<amazon> <楽天> |
|
|||||||||
|
||||||||||
|
2017 | ||
2016 | ムーンライト 監督・脚本 | |
2015 | ||
2014 | ||
2013 | ||
2012 | ||
2011 | ||
2010 | ||
2009 | ||
2008 | ||
2007 | ||
2006 | ||
2005 | ||
2004 | ||
2003 | ||
2002 | ||
2001 | ||
2000 | ||
1999 | ||
1998 | ||
1997 | ||
1996 | ||
1995 | ||
1994 | ||
1993 | ||
1992 | ||
1991 | ||
1990 | ||
1989 | ||
1988 | ||
1987 | ||
1986 | ||
1985 | ||
1984 | ||
1983 | ||
1982 | ||
1981 | ||
1980 | ||
1979 | 11'19 フロリダ州マイアミで誕生 |
ムーンライト Moonlight |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
2016米アカデミー作品賞、助演男優賞(アリ)、脚色賞、助演女優賞(ハリス)、監督賞、撮影賞、作曲賞、編集賞 2016英アカデミー作品賞、助演男優賞(アリ)、助演女優賞(ハリス)、脚本賞 2016LA批評家協会作品賞、監督賞、助演男優賞(アリ)、撮影賞 2016NY批評家協会監督賞、撮影賞、助演男優賞(アリ) 2016ゴールデン・グローブ作品賞、助演男優賞(アリ)、助演女優賞(ハリス)、監督賞、脚本賞、音楽賞 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|
|
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
“リトル”というあだ名を持ち、いじめられっ子の少年だったマイアミに住む少年シャロン。親友のケヴィンへの秘めた想いを心に秘めつつ、幼少時代、学生時代、青年時代を通して逞しく成長していくシャロンの姿を描く。 2016年オスカー作品賞を見事射止めた作品で、下馬評では『ラ・ラ・ランド』(2016)とどちらが?と言われていた(オスカー授賞式では何故か司会のウォーレン・ベイティに女優賞の紙が渡されてしまい、作品賞の言い間違いというハプニングも起こってしまった)。 それだけの評価を受けた理由は何かと観に行ってみた。しかし少なくとも私には、ぱっとしない作品に映った。 作品自体が悪いとは思ってない。いやむしろなかなかに画期的な作品だとも思ってる。 作品としては、内向的な性格で、自分の性的指向に悩む男の、少年期から青年期に至るまでの多感な時期の悩みを描くもの。それを中心とするが、貧しく複雑な家庭環境や、麻薬に関する付き合い方、いじめ問題も内包する盛りだくさんの内容を、けだるげな演出で作り上げたものとなる。リアリティに溢れた作りはとても好感が持てる。 何よりこれをアフリカ系の監督が、アフリカ系の役者ばかりを集めて作ったと言うことが最も画期的な部分とも言えよう。 アフリカ系のスタッフやキャストを集めて作られた作品は結構多いが、世界的に紹介されるメジャー作品のほとんどは二系統に分けられる。 一つはいわゆる過激なアクションを売りにするブラックスプロイテーションの系譜。ブラックスプロイテーション自体は当のアフリカ系の人々からの批判を食ってしまう結果となったが、その過激さは広くファンを持つ。 もう一つは民族の確執の方向性に行くもの。これは過去から多くの作品が登場しているし、アカデミーノミネート作品も多い。近年では2013年のオスカー作品『それでも夜は明ける』(2013)はその系譜に入るだろう。 概ねこの二系統で語られるばかりのアフリカ系映画だったが、そこに一石を投じたというのは画期的と言えるだろう。もっと早くこう言ったものが作られて然りだと思うが、やっと出てきたか!という感じとなった。特にアフリカ系による性的マイノリティを描くのは、他に記憶が無い。 主人公は内向的な性格であり、うつむいて台詞もほとんど喋らない。薬物中毒の母親の極端な愛憎を受けてる時も、愛を受けても憎しみを受けてもうつむくばかり。イジメに遭ってる時も何も言わずにじっと耐えるばかり。ほとんど喋らない主人公の表情の仲から、精神的な葛藤や決意のようなものを読み取らせようという微妙なセンスで展開する物語となる。物語を三段構えにして、それぞれの年代における思いを描くのもユニークな視点。 これまで作られてこなかったという強みがあり、それがオスカーを得た理由となるのかとは思う。 ただ、画期的とはいうものの、内容自体はさほど目新しいものではない。民族の壁を取っ払って考えるならば、せいぜいミニシアター系の小品で終わるような作品である。これまでこの手の作品は山ほど出ているし、この作品自体映画的な興奮もほとんど覚えないままに終わってしまった。なんか不完全燃焼で終わってしまったような気がして、観終わってとても感情的にモヤモヤしたものを感じてしまう。ここまでメジャーになるべき作品ではなかったというのが正直な感想だ。 こんな投げっぱなしでは啼く、すっきり終わらせて欲しかった。少なくとも物語性とか演出、ラストシーンの展開に至るまで『ラ・ラ・ランド』の方が上を行っていたとは思うし、よくこんな作品を発掘して、アカデミーまで持って行ったということの方に感心してしまう。 |
||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
|