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シルバー仮面
シルバー仮面ジャイアント

シルバー仮面事典
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1971'11'28〜1972'5'21 

 円谷プロから派生した日本映画企画が制作した初の特撮番組。かつて「ウルトラマン」が放映されたタケダアワーで放映されることとなった。企画当初からハードな物語展開を目し、特撮版「逃亡者」と言った風情で、旧来のヒーロー作品と一線を画す物語は賛否両論。又、裏番組に同じく円谷プロの制作した「ミラーマン」が放映されていたため視聴率としては大苦戦し、途中から路線変更をやむなくされた。
 当初は監督実相寺昭雄脚本佐々木守という黄金コンビによるもので、社会派的物語や実験的な撮影が特徴。特に今までの特撮ではやらなかったような接写や引きによる撮影など、映像技術としても非常に面白い。
 視聴率のためとは言え、前半でいくつも出されていた謎が全然解かれないまま普通の巨大ヒーローものになってしまったのは返す返すも残念なところ。

主な登場人物
春日光一 (役)亀石征一郎。ヴェテラン時代劇俳優。特撮でのメインキャストは本作のみ。
 春日兄弟の長男。兄妹の司令塔的な役割で、暴走してしまった弟や妹たちを諫めつつ、父の友人の元に行く。
春日光二
シルバー仮面
(役)柴俊夫。時代劇から現代劇まで幅広く出演する.特撮では本作のみ。
 春日兄弟の次男。シルバー仮面に変身できるシルバーの力を与えられている。
春日ひとみ (役)夏純子。日活女優で悪女役を得意とした。特撮では本作の他、「アイアンキング」にゲスト出演。
 春日兄弟長女。瞳の中に光子ロケットの数式を封じられている。
春日光三 (役)篠田三郎。「ウルトラマンタロウ」南光太郎役。あの作品では爽やかな快男児を演じている。
 春日兄弟の三男。兄弟の中では最も直情的で、そのために余計なトラブルを招くこともしばしば。春日博士からは宇宙人を見破るサングラスを与えられている。
春日はるか (役)松尾ジーナ。
 春日兄弟次女。春日博士からは兄弟達に居場所を知らせる指輪を託されている。9話にて突然退場。
大原道男 (役)玉川伊佐男。
 春日博士の弟で春日兄弟の叔父に当たる人物。軍需産業の社長で、生前の春日博士とは仲が悪く、兄弟達の印象も悪い。度々兄弟の前に現れては助力を申し入れるのだが、いつも兄弟に拒絶されてしまう。最後までいい人なのか悪人なのかよく分からなかったが、単なる小物だというのが定説。
津山博士 (役)岸田森。「怪奇大作戦」牧や「帰ってきたウルトラマン」坂田健役など、円谷特撮では常連。
 宇宙工学の第一人者。津山兄弟に協力して光子ロケットを完成させた後、春日兄弟の良き相談役となる。
津山リカ (役)北村佳子。
 津山博士の娘。とても頭が良い女の子だが、父親がかまってくれないので寂しい思いをしているようだ。兄弟達を実の兄や姉のように慕っている。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 ふるさとは地球

  監督:実相寺昭雄
  脚本:佐々木昭
 春日博士はついに光子ロケットを開発した。だが、これによって地球人が宇宙に出ることを恐れたチグリス星人により春日邸は襲われ、博士は殺されてしまった。残された5人のこども達は、父の悲願光子ロケットの完成のため旅を始める…
 敵はチグリス星人。黒衣の男女に扮して春日邸を焼く。人間に憑依することが出来、光三も乗っ取られてしまった。
 最初から暗闇の中で燃えさかる家の描写。ほとんど暗闇の中で展開するドラマと、明るさからはかけ離れた暗い話が展開。
 シルバー仮面に変身するのは次男の光二だが、何故変身できるのか、一切の説明はない。火事になる前の春日邸も変な落書きで覆われていて、最初からこの家は嫌われていることも分かる。最初からこれってのはやっぱり実相寺&佐々木の最強コンビらしい。
 今回は父を殺され怒りに燃える光三が中心になり、人間に化けたチグリス星人を追いかけるが、傍目から見たら三郎の方が通り魔にしか見えず。結局本当のことを言っても通行人から追い立てられてしまう。
 モノトーンに近い色遣いは流石実相寺演出。まるで磔にされてるかのような光三の姿もなかなか凄い。「キチ○イ」発言はばしばし出るし、チグリス星人に乗っ取られてロボトミーみたいにされてしまった光三の姿と言い、放送コード吹っ飛ばしてるな。どう見ても子ども向けの作品じゃないぞ。
 等身大での戦闘シーンは「ウルトラマン」よりも「仮面ライダー」に近い感じ。
<春日兄弟の体を調べるために下村博士はサテライト光線を用いるが、その描写はサイケデリック調。画面を観てるだけで目が痛い。
 光三は「こうぞう」と読むが、二人の兄が呼ぶと、「小僧」に聞こえてしまう。可哀想な名前だ。
 一応春日兄弟は一般人のはずだが、銃を携行し、しかも民家密集地帯で撃つとか、すげえ描写があり。
 シルバー仮面との戦闘で燃えるチグリス星人…本当に燃えていて、必死で火を消そうともがいている描写有り。>
VOL.1
<A> <楽>
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第2話 地球人は宇宙の敵

  監督:実相寺昭雄
  脚本:佐々木昭
 父春日博士の弟子である津島博士と会うために田舎に滞在中の春日兄弟。だがその村でガス騒ぎが発生。ガスの中から現れたのは村の住民に姿を変えたキルギス星人だった。
 敵はキルギス星人。頭の両側に大きな光球を持つ宇宙人で、本作を語る場合よく引き合いに出される。シルバー仮面との戦闘中に春日兄弟の銃撃を受けて殺された。
 折角田舎に行ったのに、そこで村人の冷たい視線に晒される春日兄弟が描かれる。なるだけ住民に迷惑をかけないように、関わりを持たないようにするが、そのために死にかけてる人間を放っておくという、ヒーロー性とはかけ離れた描写もあり。
 キルギス星人の問いかけは、人間というものがどれだけ信用できないかということ。同じ地球人同士でさえ意思の疎通が出来ず、戦争も起こるのは確かで、これを言いたいがためにこの話を作ったのは想像に難くない。
 キルギス星人の出すガスによって鶏や卵が青くなったり、立ち木が赤くなったりという描写があるが、これは公害問題との関わりを考えているものと考えられるだろう。
 そして最後は村人から石を投げられて寂しく去っていく春日兄弟。寂しいもんだ。
 今回も実相寺演出は映え、接写描写がとかく多い。ちょっと酔いそうになるけどね。
<光二は人助けのためほいほいシルバー仮面に変身するが、それを見てる住民は何の反応もしてないな。
 キルギス星人が言うところの泥棒というのは、月の石を持ち帰った際、誰にも断らなかったからだとか…かなり言いがかりに近い気がするけど。
 道端で遊んでるこどもの脇をガスを噴出させ、奇声を上げながら走り抜けるキルギス星人。かなりシュールな描写だな。
 キルギス星人が噴出するガスにはワクチンがあるが、津島博士によれば山向こうにあるそうだ。対宇宙人の薬がそんなに簡単に手に入る世の中なのか?>
第3話 父は炎の中に

  監督:山際永三
  脚本:上原正三
 光子ロケットの手がかりを求め、春日兄弟は父の友人である福本博士のところに行くが、彼らが見たのは氷付けにされた福本博士だった。光子ロケットの秘密をも奪われそうになった兄弟はばらばらに行動することにするが…
 敵はシャイン星人。熱のない星からやって来た宇宙人で、冷光線を使い、人間を凍らせてしまう。分身攻撃まで使う。
 春日博士は生きている?と言う疑惑が持たれ、それに賛成するのと反対するのとで兄弟がばらばらに。これまでが5人全員が一緒だったので、一人一人の描写を多少広げようとしてのことらしい。結局全員が集まってしまう訳だが。
 兄弟の命が危なくなると、どこかから助けの手が伸びる。果たしてそれが父なのか?これからしばらくはこの謎を追うことになる。
 明らかに作り物というのは分かるが、凍った人間の腕がもげたり、春日兄弟の骨が見えたりと、かなりホラー的描写が多い。ただ、ほとんど暗闇の中で話が展開するため、かなり見づらいのが難点。
<一人一人がばらばらになればもう安全だという光一。宇宙人に一人一人狙われるだけじゃないのか?物語上そうはなってないけど。
 光線技を持たないシルバー仮面は、シャイン星人を倒すために花火みたいな火を出す筒を使ってる。なんかちょっとヒーローとしてはインパクトに欠ける兵器だ。>
第4話 はてしなき旅

  監督:山際永三
  脚本:市川森一
 父の最も信頼する湯浅博士の元に身を寄せる春日兄弟。だがここでも執拗な宇宙人の手が迫る。一人息子の京子を人質に取られた湯浅博士は兄弟達と距離を置くようになる。
 敵はピューマ星人。電波を通じてメッセージを送るほか、テレビの中に人間を取り込んでしまったりも出来る。
 相変わらず人間不信を主題にした話で、春日兄弟はどこに行っても身を寄せる場所が無いと言う事を示した話。家族がいる場合、脅迫のネタには困らないから。なんか『逃亡者』を観てる気分だ。
 テレビの中に取り込まれてしまうと言うのは後にクローネンバーグの『ヴィデオドローム』で使われたが、こんな早く使われていたんだな。
 ピューマ星人のアジトは一見普通の家のようだが、壁とかが倒れると、そこはテレビのスタジオのような場所だった。なかなかシュールな光景だ。
 ピューマ星人の電送移動装置はO型にのみ反応するという。そして兄弟の中でO型ははるか一人とのこと。5人もいてそれは結構レアケース。
 春日博士が遙に残したものは指輪。これはどんな遠くに離れていても兄弟達に場所を知らせるものらしい。
<ピューマ星人に襲われる姿を執拗に撮影するカメラ。誰がアングルまで取って撮影してるんだ?と思ったら、無人のカメラがちゃんと映されていた。
 電送移動装置はO型の血液を持つ人間だけに反応するが、身につけたものも一緒に転送させてしまう…表現上仕方ないことか。
 アジトに踏み込んだ春日兄弟を「待っていた」というピューマ星人だが、あっけなくシルバー仮面に倒されてしまった。こいつは何をしたかったんだ?>
第5話 明日のひとみは・・・・・

  監督:樋口弘美
  脚本:市川森一
 自分たちの体に隠されている光子ロケットの秘密を探るべくRX光線を使用すべく田所博士を訪ねる春日兄弟。だが私用に光線を使うことを拒まれた兄弟は深夜に大学の研究室に忍び込むが…
 敵はジュリー星人。胸の部分に目がある太った宇宙人で、兄弟がRX光線によって記憶を取り戻すのを防ぐため、三浦を騙して兄妹を攻撃させる。
 これまでの経緯で全然人に信用してもらえない兄弟の孤独が徐々に浮き彫りになってきた。兄弟だけでいる時は、その孤独をかこっている。
 人間側にも裏切り者がいる事が明らかになった。今回登場する三浦は明確に裏切ったというよりは騙されてのこと。何故か誘拐されたひとみは三浦と仲良くなって、新婚さんみたいな生活を送ることになる。70年代の青春群像っぽい描写が映える。ちなみに三浦役をやってるのは東野英信。
 どこにでも現れる叔父の大原だが、今回は珍しく有益な情報をもたらしている。態度は不遜だけど、なんか本当に兄弟のことを思って行動してるみたい。
 今回珍しく宇宙人は複数登場する。とは言え、画面上に出てくるのは一体だけだが。そう言えば初めて光子ロケットとは関係なく登場した宇宙人だった。
<女の人に味噌汁を作ってもらったのは初めて。という三浦。じゃ「お袋の味に似てる」って言ったのは誰に作ってもらったんだ?母親は女性に入らない?>
第6話 さすらいびとの荒野

  監督:樋口弘美
  脚本:上原正三
 この話は内容的に現在放映されるにはきつい内容のため、再上映はされにくい話。DVDなどでは普通に観られるそうだ。
VOL.2
<A> <楽>
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第7話 青春の輝き

  監督:大木 淳
  脚本:上原正三
 箱根山中に隠された光子ロケットの本体を見に来ていた光三とひとみ。しかしひとみは、そこに現れたキマイラ星人の光線によって失明してしまう…
 敵はキマイラ星人。人間に擬態しているが、その本体は地蔵みたいな姿。人間の視力を奪う強力な光線を放つ。ちなみにこの光線は一度当てられると失明するが、二度当てると視力が回復する。
 ヒーローの悲しみと言うより、その戦いのきつさが強調された話。視力を失ってしまう描写は目がいきなり灰色になってしまうと言う、かなりショッキングな描写になる。ちょっとぞっとする。ただし、合成が難しいので、一瞬だけだったが。しかしそれによって兄妹の絆はますます深まった。
 光三は父に対して複雑な思いを持っている。こんな目に遭わされるのは父のせいだからと言って、父を恨みつつ、それでも忘れられない。青春まっただなかだな。一方ひとみは目が見えなくなると、網膜に数式が浮かび上がる。これがひとみに与えられた力なのか?
 今回大原叔父が光三の命を助けるが、素直になれない光三は、大原を宇宙人の手先と勘違いしてなじるシーンあり。この叔父さんってのも救われないな。
 目が見えなくなった。と言う事で、目を科学的に分析するシーンもあり。ひとみの目が見えなくなったのは瞳孔括約筋の麻痺が原因なのだとか。
 今回舞台となったのは行川アイランド。何かと特撮で用いられることが多い施設だが、これが実は初めてのタイアップらしい。
<ひとみに光線を浴びせたキマイラ星人は、光子ロケットも破壊しようとするが、結局周囲の施設を壊すにとどまった。詰めが甘いぞ。
 光三役の篠田三郎は何かと船(フェリー)に関わりを持つが、今回の話ではキマイラ星人を追っていく内にフェリーの発着場についていた。
 「お前達は光線銃の本当の使い方を知らない」と言いつつ余裕綽々現れるキマイラ星人だが、結局ひとみの目は元に戻り、自分たちはシルバー仮面にあっけなく殺される…何のために出てきたんだ?
 旅館の中でいきなりシルバー仮面に変身し、そのまま商店街の雑踏に駆け込むシーンあり。庶民派ヒーローというか、無茶苦茶シュールな光景に見えるぞ。>
第8話 冷血星人の呼び声

  監督:大木 淳
  脚本:石堂淑朗
 記憶を分析するWOXO光線を開発した川上博士を訪ねた春日兄妹。兄妹は早速実験を受け、光子ロケットの謎を解こうとするのだが、川上博士の婚約者マリには秘密があった…
 敵はソロモン星人。絶対零度の世界からやって来た宇宙人で、その体は極めて低温。川上の恋人マリに乗り移り、春日兄弟の謎解きを邪魔する。
 父の友人に会う度その家族を不幸にする春日兄弟。今回はなんと関わった人物が自らの手で恋人を殺さねばならなくなるという哀しい話が展開している。そのために立ち去ろうという光一と、人類のために犠牲は必要だと主張する光三。兄弟の不協和音がここにも現れてる。
 ソロモン星人によれば、地球は闘争の歴史であり、地球人は好戦的な宇宙人のため、自分たちの星に来させたくなかったのだとか。理屈は分かるけど、それで先制攻撃とは、やり過ぎには違いない。
 光子ロケットの秘密が徐々に明らかにされていく。その中でどうも光三に一番たくさん数式が隠されているらしい。
<マリは川上の恋人だそうだが、スタッフロールでは「川上マリ」とされていた。元々は夫婦の設定だったのかも?
 川上博士曰く、人間の記憶は体の各部に宿るのだとか。学会からは絶対追放されるぞ。
 マリは春日兄弟が近くにいるとソロモン星人化してしまう。だったら実験の間だけ遠ざけていれば済んでしまうのでは?
 ソロモン星人化してしまったマリを躊躇無く撃ち殺す川上。なんとも恐ろしい描写だ。妙に冷たい表情を持つ清水宏治だけに、かなり映えてる。>
第9話 見知らぬ街に追われて

  監督:佐藤静夫
  脚本:市川森一
 春日兄弟に化けたドミノ星人は三田博士とその関係者を皆殺しにした。指名手配犯となった兄弟を追う本庁の鬼頭警部と老刑事の谷。今度は人間に追われることになった兄弟だが…
 敵はドミノ星人。春日兄弟に化けて三田博士らを皆殺しにしてしまう。四人が合体して強力な一体のドミノ星人になる。
 悲惨な旅を続ける兄弟だが、今度はなんと使命手配犯にされてしまうと言う、輪をかけて悲惨な状態に置かれる。実際これが一番効果的な方法かも知れない。目の前で起こった事実を常識的ではないと公表できない警察の姿など、物語も硬派でとても面白い物語に仕上がってる。火薬の量も凄い。
 今回はシリーズ中最多の人殺し描写あり。冒頭で葬儀に来た人達をマシンガンで皆殺しにする春日兄弟の姿が描かれる。こども向きとしてはきつすぎる内容だ。更に光三に化けたドミノ星人は白バイを盗んでノーヘルで爆走。犯罪だらけで基本許されない描写。
 今回も大原が兄弟のために働いているのだが、やってることがことごとく裏目に出てしまう。かなり可哀想な人でもある。その本心が光三の言うように、自分の利益なのかも知れないが、少なくとも兄妹のためにこんなに一生懸命になってるのが泣かせる。
 この監督をした佐藤静夫は長年実相寺昭雄監督の下で助監督をしていた人。これが監督としてのデビュー作となる。カメラアングルの取り方とか、実相寺演出を意識しているのが分かるが、ぶれが激しいため、ちょっと観ていてきついものがあり。思いっきり引いたカメラで格闘シーンを撮るとか、これまでの特撮には中々ない描写が映えている。
 今回はるかが何故か兄弟から抜けているが、なんか理由はあるのかな?
 下らん話だが、兄弟に化けたドミノ星人が使っているマシンガンはソ連製のPPSH。渋すぎる銃の選択だ(ひとみが使ってるのはドイツ製のMPだが)。
<春日兄弟を犯罪者にしたいなら、ドミノ星人はもっと効果的にやらないとね。結局鉢合わせしてしまっては駄目だよ。
 崖から落とされ正体を現したドミノ星人と戦うシルバー仮面。崖の上で変身したのだが、次の瞬間ドミノ星人の方が崖の上に上がってる。
 墓場でドミノ星人を追い詰めたシルバー仮面は卒塔婆でぶん殴ってる…いいのかよ?この描写。
 結局誰とも知れない人間が春日兄弟を騙り、自動車事故で死んでしまった事にしてしまう鬼頭刑事。「これなら納得いく」とか言ってたけど、これだけの犠牲者を出しておいて納得いくか?>
第10話 燃える地平線

  監督:佐藤静夫
  脚本:上原正三
 人類の奴隷化を企むタイタン星人と春日兄弟の戦いが続けられていた。ひとみが宇宙人にさらわれ、最終決戦は箱根の格納庫に持ち越されたが…
 敵はタイタン星人。宇宙人が化けているはずなのだが、基本全員人間のまま。多くは黄色い軍服を着ている。全員が合体することで角と鞭を持つ本体が現れる。
 突然宇宙人との戦いの最中から話が始まり、あっけないほど簡単に光子ロケットの秘密が兄弟の手に。強引な話になってしまったが、これはどうやらあまりにも不人気だったために路線変更を強いられてしまった結果らしい。それで次回からはタイトルも変わり、「シルバー仮面ジャイアント」になってしまう。確かに重い話ばかりではあったものの、急激な路線変更はやっぱりちょっと寂しいものだ。
 タイタン星人の狙いはこれまでの宇宙人とは異なり、光子ロケットの秘密を解き明かし、それを自分のものにすると言うもの。侵略ものとしてはこちらの方が正しい。
 今回もはるかがお休み。しかし、兄弟全員が揃ってないと光子ロケットの秘密は分からないんじゃなかったっけ?
<人間に変装したタイタン星人の中には軍服を着てるのもいる。こんなのがうろうろしてたら危なすぎるって。
 無人のはずの村で光一と光三が入った家には何故か家族がいる。「何故?」という問いには一切答えなかったが、何でいたんだろう?
 大原の家にはでっかい旭日旗が飾ってある。この叔父さんもかなりアブナイ人なんじゃないのか?
 いつの間にか兄弟は四兄弟にされてしまってるけど、それでいいの?>
VOL.3
<A> <楽>
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第11話 ジャンボ星人対ジャイアント仮面

  監督:田村正蔵
  脚本:佐々木昭
 ついに光子ロケットの秘密は明かされた。春日兄妹は津山博士の協力で完成した光子ロケットを完成させた。しかしその試験飛行で、兄妹たちは侵略した星に旗を立てている巨大なサザン星人と遭遇する…
 敵はサザン星人。巨大な宇宙人で、宇宙の星々を征服して回っている。征服した星には自分の旗を立てている。
 光子ロケットは完成し、ついに兄弟は宇宙へ。ただし既に地球人は宇宙への進出を開始していたことが冒頭で分かる。更に途中で地球落下が失敗して破壊されてしまう。それで何で光子ロケットが必要だったかというと…結局シルバー仮面を巨大化させるためだけにあったような?ちょっと設定上の問題があるな。そして光子エネルギーを浴びたシルバー仮面はシルバー仮面ジャイアントへと変身。
 ここから路線変更がなされ、シルバー仮面はシルバー仮面ジャイアントとなり、巨大戦が楽しめるようになった。しかし、その分他の特撮と変わらなくなってしまい、特色が無くなってしまった。
 ちなみに10話での予告では「ジャイアント仮面」ではなく「ジャイアンツ仮面」だった。やっぱり某球団に遠慮したか?
<サザン星人は侵略した星に一々自分の旗を立てている…とても地球人っぽい行為だが、そんなんで征服したことになるの?
 宇宙服を着た光三の言葉は何故か棒読み。慣れない格好だったからかな?
 月から他天体へと向けて調査する光子ロケットと、その先で現れるサザン星人。つまりサザン星人は遠ざかってるんじゃないのか?と思ったら、いきなり地球に現れる。どういう行動してるんだろう?
 宇宙服を着たままシルバー仮面に変身する光二。すると口とかむき出しのままシルバー仮面が登場する。シルバー仮面に空気は必要ないの?
 巨大なサザン星人によって踏みつけられる町。その前に小さな地蔵がぽつんと置いてある。妙にシュールな光景だが、この意味はどこにある?
 火を吐くサザン星人だが、口からではなく、鼻にノズルがあるようだ。普通の姿ではsんなものはどこにもないんだが。
 ジャイアントとなった途端多彩な武器を繰り出すようになったシルバー仮面。どうやってその使い方を覚えた?>
第12話 恐怖のサソリンガ

  監督:田村正蔵
  脚本:上原正三
 伊豆大島で火山活動の調査隊が消息を絶った。津島博士の命を受け、伊豆大島に向かった光三だが、そこで幼なじみの明子と再会する。明子に思いを寄せる光三だったが、彼女は代々伝わる伝統でサソリンガの生け贄にされようとしていた。
 敵はサソリンガ。巨大な海老の化け物のような怪獣で、猛毒を持つ尻尾を武器にして戦う。大島では神格化され、「サソリンガ様」と呼ばれている。実はローム星人の尖兵だった。そしてローム星人。大島の神社に祀られていた石像で、村長をそそのかし、明子を生け贄にしようとしている。
 最も若い光三は、その若さで物語を引っ張っている。若者は恐れ知らずで、伝説も「迷信」で終わらせてしまうあたり、時代性を感じさせてくれる。ここでは一種の恋物語が展開していく。今回は前後編の前編の方で、シルバー仮面ジャイアントとサソリンガとの戦いで話は終了。
 本当に全く話が変わってしまったことを感じさせる話で、これじゃオリジナリティがほとんどない。強いて言えば、メインキャラとヒーローが違うと言うことくらいか?一応本作では篠田三郎の女装姿が見られる。
 怪獣が登場し、緊張感溢れる話の展開なのに、変に浮ついた音楽が流れてるシーンあり。演出が妙じゃないか?
<ちゃんと「大島」と言ってるのに、そこで噴飯ものの伝説が展開している。大島の人は怒らないか?
 シルバー仮面ジャイアントの変身シーンはバンクだが、大島で変身してるのに、背後にビルがあるのはおかしくないか?
第13話 サソリンガ東京猛襲

  監督:田村正蔵
  脚本:上原正三
 サソリンガと戦うシルバー仮面。だがそこに現れたローム星人は一旦サソリンガを退かせる。サソリンガの磁力光線を受け、仮死状態になってしまった明子を救うべく、津山博士と春日兄弟は東京で明子の体を調べるが、ローム星人は、明子の磁力をたどり、東京へと上陸するのだった。
 敵は前回に続きサソリンガローム星人。大島でシルバー仮面と戦った後、東京に上陸してくる。今回でローム星人は巨大化し、サソリンガと共にシルバー仮面と戦う。
 前後編の後編で、敵は同じだが、これまでとは異なり、二体一諸に戦っているため、見せ場は多い。最初に倒されたのはローム星人の方で、その後サソリンガの方が意志を持って東京を襲っている。怪獣と宇宙人が現れる場合、宇宙人によって怪獣が使役されるのが通常だが、この作品では逆転してるのが面白いところ。
 一応光三が中心のはずなのに、戦うのは光二なので、やや話に乖離が見られるのと、これだけの被害を演出しておいて、最後はみんなさわやかな笑顔を見せてる辺り、ちょっと練りが足りない感じ。
<怪獣が東京を襲うのは良いんだが、それは結局春日兄弟が明子を東京に連れてきたからという問題があり。この作品の前半部分は言われなき迫害を受けていた春日兄弟が本物の悪人になったら、何も言われなくなってしまったという問題があり。
 光二がシルバー仮面に部屋の中で変身すると、そのまま巨大化して外に出てしまう。建物のダメージとかその辺どうなってるんだ?
 シルバー仮面になった状態で怪我をすると、光二も怪我をするのだが、巨大化してのダメージというのは無いんだろうか?
 前回サソリンガの大きさは40メートルと言っていたが、東京タワーの2/3位の大きさがあった。200メートルはないとおかしいんじゃないのか?
 サソリンガの死と共に、明子を入れたカプセルが内部から大爆発。一瞬恐ろしいことを想像してしまったが、明子は無事だった。どこが爆発したんだ?>
第14話 白銀の恐怖

  監督:山際永三
  脚本:市川森一
 一年前にスキー場で知り合ったあや子という女性に誘われた光二は紬の里へ向かう。しかし雪原に咲いていた赤い花からバリアが放たれ、光二は罠にかかってしまう。
 敵はノーマン星人。光二を罠にはめてとらえ、シルバー仮面なき東京を襲う。胸から雪を出して東京を氷付けにしてしまう。
 これまでシルバー仮面になる以外存在価値がなかった光二が初めて中心となった話。素直で光一の言うことに絶対服従してるだけに、やっぱり女性には免疫が無いためか、あっという間に罠にはまってしまう。この話ではもう一人リカがお邪魔虫でつきあったために、それが幸いとなった。
 話自体は雪山での怪談と言った感じ。
<何でだか分からないけど、ノーマン星人が化けたあや子には眉毛がない。お陰で能面のような顔になってるし、こうなるとほとんど怪談だ。
 光二を助けに来た光三は、全く同じ手で罠にはまって捕らわれてしまう。こいつ何しに来たんだ?
 捕らわれた光三に向かって、ノーマン星人はもう東京に行ってると告げた光二。だったらどうやって光三を縛ったんだ?
 ノーマン星人は東京全体を氷付けにするくらい強力な冷凍ガスを吐く。で、なんで光二を捕らえてそのままにしたんだ?
 両手両脚を縛られたままではシルバー仮面に変身できないが、自由になったらたとえ地下でも変身して空を飛ぶ。どうなってんの?>
第15話 怪奇宇宙菩薩

  監督:山際永三
  脚本:市川森一
 ある夜、走行中の新幹線が突如爆発した。この事件を目撃した忠二少年は観音菩薩像から放たれた怪光線が新幹線を破壊したのを目撃するのだが、誰も真相を信じようとしなかった。忠二から手紙をもらった光三たちは、さっそく調査に向かうが…
 敵はボルト星人。鬼姫山の観音像に潜み、新幹線を爆破した巨大宇宙人。電気をエネルギーに変えて捕食する。シルバーサーベルが突き刺さった状態でカミナリを受けて爆発。
 観音像が人を襲う。「帰って来たウルトラマン」43話「魔人 月に吠える」のようにも見える作品だが、信仰の対象である観音像を怪獣にしてしまうと言うのは、なかなか思い切ったことをやった。
 今回も光三が中心になった話で、自分と同じ境遇の少年に同情する話だが、やけに光三が分別くさくなってるのが不思議と言えば不思議。爆弾を作って観音像を爆破しようという忠二に向かって、「敵討ちなんて考えていたら君の一生は台無しになってしまう」とか言ってる。前は同じ考え持ってなかったか?ただ、やっぱりシルバー仮面ではない光三中心だと、話がもどかしい。光二を中心とすべきだったのでは?
 一つ目は描写なかったけど、人間が丸焼けになるシーンが二つもあるのは、こども向きにはキツイ内容だ。
<観音像を憎む忠二少年は炎をバックに凄んでる。早く逃げろよ。
 忠二が作った爆弾を観た光二は「触発式のニッケル爆弾だな」とすぐに見破る。何でそんなに詳しいんだ?
 今回巨大戦はセットではなく野外でやってるみたい。なんかスケール感がとても小さく見えてしまう。>
VOL.4
<A> <楽>
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第16話 爆破!!シルバーライナー

  監督:外山 徹
  脚本:上原正三
 春日兄弟は父の残した設計図と津山博士が開発した新燃料GP60を得て試作用ロケットのベム1号を完成させた。しかしモーク星人の手によって破壊されてしまう。大阪で作られていたベム2号の試験をすべく大阪へと向かう兄弟と津山博士だが…
 敵はモーク星人。体を透明化できる巨大宇宙人で、ベム計画をことごとく邪魔をする。石油ガスを吸い込んでははき出して汚染した空気で攻撃する。
 前後編の前編。二話続きの話のためかかなり力が入っている。
 光子ロケットが破壊されて、その後兄弟が何をやっていたかというと、ちゃんとロケットを作っていたらしいことが分かった。しかし、そのために新燃料が必要というのは説得力がないような?何のための設計図だったんだ?
 春日博士の遺産についての話だけに、第一話からの宇宙人から逃げていた春日兄弟のことが何度も言及される。やっぱりあの設定を消し去るのは惜しかったのかな?
 一方、今回はリカが話の中心となっていて、こどもへの配慮もうかがえる。小さいながら気丈で行動力溢れる姿はとても好ましい。
 今回はコンビナートが舞台となるため特撮部分はかなり派手目。全般的に高水準にまとまった話と言えるだろう。
<しかし、新型ロケットの名前がベムってのは、いかにも失敗しそうなネーミングだと思うんだが、いかが?
 モーク星人は、人類が宇宙に行くことを許さない。というものだが、既に人類は宇宙に進出した後では?
 「お化けなんてこの世に存在しない」とか言うリカにひとみは「夢のない子ねえ」とか返してる。散々宇宙人に苦しめられた人の言うセリフじゃないな。
 ガスタンクの爆発に巻き込まれた津山博士とリカ。次の瞬間ピンピンになってるけど、>
第17話 シルバーめくら手裏剣

  監督:外山 徹
  脚本:上原正三
 モーク星人の出す排気ガスにより光二は視力を失ってしまった。シルバー仮面が戦えない状態で、モーク星人を倒すために津山博士は酸素爆弾を使用することを決断するが…
 敵は前回に続きモーク星人。ベム計画を邪魔するだけでなく、コンビナートを襲ってはそのガスを吸い込んでいる。
 前後編の後編。大阪に舞台を移し、かなり力の入った演出がなされている。万博の太陽の塔までお目見え。
 前回のラストでシルバー仮面は目が見えなくなってしまうが、それは人間体に戻った光二も同じ。やっぱり目が見えなくなってしまう。そのため、今回は視力を失った状態で戦いを強いられる。タイトルはそれに準ずるが、現代ではこれはタイトル自粛だろう。視力を失った状態での戦いだと、耳で聞くしか無く、それでシルバー手裏剣を使ってモーク星人を倒すことになる。
 目が見えないのに、見えるふりをしてる光二の涙ぐましい努力も泣ける。部屋の配置を全て覚え、そこを触れることで兄弟達をごまかしていたが、兄弟思いというか、ベム計画に対する執念というか。ヒーローとは痩せ我慢も必要なのだ。
<至近距離でコンビナートが爆発したのに、ほぼ全くの無傷の津山博士(杖はついてるけど)。爆発はともかくガスの問題とか大丈夫?
 「モーク星人は色々な武器を装備しているようだ」と諭す津山博士。武器なんて使ってなかったような気がするけど…
 モーク星人をおびき寄せるために阪神工業地帯の工場を操業停止にしてしまうが、その場合、関東に出るんじゃないのか?
 大阪だけに大阪城も出てくるが、これは書き割り。「ウルトラマン」26、27話の「怪獣殿下」のようにはいかないか。
 光二が再び目が見えるようになったのはモーク星人の爆発のお陰だとか。結構いい加減な話だ。>
第18話 一撃!シルバー・ハンマー

  監督:山本正孝
  脚本:市川森一
 宇宙開発研究所で宇宙パイロットの耐久テストが行われていた。地下に設置された宇宙船に長時間閉じ込められていたパイロット山城は、引き揚げられた際、何故か怪獣化していた。巨大化して暴れ回る山城に、津山博士は…
 敵は怪獣ヤマシロ。元は宇宙船パイロットの山城と言ったが、エマー星人の光線を受けて怪獣化してしまった。そしてエマー星人。蟹のような姿をした怪獣で山城を怪獣ヤマシロに変えてしまった宇宙人で、地下から指令を送っている。
 科学に仏教の説話を加えてみた作品で、芥川龍之介が描いた「蜘蛛の糸」を題材にしている。他に宮沢賢治の「ふた子の星」もちょっと入ってるようだ。
 宇宙パイロットが怪物化する話というと、「ウルトラマン」23話「故郷は地球」に登場したジャミラのような話になってる。ここではその息子がいるという話になっていて、情緒が強調されている。話はちょっとご都合主義っぽいけど。
 本作は地獄めぐりがベースだからか、血のように真っ赤な夕陽をバックに闘っている。まるで血の池から這い上がろうとしているかのよう。
 ちなみに山城の息子役は高野浩幸。「超人バロム・1」の白鳥健太郎役の少年である。
<怪物化した山城はちゃんと服を着ている。一応ボロボロになってるけど、どんだけ伸びる生地なんだろう?『戦慄!プルトニウム人間』みたいだな。
 「お父さーん」と叫びながら車から飛び降りる五郎。それを間一髪救ったシルバー仮面だが、五郎は「ありがとうシルバー仮面」とか言ってる。お父さんのところに行くのを邪魔してるんだけど?
 エマー星人は地下から怪獣ヤマシロを操っていたのが分かったが、なんで宇宙人が地下に潜ってる?一切喋らないのでその謎は謎のまま。
 寝転がり、体を丸めるエマー星人を足蹴にするシルバー仮面ジャイアント。どっちが悪役かわからんな。
 エマー星人を倒したシルバー仮面はビームで山城を元に戻すのだが、どうやって戻せたんだ?>
第19話 逆転シルバー旋風斬り

  監督:大木 淳
  脚本:上原正三
 かつて春日博士のライバルと並び称された鳥島博士はレッドイーグル号を開発し、地球に似た星キリー星に飛び立った。だが探索の最中に鳥島博士は原生生物を殺してしまい…
 敵はギラズモン。鳥島博士がキリー星で殺してしまった現住生物の復讐のために地球に来た。怪力の持ち主で、一度はシルバー仮面を退けた。
 前半部分は宇宙旅行にまつわる危険性と、その競争が描かれる。平和開発を提唱する津山や春日兄弟に対し、植民地計画を進める鳥島博士。こっちの方が明らかに普通の対応だろう。その際、邪魔になると言うだけで原住民を虐殺したり、都市を破壊したりと、かなり凄まじい人間のエゴが描かれていく。これだったら前後編にしても良かったくらいの力が入った作品。
 そう言った思いの差が兄弟達の議論ともなり、前半部はかなりドラマ性も高いし、本物の悪人が登場するので見所はかなり多い。前半以来の人間不信が描かれるが、シルバー仮面の味が良く出てる。
 今回悪人として登場した鳥島博士はかつて春日博士と恋のライバルでもあったそうな。結局全部春日博士に負けてしまった訳か。悪人としては分かりやすいルサンチマンだが、ここでは上手く機能してる。
 初めて自衛隊の戦闘機が登場。特撮作品の常としてあっけなくたたき落とされてしまうんだが。
 特撮部分も大変力が入っていて、ギラズモンが背中から何本もの触手を出して暴れ回る姿とか、シルバー仮面がシルバービュートとシルバーサーベルをくっつけて鎖がまを作るなど、色々遊び心にも溢れてる。
<初の有人宇宙旅行が宣伝されていた。あれ?11話の話はどうなってしまったんだ?
 津山博士によれば、光一が設計したベム5号は光子ロケットの性能をしのぐのだとか。そこまで作れるんだったら、前半の物語は意味を持たないような?
 重傷を負ったという鳥島博士はギラズモンに負われて走ってるシーンもある。どこが重傷だ?>
VOL.5
<A> <楽>
BD BD
第20話 必殺!シルバーミサイル

  監督:大木 淳
  脚本:市川森一
 あらゆる鉱物を吸い寄せてしまう性質を持ったインバス星人が現れた。全身から強力なマイナスエネルギーを放つインバス星人をベム5号がマグネット・ロープで宇宙に追放するが…
 敵はインバス星人。全身から強力なマイナスエネルギーを放ち、あらゆる鉱物を吸い寄せてしまう。津山博士に言わせれば不死身の宇宙人。地球でエネルギーを取りすぎて自滅してしまった。
 宇宙人がやってきて津山博士と春日兄弟の知力とシルバー仮面の力業で平和を取り戻す。基本は特撮のフォーマットに則った話が展開するが、今回はスケールがでかい。最強の宇宙人であるインバス星人の登場や、なんと巨大小惑星の地球衝突というとんでもない話が展開する。
 いつも考えなしに行動する光三の行動が、今回は地球の危機を引き起こしてしまう。今回に限ってえらく後悔してるけど、これで行動を改めないのが光三らしさ。
 ダム破壊のシーンとか、とても力が入っていて、ジャイアント編に入ってからも描写は屈指。カメラアングルにも随所にこだわりが見られるので、映像的には見所がある。
 シルバー仮面は時間を遡航させる力もあるらしく、あっという間に決壊したダムを元に戻していた。なるほど、この能力があるから今までの宇宙人の攻撃の後も日本は何ともなかったんだ…って、都合良すぎるよなあ。
 前回津山博士はベム5号は光子ロケットに勝ると言っていたが、何の装備も無しに地球の引力圏を脱出できるというだけで充分その能力は分かろうというもの。
<インバス星人の放つマイナスエネルギーはあらゆる鉱物を吸い寄せてしまうらしいが、そうすると、地球に着地した時点で砂鉄とかが全身にくっついてしまうので、身動きが取れないのでは?
 インバス星人に対し、ベム5号で宇宙に吊り下げてしまおうという光三の作戦は成功するのだが、インバス星人に対してベム5号の大きさは情けないほど小さい。こんなのでよく吊り下げられると思ったもんだな?
 捕獲したインバス星人をどこに捨てようか迷った光三は名も無き小惑星に放り投げる。でも、そのまま放置しても慣性の法則で地球からどんどん離れていくのでは?
 水際で小惑星を破壊したシルバー仮面。その破片とかが街に落ちてきてるけど、これっていわゆる核の冬を引き起こすに足る質量じゃなかろうか?
 「シルバーの頭脳は父さんの頭脳だ」と呟く光三。シルバー仮面となって闘ってる時は光二じゃないの?>
第21話 シルバーアロー返し!

  監督:田村正蔵
  脚本:上原正三
 ガイン星人を追ってドライブ中の光二の車の前に突然現れる女性。轢かれたと見えたその女性はすぐに姿を消し、その後休暇を取った再び光二の前に現れるのだった。光二は素性の知らぬこの少女に好意を抱くのだが…
 敵はガイン星人。ヒトデのような赤い姿をした軟体宇宙人で、何故か片方の目が潰れている。アンドロイド少女テレサを使い、光二のシルバー仮面への変身を防いだ。
 光二の恋話が描かれる。14話であや子との話があったが、あや子は死んでしまったので、浮気というわけではない…けど、光二はよっぽど女運が悪いのか、又しても悲恋に終わってしまう。テレサがアンドロイドと分かっても守ろうとしたのは、シルバー仮面である責任感が共鳴したの。光二の本音がここで聞けるのは嬉しいね。本作の上原脚本作品には外れがないな。
 シルバー仮面になれないなら素手で闘う!こんな格好良い台詞を言えるんだね。今ひとつ存在感無かったけど、光二がとにかく今回は格好良い。
 特に今回光二と出会うテレサの役回りが可哀想で、光二に本当のことを言おうとしたその瞬間、顔がひび割れていくシーンは特撮的にはチープだが、かなり衝撃的。
 これまで何かとずれた(と言うか、主に光三が反発するために)発言をしていた大原叔父が、いつの間にか良い叔父さんになってしまった。リカと一緒にトランポリンで遊んだり、すっかり良い叔父さんっぷりを見せる。
 テレサ役はテレサ野田。「ミラーマン」32話にも登場してる。ちょっとしゃべり方が素人っぽいけど、
<舞台が海岸だから倒れてもかまわないのだが、わざわざテレサのパンツを見せる必要があったのか?いや、観てる方は嬉しいけど。
 テレサをかばう光二を「お人好し」となじる光三。君にそれを言う資格があるか?
 テレサのような高性能アンドロイドを作れるガイン星人がやってることは「ガイン、ガイン」と叫びながら街を破壊するだけだった。本当に科学力が高いんだろうか?
 シルバー仮面とガイン星人が闘ってる時にちらっと出てくる看板が妙に気になる。古いテレビドラマのイラストっぽいのだが、それが何だか分からない。
 ガイン星人はシルバー仮面の武器をことごとく研究していたため、シルバー仮面の攻撃は全く通用しなかった。結局新しい武器を出したら終わってしまうのだが…>
第22話 弾丸!ミサイルキック

  監督:田村正蔵
  脚本:上原正三
第23話 東京を砂漠にしろ!!

  監督:福原 博
  脚本:市川森一
 街に現れたフンドー星人を特訓の末、倒すことに成功したシルバー仮面。だがフンドー星人の持っていた巨大分銅が爆発し、街が砂漠と化してしまう。親を失った少年が春日兄弟を責め立てる。
 敵はフンドー星人。巨大な分銅を両手に持っているためにフンドー星人とは、実に分かりやすいネーミング。倒されると、超短波を発してミサイルを呼び込む二段構えの作戦を展開している。都合二体登場する。
 前半はフンドー星人を倒すための光二の特訓が見所。この特訓というのが光三に分銅を持たせて攻撃させるというもの。ノースタントでやっているので、かなり危険な撮影だったように思える。
 それでフンドー星人をやっつけたのは良いのだが、後半になると、その事で責め立てられる春日兄弟の描写があって、なかなかにキツイ描写になってる。前半部分を思わせる話の展開で、やっぱ本作の醍醐味はここにあるんじゃないか?「シルバーは勝った。そして、ひとつの街が消えた」という淡々としたナレーションも良い。
 戦いには必ず犠牲がつきもの。特撮では敢えてそれに目を瞑る事が多いが、この話はまさしくそれを直視しているのが凄い。子供のヒステリーに対し、今回はリカが真っ正面からその非難に反論している。良い使い方だ。
 ラストシーンは光二がリカと遊んでるシーンで終わるけど、少年が光二を許すシーンが欲しかったな。
 ちなみにここでの少年役は「海のトリトン」のトリトン役だった塩屋翼。かつてポセイドン一族を根絶やしにした分、その恨みを込めているのかも?
<光二の髪型がオープニング時と、その後で随分変わってるんだけど、怪我をしたのでついでに散髪をしたって設定だろうか?
 街の破壊でキノコ雲が上がってるが、フンドー星人は核でも搭載してたのか…と思ったら、本当に核ミサイルだった。日本に実際に核を落とすなんて話をよく作れたもんだな(核については言及はしてないけど)。
 落ち込む光二に強大の絆を諭す光一。「俺たち四人が」と言ってるが、やっぱりもうはるかはいないことになってしまったらしい。
 一体目のフンドー星人を倒した瞬間に爆発が起こっているが、二体目の場合、ゆっくりミサイルが落ちてきてる。こんなタイムラグが最初からあれば問題なかったんだよな。>
VOL.6
<A> <楽>
BD BD
第24話 標的はあなた!

  監督:福原 博
  脚本:上原正三
 ひとみの婚約者の工学博士秋山がアメリカでの成果赤外線レーダー装置を持って帰国する。だが、帰国直前から謎の宇宙人によって命を狙われてしまう。その妨害の中、なんとかレーダー装置が完成するが…
 敵はバーナー星人。数多くの光る目を持った宇宙人で、ベム5号とシルバー仮面を宇宙に追い払った後、東京を攻撃する。
 信頼している人に裏切られる。本作において、実に良く出てくるテーマだが、ここではひとみが兄弟を除いて最も信用している婚約者に裏切られることになる。涙を流しながら敢えて婚約者を撃つひとみの悲しさも充分演出されているが、前半の物語とは異なり、ちゃんと人間として復帰できたのは、路線変更のためか。
 今回、シルバー仮面は3回も変身してる。オープニングの歌の間に変身して解除というスピード変身だが。
 前回23話とは異なり、叔父さんは本当に良い人役になってる。回によってころころ扱いの変わる人だ。
 秋山浩役は「帰って来たウルトラマン」の南猛隊員、「キカイダー01」のイチロー役の池田駿介。ヒーローではなく悪役も結構似合う。隈を付けて目を怒らせると、本当に怖い人物に早変わり。今回岸田森との再競演と言う事になるが、それもあってか、岸田も名演ぶりを見せている。
<ひとみには婚約者がいた。それは良いんだけど、逃亡生活続けてる兄弟に何の援助もしなかったのか?
 ひとみの結婚を祝福する光二は自分がいかに家庭的かをアピールするために「洗濯物もやるし、目玉焼きだって作れる」とか発言。子供かこいつ?
 太陽に突っ込もうとするベム5号をシルバービュートで引き戻すシルバー仮面。無茶するなあ…というより、慣性の法則があるから、これは意味を持たないような気もするけど。
 秋山はベム5号をバーナー星に持っていくのが任務だと言っていたが、その後現れたバーナー星人は地球からシルバー仮面を追い払うためだと言っている。騙されてたの?>
第25話 輝け!シルバーレインボー

  監督:田村正蔵
  脚本:井上愉味子
 金属を喰う宇宙怪獣アクリオン星人が現れた満腹して寝てしまったアクリオン星人に対しシルバー仮面ジャイアントが挑む。だが、アクリオン星人の吐く毒ガスに当てられ、光二は重傷を負ってしまう。毒ガス対策に追われる津山博士らだが、その頃、兄弟の叔父大原はあく襟音声人によって脅迫を受けていた…
 敵はアクリオン星人。鉄を喰う宇宙人。目下食欲を満たす以外の欲望はないらしい。
 物語としては、困っている人を前に変身を禁じられたヒーローの苦難、そして兄弟の絆が描かれるたっぷりした描写の話に仕上げられる。。
 後半のシルバー仮面対アクリオン星人の戦いは異次元空間で。プリズム反射がなかなか心地良い描写。
 大原叔父には家族がいる。まあ当たり前と言えば当たり前だが、そういえば全然私生活は描かれなかったな。前回いい人だったのに、今回はアクリオン星人にそそのかされてシルバー仮面を罠にはめるなど、又しても悪人扱い。
 相変わらず大人びたしゃべり方をするリカの描写も良い。
<平和そうに眠ってるアクリオン星人に対し、容赦なく足蹴を喰わせ、更に急所攻撃…これ本当に正義の味方のすることか?
 幼女の前でパンツ一丁になってくつろぐ光二。この時代はおおらかだなあ。
 これまで散々酷い目に遭ってる大原の持ってきた情報を鵜呑みにしてしまう春日兄弟。良い人すぎるぞ全員。
 大原の家の底は板でしっかり目張りされてる。シルバー仮面がどんな持ち方をしても壊れることはなかった。頑丈だ。
 アクリオン星人は死ぬ際多量のガスを放出してる。周囲の人たちは大丈夫なんだろうか?>
VOL.6
<A> <楽>
第26話 アンドロメダ2001

  監督:田村正蔵
  脚本:上原正三
 飛来し、街を破壊するワイリー星人に対し、ベム5号で迎え撃つ春日兄弟。だがミサイルの反応によってワイリー星人の細胞は大気に拡散してしまう。更にその直後に現れた宇宙船を撃破するのだが、そこに乗っていたのは善良な宇宙人アンドロメダ星人だった…
 敵はワイリー星人。巨大化して街を破壊した宇宙人。ベム5号のミサイルによって細胞が拡散し、自在に姿を現す。
 これが最終回。友好な宇宙人の宇宙船を誤って撃墜してしまったという、ショッキングな話から始まり、母性本能が強いひとみとか、あくまで宇宙人は悪い奴だと断定する光三の姿とか、アンドロメダ星人をあくまで信じようとする光一の姿とか、見所は多い。今回の出来事で光三も随分性格は変わったようだ。
 そして、友好な宇宙人を殺してしまった事を反省した光一と光三はアンドロメダに行くことを決意する。最後は兄弟みんなと、更なる未来を託したきくおとリカとでアンドロメダに向かって発信するところでエンド。実に最終回らしい最終回だ。
 津山博士によれば、地球は既に滅亡に向かっているので、外宇宙で友好条約を結べば、後の人類のためになるため、希望なのだという。この時代に作られたにしてはかなりペシミスティックな未来観だ。
 そう言えばこの時代から30年後が2001年だという…あれ?これ未来の話じゃなかったの?
 ただ、最後にワイリー星人を倒すのがシルバー仮面ではなく、人類によるものであってほしかった。そうでなければ、残した地球が心配すぎる。
<怪獣が現れ、その直後に現れた宇宙船を問答無用で攻撃して撃墜する春日兄弟。もうちょっと状況を見ようよ。事実、それで大変な事になってしまう。
 ワイリー星人の攻撃を受けて燃え上がるドリー。全身が燃えてるのだが、ちゃんと生きていた。どう観ても死んでるけどなあ。
 赤ん坊のリンを送り届けるために30年かけてアンドロメダにいこうという兄弟。しかし、これまでこれだけ宇宙人の攻撃を受けていながら、シルバー仮面まで連れていくのか?無責任な。
 結局最終回であるにも関わらず、次女のはるかは出てこなかったな。ちょっと残念。>