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アイアンキング

アイアンキング事典
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1972'10'8〜1973'4'8  

 「シルバー仮面」に続いて宣弘社が制作した特撮ヒーロー番組。佐々木守が全話の脚本を書いており、非常に特徴的な話が多い。そもそもタイトルにあるアイアンキングは主人公が変身するのではないというところにもそれは表れている。
 アイアンキングは「最弱の巨大ヒーロー」と言われる。活動限界は1分で、強さもそれほどでなく、怪獣と戦っても互角程度の強さ。登場する巨大な敵は主に静弦太郎が操縦者を倒すなどして活動停止にすることが大半で時々アイアンキングを尻目に弦太郎が倒したりする。
 埼玉では最終話が放映されなかったそうで、アイアンキングが人類の敵のまま終わるという衝撃の最終回となり、トラウマを植え付けたと言われている。

主な登場人物
静弦太郎 (役)石橋正次。今も活躍する俳優。当時のトップスターの一人で、特撮の主人公となったことで驚かれたらしい。
 国家警備機構の一員で、日本の平和を脅かす組織を壊滅させる任務を持って日本各地を行脚する。普段は陽気で、博愛精神溢れる人間なのだが、いざ任務となるとプロフェッショナルに徹し、非情な面も見せる。道ばたで死にかけた人間を放っておいて敵に向かっていったなんてこいつくらいだろう。
 剣や鞭に変化する武器アイアンベルトを持ち、立ちふさがる敵をなぎ倒していくが、その強さは凄まじく、なんと巨大ヒーローであるアイアンキングが倒せなかった巨大な敵をアイアンベルト片手に倒してしまうほど。早川健並のとんでもなさだった。
 ただ、いつも傍らにいる霧島五郎がアイアンキングであることを最後まで気付かないなど、洞察力は今ひとつらしい。
霧島五郎
アイアンキング
(役)浜田光夫。日活純愛もので女優の相手役が多い二枚目スター。丁度イメージチェンジの時期に当たり、芸域を広めるためもあって本作にコミカルな役割で出演。
 全国行脚を始めた静弦太郎の前に現れた陽気な男。実は国家警備機構からアイアンキングに変身する力を授けられ、弦太郎をサポートするために派遣された男。しかし、実際サポートされてるのは五郎の方が多かったような…
弦太郎とはなかなかの凸凹コンビぶりを見せ、いつも大変仲が良いのだが、敵を前にして、非情になる弦太郎と対立することもあり。尚、弦太郎は最終話まで彼がアイアンキングだとは気付かないままだった。
藤森典子 (役)右京千晶。
 国家警備機構の新入隊員で静弦太郎と霧島五郎のサポートのために派遣されるが、実質的には弦太郎の暴走を抑えるためのお目付役で、弦太郎とは喧嘩友だち。
津島博士 (役)伊豆肇。様々な映画やテレビドラマに出演。特撮では博士役が多い。
 国家警備機構の博士。天涯孤独の静弦太郎を引き取り育て、アイアンキングを開発したという物語のキーパーソンでありつつ、登場したのは19話と26話のみでほんの一瞬だった。
不知火十人衆 (役)堀田真三(不知火太郎)。悪役専門だが東映特撮での常連。オーバーアクションと個性的な笑い声が特徴。
 不知火一族の精鋭。一般人として隠れ住んでいたが、国家警備機構にその存在を知られてしまったため、頭目の不知火太郎の下に参じる。一人が一体の巨大ロボットを操っている。
独立幻夜党 (役)村松克己(幻の月光)。多くの映画やドラマのバイプレイヤーを務めるベテラン。
 別名「幻兵団」。革命の同志が集まって結成したテロ組織で、やはり大和政府転覆を狙って日々活動している。ロボットを「鋼鉄の同志」と呼んでることから、相当に革命に酔いしれていたのではないかと思われる。世情がよく分かる組織だ。
タイタニアン (声)依田英助。
 地球侵略に来た虫型異星人。巨大化して虫型のモンスターとなる。催眠術をかけた人間を分身として操る能力もある。地球侵略を目的としてるのに、基地は東京のマンションだったりするところが妙にもの悲しい。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 朝風の密使

  監督:田村正蔵
  脚本:佐々木守
 これまで一般人として市民に隠れていた不知火十人衆が集結した。2千年の雌伏の時を経て、いよいよ日本征服に乗り出そうとする。一方、国際救助機構も又、その名誉をかけ、不知火族を探るため、静弦太郎を派遣していた。

 敵はバキュミラー。不知火十人衆の繰り出した最初のロボットで、左手が極端に大きく、そこからあらゆるものを吸い込む。不知火族の紋章を胸に受けて爆発。
 第一話となる本話。主人公の静玄之助をとにかく格好良く見せようとしたり、最初から不知火族のロボット10体が勢ぞろいしてるあたり、制作側の思いの深さを感じさせる。
 特撮の演出も、ダムをぶっ壊して水害を派手に演出するなど、相当に力が入っている。
 玄之助の存在自体が無国籍シリーズの主人公っぽく仕上げられており、別段アイアンキングがいなくてもちゃんと個性を出しているところがなかなか心憎い演出。最初から弦太郎と五郎が凸凹コンビとしてつかず離れずの関係を作っているのもおもしろい。
 そして、最初から全然良いところない弱いアイアンキング。この対比がなんとも。
 不知火族の頭目は堀田真三。この人のオーバーアクションは若いときから全然変わらないんだな。
<弦太郎の挑発にあい、あっと言う間に正体を現す不知火十人衆。よくこんなのでこれまで潜伏できていたものだ。
 弦太郎はお婆さんを「婆さん」呼ばわりしたり、木に挟まった女性に「黙れよ」とか「うるさい」とか、えらい勝手な発言してるけど、これも時代だろうか?
 バキュムラーの左手は場面によって大きくなったり小さくなったり。
 キャンプ中に不知火族に襲われた弦太郎は、それを撃退した途端、又眠ってしまう。危機感ないなあ。
 弦太郎が不知火族の紋章を投げつけたらバキュムラーは爆発してしまった。どういう原理なんだろう?>
DVD1
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Blu-ray1
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第2話 廃墟の白鳥

  監督:田村正蔵
  脚本:佐々木守
 草原でのんびり過ごす弦太郎ら。そんな時街に向かって落ちていく光を見た五郎はすぐさま街へと向かう。案の定そこには不知火一族のジャイロゲスが暴れており、すぐにアイアンキングとなって立ち向かう。そんな時、この町の市長と出会った弦太郎は、すぐに避難するように勧告するのだが…

 敵はジャイロゲス。青鬼のような姿をしたロボットで、ブーメランを使う他、左手を分離飛行させて攻撃する。アイアンキングとは二度戦うが、二度とも完勝。弦太郎にコントロールを奪われて自爆してしまう。
 相変わらず最弱ヒーローまっしぐらのアイアンキング。出てきても何も良いところ無く、あっけなく一方的に攻撃されて終わり。二回出て二回ともそれって凄く情けない。
 アイアンキングの戦いはともかく、静弦太郎の戦いはどこかコミカルながら、質の高いアクションをこなしているので、見所は多い。「お前とオレを足して2で割りゃちょうど良いのさ」って五郎の台詞があったが、まさしくその通りだ。
 弦太郎のテンガロンハットは鍔にナイフが仕込んであるらしく、ブーメランのように用いることが出来ることが分かった。
 ゆき子は弦太郎に好意を持っているように見えるのだが、弦太郎曰く「五郎に惚れてる」のだとか。これが正しいかどうかは後の話。
 最後に「十番目の仲間」の事が
<ジャイロゲスの腕は見た目普通の(?)大きさなのだが、空を飛んでる時はアイアンキングが両手で抱え込まねばならぬほどに巨大になってる。空飛んでる時は膨らんでるの?
 水責めにあった際、泳げないというゆき子に当て身を食らわせて気絶させるシーンがある。これが効率的ってのは分かるけど、ヒーローっぽさがないな。
 弦太郎が白いギター爪弾いてるシーンあるが、これは後の
「快傑ズバット」に受け継がれることになる。実際直系の先祖になるっぽいな。どんな危機に陥っても帽子のことを気にかけるのは、後の「レイダース」だろうか?
 最後に自爆するジャイロゲス。コントロール装置には自爆スイッチがあるのか、あるいは敵に奪われたら爆発するように出来てるのか?>
第3話 戦士の微笑

  監督:田村正蔵
  脚本:佐々木守
 不知火一族を捜す弦太郎一行はヒッチハイクをしゃれ込むのだが、五郎が見つけた車は耕耘機だった。それでものんびりと旅を続ける一行だが、突然彼らの前に現れた自衛隊の面々によって捕まえられてしまうのだった。

 敵はダブルサタン。とりあえず怪力以外の攻撃方法はないが、左指についている人形を分身として使うことが出来、結果として6体が登場する。コントロール装置が破壊されたため、不知火順三郎が内部で直接操縦していたが、そこに弦太郎に飛び込まれて破壊された。
 不知火一族を倒すという使命はあるものの、とりあえず移動していれば勝手に向こうから敵がやってくる。しばらくこのパターンで話は続いていくらしい。日活の無国籍シリーズっぽいね。実際弦太郎の存在そのものが無国籍ヒーローっぽく仕上がってるし。
 最初の農家の奥さんとの会話は妙に噛み合わない。「あんちゃんたちどこに行きなさんのかね?」「どこ行くかわかんないんですよ」「ええ?そんな。 どこだかわかんないところへ何しに行きなさるのかね?」「戦争に行くんですよ。」深読みすれば、一見平和に見える日本と、その裏にある戦争を見据えた皮肉とも取れる。その後自衛隊に扮装した不知火一族が銃を突きつけたりするシーンもあるので、かなり皮肉っぽさがきつい。この一連のシークェンスで本作の脚本が佐々木守ってのが分かる。
 相変わらず弱いアイアンキング。今回はダブルサタン相手に優位に戦ってたのに、分身が出た途端になぶり者にされてしまい、二度目の戦いもダブルサタンを破壊したのは弦太郎の方だった。
<ダブルサタンは手のひら大の石を弦太郎に投げつけるのだが、落下したものは人の頭程度の大きさ。飛んでる間に随分縮んだな。
 弦太郎を捕まえた順三郎は早速拷問にかけるのだが、設備が割と揃ってる割に、実際は単なる山小屋。よく色々持ってきたもんだな。>
第4話 弦太郎孤独旅

  監督:外山 巌
  脚本:佐々木守
 休息中の弦太郎達を突如襲う不知火一族のロボットデビルタイガー。アイアンキングと弦太郎のアイアンベルトによって辛うじて撃退はしたが、その後ゆき子は不知火一族によって捕らえられてしまう。

 敵はデビルタイガー。古代の鎧武者のような姿をしたロボット。口から吐く炎で攻撃する。コントロールしていた不知火順四郎が倒されることで破壊される。
 仲間を助けるか、ロボットを倒すのか。ある意味ヒーローにとってある意味究極の選択を強いられる話だが、仲間を優先するのが普通のヒーロー。そこで戦いの方を選択するのが静弦太郎という男。その設定にはなかなか痺れるが、やっぱり最後の最後で仲間の方を取ってしまう。
 1話目から花を添えていたゆき子の正体がここで明らかにされる。その正体は前から言われていた不知火族十番目の影だった。意外というか、予測が付くというか、判断には迷うが、ヒロインの途中退場が明らかになったのは、多少寂しい。
 怪獣と戦う巨大ヒーロー。たとえ怪獣を倒してもどうしても被害が出てしまう。当然な話だが、あまりこのことは言及されることがない。その事をはっきり示した話になった。弦太郎が仲間よりも戦いを優先しようとしたのは、このことをよく分かっていたからだろう。最後に「女一人を助けたために取り返しの付かない損害を与えてしまった」と言っていたのはそれを良く表している。まあ、この辺が佐々木脚本の醍醐味だろう。まあ、五郎も捕らわれてたので、助けなければアイアンキングのサポートが受けられなかった訳だが。
<弦太郎達はテント暮らしらしいが、テントは一つしかない。ゆき子も一緒に寝てるのかな?
 アイアンキングに対してはあれだけ強いロボットがアイアンベルトの一打ちにたじろいでた。アイアンキングの出る幕ないよな。
 寺の中で大立ち回りを演じる弦太郎達。良いのかな?
 デビルタイガーを倒しに言った際弦太郎が乗っていたモーターボートは途中で放棄されたが、その後普通に乗っていた。盗んだのか?
 水切れを起こし、崩れ落ちたアイアンキングはそのままコンビナートを巻き込んで大爆発。大変なヒーローだ。
 これまでコントロール装置を破壊すると不知火族のロボットも壊れてたが、今回は壊れても、中で操縦している。弱点を克服したのかな?>
第5話 秋風の中の決斗

  監督:外山 巌
  脚本:佐々木守
 ある寒村に謎の隕石が落下した。現地に赴いた弦太郎達だったが、そこで彼らが見たのは明らかな人工物だった。突如動き出したそれは、実は不知火族のロボットモンスターゾロだったのだ…
 敵はモンスターゾロ。巨大隕石と化してある村に落下する。頭や手足を収納することでスパイク月野巨大な鉄球に変化する。高熱を発してアイアンキングを苦しめるが、転がるとなかなか立ち上がれないという弱点も持つ。
 前回不知火族十番目の影であることが分かったゆき子だが、それで疑いを持つ弦太郎と、あくまでゆき子の肩を持つ五郎の対比がよく現れた話。話に盛り上がりが欠けるのが難点ではあるが、ロボットとアイアンキングの戦いが充分観られるので、それで良いとしよう。
 観光のネタが出来た途端、土産屋が出たり、インチキ宗教が出たりと、日本の商魂がよく見えてくる。むしろこっちの方が主題だったのかな?
 珍しくアイアンキングが活躍した話ではあるが、やっぱりモンスターゾロに止めを刺したのは弦太郎の方だった。そう言えばこれまで建物以外は一般市民に危害を加えるロボットは出てこなかったけど、ここでは実際に襲ってるシーンもある。
 谷川で体を洗う弦太郎の姿とか、温泉に入ってる五郎の姿あり。サービスショットかな?(誰に対する?)そう言えばゆき子の髪が普通の長髪に戻ったな。これまでのネイティブヘアと較べると、妙に妖艶になってしまった。
<温泉でくつろぐ五郎。帽子はかぶったままなんだけど。それにしても緊張感がない人だな。
 「俺にかまわず戦え」は上等文句だが、「俺はそんなに格好良くない」と続ける五郎。70年代(あるいは佐々木守)の良さってのが現れてる。
 いくら敵のスパイと思ったからと言って、女の頬を全力で張る主人公…凄い描写だな。
 「女に抱かれるのはお袋以来初めてだ」…なかなか格好良い台詞だが、要は自分が童貞であることをカミングアウトしたのでは?>
第6話 戦士の子守唄

  監督:田村正蔵
      鈴木 清
  脚本:佐々木守
 弦太郎と五郎の居場所を伝書鳩で不知火一族に知らせるゆき子。それを受け取った順六郎と順七郎は二人のロボットを用いて挟撃作戦を執ることにした。手始めに順六郎は五郎を生け捕りにし、順七郎は遊園地に弦太郎を誘い込む…
 敵はブラックナイト。二丁拳銃を持つロボット。そしてブロンズデーモン。体中に爆弾をくっつけたロボットだが、その爆弾を逆手に取られてブラックナイト共に爆発させられた。
 不知火一族もそろそろ後が無くなってきたか、今回は二体のロボットが登場。そして不知火族十番目の影の正体もついに明らかにされるのだが、前回ゆき子が弦太郎に言った「好き」という言葉は本物で、弦太郎のために命を失う。哀しい話だ。
 今回のロケ場所は富士急ハイランドらしい。遊園地の乗り物を縫っての活劇シーンが展開するが、とても危険だ。今じゃこんな事出来なくなった。
 今回は敵が二体も出てくるのだから、一体くらいはアイアンキングに倒させてくれても良かったのだが、結局どっちも弦太郎によって倒されてしまった。本当に情けない巨大ヒーローだ。
<人質になった五郎との人質交換に女性を差し出す主人公。ヒーローってのは、騙されていても女を守ろうってのが普通じゃないのか?いや、この冷酷さこそ弦太郎の格好良さ。
 表現上仕方ないんだけど、ブロンズデーモンの装甲がまるでゴムのようにグニャグニャ曲がるのはなんとも。
 死んだゆき子の墓碑銘は「不知火族の女」だった。嫌味な墓碑だな。>
DVD2
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Blu-ray2
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第7話 大空を征く者

  監督:田村正蔵
  脚本:佐々木守
 空を飛ぶモンスターバードに接触して爆発したジェット機。その事故に不審を覚えた弦太郎と五郎は病院へと向かうが、そこには機長の娘が、死んだ父の無念を晴らすと言っていた。彼女のセスナ機に強引に乗り込んだ弦太郎だが、そのセスナを追ってモンスターバードが現れる…
 敵はモンスターバード。背中に巨大な翼(デルタ翼)を背負って空を飛べる。光線技の他、幻術を使うことも出来る。飛行中に弦太郎によって心臓部を破壊され、墜落して操縦者の順八郎もろとも爆発。
 アイアンキングの初の空中戦が描かれる。一応アイアンキングも空を飛べることが分かったが、やっぱり弱い。更に水中戦まで。サービスシーン満点。だけど又しても敵ロボットを倒したのは弦太郎の方になってしまった。
 目の前に死にかけている老人がいるのに、ロボットを倒すことを優先してしまう弦太郎。ヒーローがこんな事をして良いのか!つか、本当にその老人死んでしまったし。まさに非情なヒーローで、これが弦太郎のキャラだ。フェミニストの五郎が女の頬を張るシーンもあるが、こちらの場合は一人の女性を殺されたくないから。見事に二人でキャラ立ちしてる。
 モンスターバードの攻撃は光線技だが、ビームの合成描写はなく、目とか腕が光ると瞬時に対象物が爆発する。実はこっちの方が実際に近いんだよね。
 最後に加寿子により「あなたはどうして戦うの?」という疑問が投げかけられる。ヒーローものとして、これは大変重要な問いなのだが、弦太郎はさらっと「好きなんだ」で済ましてしまった。
<「女の操縦する飛行機は危なくてしょうがない」とか言ってる弦太郎。マッチョすぎる発言で、当時もかなり言われたんじゃ無かろうか?いや、そもそもこの話自体がかなりまずい気はするが。>
第8話 影の地帯

  監督:ゆあさのりあき
      鈴木 清
  脚本:佐々木守
 不知火一族の本拠地に近づく弦太郎と五郎。しかし、弦太郎を襲う一方不知火一族は9番目のロボットシルバーライダーを東京へと派遣していた。
 敵はシルバーライダー。両脚が巨大な車輪になっているロボットで、予備の車輪を飛ばして攻撃することも出来る。
 これまで田舎で戦い続けていたが、ついに舞台は東京に。これだけのテクノロジーがあるんだったら、最初から9体で東京に行っていれば問題無かった…とは言わぬが花か。
 東京が大パニックになってるというのに、それでも不知火族の本拠地を叩こうとする弦太郎。非情な性格が良く表れている。それに対し、やっぱりみすみす人が死ぬのを黙って見てられないと、東京に向かう五郎。対照的な二人の姿が興味深い。
 そして不知火族の中にも内紛が。大和民族とも仲良く暮らしていければいいと言う主張を持つ少女と、その兄が人を殺す事を避けたいと願い、それが不協和音を奏でていく。そして正義が何であるか分からないまま、弦太郎をかばって妹は死に、その妹を助けようとした兄は仲間の銃弾に倒れる。明らかにこちらの方がドラマ性が高い。
 今回よし子役で登場したのは星光子。「ウルトラマンA」降板後の起用だったらしい。
<シルバーライダーのデザインはあたかも車椅子…これ描写的にやばいんじゃないか?
 東京の危機を前に、不知火族を叩きつぶせば全て終わると、あくまで目の前の不知火族に焦点を定める弦太郎。論理的には合ってるけど、相当無茶なこと言ってるよ。
 一方東京の人々が心配とアイアンキングに変身して東京に向かう五郎。一分で東京まで行けるものか?しかも結構長い間戦ってるし。
 そんな中、どこぞの小学校に入り込んで勝手にピアノを弾いてる弦太郎。ずいぶんとまた牧歌的な…というか、何を考えてるんだこいつ?
 東京まで行って、又不知火族の隠れ家まで戻ってくるシルバーライダー。車輪で移動してるみたいだけど、その間に何も妨害が来ないのか?まあこんなのが移動するだけでも町々は大パニックだろうけど。それに合わせて行ったり来たりする五郎もご苦労様だ。
 アイアンキングには水分が必要であることを弦太郎は知っているようだが、それが五郎に結びつかない辺り、弦太郎のボケっぷりも相当だ。>
第9話 弦太郎危機一発!

  監督:ゆあさのりあき
      鈴木 清
  脚本:佐々木守
 弦太郎と五郎は不知火族の本拠地がある鷲の巣山に向かう。仕掛けられた罠を次々と突破し、着々と本拠地に近づく二人に不知火太郎は最後のロボットゴールドファイヤーを起動させるのだった。
 敵はゴールドファイヤー。不知火族首領の不知火太郎が起動する不知火族最後のロボット。右手を発射するハンドミサイルで攻撃する。
 不知火続編も大詰め。不知火族首領の不知火太郎との決戦が描かれる。今回に関してはアイアンキングも活躍し、ゴールドファイヤーと互角に戦っている罠にはまって地中の奥深くに封じ込められてしまう。やっぱり不遇のヒーローだな。
 非情な弦太郎の描写はここでも映え、たまたまキャンプしていた女の子達を不知火族をおびき寄せる罠に使おうとしている。あるまじきヒーローの姿というか、これこそが弦太郎の味ってやつか。そんな弦太郎を苦々しく見ている五郎の姿も良い。
 今回のゲストは役名無しだが岡崎友紀が登場している。
<ゴールドファイヤーに対しアイアンベルトで攻撃する弦太郎。アイアンベルトの縮尺がおかしく、えらく太い鞭がゴールドファイヤーを襲ってる。
 ゴールドファイヤーのハンドミサイルは肘部分から火を出しながらゴールドファイヤーの手に戻っているが、どういう構造になってるんだろう?
 ハンドミサイルに苦戦するアイアンキングは一旦ハンドミサイルを受け止めるが、律儀にそれを投げ返してゴールドファイヤーの手に戻している。なんと親切なヒーローだ。
 一分しか戦えないはずのアイアンキングが今回は3分以上も戦ってる。
 鷲の巣山であんなどっかんどっかん爆発が起こり、更に巨大ロボットまで出ているのに、何も知らずにキャンプを張る女の子達。無理だろ。
 キャンプ地が襲われた際、「こんな女より大切なことがある」とかほざく弦太郎。恐ろしい台詞だ。>
第10話 死者へのくちづけ

  監督:福原 博
  脚本:佐々木守
 不知火太郎によって捕らえられてしまった弦太郎。絶体絶命の危機を救ったのは、地の底に閉じこめられたアイアンキングだった。不知火族の本拠地天狗岩へと向かう弦太郎と五郎。だがそこで知らぬ遺族の待ち伏せに遭い…
 敵はゴールドファイヤー
 不知火編の最終話。敵首領である不知火太郎と静弦太郎。そしてゴールドファイヤーとアイアンキングの決戦の模様が描かれる。
 それと同時にシリーズのここまで来て初めて弦太郎に好きな女性が出来た。弦太郎に弱味が出来てしまったのだが、この作品に関してはこのパターンは当然…で、やっぱり死んでしまった。この非情さが本作の持ち味だ。
 特撮では結構珍しいキスシーンあり。女の子に水を飲ませるためにやってるんだけど。それでなんかお互いに意識し合ったか、その後抱き合ってたりする。
 ゴールドファイヤーとアイアンキングは本当に最後の決戦なのだが、京子の死の後でBGMがもの悲しい。不思議な決戦シーンとなってる。
 そして不知火族の滅亡と共に現れる怪獣…まだまだ二人の戦いは終わらない。
 そして現れる独立幻夜党。明らかにこれは赤軍をモデルにしたもので、その目的も「現政権転覆」と言うもの。リアルと言えばリアルだが、今観ると笑えるな。
<すぐそばで地割れが起こっていると言うのに、京子はのんきに歌なんか歌いながら歩いてる。危機感ないなあ。
 地の底に閉じこめられたアイアンキングはそこで暴れて地面を開くのだが、一分しか変身出来ない割には随分長い間変身してるな。さらにその後、ゴールドファイヤーと普通に戦ってる。
 天狗岩に行った人間は誰も帰ってこないと言う京子だが、川辺はコンクリートで補強されてるよ。不知火族がやったんだろうか?
 京子の家は電気やガスもない田舎の一軒家だが、京子自体はこぎれいなジーンズ姿。妙にギャップがある。
 ゴールドファイヤーとアイアンキングとの決戦は、結果としてその上に乗っている不知火太郎と弦太郎の一騎打ちで終わった。結局ここまででアイアンキングは一体も敵ロボットを倒してなかったりする。>
第11話 東京は燃えている

  監督:外山 巌
  脚本:佐々木守
 独立幻夜党の次なる作戦は首都の無差別爆破。爆弾をしかけ、ロボット怪獣のザイラスキングを暴れさせた上でアッサム王国のカトリーヌ王女を誘拐しようとする。首尾よくカトリーヌを誘拐したが、弦太郎は事前にそのことを察知していた。
 敵はザイラユニコン。サイのような姿をしたロボット恐竜で、角から破壊光線を出し、内蔵する巨大なマシンガンで攻撃する。オープニングの字幕では「ザイラスキング」になっていた。
 敵が変わり、今度の敵はヤマト政府転覆を狙う革命集団まぼろし兵団。
 無差別テロを敢行する独立幻夜党に対する弦太郎とアイアンキングの戦いが展開するが、二人が助けようとしている王女様自身が相当のお転婆で、そのため相当に苦労している。まあ、それ以上に弦太郎が非常識な活躍してるので、どっちかというとコミカルな雰囲気に仕上がってる。
 オープニングショットは首都なのだが、実際に戦いになると荒野になってる。戦い自体は前と変わってない感じ。アイアンキングは重力を操り、ダイナユニコーンを空中に吊したりするのだが、それでも勝てないのが流石アイアンキング。
 王女様のわがままのため、村人が死んでしまった。そのことをはっきり言うのが本作の面白さだな。
<独立幻夜党が目指すのは革命。「革命なれり」とか大声で言っているのはやっぱり時代だな。
 誘拐されたカトリーヌ王女を救うため、手榴弾を投げつける弦太郎。そこには王女様本人もいるわけだが…
 ザイラスキングの攻撃にたじたじとなるアイアンキングに対し、「今行くぞ」とか元気のいい弦太郎。普通逆じゃないのか?
 王女様に逃げられると困るので、縄でふんじばって連れれていく弦太郎。到底ヒーローのする事には見えない。
 何度も殺されそうになりながらも弦太郎から逃げようとする王女。命よりもスリルの方が大切と見える。
 折角ロボット恐竜がいるんだから、王女様誘拐だけに使わず、首都の破壊に回せばいいと思うのだが、そうはしない独立幻夜党。使い方が間違ってるよな。>
DVD3
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Blu-ray3
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第12話 東京非常事態宣言

  監督:外山 巌
  脚本:佐々木守
 政府からの新たな任務としてまぼろし兵団から首都を守る命令を与えられた弦太郎と五郎。まぼろし兵団が狙うフラッシャー教授を守る任務に就く二人だが、
 敵はトンガザウルス。巨大竜型のロボット怪獣で、腹部から恐竜の子供のような無人戦車を繰り出す。
 これまで地方の山奥でのみ戦っていたが、ここからは都会が舞台。アイアンキングもいよいよ都会で戦う姿が見られる。
 新しい敵まぼろし兵団は中東風のターバンを巻いた男たち。明らかにこれは当時世間を騒がせていた日本赤軍をモティーフとしている。彼らは「革命」のため命を捨てる覚悟を持った男たち。当時で言うなら、彼らにこそシンパシーを持った人も多かろう。
 そしてその独立幻夜党が繰り出すのは、これまでのロボット然としたものではなく、恐竜をベースにしたロボット怪獣。
 何故弦太郎が戦うのか。ここで「戦うことが好きなだけ」と言われて反論できない弦太郎がいる。
 今回のアイアンキングは随分知恵が回り、トンガザウルスが繰り出す戦車を逆に利用して本体を攻撃させたり、動きののろいトンガザウルスの周りを高速移動して目を回させたりしてる。全く決定打にならないという問題があり、実際に倒したのはやっぱり弦太郎のアイアンベルトだったが。
<一応変名ではあるが、今回狙われてる外国人の名前がフラッシャーって、これも確実に時事ネタ。
 「女にうつつを抜かしている暇はない」ときっぱりと言っている弦太郎。前回の話はどうなんだ?それにこう言う奴に限って何故かもてる。
 明らかに命が狙われており、何度も危機一髪の危機に見舞われているフラッシャーは、何事もなかったように遊んでいる。どれだけ危機意識低いんだよ。
 まぼろしの卯月の本名は卯月と言うらしい。まんま本名かよ?
 独立幻夜党の面々はみんな日本人なので、ターバンを取って普通の服を着れば普通の青年。それはいいんだが、彼らにとってはそっちの方が変装。普通の服を脱ぎ捨てたらターバン巻いてるって無理あるだろ?>
第13話 地下要塞攻撃命令

  監督:外山 巌
  脚本:佐々木守
 独立幻野党のアジトを探す旅に出て行った弦太郎と五郎に付いていくと宣言した令子と、そんな令子を冷たく突き放つ弦太郎。だが独立幻野党の幹部まぼろしの卯月は令子の呼びかけに兵を引く。だがそんな時、首都では再びトンガザウルスが暴れ回っていた。
 敵はトンガザウルス。前回首を切られたが、今度は首を分離させ、更にチビ戦車も使い三面攻撃を可能としている。
 12話の続きとなり、まぼろしの卯月と弥生、そしてトンガザウルスが続投。そして卯月の恋人令子がそれに絡む。激しすぎる恋愛話だ。恋人の卯月と弦太郎の間で揺れ動く令子の心がこの話の一番の見所とも言えるだろう。
 そんな令子のことを憎からず思っているような弦太郎の姿もあるが、勿論これはポーズ。この人はあくまで敵を倒すために利用できるものは利用するという心しかない。この非情さが本作の味だ。ラストでちょっとだけ寂しそうにしている表情が何とも言えぬ余韻を残してくれるけど。
 一方、そんな弦太郎を完全に誤解し、なじるだけの五郎もいる。今回はいつもとは逆に五郎の方が任務を優先しようとしているのだが。
 そう言えば初めて五郎のレシーバーから声が聞こえてきた。東京が襲われているとの事だったが、
 今回初めてアイアンキングが敵をやっつけるシーンがあった。しかしやっつけたと言ってもトンガザウルスの小型戦車だが。
<独立幻野党の狙いは国際科学者会議の妨害。こっそりやるならともかく、ロボット怪獣が暴れているところで会議が開けるとは思えない。
 弦太郎が海底にアジトがあることが分かり、ダイビングスーツに着替え、アジトに爆弾を仕掛けた後地上に戻って着替えをして戻ってくるまでアイアンキングとトンガザウルスはずーっと戦っていた。これで一分なの?>
第14話 脳波ロボットの秘密

  監督:枝川 弘
  脚本:佐々木守
 五郎の提案でロボット工学の権威福永博士を訪ねることにした弦太郎。だがその家に着く前に東京にロボット怪獣が現れる。実は独立幻野党は博士の開発した脳波コントロール装置を奪おうとしていたのだ。
 敵はジュラスドン「帰ってきたウルトラマン」のタッコングに似たロボット怪獣で、全身に埋め込まれた金属板を飛ばして攻撃する他、炎を吐く。背中(?)からもう一つの顔を出し、そちらからは冷凍ガスを出す。
 悲しい親子の別れを描いた話。親が囚われ、しかもその場所も分かっているのに手出しが出来ないもどかしさを感じる娘と、二人の命をどちらも救うために必死にそれを止める弦太郎。実際親子の情を優先したら、博士の方が死んでしまった。ヒーローものだったら普通逆だよな。
 これまで基本たった二人で戦っていた弦太郎と五郎だが、ここで初めて“博士”と付く人が現れるのだが、たった一話で退場してしまう。
 一応オープニングは東京が舞台だが、メインの話はやっぱり荒野。
 弦太郎の過去がちょっとだけ語られるが、本人曰く、「親父やお袋の事は忘れた」と言っている。戦いに明け暮れる弦太郎にとって、肉親の情は邪魔でしかない。しかもそちらの方がこの作品では正しいのだから始末が悪い。
 ところで今回ジュラスドンを操っている二人組の名前は一度も呼ばれてないのだが、パターンからすると皐月と水無月だろう。
<福永博士の娘美千子が美人だったのを知り、鼻の下を伸ばす弦太郎。描写としては珍しいのだが、
 福永博士とミチコはぬいぐるみの形をした通信機で通信しているのだが、それはパンダの形をしてる。美千子はともかくいい大人がそんなもん抱きしめて話しかけてたら危ない奴に見えるぞ。
 弦太郎が「親のことを忘れた」というと、五郎も合わせて「こんな戦いばかりの生活じゃ」と受ける。確かにこの人が一番苦労して戦ってるのだが、弦太郎はその事を知らないはず。
 山荘に現れた美千子を首尾良く捕らえる独立幻野党。その際博士の前に引き出して「娘さんの体に聞きましょう」とか発言。これ本当に子供用の番組か?
 今更だけど、こんな特殊な場所で現れるアイアンキングに何の疑問も持たない弦太郎。
 娘が連れ去られようとしたとき、福永博士が取った行動は自殺…なんでそうなる?>
第15話 マラソン怪獣カプリゴン

  監督:枝川 弘
  脚本:佐々木守
 首尾良く独立幻野党のアジトの一つを破壊できた弦太郎と五郎。そこで独立幻野党は弦太郎を倒すために幻の葉月とカプリゴンを派遣するのだった。ひたすら走り続け、進行方向にあるものを破壊し尽くすカプリゴンを前に、弦太郎は立ち上がる。
 敵はカプリゴン。幻の葉月に操られるつぶらな目をした(要するにいい加減な)造形をしたロボット怪獣で、ひたすら走り続け、目の前にある障害物を踏みつけるだけの存在。とは言え、重量があるためそれだけで充分な強さではあるのだが。鼻から槍のような針を出し、角にはミサイルを積んでいる。自分の出した針をアイアンベルトにはじき返されて爆死。
 表題からして「マラソン怪獣」と言うだけあって、ひたすら走り続ける怪獣との戦いがメイン。アイアンキングとカプリゴンの一回目の戦いは本当にただ走るだけで終わるというとても変な戦い方。
 とは言え、物語自体がコミカルかというとそうでもなく、大怪我をした弦太郎が怪我をおして戦っている。戦士に安らぎは許されないことを端的に示した話と言える。なんせそれこそ命を賭けて弦太郎を救おうとした女性が本当に死んでしまうのだから。死をここまでまっすぐに描く作品は本当に珍しい。
 かず子は医者だけに、「赤十字は敵も味方もない」と主張しているが、そんなことを敵が聞くはずはない。戦いはきれい事じゃないと言いたいのかも知れないが、正義を信じる人があっけなく殺されてしまうってのは、設定としても殺伐としすぎてる。
 自分を救おうとした人が死ぬと言うのは、流石に弦太郎にも応えたらしく、「この人を殺したのは俺だ」と呟いて去っていく。それで救いが全く描かれないのが本作の凄い所だな。
<カプリゴンとアイアンキングの追いかけっこはどうやらセットの外に出てるらしく、縮尺がおかしくなってるシーンあり。普通の土手を走ってるだけみたい。
 脚に大怪我して、それでも戦おうとする弦太郎に、「俺に任せろ」の一言が言えない五郎。そこまでしてアイアンキングの秘密は守らねばならないものか?そもそもこれまでの経緯で弦太郎が気づいてない方がおかしいくらいなんだが。>
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第16話 トラギラスを倒せ!

  監督:福原 博
  脚本:佐々木守
 独立幻野党が放つ新たなロボット怪獣トラギラス。その足下では幼稚園児が逃げ惑っていた。幼稚園を救うため早速アイアンキングに変身する五郎。
 敵はトラギラス。背中から巨大なミサイルを放ち、更に放熱板から熱を放射する。
 怪獣が暴れる足下には人間がいる。当然これまでもそう言う描写は随分されてきたが、今回は子供が襲われてるので、切実渡がかなり上がっている。なんせ子供って恐れ知らずなので、怪獣が出てきたらそれに向かって行ってしまうから。
 特に今回その幼稚園がカトリック主義だったので、信仰に対する弦太郎の姿勢も見える。超が付く現実主義者である弦太郎は、相手がシスターであろうが全く態度を変えない。ここまでくるといっそ立派だが、ますます救いがなくなってしまう。
 対する五郎は温かい性格をしているだけに、シスターに同情するが、そのまま本当に惚れてしまったらしい。弦太郎はそんな五郎を発憤させるためにわざわざシスターにキスまでしてみせる。それにしてもこいつは素直じゃないな。
 むしろ今回は五郎の方が主人公クラスになっていて、初めてアイアンキングが怪獣を倒す描写あり(16話までやって初めてって、どんだけ弱いんだよ)。ちなみに変身シーンもちょっと変わっている。おそらくは衣替えによって変身バンクシーンが五郎の格好に合わなくなったためだろう(これまで数話突っ込もうとも思ってた)。
<トラギラスの放つミサイル二発を受け止めるアイアンキング。そこまでは良いのだが、そのまま空中に吊り上げられてしまった。ミサイル離すとか、トラギラスに向かって投げつけるとかすればいいのに。
 幼稚園児の頬を張るシーンあり。これも現代ではタブー描写。
 弦太郎がシスターにキスするシーンあり。それを見た五郎は怒り狂うが、角度的にはキスできてない。頬をすりよせるだけ。
 そう言えば弦太郎は童貞のはずなんだが、妙にキスしなれてるように描写されてる。なんでも出来るスーパーマンという設定なのか。
 トラギラスが装備しているミサイルは3発。だけど実際は連続発射している。メカゴジラのフィンガーミサイルみたいだな。>
第17話 アイアンキング殺害命令

  監督:外山 巌
  脚本:佐々木守
 関東山岳道をひた走る弦太郎と五郎の前に独立幻野党が繰り出したロボット怪獣ドジラが現れた。アイアンキングの活躍で撃退には成功したものの、弟を捜していると言う女性につきあわされる羽目に。
 敵はドジラ。腹部が開いてミサイルを繰り出す。怪我で動けないアイアンキングをいたぶるが、最後は自分の爪に貫かれて爆発。
 本人が革命に走るのは良いが、そのためには家族を泣かせなければならない。これに耐えられるかどうかが覚悟の程を示すことになる。ここでは幻の霜月の姉が本当に辛そうな表情で、「弟は幸せ者です。だって、弟は自分の思想のために自分の考えを貫いて死んだんですから」とか呟いてるのが印象深い。当時の革命家はみんなこんな葛藤を経ていたんだろうな。大変もの悲しい雰囲気を持った作品に仕上がってる。
 ついに独立幻野党にアイアンキングが五郎であることが知られてしまう。それで拉致され拷問を受ける羽目に。それでも人が良いのがこの人らしい。
 前回強かったアイアンキングは今回も前半の戦いでは結構強かった。でも五郎の怪我によって二度目の戦いはやられっぱなしに。やっぱり弱かった。でも今回は都合3回も変身してる。
<しかし怪獣の名がドジラってあまりに酷くないか?だったらブルとかパンダとか出てきたり?
 目の前に怪獣が迫ってきても全然気づかない弦太郎達。瞬間的に出現できるんだろうか?
 アイアンキングの怪我で五郎が変身していることに気づく独立幻野党の面々。一方の弦太郎は同じものを目の前にしながら全く気づかない。どんだけ鈍い?>
第18話 ロボット怪獣全滅作戦

  監督:外山 巌
  脚本:佐々木守
 独立幻野党が保有するロボット怪獣は残り一体となった。幻の師走は最後のロボットクマゴロスを用い、国会議事堂の爆破を狙う。アイアンキングの活躍でミサイルは狙いを外され、弦太郎と五郎は独立幻野党本部へと乗り込む。
 敵はクマゴロス。独立幻野党最後のロボット怪獣で、最初は国会議事堂を破壊するために派遣されるが、結局は弦太郎に関わってしまったため、何も破壊できないまま倒されてしまった。銀色に塗ったゴメスって感じ。
 いよいよ独立幻野党篇クライマックス。ただ本部急襲という割には、やってることは女性の誤解を解くことがメインだった。いつもの話っぽい。
 ヒーローが何をやってもやっぱり人には恨まれる。戦っている以上被害を出さないことは出来ないのだが(今回も国会議事堂からミサイルをそらすためにビル街を破壊してる)、それでこれだけ恨まれる。ヒーローは切ない。それにしてもこれだけ懇切丁寧に説明しておいて、それで誤解が解けないままってのも凄いもんだ。田舎の人間の頑固さだろうか?
 今回妙に五郎が浮かれ気味。地雷を発見したとき「もう、じらい」とか、神社に行った時は「む〜らのち〜んじゅの」とか歌いながら踊り出すとか。最後の戦いなので、少し気がゆるんでるんだろうか?
 それでも今回はアイアンキングは3回も変身し、更にクマゴロスを破壊という快挙を成し遂げた。ここまでにアイアンキング単独で倒した敵は16話のトラギラスに次いで2体目。
 革命を目指して活動していた独立幻野党が結局革命らしきことを何も出来ず終わってしまったのは寂しいものだな。
 そしてラスト。「タイタニアン」を名乗る謎の黒ずくめ集団が。いよいよ最後の戦いが始まる。
<弦太郎と五郎を仇と狙う純子は槍を放つが、一人でやってる割に五、六本槍が飛んできてる。
 絶体絶命の危機にあって五郎は「最後まで優しい女の子には会えなかったな」と弦太郎に言っている。16話の祥子は勘定に入らないのか?
 足下から戦車を出したクマゴロスはアイアンキングへの攻撃は戦車に一任。で、何をやってるのかというと、後ろで踊ってる。連係攻撃するくらい考えろよ。>
第19話 大虫人タイタニアン出現

  監督:福原 博
  脚本:佐々木守
 独立幻野党の野望を食い止めた弦太郎と五郎は久々に国家警備機構に帰還した。そこで宇宙から謎の怪電波が受信されている事を聞かされる。そんな折、都内に現れ警察に捕まった怪しげな男が警察署の中で突如巨大化し、町を破壊し始めた。
 敵はカブトロン。タイタニアン第一の刺客で、口から出した風船から毒ガスを出す。両手の鎌状武器と頭の
 第3部のタイタニアン篇の開始。それ以外にもこれまでの二人旅から新しい仲間が入ったこともあり、新展開を思わせる話となっている。
 初めて国家警備機構内部が出てきたが、あらゆる事件は弦太郎と五郎に任せっぱなしであることが分かった。人手不足というよりはやる気がないような感じもあり。人間をアイアンキングに変えることが出来るんだから、もっとたくさんアイアンキングが出てもおかしくないと思うんだけど。そう言えば弦太郎の育ての親でありアイアンキングの開発者、津島博士が初めて登場した。
 舞台もこれまでの東京近郊?から東北へ。しかしタイタニアンもなにもスキー場を攻撃対象に選ぶことも無かろうに。
 一応今回もアイアンキングがカブトロンを倒しているが、実際は投げ飛ばしたら雪に埋もれて身動きが取れないだけ。倒したと言えるかどうか。
 三人のスキーの腕前が現れているが、三人ともそれなりにスキーは上手いようだ。吹き替え無しでちゃんと滑ってる。
<冬だけに舞台の蔵王は雪山。しかし移動はバスというチープさ。これまでの経緯もあるが、国家警備機構って本当に予算がないんだな。>
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第20話 大虫人タイタニアンの逆襲

  監督:福原 博
  脚本:佐々木守
 タイタニアンの基地を求め雪山を行く弦太郎と五郎、典子。だがその前に又新しいカブトロン2号が現れる。又しても毒ガス攻撃に晒される三人だが…
 敵はカブトロン2号。タイタニアン2号が変身したもう一体のカブトロン。攻撃方法など基本的には同じ。弦太郎の機転で、自分の出した風船につり下げられたところをアイアンキングによって破壊された。
 三人旅となっての二話目。弦太郎と五郎がボケ役となり、典子がツッコミ役と、役割分担はきっちりできている。
 村人に変装したタイタニアンを弦太郎と五郎が攻撃するシーンがあり、それを見たこども達が二人を責めるシーンがある。軽く流されてしまったが、もう少しこれを丁寧にやれば凄く重い話になっていたはず。この話の場合はこれ位にした方が良いのかな?「シルバー仮面」で佐々木守も散々やってたし。
 今回も雪山が舞台。戦いの合間には歌を歌ってスキーを滑る。どこか牧歌的な話が展開してる。折角雪山に来たのだから、徹底して楽しもうとしてるスタッフの思いが見えてる。と言うより、金がないので、そう言うシーンでつないだって感じがするな。
 雪山だけに水分には事欠かないが、アイアンキングに変身した後でつららを囓っているシーンは本気で寒そうだ。
 ここ何話かアイアンキングが実際に敵を倒すシーンが当たり前になってきてる。流石にスタッフの方も「そろそろ」と思ってきたのかな?
<今回登場したカブトロンは2号。これから前回のカブトロンはやっぱり倒されていたことが分かった。単に雪山に埋まっただけで?
 村人に化けたタイタニアンと戦う弦太郎。怪獣と対等に戦える弦太郎の力をもって対してダメージを与えられなかった。どんだけ頑丈に出来てるんだ?
 アイアンキングがカブトロン2号と戦ってる間、カブトロンのバルーンボムを縄に結びつける村のこども達。どう考えてもこれだけ結ぶのに1分以上はかかっているはずだけど。
 それでその風船をとりつけたところカブトロンは浮き上がってしまう。浮力ありすぎ。>
第21話 カマギュラス殺人ガスを狙う

  監督:外山 巌
  脚本:佐々木守
 タイタニアンが現金輸送車を襲ったとのニュースを受けた弦太郎。実はこれは坂本博士が開発した毒ガスを購入するためだったと分かる。博士の娘美子の協力で、博士を思いとどまらせようとする弦太郎だが…
 敵はカマギュラス。カマキリを模した大虫人。攻撃も両手の鎌によるもの。両腕をアイアンベルトでへし折られた上、その鎌で首を切断される。
 宇宙人による地球侵略が描かれる訳だが、そんな宇宙人の方にシンパシーを持ってしまい、地球人を裏切ろうとするものまで出てくる。人間の心の裏側を見るような話。最初は確かに人間相手だと思っていても、それが宇宙人であると分かっていても人類を滅ぼす方を選んでしまうのだから。
 そう言う重い設定の中でも主人公三人組はあくまで陽気。ますます設定の重さと主人公達の軽さの対比が激しくなってきた感じがする。まあ、それも一種の魅力と言えなくはないか。
 タイタニアンにはリーダーっぽい存在が無く、たまたま一人が怪獣に変身するような描写がある。虫だけにひとかたまりが群体のような存在なのだろうか?
 ちらっとだが、ここの舞台になったのは行川アイランドだったりする。特撮ではよく用いられる施設だ。
<自分の努力が人に認められない事は、確かに辛いことかも知れないが、それで学会どころか人類まで滅ぼそうとは安直すぎる…劇中言われてる「基地外」発言はそのまま正しい。
 カマギュラスは造形のバランスが悪く、首がぶらんぶらんしてる。これで格闘までやるんだから無茶だ。
 敵の両腕をへし折った上で、その腕を使って首を落とす。タイタニアンの目からすると、弦太郎はどれだけ残酷に映るんだろう?>
第22話 恐怖のタイタニアン地獄

  監督:外山 巌
  脚本:佐々木守
 タイタニアンは造成地の地下に基地を作ったが、そのために地面が陥没してしまう。その陥没に巻き込まれた作業員山崎は、地下でタイタニアンと遭遇し、身体を乗っ取られてしまう。
 敵はキリギロン。キリギリスを模した大虫人。毒ガスを吐きまくり、触角で攻撃する。タイタニアンが寄生した人間山崎と藤本が変身した。
 タイタニアンの作戦が展開するのだが、前の二つの組織と違ってタイタニアンの作戦は穴が多いし行き当たりばったりの印象あり。今回だってたまたま落下した山崎とか、たまたま遭遇した藤本だとかをボディジャックしてるのだが、それも理由がないし。
 そもそもキリギロンだって何をやりたいのか全然わかってない。
 そんな中、相変わらず脳天気な三人。正確に言えば、真面目に事件に対処しようとしているのは典子だけで、それを茶化す弦太郎と五郎という構図。特にこの話だとそこしか見所がないような?そんな中でも典子も多少軽口を叩く余裕が出来たようだ。
 タイタニアンに寄生された人間は毒ガスを吐いたり特殊能力を持ったりするが、寄生が解けると普通の人間に戻る。その間に人を殺してたりするので、その後の生涯がとても心配だ。
 後半アイアンキング抜きでキリギロンと戦わねばならない弦太郎の姿があるが、怪獣と人間の縮尺でちゃんと戦いが成り立ってるのが面白い。
 タイタニアンのエネルギーは石油らしい。巨大化するために必要なのか、通常活動のためなのかは不明。
<穴に落ちた作業員の山崎に対し、「見たな」とか言いつつ迫ってくるタイタニアン。わざわざ姿見せておいてそれはないだろう。
 キリギロンとの最初の戦いでは終始優位に立つアイアンキング。それで弦太郎は「タイタニアンにしては元気がなさ過ぎる」とか言ってる。実際その通りなんだけど、もっとアイアンキングを信用しても良いと思うんだ。
 タイタニアンは山崎や藤本に同化し、更に巨大化してキリギロンになった訳だが、そうすると人間の身体って相当に変質してしまったことになる。人間ってそんなに変化するか?あと、人間の身体は石油を消化も出来ない。
 ところで最初に基地を建設していたはずなんだが、その話はどうなったんだ?>
第23話 女に化けた虫人

  監督:田村正蔵
  脚本:佐々木守
 航空機の連続爆破事件を調べる弦太郎と五郎は渋沢博士に呼び出され、ローゼンベルグ博士の開発したジェット燃料の設計図を持ち帰ろうとしている堀口純子という女性の護衛を頼まれる。だが、設計図を持っているはずの純子は何も持ってないと言う。
 敵はガンガロール。真っ赤な宇虫怪獣で、触覚から溶解液を出す。一応羽根は持っているが、飛ぶことは出来ないようで、両足そろえてジャンプしながら移動してる。
 これまでのように「犬も歩けば棒に当たる」形式を覆し、国家警備機構のために働き始める弦太郎と五郎の姿がある。二人が女性に振り回される姿は結構珍しかったり。
 三人の凸凹トリオぶりは今回も健在。それにもう一人も女性が入ることで、奇妙な青春ものっぽく仕上がってる。女湯を覗くシーンまであり、これまでのハードな展開がずいぶん柔らかくなった感じだ。
 今回典子がタイタニアンにひょういされてしまった。弦太郎のサポートをするふりして誤解を振りまいている。
 このところアイアンキングが連続して敵を倒してる。強いって言うよりはサポートと攻撃のコンビが交代してるだけ。
<空港から首都に向かっているはずなのだが、その途中で富士山が見える田舎道に入ってる。この国では空港は都内もしくは千葉にあるわけではないのか?
 純子か典子のどちらかにタイタニアンが取り憑いていることが分かっているが、弦太郎は「典子ではない」と明言してる。その理由は「国家警備機構隊員だから」。何の説明にもなってないぞ。
 純子がタイタニアンであるかどうかを調べるため、真剣な顔して「好きだ」とか言う弦太郎。
 せっかく典子に取り憑いたんだから、すぐに純子を殺せば問題解決のはずなのに、設計図にこだわるタイタニアン。だから(ry
 ガンガロールは飛べもしないのに羽根を持ってる。なんで?と思ったら、火を扇いで山火事を燃え広げさせてる。なるほどちゃんと意味があったのか。
 「俺たちは二人で一人前だ」と格好良いことを言う弦太郎。だけどもう一人というのは五郎ではなく、アイアンキング。どんだけアイアンキングって弱いんだよ。>
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Blu-ray6
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第24話 東京攻撃前線基地

  監督:福原 博
  脚本:佐々木守
 ついに東京攻撃を開始したタイタニアンはマンションを支配し、そこを前線基地とする。タイタニアンの目撃情報を得た弦太郎と五郎だが、陽動作戦に引っかかっているうち、タイタニアンは子供を洗脳し、東京中に派遣する作戦を遂行していた…
 敵はゴキブラー。ゴキブリ型の宇虫怪獣。姿はともかく、腹に開いた穴からなんでも吸い込んでしまう。
 タイタニアンに洗脳された子供に攻撃ができない弦太郎と五郎の姿が描かれる。ヒーローものでは定番だな。
 いよいよタイタニアンによる本格的な東京侵攻作戦…と思ったら、今回のメイン舞台はやっぱり郊外。
 コミカル路線は続行中。五郎が淀川長治の物まねしてるシーンもある。
 警察や自衛隊(らしき組織)がゴキブラーに攻撃を掛けるシーンもある。この作品では結構珍しいな。
<「これより東京攻撃に移る」と意気を上げるタイタニアン。だけどもう残りが3人だけ。もっと早くやれよ。
 タイタニアンが前線基地に選んだのは普通のマンション。管理人によれば10億円をぽんとだして建物全部を買ったとのことだが、基地がマンションってのはしょぼすぎないか?
 典子と一緒にゴキブラーの攻撃を避けていた五郎は、そこからちょっとだけ外に出てアイアンキングに変身。典子にはばれてるよね?
 棒でつつかれたり石を投げられたりと、散々な目に遭う弦太郎だが、途中で我慢できなくなってアイアンベルトで子供を攻撃…ってこれやっちゃいけないだろ。お陰で警察に捕まってしまったが。
 国家警備機構だと分かり、釈放された五郎は「もっと人を見ろ」と警官に怒鳴ってる。いや、人を見たから捕まえたんじゃないのか?
 それにしても隠密作戦と言いつつ、簡単に馬脚を表すタイタニアンもいき当たりばったりだな。
 マンションに潜り込んだ弦太郎はそこらにいる子供をしばき倒してる。良いのかよ。
 ゴキブラーが倒されると共に洗脳が解ける子供たち。洗脳をしたのは7号で、ゴキブラーに変身した6号じゃないんだけど。>
第25話 アイアンキング大ピンチ!

  監督:外山 巌
  脚本:佐々木守
 海岸で磔にされ火を付けられるアイアンキングと弦太郎の人形を発見する弦太郎と五郎。それを眺めている内にタイタニアンに典子をさらわれてしまう。典子を救い出すことには成功したものの、なんと五郎がタイタニアンに乗っ取られてしまう…
 敵はクリケットン。芋虫型の虫人。ハサミのある尻尾と自在に飛ばせる腕を武器とし、アイアンキングを拘束した。
 なんとヒーローである五郎がタイタニアンに乗っ取られてしまうと言うとんでもない話。ヒーローキャラが素で敵に乗っ取られる描写は、私の知る限り「レインボーマン」くらいしかないが、あれだって乗っ取られたと言うよりは毒を食らってしまっただけ。ここでは本当に乗っ取られてしまったのだから凄い。
 タイタニアンに服従を誓い、タイタニアンのマントまで付けてるアイアンキング。実際この描写は鬼気迫るものがあり、敵に跪き、その命令で街を破壊するヒーロー。最終回前にとんでもないことやらかしたもんだ。
 生身で弦太郎と五郎が殴り合いするシーンもある。ここで手加減を加えずボコボコにしてしまう辺りがやっぱり静弦太郎というキャラだ。
<五郎が女言葉を使い、弦太郎が五郎の頬にキスするシーンあり。この時代だと完全なギャグだが、現代でやったら…
 女性に向かって「おしっこ」とか言うシーンもあるが、これも現代ではNGシーンだ。
 街を破壊するアイアンキングを見て「アイアンキングまで裏切ったんだ」と呟く弦太郎。なんでそれで正体が分からない?
 ちなみにあるテレビ局ではこの話をもって放送中止になったそうで、ヒーローが最後に悪に寝返ったと言うトラウマを植え付けたとか…確かにこれが最終回だったら、悪夢そのものだ。>
第26話 東京大戦争

  監督:外山 巌
  脚本:佐々木守
 洗脳を受け、虫人クリケットンと共に街を破壊し始めるアイアンキング。弦太郎の訴えは退けられ、防衛隊による攻撃が開始された。水切れを起こし変身を解いた五郎を見た弦太郎は、初めてアイアンキングが五郎であることに気付くのだった。このままボディジャックされたままではアイアンキングが敵に回ることを恐れた弦太郎は津島博士に頼み、五郎の変身機能を解除させようとする。
 敵はクリケットン。寝返ったアイアンキングと共に街を破壊し、アイアンキングがいなくなった後は、単独で東京を破壊しようとした。
 最終回。これまで最弱のヒーローとして知られたアイアンキングが、最後の最後でパワーアップで、一撃のもとにクリケットンを破壊してのけた。もう遅すぎる気はするが、それが本作の面白さでもある。
 正義のヒーローが街を破壊するところまでは良いにせよ、戦闘機を破壊したって事は、普通の人間を殺したと言う事でもある。その描写が出来たってだけでもすごい。
 それにしてもここに至るまで五郎がアイアンキングだってことを知らなかったのだから、弦太郎の鈍さもたいしたものだ。
 作品の終わりも「これで終わり」ではなく、弦太郎と五郎との旅はまだ終わってない。という感じで結ばれるので、余韻の残る良い話だった。この後日譚を作って欲しかったもんだな。
 ラストシーンはこれまで関わってきた女性陣がずらっと回想シーンで登場。この内の大半は死んでるってのが本作の凄さ。
<五郎の変身機能を解除させようとする津島博士。「私の研究成果が消える」と寂しそうだが、研究データは残ってるんだから、他の人間をアイアンキングにすることも出来るはず。と言うか、今までなんでしてこなかった?
 変身機能を解除するだけのはずがあまりにも電圧をかけてしまったため、死んでしまう五郎。というか、生身の人間に何万ボルトもかける事自体が無茶。普通黒こげだよ。津島博士って本当に何の役にも立ってない…この事故がアイアンキングのパワーアップになるのだから、結果的には無意味じゃないけど。
 タイタニアン1号の捨て台詞は「新たなる仲間を連れてきっと帰ってくる」だった。悪人らしい捨て台詞だが、バックアップ要員はなかったの?
 タイタニアンの宇虫船の計器は、ついさっきまでいた国家警備機構の機材とよく似てるんだけど…同じセットで撮影するなよ。>