に空を飛び、それに合わせ新人類戦闘機も登場。ライジンゴーと空中戦を繰り広げた。
<伸一を助けた時、イナズマンの姿だったが、次の瞬間には五郎の姿になってる。これは余計に怯えさせないようにしてかな?
 カゼバンバラが変装した男にころっと騙される伸一。問題はライジンゴーが空を飛べるはずがない。と言っておきながら、ダンプを空中に浮かべたのがライジンゴーだと思いこんでること。随分な思考の飛躍だ。
 カゼバンバラは伸一にトラックを運転させライジンゴーにぶつけさせるが、そんなまどろっこしいことするんだったら自分たちでやればいいのに。
 カゼバンバラとの戦いでイナズマンの目がずれてたり、角がぐんにゃりと曲がっているように見えるシーンあり。外れたかな?
 イナズマンにひどいことをしたのは自分の誤りであることを理解した伸次はイナズマンに「殴ってくれ」と言ってた。本当にそんな事したら死ぬぞ。
 この当時だから言える「か○わ」発言あり。
 少年同盟で「日本沈没の前触れかしら」との発言あり。これも時代性だな。>
第6話 怪奇ユキバンバラ!新人類手術!!

  監督:山田 稔
  脚本:伊上 勝
 自分の予言を信じぬ者はすべて呪い殺すという女占い師の氷山雪絵に目をつけたバンバは悪のミュータント人間の肉体に彼女の心を加え、ユキバンバラを誕生させた。ユキバンバラは雪と氷の超能力で人間たちを次々に凍死させていく…
 敵は
ユキバンバラ。顔は女性型で珍しい女性型のミュータンロボなのだが、体はまんま雪男みたいですげえアンバランス。女占い師の氷山雪絵の心をミュータントの体に移植して作り上げた怪人。ちゃんと口も動くのが芸細かい。吹雪を吐いて人間を凍らせたり、氷柱をナイフのように使って攻撃する。
 今回怪談話。雰囲気はなかなかのホラー調。人間から脳味噌を取り出すシーンなんかもあり。ここまでやったのは東映特撮の中でも唯一では?タクシーの運ちゃんが後部座席を見たら雪女が乗ってた、なんて都市伝説っぽい演出もあり。これまでの物語の中では最も完成度が高い作品じゃないだろうか?ここからようやく本作ならではの話へと移っていく。
 新人類帝国の怪人はミュータンロボと言われることがここで明らかにされる。又、サナギマンのベルトゲージも順々に溜まっていくようになった。
 サナギマンが氷柱で貫かれたり、イナズマンが氷の柱になったり、ユキバンバラが徐々に溶けていくシーンなど、なかなか特撮も力が入ってる。
<雪絵は自分の予言を信じない人間を次々に呪い殺していくが、それは単に逆恨みって奴。大体一回数百円の占いで殺されたらたまったもんじゃないし、一体これまで何人殺してきたんだ?
 今回バンバが自ら雪絵をスカウトに現れてる。そろそろ人手不足になってきたかな?
 タクシーの運ちゃんが死んでいることを確かめる五郎は手袋の状態で彼が凍っていることを知る。これってやっぱり超感覚かな?
 それで死んでる運転手は放っておいて後部座席の雪絵だけを助けようとする五郎…フェミニストなのか。
 病室にいる少年同盟員や豪作がどうなろうと放っておいてユキバンバラを罠にかける五郎。非情な性格らしい。>
第7話 奇怪! 空飛ぶ一ツ目!?

  監督:塚田正煕
  脚本:伊上 勝
 新人類帝国のヒャクメバンバラは各地の学校の教師に成り代わり、超能力者の子供たちを次々にさらっていた。カツミの小学校にも手塚先生となってやってきて、超能力者のナオキに目をつけ、“悪い目”をその首に植えつけてナオキを操り、カツミを捕えさせるのだった。
 敵は
ヒャクメバンバラ。全身に目がついた気持ち悪いデザインのミュータンロボ。超能力を持つ子どもに“悪い目”を付けて操る。マンモスアイという巨大な乗り物を操り、イナズマンを苦しめるが、マンモスアイが破壊されると極端に弱体化してしまう。
 新人類帝国による超能力者狩りが描かれる。これは本作ならではの話だな。本作も怪奇シリーズの一本であり、ホラー調で描かれている。特に目玉がぎょろっと見つめるシーンなどはなかなか雰囲気出てる。
 話の重さに当てられたか、今回は豪作のギャグもちょっと滑り気味だった。
<手塚先生は自分に超能力があることを悟られたナオキに対し、「お前も同じなのか」とか言ってたけど、少年同盟員の格好してるんだから、それ以前に分かって然りだと思う。
 ヒャクメバンバラの全ての目を潰さねば子ども達は助からない。と豪語するイナズマン。どうやってそれを知った?>
第8話 恐怖砂あらし! 大空港沈没!!

  監督:塚田正煕
  脚本:高久 進
 新人類帝国のミュータントを増やすべくスナバンバラは人類を危機に陥れ、そこで生き残った人間を集める作戦に出た。羽田空港でスナバンバラの姿を目撃した立花雷太少年は、スナバンバラによって超能力者と勘違いしてしまう…
 敵は
スナバンバラ「ゲゲゲの鬼太郎」に出てくるヌリカベみたいなミュータンロボ。身体を砂に変えることができ、物理攻撃はほとんど通用しない。世界各地にいるミュータントをスカウトしにいく。ただ、やってることは普通の怪人とあまり変わりない。
 新人類帝国の目的がここではっきりとした。このままだと50年後人類は滅亡してしまうため、それを防いで超能力者が生きられる世界を作ろうとしている。目的そのものはある意味崇高なのだが、やってることは単なるテロ。
 超能力者をおびき寄せるためにスナバンバラが取った方法って、実は『アンブレイカブル』(2000)
と同じ。むう、ひょっとしてこっちがオリジナルか?
 ファントム軍団もパワーアップしているのか、集団でかかられるとサナギマンでは互角以下の戦いしか出来なくなってしまった。この方が演出としては優れてるけど。
 細かいが、サナギマンが超能力を使う時、手を発光させるため手の回りに綿が敷き詰められる。アニメーションに頼り切らないのは上手い。
<雷太少年はスナバンバラの地獄落としから五郎の力によって脱出するのだが、自分が超能力を仕えると勘違いする。思考が飛躍しすぎだよ。それより、その誤解を解かない五郎の方にも問題があると思うが。
 砂に変わり、相手の攻撃を無力化してしまうスナバンバラ。だが、砂を固められると無力だ。と指摘されると、すぐに「さらばだ」とか言いつつ逃げ回ってる。情けない。
 スナバンバラを固めたのはコンクリート…どっから持ってきたんだろう?
 最後にバンバはイナズマンに復讐を誓うが、その際の台詞は「スナバンバラの仇は必ず討つ。誰が?勿論儂の作り上げた無敵の新人類だ」…自分で言うなよ。>
第9話 光るカビは夜歩く!!

  監督:田口勝彦
  脚本:伊上 勝
 超能力を持つ村山絵理は、カビバンバラのミュータント狩りに捕まり連れ去られてしまった。五郎は絵理を救出して少年同盟の基地へ連れていくが、カビバンバラに操られた絵理は基地に爆弾を仕掛ける…
 敵は
カビバンバラ。ナマハゲのような顔をいくつも付けたミュータンロボ。「仮面ライダーX」に出てきたヘラクレスに結構似てる。蔦のようなカビを伸ばして人を掴んだり、自ら胞子化して移動したりできる。
 東映特撮の定番である敵の少年軍団の話。物語そのものもフォーマットに則った作品に仕上がってる。
 渡五郎の新しい能力として、残存思念と会話するという能力を用いる。精神集中のためか、顔中汗だらけになってる。
<骸骨を背負った豪作を見て通りすがりの女性は悲鳴を上げる。それを見て「おいの顔がそんなに…」被害妄想だけど、よほど身に覚えがあるのだろうね。
 カビバンバラは子どもの精神を操る事ができるが、こういう奴は後方に下げて洗脳少年を操った方が遙かに効果的なはずなんだけどね。
 カビバンバラのアジトはなんと普通のフルーツパーラー。アジトとしてはちょっと変だけど、タイアップなのか?
 大車輪イナズマ放射で眼を潰されたカビバンバラ「目が。目がぁ〜」って…この時点ではギャグではないのだが。>
第10話 人喰いガスの恐怖!!

  監督:田口勝彦
  脚本:島田真之
 鬼墨岳に毒ガスが発生したとの報を受け、東南大学の勝木博士が調査に向かったが、そこでガスバラバラに襲われ、毒ガスの噴霧を受けてしまう。だがあらかじめ解毒剤を飲んでいた博士にはガスが効かず、それを脅威に感じたガスバンバラは解毒剤の数式を奪おうとする。実はその数式は息子のシンゴの持つペンダントの中にあった。
 敵は
ガスバンバラ。毒ガスを放出するミュータンロボ。口からミサイルも出す。自分の作った毒ガスの解毒剤の数式を求めて勝木博士を襲う。
 科学者を襲うというフォーマットに則った話で、息子がその秘密を握ってるというのもパターン。ただ、特徴としてかなり派手な話に仕上がってる。
 今回もかなりのホラー風味が満点で、ガスバンバラの毒ガスを受けて体中が焼けただれた人間の姿が見られたりする。
 特撮もかなり力が入っていて、本物の汽車を使ったり、えらく高い崖から飛び降りたりと、演出も良い。使用された爆薬の量も凄く、サナギマンの至近距離で爆発が起こってたりする。
<勝木博士の偽物を見破った五郎は、勝木に影がない!と指摘する。そりゃそうだろうけど、そんなの分かる方がどうかしてるぞ。大体ホログラムだったとして、ちゃんと子どもに手を置いたりしてるぞ。
 ファントム軍団の攻撃を仁王立ちして平気で受け流すサナギマン。その風貌と相まって一見どっちが怪人だか分からないぞ。
 途中のナレーションと演出は、まるで「次回に続く」っぽい。
 本物の勝木博士を見たイナズマンは「今度は影がある」と呟くのだが、その影ってイナズマンに向かって逆側に映ってるんだけど…
 折角見つけた勝木を連れ去られ、必死に探し回るイナズマンに合わせ、シンゴの「きっとお父さんを助けてくれるよね?」と何度も何度もリフレイン。すげえ嫌な演出だ。>
第11話 バラバンバラはイナズマンの母

  監督:石森章太郎
  脚本:石森章太郎
      島田真之
 東南大学の石川博士がバラバンバラに襲われた。イナズマンは石川博士を守り戦うが、やがて力尽き倒れてしまう。しかしバラバンバラはとどめを刺さず、五郎の前で人間体へと転身する。それはなんと生き別れになっていた五郎の母、シノブだった…
 敵は
バラバンバラ。バラをあしらった女性型ミュータンロボ。胸のバラの所に目があるのがどことなく卑猥(?)。イナズマンの能力を超える様々な超能力を持ち、イナズマンを翻弄した。そして初のバンバとの直接対決が描かれる。怒りの逆転チェストによってバンバをを破壊するが、それは影に過ぎない。
 唯一の石森章太郎脚本及び監督作品(出演もしてる)。シリーズを通しても最も重い話で、母とも戦わねばならない戦士の運命について描かれる。バラバンバラはイナズマンが倒す事はなかったのだが、バンバによって粛正されてしまった。更にここで五郎が実は新人類の血が入っていることがバンバの口から明かされ、自分自身とも戦わねばならなくなる。ヒーローがアイデンティティを問われるのは、「人造人間キカイダー」と本作の特徴だろう。アニメが「新世紀エヴァンゲリオン」を待つ必要があったのに、特撮は遥か前を行っていたことが分かる。その辛さを人に言えないのも孤独さを強調してて良し。
 ただ、ちょっと物語が急ぎすぎた感があり。前後編でやってくれたら良かった。
 五郎がサナギマンに変転する際のエフェクトが変わった。徐々にサナギマンへと変わっていくのを光学的に処理してる。
<五郎の胸にはバラをあしらったペンダントがある。ただ、これまで一切出てこなかった気がするが…
 この作品は印象が強かったらしく、古い特撮ファンにバラバンバラと言うと、大概どこかのマンガに書かれていたことを指摘される。>
第12話 母の敵バンバ対イナズマン

  監督:山田 稔
  脚本:島田真之
 母の復讐に燃える五郎はファントム軍団を追う内に新人類帝国への入り口にたどり着く。だがアクマバンバラの罠にはまり、左腕を傷つけられて変転不能に陥ってしまった。帝国の中へと逃げ込んだ五郎は、地上から拉致された人々をそこに見るのだった…
 敵は
アクマバンバラ。クワガタのような姿をしたミュータンロボだが、確かにアクマと名付けられるだけあって、邪悪な姿をしている。まるでラスボスクラスの姿で、悪知恵も働く。左手の蛇の口から炎を出して攻撃する。強制労働させられていた隻眼の男のふりをしていた。ファントム戦闘機でライジンゴーと空中戦の末撃墜されて死亡。
 前回から続き脚本は島田真之が担当しており、非常に重い話に仕上がってる。10話までの展開が結構明るかった分、見事なコントラストをなしてる。
 前回の話の直後から話は展開。早くもイナズマンとバンバの直接対決か?と思われたが、実質的に戦いはアクマバンバラとの戦いとなる。変身出来ない五郎とアクマバンバラの戦いのみならず、必死の思いでアクマバンバラを倒しても、強制労働に駆り出された人間は全員殺されてしまってる。かなり凄い。強制労働に従事している人の中にはシスターもおり、それが良心となっている分、悲劇が際だつ。モンタージュ理論と言う奴だ。しかも一々人が死ぬのを描写するというおまけも付く。
 特撮面も、自爆覚悟で突っ込んでくるファントム軍団の姿が印象に残る。
<前回のラストシーンでバンバを倒したと見たが、それは影武者。よくそれが分かったな。
 新人類帝国は地底かと思われたが、太陽が当たっている所から見て、どこか人里離れた所にあるようだ。
 左手を怪我した五郎はサナギマンになると傷も癒えるらしい。この辺はどの特撮作品も同じか。
 五郎はわざわざイナズマンになってからライジンゴーを呼んでいたけど、五郎の状態でも呼べるんじゃなかったっけ?
 結局アクマバンバラとイナズマンは一度も直接対決せずに終わってしまった。
 あれだけ被害を出しておいて、「今度こそバンバを倒す!」という終わり方はちょっとあっさりしすぎじゃないか?>
第13話 傷ついたイナズマン

  監督:塚田正煕
  脚本:高久 進
 石油コンビナートの大爆発が起こった。現場にいた奇妙な壷を持った少女が放火の疑いで追われるのだが、現場に居合わせた少年同盟のサトコたちは少女の無実を信じる。記憶喪失にかかっている少女を連れてくるサトコ達だったが…
 敵は
アブラバンバラ。血走った一つ目と細長い顔にターバンを巻いたミュータンロボ。いかにも当時の中東人をあしらった風貌。通常は油に化けて壺の中にいるが、油がこぼれると登場する。
 少年同盟内のいざこざが描かれる話で、五郎の勘の方が当たってるのだが、それが少年同盟の面々とはぶつかってしまう。五郎が証拠を突きつければ突きつけるほど溝が広がっていく。比較的明るい話に仕上がってるけど、やっぱり母を殺されているだけに五郎の言動には陰があった。
<石油コンビナートの爆発に“偶然”居合わせる少年同盟の面々。予知能力かなんかかな?それにしても少女をあっけなく信じてしまうのだが。
 少年同盟の基地に向かおうとするサトコ達。その後ろをファントム軍団が見ているのだが、その直後、五郎が現れる。角度からしてファントム軍団を見ているはずなんだけど、全く気付いてなかった。
 アブラバンバラによって豪作の部屋は全焼。五郎によれば「他の部屋は無事」だそうだが、後でアパート全部が焼け落ちてるのが分かる。ところで豪作の住んでる部屋って毎回変わってる気がするんだけど、気のせいか?
 気絶した少女が目覚めると、そこにはイナズマンの顔があった。普通あんな顔見たら悲鳴を上げても良さそうだけど、全く問題なく受け入れてた。サナギマンじゃなくて良かったね。
 アブラバンバラは火の世界にイナズマンを呼び込み、「私の火の世界からは逃れることが出来ない」と豪語。その直後逆転チェストを受けてあっけなく脱出されてしまった。それでその火の世界だが、ただ赤いビニールテープが多数上からつり下がってるだけ。>
第14話 怒りのライジンゴー 大空中戦!!

  監督:山田 稔
  脚本:高久 進
 秩父山中で未確認飛行物体が目撃された。調査に向かった少年同盟の前にキリバンバラが現れる。イナズマンに変転した五郎はキリバンバラに襲われたアリサという女性を救うが、実は彼女は新人類帝国によって既に改造されていた…
 敵は
キリバンバラ。樹木のような姿をしたミュータンロボ。霧を発生させることが出来るが、別段その霧に攻撃力がある訳ではない。新人類の爆撃機の試験をしていた。新人類爆撃機の爆破に巻き込まれて死亡。
 前回とは話は全く逆に、新人類の手先である女性を五郎の方がかばうという話。今回もやっぱり少年同盟と五郎との相克が描かれている。無理矢理新人類にされてしまったアリサに母の姿を重ねてかばう五郎と、あくまで新人類を敵と見なす少年同盟の関係は、前回とは全く逆の構図なのが面白い。脚本は同じ高久進なので、狙ったのかも知れない。
<アリサを助け、山小屋にビバークする五郎だが、そのビバーク地をあっという間に見つける豪作達。説明無かったけどこれってカツミの能力かな?
 綺麗な女性を見るとでれでれする豪作だが、割とあっさりと自分の意見を覆す。主体性がないな。
 命を助けたアリサは突然五郎に向かって「私を好き?嫌い?」とか言ってくる。凄い短絡的な人だが、これを言われて躊躇せずに「好きだ」と答える五郎もなかなかのもの。
 アリサを攻撃する新人類戦闘機。至近距離で爆発が起こる中を走ってるのは凄いが、倒れるのが遅すぎ。
 今回キリバンバラとイナズマンの戦いは冒頭ほんの僅かだけ。12話のアクマバンバラに続き、ラストは爆撃機の爆発に巻き込まれてしまった。>
<A> <楽>
第15話 影をくわれたお母さん

  監督:塚田正煕
  脚本:島田真之
 突如東京に皆既日食が出現したその夜、予知能力を持った松本タカシ少年は自分が襲われるビジョンを見る。実はそれはカゲバンバラで、タカシ少年を新人類帝国の一員にするべくタカシを執拗に狙う。カゲバンバラはタカシの母親を襲ってその影を奪ってタカシをおびき寄せるのだった。
 敵は
カゲバンバラ。黒いピエロと言った感じのミュータンロボ。人間の影を奪い、意のままに操る能力を持っている。松本タカシ少年を新人類にすべく執拗に狙う。
 特殊な能力を持った少年をつけ狙う新人類と、それを阻止するイナズマンという、フォーマットに則った話が展開するが、どんなに厳しいことを言ったとしても、母親は子どもを愛している。と言うことを伝える教訓的な内容も含んでる。人間の精神を扱った題材を得意としている島田真之の脚本らしい内容でもあり。
 今回二回イナズマンは登場するが、そのどちらもサナギマンを経ていない。そう言えば今回帝王バンバが一度も出てない。どちらも初めてのこと。
 特撮部分はちゃちいけど、精神的な戦いが描かれるのも興味深い。
<子どもに理解のない母親に向かい、「母さんは俺が殺されればいいと思ってるんだ」と拗ねるタカシ少年。大人の常識では計ることが出来ないことだってあるのだが、それは望みすぎだろう。
 タカシの母の影を食べるカゲバンバラ。それで影が無くなるのはともかく、カゲバンバラ自身の影が映ってないぞ。>
第16話 約束に向かって走れ!

  監督:塚田正煕
  脚本:高久 進
 とある建設現場に新人類帝国の活動を感じ取った五郎だが、その眼前で建物が大爆発を起こす。その中でたった一人生き残った労務者から妻と娘のことを聞いた五郎は彼の故郷である佐久間村へと足を運ぶのだが、その途中でトゲバンバラに襲われ、毒のトゲを左手に受け変転不能に陥ってしまう。その時彼の前に現れたのは…
 敵は
トゲバンバラ。サボテンのような姿をしたミュータンロボで、毒のある体の棘を投げつけて攻撃する。その棘を巨大化させ、自由自在に操って攻撃させることも出来る。
 イナズマンの危機が描かれる話。命の危機に際し、幻影で自分自身の対話を行わせるなど、内面の戦いも描かれていく。生き残った労務者にした約束を必死に守ろうとするが、約束は絶対に守らねばならない。という五郎の意地が描かれている。本人は「男の意地」と言っていたが、意地ってのは意固地と変わりがない。
<工事現場で働かされている労務者はみんな人民服を着ている。どこの国の話だ?
 トゲバンバラの毒を受けて変転出来ない五郎の前に現れた帝王バンバ。瀕死状態の五郎に勝ち誇った笑い声を残して去っていく。こうなったら簡単に倒せるはずなんだけど。
 毒が回った五郎の顔は白塗りメイクでほとんど死人。更にどんどんメイクは青くなっていく。凄い描写だ。
 そう言えばトゲバンバラは最後に超力イナズマ落としを喰らうまで一度もイナズマンとは触れてなかったりする。>
第17話 謎の対決!ふたりの渡五郎!!

  監督:塚田正煕
  脚本:上原正三
 休暇で羽を伸ばす五郎と少年同盟の面々。そんな時五郎の前に現れたシャシンバンバラは五郎の写真を撮って姿を消した。その後、東京で五郎そっくりな人間が都内で暴れ、五郎は逮捕されてしまう。実はこれこそがシャシンバンバラの能力であり、五郎を凶悪犯に仕立て上げて人間社会から追放し、行き場のない五郎を新人類の一員として迎え入れようとしていたのだ。
 敵は
シャシンバンバラ。タイムシャッターという能力を使って相手を固定する。その際撮影した写真を元に完璧なコピーを作り出して相手になりすます事が出来る。
 特撮ものでは定番とも言える偽物の登場。それで少年同盟の面々との相克が今回も描かれている。こういう物語が徐々に増えてきたようだ。
 五郎が二人出てくるのだが、偽物の五郎の撮り方が上手く、本当にそっくりに見えてる。カメラアングルなどよく練り込まれてる(偽物の方はちょっとだけ身長が低いけど)。これに限らず、今回はカメラの使い方が本当に上手い。
 ただ、やはり30分だとあっけなく解決してしまうので、もうちょっと長くしてほしかった。
<タイムシャッターを用いると相手の姿を固定させる事が出来る。その際襲えば一発で倒せるはずなのだが、そのまま放っておいてる…これは実はツッコム部分じゃなく、五郎を新人類にスカウトするためだった。
 手錠をかけられた五郎はサナギマンになって手錠を外すのだが、鎖を引きちぎっているのに、次の瞬間手錠そのものが無くなってる。
 砂丘でのイナズマンとシャシンバンバラの戦いで、砂丘の上から飛び降りたイナズマンは背中から落っこちて大きくバウンドしてる。次の瞬間平気な顔(?)して立ち上がってるけど、痛そう。>
第18話 友情のイナズマ落し!!

  監督:山田 稔
  脚本:高久 進
 予知能力を持つジョージ少年はある日隣のマンションを双眼鏡で覗いていた所、偶然女性が殺されるシーンを見かけてしまった。それはサオリという役者だったのだが、五郎を除いて誰もそれを信じてくれない。そして殺されたはずのサオリが殺人鬼と化して撮影所の中で殺戮を開始する…
 敵は
ドクバンバラ。トカゲに多数のキノコを生やしたようなミュータンロボ。その爪の毒に冒された人間は殺人鬼となってしまう。左手から毒の煙を出し、五郎の視力を奪った。巨大な毒キノコに変身も可能。
 少年と五郎の友情の物語。ジョージ少年は超能力を使えるが、能力を使うと激しく消耗してしまう。この設定はそう言えば「僕の地球を守って」でも使われてたな。
 話自体に特筆する所はないものの、合成や至近距離での爆発など、特撮には大変力が入ってる。
<殺人現場を目撃したジョージ少年に偶然ぶつかってしまう五郎…この辺はもう言うまでもないけど。
 ドクバンバラに拉致された女性は常に面白く無さそうにぶすっとした表情を崩さない。怯えろよ。ま、その方が殺人鬼になった表情が映えるんだけど。
 これまで多少の怪我とかはサナギマンになった途端消えてしまってたけど、視力を失うと、流石にサナギマンでは戻らないらしい。
 ドクバンバラの体にはたくさんのキノコが生えてるけど、目の近くにあるのが外れてぶらぶらしてる。目玉が落っこちたみたいで凄く気持ち悪い。>
第19話 謎の殺人ボクサー ミラーX?

  監督:山田 稔
  脚本:上原正三
 五郎の幼なじみで元プロボクサーのサカイリュウは弟のマサルを世界チャンピオンにすべく猛特訓していた。リュウは自分のジムを持つため、命がけの試合地下ボクシングに挑む。だが謎のボクサー・ミラーXの前に敢えなく敗退。実はミラー・Xこそが打倒イナズマンの秘策を持つカガミバンバラだった。
 敵は
カガミバンバラ。全身鏡で出来たミュータンロボで、光を反射させて相手がひるんだ所を攻撃するのを得意技とする。ミラー・Xという名前で地下ボクシングに出場し、五郎の幼馴染みサカイ兄弟を倒す。珍しく超力イナズマ落としではなく、自分の技を返されて破壊されてしまった。
 兄弟愛が描かれる話で、それに関わった五郎の受難が描かれる。これまで単なる時間稼ぎに過ぎなかったサナギマンが初めて本当の意味で危機に陥る話でもあった。
 サナギマンがイナズマンに変転するためには、エネルギーを急襲する必要がある。攻撃され続けると集中出来ないとか、熱エネルギーを吸収することによって素早くイナズマンに変転できるという設定が明らかになる。
<マサルのボクシングスタイルにけちを付け、ボクシングを教えようとする五郎。しかし、その姿は今ひとつはまってない。
 弟思いのリュウが殺人ボクシングに出場する際、「その気持ちを察して」五郎は何も言わずに送り出す…普通止めるだろ?
 兄の仇を討とうと、弟のマサルがリングに上がる。だが、その試合というのはどこかの採石場…どういう試合だよ?まあ、五郎を罠にはめるにはそれで充分なんだろうけど。>
第20話 星円盤を追え! ライジンゴー!!

  監督:塚田正煕
  脚本:曽田博久
 謎の円盤が放つ隕石に狙われ続ける五郎。その陰には水晶玉を手にしたユウコという少女の姿があった。不審に思い彼女の後を追う五郎だったが…
 敵は
ホシバンバラ。顔が五芒星型の星形で、体全体が石のような姿をしたミュータンロボ。空飛ぶ円盤を用いて隕石を五郎の上に降らせたり、ユウコとタロウの兄弟を使って多数の罠をしかける。
 姉弟愛を逆手に取った新人類の攻撃が描かれる話。ただちょっと詰めが甘いので、どっちつかずな話になってしまった。
 ホシバンバラの攻撃が隕石と言うだけあって、大変爆発シーンが多いのが特徴。五郎の至近距離でも爆発が起こってる。
<五郎の命が狙われていることを知って心配で駆けつけたり、五郎の布団ひっかぶってる豪作の姿は何となく同性愛っぽい。それを“友情”で語れた時代なんだな。
 「俺ほどの新人類なら手を汚さずにお前を倒せる」とうそぶくホシバンバラ。これまでの反省が全く活かされてない。
 給水塔の上に縛られている太郎。助けに行こうとライジンゴーからジャンプしたイナズマンはいつの間にか洞窟の中にいる。
 隕石に埋もれたイナズマンを助けるためにライジンゴーがやってくる。その場所ってイナズマンが通れるギリギリの通路なんだが…
 タロウとユウコ、五郎が揃った所で爆弾を爆発させようとするホシバンバラ。ところがどう見ても致死範囲に揃っても爆発しない。
 いつものようにファントム軍団の袋だたきにあうサナギマン。しかし、よく見てるとファントム軍団同士でぶん殴ってるシーンがある。中の人が仲違いでもしてたのか?
 結局ホシバンバラは円盤に乗ってる所をライジンゴーの体当たりで倒されたが、要するに単純にホシバンバラってとても弱いのでは?>
第21話 渡五郎 イナズマン死す!?

  監督:塚田正煕
  脚本:上原正三
 鬼の村に伝わる150年に一度咲くという逆さ竹の花が咲き、村人たちが姿を消した。調査に向かった五郎はタケバンバラの毒矢にやられてしまう。牧場の親子によって救われた五郎だが…
 敵は
タケバンバラ。全身竹で出来たミュータンロボで、攻撃されて体が割れても新しい肉体ですぐに再生してしまう。150年に一回咲くという逆さ竹の花を用いて五郎を仮死状態にして埋葬しようとする。ちなみに人間に変身した時は牧場の娘さんになってる。
 五郎絶体絶命の危機が描かれる話で、騙されて毒を飲まされ、しかも生きたまま埋葬される。となかなか猟奇趣味な話となっている。そこまで絶対的優位に立っていながら殺そうとしないタケバンバラも甘すぎるのだが。
 五郎のメイクがかなり凄まじく、本当に死人のように見えている。メイクさんの技術だな。ただ、心臓が動き始めても顔色がそのままだから、ほとんどリビングデッド状態で歩き回ってた。
<鬼の村に来たサトコは鐘の音を聴いて「お葬式の鐘よ」と言っていたが、よくそんなことが分かったね。ところで鬼の村って葬儀はキリスト教式で、更に埋葬は土葬のようだ。これって本当に日本か?
 仮死状態になって身動きの出来ない五郎だが、よく見ると瞬きしてる時があったりして。
 五郎はテレパシーが使えるので、たとえ仮死状態になってもメッセージは伝えられそうなものだが、敢えてその描写はない。使えない超能力だ。
 タケバンバラはあっけなく超力イナズマ返しで倒されてしまい、何度でも復活出来るというという設定が全く活かされなかった。>
第22話 歩く土人形 恐怖の大地割れ!!

  監督:山田 稔
  脚本:島田真之
 新聞配達少年カズオは土に埋まっていた埴輪を発見するが、ハニワに触れた途端痺れてしまい、高熱で寝込んでしまった。ハニワの正体は新人類のツチバンバラで、その身体には病原菌が付着していたのだ。これを治療出来るのは野中博士だけだが、当の野中博士は新人類の手の内に…
 敵は
ツチバンバラ。埴輪の姿をしたミュータンロボ。小さな埴輪の姿になることが出来るが、その埴輪には病原菌が付着している。首を刎ねられてもすぐに復活出来るが、水が弱点で、それを利用されて倒された。
 少年の危機と科学者の奪還。フォーマットに沿った物語が展開する。かなり丁寧に作られているので、完成度は高い。
 新人類のファントム軍団の血の色は緑色している。やっぱり改造されるとそうなるのか?
<新聞配達しているカズオ少年の頭には寝癖が。なかなか凝ってるじゃないか。
 多分舞台は東京近郊だと思うのだが、マグマがあんなに上に上がってる。東京終わったな。
 カズオ少年は接触感染で重病に陥ったはずだが、他の人が彼に触れてもなんともない。怖くないのかね?
 ようやく変転出来たイナズマンを前にし、野中博士が磔になってるすがたが。しかし、初対面のはずなのに野中博士は「イナズマン!」と叫び、イナズマンは「野中博士!」と反応してる。
 野中博士を人質に取られ、なすすべくツチバンバラにいたぶられるイナズマンだが、突然ライジンゴーを呼んで爆撃。自分は攻撃してないって言っても、同じ事だろ?>
第23話 呪いのえのぐが人を溶かす

  監督:山田 稔
  脚本:平山公夫
 予知能力を持つ少年マサルを新人類にスカウトすべく行動を開始したえのぐバンバラ。周囲の人間を次々に絵の具まみれにして殺していくえのぐバンバラに戦いを挑むイナズマンだったが、あっという間に絵の具に飲み込まれてしまう…
 敵は
えのぐバンバラ。極彩色に彩られたパレットを模した仮面が特徴のミュータンロボ。絵の魂を栄養にしていて、彼の現れる所絵がドロドロに溶けてしまう。そしてその絵の具を用いて人間を次々に殺していく。自ら出した巨大なチューブミサイルの下敷きになって死亡。
 子供のスカウトに現れたミュータンロボという、本作ならではの作品。特に今回は絵の具が中心となるため、全般的に極彩色に彩られた作品になった。演出的には
 子供までもが死んでいく描写は今ではもう出来そうにないな。
<マサル少年の部屋にまで出入りする五郎。おおらかな時代だったんだな。そう言えばマサルの部屋にはクリムトの模写まであったよ。絵好きと言っても、なかなか本格的だ。
 絵の具の沼に入り込んだイナズマンはそこから脱出すると体に色も付いてない。どうせなら絵の具でぐちゃぐちゃになって戦ってほしかった。>
第24話 謎のロボット戦士?

  監督:塚田正煕
  脚本:上原正三
 突如ファントム軍団を敵に回す謎のロボット戦士が現れた。その存在を知り、とまどう五郎。一方、イシバンバラは次々と男をさらってミサイル基地を完成させ、新型ミサイルのテストに成功するのだった。謎の戦士は一体誰か。そしてイナズマンはミサイル基地計画を阻止することが出来るのか…
 敵は
イシバンバラ。岩石の塊のような姿をしたミュータンロボで、体をバラバラにして岩石となって攻撃することも出来る。。ミサイル基地計画のため、次々と人間をさらう。そして後半の伏線のため、ついにウデスパーが登場(ただしこの時点では名前は不明)。そう言えば明るい場所でバンバの全景が出てきたのもこれが初めてとなる。
 前後編の前編でバンバ編の完結編の始まりとなる。後半の伏線としてデスパー軍団の存在を臭わせているのも特徴。様々な所で変化を感じさせる演出が映える。
 今回からサナギマンおよびイナズマンの変身シーンが変化。これも後半の
「イナズマンF」への伏線だろう。そう言えば五郎の姿もスーツ姿となり、ちょっと垢抜けた感じになってる。
<人殺しを調査する五郎は張ってる警官に向かってひと言。「渡です」で現場に勝手に入ってる。あれ?イナズマンって国家公認になったの?それとも単にはったり?
 イシバンバラによってテストされたミサイルは何故か後ろの方が先に落っこちてる。もうちょっと特撮には力を入れるべきだったね。
 豪作は強制労働させられている時にもトレードマークの下駄を離さないみたい。急いで逃げようとしてもカラコロと軽快な音がしてる。
 戦闘機での戦いでいい加減ボロボロになっていたイシバンバラに容赦なく襲いかかるイナズマン。悪を許さない姿勢は立派だが、まるでいじめてるみたいだぞ。>
第25話 壮烈! 帝王バンバの最期!!

  監督:塚田正煕
  脚本:上原正三
 謎のロボット戦士はファントム軍団の征服を開始する。一方帝王の座を追われたバンバは五郎と手を組もうと図る。だが謎の新軍団の登場により、五郎は超能力を吸収する特殊な部屋に閉じ込められてしまった。そしてバンバは最後の大計画を発動。地殻変動装置を使って日本を海の底に沈めようとする…
 敵は帝王バンバが変身した
火炎ファイター。これがバンバの本体だったが、あんまり強くはないし、時間制限があったため、全然活躍出来なかった。そしてついに名前を明かしたウデスパーと、ガイゼル総統の姿も見られる。
 バンバ編の最終回。これまで悪の帝王として振る舞っていたバンバもこうなると形無し。
 一方のイナズマンも絶体絶命の危機に陥るものの、ここで超能力増幅装置ゼーバーを作り出し、これまでの必殺技である超力イナズマ落としから以降の新シリーズではゼーバーを使ったゼーバー・イナズマフラッシュへと変化することになる。
 話自体はさほど特記することはないが、やはりウデスパーの存在が
<原作では少年同盟の盟主サラーとバンバの関係が描かれていたが、ここでは完全スルー。そう言えばサラーって何をやってるんだろう?
 ヒーローの特徴は信じやすいこと。帝王バンバにまでそれを求めたお陰で五郎は窮地に陥ることになる。
 イナズマンは自分の体の部分からゼーバーを作り出すのだが、元の形から大きく違ってるような…
 火炎ファイターとなって戦うもイナズマンに敗北したバンバ。「ワシの力を見よ」と見栄を切って巨大化したら、すぐに爆発してしまった。何をしたかったんだろう?
 デスパーとの戦いでボロボロのはずの五郎に対し、姿を現したウデスパーとガイゼル総統。だが、基本的にここでは顔見せだけ。この時点で攻撃してればあっけなく終わっていたのに。>
第26話 恐怖のガイゼル総統と謎のデスパー軍団

  監督:塚田正煕
  脚本:上原正三
 帝王バンバの変身した火炎ファイターを倒したイナズマン。だがその直後から新たなるデスパー軍団の襲撃を受けてしまう。未だバンバとの戦いの傷が癒えないイナズマンにウデスパーとハンマーデスパーが迫る。そんなイナズマンを救う影があった…
 敵は
ハンマーデスパー。最初のデスパー軍団員で、顔がハンマーになってるのが特徴。イナズマンを倒す功を焦り、ウデスパーも蹴落とすが、そのためにイナズマン抹殺に失敗してしまう。
 ここから第2部となる「イナズマンF」の開始となる。完全なる続編である事を示すように、バンバとの戦いの直後から話が展開している。そして冒頭からの大ピンチを救う荒井誠が登場する。
 デスパー軍団の登場によって聞きの連続を迎える渡だが、それを救うのが全て人の善意だというのが面白い。これまでのようにたった一人で戦うと言った感じから多少の変化が出てきたのかもしれない。しかも五郎を救った新婚夫婦があっけなく殺されてしまう。なんとも哀しい話である。
 人の近くにいればデスパー軍団の無差別攻撃に巻き込んでしまう。話はますますハード路線へと転換していく。
 一方デスパー軍団の方も不協和音があり。軍団幹部と思われたウデスパーだが、ハンマーデスパーにぶん殴られてしまう。
<あれ?そう言えば渡の服が前回から変わってないか?いきなりスーツ姿かよ。
 前回戦闘員がファントム軍団の「F」と言うマークを「G」に変えていたが、姿そのものまで変わってる。この方が良いんだけど。
 荒井を敵視していたのに、「ついてこい」という荒井の言葉に素直に従う五郎。しかもバッジひとつで信用してしまうし、素直すぎるぞ。>
VOL.3
<A> <楽>
第27話 戦慄のサファリ! 海中大作戦!!

  監督:塚田正煕
  脚本:上原正三
 第二のイナズマン誕生をおそれたガイゼル総統はミュータントの皆殺しを命じる。まるでゲームのように人間狩りを行うノコギリデスパーに怒りを隠せない五郎だが、荒井を人質に取られてしまい…
 敵は
ノコギリデスパー。顔に糸鋸のようなものが、手には回転ノコギリが付いてる。ガイゼル総統の人間狩りのためにスポーツ選手をさらい、ミュータント殲滅を図る。
 バンバとガイゼル総統の最も大きな違い。それはミュータントの扱いにある。バンバはミュータントこそが新人類を作ると主張していたのに対し、ガイゼルはミュータントこそが害悪であるとして殲滅を図る。原作から大きくずれる事になるのだが、しかしこれはそもそもの設定が変えられてないか?ガイゼル総統の非情さが際だってるけど。
 第二部になって初めてライジンゴーが登場。水木一郎による主題歌まで付いた。
<ミュータント殲滅を図る場合、少年同盟とサラーが真っ先に狙われるべきなんだけど、彼らはいないものとなってるの?
 人間狩りを楽しむガイゼルはそのことを「サファリー」と表現してる。
 人間狩りで五郎に矢をいかけるガイゼルは、射抜かれた五郎を見て「素晴らしい手応えだ」と述懐する。やった事無いんで分からないけど、矢の手応えって感じるものなのかね?
 今回出てきたノコギリデスパーは結局何にもしないまま倒されてしまったような?わざわざ戦いに待ったをかけてまで何をしたかったんだろう?手に付いた鋸もまったく使わなかったし。>
第28話 水爆500発!!地底大戦争!

  監督:田口勝彦
  脚本:上原正三
 五郎と荒井の見る前で二人組の男が警官を射殺。早速その二人組を追跡する五郎だったが、なんと五郎の前で二人は自爆してしまう。彼らの残したトランクから出てきた暗号文を解読した荒井は、これがデスパーの水爆を使った日本全滅作戦である事を突き止める。
 敵は
バーナーデスパー。左手が火炎放射器となっている。水爆500発を日本地下で爆発させ、日本そのものを消してしまう作戦を敢行する。
 日本を分断してしまおうというデスパー軍団の作戦が描かれる。当然汚染で日本は死の国になってしまうが、それを前提とした作戦らしい。普通は日本を支配するというパターンなのだが、デスパーの狙いはちょっと違うらしい。作戦も大規模なのでファントム軍団とは随分違ってる。
 毎回様々なアタッチメントを付けるウデスパーだが、今回は右手にマシンガン、左手に鞭と二つのアタッチメントを同時使用。
<五郎の前で自爆するデスパー軍団の二人組。しかし肝心のアタッシュケースだけは無事だった。これは犬死にって言わないか?
 ライジンゴーの口からは巨大な巨大なドリルが出てくる。どこにこんなでっかいのを収納してるんだか。使い終わったらちゃんと口も閉じてたし。>
第29話 謎の飛行船?宇宙へ!!

  監督:田口勝彦
  脚本:平山公夫
 金保管所に忍び込んだ強盗団からドリルデスパーは50億円の金塊を奪取する。イナズマンとドリルデスパーが戦っている内、強盗団の梶本がその金塊を奪って逃げてしまう。
 敵は
ドリルデスパー。肩にドリルが付いていて、相手に抱きついて攻撃する。そのドリルを使って地中に逃げる事も出来る。
 この話も大きく、何と日本全土を破壊するほどの高性能爆弾が登場。
 神父姿で梶本が金塊を隠した教会に忍び込む荒井の前に現れたのは黒いウェディングドレスを着て白塗りの女性達。なんだか寺山修司の世界みたい。
<50億円の金塊と言えば、とんでもない重さのはずだが、まるで空のアタッシュケースを軽々と持つ梶本。こいつも実は改造人間か?その後、金塊を他の容器に移し替えるシーンがあるが、どう見てもその量はそれ以上。
 シスターが金塊の保管場所を開けると、そこには金の代わりにイナズマンが!いつから入ってたんだ?それだったらもっと早く助ければいいのに。
 気球に乗せられて絶体絶命のピンチに陥る荒井と子ども達。一人状況が分からないのか、ずーっとぼんやりした顔した子がいるぞ。
 日本全土を爆破出来るほどのゴールド爆弾を発射するデスパー。ところでデスパー軍団の本拠地って日本にあるんだよね?乾杯してるけど、そのままだったら自分たちも壊滅するんじゃない?>
第30話 DESミサイル大空中戦!!

  監督:山田 稔
  脚本:高久 進
 強力なDESミサイルを奪ったマシンガンデスパーを追うイナズマン。だがその途中強力な念力の妨害にあってしまう。実は超能力を持つ少年・ケンイチが友だちに超能力を見せびらかしていたのだ。その超能力に目を付けたマシンガンデスパーはケンイチを利用して五郎をおびき寄せるのだった。
 敵は
マシンガンデスパー。鉄仮面に両脇にマシンガンを持つ。DESミサイルを奪い、日本の制空権を得ようとする。
 DESミサイル奪取の際ウデスパーとの一騎打ちが二回あり。二回目は五郎が縄かけられてバイクで引きずり回されてる…本人がやってるよ。よくやる。
 久々に前半っぽく町の子ども達をターゲットにしているのが特徴で、ケンイチとナツコという姉弟が登場。ナツコの姿は…おやおや牧れいじゃないですか。この人志保美悦子と並んで当時あこがれのお姉さんだったんだよなあ。ここでは可憐なお姉さん役であんまり動いてないのが残念。そのために話はややこぢんまりしてしまった感じ。
<マシンガンデスパーのマシンガンはバルカン式で、しかも単発らしい。数発撃ったら弾切れを起こすが、これってマシンガンって言うんだろうか?狙いが正確ならそれでも良いけどね。暗い中で横向きで発射してる姿は立ちションしてるみたいにも見える。
 「超能力さえあれば勉強なんてしなくても良いんだ」というケンイチ。子供の頃の夢だろうね。超能力をもらうと気が大きくなるのは、子供はポジティブ・シンキングだからね。
 五郎の脳手術を行おうとするマシンガンデスパー。その傍らにはケンイチ少年がいるけど、子供にこんな残酷なものを見せようと言うのか?それより超能力を持つ少年を近くに置いて危ないとか言う考えはないのか?
 日本を脅迫するために奪取したDESミサイルをたかがライジンゴーのために無駄遣いにするマシンガンデスパー。これだけでもうこいつの死は決まったな。
 マシンガンデスパーは倒される時、崖(そんなに高くないけど)から飛び降りるが、見事に頭から大地にダイビングしてる。中の人無事だったんだろうか?>
第31話 ガイゼルの大要塞

  監督:山田 稔
  脚本:曽田博久
 デスパー軍団前線基地建設に邪魔になるニュータウンの破壊を始めたナイフデスパー。駆けつけた五郎と荒井はひとりの若い娘と出会うが、彼女は地下工場で新兵器を目撃したためデスパー軍団に追われていたのだ。そして彼女を助けようとした荒井は敵の銃弾を受けてしまう。
 敵は
ナイフデスパー。右手が巨大なナイフになっているほか、左腕には投げナイフが仕込まれている。デスパーの前線基地建設のため邪魔になるニュータウンを破壊する。
 今回もかなり重い話で、もしヒーローが惨殺に間に合わなかったらどうなっていたか?と言う事が描かれている。実際ヒーローとは常に颯爽と、そして都合良く現れるものだが、もしそれがほんの少しずれたら、どれだけ悲惨な事が起こるか。それを本作は克明に追っているようだ。ニュータウンの住民は一人を除いて全滅。死んでるかどうか確かめるために倒れた人間を刀で刺したり銃で撃ったりと言った描写まであり。
 ここで荒井はデスパー軍団によって改造されたサイボーグであるという体の秘密が明かされる。
 ナイフデスパーの乗る円盤は前線基地に突っ込んで大爆発を起こすが、ナイフデスパーはちゃんと生きている。やはり最後はイナズマンと戦わなければならない。という定式を重要視したが?今回はゼーバーを使わず念力パンチ一発で倒れたのは弱っていたから?
<ウデスパーはデスパー軍団の事をやっぱり「新人類」と言っていたが、設定では新人類そのものを抹殺するのがデスパー軍団だったはず。言葉の意味が違ってるのかな?
 ナイフデスパーは右手が巨大な刃物になってるのだが、ほとんどそれを使わず、キック攻撃が主体。中の人は相当に蹴りが得意な人なんだろう。>
第32話 大決戦!ウデスパー対イナズマン!!

  監督:塚田正煕
  脚本:上原正三
 ガイゼル総統より直接イナズマンを倒すように命令を受けたウデスパーは女性サイボーグのミスワンを五郎に近づけ、その居場所を突き止め、その場所に向かってミサイルを発射する…
 敵は
ウデスパー。その能力はイナズマンをしのぎ、イナズマンフラッシュでさえ倒す事が出来なかった。最後はサイボーグミスワンから託されたペンダントで破壊される。
 24話から9話に渡って登場してきたウデスパーも(とりあえず)ここで退場。今回は完全に二人の戦いが中心となるため、大量殺戮とかの描写はなし。それだけウデスパーが強いという事を印象づけた話だった。サナギマンになった五郎に対し、「早くイナズマンになれ」と言って何もせずに待っているあたりは、妙に律儀というか…あるいはミスワンがイナズマンを倒せない事は彼にとって前提条件だったのかも知れない。結構矛盾があるキャラだが、それが魅力なのかも知れない。
 ウデスパーの非情さも良く出ていて、ミスワンを捨て駒にするのだが、それが逆に自分が倒される事になると言う皮肉。一方、自分を襲ったミスワンを助けた五郎は、そのために生き延びる。こういうのはありがちかも知れないけど、やっぱり燃える。
 一方五郎はサイボーグのミスワンと心の交流もあり。ヒーローと心の交流を持った者は死んでしまうのが本作の特徴かな?
<荒井はデスパー軍団の戦闘員に槍を突き刺すのだが、ひくひくと断末魔の痙攣を起こす戦闘員をよく見ると、全く刺さってない事が確認出来る。
 ウデスパーがミスワンに託したペンダントからは本当に破壊光線が出た。嘘付いてれば良かったのに、妙な所で律儀だから倒されてしまう。>
第33話 ウデスパー兄弟!クロスハリケーン!!

  監督:塚田正煕
  脚本:上原正三
 デスパー軍団は、破壊されたウデスパーの破片を拾い集め、新しい参謀としてウデスパーαとウデスパーβを作りあげた。二人はジェットデスパーを使い、イナズマンの居場所を突き止めようとする。しかしその姿を絵に描いてしまった姉弟が狙われる事に…
 敵は
ジェットデスパー。ジェット機をモティーフとしたデスパーロボで、左手の冷凍中で攻撃してくる。その姿の割に空を飛ぶ事が出来ず、空を飛ぶには特殊飛行機を必要とする。そして前回倒されたイナズマンの変わりにウデスパーαウデスパーβが登場。ここでは顔見せ程度だが、クロスハリケーンも披露。
 前回ウデスパーを倒したと思ったら、今度は分裂してきた。ただこの二人、性格がまるで異なり、何かというと口論ばかりしてる。今回はイナズマンをいぶり出すため、αはジェットデスパーを使った絨毯爆撃を、βは最低限の偵察をさせることで意見が分かれ、あわやとっくみあいになる所。
 話そのもので言えば、姉弟を助ける話で、ヒーローものの定番と言える話が展開する。
<デスパー軍団も証人一人殺すために大規模作戦を展開させ、目撃者をますます増やすのは組織としては効率悪いだろう。
 ミチは五郎の事を知っていて、デスパー軍団に襲われるとすぐに「五郎さんに知らせなくちゃ」と言っているけど、五郎は一般人にどう自分をアピールしてるんだろうか?
 イナズマンの危機に際し、「作戦は密なるをもって良しとする」とか呟きながら静観するウデスパーβ。しかし、それが絶好のチャンスを取り逃がした事に本人だけは気づいてない。
 ミチの腕に取り付けられた時限爆弾は5分で爆発する。そこに使われているのは普通の時計っぽいが、メモリが5しかないのが特徴。よく見ると秒針しかない。>
第34話 少年サーカスとマルチ大作戦

  監督:田口勝彦
  脚本:上原正三
 ウデスパーαとウデスパーβはハサミデスパーと共にレーダー基地に潜入し、電波調節器にクロスハリケーンを強化する装置を取り付けた。それを目撃してしまったサーカス団の少年アキラはハサミデスパーに追われてしまう。逃げる事には成功したものの、ハサミデスパーの脅しに怯え、五郎達に何も喋る事が出来なかった。
 敵は
ハサミデスパー。顔がハサミの柄になっていて、両手がそれぞれハサミの刃になっている。ウデスパー兄弟のクロスハリケーンをパワーアップさせるためにレーダー基地を襲う。割とあっさり倒されてしまったが、これもウデスパー兄弟の見せ場(今回はβがメイン)に取られたためだろう。ウデスパーβは単独でもイナズマンとほぼ互角。
 東京殲滅という巨大な作戦だが、やってる事は少年一人を巡る戦い。「仮面ライダー」シリーズに共通するフォーマット的作品。ニュータウンが破壊されてるシーンもあるけど、これは31話のバンク。
<レーダー基地に潜入するデスパー軍団。ところで日本のレーダー基地ってどこにあるんだろう?
 サーカスの後援途中途中でハサミデスパーを見かけて外に出たアキラ少年だが、スタジアムには誰もいない。公演中じゃなかったかな?
 アキラ少年を襲ったハサミデスパーは、さっさと殺せば良いのに、一々「イナズマン」と声をかけていた。こんな事を言わなければ見られないのに。
 ハサミデスパーはさほど強くないけど、顔にバケツみたいなものをかぶせられて倒される光景は結構マヌケ。
 マルチハリケーン失敗によってエネルギーを使い果たしてしまったウデスパー兄弟は、イナズマンを前にして憎まれ口を叩いて逃げてしまった。イナズマンだってハサミデスパーと戦ったばかりなんだから、二人で戦ったら勝てたんじゃないかな?>
第35話 ウデスパー兄弟の挑戦状!!

  監督:田口勝彦
  脚本:上原正三
 ウデスパー兄弟の挑戦を受けたイナズマン。クロスハリケーンに苦戦するが、兄弟の息は合っておらず、威力は半減してしまう。一方ジシャクデスパーは五大都市空爆作戦を敢行していた…
 敵は
ジシャクデスパー。頭に磁石を付けており、イナズマンの体をくっつけてしまうが、他にこれと言って使い道が無く、攻撃の主体はマシンガンだった。能力は高いようなのだが、ウデスパー兄弟の間に入って苦労していたようだ。最後は合体ウデスパーとの戦いとなる。
 人の命を救うのがヒーローの使命。ならば死にたがっている人を前にした時どうすればいいのか。これを突き詰めて考えると重くなってしまうが、そこまではいかず、ここでは上手く回避していた。ここに登場するヨウコは割とリアルな若者像だ。
 人質は一人いれば充分。むしろ他の人質は見せしめのために殺してしまった方が良い。ジシャクデスパーのやってる事は理にかなっていた。
 一方、兄弟の仲間割れが楽しかったウデスパー兄弟は僅か三話で退場。その代わりとして合体デスパーが登場している。これまでのシンプルデザインだったウデスパーが突起だらけのゴテゴテデザインになってしまった。
 兄弟で争うのを、間に入ってあたふたしてるジシャクデスパーの姿は中間管理職の悲哀を感じさせられる所あり。私もそうだからこの哀しみはよく分かるぞ。
<五郎と面識のないヨウコが割と簡単に五郎を見つけ出してる。そんだけ有名なのかな?そう言えば別段変身を隠してないし、荒井もインターポールだから、問題ないのか?
 磁石がくっつくイナズマンの体。どういう素材なんだろう?必殺のイナズマンフラッシュを放つ時もくっついたままだった。>
第36話 美しいサイボーグ!暁に分身す!!

  監督:塚田正煕
  脚本:島田真之
      脩沢 修
 イナズマンを追いつめる合体ウデスパーだったが、動力回路に異常を生じ、回収されて元のウデスパーαとウデスパーβに分離される。一方デスパー軍団に追われる大橋あけみという女性を助ける五郎と荒井だったが…
 敵は
サイレンサーデスパー。右腕が銃になっている女性型のサイボーグで大橋あけみという女性の姿で五郎と荒井に近づき、ガイゼル総統を倒して欲しいと願う。円盤を地上から操作し、分身することも出来る。
 罠にはめられたイナズマンが描かれる話で、弱いものを守らねばならないというヒーローの役割を逆手に取った話。罠であろうと無かろうと、つい信じてしまうのがヒーローの弱味。これまで散々やってきたフォーマット的な物語だろう。ただ、一旦正体がばれた時点でガイゼルを倒して。と願うのは珍しいかな?
 前回合体ウデスパーが誕生したのだが、不完全だったという事で、一旦は又ウデスパー兄弟に戻されてしまった。最強の敵の顔見せ程度だったのかな?兄弟は最後にちょっとだけ出てくるだけだが。
<サイレンサーデスパーとの最初の戦いで執拗に右腕を攻撃したイナズマンは、その傷であけみがデスパーロボと見破る。ロボットなのに怪我をするのはどういう事?
 五郎と騙して地雷原に誘い込むあけみだが、次の瞬間ちゃんと着替えて登場してた。これもサイボーグの特徴か?そう言えば五郎もいつの間にか着替えてるな。
 サナギマンとなり地雷原に突っ込むと次々と爆発を起こすのだが、明らかに離れた場所で爆発してる…と言っても危険な事に変わりがないけど。
 サイレンサーデスパーは分身出来るという設定だが、着ぐるみが一体分しか作られてないらしく、二体同時に画面に登場するシーンはなし。何のための機能だったんだろう?>
第37話 幻影都市デスパー・シティ

  監督:塚田正煕
  脚本:上原正三
 村野ユキという女性からの連絡を受けた五郎と荒井は彼女の手引きでデスパーシティに潜入する。実は荒井自身がそこで改造手術を受けていたのだ。荒井はそこで生き別れとなった妻子の姿を見かけるのだが…
 敵は
ボイラーデスパー。デスパーシティに潜入した五郎と荒井を殺すためにウデスパー兄弟によって派遣された。そしてガイゼルの幹部サデスパーが現れる。
 後半部分の一つの区切り。デスパーシティの存在が明らかになる。本作は同時に荒井の戦いでもあり。これまでのデスパー軍団との戦いで体はボロボロになっており、後24時間しか生きられない。その中で必死に家族を助けようとする姿が描かれている。ここでは死なないのだが、それはユキの命をもらったからだった。
 デスパーシティ内の攻防の中、裏切り者となった弟を殺すユキや、そのユキ自身が自分の回路を荒井に手渡してウデスパー兄弟を巻き込んでの自爆など、とにかく重い話に仕上げられている。これが後半部分の特徴でもあるが。
 久々にサナギマンの弱さを堪能出来る話でもあるが、何せ話が重いため、爽快感は薄い。
 折角入り込んだデスパーシティからもはじき出され、これからしばらくは又いつもの調子に戻っていくことになる。
<町に普通に現れるサデスパー。それを見て「新しい幹部か?」と見抜く五郎。まあ、確かにネーミングだけ見るとその通りだが。短絡的すぎじゃない?
 今回ほとんどボイラーデスパーは活躍出来なかった。いっそいなくても物語は成立したと思う。>
VOL.4
<A> <楽>
第38話 白い闇!!鬼女がうたう子守唄

  監督:前川洋之
  脚本:上原正三
 鬼ヶ原に子守唄が聴こえ、鬼女が現れるという噂を聞いた五郎は調査に向かう。実はこれはマサカリデスパーによる作戦で、新しいデスパー軍団を作るための子供さらい作戦だった。マサカリデスパーの繰り出す幻影に悩まされるイナズマンだが…
 敵は
マサカリデスパー。鬼ヶ原の鬼女伝説を利用し、子供をさらっては新人類を作ろうとする。イナズマンに正体を知られたことで拷問を受けたりもするが、幻影を使うことでイナズマンを相当に苦しめる。野心家でもあり、自らが幹部になるため合体ウデスパーの完成を遅らせようともしたが、それが原因で幻影装置の使用を止められてしまって敗北する。
 話は元に戻ったが、怪奇色がとても強まっているのが特徴。「バロム1」後半の怪奇シリーズと共通するものがあるが、同時にサデスパーの登場により、ウデスパー兄弟は強制的に合体ウデスパーにされようとしている事も示されている。デスパー軍団の実力主義をよく示した話でもある。
<鬼ヶ原団地に現れた荒井は普通にライフルを持ってる。人通りも多い所なので、通報されないんだろうか?
 そしてそのライフルを墓地でぶっ放す荒井。墓石に着弾してるんだが、良いのかねえ?
 鬼女の正体をサデスパーの念力と喝破するイナズマン。前回ほんのちょっと見ただけでその能力まで知るとはたいしたものだ。
 偶然マサカリデスパーのアジトに入り込んだ荒井は何人かの戦闘員を倒すのだが、その直後他の戦闘員が平然と歩いてる。少しは異変を感じろよ。
 ニューブラッド計画とは子ども達を新人類にすること。あれ?ガイゼル総統は新人類を滅ぼそうとしてたんじゃなかったのか?合体を嫌がるαに対し、諦めきってるβの姿が印象的。
 赤ん坊を連れて走り回るイナズマン。頭がぐらぐら揺れてるんだけど、大丈夫?>
第39話 大空中戦!!合体ウデスパー戦略部隊

  監督:前川洋之
  脚本:上原正三
 コウイチという少年からの無線電波をキャッチした荒井。弟のコウジが破傷風となり、血清を運んでくれるよう頼まれるのだった。早速血清を持って少年の待つ上原村へと向かう五郎だが、その無線はデスパー軍団にも傍受されていた。
 敵は
合体ウデスパー。36話の時とは異なり、今度は完全版となっており、理性も持っているようだ。右手に鈎爪と左手のワイヤーロープで攻撃する。
 Fになってから長くイナズマンを苦しめてきたウデスパーが完全に倒される話。これは子供の頃のちょっとしたトラウマでもある。いくら目が弱点だからと言って、ヒーローが目つぶしなどやるべきじゃないだろう。それにヒーローが間に合わずに子供を死なしてしまう描写もあり。これも怖かった。
 この話ではハムが重要なアイテムとなる。インターネットが普及するまではこれが結構流行っていて、子供の頃は絶対無線免許取るぞ。と心に誓っていたものだ…結局取ることはなかったけど。
<イナズマンと戦うためとは言え、合体ウデスパーがやっていることは随分手が込んでる。あるいは最初からミサイル基地があって、それを悟られぬように。ということなんだろうか?
 血清を運ぶため、イナズマンと荒井は二手に分かれて上原村へと向かう。血清ってそんなにほいほい手に入るものだろうか?あるいは荒井が最初から用意していたのかな?
 血清を運ぶためデスパー軍団からバイクを奪って上原村へと向かう五郎。ノーヘルはまずいんじゃない?それにむしろライジンゴーで向かった方が良かったんじゃ?
 合体ウデスパーの目つぶしをする際、「きえーっ」とか叫んで気合いを入れるイナズマン。この奇声も妙に耳に残る。
 死の境から生還した子供が生き返った途端元気になってしまう描写もなんだな。>
第40話 大洪水作戦!! 監督:山田 稔
脚本:山崎 久
 かつてイナズマンに倒されたドリルデスパーはより強力なドリル破壊光線を発射するパワーマシンを付けられて復活した。その威力を見せるべく奥沢ダムを襲撃するドリルデスパー。だがダムの職員ともみ合う内、パワーマシンが落ちてしまい…
 敵は
ドリルデスパー。29話で倒されたが復活。パワーマシンを搭載し、あらゆるものを破壊するドリル破壊光線を発射出来るように再改造された。
 そろそろ予算的にきつくなったのか、復活怪人が登場。普通の人間に苦戦するなど、パワーアップとは思えない描写が今ひとつ(イナズマンからも「それでも強くなったと言えるのか!」と指摘されている)。物語も子供を使い、ダム破壊というフォーマットに沿ったものに仕上げられている。その分語ることが少ない話でもあるが。
 一応サデスパーがウデスパーのように力押しではなく催眠術を使って人を従わせることが示されてもいる。
<奥沢ダムの村に住む医者はかなりとぼけた人で、ユミとケンジのお父さんの輸血をする時「確かA型だったよな?」とか言って荒井の血を抜こうとした。医者ならちゃんと調べろよ。まあ、正体がサデスパーだった訳だが。
 緊急時だから仕方ないかも知れないけど、一般人の前でサナギマンに変身する五郎。あんまり隠そうって感じが無くなってしまったようだ。最後にケンジに対しては自分とイナズマンは違っている事を示してもいるのだが…>
第41話 謎の女その名はデスパー秘密捜査官 監督:山田 稔
脚本:平山公夫
 電子工学の権威である九条博士は息子のイチロウを人質に取られ、殺人兵器である超音波発生装置を作らされる。その頃インターポールから荒井の同僚であるケイが九条博士を捜しに日本へと潜入してきた。だが、彼女の動向はサデスパーの知る所となり…
 敵は
ノコギリデスパー。27話に続いて登場の再生怪人。別段パワーアップはされていない。
 タイトル通りインターポールの秘密捜査官ケイにまつわる話。かつて荒井のパートナーであったらしく、彼女の死に荒井は大きなショックを受けていた。
 そしてサデスパーによって催眠術にかけられるケイ。サデスパーはこういうキャラだから面白い。胸の装甲は催眠術を使う際、着脱出来るらしい。
 今回は荒井が主人公となるため、イナズマンはあくまで正義のヒーローとしてのみ登場。格好良く登場するため、サナギマンは登場せず。
<超音波発生装置を作ったのが九条博士であることを見抜いた五郎。「あの、半年前にアメリカで行方不明になったという電子工学の権威!」…なんと説明的な台詞だ。
 人質になって拷問を受けている九条博士の息子イチロウ。「助けてパパー。助けに来てくれ!」って、なんか親に対して命令口調なんだけど。可愛気の無い子供だ。
 サデスパーに捕まって催眠術をかけられるケイはなんとビキニ姿。サデスパーの趣味か?
 本気で荒井を殺しに来るケイを冗談と思ってあしらう荒井。信用しすぎるのも考え物だが、実力がありすぎるため、それが冗談としか思えないらしい。
 荒井を襲うノコギリデスパーの左手は電ノコになっている。デモンストレーションでコンクリート塀を破壊した際、電ノコは動かなくなってしまった。なんと安普請な…でも回転音はずーっと続いてるんだよな。
 ケイと共に戦った日々を回想する荒井。マシンガン撃ちまくってる荒井は捜査員と言うよりギャングとその情婦って感じ。
 超音波発生装置を悪用されないため、装置と一緒に死のうとする九条は一々説明してる。そんな事するくらいだったら、何も言わずに投げ捨てろよ。
 ロープウェイにしがみつく五郎の手を踏みつけ、落とそうとするノコギリデスパー。踏むんじゃなくてノコギリで斬りつければいいと思う。
 サデスパーによって催眠術をかけられたはずのケイはノコギリデスパーが倒れた途端正気に返る。なんで?>
第42話 青い瞳のインベーダー 監督:塚田正煕
脚本:山田哲久
    楢岡八郎
 五郎と荒井はクリスチーヌという女性が村人に襲われているのを見かけ保護する。彼女が言う所によれば、自分はイグアス星から来た宇宙人で、地球で行方不明になった婚約者ジェットを探しに来たのだという。とんでもない話に半信半疑でつきあう五郎と荒井だったが…
 敵は
ジェットデスパー。33話に続いて登場の再生怪人。クリスチーヌの恋人のジェットが自ら改造手術を受けた姿。広範では珍しくゼーバーイナズマンフラッシュではなくきりもみキックで倒された。
 宇宙人を名乗る少女にまつわる話で、完全にずれた言動をするクリスチーヌとの会話を楽しむための話。それが事実であることが前提になっている。宇宙人とは又大きく出たけど、別段他の物語と関連はないらしい。妙な話だ。
 今回は珍しくガイゼル総統が前線に出ている。いつもは地下に籠もりっぱなしなので、外に出ているだけでも変わってるのだが。ガイゼルが信用するのは「純粋なデスパーの血を受けた者」だけだという。新しい設定だね?
 いろんな意味で変わった話になっていたのは事実。
<ジェットの上半身の服は一枚でしかも極端に丈が短い。いわゆるヘソ出しルック。この時代はこういうのがあったのね。
 荒井とクリスチーヌの処刑を行う直前、ガイゼルはジェットデスパーを切り捨てる。それがなかったら二人は殺されていた訳だから、イナズマンは出遅れていたはず。で、本当に殺そうという時に出てくるのだから都合良い。
 最後に「私と一緒にイグアスに来てください」と願うクリスチーヌに力強く頷くイナズマン。ヒーローは嘘言っちゃいけないんだよ。>
第43話 レッドクイン暗殺のバラード 監督:塚田正煕
脚本:長石多可男
 イナズマンを倒すべくサデスパーに雇われた凄腕のスナイパー“レッドクイン”こと飛鳥夕子。だが、彼女の真の目的は、家族を殺したデスパー軍団に対する復讐であり、秘かにガイゼル総統の命を狙っていた。
 敵は
ハンマーデスパー。26話に続いての登場となるが、サデスパーからは全く信用されておらず、レッドクインの邪魔をしたという理由で処刑されてしまい、更に新しいハンマーデスパー2が誕生する。ちなみにハンマーデスパー2はデザインが全く違っている(2は二つのハンマーを耳のように両側に付けている)。
 哀しき女戦士が主役となった話。デスパー軍団の仲間になったように見せかけるため、恋人まで殺している。五郎が協力を申し出るが、それも全く聞き入れず、たった一人でガイゼル総統の命を狙う。それを知った五郎は「俺が的になる」とか言って命がけの特訓を申し出たりする。最早五郎は
 デスパー軍団がどのように作られているのかのも明らかにされる。人間同士に殺しあいをさせ、そこで生き残った人間を改造しているらしい。
 今回の舞台は新宿のど真ん中っぽい。東映特撮では時折この町は舞台になる事があるが、当時は大らかだったんだね。その人混みの中を一人歩く五郎の姿もなかなか良い。
 ところで今回初めて五郎が23歳だと分かった。ちょっと老けてるけど。
<夕子の両親を殺したのはハンマーデスパー(初代)だったようだが、なんたる偶然。
 サデスパーが奏でる死のメロディを聴くと苦しみ出す五郎。「キカイダー」みたいだな。折角の設定はここだけらしいけど。
 わざわざライフルを持ちながら、至近距離で五郎を狙う夕子。折角のライフルの強味が全く活かされていない。
 ハンマーデスパー2は自己紹介をする時「ツー」と言ってるが、五郎はちゃんと「トゥー」と発音していた。>
第44話 イナズマンデスパー軍団に入隊す!! 監督:前川洋之
脚本:上原正三
 ミキサーデスパーと戦うイナズマンだが、途中乱入したサデスパーとの連携により体に変調を来してしまう。その後町に現れたミキサーデスパーの言葉に従ってしまうイナズマン。子ども達の非難の声を聴き、悩み苦しむ五郎は、自らの体を牢に縛り付けるのだった。
 敵は
ミキサーデスパー。掌にミクロニードルを仕込んでおり、これをイナズマンの目に埋め込んで、更に中性子銃を使う事でイナズマンを意のままに操る。
 罠によってデスパー軍団に操られるイナズマンが描かれる話。ヒーローが敵に嘉するパターンは何通りかあるが、このように本当に操られてしまうパターンは珍しい。これまでどれだけ人間のために尽くしたとしても、一つの裏切りであっさり掌を返す一般人の薄情ぶりの対比も良いが、とても重い話に仕上がっている。子ども達がイナズマンを罵倒するシーンはなかなか凄い描写だ。
<ミキサーデスパーの操りは砂鉄を自作で移動させる事で表現しているのだが、それを目玉の絵でやるので、不気味な事この上ない。
 ミキサーデスパーはイナズマンに一般人を処刑させようとするが、町中じゃなくて何故かいつもの採石場。これじゃ意味も半減だね。
 中性子はあらゆる物質を通過すると言うのが前提だが、イナズマンのマフラーを通過させる事が出来ない。その理由は明らかにされてない。
 自分のマフラーを使って目隠しするイナズマンだが、首にはちゃんとマフラー巻いてるよ。>
第45話 蝶とギロチン花地獄作戦 監督:前川洋之
脚本:さとうかずゆき
    楢岡八郎
 荒井の別荘でしばしの休息を取る五郎は砂浜に流れ着いた若い女性を助ける。だがその後ギロチンデスパーの襲撃を受けた際、その女性は五郎に毒をふりかけるのだった…
 敵は
ギロチンデスパー。体中に返り血を浴び、骸骨まで埋め込まれた、かなり特異なデザインが特徴。イナズマン暗殺のため五郎の幼馴染みテレサを使っての二段作戦を敢行する。
 敵が敵だけに今回は妙に首と胴体が離れている描写が多い。絵ではあるがギロチン風景と「ギャーッ」という叫び声が印象深い。更にヘロインの原材料となるケシの花まで出てくるし、血まみれの死体がゴロゴロ。サナギマンがまっ赤な血を流すシーンまである。子供向きにしてはきつい描写が目白押し。脚本初参加のさとうかずゆきだから、気負いがあるのかな?
 今回はサナギマンの状態で戦うシーンが結構多く、久々にサナギマンの活躍が見られる。
 ラスト、デスパー軍団の少年達が登場。最後の最後まで重さを感じさせる話だった。
<冒頭荒井の首が取れた?という描写があって、それがマネキンだと分かるのだが、そのマネキンは女性のもの。
 珍しく五郎は全編Tシャツ姿。プリントされているのは「ふしぎの国のアリス」をあしらったもの。目立ちすぎる。
 死んだテレサを抱きかかえる五郎の元にやってくる少年達。先ほどまでこの海岸では死体がゴロゴロしてた訳だろ?それはどうしたんだろう?>
第46話 死者部隊ルート047 監督:山田 稔
脚本:上原正三
 霊柩車に乗った怪人が現れたという情報を得た五郎と荒井はその霊柩車を追うが、そこにあったのは全滅したはずのファントム軍団の制服を着た死体だった。その死体が突如動き出す…
 敵は
スプレーデスパー。毒ガスを含め、様々なガスを左手から出す怪人。サイボーグ手術を施した人間を起動させたり操ったり。スプレーを取り去ると刃物になっている。
 デスパー軍団の狙いはサイボーグ部隊を世界中に派遣し、世界中を混乱させるというもの。世界征服のために着々と用意をしている事が分かる。行方不明となった人間の何%かはこうやって改造手術を受けているかも知れない?という所で物語は終了。設定は面白いが物語が地味で今ひとつ盛り上がりに欠けるのが難点か。
<小太りで黒縁眼鏡をかけた人間が無表情に軍服着てると、北の将軍様のようになってしまう。
 子供がいながら、罠を承知で倉山を解放する五郎。子供の危険は無視か?
 サナギマンに対し「化け物」と叫ぶ倉山。今更ながら、どっちが?
 ファントム軍団の服はもう使わないので、いくらボロボロにしても良いのだろう。かなりボロボロにされてるのも見かける。>
第47話 邪魔者は殺せ ガイゼルの至上命令 監督:山田 稔
脚本:塚田正煕
 デスパーシティーの在処を捜査しているインターポールの秘密捜査官が次々と殺されていった。事件の謎を追う荒井と五郎の前に暗殺者ブラックデスパーが現れる。
 敵は
ブラックデスパー。スナイパーで常に拳銃を携行している。これまでのデスパー軍団とは明らかにデザインが異なり、人間に近いスマートな体型が特徴。白鳥ジュンの兄コルト・カシルという人間体にもなる。
 白鳥ジュンという女性が中心となった話。デスパー軍団のブラックデスパーの妹でありながらインターポール捜査官という複雑な立場のキャラで、一体どちら側についているのか最後まで分からず、かなり複雑な物語になってる。名前だけでも白鳥ジュンの他にマリア=エリザベートだったりハンター02だったり…訳分からない。ちなみに監督の塚田正煕が今回は脚本で参加。
 一方、今回イナズマンはギリギリまで変転せず。兄妹の物語を描こうとしているのだろう。
 ただ、最終回一話前でこの物語はちょっと変でもあるな。最終回の伏線も多少はあるのはあるのだが。
<インターポール捜査官が殺された場合真っ先に荒井に連絡が入るらしい。警察よりも先に死体に触れる権限まであるの?
 どう見ても日本人にしか見えない兄妹が英語だかスペイン語高の名前を名乗らせてもおかしいだけ。
 これに限ってではないが、跳び蹴りを正面から食った敵は何故飛び込みのようにダイブしてふっとぶのだろう?背中から飛んでいくのが普通じゃないのか?>
第48話 さらばイナズマン ガイゼル最期の日 監督:塚田正煕
脚本:上原正三
 白鳥ジュンの残したデータにより、デスパーシティの入り口を特定した五郎と荒井はデスパーシティへと潜入する。そこで出会ったのはガイゼルの娘カレンだった。一方ガイゼル総統は人工太陽を爆破してデスパーシティを破壊。波及効果で日本全土を海の底に沈めるという最終作戦を実行に移そうとしていた…
 敵はサデスパーとガイゼル総統。ガイゼルとの直接対決は初めてだが、普通の人間のような姿をしていながら大変に強い。潰れているはずの右目が弱点。
 最終回。ガイゼル総統の娘カレンが登場する。近づくだけで射殺されてしまうというカレンとの交流を通し、デスパーシティの非人道的な仕打ちが描かれる事になる。だが、冷酷なガイゼル総統は裏切り者となったカレンをも許さずに殺してしまう。かなり哀しい話が展開している。最後は割とハッピーエンドであるのが救いだが、あっさりしすぎかな?
 サデスパーはやはりウデスパーほど存在感がなかった。イナズマンにより割とあっさりと倒されてしまった。あんまり前線に出なかったからなあ。
 五郎と荒井の腕時計は近づけると爆発が起こる。インターポールの装備かな?

 これでも結構暗めのラストであるが、準備稿では荒井とその家族は全員殺されてしまい、更にガイゼルを倒した五郎は変身出来なくなってしまって町を彷徨い続ける。というラストシーンも用意されていたのだとか。

<近づいただけで殺されるというカレンに向かって鎌を投げつけ怪我をさせた市民がいたが、そいつに対するおとがめはなし。なんで?
 久々に出てきたデスパーシティだが、今ひとつ設定が活かされなかった。
 ウデスパーの時と言い、敵の目を攻撃するのがイナズマンの特徴か?デスパーの目にサーベル突っ込むような描写もあり。
 そう言えばデスパーシティの住民の中に何故か水木一郎の姿が…>