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時空戦士スピルバン

時空戦士スピルバン事典
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1986'4'7〜1987'3'9

 14年前に故郷の星クリン星をワーラー帝国に滅ぼされたスピルバンとダイアナは、超時空戦艦グランナスカで地球へと送り出された。そして14年後の今、ワーラー帝国の魔の手は地球へと伸ばされてきた。グランナスカの中で睡眠学習を受けて成長したスピルバン(城洋介)とダイアナ(澄川真琴)はハイテククリスタルスーツに身を包み、地球を守るため、そして母の仇を討ち、連れ去られた父と姉を捜し出すため、ワーラー帝国へと戦いを挑むのだった。
 メタルヒーロー5作目でひとつの区切りとなった作品。本作の大きな特徴はヒーローが単独で戦うのではなく、パートナー、しかも女性二人が主人公と同様変身すると言う点にある。複数ヒーローとして、主人公の単体アクションのみならずパートナーと連携して戦う姿も見所。家族の物語を前面に押し出したのも大きな特徴と言える。スピルバンの父ドクトル・ベンはワーラー帝国に改造され、今や帝国の幹部ドクター・バイオとしてワーラーに忠誠を誓っており、自分の娘にしてスピルバンの姉、ヘレンを改造してスピルバンと戦わせようとしている。何より当のヘレンは自らの意志とは関係なくヘルバイラに変身してしまうと、スピルバンと戦ってしまう事に苦悩する。父、息子、娘の三者三様の苦しみが描かれていた。それが如実に表れていたのが21話で、なんとドクター・バイオまでが参戦し、四者の思いが乱れながら死闘を繰り広げることとなる。
 ヘレンの救出が成し遂げられ、ギローチン皇帝が登場してからは話のバランスが本当に良くなっていく。ヒーローに対する精神攻撃を得意とするギローチンの卑劣さに加え、必ずどこかで笑わせようとする脚本のおもしろさもあり、後半の一種異様とも言えるパワーは特筆すべきだろう。
 出演者も凝っていて、主人公のジャスピオンには「宇宙刑事シャリバン」の渡洋史、姉のヘレンには「宇宙刑事シャイダー」でアニー役を演じた森永奈緒美。父のドクトル・ベン役には歌手の水木一郎(基本的には着ぐるみ状態なので登場回数は少ない。主題歌も歌ってるが、「俺はスピルバン」と歌っている時は、「スピルバンはあんたの息子だろ」と突っ込みたくなる)。対するワーラー帝国の女王パンドラはこれ又有名な曽我町子。超強力な布陣と、デザイナーとして起用された、本作がメジャーデビューとなる雨宮慶太のメカデザインが秀逸で、設定の重厚さ、キャラクターの豪華さ、演出の派手さと、見事に揃った作品となった。確かに前半部分に脚本の甘さは散見出来るが、それを覆ってあまりある見事な作品だと言えるだろう。
 大変質が高く好きな作品なのだが、残念なのが設定。タイトルにあるように「時空」を扱った話はラストで明らかにされるが、ちょっと矛盾が出過ぎたところ…それも本作では味として受け取るべきなのだろう。

主な登場人物
スピルバン
城洋介
(役)渡洋史。「宇宙刑事シャリバン」の伊賀電役、あるいは「巨獣特捜ジャスピオン」に登場するブーメラン役。メタルヒーローシリーズには都合3回出演している。
 ワーラー帝国に滅ぼされたクリン星の生き残りの一人で、グランナスカでダイアナと共に14年の歳月をかけて地球までやってきた。地球では城洋介と名乗る。戦闘時には特殊金属クリンメタル製の戦闘服、ハイテククリスタルスーツを結晶する。決め台詞として「俺の怒りは爆発寸前!」。ちなみに名前の由来はスティーヴン=スピルバーグからだとか。
ダイアナ
ダイアナレディ
(役)澄川真琴。他に「仮面ライダーBLACK RX」の白鳥玲子役。
 スピルバンのパートナー。クリン星での幼なじみで、クリン星滅亡の際、共に難民として脱出するが、スピルバンと二人のみグランナスカに乗せられて、共に地球へ。スピルバンと共に、ハイテククリスタルスーツを結晶してダイアナレディになる。
ヘレン
ヘルバイラ
(役)森永奈緒美。「宇宙刑事シャイダー」のアニー役で有名。アクションをこなせる女優だけに、特撮関係では結構色々出ていた。今回念願のスーツを手に入れたか。
 スピルバンの姉。14年前、ドクトル・ベンとともにワーラーに連れ去られ、幽閉されていた。スピルバン達が地球に来たのを知ったパンドーラの命令で、実の父であるドクターバイオ(ベン博士)の手でヘルバイラに改造され、ヘレンとしての意志を持ったまま地球に放り出される。ワーラーの司令電波を受けると、自らの意志とは関係なく戦わねばならなくなるために苦しむ。最後はワーラーの支配を脱し、特訓によって結晶が可能となる。ヘレンレディとしてスピルバンやダイアナとともにワーラーとの戦いに参戦。
ワーラー  ワーラー帝国を樹立した宇宙の帝王。綺麗な真水にしか住むことが出来ず、しかもワーラーが住んだ水はワーラープランクトンが発生し、汚染されてしまう。その度毎に新鮮な真水を求め、新しい星へと向かうことを繰り返している。この言葉を聞けるのは女王パンドラのみ。その正体は実はパンドラその人だった。
女王パンドラ (役)曽我町子。特撮界での重鎮の一人。テレビ黎明期の頃からアニメや特撮と言った子供向け番組に積極的に参加していた。
 ワーラーの言葉を聞くことが出来る唯一の存在で、「ワーラー様はこう言っておられます」と皆にその指令を伝えている。このシリーズは結構演技は抑えがちなのだが、ニコニコ笑いながら平気で残酷なことを言い放つ辺りの存在感は流石。スピルバンを「スピルバン坊や」などと呼ぶ
ギローチン皇帝 (役)ミッキー・カーチス。歌手としてもタレントとしても有名。テレビドラマでは本作が初出演作となる。
 ワーラーの子孫で、スピルバンによって地球が守られたと仮定された23世紀に住む不遇な存在。女王パンドラが23世紀から呼び寄せ、皇帝として迎える。つかみ所のない存在ながら、その卑劣極まりない作戦はシリーズ後半の目玉となった。
リッキー (役)西脇美智子
 スパイ軍団の一人。人間の感情に働きかけ、堕落させることをよく計画する。36話でヨウキに敵意を燃やしたがため、固められ、ヨウキの椅子にされてしまう。
ドクター・バイオ (役)高橋利道
 ワーラー帝国の幹部。元はクリン星の科学者でスピルバンとヘレンの父ドクトル・ベンが改造された姿。ベンの意識は殆ど失ってしまい、スピルバンを倒すため戦闘生物を作り出す悪の科学者として
シャドー (役)寺戸千恵美
 スパイ軍団の一人。25話でガシャーと連携してスピルバンに向かうが、あっけなく殺されてしまう。
ガシャー (役)山科まこ
 スパイ軍団の一人。25話でシャドーと連携してスピルバンに向かうが、あっけなく殺されてしまう。
ドクトル・ベン (役)水木一郎
 スピルバンとヘレンの父親。クリン星の高名な生物科学者。
デスゼロウ将軍 (声)飯塚昭三
 ワーラー帝国幹部で女王パンドラの忠実な僕。戦闘機械人を操るサイボーグ戦士。時に実戦に出てスピルバンと死闘を繰り広げることもあり。
小山大五郎 (役)伊東克信
 町の発明好きのおじさん。天才的な頭脳を持っているようだが、やることなすこと失敗ばかり。良い具合にコメディリリーフとして存在してくれてる。
話数 タイトル コメント
第1話 ペアでドッキリ! コンビで結晶

  脚本:上原正三
  監督:辻理
 地球にワーラー帝国の魔の手が伸びる。カナダでワーラー帝国の秘密基地に潜入したスピルバンとダイアナは、基地の爆破に成功するが綺麗な水を求め、ワーラー帝国は次に日本を狙ってきたのだ。
 最初から視聴者を置いてけぼりにして始まったシリーズとなった。冒頭から戦いの連発で、男女二人が変身するし、武器だって山ほど出てくる。謎の回想シーンも多用されていて、実際殆ど物語のパターンを出し惜しみ無く出し尽くした感じがある。完全に視聴者を置いてけぼりにした話となってしまたが、シリーズの開始だと、戸惑わせておいて、後で説明を入れることで理解させるというのも一つの売りには違いあるまい。
 最初の敵はとりあえずワーラー帝国の幹部連中を出しておいてメカショルダーを出す。両腕を切り落とされても背中の蹄鉄のようなリングでスピルバンを挟み込んで苦しめる。
<女王パンドラは地球をヘドロの星にしてしまうと言っているが、それって「電子戦隊デンジマン」のへドリアン女王…>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 グッバイ・ママ! 二人はハイテクヒーロー 

  脚本:上原正三
  監督:辻理
 ワーラー帝国によって滅亡の危機に瀕したクリン星の人々は、二人の子供スピルバンとダイアナに未来を託したのだった。14年という長い年月を経て、ワーラー帝国の侵攻から地球を守るためにやってきたスピルバンとダイアナ。だが、ワーナー帝国にはスピルバンの姉ヘレンが捕らわれており、しかも父ドクター・バイオが幹部となっていたのだった。
 敵はメカバンダー。完全にロボット然とした相手だが、造型にはかなり力が入ってる。戦ってる間に相手のデータを解析するらしいがかなりの高性能っぽい。
 一話目が視聴者を置き去りにしていた分、ここで物語の説明がしっかりなされている。
 冒頭からいきなりストーリーの展開を見せる。敵幹部がスピルバンの父と姉。こう言うのだったらむしろもっとストーリーが進んでからやるべきもの。後のストーリー展開にそれだけの自信があると言うことだろうか?
 スピルバンの乗機としてホバリアンおよびガイオス登場。
<クリン星生まれのスピルバンとダイアナの過去もここで語られることになる。なんと12年間睡眠学習のまま生きてきたそうな。知識はコンピュータが与えてるそうだが、全部地球の知識与えてどうするんだ?わあ。阪神の優勝までインプットされてるんだ!クリン星の文化と科学力には脱帽するしかないな。
 しかし、ワーラー帝国も純粋な水を求めるんだったら、
なんで関東周辺に基地を置こうなんて考えるかな?
第3話 ハロー・地球 青い海のアダムとイブ

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 パンドラ女王はドクター・バイオの娘にして、スピルバンの姉ヘレンを戦闘員に改造し、ヘルバイラとしてスピルバンとで戦わせようとする。一方スピルバンは生き別れになった姉の姿を目にするのだが…
 敵はメカジョーカ。体内に様々な火器を隠し持つ戦闘用ロボットで、機械製の触手を持ち、そこからレーザーを出したりするのだが、あっけなくアークインパルスで爆発。出てた時間3分に満たないんじゃないか?
 父により改造されてしまうヘレン。うわー、思い切りマッド入ってるじゃん。苦悩の末娘を改造しようとするドクター・バイオの姿は正統なるマッドサイエンティストの姿だ
 グランナスカが初めてカノンフォーメーションを取り、ビッグバン・カノンを撃つシーンがあり。以降これはバンクで多用されることになる。
 過去の話が断続的に挿入され、敵方の描写もかなりのパートで入るため、全般的に駆け足で展開した話となった。
<それにしても14年の間別れ別れになっていて、どこにいるのか分からない姉のヘレンが地球にいることを察することが出来るなんて、スピルバンの洞察力は凄いな…要はご都合主義だという話もある。>
第4話 エンゼル?悪魔? 少女仮面ヘルバイラ

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 スピルバンの前に立ちはだかる新たな刺客ヘルバイラ。だが、それは実はスピルバンの姉ヘレンの変わり果てた姿だったのだ。ヘルバイラに姉の姿を重ねたスピルバンは苦悩する。
 敵としてヘルバイラが登場した分、戦闘機械人の登場は無し。
 いよいよスピルバンの姉ヘレンが敵として登場。肉親同士の対決が本作品の肝と言えるので、いよいよ本格的に動き出したと言ったところ。
 又、ワーラーという存在がどのようなものかがここで明らかにされる、ここに来るまでにスピルバンの故郷クリン星のみならず、ピアス星、リリィ星という星々を死の星に変えてしまったという。
 ヘルバイラにかかずらわってるスピルバンに代わり、ダイアナレディが単独で結晶。なかなか格好良い。雪の中の戦いも見栄えがする…しかし、雪のある場所と無い場所の転換がちょっと激しすぎ
<コメディリリーフとして登場する大五郎さん、今回は透明人間の薬を発明したとかで、いきなりふんどし一丁で町に出てしまう。>
第5話 惑星よりも遠い・・・姉・そして弟

  脚本:上原正三
  監督:辻理
 世界中のコンピュータを自在に操ろうとするワーラー帝国によるゼロワン作戦が開始された。世界中のコンピューターを自在にコントロールし、パニックに落としいれようというのだ。指令パルスがある限り、ワーラーから逃げることが出来ないヘレンはスピルバンをおびき寄せる罠として使われてしまう。
 敵は戦闘機械人メカピューター。ゼロワン作戦の発動のため、陽動として用いられる。スピルバンの動きを読み取り、攻撃をことごとくかわす。更に肩からアンテナ状のものを伸ばし、怪光線を発する事が出来る。スピルバンとダイアナレディのダブルスナイパーを食らった上でアークインパルスで殺される。
<ヘレンが牧場で働くシーンがあるが、あんなぴしっとしたスーツ姿で働くのは無理じゃないかな?スタイルを統一しようとしたのかも知れないけど、ここでは逆効果だった。
 ゼロワン作戦は世界中のコンピュータを操ろうというものだが、それができるんだったら、あんな派手にやらかさない方が効果的なんじゃないかな?
 モニターを通して女王パンドラが初めてスピルバンに語りかけるシーンがあるが、そこでの呼びかけは
「スピルバン坊や」だった。坊や呼ばわりされるヒーローってのもなあ。>
第6話 戦闘生物のふしぎ細胞

  脚本:上原正三
  監督:辻理
 都内で行われている古代秘宝展に展示されていた天使の涙が盗まれた。現場に急行したスピルバンの前に現れたのはドクター・バイオにより作り出された戦闘生物グシャだった。
 敵は戦闘生物グシャ。本体の姿は一本足の不格好な怪物だが、自らの姿を自在に変えることが出来、スライム状となってどんな場所にも入り込んだり、人間に擬態したりもする。更に電撃を出すわ、レーザースナイパーが効かないわで、相当に強い。
<戦闘生物の話を聞いて、即座にこれを作ったのはスピルバンの父ベンであると看破するダイアナ。14年も前の話で、しかも自分たちは年端もいかない子供だったのに、それが分かるとは、なかなかのご都合主義だ。
 しかし、いろんな職を転々としてるヘレンだけど、資格とかどうしてるんだろう?>
第7話 キンクロンも踊りだす人魚島

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 海底深く建造されたワーラーの秘密工場では海水を真水に変える研究が進められていた。調査のため人魚島に向かったスピルバンの前にワーラー帝国が立ちふさがる。
 敵は戦闘機械人メカノーチラ。海底秘密工場を守っている戦闘機械人だったが、本当に強い。結局スピルバン単独で倒すことが出来ず、ダイアナレディとの連係攻撃が本作の重要な要素となっている。
 ヘレンが出てこないので、ストーリーそのものもかなり明るい…と言うか、結構おちゃらけた話となってた。子供向けの番組で色仕掛けを前面に出したり、男同士がキス(頬だけど)するシーンを使うなど、凄い作品でもある。更にダイアナはダイアナで必殺技ダイアナヒッププレスを炸裂させてるし。
 「もっともっとペンペンなさいなさい。スピルバン坊やが息絶えるまで」というパンドラの命令に対し、「ペンペンします」と答えるデスゼロウのやりとりが微笑ましい。
 大五郎の家に集まるこども達が城の職業を推測して、一発「インターポール!」その発想が凄いけど、前作「巨獣特捜ジャスピオン」ではスピルバン役の渡洋史が実際ブーメランとしてインターポール役やってたのが面白いところ。
第8話 ダイアナの怒り・涙・ほほえみ

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 ワーラー帝国はこれまでのデータから、スピルバンとダイアナレディの連係攻撃が最大の脅威であることを悟り、それに対抗するために二人を分断しようとする。湖畔でダイアナを見かけたヘレンは、危機を伝えることが出来ないことに歯がみする。単独で戦闘機械人マジンと戦い、ボロボロにされてしまうダイアナレディ…
 敵は戦闘機械人マジン。スピルバンとダイアナレディを分断し、ダイアナレディを単独で攻撃する。両肩に装備した機関銃により、ダイアナレディに瀕死の重傷を負わせるが、やはり最後は二人の連係攻撃によって倒されてしまう。
 これまであくまでサポート役に徹してきたダイアナが主人公の話だが、やはり単独ではスピルバンほどの力はないらしい。ただ、回復力だけは凄まじいね。だって重傷だったはずなのに、ラストではしっかり笑顔見せてるもん(ご都合主義なだけだが)
第9話 ヘレンが……?! おれの怒りは爆発寸前

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 スピルバンを苦しめるヘルバイラはついにスピルバンに重傷を負わせる。ヘルバイラが姉のヘレンではないかと悩むスピルバンは、どうしても本気でヘルバイラを攻撃することが出来なかったのだ。
 本シリーズ前半のメインストーリーであるヘレン=ヘルバイラとスピルバンの話を中心に描く。又、スピルバンとヘレンの父であるドクトル・ベンがどのようにしてドクター・バイオとなったのかも。ベンは娘の身を案じるために自らをワーラーに差し出し、当のヘレンは弟と戦いたくなくも戦ってしまう。悲しき親子関係が描かれるが、それが本作の面白さとなっているのは事実。 
第10話 ドッキリ ゴックン・ビジョジョロボット

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 いつも金にならないロボットを作ってばかりの大五郎の元に突然美女達が押しかけ、その才能を褒めよさす。浮き上がった大五郎は最高傑作のお手伝いロボット、ロボタを完成させるのだった。だが、それはスピルバンの隙を作るためのスパイ軍団の罠だったのだ。
 敵はメカロボター。大五郎の作ったお手伝いロボットであるロボタにスパイ軍団が細工を施して対スピルバン暗殺ロボットとして仕上げられる。スピルバンの隙をついて毒針を刺そうとするが、失敗。本性を現す。
 これまで助手的な役割ばかりで今ひとつ存在感の無かったワーラー帝国スパイ軍団が中心となった話で、人の心を操ろうとする彼女たちの活躍が見られる…でもやっぱり存在感は薄いな。
第11話 へんてこりんなロボットガンマン

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 不敵にもスピルバンに正面勝負を挑む戦闘機械人メカガンマン。だが、その戦いを通し、スピルバンの全能力は解析されていた。一方復活したメカガンマンは町でスピルバンを倒す紙芝居をしてこども達の大人気となる。
 敵はメカガンマン。テンガロンハットに猟銃を持つという典型的な西部劇のスナイパーの格好をしてる。ふざけた言動をスピルバンに浴びせかけるが、その実力は大変高い。スピルバンの攻撃能力を解析し、必勝を期す。ミニバイクにまたがって移動する。この辺りから戦闘機械人は名前と容姿が一致するようになってきた。
 メカガンマンは結構不気味で怖い姿をしてるが、発言とかやってることに結構おちゃらけがあり、結構味がある存在。
 メカガンマンとスピルバンの戦いはスピード感に溢れ、大変見応えがあった。目の前でメカガンマンによって撃たれてしまったダイアナを見たスピルバンの怒りがデータ以上の力を発揮すると言うところも含め、全編に渡った戦闘シーンは大変な力作と言って良し。
 レーザーについての講座が語られ、レーザースナイパーの説明が長々と語られるのが面白いところ。レーザーが医療用とか軍事用に用いられてるとか。結構為になる…って分かってることばかりだけど(笑)
 この回からEDテーマが「結晶だ!スピルバン」に変更。これまでが結構しんみりした曲だったのが、勇壮なイメージに変わった。
第12話 未来ハウスのかなしい子犬たち

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 未来ハウスという懸賞企画でマイホームがマサルの家族にプレゼントされた。大喜びする家族だが、徐々に彼らは金儲けの事ばかりを考えるようになっていった。マサルだけがその家の怪現象に気付いていた。頻発するポルターガイスト現象。スピルバンはこれをワーラーの仕業と見抜き、調査を開始するのだが…
 敵はメカフリーザー。未来ハウスの冷蔵庫、電子レンジ、ステレオ、掃除機が合体して生成する。なかなか面白いデザインをしてる。ちなみに声は無し。
 人間の感情に働きかけ、堕落させようと言うワーラーの計画。こういった感情を主題とした作品はやっぱり見栄えするな。良いお話だよ…でも、わざわざスピルバンの知り合いにこれをやったと言う時点でワーラーの敗北は決まっていたような…
 スピルバンの料理姿が見られる貴重な回でもある。
 ところでマサルの姉が「歌うプロレスラー」とか言われるようになってるけど、これって『逆噴射家族』(1984)での工藤夕紀そのまんまだ。
VOL.2
<A> <楽>
第13話 パパがんばれ!ちびっ子ママの目玉焼き

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 バイオテクノロジーの権威・村田教授が誘拐された。その娘サチコと出会ったスピルバンはサチコの行動に不審なものを覚える。実はこれはワーラー帝国のデスゼロウ将軍による戦闘生物制作の第一歩だったのだ。
 敵は最初はデスゼロウ将軍が地球人に作らせた名前のない戦闘生物で、タコのような生物で、戦闘能力はさほど高くない。その後ドクター・バイオが作った戦闘生物ワタジャが登場する。これは雲だか綿だかクラゲだかわからない姿をしているが、高圧電流を持っていたり他の物質に寄生して襲ってくる。又、デスゼロウ将軍との直接対決も描かれる。
 最初からドクター・バイオを快く思ってないデスゼロウ将軍がここではドクター・バイオに、ヘレンに爆弾を積んでスピルバンに抱きつかせろ。とか抜かす。人間爆弾とは、表現上、ちょっとやばいような…それと何故ドクトル・ベンがドクター・バイオとなったのかも語られる。話としては結構盛りだくさんながら、バランスは良い。それと最後に女王パンドラはしっかり働いたものにはちゃんと褒美を取らせるなんてこともしてるのが印象的な回だった。ここではドクター・バイオの願いを聞き、ヘレンの司令装置が破壊された。
 大五郎の台詞「僕、考える人」って、大昔のテレビCMか?
第14話 あの星がおれたちのあしたの地図だよ

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 ワーラーによりジャックされた幼稚園バスをスピルバンが追うが、そこに現れた戦闘機械人ドリルハンダーに襲われ、ホバリアンを捕獲されてしまう。ワーラー帝国はクリンスターエネルギーを分析し、グランナスカを無力化しようとしていたのだ。幼稚園児およびホバリアンの救出に向かうスピルバンだったが…
 敵はドリルハンダー。右手と頭及び肩がドリルになってる独特の形態を有し、右手のドリルは発射することも出来る。単体では結晶したスピルバンに勝る力を持つが、ホバリアンとの連係攻撃によっていたぶられ、最後にホバリアンに乗ったままのスピルバンのアークインパルスにより破壊される。
 定番とも言える幼稚園バスジャックから話が始まるが、話の展開としては、むしろスピルバンの過去やホバリアンの存在意義のようなものが描かれる。話自体はまとまりがないし、説明された設定に矛盾があるのだが、サービス精神だけは満点。
 ホバリアンが意志力を持つことが明らかにされる。と言うか、スピルバン本人も知らなかったらしい。目の前でピンチに陥ったスピルバンを救うため、自らの戒めを絶ち、救いに駆けつける。この設定は後の『仮面ライダーブラック』のバトルホッパーに受け継がれたようだ。
 今回はダイアナによる色仕掛けが見られる。キンクロンに向かって投げキスをしながら「素敵よ」とか…う〜む、ヒロインらしいと言うからしくないというか。ここでも必殺技(?)のヒッププレスを堪能出来る。
第15話 海だ!太陽ギラギラ ウインク ゴックン

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 千葉の勝浦で続発する電気クラゲ事件の真相を追って、海岸へとやってきたスピルバン。そこには電気クラゲに刺された人間達がこぞって海に入りたがっていた。実はワーラー帝国による人類海棲人化計画が発動したのだ。
 敵はウミジャ。ドクター・バイオの作り出した戦闘生物で、電気クラゲを放出し、そのクラゲに刺された人間は皆海に入りたがるようになる。スピルバンとダイアナがその辺にある釣り竿で釣り上げられる。
 敵を倒したら病も消える。話は単純だし、半分遊びの回と思って良いか?
 夏だ。海だ。と言うことで、ダイアナも水着姿となり、その格好でヒッププレスをやってくれるサービスぶりを見せる。
 最後にホテルのオーナーらしき人が現れるが、これはホテル提供のお礼だろうか?
第16話 ワーラーがひそむブクブク地底湖

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 綺麗な水を産する静かな村にワーラーが滞在することになり、近隣の村はワーラー帝国により接収されてしまう。を襲った悪魔の儀式。生贄となった村人の運命は!?村を救うべく少年は走る。急げ、スピルバン!
 敵は戦闘機械人ボスコング。ゴリラとゴジラを合わせたような風貌をしている怪力ロボット。装甲も固く、剣も通らず。又、スパイク付きの巨大な手を飛ばして攻撃することも可能。
 冒頭でワーラーのテーマソングが聴ける。「ぶくぶく…わっわっわ〜ら〜」なんかすげえ歌詞。
 ワーラープランクトンも無いのに、「ワーラーの気配がする」と言って勝手に捜査を進めるわ、少年を見ただけで村が襲われてることを察するわ、今回のスピルバンは勘が冴えまくってる。南光太郎並だ(笑)
 重いストーリー展開のはずなのに、都合3曲も軽い歌ばかり流したため、大変展開は早い上に、ストーリーが今ひとつ活かされてない印象を与える。
第17話 迷宮のゲームゾーン

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 TVゲームの中に閉じ込められた少年を追って城洋介はゲームゾーンに迷い込む。悪夢に取り憑かれ、スピルバンに結晶できない洋介。現実世界では、徐々に弱っていく洋介のダイアナが回復をひたすら願っていたが…
 敵は戦闘機械人ブロッカー。デザインとか相変わらず良いのだが、話の大部分がスピルバンの夢の中で展開するため(夢の中でも2体ばかり出てきてたが)、あんまり登場時間が長くないのが残念。機械を取り付けることで人間に悪夢を見せたり、手とか首とか切り落とされてもまだ立ち向かってくる。
 ゲームゾーンに取り込まれたスピルバンの戦いが描かれるのだが、悪夢を見ているかのような演出がなされ、極めて不条理な世界が展開している。町の人に襲われたり、人間がみんなが人形になったりし、結晶も出来ない…それにしても町の人に襲われてるスピルバンが「止めろっつってんだろ、オラァ」って、これ又ヒーローらしくない言葉を使ってる。
 時々こう言うのがあると良いね。それに私は夢を題材とした話が大好きだし。夢の中と現実の両面で物語が展開するため、ダイアナの存在を上手く使っていた。
 本シリーズでは結構抑えた役柄をしている曽我町子が久々に大声で笑い、大声を上げてるのがなかなか小気味良い。
第18話 コップの中に光る虹の橋

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 かつてワーラー帝国に滅ぼされ、地球に移住していたプラント星人の少女花梨と知り合うスピルバン。一方ワーラー帝国のドクター・バイオは花梨の身柄を奪おうとするのだが…
 敵は戦闘機械人ドーベラー。ドーベルマンをベースにしたデザインで、腹の中に偵察や攻撃に使える小型機械を仕込んでいる。それだけでなく今回は花梨というプラント星人も登場。セーラー服の女子高生の姿をしているが、かなり強く、キンクロン程度だったら歯牙にもかけない。又、久々にヘルバイラも登場してる。
 水生植物人間と乾燥植物人間の合体により、究極の植物人間を作り、ワーラーに滅ぼされたプラント星に戻ろうとする少女の戦いが描かれる。しかし、最後の最後、なんと受粉が失敗。少女は水中花に身を替え、湖の中にひっそりと咲き続ける…悲劇的だがいい話じゃないか。
 そう言えば、他の女性にうつつを抜かしてるスピルバンの姿にムッとするダイアナの姿も拝めるが、なかなか可愛いところある。
 前話と言い今作と言い、不思議な世界を舞台に上手くまとめ上げている(この2話だけは監督が小林義明が担当してるのが理由だろうか?)。この人、相当の曽我町子ファンじゃなかろうか?女王パンドラの描き方が大変よろしい。
第19話 ハッとする危険回路のかくしワザ

  脚本:小林義明
      上原正三
  監督:小西通雄
 大五郎の先生である天才ロボット博士の大野博士が自らの子供のように大切にしていたロボットたちが突然暴走。叛乱を起こし始めた。ワーラーのロボット改造計画が発動されたのだ。危機を察知したスピルバンは計画を阻止するため、
 敵はデンジラー。電磁波を発するだけに、パラボラアンテナのような姿をしてる。こいつが放つ電磁波が大野博士の作ったロボットを狂わせ、人間に反乱を起こさせる。又、電磁波の応用で金属を引きつけることも出来、スピルバンを拘束しようとする。それ以外に大野博士が造った怪力ロボットのサムソンが登場する。デンジラーの攻撃を受け、スピルバンを攻撃するが、大野博士が回路を元通りにすることで、機能を回復する。
 大五郎の師匠である大野博士。白髪頭ではあるが、演じてる人間は結構若い…なるほど走ったりアクションをこなしたりさせるためか。納得。
 人間が作ったロボットに反乱を起こさせるというのはいい手だと思うのだが、綺麗な水を求めるというワーラー帝国の目的とは大きくずれてるような気がするんだが…
第20話 愛と哀しみの人造人間

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 ロボット工学の権威である坂田博士が日本に帰国した。博士のアンドロイド技術を狙うワーラー帝国は博士を誘拐し、博士の妻の夏子を拷問して協力を迫るのであった。博士を守りきれず友会を許してしまったスピルバンとダイアナは博士の行方を探し求めるが…
 敵はシャリンダー。マンモスのような容姿を持ち、円盤を投げつけて攻撃する。又、電撃を操ることも出来、坂田博士の妻夏子を破壊する。専用の変幻自在のジープを持つ。
 本作は坂田博士の奥さんが実は…という衝撃的なオチを用意しているのだが、実際はタイトルを見れば丸分かりだったりする。
 優れたアンドロイド技術を持つワーラー帝国も、人間そっくりのロボットを作ることは出来ないというのがちょっと不思議な感じ。ストーリー上必要だったのだが。
第21話 女王が歌う悪魔のヘ短調

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 自らの娘ヘレンを救い出すため、ドクター・バイオは自らをバイオロイドとして生体強化し、スピルバンを倒さんとする。富士峠でヘルバイラとなった姉のヘレンと父ドクターバイオとスピルバン・ダイアナの決戦が始まった。
 間違いなく前半の山場。ここで初めてスピルバンはヘルバイラが姉のヘレンであること、そしてドクター・バイオが父ドクトル・ベンであることを知る。たった四人となったクリン星の生き残りが死を賭けて戦う姿が描かれる。凄い話だ。
 オープニングで脳髄だけになってたドクター・バイオとか、トマトに襲われるスピルバンとか、変なところでも見所は多い。何より、タメにタメてヘレンがヘルバイラに変身するあたりは見事な出来。使用された火薬の量も半端じゃない。
 残念なのはこれを一話でやってしまったことか。出来れば2話続き物として、しかも最後は爆発で終わるような単純なオチで終わらせないで欲しかった(結局全員生き残ってるし)。
 これまでさほど個性を出してなかった女王パンドラが陰謀を巡らしてる時の本当に楽しそうな姿は、なんとも素晴らしい。曽我町子の魅力全開と言ったところ。
第22話 黒ミサはカゲキなビートで

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 ワーラー帝国は、スピルバンの弱点である、人間にスピルバンを襲わせる作戦に出た。黒ミサの儀式を行うことで催眠術により肉体を強化されスピルバンに敵意をむき出しにして襲いかかる若者達。
 敵はサータン。別段鼻は長くない。ターバンを巻いた人間の姿で若者達を悪の道に誘い込むが、肝腎な戦闘機械人の姿では殆ど個性無し。
 前話から一転。ドクター・バイオなきワーラー帝国は相も変わらず地球侵略をやってるし、「犬も歩けば棒に当たる」方式で、偶然事件に出くわしたスピルバンが行き当たりばったりに戦うスピルバンも相変わらず。前話の盛り上がりの後だけに、肩すかしにあった気分。脱力系の笑いも用意されてるし。
 ここにはパンクバンドが登場するけど、そう言えばこの時代に聖飢魔IIが流行りだしたんだっけ?それにしても下手な歌だな
 それにしても兄の人が変わったと言うだけで通りすがりの人間に助けを求める少女ってのもなんだが、それを簡単に受けてしまうスピルバンもスピルバン。いい加減な
 ラスト、洗脳が解けたロックバンドのボーカルが遊びでダイアナを襲ったふりをしたところ、ダイアナが突き飛ばして怪我を負わせてしまい慌てて逃げるスピルバンとダイアナの姿が印象深い。
第23話 兄と妹が鬼伝説の山を走る

  脚本:会川 昇
  監督:小西通雄
 昔から鬼が住み、人間を襲うとされていた竜神山。そこに起こる異常現象は外宇宙から送られてきた隕石が埋まっているためだと主張して学会を負われた米田博士が自らの学説の正しさを証明するため山に入った。しかし、彼の学説は確かに当たっており、その重力制御の出来る隕石を求め、ワーラー帝国の暗躍が始まっていた。幼い娘を人質に取られ、選択を迫られる米田博士…
 敵はゴドラー。この話は鬼がモティーフとなっているので、それに準じたデザインとなっている。胸から発射するミサイルで暗闇の中でスピルバンを苦しめる。又身体を丸くすることで、球状となり、突っ込んでくる。
 ワーラー帝国はそもそも真水を求めて地球に来たはずなのだが、これまでの作戦で水に関した話が少ない。今回珍しく本来の軌道に戻ったと言うことか。
 デスゼロウ将軍が直接指揮した作戦となっているのだが、ワーラー帝国の重鎮であるはずのデスゼロウが不意を突かれたからと言って、犬に襲われた程度で尻餅をつくと言う情けない姿も見せてくれる…その犬もいかにも人が放り投げたような弛緩した姿だったが(笑)
 話自体はベタだが、山中スタント無しで危険な撮影をこなした子役を含めた出演者に拍手を送りたいところだ。
 どんどん女王パンドラの存在感が大きくなっていくのは、曽我町子ファンとしては大変嬉しい。
VOL.3
<A> <楽>
第24話 2201年から来たギローチン皇帝

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 度重なるスピルバンの妨害により、200年後の地球からワーラーは駆逐されていたが、そこにはワーラーの末裔たるギローチンという男が住んでいた。すっかり落ちぶれ、その日の食事にも欠くギローチンの元に声が響く。200年前の地球に戻り、スピルバンを倒せ。と…一方、デスゼロウ将軍は自らスピルバンとの決着を付けるため、ダイアナを誘拐し、スピルバンを待ちかまえるのだった。
 後半の要ギローチン皇帝が初登場。200年後の世界から来たのだが、その世界ではホームレスをしているという、すっかり落ちぶれた姿で最初に登場してる。極めて情けない描写を最初に出しておいて、実は相当な能力を持つというのは面白い描写だ。現代に現れた時の描写はモロにターミネーター(1984)だったけど。結構とぼけた性格してるので、これまでにない存在感を醸してくれている。
 今回戦いではほとんどデスゼロウ将軍が放つキンクロンとの戦いとなるが、キンクロンは自分の頭を外して投げつけて爆発させるという妙な技を会得している。そしてデスゼロウ将軍はデスゼロウ魚雷となり、自ら特攻をかけてくる…結果、ビッグバンカノンによりボロボロにされてしまうのだが。
 ここから本当の後半が始まると言う宣言のような回だった。
第25話 皇帝製のニュー機械人がギリギリに迫る

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 ギローチン皇帝が動き出した!新しい戦闘機械人がギローチンにより作成され、スパイ軍団のシャドーとガシャーにスピルバン抹殺指令が下される。
 敵はニュー戦闘機械人パンチャー。巨大な万力のような腕を飛ばし、相手を挟み込んで攻撃する。尤もこれは時間稼ぎで、倒された後のガシャーとシャドーの連係攻撃の方が本当の攻撃となる。
 冒頭でヘレンとドクター・バイオがまだワーラー帝国にいることが分かる。パンドラに裏切られてもまだこんな所にいたんかい!又、デスゼロウ将軍とギローチン皇帝との反目が描かれるが、デスゼロウ将軍が無茶苦茶性格悪くなってる
 前話に続き、今回もダイアナが人質に。ちょっとパターンが過ぎるんじゃない?
 アークインパルスを放った瞬間、スピルバンは全てのパワーを失うとされるが、実際はちょっとくたびれただけ。と言う感じで、あっけなくガシャーとシャドーの連係攻撃を打ち破った。以降スピルバンはアーク・インパルスを発動させる際、「俺の怒りは爆発寸前」という言葉を使わなくなる。
第26話 二人ヘレンが愛の心を引きちぎる

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 かつての戦いで倒された姉ヘレンと父ドクトル・ベンの安否を気遣うスピルバン。一方ギローチン皇帝は精巧なヘレンのアンドロイドを作り上げ、ダイアナとスピルバンを罠にはめようとするのだった。
 敵は(一応)アンドロイドヘレン。実際はニュー型戦闘機械人メドー。本性を現すと、ギリシア神話のゴーゴン(メドゥサ)に似てるからメドーか。
 ヘレンのアンドロイドにだまされ、重傷を負ったダイアナを前に、「こんな事ならあの時(ヘレンが)死んでくれた方が良かった」とかえらく物騒なことをスピルバンが言っている。
 最後、メドーが姉ヘレンであるかもしれないと悩みながらも真っ二つにした上に、ギローチン皇帝が連れてきたヘレンもレーザースナイパーで撃ち殺してしまうスピルバン。これを繰り返していけば、本物のヘレンまで殺しそうだ。この作戦を続けていたら、スピルバンは勝手に自滅するだろうにねえ
 ラストでダイアナを抱きしめるスピルバン。特撮作品では珍しい演出だが、よくはまってる。
 徐々に壊れていく(と言うか、本性を現してきた)曽我町子演じる女王パンドラの個性が光る回だ。
第27話 美しき逃亡者を急襲する吸血毒牙

  脚本:滝沢一徳
  監督:小西通雄
 永遠の若さと活力を保つ「青い血液」を保有するが故にワーラー帝国に狙われ続けるポーコス星人の恋人エーギルとロミが地球に不時着した。襲いかかるワーラー帝国にエーギルは捕らわれ、ロミだけをスピルバンは保護する。多量の血をほしがるワーラーは、エーギルのみならずロミの身柄を確保しようと魔の手を伸ばすのだった。
 敵はニュー戦闘機械人カーミラ。前回に続き戦闘機械人の名前は物語から持ってきている。機械と生物の複合体のような姿が特徴的だが、こいつはコウモリとカンガルーの合成のように見える。長い口吻を持ち、そこから生物の血を吸う…それでカーミラか。最後はデスゼロウ将軍との連携でスピルバンを挟み撃ちにする。
 永遠の若さを保証するというポーコス星人の青い血液を巡る戦いが描かれる。地球人の赤い血との対比のためか、やたらと劇中赤色と青色が演出されていた。
第28話 赤ちゃんこんにちは・23世紀レッスン

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 ワーラーの次なる作戦は生まれてくる赤ちゃんを全て怠け者にしてしまおうというもの。ベビーセンターの胎教セミナーに参加した大人達に悪魔のメロディを奏でるCDを配り、それを聞いた母親を、そして生まれてくる赤ちゃんを洗脳しようとする。
 敵はニュー戦闘機械人ディスク。今回CDを素材としているだけに、それと合わせてのことだろう。こいつこそが人を怠惰にさせるCDの製造工場だったわけだが、倒されるとCDが焼けなくなってしまうわけで、作戦自体が間違ってないだろうか?
 最初にチェリーベビーセンターなる場所で公開セミナーを行っている女王パンドラ。曽我町子の怪演と相まって、なんか凄い光景になってる。結構似合ってるじゃないか(笑)
 ダイアナの変装(と言ってもサングラスをかけただけ)とか、初めてグランナスカのコンバット・フォーメーションが見られるとか、なかなか見所も多い話となった。
 しかし、ここでのワーラー帝国の作戦って、赤ん坊を怠け者にして、その又赤ん坊を…で、23世紀までに日本人を全員怠け者にしてしまうと言うもの。劇中では「壮大」と言っていたが、単に気が長すぎるだけなのでは?
第29話 1+1=5?ダイアナつぶし作戦

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 スピルバンの力の源であるダイアナを潰しにかかるギローチン皇帝は、ヘレンを用い、ダイアナをスピルバンから引き離す。ヘルバイラとなり、ダイアナに襲いかかるヘレンに、ダイアナは…
 敵はニュー戦闘機械人オフサイド。ラガーマンのような格好に、ご丁寧に頭にはラグビーボール型の爆弾が付いている。ヘルバイラとの共同攻撃でスピルバンから分断されたダイアナを良いように苦しめる。
 ここから3話に渡って展開されるヘレンの物語で、久々のヘルバイラの姿が見られる。
 確かにギローチン皇帝が登場して以来、物語の質が変わってきた感じ。コミカル性を保持しつつも、徹底的に卑怯に精神を攻撃していくワーラー帝国の姿はかなり良い描写となっている。特にヘルバイラに毒を受けたため、キンクロン程度に苦戦するダイアナ・レディの姿が情けなくて大変よろしい。
第30話 涙の再会。そしてドクター・バイオは…

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 ダイアナを倒したギローチン皇帝は次なる目標をいよいよスピルバンに定める。ヘレンを催眠状態にし、指輪に仕込んだニードルガンでスピルバンを倒そうとする。
 敵はニュー戦闘機械人クルマン。ライトバンに変形し、スピルバンとヘレンをひき殺そうとする。そのまんま車かい!車に変身すると防御力を増すらしく、レーザースナイパーをはじき返している。
 冒頭で脳だけになったドクター・バイオとギローチン皇帝との会話。ここまでされて未だワーラーに忠誠を誓うドクター・バイオの存在が痛々しい。しかし実は…というオチが冒頭で語られる。ドクター・バイオとしては、スピルバンではなくヘレンを救わんがためだが。それでも忠誠を尽くそうとするとは。
 今回でヘレンがようやくワーラー帝国を脱し、スピルバン達の元へ。シリーズ中最もほっとする瞬間だ。
第31話 東京が沈む!三人結晶ヘレンレディ

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 東京に地震が頻発。これは東京の地下に太陽系メガロポリス司令センターを建設しようと言うワーラー帝国の仕業だった。一方、自分も戦うことを決意したヘレンは結晶するための猛特訓を受ける。
 敵はニュー戦闘機械人アントム蟻型だから。ネーミングは安直。口から強力な酸を吐き、コンクリートや土地をボロボロにする。又、羽アリロボットをを放出し、スピルバン達を襲わせる。
 いよいよヘレンが結晶し、ヘレンレディとなって活躍を始める。メタルヒーローが3人そろい踏みというのは、それだけでも壮観。ただ、ヘレンレディの結晶した姿がダイアナレディと同じなのはちょっと残念か。
 人質を取るのはこの手の作品の敵の定番ながら、今回スピルバンとダイアナに結晶させないようにとギローチンが人質に取ったのはなんと東京そのもの。スケールが大きい。
第32話 ママをもどして! 恐怖の緑パニック

  脚本:市川 靖
  監督:小西通雄
 ギローチン皇帝が23世紀のバイオ技術を総動員して作り上げた合成植物。見た目は大変綺麗だが、何と人間を植物に変えてしまうと言う恐ろしいものだった。町中の人間が植物に襲われ、残った人間もパニックへと陥る。
 敵はニュー戦闘機械人ツターラ蔦だからね。合成植物を守り、それを破壊しようとするスピルバンと戦う。体中に蔦があって、それで敵を絡み取ることが出来る。
 しばらくヘレンの話が続いていたが、それが元のパターンに戻った感じ。ただ、ギローチン皇帝が行う作戦というのは二重の罠が仕掛けられていたりして面白い。今回の作戦も単に人間を植物に変えるのが目的でなく、それによって人間同士が疑心暗鬼に陥ることなんだそうだ。
第33話 止まらない!爆走する破壊バイク部隊

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 爆走する謎のバイク部隊が街を蹂躙し始めた。彼らは「エイリアン討伐対」を名乗り、地球を悪から救おうという使命感を持っていたが、実際に行っていることは質の悪い暴走族と変わらない。そんな彼らに対するスピルバン達だったが…
 敵はバイカー。ギローチン皇帝直々に乗るバイクが変形する。「キン肉マン」に出てきたバイクマン(だったか?)に何となくデザインが似てる気がするが、さほどの個性はなし。後半に入っての戦闘機械人のネーミングの安直さは何とかならなかったか?
 ギローチン皇帝自らが戦陣に立ち、暴走族をやってる回で、仮面ライダー以来悪のバイク部隊は定番とは言え、ボスまでもが暴走族の真似してるなんて先ずこれまで見られることがなかった(なんでもギローチン皇帝役のカーティスがバイクマニアであることから今回の話が決まったらしい)。
 ヘレンやダイアナが生身でバイク部隊と渡り合っていたが、特にヘレン役森永奈緒美の生身アクションは必見。
第34話 まんぷくりん・夢をパックンしないでね

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 世間はクリスマス。なんのプレゼントが欲しいかこども達が話している時、ニュー戦闘機械人のユメパックンが現れ、風船の中にこども達の夢を封じ込めてしまう。意思を失ってしまったこども達を助けようとするスピルバンだったが、ダイアナとヘレンまでもが襲われてしまう。
 敵はユメパックンなんつーネーミングだ。真っ赤なカバのような姿をしていて(多分バクなんだろうけど)、こども達の夢をパックンしてしまう。
 子供の夢を奪うってのは、これまたギローチン皇帝の長期計画で、これを続けることで日本をダメ人間にしてしまおうとするもの。この人の計画は全般的に長大すぎるのが他の番組の敵とは異なる面白いところ。それにしても、夢を失った子供が何をしてるのかというと、うつろな目をしてゴミ箱のゴミを漁ってるとか…未来はこうなるという予想なんだろうか?ユメパックンがいなくても20年後の現代は似たような状況…あわわわ
 最後はクリスマスらしく、スピルバンたちがサンタクロースの格好をしてプレゼントを配っていく。単純ながら、これが特撮の醍醐味だろう。
VOL.4
<A> <楽>
第35話 ワーラーのお年玉・美人になるカガミ

  脚本:上原正三
  監督:冨田義治
 正月に浮かれる町に獅子舞が登場。町を行く獅子舞から“美人になる鏡”を受け取った女性達は皆過激なダイエットを始めてしまう。美人になる鏡の謎を追い求めるスピルバンはそれがワーラー帝国による作戦であることに気づくが…
 敵はシシドン。こいつも相当ネーミングが凄い。獅子舞の獅子に化けて正月に浮かれる町の女性に美人になる鏡を渡していく。獅子舞に化けるだけに顔はそのまんま。デザインも凄い。しかしこう見えて攻撃は多彩。凧カッター、コマ爆弾、獅子回し、羽子板爆弾など、正月にちなんだ武器ばかりなのが特徴か。
 前回のクリスマスに続き、今度はお正月スペシャルで、獅子舞に扮したニュー戦闘機械人が登場する。
 それで今回のワーラー帝国の作戦は若い女性の身体をボロボロにし、子供を産めなくしてしまおうというもので、目的は数十年後に人口が一万分の一となった地球を支配しようというもの。毎回毎回壮大な計画で、色々脚本も考えているようだ。
 正月だけにスピルバン、ダイアナ、ヘレンの三人で羽子板などをやってるシーンがあり、全員顔に墨を塗って出てくる。
第36話 ムムム!ワーラー新戦力=ヨウキ?

  脚本:上原正三
  監督:冨田義治
 ワーラーは地球の大地に潜む恨みや憎しみを吸い上げることによって新幹部・魔人ヨウキを作り出した。
 新幹部としてヨウキが登場。地中に蠢く怨念がワーラーにより実体を持ったというもので、幽霊そのもの。しゃべり方も不気味。その匂いを嗅いだ者は悪魔のごとき心を持つようになる。又、ヨウキの台頭に危機感を覚えたデスゼロウ将軍によって作られた戦闘機械人ワルザー。作ったのがギローチンじゃないから旧型かな?肩付けした巨大砲の攻撃を食らわせるが、単にやられ役としか存在感が無かったのがちょっと情けない。
 それでたまたまヨウキが行ったところは日本の地位や名誉を持つ人間ばかりが集まるコンバットクラブ…って、出来過ぎじゃないのか?まあ、特撮にはこういったご都合主義があったほうが面白くなるんだけど。
 会員制のコンバットクラブの人が言った台詞、「全てを得た人間が最後に行き着くのは退屈」。これはなかなか真理をついてるぞ。
 一話からずーっと登場していたリッキーがヨウキに敵意を燃やしたがため、固められてヨウキの椅子にされてしまう。可哀想に。更にヨウキを見るギローチンの目つきが徐々に変わっていく演出も良し。
 相当に質が高い作品となった。
第37話 どろどろん!ヨウキに踊ろう悪魔ダンス

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 月の村という小さな過疎の村に金が出た。そこに現れたヨウキによって、村人の心は欲に奪われてしまう。スピルバンが敵だと教え込まれた村人は、調査にやってきたスピルバンを殺そうとしてしまうのだった。
 タイトルがふざけてる割に無茶苦茶ハードな物語が展開する。何せここには具体的な敵が出ず、普通の人間にスピルバン達が襲われる話だから。基本的に人間を殺すことが出来ないヒーローに普通の人間をぶつけるってのは、最も効果的な方法のはずだが、話が複雑になる上に爽快感が演出しにくいので、なかなか出来ないのが普通。それをここで敢えてやってくるところに新展開の意気込みを感じる。
 具体的な敵が出てこない分、描写的にかなり凄いものとなってる。一人の人間の犠牲的な努力によって克服するってのも、人間肯定の特撮ならではの展開。
第38話 君は倒せるか?!パパママ機械人の逆襲!

  脚本:杉村 升
  監督:小笠原猛
 遺伝子工学の世界的権威の望月博士夫妻がワーラー帝国によりさらわれた。残された二人の娘ユウコを助けるべく、スピルバンは戦闘機械人ブレンダーに向かっていくが、そのブレンダーの頭脳は望月博士のものだったのだ!「パパとママを殺さないで」とゆみ子の叫びがこだまする。
 敵はニュー戦闘機械人ブレンダー。スピルバンが守るべき子供の両親の頭脳が用いられていると言う凄い話。胸のカバーを開けると二つの脳髄があり、それがグニャグニャと動くのがとても気持ち悪い。ただ、実際はそれは二人の脳のコピーと言うことが分かり、あっけなく倒されてしまうが、脳味噌から黄色い液体を撒き散らして死んでいく描写は凄まじいものがある。
 不気味なヨウキから再びギローチンへと主導権は移るが、精神攻撃はギローチンの特徴だが、今回も相当にハード。しかしワーラー帝国のツメが甘い。スピルバンが基地内に潜入してるのに、デスゼロウが平気でそのことばらしてるんだもんな。
 この中にあっても、倒したキンクロンをわざわざ踏んづけるダイアナとか、しっかり笑える要素を入れてるのが本作の面白いところだ。
 最後の最後、突然ヨウキが現れ、妙な攻撃をしてくるが、全く意味はなし。何のために出したんだろう?
第39話 ウラワザ どんでん女王がえし

  脚本:上原正三
  監督:冨田義治
 ヨウキは自分の傘下の有名人達を総動員してムムム団を拡大していった。やがてヨウキの野心は拡大し、ついにはワーラー帝国乗っ取りを謀る。
 敵はヨウキがスクラップから作り上げた戦闘機械人。名前はないが、ヨウキ戦闘機械人とヨウキ自らが言っている。ギローチン皇帝の作り上げたニュー戦闘機械人バキューマーと戦うが、力そのものはほぼ互角。ただ、なんでも吸い込んでしまうバキューマーにより、身体をバラバラにされた上に全部吸い込まれてしまう。
 ヨウキの野心が描かれる話で、これでワーラー帝国ががたがたになるかと思いきや、全てを知っていた女王パンドラの機転で割合あっけなく倒されてしまう。これだけ存在感のあるキャラクタなのに、退場が妙に早かったな。
 ムムムとは人間の怨念の総合体。つまり人間そのものが実は最も恐るべきものだとは、デスゼロウ将軍の言葉。なかなか含蓄がある。
 結局ワーラー帝国の内紛が中心のため、スピルバン達はその分割を食って登場は少ないが、バランスは結構良い話だった。
第40話 少女は見た!光線剣VS伝説魔剣の決闘

  脚本:杉村 升
  監督:冨田義治
 スピルバン抹殺の指令を受けたニュー戦闘機械人クマソンは日本に伝わる魔剣探しに奔走する。そしてついに発見された伝説魔剣雷はスピルバンのすべての攻撃をはじき返してしまう。
 敵はクマソン。仁王像みたいな姿をしていて、なかなか強そう。刀を鑑定する力を持ち、本物の魔剣を探し当てる。スピルバン、ヘレンレディ、ダイアナレディの三人の攻撃を食らっても互角以上に戦える。一応喋ることが出来るけど、喋った言葉は全部「くまそーん」だった。伝説魔剣を使うためだけに作られたため、雷を失った途端、あっという間に倒されてしまった。
 精神攻撃が得意なギローチンが、今度は直接攻撃に来た。人質をとったりして一応卑怯さを出してるが。
 雷を本当に好きな少女の思いによって雷は砕け知ってしまうと言うオチが付く。ベタだが、やっぱりそうしないと行けないんだろうな。
第41話 主役は誰だ?!仕組まれた夢工場

  脚本:杉村 升
  監督:伊藤寿浩
 スピルバンに負け続けのデスゼロウ将軍は、家庭を持つ事で強くなろうと考えた。そこで自らの花嫁に選んだのはなんとダイアナ。ニュー戦闘機械人ムーブマンを用い、ダイアナを拉致してしまう。
 敵はニュー戦闘機械人ムーブマン。目が映画用のカメラになってる。撮影所が舞台だけにそれに合わせたのだろう。頭部のレンズが弱点。
 映画の撮影所(東都撮影所となっているが、明らかに東映撮影所)で話が展開する。ちなみにこの東都撮影所は城南大学と並んで東映特撮では多用される名称。
 いきなりデスゼロウ将軍が恋愛したいと妄想を逞しくする話で、スピルバンを倒すためには家庭を持てば強くなる!と思いこんでなんと花嫁に選んだのはダイアナ!…妄想で女の子に駆け寄って抱きしめたり、パンドラを見て、「女王様じゃなあ」とか首をひねる姿も出てるし、ダイアナに対し、「ダイアナちゃん」「結婚してちょーだい」とか言い寄るし。デスゼロウ将軍だけでなく演出も縛られてるダイアナの背後にピンク色のハートがピカピカ光ってるとか、劇中流れるBGMも「たーんたーかたたたー、たたたたたーん」と景気の良い曲で、凄く楽しい(スピルバンを倒したと思いこんだらピアノで葬送行進曲が流れるし)。最後はパンドラに茶化されてる。結婚話は前に宇宙刑事シャリバンでもあったが、こちらの方が遥かにぶっ飛んでいて、とても楽しめた話だった。大笑いの連続で、もうシリーズの終わりが近づいてるってのに、余裕があるな…次回でデスゼロウ将軍は死んでしまうので、最後に花を持たせたか?
 なんだかんだ言って、シリーズ中佳作の一本と言える。
 そう言えばニュー戦闘機械人はギローチン皇帝しか作ることが出来なかったんじゃなかったか?デスゼロウ将軍が作ってるけど。
第42話 大将軍の突撃!100万ボルトの究極回路

  脚本:杉村 升
  監督:伊藤寿浩
 度重なる失敗に、すっかり女王パンドラの信用を失ってしまったデスゼロウ将軍は、ブリザーを用いての最後の水道管凍結作戦を敢行。そしてスピルバンに対し、最後の戦いを挑んでくる。
 敵はニュー戦闘機械人ブリザー。右手から冷凍ガスを、左手から炎を出すことが出来る。東京中の水道管を凍らせた後、東京に火を放つという水道管凍結作戦を行う。
 第1話から登場し、散々スピルバンを苦しめてきたデスゼロウ将軍の最後が描かれる話。女王パンドラにより究極回路を埋め込まれ、パワーは増した代わりに、パンドラに操られるようになってしまう。操られながらも「儂はナンバー・ワンになるのだ」と叫ぶ姿がひたすら憐れ。
 しかし、こんな中にも「デスゼロウ、行きまーす」とか、笑いを忘れてないのが本作の面白いところだろう。
 最後、デスゼロウ将軍が死んだ時、ワーラー奇岩城の中でキンクロン部隊が敬礼して送っている…のだが、その背後でパンドラが「なんて使えない奴」とか怒っているのが妙なアクセントになってた。
第43話 決戦!ワーラー城突入!

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 行方不明となっていたギローチン皇帝が突然幽鬼となってグランナスカ船内に現れた。ギローチンの攻撃を受けたヘレンは生死の間をさまようこととなる。しかも幽鬼となったギローチンは物理的な攻撃を一切受け付けない。最強の敵の出現にスピルバンは…
 行方不明となっていたギローチンだったが、実は既に死んでいたと言う強烈なオチから始まる。幽鬼となる事が目的で時空の間に落ち込んだとのことだが、そこまでせんでも…こいつを倒すためにグランナスカのクリンエネルギーを然放出したため、グランナスカは稼働不能となってしまう。
 そして最後に現れるのは女王パンドラその人。パンドラ戦闘機械人とパンドラ生命体の二形態を駆使して戦うが、無茶苦茶強い。アークインパルスで倒されたと思ったら、笑い声を上げてワーラー城の中で復活してる。
 最後は女王を守ろうとしたドクター・バイオが、ドクトル・ベンに戻るとか、実はワーラーと女王パンドラが同一人物だったとか、意外な設定が新たになる。
 ギローチン、パンドラとワーラー帝国の最終攻撃が描かれる。盛り上がり方が実に良い。
第44話 いま君は知る!クリン星の秘密

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 ワーラーと同一体だったパンドラ機械生命体の圧倒的な強さにまるで歯の立たないスピルバン達。だがそこには、正気を取り戻したドクトル・ベンが…
 ワーラーとの最終決戦が描かれる。パンドラ女王もパンドラ生命体、パンドラ戦闘機械人、そしてパンドラ生命機械人と変化して襲ってくる。最後はドクトル・ベンによって毒を打ち込まれ、スピルバンのアークインパルスにより破壊。それと共にワーラー奇岩城も消え去る。
 最後だけの限定台詞「俺の怒りは、今爆発!」が聴ける。一年近くも「爆発寸前」のままだったので、これでやっとストレスから解放されたって事になる。
 しかし、このラストは…
 ネタバレになるが、実はクリン星こそが一万年後の地球であり、ワーラー城の破壊によって、時空のねじれが生じ、ワーラー帝国に襲撃される前のクリン星に戻ってしまう。しかもワーラーはとっくの昔に滅んでることになってる…
 ちょっと待て。凄まじく設定の誤差が…
 いや、それは言うまい。これがこの作品の味って事にしておこう。少なくとも表題の「時空戦士」という意味がここで明かされたと言うだけでも。