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宇宙刑事シャリバン

宇宙刑事シャリバン事典
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1983'3'4〜1984'2'24 

 宇宙刑事シリーズの2作目(メタルヒーローシリーズとしても2作目に当たる)で、特撮界に新風を吹き込んだ「宇宙刑事ギャバン」の直系の続編。本作は主人公のシャリバンの出生の謎を出し、物語に一貫したテーマを持たせてストーリー性を増し、更に「宇宙刑事ギャバン」で培った特撮技術と、主人公伊賀電役の渡洋史の体を使った派手なアクションで、完成度は高い。物語は前作と比べると比較的こども向きになっているが、ストレートなヒーローものとして捉えるべきだろう。時折登場する不条理作品もアクセントを添えている。
 主人公伊賀電は地球人として育ってきたが、実はイガ星の移民の子孫で、その能力故に宇宙刑事になれた。という設定もきちんと生かされていて、好感度は高い。

主な登場人物
伊賀電
シャリバン
(役)渡洋史。「時空戦士スピルバン」の城洋介、あるいは「巨獣特捜ジャスピオン」に登場するブーメラン役。
 宇宙刑事シャリバンに変身する青年。元々地球人であり、ギャバンにより命を助けられた後、バード星で特訓を積んでギャバンの後任の宇宙刑事に任命された。実はイガ星人の子孫であり、イガクリスタルを巡るマドーと戦う宿命を負っていたことを知ることとなる。現在鈴木モータースで整備士として働いている。
リリィ (役)降矢由美子。代表作は本作。
 シャリバンをサポートする銀河警察の女宇宙刑事。主に潜入捜査を得意とする。やや嫉妬深い面もあり。役は降矢由美子。
コム長官 (役)西沢利明。数多くのテレビ番組に出演。現在でも活躍中。刑事役が多かった。
 銀河連邦警察の太陽系担当の長官。伊賀電の素質を見抜き、新たな宇宙刑事シャリバンに抜擢する。
鈴木勝平 (役)相馬剛三。東映を中心としたベテランバイプレイヤー。特撮出演も多い。
 鈴木モータース社長で伊賀電の雇い主。あんまり画面に登場しなかったため、伊賀電がさぼってるようには見えない。
大山小次郎 (役)鈴木正幸。代表作は「3年B組金八先生」のお巡りさん役。宇宙刑事シリーズでは3作とも同じ役で出演。
 前作「宇宙刑事ギャバン」からの続投。相変わらずずれた役どころではあるが、事件に対する嗅覚はますます冴えている。 
魔王サイコ (声)飯塚昭三。前作「宇宙刑事ギャバン」でドン・ホラーの声をあてていた。今回はかすれ声で差別化を図っているようだ。
 マドーを率いる帝王。幻夢界を開く力を持つ。実は命を二つ持っており、仮に本体が殺されても即座にもう一つの命を持つサイコラーによって復活してしまう。
サイコラー (役)山田一善。殺陣師にしてアクション俳優。「巨獣特捜ジャスピオン」「時空戦士スピルバン」「超人機メタルダー」など、主役のスーツアクターもしている。
 放映開始から登場していた謎の人物。何をするでもなく、ただシャリバンの行動を見守るだけだったが、実は魔王サイコの魂を分け持つ人物であり、彼が生きている限りサイコは不死身という事実が後に発覚する。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 幻夢

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 地球担当の宇宙刑事としてギャバンの跡を継いだシャリバンこと伊賀電。だが、そんな地球に再び悪の手が忍び寄ろうとしていた。魔王サイコに率いられるその名はマドー。偶然その姿を写真に撮った小次郎から手がかりを得てシャリバンは相棒のリリィと共に敢然とマドーに立ち向かっていく。
 敵はゴリビースト。アルマジロのような怪物で、特に背中の甲羅は大変硬く、体を丸めて攻撃する。他にガイラー将軍を初めとした幹部連中が登場する。
 「宇宙刑事ギャバン」の最終回において鮮烈な登場を見せたシャリバン。世界観も全く同じなため、非常にスムーズに交代が行われている。敵は既にシャリバンのことを知っているし、マクー空間に代わり幻夢界の存在など、ほぼ物語も踏襲されてる。
 特撮の冴えは特に凄く、今回は特にグランドバースの変形機能など、初出の盛りだくさんの内容となってる…すぐにバンク化されてしまうものとはいえ。
<本人の肉体を使ったアクションの冴えは前作を超えているが、やっぱり時折ピアノ線が見えてしまったりするあたり、当時の特撮の限界も感じてしまう。
 かつて森林パトロールだった伊賀電が、レーサーになってる。真逆のことをやってないか?
 誰も見たことがないという魔王サイコを難なくカメラに捕らえてしまう小次郎。更に躊躇無く伊賀電に連絡をするあたり、意外に凄い能力を持っているのかも知れない。とてもそうは見えないが。
 球体が勝手に動いて部屋を自在に動くのはコストマスの
『ファンタズム』っぽくもあるが、これも線が見えてしまうのがちょっと興ざめ。>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 魔界ニュータウン

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 東京近郊に出来た新しいニュータウンに起こる数々の異変。その連絡を受け、現場に急行したシャリバンとリリィが見たものは、シスターの奏でるオルガンに合わせて踊る狐の面をした人達だった…
 敵はエイビースト。エイのような姿をした怪物で、ヒレを羽ばたかせて空を飛ぶことも出来る。幻夢界では分裂もしてみせた。
 「宇宙刑事ギャバン」でも結構あった不条理描写が映える話で、狐の面をかぶった人達が踊ったり、レオタード姿のチンドン屋が出てくる下りはなかなかのシュールさを見せる。走って逃げると、そこは全く異なる風景になってるのも、不条理描写に拍車をかけてる。
 それと同時に伊賀電の体を使ったアクションが映え、後半はグランドバースの戦いをたっぷり堪能させる。不思議な話だが、意外なバランス感覚もあり。
 1話に続き、今回も上司として烈が登場してる。ファンとしては結構嬉しいところ。
<色々詰まっているのは特撮ファンとしては嬉しいが、肝心なストーリーが置き去りにされてしまった感はあり。マドーが何故ニュータウンを襲ったのか、全く意味が明らかにされなかった。最後に「貴様をおびき寄せるため」という台詞はあったけど、それはさすがに無理あるだろ。>
第3話 久美子との約束

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 植物園で伊賀電は久美子という少女と出会う。母親を失い、父親も不在の久美子の寂しさを知った伊賀電は、久美子に緊急発信装置を手渡すのだが、その一方その話にきな臭いものを感じ取っていた…
 敵はキバビースト。体中のあちこちに顔のパースが埋め込まれており、攻撃時にはそれを展開させる。シャリバンが腹にパンチをぶち込んだら、そこに口があってシャリバンの腕をくわえ込んだり。幻夢界では姿を消す能力も有する。
 少女との出会いが大きな事件につながる。昔のヒーローものには定番の物語。話自体が都合良く行きすぎるきらいはあるものの、相変わらず自分の体を使ったアクションを積極的にこなしているため、見所は満載。こども向きと考えれば充分楽しめる内容。
 リリィは今回から髪型が変わった。しかし髪が変わっただけで雰囲気まで随分違って見えるよ。
 鈴木モータースを無断欠勤してる伊賀電は、やっぱり烈の後継者だけあるな。
<ごちそうするからと一度会っただけの大人を自分の家に誘う少女。設定的にかなりヤバイと思うんだが?
 こんな事までわざわざ報告する必要はないと思うんだが、しっかり久美子のことを烈に報告する伊賀電。それに対し「帰りたくても帰れないことがある」と意味深の発言する烈…いや、良いんだけどさ、大人が聞いたら別のことを考えるぞ。
 久美子の父親の工場にはベレー帽をかぶった、あきらかに戦闘服を着た人間がうようよしてる。なんという胡散臭い施設だ。
 グランドバース破壊ミサイルを建造中のマドー。わざわざ誰が見ても分かるように絵を作り、一々説明までしてくれるサービスぶりを見せている。マドーってなんて親切なんだ。>
第4話 マイコン指名手配

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 コンピュータによる学習システムが流行していた。これを始めた小学生や中学生は、テストでオール100点を取る実力を得るが、その代わり彼らは傍若無人になってしまう。実はこれはマドーのマイコンビーストによる洗脳作戦だった。
 敵はマイコンビースト。獣の体のあちこちにメカニカルな電飾が埋め込まれている。日本未来電子工業という通信販売で洗脳装置を組み込んだコンピュータを売りつける。
 こどもを洗脳してしまおうという定番の悪の作戦が展開。今回は初めてドクター・ポルターが作戦指揮を執っているが、物理攻撃を得意とするガイラー将軍に対し、こちらは精神攻撃を主体とすることがよく分かるエピソードとなっている。
 この時代から、自分自身のコンピュータを持つ家庭が徐々に増えていった。そんな時代背景を持った作品。自分のコンピュータという事で、この当時は“マイコン”と呼ばれていたが、そんな懐かしい時代を感じさせる作品となってる。今ではありきたりな話とはいえ、かなり時代を先取りした作りになってる。
 ここではリリィが前線に出てシャリバンを積極的にサポートする姿が見られる。「宇宙刑事ギャバン」でのミミーがあくまで後方支援という立場を崩さなかった分、差異化を図ったものと思われる。
<この当時のコンピュータはひらがなを送信するので手一杯。で、そこに表れた文字は「すうがくの しつだいと けいこうをたのむ」…「しつだい」じゃなくて「しゅつだい」だろ?
 伊賀電が来ただけでコンピュータがぶっ壊れてしまうのは良いんだが、ツトム少年はそれに対しぼーっとしてるだけ。もう少し危機感持とうよ。全般的にこのツトム少年の演技は微妙としか言いようがないが。それ以前に「シャリバン回路」とか大仰に言っても爆発して終わりか?
 ゲーセンに出かけ、その店長の首を締め上げる伊賀電。基本的に一般人として暮らしてるんだから、それはヤバイだろ。
 工場内で戦うシャリバンとガイラー将軍。それなのに戦闘機とかシャリンガーとか呼び出して戦わせる…この一帯大惨事だな。>
第5話 港のヨーコは愛のメロディを忘れない

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 鈴木モータースにバイクの修理を頼みに来た高校生カップルのトキオとヨーコ。傍若無人な二人にやや鼻白む伊賀電だが、何故かこの二人を狙ってマドーが襲ってくる。不審に思い、調査を開始する伊賀電だが…
 敵はサウンドビースト。催眠音波を使い、人間を超能力者にしてしまうことが出来る。
 なんというか、タイトルだけでふざけているような雰囲気を持つ作品だが、内容は超能力者養成という、いたって特撮的に普通の(?)話。伊賀電よりも高校生カップルの方に主眼が置かれているのも特徴か。まさかこの話で死人が出るとは思わなかったが、その分寂しさを上手く演出できていたと思う。
 サウンドビーストの人間体は潮健治が演じており、存在感たっぷり。既に貫禄の域に達してる。後、ここで高校生トキオを演じたのは日下翔平。後の「機動刑事ジバン」で主演を張ることとなる。
<トキオとヨーコは高校生だそうだ。えらく歳食ってるので、ギャバン隊長に言われるまで気が付かんかったよ。
 前回のマイコンビーストと言い、サウンドビーストと言い、人間の精神を操作する割に、従順にするという根本的な事を忘れてるのが問題じゃないだろうか?>
第6話 戦場の森をかける小さな命

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 若葉山の動物たちが消えてしまうと言う怪事件の調査に向かう伊賀電。だがそれはマドーの罠であり、動物たちや小次郎を人質に取られたシャリバンは捕らえられてしまう。その報を受けたギャバンは…
 敵はヤマガビースト。若葉山の動物たちを攻撃し、それを助けに現れたシャリバンを捕らえる。刺又を武器にするが、幻夢界では姿を消したり飛び道具を出したりも出来る。
 シャリバンが捕まってしまい、ギャバン隊長が現場復帰という、前作のファンにとっては嬉しいお話し。蒸着しなかったのはやや残念だが、相変わらずの大場健二の体使ったアクションは健在。同様に赤射できない伊賀電も肉体使ったアクション主体だったので、よく動く。
 元森林パトロールという伊賀電の前身についてこれまで全然語られてなかったのだが、ここでその働きを描く。その優しさというものをしっかりと演出。前期の傑作エピソードの一つだ。肉体面精神面の双方からの攻撃が展開するため、マドー側もガイラー将軍とドクター・ポルターの二人が陣頭指揮を執っている。
<部下の危機に、すぐさま地球にやってくるギャバン。腰が軽いというか、現場に戻るのが楽しくて仕方ないように見えるね。
 一方、赤射を防ぐ空間に伊賀電を放り込んでヤマガビーストと戦わせるマドー。詰めが甘いと言うより、ここまで「反撃して下さい」と言わんばかりのサービスはなかなかないぞ。
 幻夢界に引きずり込まれるシャリバンだが、一緒に戦っていたギャバンはそのままだった。なんで?
 今回登場した赤射を防ぐ空間はシャリバンに対して大変有効に思えるのだが、以降使われる事はなかった。>
第7話 鏡の中に浮かぶ私は誰れ!?

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 マドーから送られたダブルビーストは超能力少女サチコに取り憑き、悪夢を見せつける夢遊病者のように街をふらつくサチコを救助する伊賀電だが…
 敵はダブルビースト。人に悪夢を見せる能力を持ち、超能力少女のさちこを悪の心に染めようとする。顔の中にもう一つの顔を持ち、それを剥き出しにして襲ってくる。
 宇宙刑事シリーズの特徴とも言える悪夢編。特に今回はモロに『エクソシスト』っぽくホラー風味がきつく、こどもが観たらトラウマになりそう。特にサチコの首が飛んでくる描写はかなりもの凄い。サチコの悪夢がいつの間にか伊賀電の悪夢になってしまう不条理描写もそれらしいか。
 幻夢界での戦いはピアノ線使った空中戦を楽しめる。後年のワイヤーアクションと較べると、流石に動きは限られるけど。
 そう言えば、初めてギャバンが登場しなかった話でもある。
<偶然街を歩いているところを見つける伊賀電の偶然も凄いけど、それであっという間にその家を見つける能力も凄い。「なんとなく気になる」と発言してたが、勘の鋭さも凄い…これを「ご都合主義」とは呼ぶまい。それに負けず劣らず、事件現場には必ずいる小次郎の存在感も凄いけど。
 サチコのことをリリィに喋ったところ、ほっぺをつねられた。意外にリリィは焼き餅焼き?
 「宇宙刑事ギャバン」の時も思ったものだが、シャリバンって普通に走ったり跳んだりしてるときに変身するときはどうやってポーズ取ってるんだろう?
 それにしてもマドーって、防がれることを前提に作戦立ててるように見えるんだけど、そんなんで良いのか?>
第8話 泥の河は甦える カムバック サーモン

  脚本:高久 進
  監督:小林義明
 工場廃水によって生きものが死滅した川を嘆く伊賀電を、大型トラックが襲った。不審に思った伊賀電は調査を始めるが、この川に毒の砂を撒いているトラックがいると話す少年と出会う。
 敵はドクビースト。白猿のような姿で、口からダイオキシンを噴霧する。この話がダイオキシンで地球を汚染するというものだから、名前はよく合ってる。
 公害問題を直接描写した作品で、ダイオキシンの事も言及している。まだこの頃は特撮は現実と戦う姿勢をちゃんと持っていたことをうかがわせる話。ただ、物語性がやや低いのが難点。
 冒頭で伊賀電を襲うトラックの描写があるが、運転手の顔を一切見せず、トラックの威圧感だけで描写するのは、まるで『激突』みたいで、力が入ってる。一歩間違えれば致命傷必至をスタントなしで渡洋史が演じるところが凄い。ただ、物語と全然関連を持たないと言う致命的な点を除けばだが。
 それに限らず、今回は顔出しのアクションがいつに増して多く、撮影も大変そう。
<ガイラー将軍とドクター・ポルターはダイオキシンのことを「人類が発明した最強の毒物」と言ってたけど、別に開発した訳じゃないよ。それにしても、そんなもんわざわざ増やそうというマドーもプライド無いね。
 結局今回はダイオキシン被害はマドーのせいにされてしまったが、もうちょっと自然破壊のことにも突っ込んで欲しかったところ。>
第9話 ビックリハウスは幻夢町0番地

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 次郎少年がある夜部屋の窓からお化けを見る。こども達が独自で調査を開始するが、現れた謎の老人に追い返されてしまう。一方伊賀電は贋札工場を発見するが…
 敵はキャッシュビースト。ビックリハウスに贋札工場を造り、世界経済を混乱させようとする。棍棒状の槍を使い、ドアを使ったテレポーテーションで攻撃する。
 マドーの贋札作戦と、それを阻止するシャリバン。しかもやってることはビックリハウスの仕掛けに驚くだけ。ちょっとした悪夢編ではあるが、前回の深刻ぶりと較べると、途端に話が矮小になってしまった感じ。
 しばらく存在感がなかった小次郎が今回は出っぱなし。ずれっぷりが楽しい作品。相変わらず宇宙人にこだわり続けてる。ちょっとしたことでパニックに陥ってしまうのもそれっぽくて良し。
<ビックリハウスを贋札工場にするマドー。あんな目立つ建物で何やってんだか。
 伊賀電が工場調査中に荷物の落下が起きる。その後、問答無用で近くにいる人間を襲い、更に工場を破壊…もうちょっと調査が必要じゃないのか?
 ガイラー将軍は罠を張って贋札工場の偽工場を伊賀電に調査させるのだが、あっという間にそれが偽物であると見破られてしまう。シャリバンを馬鹿にしすぎじゃないのか?
 いつもの採石場でキャッシュビーストとの戦いが展開。そこに突然プレハブの安い建物があるんだが、幻夢界って、そんなもんまで作るのか?>
第10話 幻夢城 - 東京 エキスプレスの影を追え

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 ついにUFOの写真を撮ることに成功したと報告する小次郎。その写真がマドーの戦闘機を写している事を知った伊賀電は調査を開始する。だが、マドーもその事を知り、小次郎を狙う。
 敵はUFOビースト。顔がアダムスキー型円盤の形をしており、頭を分離して攻撃する。偶然にもマドーの戦闘機を撮影してしまった小次郎の命を狙う。
 今回はこれまでの「宇宙刑事ギャバン」の話も含め、初の小次郎が中心となった話。これまで勝手に首を突っ込んで事件に巻き込まれることは多くても、本当に命を狙われたのは初めて。おそらくこの話が最も小次郎が魅力的に描かれた話だろう。
 小次郎の存在感って、ずれたことをやっているけど、笑いを取りながらストーリーをきっちり進行させているところにある。バイプレイヤーとしては非常に良い立ち位置にあることを改めて感じさせてくれた。
<これまで散々ダブルマンとか魔界獣と接触してる割にはUFOを見たことがないとか言ってる小次郎。これまでやってきたことは全部記憶から抜けてるのか?
 小次郎の身を案じて周囲を見張る伊賀電。それはそうと、実際に襲われたときは遠くから見てるだけってのは、役に立ってないような?
 話に合わせ、魔界獣もUFOをモティーフにしたもの。このまま顔を黄色く塗れば「宇宙鉄人キョーダイン」のゴンベスだな。
 マドー砲は都内に作られてるのだが、写真では採石場に置いてあり、更に破壊されたときは鉄道駅で爆発が起こっていた。そこどこよ?>
第11話 暗黒星雲から来た 最強の悪役ファイター

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 銀河連邦警察からの通報を受けたシャリバンは宇宙船が落下したという場所へとジープを走らせる。そこに現れたのは宇宙海賊のベンガル兄弟だった。あたかもシャリバンを調べるような戦い方をするベンガル兄弟だが…
 敵はベンガル兄弟ベンガルコブラベンガルタイガーからなる兄弟の宇宙海賊。銀河連邦警察の指名手配犯だが、シャリバン抹殺の命を受けて地球へとやって来る。そしてショウリビースト。鳥型の魔界獣でシャリバンの全能力の解析データを搭載した、対シャリバン用の魔界獣。シャリバンクラッシュさえはじき返す。
 今回はアクションの連続。宇宙海賊との戦いが展開中に最強の魔界獣ショウリビーストとの戦いも入る。連続しての活劇はかなり力はいってる。
 シャリバンの全能力を解析し、ショウリビーストが作られた。なかなか燃える設定なのだが、それ以前にマドーはシャリバンに対して今まで何も分析しようとしてなかったことに驚く。
 それだけにショウリビーストは強いのだが、描写がちょっとありきたりだったのが残念。前後編にしてたっぷり危機感を煽るべきだったかと思われる。戦いに勝つのは能力ではなく心の強さ。という着地点は良いけど。
<宇宙から円盤が落下したという通報を受けて現地に向かうシャリバン。なんで宇宙から飛来したのは毎度採石場に現れるんだ?
 小鳥を助けたために危機に陥るシャリバンをベンガル兄弟は「仏心を出したからだ。」とか言ってる。宇宙海賊にも仏って有名なのかな?
 メタルヒーローには比較的よく出てくる暗黒舞踏が登場。楽しそうに見えないのがなんだな。
 シャリバンの全能力を解析したというベンガル兄弟だが、レーザーブレードもシャリバンクラッシュも発動してなかったはず。なんでそれが分かったんだ?
 絶体絶命の危機に「俺が死ねば地球はどうなってしまうのだ?」と自問自答するシャリバン…死んだら新しい宇宙刑事が来るだけだと思うよ。>
VOL.2
<A> <楽>
第12話 異星人のほほえみ マイフレンド作戦

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 宇宙人を捜し求める小次郎の前に、ついにガイラーを名乗る宇宙人がやってきた。友好的な態度を見せるその宇宙人にすっかり気を許してしまう小次郎。一方時を同じくして東多摩市のこども達が次々に消えるという事件が起こる。
 敵はオカリナビースト。オカリナを吹くことでこども達をおびき寄せ、そこで友好ムードを演出して地球を侵略しようとする。オカリナはこども達を操る音波でもある。
 10話に続き小次郎が活躍する話で、宇宙人とコンタクトを取ったこどもや小次郎がひどい目に遭うという話。既に10話でひどい目に遭ってるというのに、成長しないというか…
 今回の作戦はドクター・ポルターによるものだが、ガイラー将軍と共に素顔で出てるため、あっという間に伊賀電に見破られてしまった。なんかとても馬鹿な作戦では無かろうか?
 伊賀電の方も伊賀電で、宇宙人の着ぐるみを着て凄んでるし、なんだかよく分からない話になってしまった。
<宇宙人を呼ぶ儀式をこども達と行う小次郎。アブナイオジサンがこども達を集めて暗黒集会をしてるみたい。
 宇宙人に呼びかける小次郎を笑う伊賀電とリリィ。なんというか、伊賀電はともかくリリィは真性の宇宙人なんだが。
 劇中マドーに侵略された星がイラストで描かれるんだが、そこには魔王サイコの姿が。サイコって姿が誰にも知られてなかったんじゃなかったか?
 自分の姿を隠すため、宇宙人の着ぐるみの中に入って小次郎と行動を共にする伊賀電。なにもそこまでやる必要ないんじゃない?
 着ぐるみの中で変身するため、今回はバンクやめるか?と思ったら、しっかりバンクでシャリバンの変身をしてる。>
第13話 強さは愛だ 英雄たちの旅立ち

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 彗星の如く現れ、8連勝1ラウンドKOの記録を作るKOジョー。その強さに疑問を覚えた伊賀電は、その練習風景を観に行く。だが、実際にはジョーがさほど強くない事を知り、マドーの介入を知る…
 敵はボクサービースト。KOジョーのセコンドに付き、ジョーにイカサマグローブを与える。左手が鉄球になっており、強いパンチ力を持つ。
 強さのために悪魔に魂を売った青年の話。昔からこのタイプの作品は作られ続けているが、本作は特撮ヒーローと言うより、一個の人間として、人の良心に訴えかける伊賀電の姿が心打たれる話。ジョーの目的も貧しい人に治療を受けさせるための病院を建てる。というのが泣かせる。ボギー主演の『殴られる男』を地でやってる感じの作品だった。そこに力が入りすぎていたため、この話ほど、ヒーローの戦いシーンが無駄と思える話はなかった。
 ここで初めて伊賀電の父親の話が出てくる。植物学者だったと言うが、これが後できちんと意味を持つことになるとは。どこまで最初から考えていたかは分からないが、ちゃんと伏線になってる。
 久々にギャバンの姿が見られる。「本当の強さは愛」とはギャバンの台詞。本作を貫くテーマとなっている。
<ボクシングでは8連勝というのはもうヴェテランの域なのだが、この世界ではほぼ毎日のように試合があるらしく、10連勝でもまだ新人らしい。
 それにしても、たかが八連勝中というだけで調査に向かう伊賀電の勘の良さは凄い。まるで南光太郎だ。
 幻夢界では色々不条理なことが起こるが、いきなりボクシングのリングが出て、そこで殴り合いをしていたと思ったら、次の瞬間いつもの採石場にいたりする。
 根本的なところで、インチキボクサーを作る今回のマドーの作戦は地球侵略と何の関係があったんだろう?大体、ボクサービーストが倒れた時点で他のスポーツ選手も元に戻ったってのも無理あるし。>
第14話 連続夢魔におびえる億万長者

  脚本:高久 進
  監督:田中秀夫
 ある老婦人がデニモス王国の血を引くことに目を付けたマドーはその家にある財宝を手に入れようとする。たまたまその家を見た伊賀電は、そこにマドーの影を見る…
 敵はキラービースト。デニモス王国の生き残りの老婦人から財宝の在処を聞き出すために嫌がらせを行う。叫び声が「キラーッ」だから分かりやすい。
 今回はいくつかある悪夢編だが、シャリバンではなく、一般人が不条理な悪夢を見させられるのが特徴。後はあんまり言うところがないな。
 一応ガイラー将軍とシャリバンの一騎打ちのシーンがあったりする。途中でガイラーはキラービーストに任せて逃げたけど。
<リリィと休日を楽しむ伊賀電。休みって何の休み?
 財宝を手に入れようとするマドーだが、やってる事って質の悪い地上げじゃないのか?“誰もその姿を見たことのない”魔王サイコ自身が嫌がらせをしてるよ。何をやってるんだ暗黒宇宙の帝王?
 幻夢界になると戦いの移動も自在だが、今回は普通に戦ってる時も場所飛びが激しい。家にいたと思ったら、次の瞬間遊園地にいて、ケリを入れたら又家にいる。
 財宝の在処を吐かないと死ぬことになる。と宣言するガイラー将軍は、本当に崖から突き落としてしまう…財宝の在処吐かせるんじゃないの?意味ねえじゃん。
 デニモス王国の生き残りは老婦人一人だが、そこで王国再建を提案する伊賀電…それじゃ子孫を残せないんじゃないか?>
第15話 海鳴りの仕掛島

  脚本:上原正三
  監督:辻 理
 ギャバンが地球に残してきた星野月子がさらわれた。マドーは星野博士が開発した星野スペースカノンを狙い、ギャバンを脅迫する。
 敵はシカケビースト。カメレオンに似た姿で、棒付きの鉄球と刀で攻撃する。又舌を伸ばして敵を絡め取る。月子をさらい、ギャバンとシャリバンに脅迫状を送りつけた。
 今回はシャリバンではなくギャバンの方が中心になった話で、「宇宙刑事ギャバン」で取り残した部分を補完する話になっている。そのため、前作の登場人物が多数登場。小次郎とギャバンの再会もあり。ファンにとってはこっちの方が嬉しかったりする。前作があるからこそこの話が作れる。上原脚本の上手さが光る。細かいところだが、マドーがギャバンの拷問に使ったのは鬼首島。かつてマクーの秘密基地ってあたりも細かい(細かいと言えば、洞窟の中で大きな岩が転がってくる所もか)。唯一不満はギャバンが変身しなかったところかな?ドルギランとグランドバースそろい踏みは観たかった。
 それで月子救出を優先したため、ギャバンは星野スペースカノンの設計図の空きを探査するために拷問を受けてしまう。親子二代にわたり拷問を受けるとは不憫な。
 「宇宙刑事ギャバン」での最大の謎星野スペースカノンがどうなったかというと、なんとグランドバースの主砲に使われているとのこと。ちゃんとその辺設定があったんだね。
<ギャバンが持ってきた星野スペースカノンの設計図は8インチフロッピーディスクに入っていた。凄く懐かしい。
 鬼首島で伊賀電が服を脱ぎ去るといつもの通り銀河警察の制服を着ているのだが、先ほど鬼首島に上陸したときは海水パンツに薄手のシャツとジーンズだけしか持ってなかった。そう言えば海から来たのに全然服が濡れてないね。
 地球では貧乏だってのがギャバンの定番。今回も伊賀電に金を借りるシーンあり。上司の面目はどうなった?
 ツッコミではないが、宇宙刑事になるために月子はバード星に行くことになるので、次作
「宇宙刑事シャイダー」でも出て欲しかったところ…そういえばこれでさりげなく小次郎はフられた事を告げたことになるんだな。>
第16話 美少女歌手が歌う危険なヒットソング

  脚本:上原正三
  監督:辻 理
 突然歌えなくなったアイドル歌手林田佐世子がある日幻に導かれ、海に消えた。その後何事もないように戻ってきた彼女は歌手に復帰。その歌は男達を虜にするようになっていった…
 敵はマボロシビースト。マントを着けたハンプティダンプティと言った趣きの姿。人間体では幻夢声帯を付けた歌手佐世子のマネージャーとして登場する。
 アイドル歌手と東映特撮は何故か相性が良い。ここでは脚本は上原正三だが、これはやっぱり井上敏樹にやらせたい。
 可能な限り死人は出さないのが宇宙刑事シリーズの特色だが、今回は歌手がサイボーグに改造された上に姿を消してしまうと言うかなりやるせないラストとなっていて、これはこれで余韻を感じさせるもの。明確に「死んだ」としないのは
<この当時はまだレコードが現役(CDはもう出ていたけど)。これはこれで味があったなあ。ついでに言えば、この当時のアイドルの追っかけはたすきに鉢巻。これも懐かしい。しかし、良い歳こいたオッサンの小次郎がアイドルの追っかけやってるのは痛々しい限り。
 佐世子が海に消えた直後にジープに乗って現れる伊賀電。タイミングが悪いというか、良すぎるというか…
 歌を聴いた人間を凶暴化させることが今回のマドーの作戦だが、やってることは家庭内暴力と暴走行為。あんまり凶暴化してるように見えないのは気のせい?
 妙齢の女性の部屋に窓から押し入る伊賀電。「レディの部屋にごめん」って、これじゃモロにストーカーだよ。>
第17話 新型二階だてバスのふしぎな異次元旅行

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 伊豆伊東温泉の名物トンネル“四次元トンネル”に入った新型二階建てバスが消えた。怪事件の情報を聞いた伊賀電はリリィと共に観光バスを仕立てて伊東温泉に乗り込むが…
 敵はマグマビースト。アルマジロのような姿をした魔界獣で、伊東温泉で発見されたマグマ鉱脈を採掘するために作られた。幻夢界では炎を纏って突っ込んでくる。
 伊東温泉を舞台に話が展開する。タイアップ企画で、観光地が次々と登場。こう言うのも味という奴だろう。劇中「伊東温泉」の名前が連呼されるのもそれっぽくて良い。
 今回も小次郎が大活躍。なんと戦闘員を蹴散らす活躍を見せる。その際上半身裸になるのもらしいところだが。
 ラストシーンでマドーの気配を感じるシャリバン。これで次回も伊東温泉が舞台であることが分かる。
<四次元トンネルはマドーによる幻覚だと見破った伊賀電は運転手にまっすぐ進むように指令する。トンネルでまっすぐ進んだらかえって危ない気もするんだが。
 なかなか伊東温泉に入れない伊賀電は山を伝って伊東入りしようとする。だったら最初からグランドバース使ったらどうなの?
 ガイラー将軍が乗る観光バスを伊東温泉から逃がさないよう、バスを押し返すシャリバン。それなりに格好良いけど、全く意味が無い。
 伊東駅の後ろにはいつもの採石場がある。あちら側には海があるはずなんだが?
 ちなみに今回の予告編では伊賀電が脱ぎ捨てたシャツを受け取ろうとする手が見えたが、本編ではそれが無くなっていた。
 幻夢界に入る前にミサイルや戦闘機がシャリバンを襲うシーンがあるが、これだけの力を持ってなんでせこい作戦ばっか立てるのかね?>
第18話 夏だ! 海だ! 伊豆半島を襲うメテオの群

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 マグマビーストの作戦を阻止したシャリバン。だが伊豆半島では未だマドーの作戦が続いていることを推測。伊豆の地下にあるウラン鉱脈を狙っていることを突き止めた。その頃マドーはウラン採掘のため、小惑星型ミサイルを地球に近づけていた。
 敵はサメビースト。伊東温泉川良のプールに現れた魔界獣で千秋を誘拐する。メテオ型ミサイルの誘導装置を内蔵している。
 伊東温泉を舞台にした後編で、マドーの目的は前回同様伊豆の中にあるウランを発掘するためなのだが、なんと宇宙からミサイルを撃ち込もうという豪快な作戦が展開。体に刺さった棘を抜くのにショベルカーを使うような作戦で、無茶なことこの上なし。明らかに地球を壊滅させようとしてるだろ。
 前回ラストに登場したホテル川良が今回のメイン舞台。完全にプロモーション番組と化している。他にもマドーの手がかりを探すため、各地の観光施設に出入りしてる辺りがモロ。全く関係ないけど、私はこの観光名所は全部回ったことがある。
 プロモーションに徹しているからか、登場する女性陣が皆水着姿(ドクター・ポルターやミスアクマまで)になってるのは、サービスとして良し。
<海でさらわれたのだから仕方ないが、サメビーストに捕まった女性の一人は水着姿でいつもの採石場にいる。違和感甚だしい。
 そう言えばシャリバンはモグリアンという地下採掘用のマシンを持っているんだが、マドーにはこのタイプのマシンは無いんだろうか?随分派手な作戦になってるのはそのせい?>
第19話 魔境岬に一人立つ神秘の少女

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 伊賀電の眼前で何者かに襲われた青年。ダイイングメッセージの「イガクリスタル」という言葉に不審を覚えた伊賀電は、自分の故郷奥伊賀島へと向かう。そこに現れた少女に襲われる伊賀電だが…
 敵はカタリベビースト。イガクリスタルの秘密を探るべく奥伊賀島の神父に化けていた。そしてイガクリスタルの秘密を守る仮面怪人が登場。カタリベビーストとガイラー将軍と戦う。
 以降本作のテーマとなるイガクリスタルの物語“奇星伝”の開始の物語。伊賀電はここで過去の自分と、自分の血筋について考察することになる。動きそのものは静かなものだが、見所は満載。この物語がかなり謎めいたものへとなっていった。
 伊賀電自身が宇宙人の子孫であったこと、イガクリスタルという超破壊兵器ともなるエネルギー体を守らねばならないことなど、どう見ても後付の設定だが、これはこれで燃える設定でもある。
 今回見所の一つは一般人(?)の空飛ぶ少女と伊賀電の戦いが挙げられる。非常に幻想的な戦いのシーンで、なんというかスカートの中身までモロ見せにして戦うというのはサービスか健康的と言うべきか。
 今回は珍しく敵を倒さずに終わり、幻夢界も出てこなかった。
<伊賀電の眼前で突然人が死に、しかもそれが自分の故郷の出身者…いい加減ご都合主義な物語だ。
 奥伊賀島の神父がこの島を「神々の住まう島」とか言っていたが、一神教がそんなことを言って良いのか?
 伊賀島の古老は宇宙刑事の存在を知っていた。どっからそんな情報手に入れてた?>
第20話 荒波が呼ぶ七色水晶の孤島

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 奥伊賀島の古老から、みゆきと共にイガクリスタルを守るように言われた伊賀電は奥伊賀島の奥深くへと入っていく。そこでガイラーと戦いつつも、その奥深くに伊賀電が見たものとは…
 敵は前回に続きカタリベビースト。植物学者に扮して伊賀電を騙した。
 イガクリスタルを巡る物語の後編。と言うか、“奇星伝”始まりの終わり。ここでシャリバンが何故宇宙刑事になれたかも語られる。いくら鍛えているとは言え、たかが地球人があっという間に宇宙刑事になれるはずはなく、それはイガ星人の特殊な血によるものだという。後付設定にしては上手くまとまった設定だ。今回はイガクリスタルがみゆき達と共に他の惑星に転送してしまい、とりあえずの決着。
 相変わらず体を使ったアクションも冴えており、服をボロボロにしながらも頑張ってる。多少出てくるアイテムが安っぽいけど、それは許容範囲か。
<誰も入ったことの無いという島の奥地に何故かいる植物学者。のちにこれは魔界獣だと分かるが、伊賀電をあれだけ近づけないようにしてる島の住民はどうなった?
 サイコの命令だとシャリバンに先に行かせ、イガクリスタルの在処を突き止めた後に横取りするはずだったが、ガイラー将軍は構わず伊賀電を攻撃してたりする。これって命令無視になるんじゃない?
 今回ドクター・ポルターは奥伊賀島にいるはずだが、普通に幻夢界が出現していた。別段ポルターっていらないのかも?そう言えば今回シャリバンもモトシャリアンを使わずに幻夢界に入っていたが、あの過程って必要なんだろうか?>
第21話 密室の牙・リリィはミステリーがお好き

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 パトロール中マドーと遭遇した伊賀電は難なく撃退するが、モトシャリアンに付着していた魔界獣の細胞が増殖を始めていた。一方、伊賀電はマドーの罠にはまり、風船に入れられた明と千秋を追いかけていた。
 敵はウツボビースト。卵の状態でモトシャリアンに付着してグランドバースに侵入。成長してグランドバースを破壊しようとする。顔がモロにエイリアンしてる。
 前回までイガクリスタルの話がハードだった埋め合わせか、今回はリリィをメインに、色々サービスを盛り込んだ話となった。戦士の格好をしていないリリィの日常生活が描かれていく。
 グランドバース内も結構細かく書かれているのも良いところ。
 ギャバン隊長も久々に登場。やっぱり通信機での会話だけだけど。小次郎も出ているが、堂々と千秋とデートと言っている。後ろに明と千恵がくっついてるのは愛嬌。
<グランドバースの格納庫って、いかにもコンクリート打ちっ放しの部屋なのだが、随分ローテクな部屋だな。
 今回はリリィのシャワーシーンだけでなく、モロに千恵のパンツ姿が見えたりと、変な意味で力が入ってる話でもある。
 戦っているのがガイラー将軍だけだと知ったシャリバンは「魔界獣がいない」と見破る。マドーが繰り出す魔界獣は一話について一体しかいない事が前提なのね。
 気絶したリリィにとどめを刺さず、まるで介抱してるように見えるウツボビースト。グランドバースの破壊を見せようという事か、それとも単に良い奴なのか?>
VOL.3
<A> <楽>
第22話 テニスプレーヤーを襲う天国への誘惑

  脚本:高久 進
  監督:田中秀夫
 千恵と明から新人天才テニスプレイヤー花井ジュンのサインを頼まれた伊賀電。だが彼女はシニガミビーストの脅迫を受け、自殺一歩手前状態。純の様子を見た伊賀電は裏にマドーの影を見るが…
 敵はシニガミビースト。半魚人のようなデザインの魔界獣で、一応女性らしい。人間体は曽我町子が演じているが、怪人体でも声は変わってない。
 「宇宙刑事ギャバン」のハニー萬田に続き、曽我町子が登場。今回は女占い師になって地を這うような声で「早く天国に生きなさい」と誘ってくる。これはこれで凄く怖い。
 結果として今回の話は全部曽我町子が持って行ってしまった。あまりに強烈なキャラのため、他に見所がない。いや、それだけで充分面白いんだが。
<ジュンの自殺未遂のニュースを知った明は、「宿題宿題ってうるさいから自殺しようかな」と呟いている。そんな簡単に言わせちゃ駄目だよ。
 世界の有名人が狙われているとギャバン隊長から聞いた伊賀電は、いきなりでっかい青村イチロウの写真を出し、「ヤングの間で絶大的な人気を誇る」と説明を始める。今にしてみれば「ヤング」って言葉は凄く恥ずかしいな。
 奇声を上げて襲いかかってくるシニガミビースト。攻撃力もさることながら、声が怖い。>
第23話 コピー時代の恐怖 そっくり人間大集合

  脚本:高久 進
  監督:小笠原猛
 伊賀電はリリィとのデート中少年窃盗団に出会う。その子達を見つけたが、その子達も親も何も知らないという。実はその子達そっくりのコピー人間が現れ、窃盗をしていたのだ。
 敵はニメンビースト。イノシシのような姿をした魔界獣で、人間のコピー体を作り出し、そのコピー体に悪さを行わせる。幻夢界ではテレポートもする。
 コピー人間を作り出した作戦が展開。そう言えば丁度この頃、クローン人間のことが話題になったっけ。
 吉田家の子供が倍になるが、本当にそっくり…と思ったら、実際の双子の子役を連れてきたらしい。なるほど一番簡単にコピーを演出できる訳だ(ちなみに長男役を演じた蜂須賀兄弟は後の東映特撮のスーツアクターとして現在も活躍中)。
 ギャバン隊長は何かと物知りだが、バード星の科学って、まるで地球の当時のものと変わらない感じだな。リリィの「わたし達のバカンスは?」という言葉に対し、「だーめ」とかいうお茶目さもあり。
<ドクター・ポルターによれば、自分そっくりの人間に遭遇すると混乱するそうだが、吉田家ではほとんど混乱無しに受け入れてる。でも、それで親の方が自殺しようとするとか、やりすぎ。
 吉田家長男は平気でタバコ吸ってる描写あるが、こどもにタバコ吸わせる描写はまずいんじゃないか…ちなみにこの年この二人は当時21歳だそうだが。
 人を抱きかかえたまま赤射するシャリバン。確か蒸着はコンバットスーツの粒子を噴霧するはずなんだが、そうすると、抱きかかえてる面は変身できない…それ以前に抱きかかえた人間も赤射の影響受けるはずだが?
 コピー人間は衝撃を与えると消えてしまうようだが、最初に「人間と同じ」って言ってなかったか?>
第24話 昆虫ハリケーンが運んだ日本なまけ者病

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 学校で突然クワガタやカブトを配るおじさんが現れた。こども達は大喜びでもらってくるが、その晩から昆虫をもらった家族がみんな怠惰になってしまう。マドーの関与を感じたシャリバン。
 敵はビルスビースト。怠けガスを出すクワガタやカブトを配り、子供とその家族を怠惰にしてしまう。口から出すガスは相手を縛る蜘蛛の巣のようになる。
 マドーによる心理作戦が展開。殊侵略という事に関しては、今回は実に見事な話に仕上がっている。侵略は力だけではない。人間を無気力にしてしまい、そこに君臨する方が手間もかからず、効果的。実際マドーも幾つかの星でこの方法を試しているのだとか。
 日本一国を怠惰病にかからせるだけで世界経済にどれだけのダメージを与えるかを得々と説明するドクター・ポルターの姿あり。これは事実に即しており、既に日本が世界にとって重要な位置づけにあることを印象づけさせてくれる。
 更にマドーはマスコミまで利用してシャリバンの活動を制限しているが、これも効果的な作戦だろう。
 元森林パトロールと言うだけあって、カブトとかクワガタの種類には詳しい伊賀電。細かいところでちゃんと設定が活きている。
<パターン的には当然とも言えるんだが、何故か事件は明の小学校で起こることが多い。
 酒を飲んでひょっとこの面を付けて踊りまくってる小次郎。怠けガスは随分変わった作用を及ぼしたな。
 これも今更なんだが、公園で戦っていたのに、戦いが終わったらシャリバンはビル街にいた。>
第25話 鬼の目に涙・天使の涙・パパ助けに来て

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 ある会社に目を着けたマドーは社長の借金を1億円に増やし、その会社を乗っ取ろうとする。逃げた社長の事を知った伊賀電は、家族を守るためにその居場所を探し当てるが…
 敵はハードビースト。岩石のような怪人でマドーの隠れ蓑である悪徳サラ金を警護している。
 サラ金による人間失踪と、最早こども向きとは思えない話が展開。金は人を狂わせるということをストレートにそれを演出した話となっている。金のために妻子を捨てる男とか、高額バイトに釣られてホステスになってサービスしてる千秋の姿まであり。子供にこれを見せるのか?流石上原正三と言ったところか。
 人を救うためには土下座も厭わない伊賀電。重い話を見事に受け止めてくれた好演ぶり。
 何故か浮浪者姿で登場する小次郎。借金なんかしたらこうなるよ。という説教か?
<リリィは町中で伊賀電に対し普通に「シャリバン」と呼んでる。人目は気にしないのね。
 結局社長の家では借金は消える訳ではなかったらしい。最後夜逃げするように引っ越しする様子が描かれていた。まあ、これも金よりも家族だ。というポジティブな意味なんだろうけど、もう少し救いようがある物語になると思ってた。>
第26話 憎しみの罠 メイクアップ大戦争

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 伊賀電を襲うマドーの手。いつの間にか遊園地に誘い込まれた伊賀電は様々な敵の襲撃を受ける。
 敵はカイキビースト。変幻自在の変わり身の術で伊賀電を翻弄した。棺桶や斧を使って攻撃する。
 10回に一回くらいは出てくる不条理な怪奇編で、遊園地と洋館を舞台に罠に誘い込まれたシャリバンの活躍を描く。タイトルに「メイクアップ」と言うだけあって、劇中の人物が次々といろんな扮装で登場するのが本作の特徴だろうか。ただ、直接伊賀電を狙う話だけに、物語のふくらみはなし。
 こう言う話になると俄然元気になるのが小次郎の方で、今回は次々に様々な服装に着替えながら逃げ回るシーンは一見の価値あり。
 今回もアクションは冴え、爆発のただ中に渡洋史が突っ込んでいくようなシーンまであり。シャリバンへの変身も最低限に抑えられ、生身のアクションが楽しめる。よくこれで怪我せずに済んだな。
<棺桶で罠を張り、伊賀電を誘い込んだカイキビースト。でも、サイズ的にカイキビーストが入ったらもう誰も入らないよ。
 伊賀電は千秋の目の前でシャリバンに変身していたが、ばれなかったのだろうか?>
第27話 裏切りの空 暗黒刑務所からの逃亡者

  脚本:高久 進
  監督:小笠原猛
 マドーの暗黒刑務所から一人の男が脱走した。マリオというその男の血液型はイガ星人のものだと知ったシャリバンは、彼をなんとしても救おうとする。だが、ガイラー将軍によってとらえられてしまい…
 敵はウラギリビースト。暗黒刑務所から脱走したマリオを粛正するために生まれた魔界獣。
 自分と同じ血を持つ男を信じ抜こうとするシャリバンと、その思いを逆手にとって張られる罠。マリオを信じ抜こうとするシャリバンの姿がとても格好良い。
 シャリバンが通信で話しているのはギャバンではなく久々に登場したコム長官。いつもギャバンに対しては素直なシャリバンが反抗してる。
 今回登場したイガ星人マリオ役は尾崎紀世彦。なんでこんな人が?演技そのものはちょっと浮いてるのが残念なところ。折角歌った挿入歌もちょっと雰囲気とは似合わない。
 マリオの話で引っ張ったため、今回のウラギリビーストとの戦いは非常にあっさりしたものだった。
<いつの間にかシャリバンには宇宙中に反マドーの仲間を持つようになったが、一応宇宙刑事は公務員だから、こう言うことはしてはいけないのでは?それに突然出来た設定だから、浮いてしまってる。
 マリオのことを「青年」と言ってるけど、ちょっとその年齢ではなかったような?
 拷問にかけられつつ、「俺はどうなっても構わない」と叫ぶマリオ。ベタベタな展開だが、台詞の浮き具合がなんとも。もうちょっと上手い人がやらないと駄目だよ。
 マリオの裏切りを知ったマリオの母は、暗黒刑務所から宇宙空間に身を投げて死んでしまったそうな…シチュエーションが妙じゃないか?>
第28話 キャンパスは風速80Mの猛烈ストーム

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 明達から死にかけている人がいると連絡を受け、現場に急行する伊賀電。その男は城東大学の野村と名乗り、「大神博士を助けてくれ」と言い残して死んでしまう。そこで城東大学に向かった伊賀電だが、折しもそこでは遺伝子工学の国際シンポジウムが開かれようとしていた…
 敵はキャンパスビースト。国際シンポジウムにやってきた博士達の脳を手に入れるためににするために大上博士になりすまして大学に潜入する。巨大な扇を剣のように用いる。
 大学を舞台にした話で、いかにもキャンパスライフを楽しんでる大学生たちと、その裏にうごめくマドーの陰謀が描かれていく。幻夢界でもスポーツ選手がシャリバンを襲ったりと目先が変わって面白い。基本はいつも通りで、犬も歩けば棒に当たる方式のフォーマット的物語。
<のんびりベンチに座って伊賀電に呼びかける明と千秋。何だと思ったら、「人が死にかけてる」…って言ってた、随分危機感ないな。
 守衛にガードされ、大学に入れずに忍び込む電。でも、この大学は千恵の大学らしく、小次郎が平気で出入りしてる。こう言うのをガードしないとあかんのじゃないのか?
 大上博士を取り戻すために「慎重にしなきゃ」と呟く電。でもそれ以前に大立ち回りしてるんだけど。そんで今更変装して大学に潜入してたり。全部バレバレなんだが。
 大上博士の本棚が秘密通路につながっているのだが、スイッチとなる本だけ何故か手書き。やっぱり本当の本を使うのは著作権的にまずいから?
 それで秘密通路を見つけるシャリバン。アジトがばれてるのは分かってるのに、そのままそのアジトを使い続けるマドーの連中。もう少し危機感ってものを持とうね。
 本物の大神博士は数日前から監禁されていた訳だし、他の二人の博士も頭こじ開けられようとしていたってのに、普通にシンポジウムが開かれてる。凄い大学だ。>
第29話 敵は誰だ? 荒野をめざす熱血児

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 中東で日本で開発した中性子銃が大量殺人のために使用された。この事件の背後にマドーがいると睨んだ伊賀電は国際的な兵器ブローカーであるミスター・サイゲルを張り込んでいた。だが他にもう一人、武器密輸団をマークしている男がいることに気付く…
 敵はヘイキビースト。全身機械の固まりと言った感じの魔界獣で、全身に飛び道具を付けている。どう観てもロボットなのだが、これを「獣」と言ってしまって良いものやら?
 中東に密輸されている日本の兵器を扱った話で、設定自体が最早子供のものとは思えない。確かにテレビサイズだから描写に稚拙なところもあるが、刑事物っぽい骨太の物語が展開していく。シャリバンの変身も最低限だが、実はシャリバン無しでも話が成立するほどドラマ的にしっかりしてる。非常に真面目な内容のため、ツッコミが入れにくいのが難点だが(笑)
 復讐に燃え武器密輸ルートを一人で探る元刑事新田。この人がこの話の主人公となるが、その熱血ぶりが逆にマドーに利用されてしまうことになる。ちなみに新田を演じたのは富岡賢。後のマイケル富岡であり、更に後にヤキソバンというヒーロー(?)に変身するようになる。
<超科学力を持ち宇宙からやってきたという割にはマドーのやってる事って日本の兵器を輸出という、なんかリアルなんだかせこいんだかよく分からない。
 伊賀電がダムから落とされるシーンがあるが、勿論落ちてるのは人形。それは良いんだけど、赤射の説明のため、もう一回スローモーションで映すのは流石に観て観ぬ振りができにくい。>
第30話 捨てられる子供たち 変身するママ

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 新しくできた異次元美容センターに通うようになったお母さん達。みるみるうちに彼女たちは美しくなったのだが、そこに通う内に、家のことを無視するようになってしまうのだ。背後にマドーの匂いをかいだ伊賀電。
 敵はヘンシンビースト。異次元美容センターの所長として、主婦達を洗脳する女性型の魔界獣。毛皮のマフラー状のものを首に巻き付けている。
 東映特撮では伝統とも言える家の危機。この辺流石に古くから脚本やってる上原脚本らしい。ただ、昔と異なっているのは、金の事を全面的に押し出していることか。80年代らしいが、確かにこの時代の世相をよく示している。
 ここでは小次郎が逃げた主婦の代わりに赤ちゃんの面倒を看ている。意外に器用な人だな。
 渡洋史は吹き替え無しで階段落ちまでやってる。ここまでよくやるよ。
 ここで主婦役として「秘密戦隊ゴレンジャー」のペギー松山役小牧リサが登場している。時代の流れを見るかのようだ。相変わらず綺麗だけどね。エアロビクスシーンまで披露してる。
 母親達を洗脳するマドーに対し、「俺の胸は怒りで張り裂けそうだぜ」と言ってのける伊賀電。「俺の怒りは爆発寸前」か?
<リリィが既に潜入しているのに、とりあえずごまかして帰ってもらって安心してるガイラー将軍たち。そんなことだから(ry>
第31話 みゆきは今? さまよえる幻のクリスタル

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 イガクリスタルの力によって異次元に飛ばされてしまったミユキたちイガ一族の少女達は、様々な次元を彷徨い続けていた。ミユキの救いを求める声を聞いた伊賀電は一路奥伊賀島に向かう。それを知ったマドーは、シャリバンをタイムスリップさせ、そのまま時空の彼方に放り出そうとする。
 敵はコダイビースト。時間を超越できる魔界獣で、タイムスリップして赤射出来ない伊賀電を狙ってくる。
 罠にはまった伊賀電がタイムスリップしまくり、その場その場で混乱を引き起こすという話。過去に跳ぶと赤射出来なくなるため、生身のままで孤軍奮闘で戦わねばならない孤独な戦いが描かれる。
 あっちこっち跳びまくる伊賀電がそこで戦いを続けていく。無茶苦茶な話ではあるものの、完成度は結構高い。
 久々にイガクリスタルの話となり、一瞬ではあるがみゆきとの再会もあり。伊賀電に向かって「ばかばかばか」とか言ってるみゆきがなんか可愛い。性格が変わったか?
 後に重要な存在となるガマゴン大王がちらっと登場してるのも特徴。
 いつも「ゴワゴワ」としか喋らないマドーの戦闘員ファイトローは一応喋れることが分かった。ただし、字幕が必要だが。
<モーターボートで奥伊賀島に向かった伊賀電は次の瞬間グランドバースの中におり、画面が切り替わると愛車で奥伊賀島を走ってる。一定しないな。
 比叡山の僧兵に囲まれた伊賀電は「俺は宇宙刑事だ」とか叫んでるけど、一般人に言って良いの?
 1941年のトルコに飛んだ伊賀電。出てくるジープは最新型のようだし、人間もみんな日本人にしか見えない。
 赤射で気無くなった自分に驚く伊賀電。ドクター・ポルターによれば赤射出来る時間より前の時間に行けば赤射出来なくなるとのこと。でもそれって単にグランドバーストのリンクが切れてればそれだけじゃないだろうか?
 2983年のX星なる場所が出てくるが、何故かそこには倒れた東京タワーが…「猿の惑星」じゃあるまいに。>
VOL.4
<A> <楽>
第32話 幻夢じかけのオレンジと子守唄!

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 ショッピングを楽しんでいたリリィが何者かにさらわれた。それを追いかけた伊賀電は不思議な学校に迷い込んでしまった。親に見捨てられたこども達を集めているというこの学校に不審を覚える伊賀電だが…
 敵はジキルハイドビースト。ギラー・ギラー・スクールの園長となり、こども達に獣性を増すハイドエキスを取らせていた。斧と剣を武器とする。
 時折出てくる幻想的な話だが、ここでは親と子の絆が描かれる話となっている。親に捨てられたこども達が徐々にモンスター化していくシーンはかなり怖い。タイトルに出ているとおりオレンジが効果的に用いられてる。
 ここで「親に捨てられた」と言われてるが、実際は親の方が忙しくて子供の面倒を看られなくなった大人の事を指摘している。共働きが多くなっている世相を反映してのことだろう。
 ギラー・ギラー・スクールの園長を演じているのは「仮面ライダースーパー1」でテラーマクロを演じた汐路章。かなり不気味な演技が光る。
 子供好きな小次郎の特長が良く表れた話で、寂しそうな子供を見るとつい面倒看たくなるらしい。都合の良い設定ではあるが。
<リリィがいなくなったと言う事で、新しくできたスーパーマーケットを探す伊賀電。脈絡がないんじゃないか?
 ガイラー将軍を飛び越えた伊賀電がシャリバンに赤射すると、全然違う場所にいたジキルハイドビーストに蹴りを入れてる。まあ、これはいつも通りか。
 ジキルハイドビーストを叩き斬って一件落着。ところでリリィはどうなった?>
第33話 瞬間旅行! 幻夢城内は怪奇の花ざかり

  脚本:高久 進
  監督:小笠原猛
 グランドバースを手に入れよとの魔王サイコの命令で瞬間移動装置を用いるマドー。何度かの実験を経て、ようやくグランドバースを探すのだが、シャリバンも又マドーの企みに気付いていた…
 敵はシュンカンビースト。瞬間移動装置を完成させるためにエネルギー物質を強奪するために作られた。
 グランドバース乗っ取りは21話でもやったが、今回は豪快にグランドバースそのものをそのまま奪ってしまおうというもの。しかし、その実験は失敗続きで、すっかりシャリバンに悟られてしまうと言うお粗末ぶり。
 岩手から出てきた子供の父親探しも話には入っているのだが、本筋とは関わらないため、話が遊離してしまった。たまたま知り合いがたまたま瞬間移動装置の暴走に巻き込まれ、たまたまエネルギー物質を奪ってたまたま同じ町に転送される…ここまでくるといっそ立派だ。
 ちなみにグランドバースの中でリリィが読んでいた本はアシモフの「永遠の終わり」の原書版。物語に関連してはいるのかな?
<グランドバースを捕らえるためになんで地上で実験をする必要があるのかよく分からないし、その完成に必要な物質がなんで地球上にあるのかも不明。物語にかなり無理があるな。
 そもそも幻夢界やタイムマシンまで作れるマドーが瞬間移動装置だけ作れないのもなあ。>
第34話 総毛立つ幽鬼は死霊界への案内人

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 これまでことごとくマドーの魔の手を退けてきたシャリバンはしばしの平穏な日常を楽しんでいた。だが、その間にも着々とシャリバンの抹殺計画が進んでいた。マドーの前に現れたレイダーは
 敵はヒャクメビースト。レイダーの登場により、ガイラー将軍とドクター・ポルターが意地で作った魔界獣。しかしレイダーとの戦いが主体のためにたいして目立てなかった。そして新たにサイコの側近となるレイダー。死霊を操り、シャリバンを死の一歩手前まで追いつめた。
 新しい敵レイダーの登場と、幻夢界を超える死霊界での戦いが描かれる、転機となった話。心理攻撃を仕掛けてくるレイダーとの戦いは、これまでの不条理世界の戦いに輪をかけた不気味さを見せる。ついでに以降イガ星に関わってくる“聖なる者”もここで登場している。
 話はアクション主体だが、メリハリが充分に付いているので、完成度が高い話でもある。戦いが終わってもまだ呪いがかかっているなど、ラストでも盛り上げてくれる。
 死霊界での戦いは基本的に暗闇の中で。今回の演出では幻夢界の中での戦いが死霊界での戦いにつながっているのが特徴か。
 レイダーを演じるのは安藤三男。初期の東映特撮では敵役が多かったが、相変わらずの存在感だ。ただ、不気味すぎたためか、子供離れを起こしてしまったとの話もある。
 久々にギャバンとコム長官の姿もあり。「もう一度地球担当に戻ってもらうかもしれない」などと言われてたりもする。
 棺桶の中に自分の死に顔を見せる演出は『酔いどれ天使』からだろう。
<レイダーに襲われた際、ドクター・ポルターに救いを求めるガイラー。仲が悪そうに見えて、意外に信頼関係があるのだろうか?
 レイダーとシャリバンの戦いは合成で行われるが、時々ずれるらしく、あらぬ方向を斬っているシャリバンの姿もある。>
第35話 倒れたら立ちあがれ電! 愛は生命の輝き

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 新たな敵レイダーに思いを馳せる伊賀電。死霊界に連れて行かれ、死の淵を彷徨ったことは、電の心に大きな後遺症を残していたが、同時に死霊界で出会った“聖なる者”が自分を助けてくれたという事実も…
 敵はワシビースト。レイダーによって心に大きなトラウマをつけられたシャリバンの様子を確かめるために作られる。空を飛べることが最大特徴。
 話は前回からの続き。死霊界に連れて行かれたことはシャリバンにとっても大きな衝撃で、レイダーの姿を見ると、途端に力が出せなくなってしまうようになった。
 そんな伊賀電を心配し、コム長官とマリーンが地球にやってくる。マリーンは久々の登場だ。治療をしたり、特訓をしたりと、何かと世話を焼くが、こう言う時は休暇を取らせるか、バード星で治療を受けさせた方が良いと思う。戦いの中で痛みを癒すってのもヒーローっぽくて格好良いけどね。
 そしてそのトラウマを超えるための特訓が描かれていく。自分の心と戦うシーンはかなり見応えがあるが、それを超えるのは、家族の力という物語展開も良い。
 今回は魔王サイコの顔のアップが多用されるが、見ようによってそれは笑った顔にも怒った顔にも見える。モンタージュの見本みたいな作り方だな。
 名作が多い本作だが、その中でも白眉の物語と言えるが、観ていたこどもにまでトラウマを叩き込んだらしく、本話以降視聴率が低迷したという事実もあり。確かに後半の不条理世界はトラウマものの怖さを持ってる。
<伊賀電の闘争本能を呼び覚ます特訓は、シーツを飛び越える特訓らしい。何の意味が?そりゃ心の問題なんだろうけど。
 幻夢界でグランドバースを呼ぶことが出来なくなったシャリバン。妨害電波で呼べなくなるらしいが、だったら何故これまでその作戦をとらなかったのだ?
 幼少の頃伊賀電の母伊賀優子は自然のたくましさを教えていた。だが、その際ナレーションでは「電」ではなく「シャリバン」と言っていた。>
第36話 風雲の宇宙海にイガ戦士団のZ旗あがる

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 宇宙戦士のリタからシャリバンに連絡が入った。イガ星人の血を引くヘレンとビリーのベル姉弟が、マドーを倒すために地球へ向かったというのだ。戦いを遊びとしか見ず、命知らずのベル姉弟の暴走に手を焼くシャリバンだが…
 敵はブンリビースト。魔王サイコが生み出した“最強の魔界獣”。二体のビーストが合体分離を繰り返し攻撃を行う。片方は植物型でツタを使い攻撃し、片方は野獣型で、こちらが前面に立つ。四本足のビーストは極めて珍しい。どっちかというと分離した方が攻撃力が増すらしく、最後も分離状態で倒された。
 新キャラ、ベル・ヘレンの登場話。ビリーという弟と共に登場したが、ビリーの方は割とあっけなく死んでしまう。
 今回は新キャラの登場話で、それだけで終わってしまった感じだが、シャリバンを食う活躍を見せてくれた。それに宇宙に散らばるイガ星人の末裔達が脈々と生き続けている事が分かり、イガ星再興に向け、着々と話が積み上げられている感じ。
 あれだけ存在感を見せていたレイダーは今回の作戦から一旦外されてしまう。流石にここに出すと存在感が落ちるからね。
<怪我をしているビリーを洞窟で介抱するシャリバン。最初からグランドバースに連れて行った方が良かったんじゃないか?
 ラストでヘレンはイガ星を「お兄さんの星」と言っていた。弟しかいないのに何で?>
第37話 不思議な毒花を熊狩りじいさんは見た

  脚本:高久 進
  監督:小笠原猛
 剣山に惑星ガニメデス産の花を発見したマドーは、それを採取して凶暴なビーストを作り出そうとする。烏や鳩が人間を襲い、更には熊までが出てくる事態に、マドーの影を認めたシャリバンがやってくる。
 敵はクマビースト。惑星ガニメデスの花の実を回収するために作られた熊型の魔界獣。怪力で死神の鎌のような武器を持つ。
 田舎の一軒家を舞台にした怪奇的な話。「超人バロム1」あたりでやってた話がそのまんま10年越しで作ってみました。的な話。前回がストーリーの根幹に関わる話だっただけに、違和感はあるが、これが本来の東映特撮の味だ。
 久々に小次郎が活躍。というか、登場自体久々。それにしても事件のあるところにやってくる確率が高過ぎる。
<熊ばさみの罠にかかり、足に重傷を負ったシャリバンだが、その後ぴんぴんして走り回ってる。骨が折れてたかもしれないというのに。
 ガニメデスの実が生物を凶暴化させることを試すためにファイトローにそれを食べさせるガイラー将軍。下っ端は悲しいなあ。しかもそれが鳥の糞から取り出したばかりのものだけに尚更。
 ゴイチのおじいさんがいる前で他の惑星の話をするリリィ。危機感なさ過ぎじゃないのか?>
第38話 乱心ささやきクーデター暗雲の幻夢城

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 シャリバンの待ち伏せ作戦を展開するガイラー将軍とドクター・ポルター。だが、レイダーの罠にはまったガイラーは突然の乱心を起こしてしまう。功を焦ったガイラーだが…
 敵はアシュラビースト。2度にわたりシャリバンを罠にはめ抹殺しようとする。小学校の先生に化けて見せた。
 魔王サイコに表面上忠誠を誓っているレイダーが、そろそろ本格的に動き出してきた。まずはガイラーを失脚させるべく、精神的な罠を仕掛けるところから。レイダーの不気味さが非常に良く映えている。
 敵内部の裏切りを描くのは上原脚本の特徴でもあるが、その中では完成度が高いエピソードになってるだろう。最後にガイラー将軍は次期魔王候補のための椅子にされてしまう。
 今回のマドーの作戦も、二つの罠が仕掛けられてるが、方や力業、方や心理作戦と、短いながらメリハリの利いた演出がなされているのも良い感じ。
 シャリバン側でもベル・ヘレンが再登場。シャリバンと肩を並べて戦う姿は凛々しさを感じさせてくれる。
<川遊びしてるこども達を襲うアシュラビーストと、それを保護するシャリバン。罠には違いないけど、これだけあからさまなのはなあ。
 ガイラーの乱心を知り、独自に作戦を展開するミスアクマ。上司の威厳なんて全く無いな。
 シャリバンとこども達がこもる小屋を破壊するのが当初の作戦。しかし、実際やってみたらシャリバンのバリアーでこども達は全員無事。作戦自体が間違っていたとしか思えないけど。
 ヘレンのことを「地球に来て僅か2週間」とナレーションが入ってるけど、つまり劇中時間と実時間は連動していると言う事か?>
第39話 人形は知っているイガ戦士の心の傷を

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 新たにシャリバンに味方することになったヘレンは訓練に余念がなかったが、その頑張りが過去に受けた傷から来ていることをシャリバンは察する。何故か人形を怖がるヘレンの過去とは…
 敵はドールビースト。人形のような顔をしているが、その表情をクルクル変えることが出来る。かなり不気味な魔界獣。かつてヘレンが持っていた人形に化け、精神的な攻撃を行う。
 ベル・ヘレンの過去が語られる話で、何故ヘレンがこんなにマドーを憎むのか、それは自分自身が拷問の末仲間を売ってしまったという過去に起因する。物語としてはもの凄く重いけど、この重さがとても良い感じに仕上がってる。不満を言えば、ドールビーストはシャリバンクラッシュじゃなくてヘレンにとどめを刺してもらいたかったけど。そうしたら、本当にトラウマ克服した事になるんだけどね。
 前回ガイラーが退場したため、ドクター・ポルター単独で攻撃を指揮している。やっぱり「抹殺」がないとちょっと物足りない。
<ヘレンが持っている銃は「ニードルガン」と呼ばれているが、レーザーらしき光線が出ている。
 おだてに弱い小次郎は、ちょっと褒められると財布の紐がゆるむゆるむ。良いキャラだ。
 ヘレンの帰りを待つシャリバンは廃屋でたき火をしていた。そう言えば伊賀電の家はどこなんだろう?
 ヘレンは異星の出身なのだが、幼なじみの名前がジムであったり、人形の名前がローラであったりと、アメリカナイズされてる。>
第40話 炎のカーチェイス 愛の絆を裂く大予言

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 小次郎によりこの地球が大噴火すると聞かされた伊賀電は、小次郎が読んだという本の著者大予言八郎に会いに行く。予言者気取りで終末を予告する八郎に危険を覚える伊賀電だが…
 敵はヨゲンビースト。大予言八郎という人間体で地球全体に大噴火が起こると予言し、人々をパニックに陥れる。
 5話に続き潮健治が敵になって登場。胡散臭さいっぱいの予言者を演じており、異様なほどに似合ってる。
 マドーの作戦は地震そのものによって人類を滅ぼすのではなく、そこから起こるパニックで殺し合いをさせるというもの。この設定はなかなか面白い。惜しむらくは折角良いキャラを使ってるのだから、もうちょっと大予言八郎の胡散臭さを強調して欲しかったところだが。
 今回は珍しく赤射が一度だけで、その分アクションに力が入っているが、何より今回はモトシャリアンの活躍が良い。シャリバンの意志に呼応し、あたかも意志あるかのようにシャリバンの元にやってきて危機を救う。後の『仮面ライダーBLACK』のバトルホッパーにも通じる存在感を見せている。又、今回は珍しくグランドバースの出番が無く、シャリンガータンクで全ての敵を破壊してるのも面白い。
 今回は合成が素晴らしく、非常に自然に変身がなされており、サイコゾーンへの以降もスムーズ。
<椅子にされてしまったガイラー将軍は、作戦会議の間中黙って這いつくばってるだけ。可哀想というか、妙に笑えてしまう。
 モトシャリアンの両側からドリル付けたジープが襲いかかるのはやっぱり『ベン・ハー』からだろう。>
第41話 不死鳥よ! 逆噴射の幻夢界へ舞いもどれ

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 シャリバンの強さの一角であるグランドバースの封じ込めを命じられたレイダー。その一方でドクター・ポルターは着々と地下鉄占領計画に着手する。グランドバースを無力化された状態でシャリバンは…
 敵はアナホリビースト。舞台が地下鉄だけにモグラのような姿をした魔界獣。両手の巨大なかぎ爪で攻撃する。
 前回モトシャリアンが大活躍したが、今回はグランドバースが活躍する。
 肉体アクションの方もふんだんに取り入れられ、いつもの(笑)陸橋とトンネルを使い、スタントなしのアクションが映える。その分アナホリビーストの活躍の機会がほとんどなく、出てきたらあっという間にやられてしまった。
<なんと小次郎達の目の前で変身してしまうシャリバン。小次郎達は呆気にとられていたが、
 レイダーのエクトプラズムにより探知機を狂わされたグランドバース。それに対しサーチャースコープで本物を見ようとするのだが、グランドバースの画面に映っている時点で意味が無いんじゃないか?
 何度呼んでもやってこないグランドバースに、虚しく呼び続けるシャリバン。それよりリリィに通信入れた方が早いだろ?>
VOL.5
<A> <楽>
第42話 戦場を駆けぬけた女戦士の真赤な青春

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 打倒マドーを胸に、訓練を続けるベル・ヘレン。既にファイトローやミスアクマを圧倒する実力を持ち始めたヘレンに危機感を覚えた魔王サイコはレイダーにヘレン暗殺を命じる。
 敵はレイダーが死霊界から呼び出したレイサ。ベル・ヘレン抹殺のため、ヘレンを騙して道連れにする。そしてムクロビースト。レイサのサポートのために生み出され、ヘレンの元に向かうシャリバンを妨害した。
 ベル・ヘレンの壮絶な死が描かれる話。イガ星再興のため、そしてシャリバンのパートナーとして活躍が期待されていただけに、こんなところで死んでしまったのは、あまりに惜しい。しかしその分、たっぷりと今回で活躍が描かれている。妙に仲睦まじいシャリバンとヘレンをたっぷり見せた後で、どかんと来るので、落差が激しい。特撮作品では幾度となく死は描かれるが、この話も又、名作に数えられるだろう。怒りに燃えた伊賀電が「赤射」を叫ぶシーンは、これまで以上に感情がこもっていて良い。
 てっきり最後までシャリバンと一緒に戦うだろうと思っていただけにヘレンの死は意外で、その分衝撃も高い。なんの伏線もなかったしね。
 尺が短い分、ちょっと駆け足になってしまったのが残念だが、見所が多く、安定した物語と言えるだろう。何といっても女戦士同士の戦いは見栄えがする。
<ヘレンの連絡に愛車のジープで駆けつけるシャリバン。これがマドーの仕業だと分かった時点で赤射してモトシャリアンを呼び出すとかしない?>
第43話 母と子の愛の涙が天国への道に流れる

  脚本:高久 進
  監督:田中秀夫
 この世に恨みをもって死んだ母親の霊を死霊界から呼び出したレイダー。彼女は近づく子供達に呪いをかけてしまう。
 敵はレイカイビースト。レイダーが死霊界から呼び出したこの世に恨みを持つ霊が集合して誕生した悪霊をベースに魔界獣を合成して誕生する。子供達に呪いをかける。それと、これまで登場した何体かのビーストが幻夢界で出現する。
 幽霊話が展開するが、妙に怖い話で、本作の視聴率下降に寄与したのではないかと言われている。墓石が倒れてそこから青白い光と共に幽霊が現れるなど、雰囲気はたっぷりだし、なにせ子供が死にかかってる描写が妙にリアル。
 今回のレイカイビーストはレイダーが呼び出した悪霊と魔王サイコが生み出した魔界獣との合成。「最強の魔界獣だ」と勝ち誇っていた割には心が弱いので、あんまり強くなかった。
<それにしても「保険金殺人の濡れ衣を着せられ死刑になった。それを恨んで」って、子供に見せる話じゃないだろ。25話でもやってるけどね。
 椅子にされてるガイラー将軍がひたすら睨み付ける構図は結構怖い。
 ラストで中原フサコの無罪が証明されたとかナレーションが入ってるけど、どうやって証明したんだろう?>
第44話 バラの香りに満ちた真夜中のシンデレラ

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 千秋のテニスのライバルの住む女子寮がマドーによって襲われた。突然テニスの腕が上がった彼女の姿を見た伊賀電は危機感を感じ、女子寮を探ろうとするが…
 敵はアンコウビースト。額の提灯部分を伸ばして女子大生の寮を探り、そこで女子大生を獣性化させる計画を遂行する。
 大学の女子寮を舞台にした戦い。勿論伊賀電は入れないため、今回はリリィが大活躍する。女子寮に入ったり、そこでアンコウビーストと立ち回りを演じたり。
 一方の伊賀電は、まるで結界が張られているようでどうやっても女子寮には入れない。軽い不条理描写だ。しかも獣性化した女性達が襲ってくる。最後は覗きに間違えられると、今回は女難らしい。見せ場もリリィに取られてしまい、赤射も一回だけ。
<ドクター・ポルターの計画では、人間の獣性化を進めるには数百年がかりの計画らしい。えらく気の長い話だ。
 獣性化した女子大生はそろって巫女姿。監督の趣味か?戦いの音楽も妙に軽いぞ。
 今回の戦いの舞台は夜中なのだが、戦い終わってみたら青空が広がってる。いつものことかな?>
第45話 オーディションの罠 ちびっ子大スター

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 自らマドーに君臨する野望を抱くレイダーは、邪魔者であるドクター・ポルターを失脚させようとポルターに悪夢を見せる。悪夢に悩まされるポルターはレイダーの勧めで、魔界獣を供養するため子供を生贄にしようと街に繰り出す。
 敵はユウカイビースト。スカウトマンの格好をして生贄の子供を連れてくる。
 タイトルはふざけているが、内容はマドーの内紛がますます激化する話で、ストーリーの根幹にも関わっている。レイダーの野望を見抜いた魔王サイコはこれまで椅子にされていたガイラーを復活させる。これから大幹部の椅子を巡り三つ巴の戦いが始まる。
 何だかんだ言って最初からずっと全戦で戦ってきた二人のミス・アクマは未だに生き残っているどころか、ドクター・ポルターの失脚をほくそ笑んでるシーンあり。ここに来てようやく個性を見せたか。
 久々に「抹殺」の台詞が出てくるが、ガイラーではなくドクター・ポルターが言ってるところが面白い。ガイラー復活の回でもあるが。
<ドクター・ポルターは夜寝る時もあの格好のままらしい。寝返りうてないよね。
 明がいなくなった事で危機感を覚える電は、「胸騒ぎがする」と説明する。「マドーの仕業だ」という台詞はなかったが、それに近い言葉を言ってる。
 鎮魂の祈りを唱えるドクター・ポルターだが、眉間にシワを寄せて叫んでるだけ。これで本当に慰霊になるのか?
 いつもはドクター・ポルターが幻夢界発生装置を動かしているが、今回はポルターが戦いの真っ最中。誰が操作してるんだろう?
 子供達の前で大口径銃をぶっ放すリリィ。正体ばれても構わないの?>
第46話 誕生日の約束 大空に夢をえがく飛行雲

  脚本:久保田圭司
  監督:小西通雄
 航空写真会社に働く北川は、太平山上空を飛行中、偶然マドーの基地を発見してしまい、マドーに襲われてしまう。息子の誕生日に間に合うよう急ぐ北川だが…
 敵はプレゼントビースト。パステルカラーを基調とした妙にカラフルな魔界獣。秘密基地の秘密を握った北川を襲う。
 この作品では定番とも言える親子の愛情を主題にした話。脚本の久保田圭司は本作唯一の参加だが、手堅くまとめられている。特に前半ではこう言う話が多かったので、一旦方向性をまとめるには上手く機能していたと思う。
 一方、大幹部の椅子を巡り三つ巴の争いは激化。ドクター・ポルターの失脚を狙うレイダーはわざと秘密基地のありかをばらし、そのフィルムを自分で回収したりしてる。それとガイラーが復活したら、又しても手柄を巡ってドクター・ポルターとの言い合いを始めてる。いつもの漫才コンビの復活か。二人を出し抜いたはずのレイダーも逆にシャリバンの罠にはまってしまい、面目を失うなど、なかなか楽しい内紛ぶり。久々のガイラーの「抹殺!」も聞ける。
 このところシャリンガータンクにお株を奪われっぱなしだったバトルバースが久々の変形。マドーの秘密基地を完全破壊する。
<これと言ったツッコミ所もない。それだけバランスの取れた話って事か?>
第47話 幸福をねがう兄と妹 火花散る正剣邪剣

  脚本:湯山晃行
  監督:小西通雄
 ハイキングに来た兄妹が入り込んだ洞窟の中には暗黒剣が安置されていた。それを手にした兄は正気を失い、欲に駆られてしまう。一方、伊賀電は夢の中で再びイガ獅子と出会い、そこで聖なる剣の存在を告げられる…
 敵はケンキャクビースト。チョンマゲを付けた落ち武者っぽいデザインの魔界獣で古デビルの剣を使うために生み出され、デビルの剣を持っている限りは不死身。サイコ曰く「最強の魔界獣」。美術商に化けていた。
 この話が通常の話の最後となるが、演出にもかなり力が入っていて、見応えある物語に仕上げられていた。通常話とは言うものの、一応イガ星の話も関わっている。
 これまで何体もの毎回獣を斬っていたレーザーブレードが通用しない敵に対し、聖なる剣とレーザーブレードの二刀流にするシャリバンの姿も格好良い。
<怪しい車を追跡するリリー。対向車線を走っている車を追うために方向転換するのだが、ブレーキもかけずに一瞬で制止してる。これが宇宙刑事の科学力か。
 渋谷の町中から車で向かったのはいつもの吊り橋。どんだけ移動したんだ?>
第48話 ミミー

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 コム長官の娘ミミーが宇宙海賊のベムサソリにさらわれた。全宇宙刑事にミミー捜索命令が下る。ギャバンは次々にベムサソリの基地を潰していくが、その行方は知れなかった。地球にいるシャリバンも警戒態勢に入るが、なんとミミーはベムサソリから魔王サイコへと献上されていたのだ。
 敵は宇宙海賊ベムサソリ。コム長官の娘ミミーを誘拐し、銀河警察への見せしめのためガイラーとの間に子供をもうけようとする。宝石を収集するのが趣味で、ミミーをさらったのも報酬目当て。腕に装着したかぎ爪を飛ばして攻撃する。
 これから最終回にかけ、タイトルは極めてシンプルなものに変わっていく。今回は幻夢城の在処を探し当てるという重要な話でもあり。ここでは道は閉ざされたが、行き来ができることが分かっただけでも成果だ。
 のっけからいきなり懐かしい音楽と共にドルギランが登場。そしてギャバンの勇姿!改めて観ると、やっぱり良いなあ。
 それでなんとミミーがガイラーと結婚させられる。又えらく突飛もない話になってる。それで子供を作り、銀河警察の信用を下落させるのが狙い。
 東映作品では結構珍しい暗黒舞踏のシーンあり。結婚式の余興らしい。
<シャリバンにミミーを奪回されたガイラー将軍は、さも情けない声で「わが花嫁がぁ」と叫んでる。良いシーンだ。
 今回登場するベムサソリのスーツは割合シンプルだが、その服装はなんか「Xライダー」のものによく似てる。>
第49話 ガマゴン

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 一度魔王サイコの元へと連れて行かれたミミーにより幻夢城へと続くサイコゾーン探索が開始された。そしてミミーが透視した岬の灯台へと向かう伊賀電。異空間へとつながるその灯台の奥には、異次元を彷徨うみゆき達イガ星人の少女達。そしてついに彼らの前にイガクリスタルが…
 敵はガイラー将軍。魔王サイコの力を受け、獣魔としてパワーアップ。だがこれまで率先してシャリバンと戦ってきた将軍も、この最終決戦で倒されてしまった。そしてガマゴン大王。一度31話にちらっと登場している巨大なカエルの化け物で、レイダーの友人らしい。強力な思念波を発する。それ以外にもシャリバンはレイダーとも戦っている。
 最終章は単純に魔王サイコを倒せば良いと言うのではなく、イガクリスタルをめぐる攻防戦も重要。そのためか今回はかなりスピーディにイガクリスタルについて描かれている。ミミーの透視能力、みゆき達との再会、イガクリスタルの発見、マドー内部の幹部争奪戦。ガマゴンとレイダーとの戦い、ガイラー将軍の最後、大幹部の椅子に座るレイダー。と、実際これだけの分量があれば2話〜3話使っても良いくらいで、かなり凝縮した物語展開が楽しめる。
 みゆきを始めイガ星人の少女達はみんなおそろいのスカート姿。それで立ち回りをやらせるのは、やっぱりサービスか?それぞれ脚がまぶしい(って、オヤジか。俺は)。
<ついに発見されたイガクリスタルだが、ちょっと造形がいい加減で、継ぎ目があちこちに。
 いきなり訳の分からない登場の仕方をしたガマゴン。ドクター・ポルターを舐め回そうとしたりと、相当なセクハラ親父っぽい。
 今回シャリバンのクライムバスターは外れっぱなし。大体敵を狙ってないようにさえ見える。
 ガイラー将軍のパワーアップは顔に赤い縞の模様が入るだけだった。ちょっと寂しいかな?>
第50話 海坊主

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 レイダーによってイガクリスタルは幻夢城と持ち去られ、レイダーは大幹部の席に着く。しかしレイダーの野望はそれに留まらなかった。魔王サイコを倒し、自らマドーの首領に収まろうとする。一方、幻夢城の場所を必死に探し続ける伊賀電ら。
 敵はガマゴン大王。レイダーが呼び出したモンスター。長い舌を複数使ってシャリバンを苦しめる。そしてサイコラー。魔王サイコの分身体。サイコと魂を共有しており、どちらか一方が倒されても、すぐに相手を復活させてしまう。
 ラス前。いきなりタイトルが「海坊主」で、なんじゃこりゃ?だったが、なんと第1話から思わせぶりに出てきたあの人物が意外な登場の仕方をして、しかもそれがサイコの分身体サイコラーという衝撃の事実。最初からこれを考えていたとすれば、一年越しの伏線になる。
 話もシャリバンとマドー双方で緊張した展開。むしろ今回はマドーの方がメインになっていて、レイダーはシャリバンをサイコゾーンに引き入れ、幻夢城の混乱を誘おうとしていた。シャリバンの方は良いように使われていたことになる。レイダーは流石に強く、単体ではなんと魔王サイコを実際に倒すほどの実力を見せたのだが、魔王と命を分け合ったサイコラーという存在を知らなかったため、あっという間に逆転されて粛正されてしまった。
 そしてサイコラーとシャリバンとの戦いでは、何度倒しても命を注がれて復活するサイコラーにボロボロにされるシャリバン。そこに現れる助太刀の面々!と、非常に見所が多い。
 そんな中、久々に登場した小次郎がコミカルにいい味を出していた。
<設定上は最初からあったらしいドリル車モグリオンが登場。シャリンガータンクの内部の大半はこのモグリオンによって占められているようだが、武器とか駆動装置とかはどこにあったんだろう?>
第51話 赤射・蒸着

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 サイコラー出現の報に、コム長官は急遽宇宙警察の隊長であるギャバンを地球に向かわせた。そして幻夢城へと至る秘密の通路を探す二人の前に、サイコからの招待状が届くのだった。
 敵はドクター・ポルター。シャリバンのレーザーブレードに貫かれると、鬼のような形相となって襲いかかる。最後は力尽きて爆発。そして魔王サイコサイコラー。二人で一つの魂を分け合っているため、二人同時に倒さねばならず、しかも電撃によって全然近づくことも出来ない。イガクリスタルの力によって電子頭脳が狂わされた所をギャバンとシャリバンの同時必殺技で倒された。
 今回の見所は何といってもギャバンの登場に尽きる。オープニングからいきなり懐かしい音楽と共にドルギランが現れ、ギャバンとシャリバンの二人同時の変身が観られて、もうなんか幸せな気分でもある。幻夢界に行く時もきちんとギャバンはサイバリアンを呼んでるし、ギャバンダイナミックとシャリバンクラッシュの同時必殺技はとても燃える。
 だが、この二人がいくら頑張ってもサイコラーとサイコの同時攻撃には敵わず、二人を同時に倒すためにはイガクリスタルの力を借りなければならなかった。
 イガクリスタルがあっけなくマドーに奪われてしまったのも、、実は最後の瞬間に二人に力を与えるためだったことが分かる。
 今回は最終回らしく全編アクションでまとめられているが、短い時間ながら小次郎がいい味出してるのと、ギャバンとミミーが相変わらず漫才やってるのが和む。
 ラスト。イガ星人の末裔達とイガ星へと向かうシャリバンだが、そこにはリリィはいなかった。地球で見送るパートナーの姿は妙にもの悲しい。
<幻夢界に行くと魔界獣がパワーアップすると同時にそれ以上にシャリバンがパワーアップすると言われたが、サイコラーは流石に現実界よりも遥かに強くなってるようだ。
 ツッコミではないが、折角の同時変身だったら、変身ポーズも二人分欲しかったところ。>