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ワイルダーならどうする?―ビリー・ワイルダーとキャメロン・クロウの対話 あの頃ペニー・レインと |
2011 | 幸せへのキセキ 監督・製作・脚本 |
パール・ジャム20 監督・編集 | |
2008 | |
2007 | |
2006 | |
2005 | エリザベスタウン 監督・製作・脚本 |
リンガーズ 〜ロード・オブ・ザ・ファンズ〜 出演 | |
2004 | |
2003 | |
2002 | |
2001 | バニラ・スカイ 監督・脚本 |
2000 | あの頃ペニー・レインと 監督・製作・脚本 |
1999 | |
1998 | |
1997 | |
1996 | ザ・エージェント 監督 |
1992 | シングルス 監督・製作・脚本 |
1989 | セイ・エニシング 監督デビュー・脚本 |
1984 | ワイルド・ライフ 製作・脚本 |
1982 | 初体験 リッジモント・ハイ 原案・脚本 |
1957 | 7'13 カリフォルニア州パーム・スプリングで誕生 |
幸せへのキセキ 2011 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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突撃取材で知られるコラムニストのベンジャミン・ミー(デイモン)。妻の死から半年たった今も悲しみは癒えず、たびたび学校で問題を起こす14歳の息子ディラン(フォード)との関係もギクシャクしていた。新天地での再スタートを決意したベンジャミンは、郊外の丘で理想的な物件を見つける。ところがその家には、動物園が付いていた。2年間閉園状態の動物園を再開すべく、周囲の反対を押し切りその家を購入したベンジャミンだったが… 動物園付きの家を買ってしまった家族の実話を元にした作品。 私にとってツボに入る作品というのがある。ハートフル作品を散々馬鹿にする傾向のある私だが、なぜか父親を主人公とした家族の再生とか、家族を作る物語というのに無性に弱い。まあそういうのを「ツボ」と言うのだろうけど。で、そういうのに弱いのがわかってる分、逆に観ようとしないのが私という人間だ。 この作品も予告で観た瞬間、「これは来るな」と言う感触ありで、観る気はほとんどなかったのだが、ツレが「これだったら一緒に観ても良い」などと言うもんだから、渋々と言った感じで。 結果として、やっぱりツボにはまったが、涙流すような姿を見せない程度で収まってくれた。まあいい感じで最初から最後まで見せてくれたから、それで良し。 あまりにもパターンにはまりすぎてるが、家族の再生の物語に動物を絡めるあたり、とにかく家族のために受ける要素は満点で、普通に良い話として万人にお勧めできるのが強みだろう。 映画の要素としては多少違和感が残る部分として、老いた虎の死にウェイトがかかりすぎてるのがあるけど、逆にそのエピソードがなかったら、あまりにも普通すぎるし、動物を扱う覚悟というところで良い特徴になってる。実話をベースにしてるからこその違和感として受け入れるところだろう。 それともうキャリアも大分積んだデイモンがお父さん役としてちゃんと演技できているのも大きいな。これまでのキャリアにはなかった中年太りもうまい具合にはまってる。こういう役ができるようになったと言うことは、これからもまだまだ充分第一線で演技を続けることができる人に成長したってことかな。子役のマギー・エリザベス・ジョーンズのうまさも光ってる。ちょっと素直すぎる役だったけど、やっぱりハリウッドは層が厚い。良い子役をすぱっとはめてくれた。スカーレット・ヨハンソンもあんな野暮ったい役できることが分かった。 強いて言うなら邦題タイトルが陳腐すぎるってのがあるけど(オリジナルに忠実にするなら『動物園を買ってしまった』になるが、これはもっと邦題としては悪いだろう)、内容にはちゃんと沿ってるから、それで良いか。 |
エリザベスタウン 2005 | |||||||||||||||||||||||
2005放送映画批評家協会歌曲賞、サウンドトラック賞、音楽賞 | |||||||||||||||||||||||
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シューズ会社に勤務するデザイナーのドリュー(ブルーム)は、長年開発に打ち込んできた画期的なシューズが大失敗して会社に大損害を与えてしまい、クビになってしまう。つきあっていた恋人からも縁を切られてしまったドリューに、故郷の父が心臓発作で亡くなったという連絡が入る。失意のうちに、実家のエリザベスタウンへと向かうドリューだが… アメリカで一ジャンルとなっているロードムービーは、大概はダブルミーニングをもっていて、目的地に近づくというのは、人間としての完成を作っていく描写がなされることになる。物理的な旅が心の旅と結びついているのだ。そういう意味で心の成長を描くために、旅は有効に使われている。 本作も全てを失ってしまい、絶望的な主人公が旅の中で様々な人と交流して、やがて生きる意味を見つけていくというロードムービーの基本路線はきっちり抑えて作られている(途中だらだらとした展開も含め)。直球の話だけに、主題に関しては結構良かった。 …の、だが、ブルームは主役にするのはあんまり良くなかったんじゃないかな?この人凛々しい役は似合うんだけど、だらしない役は駄目っぽい。理由は簡単で、顔の造形を崩すと、もの凄く無個性になり、しかも表情を変えることが出来ない。言ってしまえば器用な役者ではないと言う事。そういう意味ではクルーズという引き出しの少ないキャラを上手く使ったクロウ監督だったら?という期待もあったのだが、見事にそれは外した感じ。一方ヒロイン役のダンストも魅力的には見えず。結局やかましいだけになってしまった。二人とも悪い役者じゃないのだけど、しっとりと心を表す役というのはまだまだ難しかったんじゃないかな?途中やたら存在感見せるサランドンもやかましすぎる。結局黙ってる男と、やかましい女性がやたらバランス悪く配置される結果になってしまった。 物語として、無であることを自覚し、過去から今までの人間関係を総括して、新しい生き方を見つけていくという流れは良いのだが、その描写に難があって、どこで終わるのかが分からないのも難点。ラストシーンも余韻が残ると言うよりも「これで終わったの?」と言った感じだったし。 悪い作品じゃないけど、色々残念な作品だった。 |
バニラ・スカイ 2001 | |||||||||||||||||||||||
2001米アカデミー歌曲賞 2001ゴールデン・グローブ助演女優賞(ディアス)、歌曲賞 2001放送映画批評家協会歌曲賞、助演女優賞(ディアス) |
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3つの雑誌社で社長をしているディヴィッド(クルーズ)。仕事に、遊びに、全ては順風満帆だった。ところがパーティで親友が連れてきた女性ソフィア(クルス)に一目惚れしたときから全てが変わってしまった。二人の仲に嫉妬したガール・フレンドのジュリー(ディアス)が何とディヴィッドと無理心中を図ったのだ。二人の乗った車は大破し、ディヴィッドの顔は醜く歪む。そしてその時から夢とも現実ともつかぬ悪夢の世界にディヴィッドは生きることになる。 予告以外の何も見ていかなかったため、そのストーリーには思い切り驚かされた。冒頭の悪夢のシーンでもそうだが、特に後半になると、何がなんだかだんだんと訳分からなくなってくる。後半もかなり進んでから、やっと冒頭のシーンがつながると言う事実に思い至り、そこからはストーリーの予測がつくようになったが、なるほど。本当にこれは押井守の世界だ。 寝て悪夢、起きても悪夢の世界。その極端な世界の中で苦悩するディヴィッドの役をトム=クルーズが好演している。本当に演技派に転向したみたいで、上手くなっているし、キャメロン=ディアス、ペネロペ=クルス共に綺麗。特にクルスはすっかりファンになってしまう(先日奥さんのキッドマンと別れたばかりのクルーズの新しい彼女だそうだ)。元々がこの作品、『オープン・ユア・アイズ』(1997)が元になっているのだが、ここでもクルスはヒロインとして活躍していたらしい。特に撮影の巧みさのお陰で二人のヒロインが実に際だっている。ディアスは結構キレた演技もできる。こう見てみると、この人の笑顔も怖く見えてしまうから不思議。さりげなくカート=ラッセルが出ているのも良し(笑) 中盤から始まる謎のようなストーリーも、注意して観てみると様々なキー・ワードがちりばめられていることに気付かされる。自分が望む世界を壊すことが可能なのは結局自分自身の中にしかない、と言うストーリー展開に持っていくのは結構深いし、夢の限界性と言うものも暗示されているようだ。自分の理想とする世界で何故悪夢を見なければならないのか。それは結局自分自身でそれが不自然であることを認識づけているからに他ならない。それこそが正常の印というものだ。 ただ、この映画、評価したくないのがラスト。ストーリーの構造上ああ持って行くしかないし、確かに自分が理想としているヴァニラ・スカイの中でのあれは本人にとっては一番の理想だろうけど。 |
あの頃ペニー・レインと 2000 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2000米アカデミー脚本賞、助演女優賞(マクドーマンド、ハドソン)、編集賞 2000英アカデミーオリジナル脚本賞、音響賞、作品賞、主演女優賞(ハドソン)、助演女優賞(マクドーマンド)、作曲賞 2000LA批評家協会助演女優賞(マクドーマンド) 2000ゴールデン・グローブ作品賞、助演女優賞、脚本賞 2000放送映画批評家協会助演女優賞(マクドーマンド)、脚本賞、ブレイクスルー賞(ハドソン)、作品賞 2001MTVムービー・アワード音楽シーン賞、女優賞(ハドソン)、ブレイクスルー男優賞(フュジット)、セリフ賞(クラダップ“I am Golden God!”)、衣装賞(ハドソン) 2001キネマ旬報外国映画第10位 |
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1973年アメリカ。15歳の少年ウィリアム(フュジット)はロックの魅力に取り憑かれ、ロック雑誌に年齢を詐称して投稿を続けていた。その記事がやがてクリーム誌の編集長、レスター(ホフマン)に認められ、売り出し中の新進バンドのスティルウォーターのツアーに同行取材をすることになる。そしてスティルウォーターの追っかけの少女ペニー=レイン(ハドソン)と出会う。スティルウォーターのギタリストであるラッセル(クラダップ)と付き合っていた彼女に恋してしまったウィリアムだったが… 70年代のロック生活を描いた作品で、クロウ監督のロックに対する愛情がよく分かる作品。おそらくは監督自身がこういう生活をしていたんじゃないか?と思われる。当時を知っている人は楽しめる作品だと思われる。 私に関しては、ロックと言うよりはポップスに開眼したのは80年代で、70年代のロックはよく分からないし、田舎に住んでいたのでこういった追っかけのようなものは文章で読むばかり。そう言う意味ではあまり共感出来ないが、甘酸っぱい青春映画として考えるなら、出来そのものの質は高い。憧れと性欲が混同し、それでも一歩が踏み出せないという、もどかしさに全編が溢れている。2000年代になって、こういう等身大の青春劇がハリウッドでも作られるようになったのは嬉しい限り…本作以外成功作はほとんど見当たらないのがなんだが。 若手ながら実力俳優が大挙して出てくるのもポイント。幻想的ではないハドソンはすごく可愛い。それで実力派が脇を固めながら、主人公がデビュー作というフュジットというのも良い。知識先行型の頭でっかちな少年が恋を知っていくという初々しさが本作の肝だから。 これでノスタルジーを刺激されたらもっと点数を上げられるのだが。 |
ザ・エージェント 1996 | |||||||||||||||||||||||
1996米アカデミー助演男優賞(グッティングJr)、作品賞、主演男優賞(クルーズ)、脚本賞、編集賞 1996ゴールデン・グローブ男優賞(クルーズ)、作品賞、助演男優賞(グッティングJr) 1996放送映画批評家協会助演男優賞(グッティングJr)、ブレイクスルー賞(ゼルウィガー)、子役賞(リプニッキ)、作品賞 1997ヨーロッパ映画賞インターナショナル作品賞 1997MTVムービー・アワード男優賞(クルーズ)、作品賞、ブレイクスルー演技賞(ゼルウィガー) 1997報知映画海外作品賞 |
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やり手のスポーツ・エージェントのジェリー(クルーズ)は、会社の一員として数多くの顧客を持って忙しく働いていた。だが選手の年棒をつり上げるだけのやり方に疑問を持つようになり、ついに会社に提言書を提出する。だがそれが元で馘にされてしまった。落ち込むジェリーだが、彼の理解者である会計係のドロシー(ゼルウィガー)と共に独立。既存の金勘定だけのエージェント・システムに風穴を開け、選手本位を謳った会社を立ち上げる。だが他の顧客はかつての会社の圧力で集まらない状態で、クライアントとして残ったのは落ち目になったアメリカン・フットボールの選手ロッド(グッティングJr)だけだった… クルーズは演技の質は狭いと言われるが、一方では振り幅の大きな役者で、基本はアクション主体のヒーロー映画に出演しつつも、演技派とされるような役を幾度も挑戦しているが、『マグノリア』をやるまでは、本当に演技派として認められる事はなかった(現在でも疑問視してる人が多いが)。そんなクルーズが真面目なスポーツ・エージェントに扮した作品。微妙なところでヒーロー性と真面目な演技が絡み合っているので、クルーズにとっては絶妙な役だっただろうとは思う。 設定も面白い。日本ではプロスポーツのマネージメント・システムはさほど盛んではないが、アメリカではスポーツ選手は高給取りなので、当然そのためにマネージメント・システムと、そのエージェントが必要となる。ところが本来スポーツ選手がスポーツに打ち込めるようにという意味合いで作られたはずのこのマネージメント・システムは容易に暴走してしまう。それを直視した内容はなかなか面白い。 ただ、物語的にどうか?と言われてしまうと、やっぱり私には微妙としか。 重い設定に対し、物語が浮つきすぎてるんじゃなかろうか?ビジネスライクではなく、恋愛や友情を入れたのは時代の要請だろうが、その分肝心なところがぼけてしまい、エージェントの意味合いがぼけてしまった。重くならないようにした演出が逆に物語の足を引っ張ってしまったような気がしてならない。 それでそのマネージメント・システムだが、現在は更に暴走中。ここ何年かを見ても、スポーツ選手の年俸は桁がどんどん上がっている。これは裏の事情に通じた敏腕エージェントがあの手この手で金を上げようとしている事が原因と見られている。本来スポーツ選手を守るためのシステムが今や選手を商品にしてしまっているのが現状である。それが頭にあったためか、物語に没頭出来なかった。 それに、この作品がこれだけ賞を受けてしまったというのは、ハリウッドの実力者はもはや監督でも俳優でもなく、エージェントではないか?と思うに連れ、気持ち悪くなってくる。 クルーズファンには自信を持ってお勧め出来る作品だが、私には設定が受け入れられない。 |