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宇宙刑事シャイダー

宇宙刑事シャイダー事典
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1984'3'2〜1985'3'8 

 宇宙刑事シリーズ第3作(メタルヒーローシリーズ第3作)。「宇宙刑事ギャバン」「宇宙刑事シャリバン」の直系の続編で、新米宇宙刑事の活躍を描く。前2作よりもどちらかというとこども向きになっているが、より精神的に、より不思議な感じの物語も多く、その意味ではかなり差異化は図られている。フーマの不条理世界描写は前2作を超えており、事ある毎に流される不思議ソングと呼ばれる不思議な曲は耳にへばりつく。これを連続して観ると、不思議ソングの中毒になる可能性があるくらい。
 本作の特徴としては、これまで以上に宇宙刑事のパートナーである女刑事アニーの厚遇だろう。実際捜査や戦闘員との戦いなどでは主人公よりも活躍しているくらい。これは主人公沢村大を演じた円谷浩が東映のアクションスターとして養成された役者ではないため、主人公のアクションを抑え、東映生え抜きのアクションヒロインを投入したということらしい。
 ちなみにこの作品の脚本は全て上原正三が務めているため、統一されたテーマ性を持っていて、三部作の中で最も安定した物語ともなっている。

主な登場人物
沢村大
シャイダー
(役)円谷浩。円谷一の息子で円谷英二の孫に当たる。円谷プロダクション芸能部所属の俳優第1号。2001年7月24日に肝不全のため37歳の若さで死去。
 新米宇宙刑事。地球人で、古代遺跡を調査していたところをスカウトされた。実はまだ学生の身分だが、急激なフーマの台頭に、急遽宇宙刑事として地球に派遣された。実はサポート役であるアニーの方がベテランというハンディがある。
アニー (役)森永奈緒美。「時空戦士スピルバン」ヘレン役など。
 宇宙刑事のサポート役。前2作よりも活躍の場が増えているが、それはシャイダーがまだ新米であり、アニーの方がヴェテランであるということから。
大魔王クビライ (声)飯塚昭三。「宇宙刑事ギャバン」ドン・ホラー、「宇宙刑事シャリバン」魔王サイコに続き、結局三作全部で悪の首領の声を当てる。
 フーマの首領。巨大な首だけの存在で、不思議宮殿の正面に鎮座している。実はかつて勇者シャイダーによって首と胴体を分離されたという過去を持つ。
神官ポー (役)吉田淳。「仮面ライダーBLACK」の剣聖ビルゲニア役が有名。実はシャイダー役として候補に挙がっていた。
 大魔王クビライの孫娘。クビライが作り出した卵を元に不思議獣を生まれさせる他、自身の戦闘能力も高い。自らの美貌に絶対的な自信を持っている。時に男装の麗人の格好をすることがあり、思いっきりジェンダーフリーな存在となってたりする。
ヘスラー指揮官 (役)久保和彦。
 フーマの幹部の武人。ギャル軍団を率いてシャイダーに挑んでくる。口癖は「征伐」。
大山小次郎 (役)鈴木正幸。代表作は「3年B組金八先生」のお巡りさん役。宇宙刑事シリーズでは3作とも同じ役で出演。
 ここではペットショップを経営してる。宇宙人捜しを諦めた訳でもないようだが、主に良いオヤジキャラとして登場することが多くなった。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 不思議界

  脚本:上原正三
  監督:澤井信一郎
 魔王サイコは倒れた。だが宇宙には新たなる脅威大帝王クビライ率いるフーマーが台頭していた。バード星の長官コムは、訓練生を宇宙刑事として各惑星へと派遣することとなる。そして地球担当となったのは地球出身の新米宇宙刑事沢村大だった。パートナーのアニーとともに宇宙刑事シャイダーとして故郷の地球へと戻った大。だが、フーマの手は既に地球にも伸ばされていた…
 敵はバリバリ。南太平洋辺りの民族衣装っぽい姿で、受験講座ラジオに不思議ソングを流して受験生を凶暴化させる。不思議時空では巨大化してシャイダーを踏みつぶそうとする。
 前2作とは異なり、バード星での訓練基地から話が始まり、まだ訓練生であった大が派遣されるまでが丁寧に描かれる。今回は新米宇宙刑事と言う事で、失敗も多いという伏線かな?
 結局3作全てに登場することとなったコム長官とミミーも再登場。地球に赴任する大を見送り、パートナーとしてアニーを付けている。
 そして不思議ソングに乗って不思議宮殿の描写もあり。これまで以上に不気味な宮殿になってる。それこそ不思議な不思議ソングの存在もあり、奇妙な雰囲気を醸している。
 第1話から既に安定した“いつもの話”が展開出来るのは、これまでの2作あってのこと。折角の見所を簡単にスルーしてしまったと言う側面もあるけど。
<神官ポーによれば地球は「宇宙のオパール」だが、オパールはこれは多分初めての呼称だろう。大概はサファイアかエメラルド。
 シャイダーのメタルスーツには英語の刻印が多数入っている。何で英語なの?
 公式ではフーマだが、ナレーションの大平透によれば「フーマー」になってる。>
VOL.1
<A> <楽>
第2話 踊れペトペト!

  脚本:上原正三
  監督:澤井信一郎
 不思議獣ペトペトの放つペトペトウィルスにより凶暴化する動物たち。その頃、故郷の家の火事によって焼き出されてしまった大は、ペットショップを開いている小次郎と出会う。
 敵はペトペト。脇の下に巨大な目玉をくっつけた不思議獣。ペトペトウィルスをばらまき、動物たちを凶暴化させる。目玉を飛ばして攻撃する。
 動物たちが凶暴化し、人を襲う。これは「仮面ライダー」以来の定番だが、その目的が人を殺す事ではなく、ペットを慈しむ心を失わせ、精神を荒廃させると言うのが目的。精神的な事を中心にするのは面白い着眼点。
 冒頭から不思議ソングで満たされた不思議宮殿の様子と、その音に合わせて踊る不思議獣達。既に2回目にして特異な世界観を確立した感がある。少なくともこんな世界観持った作品ってだけで本作は評価できる。更に宮殿にいる不思議獣はチンドン屋の格好となり、地上で不思議ソングを奏でる。
 第1話ではスカイシャイアンを操るだけだったアニーが今回大活躍。アクション俳優として見事なものだが、スカート姿で殺陣をこなしているので、パンツが…
 前回ガンモードになったバビロスがロボット形態に。「宇宙刑事シャリバン」のグランドバースよりは人間に近い形になっている。
 結局3作全てに登場している小次郎が初登場。つの間にかペットショップを開いているけど、やっぱりフリールポライターでは食っていけなくなったのだろうか?
<不思議ソングに踊っていた不思議獣達はペトペト共に地上へ。ただ一体だけ残ってるのがいたが、他に誰もいなくなってるところでやっぱり踊ってる。結構シュール。
 ペトペトは肩の所に目があって、それを飛ばして攻撃するのだが、爆弾よろしく爆発する。すぐに再生するが、その間どうやって見てるんだろう?と思わせる一コマ。>
第3話 アニー応答なし

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 フーマに滅ぼされたアニーの故郷マウント星。そんなマウント星から生き残ったというアニーの両親が地球へとやってきた。喜ぶアニーだったが、これこそがフーマの仕掛けた罠だった。不思議花の毒素に幻覚を見せられたアニーはシャイダーに襲いかかるのだった。
 敵はギルギル。不思議花をこの世界に蔓延らせるために派遣された不思議獣だが、実際の作戦はヘスラー司令官がやっていたため、シャイダーと戦うためだけに出てきた。
 アニーの悲しい過去が描かれる話。第一話でほんのちょっとその事は言及されていたが、アニーにとってこれはどれだけ重要な意味を持つのか。もうちょっと後になって出てくるべき話だったかも。
 魔王クビライによれば、「作戦を邪魔したのは宇宙刑事シャイダーと女宇宙刑事アニー」。ここからもアニーは完全にシャイダーと同格であることが分かる。
 くノ一五人衆が見栄を切るシーン有り。一人一人が「ギャル1」〜と大まじめに言ってるのは結構シュールだな。
 今回はアニーが中心のため見所は取っても多いが、スカート姿で下に置いたカメラを飛び越えるシーンまである。カメラマンの趣味としか思えない。
<地球は第二の故郷だというアニー。来てほんの少しで馴染みすぎだろ。
 アニーが助けたマウント星人は死にかけていたのに、ミラクラーの攻撃を受けた途端に機敏に動いている。
 一旦シャイダーに「罠」と言いながら、一人で捜査に向かうアニー。定番と言えば定番だけど、パートナーを信用してないとも見える。
 町で小次郎と会った大は、小次郎の連れから「沢村さんって何やってんだろ。いつもぶらぶらして」とか、ちくっとする一言。宇宙刑事は辛い…でもギャバンもシャリバンもちゃんと働いてたからねえ。
 アニーのいる洞窟に向かってミサイルぶっ放すシャイダー。アニー殺す気か?
 ナレーションは今回から「フーマ」になってるのだが、今度は大の方が「フーマー」と言ってる。どっちかはっきりせい。>
第4話 犬になった子供達

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 神官ポーにより発案された家庭を破壊するため、子供を動物にしてしまい、家に帰すという人獣同居計画を遂行するフーマ。その事実を知ったシャイダーだが…
 敵はメロメロ。魔女のような格好をした不思議獣で、実際にほうきに乗った魔女に変身出来る。こども達を犬に変え、家に帰すという人獣同居計画を遂行する。
 家庭を破壊する作戦。これって下手な破壊作戦よりももっと効果的に人間を無気力に陥らせ、しかも無傷で地球を手に入れられると言う、とてもいい作戦だと思う。「星雲仮面マシンマン」とかもそうだが、こども向きにした精神に関わる作戦の方が話としては面白い。
 動物を主体にした話で、元捨て犬が飼い主のために大活躍。主題に沿った伏線も改修してるし、設定においても上手く作られた作品じゃないの。
 フーマの技術力だと子供を動物に出来るくらいは出来るらしいが、それにはえらく時間がかかるらしい。だから、とりあえず身代わりの動物を子供の家に置いておいて、その後で本物とすり替えるのだそうだ。技術力の限界も描かれてるのか?
<メロメロに言わせると、科学を信じる子供は夢がないと言う。この当時は逆だったんじゃないかね?
 メロメロが言うより早く動物になりたいと願うこども達。都合良すぎないか?
 メタルスーツを纏い突然家に押し入り説教を始めるシャイダー。お前の方がよっぽど悪人に見えたりする。あるいはアブナイ人とか。
 アニーと共にメロメロのアジトに乗り込んだシャイダーとアニー。こども達を保護するよう言ったシャイダーに対し、アニーは「アニーにお任せ」と一言。古い。>
第5話 突然!なまけもの

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 子供から学ぶ心を失わせようとするフーマの作戦。不思議獣ムジムジは怠惰の教えを信奉するムジムジ教を広め、こども達を無気力にしようとする。
 敵はムジムジ。怠惰の教えを信奉するムジムジ教を広めようとする。口から繭の糸を吐き、それに包まれた人間は怠惰になってしまう。
 本作は精神的なアプローチで作戦が展開することが多いが、この話はその最たるもの。宗教を用いて子供を無気力にするってのは、ある意味ではかなり時代の先端を行っていた(今はこのネタ使えないし)。そう言えば似た話は「ウルトラマンA」や「キカイダー01」にもあったが、こっちの方が人間の精神に関わるため、かえって怖さを感じる。まあ、これまで幾多の星をあっという間に滅ぼしている割には時間かかる作戦だけど。
 これまでとりあえず出ていたって感じの陽子の家庭が出てきた。4年前に母親が亡くなり、父の印刷工場があまり儲かっていないらしく、陽子はバイトと家事の両方をこなしている。バブル時代とは思えないほどの勤労青年ぶり。頑張ってるね。そんな陽子だからこそ、不思議ソングを歌いながらぼんやりと歩いてる光景は怖すぎる。
 今回も2回シャイダーに変身してるが、2回目の焼結シーンが無いため、いつもの変身プロセスナレーションがない。珍しい話だ。そう言えば不思議時空の説明もかなり端折られていた。
<突然小村家にやってきて「陽子さんの部屋で何かが起こっている」とか言って部屋に押し入る大。宇宙刑事にとって法律ってどのくらい適応されるんだろう?
 人間を怠惰にするのが目的のはずなんだが、やってるのは繭の中に閉じ込めるだけ。こんな異常な事態だったら、国としてなんとかしようと思うが。
 アニーを拉致することに成功したくノ一五人衆だが、何もせずにアジトに連れてくるだけ。
 敵のアジトに乗り込んだシャイダーがポーズを決めるとスポットライトが当たる。敵のアジトの割には用意周到。
 ただ、この作品の場合、宗教出す意味が全然なかったのが根本的な問題。>
第6話 不思議料理の逆襲

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 大が出会った動物好きな少年メダカは運動神経がないため同級生に虐められていた。そんなメダカが泣いていると、不思議なお姉さんが近寄り、「君はとっても強くなれる」と言い、不思議レストランに連れて行かれる。そこの料理を食べたメダカは、突然突然超能力が使えるようになっていた。次々といじめっ子に復讐するメダカだが…
 敵はゴクゴク。不思議レストランの料理人。手にした巨大なフォークやナイフで攻撃する。
 特に子供を対象に精神的な話が展開するパターンが多い本作だが、ここではいじめ問題を主題に、いじめっ子といじめられっ子の対立構造を浮き彫りにしている。設定的には大変面白い。その目的ってのも、超能力を使って破壊活動をさせるとかでなく、子供同士をいがみ合わせようってのもフーマらしくて良い。
 メダカの学校にいる保健室の先生はフーマの一員だった。子供を狙うフーマは、こうやって子供を餌食にしようとしているんだろうか?
<買い物をしてきたメダカ少年の前に現れる自転車に乗った少年達。「あー、あいつらっていじめっ子なんだよ」と説明口調のメダカ。誰に言ってるんだ?
 不思議レストランのウェイトレスさんは何故かキャミ姿。こども連れて行くような店なのか?
 超能力を使うメダカを見た大は「急に変わってしまった」と呟いている。さっきちょっと会ったばかりなのに、そんなのが分かるの?それ以前に超能力使ってる事をおかしいと思わないのか?
 その後フーマに襲われた大は「シゲル君とフーマに関係があるのか?」と疑問形。関係あるに決まってるだろ。
 不思議料理の効力はそんなに長くなく、常に料理を食べさせなければならないらしい。えらく効率が悪い気がするが。>
第7話 見たかギャル変幻

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 あらゆる遺伝子を合成する研究に成功した香取博士。その実験データを得るため、フーマはギャル軍団を派遣する。
 敵はバラバラ。バラの花弁をイメージしたデザインとなっている。香取博士の研究データを盗む手伝いをした。
 今回はタイトル通りギャル軍団(ちょっと前までくノ一五人衆と呼ばれていたが)が中心となって活躍した話。いろんなコスチュームで楽しませてくれる。それに合わせるようにアニーも活躍。
 それに対し、全然活躍の場がなかったのが大の方。肝心な時に小次郎に引き留められて豚を捕まえてたりする。決める時はちゃんと決めるけど、すぐに焼結してしまうため、
 香取博士に対して「僕は宇宙刑事です」と自己紹介した大。一般人にそれを言うのは確か初めてじゃないかな?
<バイオテクノロジーで発生させた生物で地球を滅ぼそうとするクビライだが、そこで示された絵はつぶらな瞳をした爬虫類とおぼしき生物がビルとかを呑み込んでるシーン。何かもの凄くミスマッチ。
 香取博士の研究室を見張る大。しかし実際に襲われた時何にもしてなかった。何のために見張ってたんだ?
 宅配便で届けられた荷物を調べ、「火薬反応はありません」と断言するアニー。相手が相手だけに火薬なんて単純なものを送るはず無かろう。実際送られたのは珍獣だった。
 でもそこから出た珍獣は何をすることもなく笑いながら逃げていく。大に言わせれば「心理作戦」なんだけど、意味が全く感じられない。
 香取博士が隠し持っていた研究データの中身を確認せずに受け取ったヘスラーは、「もう用はない」と断言し、「征伐」を命令している。普通身柄を拘束すべきなのでは?
 焼結したシャイダーが最初に言った台詞は「アニーよ、銃を取れ」だった。一応元ネタがあるんだけど、マニアックなネタだ。>
第8話 星からの非行少女

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 一人の少女ゆかりがフーマによって誘拐されそうになった。そのテレパシーを感じたアニーと、通報を受けたシャイダーによってゆかりは助かったが、二人はゆかりがかつてフーマに滅ぼされたプレイン星の生き残りであることが分かった。
 敵はケロケロ。緑色のデザインの不思議獣で、頭にもう一組の腕がついている。実は二体の不思議獣が合体した姿らしいが、個性を出すことなく倒されてしまった。
 竹取物語をベースにしたという話だが、そのお姫様たる当人が不良少女というのが時代を感じさせる話。最初は可憐な少女に見せておいて、その実は…と言うギャップも面白い。当時の「不良」と言うのがどんな姿かを見られるだけでも貴重(これでもかなりずれてる気もするが)
 ラストシーンは台詞回しも含めてモロに竹取物語で、最初にギャップがあったからこそ良いシーンになってる。
 同じく故郷の星を滅ぼされたと言う事で、今回もアニーが大活躍。相変わらずミニスカート姿に躊躇無く立ち回りやってる。一方の大はあっという間に焼結してしまうため、生身での活躍シーンが少ない。
<ゆかりの家は茅葺きの随分田舎。連れ去られようとした場所は東京らしいので、あっという間に移動したことになる。
 女子校の制服を着ている時とアロハを着ている両方のゆかりの姿があるが、どう見てもブレザー姿の方が綺麗。しかしこの当時は自分の容姿を崩すことにステータスを感じていた時代なんだな。>
第9話 青ガキ隊大キライ

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 人気アイドルグループ青ガキ体の「なんだなんだブギ」は大ヒットを飛ばしていた。あまりの人気過熱ぶりに不審を覚える大だが、歌自体に作為性は感じられなかった…
 敵はタムタム。胸にタムタムを仕込んだ不思議獣で、そのタムタムを鳴らすことで洗脳ソングを流す。
 当時のアイドルグループを題材にした話。まあこのオリジナルとなったグループは何だかんだ言っても20年以上も芸能界に生き残ってるんだから、本物だったとはいえるか?
 ここで面白いのは、アイドルグループを「反社会的」と敢えてレッテルを貼り、それでも聴きに来ようとする人間を拉致するという方法を取っていること。特撮流の“洗脳”とは異なる方法なので、シャイダーもなかなかここに事件性があることに気づけなかった。そしてフーマの目的は、コンサートに集まった人間の記憶を消し、ホームレスにしてしまうというもの。えらい消極的な作戦に見えるけど、リアリティがあって結構怖い。
 歌そのものに事件性がないだけに、フーマの作戦が失敗した時点で、なんだなんだブギは普通の流行歌になった。このオチの付け方も面白い。
 流行に事件性を感じさせるのは80〜90年代特撮の特徴。新人宇宙刑事とは思えないほどシャイダーは成長したって事かも知れない。
 今回で初めてシャイダーと神官ポーが対峙。ポーの方は映像なので話は一方的だったけど。
<大ヒットを飛ばしたという「なんだなんだブギ」だが、それにしても80年代でブギはちょっと古すぎないか?
 シャイダーに青ガキ隊の秘密を知られた神官ポーは、「これからもっと凄いことが起こる」とだけ告げて消える。随分素直な敵幹部だ。反応薄すぎるし。>
第10話 トワイライトの家

  脚本:上原正三
  監督:辻 理
 ある夜、パトロール中の大は自転車に乗って空を飛んでいるこども達をみかけた。だが、そのこども達は全員眠っているという。不思議に思いその家を見張ることにした大だが…
 敵はパスパス。マントと角帽に身を固めた、昔の大学教授みたいな不思議獣。こども達の言語を乱す作戦に従事する。巨大な羽根ペンを銃のように使う。
 珍獣語を教えてもらっているこども達の姿が描写される。なんでも言葉を乱す作戦らしいが、これも随分手の込んだ、しかも効率の悪い作戦だ。まあフーマは結構楽しんでやってるっぽいからそれで良いのか。
 深読みすれば、当時丁度日本語の乱れについて言われていたので(と言うか、常に言われ続けているような気がするが)、それを宇宙人からのものにしようとと考えたのか?
 珍獣に囲まれ、不思議な言葉を喋りまくるこども達。シュールさが頂点だが、これが本作の味でもある。
 今回はわざわざヘリコプターまで使ってのチェイスまであり。作戦がふざけている割には金はかかっている。
 ギャル軍団に囲まれ、ピンチに陥るシャイダーを救ったのはアニー。どっちの方が頼りになるのかは明らかになりつつある。
<自転車で空を飛ぶ子供を観た大は「おかしなこども達だ」とか呟いてこどもを追いかける。びっくりするとかそう言う反応でないのが不思議と言えば不思議。冷静と言えば言えるんだろうけど。
 高山家に忍び込んだ大がやったのは盗聴カメラを仕掛けること。その場で調べて謎を見つけるんじゃないのね。
 ここをツッコムのはなんだけど、宇宙刑事の制服の方が動きやすそうなのに、わざわざミニスカート姿に着替えて敵と戦うアニーってねえ…番組的にはそれが正しいのだが。>
VOL.2
<A> <楽>
第11話 アニーにおまかせ

  脚本:上原正三
  監督:辻 理
 幼稚園の入園テストの現実を目の当たりにして嘆く大とアニー。そんな時、超天才しか入ることが出来ないという幼稚園の噂を聞かされる。
 敵はゲトゲト。腹の中が不思議界につながっている不思議獣で、天才幼稚園児をさらってフーマの教育をほどこす。人間の女性に変身していたこともあってか、雌型らしい。
 フーマの作戦は時間かかるものが多いが、今回は幼児を集め、招来の日本をおかしくしてしまおうというもの。10年以上はかかる作戦だ。しかし幼稚園受験を題材にするというのは、この時代には丁度合ってるのかも。
 タイトル通り今回はアニーが大活躍する話。幼稚園の先生になるために変装もしてるのだが、ちょっとした老けメイクが見事にはまって別人に見える。生足を惜しげもなくさらし、ミラクラーに見せつけるあたり、ここしばらくのメタルヒーローの方向性を見事に表してもいる。
 実際今回はシャイダーが活躍するのは最後だけで、後は全部アニーのためにあり、しかもきちんと話として成立している。この辺りがシャイダーに存在感が無いと言われる所以だろう。
<天才児に磨きをかけるってのは良いのだが、こどもをさらってしまっては逆効果ではないかと思うのだが?
 息子の洋一がさらわれてパニックになってる母親だが、「うちの洋一は天才だからさらわれた」と自慢もしてる。母親の本質だな。
 落とし穴にはまり、奈落の底に落ちていくアニーを救ったのは意外にもヘスラーだった。それでその直後に「海に放り込め」とか言ってる。よく分からないことやってる。
 アニーがアジトに入った時点で最早作戦はばれてるのに、天才幼稚園児作戦を続けてるフーマにも相当に問題があると思う。
 劇中歌でアニー役の森永奈緒美による劇中歌「アニーにおまかせ」が流れるが…流石に何というか…>
第12話 百点源太の正体?

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 いつも「勉強勉強」言っているのに全く成績が上がらない源太少年が突然成績優秀になってしまう。実はそれはフーマの放ったロボットであり、そんなこども達が町には増えていたのだ。
 敵はロボロボ。家庭教師ロボを操るメカニックな不思議獣。最後にシャイダーと戦うためにだけ登場し、倒されると同時に家庭教師ロボも消え去る。
 こどもを主題にしたかなり風刺性の強い作品で、成績優秀であれば実のこどもよりもロボットの方に愛情を注いでしまう親の歪んだ愛を見せるようになるという、実際相当に怖い話になってる。バブル時代の出来事としては時事性もぴったり。
 外見さえ同じならば、自分の実の子よりもロボットの方が良い。というのは、こどもの頃誰しも持つ恐怖心なのかも知れない。
 今回も主体はアニーの方で、大は危機に陥るとあっという間にシャイダーに変身してしまうため、あまり見所がないところが寂しい。
<車でこども(ロボットだが)をはねてしまうアニー。フーマの罠かと思ったけど、フーマとしては知られない方がありがたいので、やっぱり素で事故を起こしてしまったのだろうか?
 源太の家に潜入捜査するアニーはラーメンを注文してるが、次の瞬間スープしか残ってない丼を前にしてる。瞬間的に全部食ってしまったのだろうか?
 源太のロボットが本物の源太を殺そうとしたシーンを見て飛び込む大。しかし、普通こう言うのは凶行に及ぶ前に制止するのでは?モロに殴った後で割り込んでるぞ。>
第13話 金メダル仕掛け人

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 町内から新体操オリンピックの強化選手川中ハルカが出た。有頂天になった小次郎は早速応援団を組織する。そんなハルカの姿を見つめるフーマの姿があった…
 敵はコトコト。トロフィを模した頭部を持った不思議獣。スポーツ選手を集めて大魔王クビライに忠誠を誓わせることでサイコキネシスをあたえた。珍しく剣ではなく巨大な鉄球を武器とし、不思議時空の中では三体の人間に分離して攻撃した。
 スポーツの向上心を利用する悪の組織。これも昔からよくある作品だが、これに宗教的な意味合いを持たせたところに本作のユニークさがある。そう言えば最近はスポーツする人も向上心が減ったのか、この手の作品は全然無くなってしまったような?
 正選手となるため、いくら口では綺麗事を言っていても補欠選手は相当に鬱屈した心情を持っている。この辺の人間の心を掘り下げてる辺り実に面白い話だ。
 小次郎からペットショップの店番を頼まれる大の姿あり。やっぱりこれまで何の仕事もしてなかったと言う事になるな。
<事故に巻き込まれそうになった女の子を助ける大は、生身ではなくシャイダーに変身していた。これ位変身しなくても出来そうだが。
 「奴らの目をそらせろ」という指令を受けたハルカ。その次の瞬間魚の目玉が次々に大写しになってる。そう言う意味じゃないだろ。
 エレベーターに閉じ込められる大とアニー。エレベーターは垂直に落ちてるだけなのに、そこら中を転げ回ってる。>
第14話 恋のミュータント

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 20年前。異世界に姿を消した男がいた。時空を旅し地球に舞い戻った男ジミー北原は恋人のキリコに会おうとするが、そこでキリコの娘マリコを勘違いしてしまう。一方、原子分解能力を持つジミーの身体を調べようとフーマも暗躍していた。
 敵はグリグリ。マリコの精神を乗っ取り、ジミー北原にマリコをキリコと思わせた。
 ほぼ全編こども向けと思われている本作だが、時折こう言うシリアスな話も織り交ぜてくる。これこそ宇宙刑事シリーズらしさと言えるか。
 今回の話はミュータントになってしまった男が、20年の年月が経っていることも知らずにかつての恋人を捜し求めると言う話で、まるで「ウルトラマン」のジャミラの話みたいだ。
 そのためか、今回シャイダーとアニーはあんまり活躍シーンが多くないけど、こう言うのもあって良い。
 カメラアングルもかなり凝っていて、ホラー映画のような演出になってる。音楽はかなり過剰とは言え、これも凝りまくっていた。
<ジミー北原の能力は自らの肉体を原子分解してしまうというもの。これによってほぼ死ぬ事は無くなったという設定はともかくとして、消える時に服も一緒に消えてるんだけど。最後の時にはコートは残るのだが、それ以外の服はやっぱり消えている。
 グリグリの剣を奪ったシャイダーはその剣を腰の所に突き刺すのだが、次の場面では腰の横にくっついてるだけだった。>
第15話 渚のマリンブルー

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 大は海で襲われている女性を目にする。実は襲っている男達はフーマのミラクラーであり、襲われているのは地球に逃げてきたマリン星人だった。
 敵はガメガメ。地球に避難してきたマリン星人を殺すために派遣される。亀型の不思議獣だが、見かけとは異なり身動きは素早く、瞬間移動も出来る。そう言えば完全生物モティーフの不思議獣は結構珍しい。
 迫害される難民という結構重い素材を扱っているのだが、それをなるだけ子供っぽく作っているのが面白い話。
 普通この手の作品に登場する異星人は日本語を喋るが、マリン星人はほとんど独自言語で喋ってる。珍しいな。
 毎度健康的なお色気を振りまいてるアニーは今回水着姿も披露してる。その格好で立ち回りまでしてるので、かなりきわどい描写が光る。
 二回も劇中歌で「シャイダー・ブルー」が歌われているのだが、この話で一番印象に残るのはこの歌声の爽やかさだったりする。
<オープニングで「シャイダー・ブルー」の歌声に乗って軽快にジープを走らせる大。ところでなんで海まで行ってたのか、なんの説明もないんだけど?
 マリン星人は美少女だけしかいない。と聞かされた大は「美少女だけ」と何故か強調して言ってるのだが、なんか表情が助平っぽいぞ。
 凄い下品なことを考えるのだが、マリン星人は美少女ばかり。だがゴールデントータスがいる限り滅びないと説明されてる。これから推測するに、マリン星人にとっては金の亀が父親になるのか?>
第16話 たまげた異星生物

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 フーマは対シャイダー用に特別飼育された最強の不思議獣ボケボケを投入してくる。ピンチに陥ったシャイダーだが、突然ボケボケはおかしな行動に出ると、小動物に変わってしまう。偶然それを拾ってしまった小次郎だが…
 敵はボケボケ。エリマキトカゲをモティーフとした不思議獣で、対シャイダー用に調整された最強の不思議獣。後頭部に強い衝撃を受けると幼生化してしまう。
 最強の不思議獣とシャイダーの戦いが描かれる話なのだが、前半部分はどっちかというと小次郎が主体になってる。小次郎はペットショップを経営しながらやっぱりUFO研究家も続けてるらしい。後半はボケボケを拾ってしまった兄妹の話に転換。E.T.(酒飲んで酔っぱらうシーンまである)とかエリマキトカゲとか、当時の受ける要素を色々取り込んでいるが、色々媚びすぎてるためか、物語が迷走してる感じ。
 折角“最強”という触れ込みのボケボケもどこが強いんだか分からないし。ただ、不思議獣が最初から作戦に関わり、全編に渡って登場するのは宇宙刑事シリーズでは結構珍しい。
 ギャル軍団のメンバーは任意に腕を伸ばせることが分かった。
<ブルホークのホークレーザーはバイクの姿勢がどうあれ、任意の場所へと放射できるらしい。ほぼ真横に光線が出てるシーンあるけど、それって車体が焦げないか?
 最強の不思議獣として投入されたボケボケ。そのネーミングセンスなんとかならないか?
 最強の不思議獣を出した時、ギャル軍団に頼らず一人で出てくるヘスラー。良い性格してるな。
 小動物化したボケボケを前に、「マイフレンド」とか言って家に連れてくる小次郎。これまで散々異星生物と出会ってきた割には耐性がないようだ。
 不思議時空の中で分裂したボケボケが剣を投げつけるシーンがあるが、切っ先ではなく剣の柄の部分を前にしてる。当然ただぶつかってはじかれるだけ。>
第17話 銀河警察の謎文字

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 夢の中で度々ナスカの地上絵を見る神官ポーは、クビライに頼み、地上絵の調査に不思議獣を派遣する。しかし実はナスカ高原は大にとってとても重要な場所だった。
 敵はギリギリ。ナスカの地上絵の正体を探るために誕生した不思議獣。やってることは画家の誘拐だけだった。トサカのように見える頭部は実は帽子。
 今回でようやく地球人である沢村大が何故宇宙刑事になったのかが語られる。元は宇宙考古学の研究員だったそうだが、2年前にナスカの地上絵を調べている間に連れ去られたのだとか。なんだ。元は小次郎とたいして変わらなかったのか?それでも行動力のお陰でナスカの地上絵の謎を解き、スカウトされたのだとか。
 ナスカの地上絵は銀河警察のシンボルマークと同じもの。そう言えば「ギャバン」の時から同じマークなんだけど、まさか最初からこの物語を考えてたの?
 設定としては面白いけど、物語は偶然に偶然が重なったご都合主義満載。まあこれは特撮としては仕方ないところがあるけど。
 大がかつてオーパーツの研究家だったと知った小次郎は、ここで大を強引に自分の家に下宿させてしまう。曲がりなりにもここでやっと家が出来た訳だ。
<神官ポーは寝てる時も冠をかぶったまま。重くないか?
 ナスカの地上絵を調べるのに直接不思議獣を送ればいいのに、日本の教授をさらったりしてるフーマ。こんなまだるっこしいことやってるから駄目なんだ。
 大の父は宇宙天文学者だったとか。そもそも天文学は宇宙を知るものだから、宇宙とわざわざ付ける必要はない。
 イースター島の調査を行っている大の姿があるが、その背後は針葉樹林。
 ナスカの地上絵の解読が出来なかった浅井は、絵文字を使ってメッセージを送る。ちゃんと使えるじゃん。いや、そもそもそれ以前に、日本語で「助けて」とメッセージ書いてもなんの問題もなかったはずなのに。>
第18話 謎が謎呼ぶ太平洋

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 ナスカの地上絵の悪夢にますます悩まされるようになった神官ポーは自分がムー帝国の神官ラ・ムーの生まれ変わりであることを知る。一方小次郎の家に下宿することになった大は、すっかりナスカの地上絵に取り憑かれた小次郎の相手をさせられる羽目に。
 敵はムームー。人間の記憶を奪い取ることが出来る不思議獣。アニーを人質にとって大からナスカの地上絵についての記憶を引き出そうとする。
 話としては前回の続きで大がシャイダーになった理由が描かれる事になるが、一方では神官ポーの過去世についても描かれていく。なんとポーはムー帝国の神官ラ・ムーの生まれ変わりだとか。最早ほとんど雑誌「ムー」の世界観だな。今のところその謎は明かされていないが、「シャリバン」に続き、ここでも物語を貫く物語が存在するらしい。
 そのためついに生身のポーとシャイダーが直接対決。前半の山場と言える話だろう。
 神官ポーが人間の格好して地上に降りてきた。小次郎はその美しさにすっかり参ってしまったが、やっぱり女装してる男にしか見えないぞ。
 一方アニーは最初からだまし討ちで捕らえられてしまって、そのままシャイダーの助けを待つしかなかったが、後半はギャル軍団とヘスラー相手に互角以上に戦ってた。
<ムー帝国についてはアトランティス帝国との混同があるような?
 縄で縛られた状態で焼結を行うシャイダー。コンバットスーツになっても縄は外側にかけられてる。蒸着ってどんなシステムになってるんだろう?>
第19話 アニー危機一髪

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 これまでシャイダーに苦渋をなめさせられ続けたフーマは、徹底的にシャイダーを解析し、ついにコンバットスーツの機能を狂わせる方法を見つける。焼結出来なくなり、危機に陥ったシャイダーだが…
 敵はマグマグ。強力な磁気攻撃に特化した不思議獣でシャイダーのコンバットスーツの機能を狂わせた。初めて不思議界に逃げ込まずに地上で倒された不思議獣。
 変身出来ないヒーローの姿が描かれる話で、これまでコンバットスーツに頼り切り、勝ち続けてきたシャイダーが、自分の力で道を切り開くまでが描かれる。ヒーローが力を失ってしまうという話は過去の東映特撮には付きものだったが、新時代の宇宙刑事になってその意味は薄れていった。その意味でこの話は原点回帰という意味で優れた話になってる。
 改めてシャイダーが未熟な宇宙刑事であることも強調されている。ギャバン、シャイダーとは異なる存在としてきちんとキャラ立ちさせようという意気込みが感じられる。今回は色々な格好して戦ってる。
 同時にタイトルにもなってるが、アニーの存在感もきちんと描こうとしている。宇宙刑事のサポート役でありつつ、そのために単独行動も辞さないアニーの姿はなかなかぐっとくるものがある。
 コム長官からシャイダーに与えられた試練とは「滝の水を斬れ」というもの。「ウルトラマンレオ」か?
 それと、今回宇宙刑事物としては初めて異空間に引き込まれずに終わってる。当然巨大戦もなし。
<滝を斬るために特訓中の大は、上半身裸。脇の下くらい処理して欲しいもんだが。
 アニーに罠を仕掛けるためにマグマグが行った作戦は幼稚園バスのバスジャック。これって特撮の定番にされてるけど、実はそんなに多くない。
 死ぬほどの怪我をしてるはずのアニーが崖登りまでやってる。巻いていた包帯も消えてるよ。
 先ほどまでレンジャー姿だったのに、ヘスラーの前に出る時はベスト姿になってるアニー。着替える意味あるの?(アニーと言えばミニスカートだから)
 そもそも磁力で動作不良起こした機械を根性で使おうという設定自身が間違ってる気もするんだけど、それを言っちゃ駄目か。>
第20話 不思議ソング

  脚本:上原正三
  監督:辻 理
 フーマは不思議ソングフラワーから不思議獣シギシギを生み出し、その花粉によって不思議ソング病にかけようとする。
 敵はシギシギ。植物型の不思議獣で、不思議ソング病を蔓延させるために派遣された。不思議時空の中では巨大な不思議ソングフラワーに変化し、そこから戦闘員を次々に繰り出してくる。
 本話のメインタイトルでもある不思議ソングを中心に押し出した話で、不思議ソングによって操られるこども達が出てくる。元より不条理展開が本作の持ち味だが、それをここまで物語にしてしまったのが面白い。最終的に世界規模の戦争にまで話が発展するのも本作では結構珍しいパターン。本作中の傑作の一本に数えて良いだろう。
 今回は演出に妙なこだわりを感じさせる。例えば、不思議ソング病にかかったこども達がアニーを攻撃する際、歌の文句にそった攻撃してみたり、ローアングルからアニーの大ジャンプを映すとか、妙なこだわりを感じるカメラアングルだったりもする。このカメラマン、よっぽどアニーに思い入れがあるらしい。
 ヘスラー長官やギャル軍団の浴衣姿が見られるが、しっかり盆踊りまで踊ってる。随分庶民的な敵幹部だ。
<コム長官が言うところの不思議ソング病の恐ろしさは「人間関係に亀裂を生じる怖れがある」のだとか…随分スケールが小さい。と思ったら、そこからいきなり世界規模の戦争に発展するとか。極端だ。
 フーマの作戦の要はシギシギにあるのだから、前線で戦わせるのはいかがなものか?いつものことか。
 この辺りからレーザーブレードを不思議中に突き刺し、そこから火花を飛ばす演出が入り始めるが、まだ技術的には未完成で、火花の出る場所がおかしい。「この演出は仮面ライダーBLACK RX」によって完成するらしい>
VOL.3
<A> <楽>
第21話 ヤーダ!珍獣家族

  脚本:上原正三
  監督:辻 理
 フーマはある家族を不思議獣にすり替える実験を行う。そこにしばらく留守にしていた娘が帰ってきて…
 敵はスリスリ。人に幻覚を観させ、そこで刷り込み現象を起こさせる能力を持つ不思議獣。戦いの時もフラッシュを武器にしている。
 ある家族を主人公に、そこでの家族ゲームの実験が描かれる。本当にこの作品、家族を例に取った精神的な恐怖を描いた話が多い。直接の攻撃よりもよっぽど怖い。実際この話だって島井家の長女はトラウマ起こして然り。
 ここで登場するのが不思議界で踊っている珍獣の面々。島井家にはヤーダがやってきたので、このタイトルになってる。
 刷り込み現象は、現代の科学ではここまで極端なことは出来ないのだが、特撮の良いところはSF設定をすんなり
 そう言えばアニーと小次郎が正式に紹介されたのは初めてのこと。ここまで無かったんだ。いきなり一目惚れしてたけど。
 久々に写真屋役でうえだ峻が登場してる。東映特撮を影で支えるコメディアン。
<刷り込み光線を防ぐため、特殊なコンタクトレンズを入れていたシャイダーとアニーだが、取り出したのは大きめの青い玉。どうやって目に入れてたんだろう?
 シギシギが使っているフラッシュはマグネシウム式。こんなフラッシュ知ってる人って、この時代でもそうはいないはずだけど、えらく古いアイテム使うな。>
第22話 人魚が呼ぶ海の怪

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 フーマは水死した人間を水棲人間に作り替え、人魚の住むリゾート地を作る計画を立てる。
 敵はウミウミ。大帝王フビライのためにリゾート施設を作るべく派遣された不思議獣で、深海魚とクラゲを合体したような姿をしている。不思議時空では海の生物を放ってシャイダーに襲わせる。
 時事ネタとつながっているのが割と多いが、今回は海を舞台にリゾート開発に対する警鐘となっている。こう言うのも特撮番組には大切だろう。そう言えば15話に出ていたマリン星人の事についてもちょっと言及されてる。
 物語としても悲しいものに仕上がっていて、水棲人間に帰られてしまった兄をひたすら待つ妹の健気な姿があり。ラストシーンも海をじっと見つめ、音楽を聴いているのがとても哀しい気分にさせる。
 割と使われる事が多い行川アイランドだが、小次郎は「東京から2時間だ」とか一々説明が鬱陶しかったりする。タイアップの宿命か。しかし、リゾート開発に警鐘を与えるのに、リゾート施設を舞台にするってのはどこか矛盾してないか?
<地球を破壊するのがフーマの目的だったはずだが、いつの間にか地球をリゾート地にするのが目的になってた。侵略作戦が迷走してるな。
 人間が水棲人間に変わる時、顔と手足の一部だけが着ぐるみ。それが丸わかりなだけに安っぽい。
 シャイダーとアニーの水着姿が拝める。しかし、やっぱり大の脇毛がもさもさと…
 ヘスラーとギャル軍団が水着姿を披露。でも変装の意味があんまり感じられないんだけど。
 ラジカセで兄の好きだったという曲を流し続けるエミ。しかし、音が所々間延びするのはよろしくないな。>
第23話 傷だらけの大脱走

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 フーマはバビロス号を破壊するためフーマ砲の完成を急いでいた。たまたまそこに訪れた神官ポーを目撃した小次郎の情報を元に、現地へと向かう大。だがそこには既にフーマにより罠が張られており、毒ガス攻撃によって焼結できなくされてしまう。
 敵はガスガス。口から毒ガスを吐くが、その毒ガスは音波や電波を狂わせる機能を持っていたため、大は変身不能に陥る。
 宇宙刑事はコンバットスーツが武器の全てなので、変身出来ないと言う事は、そのまま無力になると言う事。ひたすら生身での逃亡劇が描かれる。そう言えば毒ガスを描くのは「宇宙刑事ギャバン」26話以来。どちらも相当にハードな話が展開してる。
 宇宙刑事がコンバットスーツを呼び出すのは音声入力によるものらしい。アイテムを使わないのは画期的だが、何らかの形で声が出せなくなったら変身出来ないのは問題あるな。
 一方シャイダーをサポートするアニーも、敵の攻撃にあって行く手を阻まれてしまう。用意周到な罠で本当にきつい戦いだ。
 最初に小次郎が神官ポーを目撃するシーンあり。この二人が遭うのは18話以来二度目だが、どっちも小次郎は完全に無視されてしまった。いや、今回に関しては無視されたから生き残れたんだが。
<毒ガス攻撃を受けたことを知った大が焼結を試みるまで結構時間がかかってる。すぐに焼結してれば変身不能状態にまでされることはなかったかもしれないのに。
 吊り橋の上で囲まれた大は、逃げるために橋から身を投げる。落ちてる姿はあり得ない方向に手足が曲がってる。
 今回もスカイシャイアンで出撃するアニーの勇姿があるが、次の場面ではバビロスに乗っていた。何のために出撃したんだろう?
 今回は幾重にも重なった罠にシャイダーとアニーが翻弄されるが、これってフーマ砲って必要ねくね?
第24話 美しきポーの仮面

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 自らが宇宙一の美しさを保つため、神官ポーは定期的に乙女を生贄に献げていた。そんな生贄の標的とされたのは女子高生の3人。突然消えた女子高生の足取りを追う大とアニーだが…
 敵はラブラブ。ライブハウスのマスターに化け、神官ポーの生贄を不思議界に連れて行く。人間体は潮健治が演じていた。そして神官ポーとシャイダーの一騎打ちもあり。
 これまでのシリーズの中でも突出して個性的な神官ポーの怪奇性を前面に押し出した作品で、かなり捻った不条理ものとして仕上げられている。普通の店に入ったはずがいつの間にか不思議時空のような所に入っているシーンもある。
 今回の神官ポーは異常性がとても高く、意味の通らない詩を口ずさんで執拗にアニーを追っている。それで神官ポーの素顔が現れるシーンがあるが、その顔は化け物じみたもので、子供が観たらトラウマもの。なんでもポーは1万2千年生きており、500年に一度女性の若さを吸い取らねばならないのだとか。
 ライブハウスでサックスを吹いている男は潮健治だった。この人は出てるだけで存在感あり。でもちょっと疲れてる感じだな。
 新宿地下道でロケを敢行してるが、撮影許可は…やっぱ取ってないよな。東映お家芸のゲリラ撮影か?
 普段たっぷりとツッコミ所があるのに、不条理ものになると逆に突っ込んで良いやら分からなくなるな。
<KKKのような白頭巾をかぶって現れた者をたちどころに神官ポーと見抜くアニー。声も出してないのに分かるとは、流石宇宙刑事。>
第25話 エスパークイーン

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 夜な夜な街に現れる“エスパークイーン”を自称する女性。街にたむろする若者達を仲間に誘い、拒否されると超能力を使い痛めつけていた。そんな光景を見かけた大は、この超自然的な能力はフーマによるものではないかと疑問に思うのだが…
 敵はサイサイ。エスパー少女鹿島あかねの父の姿を取り、若者達をエスパー軍団に改造しようとした。
 今回のフーマの攻撃対象は少し年齢が上がり、ハイティーンの不良少年達。もてあますパワーをどう使って良いのか分からず、暴走させていく描写が多いのが80年代の特徴か。この頃の光景が観られて懐かしく感じる。
 大人達は信用出来ず、全てを破壊することが未来を作る。と言われて決起する少年達。だけど大部分はやる気なさげに「おーっ」とか棒読みで言っているのが逆にリアル。
 ただ一方、“エスパー軍団”なる存在が一人の超能力少女に率いられるだけの普通の若者と言う事で、フーマの介在があんまり必然性無い。例えば13話みたいにクビライの首に忠誠を誓わせるとか、怪しげな薬を飲ませるとかの描写が欲しい。
<不良少年を追った大はバイク事故を起こしてしまう。それにも関わらずその少年を追いかける大。鬼か?
 鹿島家に不法侵入した挙げ句、「怪しいものではありません。宇宙刑事です」とかぬかす大。無茶苦茶怪しいじゃないか。
 不思議時空で戦っている時、シャイダーのレーザーブレードの上1/3の光が消えてるシーンがある。故障?>
第26話 魔界ゾーン大当たり

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 格安住宅の抽選に当たった家族が移ってきた家族。そんなところに小次郎の手伝いでやってきた大は、この住宅地に張り詰めた空気を感じ取る。
 敵はカミカミ。新興住宅地の一家を脅して新興宗教に入れてしまう。
 フーマが立ち上げた新興宗教に翻弄される家族を描く。これだけの設定だとコミカルなんだが、精神的な意味で相当深刻な話になってる。
 精神的な意味での時事ネタを軽く盛り込むのが本作の面白さだが、ここでは受験戦争ネタや霊感商法ネタ、人の噂の怖さなど、本当に色々盛り込んでる。物語本編よりもそちらが面白い話が多い。
 途中からお得意の不条理劇へと突入。不思議空間に入り込んでしまったシャイダーと、それを助けようと走り回るアニーの姿がいい。
 戦いの舞台は横浜ドリームランド。そうするとこの住宅地は横浜ってことかな?
 今回のアニーは化粧品のセールスの振りしてタイトスカート姿。一方ギャル軍団は袴姿。毎度様々な姿で楽しませてくれる。
 石田家のお父さんはどこかで観たと思ったら、林家源平か。特撮では「ジャッカー電撃隊」の玉三郎以来かな?
<子供を轢きそうになってしまった大に対し、その親は「子供を轢き殺して何が面白いんです」…普通そう言う発想が出るか?
 一応「クビライさま」という固有名詞の本尊なのだが、それをクビライ本人が言ってると違和感ある。
 地下50メートルの所にフーマの新興宗教の部屋があり、中に入るにはバトルシャイアンを必要としたのだが、あんなドリルで壁突き破ったら土砂崩れ起こしてしまう。
 そして次の瞬間には教団の中にいる人々を率いてシャイダーは地上へ出てる。エレベーターかなんか使ったとして、バトルシャイアンは置きっぱなし?>
第27話 デスマッチの魔島

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 外国から二人の殺人鬼が日本に密入国した事が分かった。その無線を傍受した大とアニーは二人の行方を追うが、実は二人はフーマの基地でサイボーグ手術を受けていた。
 敵はデスデス。魔人島で格闘トーナメントを行わせていたオーナーのキラーXの正体。二本の青竜刀を武器とする。
 いつもとはちょっと異なり、フーマによるシャイダー抹殺作戦が展開する。ヒーローは人間を攻撃することが出来ないと言う不文律を逆手に取り、強化した人間を差し向けるという内容。相手がサイボーグ化された殺人鬼と分かっていても焼結出来ないシャイダーの戦いがなかなか良い感じ。
 その前段階として孤島にスポーツマンを集め殺し合いをさせるのだが、このシーンが結構長くて割と残酷なので、いきなり対象年齢が上がった感じ。怪鳥音を上げて襲いかかってくるのも、ブルース・リーっぽいぞ。
 ギルダーのサイボーグ手術はギャル軍団によってなされている。彼女たちは随分能力が高いらしい。
<バビロスもスカイシャイアンもあるのに、大もアニーも島に潜り込むためにはモーターボートとウェットスーツを用いてる。どうもこの辺のこだわりが分からないな。
 危機に陥った時、すぐにアニーに連絡を取り呼び寄せる大。逆なら分かるんだが、これでどっちが実際に頼りにされてるかが分かる。
 相手がサイボーグだと分かった途端普通に攻撃するシャイダー。サイボーグってのは、脳は人間のままだから、これはこれでまずいんじゃないか?>
第28話 魔宮の裏切り兄弟

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 不思議城にヘスラーの弟ヒムリーが現れた。クビライは兄弟力を合わせシャイダーを倒すよう命令を与える。だが、有能なヒムリーの登場に兄のヘスラーは気が気ではなく…
 敵はヒムリー。ヘスラーの弟で蜘蛛の毒を使って攻撃する。
 敵幹部の増強?と思わせておいてたった一話で終わったヒムリーの登場の話。そのためか今回に限って不思議獣は登場しない。毒使いのヒムリーのため、瀕死にまでなるシャイダーの姿が描かれていくが、見所はやはりヘスラーとヒムリーの兄弟の確執だろう。ほとんど「征伐」しか言ってなかったヘスラーがようやく個性を見せてくれた。ついでにギャル軍団もそれぞれ違った個性を見せてる。敵の描写を深めるのは、「時空戦士スピルバン」あたりからだが、その走りになるだろうか?
 兄のようになりたくて自分の性格も改善し、本当に強くなったのだが、その強さ故に疎まれる…それにしてもヒムリーは大変可哀想なキャラだ。兄貴を蹴落として大幹部になろうという心の声が無ければもっと後味が悪くて良かったんだが。
 細かいところだが、毒蜘蛛タランチに噛まれたシャイダーを救った血清は「宇宙刑事ギャバン」5話で使われたものと同じだという。設定的に細かい。
<ギャバンに使った血清をシャイダーにも用いたと言うが、ギャバンの場合毒蛇で、今回は毒蜘蛛。それって血清にならないと思うんだが?
 ヘスラーはあのでっかいかぶり物をつけたまま眠っていた。首とか寝違えないだろうか?実際今回は弟に殺される悪夢見てたけど。
 血清によって生還したギャバンはアニーに向かって「お転婆アニー」とか言ってた。「宇宙刑事ギャバン」のミミーならいざ知らず、この作品の力関係からするとそのギャグ痛々しいぞ。
 シャイダーと戦ってる間にヒムリーを斬り捨てるヘスラー。終始優位に戦ってたんだから、シャイダーを倒した後に斬れば良かったのに。そんなだからシャイダーに負けっぱなしだという話もある。>
第29話 百面相だよ女刑事

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 嘘ばかりついてる小学生三人組。そのいたずらは度を超えており、それを目撃したアニーは、この背後にフーマの陰謀をかぎ取る。
 敵はイトイト。超人的な体力を与えるギャトルファイバーを吐き出す不思議獣。蚕みたいなデザインしてる。
 タイトル通りアニーの七変化が楽しめる回だが、内容的にもやはり当時のいじめ問題が根底にある。当時のいじめはこども同士よりも、立場がどんどん弱くなっていった教師に向かっていた。この辺りから学校が歪んできたことを思わされるところ。
 今回は完全にアニーが中心で、事件を見つけるのも捜査するのもみんなアニー。ただし、肝心な戦いはシャイダーの方だが。
 アニーの七変化は、老婆、店員、マネキン、花魁、ウェディングドレス、レオタード。これに私服と宇宙刑事の制服を合わせて8つ。宇宙刑事シリーズの中では最も厚遇されたヒロインだろう。
 ギャル軍団は裁縫までやってる。有能なんだろうけど、やってることはみんな下働きばかりだな。
<モデルとなったこども達が不良になったことを喜ぶフーマ。その内容は「嘘をつき、弱いものをして万引きをする。もう手を付けられないワルになってます」…スケールが無茶苦茶小さい気がするが、その親しみやすさが本作の売りだ。
 アニーがギャトルファイバーを売ってる店にやってきたことで警戒を強めるギャル軍団。それはそうと、一緒に来たシャイダーはガン無視。ここまで空気化されるヒーローって…
 ラスト。元気に跳び箱を跳んでる小学生三人組を見て「もう大丈夫だ」とにこやかに笑う大。今までやってきたことを考えると、それだけで終わらせて良いのか?という気もなきにしもあらず。>
第30話 空を裂く命の交信

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 こどもの連続誘拐事件を追うシャイダーとアニー。そんな中、こどもの悲鳴を聞いたアニーは罠に入り込んでしまう。
 敵はブヨブヨ。白い象のような不思議獣。不思議界につながるブヨブヨマットを作り出し、中に入ったこども達を不思議界に送り込んだ。象のような長い鼻を伸ばして攻撃する。
 今回もアニー大活躍。前半は人身売買に関わる重めの話だったはずだが、後半は完全にギャグになってた。アニーの通信機を奪い合う描写は冗談みたい。
 今回特筆すべきはシャイアンの活躍だろう。たっぷり時間を取ってシャイアンの勇姿を見せつけており、宇宙刑事シリーズでは最もメカが活躍した話かも知れない。神官ポーもちゃんとシャイアンの強さを認識しているのだが、肝心のヘスラーがへたれだったため、全くシャイアンに敵わなかった。
 今回面白いのは、ブヨブヨの作ったマットの中に入ると不思議時空に行ってしまうのだが、肝心な戦いでは不思議時空が出てこなかったこと。ラストの決めポーズもいつもの不思議時空から戻ってくる描写が無かった。
<電送装置を使うことでこどもの人体改造を行おうというのは面白い考えだが、22話で半魚人を作るのにこれを使わなかったのは何故?
 “電送”だと、そのシグナルは光よりも遅いのだが、惑星間で使ったら何千年くらいかかるだろうか?
 シャイダーとアニーの間に通信機があるが、今から見てもかなりレトロなデザイン。
 ギャル軍団の一人のスカートをめくってしまったミラクラーは当然ながらきついお仕置きを受ける。まあ額を殴られるだけで済んでるけど。>
VOL.4
<A> <楽>
第31話 猛獣缶詰バーゲン

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 宇宙型インフルエンザにかかってしまった大帝王クビライはクシャミを連発。その際小型の不思議獣の卵を多量に吐き出してしまう。一計を案じた神官ポーは卵を缶詰にして売り出し、地球の人間に卵を孵化させようと考える。
 敵はフマフマ。クビライが吐き出した多数の小型卵を孵化させて誕生する。基本的に大人しいが凶暴な一匹がリーダーとなり、全個体が凶暴化する。最終的に大きな卵が現れ、それと合体(?)して等身大のフマフマが現れる。
 可愛いペットが牙を剥くという話。怪獣の缶詰の話は「仮面ライダー」のシードラゴンの話にもあったし、物語そのものも『グレムリン』なのだが、本作らしいものに仕上がってる。アニーとフマフマの追いかけっこは、ホラー映画風味で緊張感があるが、どこかほのぼの感も感じられるし、死人が誰も出ないのも本作の特徴だろう。」
 フマフマを凶暴化させるために使ったのはホルモン剤だそうだが、それって16話でボケボケを凶暴化させたものと同じものと思われる。
 今回も不思議時空は出てこない。ちょっと路線変更だろうか?
<ちなみに風邪とインフルエンザは違い、インフルエンザは咳が出ない。
 フマフマの球合理をしているのはヘスラーその人。スーツ姿で髪の毛をなでつけると、本当にサラリーマンに見えてしまう。それなのにBGMで流れてるのがチンドン屋風なのが妙にミスマッチ。
 フマフマは空を飛べる。それ自体でもの凄い研究材料だと思うんだが、ペットとして放置して良かったんだろうか?
 フマフマがこどもに襲いかかるシーンがあるが、基本的に動かない毛玉が空中で上下するだけなので迫力ないことこの上ない。
 ギャル軍団とミラクラーが大挙して出てきてシャイダーと戦うシーンがあるが、シャイダーのビデオビームガンに当たってるのはミラクラーだけ。こんな所にシャイダーのフェミニストぶりが出てるのかも知れない…今頃気づくのも何だが。>
第32話 僕と君のメロディ

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 ダーク星人に負われ、強力なテレパス能力を持つ赤ん坊を連れたキューリー星人の女性二人が地球へ降り立った。二人を保護するため活動を開始するシャイダーとアニーだが、彼らの前にダーク星人と共同戦線を張ったフーマの姿が…
 敵はカリカリ。頭に回転する三つの首を持った不思議獣。キューリー星人オズマを追ってきたダーク星人を手伝った。
 この当時のメタルヒーローには比較的多い、宇宙からやってきた特殊能力を持った宇宙人を助けるという話。残念ながらそれ以外に特徴があまりない。助けるべき宇宙人が助けようとするヒーローに敵対心丸出しで襲いかかってるくらいかな?
<超能力を見せるオズマを前に全く動じず、友達になろうとする民子。なかなか肝が据わってると言うか、どこか大切な部分が抜けてるような?
 フーマとダーク星人の連合にビデオビームガンを発射するシャイダー。何故か一発目は誰もいない場所に向かって撃ってる。どこに撃っても当たりそうなもんなのだが、わざわざ外した理由は?>
第33話 散歩する腹話術師

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 突如次々消えてしまうこども達。その背後には常に腹話術師が存在した。こども達を人形にしてさらう腹話術師に、また一人のこどもが連れ去られようとしていた…
 敵はメリメリ。こども達を人形にしてコレクションする不思議獣。赤ん坊のような顔をしているが、時折口が裂ける。
 えらく個性持った不思議獣が登場する話。基本的に不思議獣はフーマの命令の通りに働いてるが、今回に限ってはちゃんと自我を持ち、フーマとも「約束」によって動いているという。ひょっとしたら新しく作られた不思議獣ではないのか?
 今回のフーマの作戦は小さいこどもを洗脳し、やがて命令通りに動く大人になるというもの。フーマの作戦は時々長いスパンで展開する。全部失敗するけど。
 今回不条理空間に落とされるのはアニーの方。人形のサーカス舞台に放り込まれ、自分自身も人形にされてしまった。
<冒頭「氷雨」を歌いながら町を歩いてる少女。えらく渋い趣味だな。
 腹話術を教えてほしいとメリメリの人間体にくっついていく少年。しかも自分からついていく。誘拐してくれって言ってるようなもんだよ。
 メリメリが人形化させたこどもの大部分は男の子。それを撫でて「可愛い可愛い」言ってるのは、かなり危ない描写となる。
 その人形化されたこどもだが、人形ではなく実際のこどもを使っているため、微妙に動いている。
 アニーまで人形化することに成功したメリメリ。大にも奇襲をかけ、そのチャンスがあったのに、普通に攻撃して終わってる。コンバットスーツ付ける宇宙刑事には効かないとか?>
第34話 クビライの秘密

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 三上山で一万年以上に作られたとされる金属板が発見された。人間が作ったとは思えぬその金属板を調べるため調査が開始されたが、それを知ったクビライは即刻調査隊を襲うよう指令するのだった。
 敵はカゲカゲ。三上山から出土した金属板を奪うために派遣された不思議獣。身体を液状化させることが出来、シャイダーに取り付いて動きを封じた。
 本作のメインテーマであるナスカとクビライの関係に更に一歩踏み込んだ話。
 ここでいくつかの新事実が発覚。かつて地球に来ていたクビライは悪の帝国ムー帝国を造り上げたが、そこに一人の戦士が現れ、帝国を滅ぼしたのだという。その際一度はクビライは倒され、神官ポーの両親も殺されたらしい。
 その戦士の名はシャイダー。シャイダーはこの名前を受け継いでいるようだが、偶然なのか故意なのかは明らかにされてない。
 クビライは神官ポーの本当の祖父だというのもここで明かされた。
 物質文明に溢れた現代はクビライにとっては第二のムー帝国樹立に近づいているのだとも言う。心を無くしつつあるバブル期を象徴するような設定だ。
 特別編と言う事で、不思議時空は現れず、不思議獣もいつものシャイダーブルーフラッシュではなくビデオビームガンで倒したり、異例ずくめの話になった。
<神官ポーとの戦いから必死に逃げてきたシャイダーはいつもの決めポーズを決めている。そしてそれを見つめてるアニー。何となく恥ずかしい気がする。>
第35話 謎を射る黄金の矢

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 コム長官から、かつてフーマを倒したという戦士シャイダーの伝説を聞いた沢村大。コム長官によれば、大にシャイダーと名付けたのは、その名前にあやかったからと聞かされる。一方フーマははっきりとシャイダーを標的に決め、そのために神官ポーが動き出す。
 敵はダリダリ。シャイダー抹殺のために作られた不思議獣で、大の父大二郎に化けてシャイダーを罠に誘い込んだ。
 前回に続いてシャイダー本人に関わる秘密が描かれる話。第1話で突然大の家が爆破されたのもちゃんと伏線として用意され、フーマは「シャイダー」と名付けられた人間を最初から付け狙っていたらしい。戦士シャイダーは地球に残り、そこで生を終えたらしく、あるいは大こそがその本当の子孫なのかも知れないという具合に話は展開している。
 一方フーマとしても植民地であったムー帝国を滅ぼされたシャイダーに深い恨みを持っていて、そのために特別に罠まで用意していた。
 物語としては、3話のアニーで起こったことが今度は大の方で起こったと言う事になるが、そんな大をしっかり諫めるアニーの姿もあり、彼女も成長しているらしい。
 今気が付いたが、大役の円谷浩は起用に左眉だけを動かすことが出来る。何かに気づいた時など、良い
<小さい時に死んでしまい、ほとんど会ったこともない父の姿をよく知っている大。よほど写真とか眺めていたのか…ところが回想シーンでは大は小学生高学年っぽい。いつ亡くなったんだよ?
 そう言えば今回珍しくヘスラーは「やれ」と言うだけで「征伐」を言わなかった。>
第36話 ユメコン狂時代だ

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 フーマは不思議獣コンコンの細胞で作られるユメコンを日本全国にレンタルし、人間の欲望を増大させようとする。事前にそれを察知したシャイダーとアニーだが、人の欲望は抑えることが出来ず、ユメコンはどんどん日本中に増えていく…
 敵はコンコン。ユメコンの頭脳とも言える存在であり、あらゆるものを作り出すことが出来る。なんとシャイダーまで作り出してしまった。
 ネット時代前に、明らかにネットショッピングや通信までやってしまうと言う時代を先取りした物語。人間の欲望を肯定するネット時代というのは、人間にとって果たして良かったのか悪かったのか…なんて事を今になって考えてしまう話でもある。
 話としてはやや変則的で、最初からシャイダーの方が攻めに入っていて、アクションシーンもふんだんに用いられてる。バランス的に言ってもかなり面白い雰囲気に作られていた。
<フーマの秘密工場を見つけたシャイダー。警備員はみんな人間に化けたミラクラーなのだが、そもそもでっかい武器持ったままパトロールしてるので、別段正体見る必要もなさそうだ。
 工場の庭は地雷地帯なのだが、ミラクラーは普通にそこら中走り回ってる。場所が分かってるにしても、あまりにも普通に移動しすぎる。
 ブルホーンに追いかけられるヘスラーとギャル軍団が乗っている車は普通のワゴン車だった。フーマも使えないところに使う予算が相当抑えられているらしい。
 ユメコンのデータは全て一度コンコンに送られ、そこでフィードバックされるらしいが、現在のスーパーコンピュータでもそこまでの性能は持てない。こんなに高性能な不思議獣なら、戦闘能力まで付ける必要ないような?
 シャイダーのコピー体を作るコンコン。そこまでシャイダーの解析が出来てるんだったら、こんなにシャイダーに苦しめられることもなかろうに。>
第37話 吼えろビームガン

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 シャイダーに決戦を挑むヘスラー将軍。迎え撃つシャイダーだが、そこに現れたのは人間であることが分かり、攻撃することが出来なかった。アニーの救出で難を逃れたシャイダーはフーマの訓練所に潜入することにしたが…
 敵はグチグチ。頭部が巨大な唇になっている。グチ将軍に化け、若者の不満を暴力へと転換させている。不思議時空の中でもしばらくは人間体で戦っていた。
 オープニングから早速決戦。相手が人間だけに攻撃が出来ないわ、バビロスのシューティングフォーメーションも不発だわ、見事に危機が訪れてしまう。
 普通の人間を戦闘員に仕立て上げる。特撮では定番の一つだが、ヒーローに対しては最も効果的な戦略方法であり、同時に国に対する反乱を起こすにはこう言うやり方をしているのは、歴史が証明している。精神的な攻撃を中心とする本作らしい話に仕上がってる。
 本作の大きな特徴として、宇宙刑事は二人いると言うことが挙げられる。シャイダーが危機に陥ったら、ちゃんとアニーが駆けつけてくれるので、安心して戦いが可能。それが今回良く表れている。アニー自身も単独で偵察及び戦闘も行っていて、そこも見所あり。そこでのアクションではアニーの危機にシャイダーの方が駆けつけることになる。
 相手が人間の場合、どういう攻略方法を取るかと考えたシャイダーが選択したのは、「何もしないこと」だった。ひたすらバビロス号で訓練を続けているだけ。ヒーローとしてはやや消極的な作戦だが、特訓シーンがあるのは良いな。
<フーマ戦闘母艦に対する一度目のシューティングフォーメーションは不発。二回目はいつものように撃破できている。その違いがどこにあるのか説明が欲しかった。
 人を撃たないようにと特訓をするシャイダーに対し、平気で人を撃つアニー。ミラクラーが化けてるのが分かってるのか、それとも麻酔銃モードなのか分からないが、それだったらシャイダーでも問題無いような?>
第38話 魔少女シンデレラ

  脚本:上原正三
  監督:澤井信一郎
 フーマは洗脳装置として映画を作り、それを使ってこども達の心を化石にしようとする。その映画制作現場を見学に来た小次郎につきあった大は、そこで恐るべき陰謀が仕組まれていることを知る。
 敵はムビムビ。カメラに扮し、人間の心を化石に変えるフィルムを作り出す。
 特にこの時代によく使われていた映画制作現場を舞台にした話。いつもの東都撮影所ではなく、マゼラン映画だそうだ。既存の製作場ではなく、特別にフーマが作った撮影所らしい。
 トップアイドルを使った映画の撮影なのだが、スタッフやキャストで出てくるのがみんなフーマの一員ばかり。特に監督をやってるヘスラーははまりすぎ。クビライまで特別出演してる。
 一方、潜入捜査のために大とアニーも時代劇の格好して撮影所に潜入してる。短かったけど。
 妙に退廃的な子役を配し、ねちっこいカメラワークで撮影してるところがこの話の肝。なんとネグリジェ姿で大にしなだれかかる少女…って、表現がやばすぎる。一定の性癖を持ってる人にはたまらない話ではなかろうか?
 又、子役二人を崖の上で揉み合わせる撮影シーンもある。安全対策は充分取れたのだろうが、かなり危険性はあるので、今じゃやっぱり許されないだろうな。
 アクションシーンは岩場でになるが、足場がゴツゴツして大変そうな中で頑張ってた。
 今回不思議時空に引きずり込まれたシャイダーはブルホーンを呼び出さなかった。それでも普通に戦ってるので、ブルホーンがある理由って何なのだろうか?
<トップアイドルの子役の名前が早見聖…時代を感じるネーミングだな。
 撮影所では「魔少女シンデレラ」以外にもたくさん映画の撮影があったようだが、そっちの映画群はそれからどうなったんだ?
 ツッコミ所はたくさんあるのだが、全部狙って作ったものなので、ツッコミ入れられないのがなんとも。撮影が妙な方向に振れすぎてる。>
第39話 仮面が踊る聖歌隊

  脚本:上原正三
  監督:澤井信一郎
 クリスマスを前にフーマは不思議獣サタサタにサンタクロースの姿をさせ、こども達の心を汚そうという作戦を立てた。プレゼントが配られた家のプレゼントがみんな不思議界にいる珍獣になってしまうと言う事件に乗り出す大とアニー。
 敵はサタサタ。黒いサンタクロースに化け、クリスマスプレゼントに珍獣を送り、こども達の精神を汚す。黒い聖歌隊を組織して町を練り歩く姿が印象的。
 クリスマスらしい物語で、こどもの夢を汚す黒いサタンクロース、そして大もサンタの格好で登場してる。今回は二段構成で、心を汚されたこどもが元に戻ったかと思わせ、再び黒仮面を付けてしまう下りはなかなか秀逸。尺の問題であっけなく話が終わってしまうのが残念だが。
 久々に不思議獣の誕生シーンがあり、不思議ソングも久々に歌詞付き。こども達の声で歌われるバージョンも初登場。
<プレゼントを渡すため、大に家に不法侵入させる小次郎。これって犯罪共助だよ。
 サンタクロースの人形を逆さ十字架に付けるシーンあり。これ海外に持っていったらボコボコに叩かれるだろうな。
 珍しく林の中でフーマと戦ってるシャイダー。勝手が違うのか、時折足を取られてよろけるシーンもあった。ビームガン引き抜く時の手際も悪いが、スーツアクターの調子も悪かったのか?>
第40話 バビロス号SOS

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 シャイダーにことごとく敗北を喫してきたフーマは、バビロス号に的を絞って攻撃をする作戦を立案。バビロス号に不思議獣の卵を持ち込ませる事に成功した。
 敵はテロテロ。バビロス号の内部破壊の為に生み出された不思議獣。レーザーエネルギーにより成長する。
 宇宙刑事の居住地であり、難攻不落の要塞でもあるバビロス号に的を絞った作戦。これまであまりそう言う話が無かったが、効果的な方法でもある。
 今回の作戦で活躍したのは珍獣たち。アニーにぬいぐるみを渡してバビロス号にテロテロの卵を送ってみたり、大を足止めしたのもやはり珍獣たちだった。側面から大活躍したが、それでもバビロス号を落とせなかったのは、肝心のテロテロがへたれだったから。折角良い作戦だったのに。
 今回のアニーは宇宙刑事の制服姿で立ち回りしている。ボディスーツ姿もなかなか良い感じ。サポートとして、非常に役立っている。
 珍しく大も焼結せずに生身で戦っているが、ぎりぎりまで生身で引っ張ったため、焼結できずにパニックを起こすことになる。それとこれも珍しくスカイシャイアンの方でシャイダーが戦っているのも面白い。
<テロテロの右手は金属製のドリルだが、卵状態からどうやって成長したんだ?>
VOL.5
<A> <楽>
第41話 直撃じゃじゃ馬娘

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 バード星市長の娘ビビアンが小型宇宙船に乗って地球にやってきた。だが着地に失敗してしまい、なんと不思議宮殿に不時着してしまう。フーマは、彼女を使ってバビロス号破壊をもくろむ。
 敵はペアペア。グロテスクな天使のような姿をした不思議獣。体を発光することで、人の恋愛感情を操る。
 タイトル通りじゃじゃ馬娘に手を焼くシャイダーとアニーの姿がコミカルに描かれる話。ジャーナリスト志望というその娘は全く物怖じせず、なんと不思議宮殿まで取材しようとしてる。それですっかり珍獣と仲良くなったあたり、ナチュラルに凄い事をしてる。この役は塚田聖美が演じているが、さすが次のメタルヒーロー「巨獣特捜ジャスピオン」のメインヒロインを張るだけのことはあり。まあ、ちょっとナチュラルすぎて、足りないんじゃないか?と思わせるところも多々あるが。
 それで洗脳されてバビロス号のあちこちを取材するビビアンに、すっかり焼き餅を焼くアニーがなかなか可愛い。
<ビビアンはバード星市長の娘だそうだが、バード星って市なの?説明不足すぎる。
 超短波発信装置が近くにあることを探知したシャイダーとアニーだが、闖入者であるビビアンを全く調べようとしてない。これで刑事か?>
第42話 6年0組の不思議

  脚本:上原正三
  監督:山田 稔
 大はパトロール中こどものいじめを目撃した。だが、探し出したこどもたちは完全にしらを切る。そのこどもたちは6年0組と言われる特別クラスだと知るが、その言動に違和感を覚える大…
 敵はヘビヘビ。美鈴という先生に化けてこども達が陰湿になるような教育を施していた。珍しい雌型の不思議獣。
 この当時はやっていた陰湿ないじめ問題を主題とした作品。一見優等生に見えるこどもが、実はいじめを行っていたというパターンで、その背後で糸を引いていたのがフーマだというオチ。特撮は教育番組だというのを地でやった話とも言えるだろう。
 その“教育”のために流されるのが不思議ソング。テーマが結構ちゃんとしてるんだな。
 ヘスラーに言わせれば、地球に対する大侵攻を準備しているそうだ。いよいよ終盤といった感じ。
 ところでここで秘密ゾーンなる変な空間が登場したが、不思議時空とは違うのかな?
<美鈴の補習授業を探るために隠しカメラを仕掛ける大。これは良いのだが、パンナップやカメラワークまでしている。宇宙刑事の備品って凄いもんだな。>
第43話 ぼくンちのフーマ

  脚本:上原正三
  監督:山田 稔
 フーマが実験のために選んだのは池田一郎の家だった。その庭に落ちていた宝石のような石から生まれた不思議獣ツタツタは一家を支配下に置き、食べ物を要求する。ついには貯金も底を突き…
 敵はツタツタ。植物型の不思議獣で、人の欲につけ込み、人間を支配下に置く。もの凄い食欲を持つ。
 全銀河大侵略を前にやっぱり実験を続けてるフーマはやや悠長に過ぎる感じだが、日本を支配するためには中流家庭を狙うというのはなかなかリアリティあり。その家庭も、外面を恐れてばらせないあたり、中流家庭の哀しさがでていたりもする。
 実際に食べるシーンは無いにしても、不思議獣が犬を食べてしまう描写あり。犬好きにはちょっときついな。
<今回に限ってシャイダーは異変が起こった家にすぐに突入するのではなく、少し様子を見ていた。人質がいるって事なんだろうけど、いつもより慎重だな。>
第44話 吹き荒れる大侵略

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 大帝王クビライの百万年目の誕生日を祝うため、全銀河にフーマによる大侵略がかけられた。全銀河に散らばった宇宙刑事達も戦いを続けていたが、圧倒的なフーマの力に、銀河の星々が次々とフーマの軍門に下っていく。だが、クビライは地球を何よりも欲していることを感じ取ったギャル軍団のギャル1は自らの身体に武器を埋め込んで参戦する。
 敵はギャル1。肉体に多数の武器を埋め込んでシャイダーに向かって行く。あっけなく倒されはするが、怨霊となりアニーに取り憑く。怨霊体でシャイダーに挑むが、シャイダーブルーフラッシュで肉体を消した後で、怨霊発生装置(?)をビデオビームガンで撃たれて絶命。
 いよいよ始まったフーマの大侵略。ギャバンやシャリバンと言った宇宙刑事達も宇宙の彼方で戦っている事が分かった。バンクだけどちょっとだけ登場。第一話に登場した犬のような宇宙刑事と鳥のような宇宙刑事の見習二人も死んでしまったらしい。全然強そうに見えないフーマも、実は相当に強かったことが分かる。なんせマクーやマドーでも出来なかった銀河征服をあっけなく成し遂げてしまうのだから。
 それで最後に残ったのが地球であり、地球攻略のため、今度はなんとギャル1が戦いの先頭に立って戦う。まあ戦い自体はあっけなく終わってしまうのだが、死んでも怨霊となってアニーを操ったりする。生身で大口開けてアクションしてるが見事な女優魂だ。
<ギャル軍団の固有の名前が出たのは初めてのような気がするが、その名前はギャル1〜ギャル5というらしい。分かりやすいというか、適当というか…真面目な顔で「ギャル1」とか言われても、なんか違和感があるな。
 ギャル1も一応変身らしきことはするが、マスクの頭部にはサイドポニーを模した飾りが付いてるのがポイントか。誰だかはこれで分かるし。
 クビライが「不思議時空に引きずり込め」と言ったのは初めてのこと。だが、その理由はバビロス号に戻さないためだそうだ。バビロス号は不思議時空に入り込めるのだからあんまり意味がないような気がするんだが。>
第45話 火を吐く黄金巨像

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 次々と銀河の星を支配下に置くフーマ。だが、肝心な地球攻略だけは進まず、神官ポーは、戦士シャイダーの幻を見る。シャイダーを倒す事が全銀河攻略の足がかりと見たポーは、かつてクビライを封印したというイースター島へと向かう。その頃、全銀河の危機を受け、シャイダーもやはりイースター島へと向かっていた。
 敵はヘスラー。イースター島の神像を前にシャイダーと戦い、不思議時空で四倍のパワーを与えられたが、シャイダーブルーフラッシュで倒された。そして最後に神官ポーが登場し、神像の矢を受けて退場。
 最終回へと向け、着々と物語が進行している。前回のギャル1に続き、今回はギャル3と、ヘスラーまでもが戦死。フーマの方もそろそろ後が無くなっている。一方、銀河攻略が着々と進む中、宇宙刑事の方もギリギリの状態。双方後がない状態で戦いが始まっている。
 その中で1万2千年前の地球における戦士シャイダーこそが鍵となっている。前作「シャリバン」からの続きか、伝説を物語の中軸に据える形を取っているようだ。
<前回クビライの誕生日は100万年と言っていたが、今回10万年になっている。どっちだよ。
 クビライが地球攻略を決意したのは、1万2千年前のムー帝国の滅亡の腹いせだった。でもその攻略は「何か」を爆破すれば済んでしまうらしい。だったらさっさとやっておけ。
 ギャル3の自爆攻撃を凌いだシャイダーは「恐ろしいギャルだ」と呟いている。別な意味にとらえられるよな。
 自分が開けることも出来ず、何が入っているのかも分からない神像の前でヘスラーを前に「この扉が開く時フーマは滅びる」と見得を切るシャイダー。なんでそんなこと分かるんだ?>
第46話 幻のショータイム

  脚本:上原正三
  監督:小西通雄
 どうしても開いてくれない扉を前に途方に暮れるシャイダーとアニー。一方傷を負った神官ポーは、あくまでシャイダーとの戦いにこだわり、地上でシャイダーを迎え撃つ罠をしかける。不思議宮殿から連れてきた珍獣とギャルの生き残り3人を含めたショーを設定するのだった。
 敵は神官ポー。不思議なショーをシャイダーに見せ、エネルギー切れを待って攻撃を仕掛けた。他にギャル軍団の生き残りと、珍獣のヤーダとノッソリも参戦してる。
 本作の前半にはよくあった不条理劇を終盤になって持ってきた。やっぱりこれがあってこそ本作だ。特にこれまで後ろで操っていたポーが前面に出たことで、不条理劇が切迫度を帯びているし、いつ襲われるか分からないので緊張感が途切れない。
 不条理ゾーンの経路は洞窟→カフェ(ウェイトレス)→自動車修理工場(車)→ディスコ(殺人音波)→教会(シスター)→林(ダンサー)→無人の街(マネキンとバイク)→手術台(医師)→ディスコ(殺人音波)→修理工場(重機)→不思議時空(ギャル軍団とポーが素で)→イースター島。神官ポーやギャルたちも七変化を見せる。見所は多いが、車を使ったアクションは相当に危険だ。
 楽しい話だったけど、物語自体は全く動いていない。結局一本分物語を使って最初のシーンに戻っただけだった。
<男装の麗人の格好をするポーは、なんか不思議な感じ。ジェンダーフリーの魅力と言うべきか?男だか女だかどうでもいい気になる。>
第47話 一万二千年の暗黒

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 フーマの銀河侵略は着々と進んでいるものの、大帝王クビライは悪夢にうなされていた。そんな時、戦士シャイダーによって封印された扉を見事に開く事に成功した大は、そこで戦士シャイダーによって切り離されたクビライの胴体を発見するのだった。
 敵は大帝王クビライの胴体。7つの蛇の顔を触手のように使う。1万2千年前に首と切り離され、ミイラ化していたが、封印が解かれたことで復活する。頭がないために単純な攻撃しか出来ないが、そのパワーは圧倒的だった。
 いよいよ話も佳境。シャイダーとクビライの直接対決となるが、今回戦ったのはクビライの胴体のみ。でもここでクビライの弱点を知ることになる。
 そしてなんとかクビライの胴体を倒す事が出来たものの、遺跡に閉じ込められることになってしまった。最後のナレーションの締めの台詞が「脱出せよ、宇宙刑事シャイダー」なのが良い。
<戦士シャイダーが施した扉の鍵とはパズルだった。9つの石版を組み替えるだけの単純なもので、よくここまで封印されっぱなしだったもんだ。
 クビライ曰く、扉を開いたシャイダーは「1万2千年の恨み」によって後悔することになるのだそうだ…じゃ扉を破壊しようとしたヘスラーとギャル3の立場は?
 封印の中で焼結するシャイダー。つまりこれはバビロス号からの転送が可能と言うこと。だったらあらかじめ内部をスキャンとか出来そうだが?…と思ったら、扉が閉じたらあらゆる電波が封じられると最後に言っていた。扉が開いていたからできたのか。
 クビライの胴体は封印されて1万2千年が経過した事を知っていたが、どうやってそれを知ったのだろう?時間を数えてたのかな?
 クビライの胴体はほとんど脚がない。逃げるシャイダーを追いかける姿がとても窮屈そう。というか、かなり情けない姿だ。>
第48話 正義・友情・愛

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 イースター島の洞窟に閉じ込められたシャイダー。コンバットスーツのエネルギーも尽きようとしたその時、洞窟の中に戦士シャイダーが使った武器を発見する。一方、シャイダーを封印したクビライは、10万年目の誕生日を前にアニーを捕らえ、処刑を執り行うことに。
 敵は大帝王クビライ。失った胴体の代わりに機械の体を付けて参戦する。ギャル2、4、5乃体を取り込んでパワーアップを果たすが、遺跡の壁画で弱点を知ったシャイダーによって倒される。
 最終回。大帝王クビライとの最終決戦が描かれる。前回の引きで思い切り期待を持たせた割には結構チープな終わり方なのがちょっと寂しい。エネルギーも全て尽きた時、復活するのは仲間を思う心と気合いというのは、後のジャンプ系マンガの定番になってる。
 クビライを倒して銀河に平和は訪れたが、神官ポー(と珍獣たち)は倒さないまま終わってしまった。ポーはクビライがいないと美しさが保てないと言うので、要するに老いて一人で死んでいくと言うのだろう。ちょっと寂しいものだ。
 最後に小次郎が久々に登場。最後まで締まらない役所だが、結局宇宙刑事シリーズ全作に登場したバイプレイヤーなので、これくらいはサービスしても良いだろう。そう言えばコム長官とマリーンもそうか。戦士三人の戦いを回想するコム長官に、このシリーズの終わりが見えた。
<今回もクビライの誕生日は10万年目と言っている。こっちが正しいのか?
 戦士シャイダーが残した武器はブルホーンによく似た乗り物。エンジンはキック式でかけるようだが、1万2千年前に普通のオートバイがあるものなのか?
 シャイダーをサポートするためにバード星からマリーンがやってくる。なんかあっという間に地球に来てしまった訳だが、そんな早く来れるんだったら、もっと早く来るなり、遺跡調査の学者をよこすなりしたほうが良かったんじゃないか?
 何者も通さない遺跡から戦士シャイダーの乗り物を使い、一気に不思議宮殿にやってくるシャイダー。時空を超えたら遺跡の封印も意味ないとするなら、その設定を活かした脚本が欲しかったところ。
 コンバットスーツのエネルギーも無くなりかけたというのに、クビライとの戦いはいつも通り。コンバットスーツのエネルギーってどうやって補給してるんだろう?
 クビライは機械の胴体を付けてシャイダーの前に立ちはだかるが、顔があんなにでっかいのに胴体が人間と同じ大きさなので、もの凄いアンバランスな姿になってる。顔に合わせて巨大な身体を作るとかした方がいい気がするが。
 別段身体が無くても首だけで充分に戦えるクビライ。だったらそのまま戦った方が良かったんじゃないか?
 不思議宮殿に一人残りミラクラーと戦い続けていたアニーだが、どうやらミラクラーは全滅したらしい。宮殿の中にはそんなに戦闘員が少ないのか?あるいはアニーがべらぼうに強いのか?>
第49話 3人の宇宙刑事 ギャバン・シャリバン・シャイダー大集合!!  フーマが滅び、全銀河に平和が訪れた。ようやく戦いから解放されたギャバンとシャリバンは地球にいるシャイダーの元へとやってきた。
 宇宙刑事シリーズが終わり、スペシャル番組として放映された話。基本回想シーンはバンクだが、三人揃っての変身シーンはやはり燃える。三人が全員ちゃんとポーズ取って変身するのは、ぐっとくるものがある。
 しかしこう一作目から続いてみてみると、特撮技術が三年で随分進化したことが分かったりする。
 そして色々変わったことも。ギャバンは頭が坊主になったこと(映画『コータローまかりとおる』の撮影のため)、ミミーと結婚することになったこと。シャイダーはイガ星の復興のため頑張っているらしいがリリィはバード星で宇宙刑事学校の教官をしているらしい。ちなみにアニーは考古学者を目指し、エジプトで発掘作業をしてる。
 何故か地下街で「宇宙刑事シャリバン」のガイラー将軍にそっくりな人がいて、間違って怒られるシーンがラスト。
 これにて宇宙刑事シリーズは終了となる。
<ツッコミではないのだが、ラストシーンはガイラー将軍で決めるのではなく、小次郎に出て欲しかったな。>