極北のナヌーク
Nanook of the North |
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カナダ、ケベック州北部のアンガヴァ半島。年間の多くを氷に閉ざされたこの地で定住地を持たずに旅し、交易を行うイヌク族のナヌークと妻のナイラと子ども達の生活を追う。
別邦題『極北の怪異』。監督のフラハティは現地の住民を助手とし、15ヶ月間という期間を用いて殆ど一人で完成させる。映画の最も初期に作られたドキュメンタリー作品なのだが、この時はまだ「ドキュメンタリー映画」という言葉が無く、本作もどこまでが本当で、どこまでが演出なのかが不明だし、無理に本物を作る必要性がない状態で作られた。だから正確な意味で本作はドキュメンタリーとは言えず、本物というお墨付きを与える事は出来ない。
しかし、映画の面白さという意味では、全く遜色ない。極限の地で、それでもそこで生きている人はちゃんと生活をしている。生きるには過酷であっても、そんな中だからこそ、家族の結束の強さと愛情を見せ付け、彼らなりの楽しみを見つけている。その自然と調和して生きる姿は一種の羨ましささえ感じられるのが特徴だ。
でもこの作品の一番の成果は、公開当時にこれを観た人の反応だっただろう。自分の知らない世界を垣間見ることができたことで、自らの生活の価値観を再確認したり、遠くの世界を夢見たりできる。素朴な人間関係に心からの憧れを抱く人もいるので、一種の清涼剤にもなる。
人々の目を世界に向かせることが出来たと言うことだけでも本作は新しい映画の作り方を提示できたし、映画の作り方にも大きな意味を与えてくれた。その意味で映画界に対する貢献度は大変大きい。
尚、ナヌーク一家は映画の完成直後に大吹雪が原因で全員死亡したそうで、それを知ってしまうと、なんとも寂しい気持ちになってくる。 |
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