クォ・ヴァディス
Quo Vadis |
1951米アカデミー作品賞、助演男優賞(ゲン、ユスティノフ)、撮影賞、劇・喜劇映画音楽賞、美術監督・装置賞、衣装デザイン賞
1951ゴールデン・グローブ助演男優賞(ユスティノフ)、撮影賞 |
|
サム・ジンバリスト(製)
ジョン・リー・メイヒン
S・N・バーマン
ソニア・レヴィン(脚) ピーター・ユスティノフ
ロバート・テイラー
デボラ・カー
レオ・ゲン
パトリシア・ラファン
エイドリアン・コリ
ソフィア・ローレン
ラルフ・トルーマン
エリザベス・テイラー |
|
★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
3 |
3 |
4 |
3 |
3 |
|
若きローマの将軍マーカス(ユスティノフ)がローマに帰還した時、リギア(テイラー)という美しい娘と出会う。急速に接近する二人だが、得体の知れぬキリスト教に拒否感を覚えるマーカスと、貞操観念が強いリギアはどうしても一線を越えることは出来なかった。折しも時の皇帝ネロによりキリスト教迫害が始まっていた…
ノーベル賞受賞者シェンキヴィチによる小説の映像化作品。『風と共に去りぬ』(1939)以来最高の製作費700万ドルを投入し、ローマのチネチッタ撮影所で撮影。チネチッタでは初のカラー作品となる。1952年全米興行成績2位。
私にとって、原作には並々ならぬ思い入れがある。
ちょっとだけ昔語りをさせていただきたい。本サイトには読書館があるが、実際私は一般と比べると随分な量の読書家ではある。そしてそのきっかけとなった本というのがあるのだが、短いスパンで4冊ほど(4シリーズと言っても良いか?)の、私にとっては重要な作品を読み込んだ。その一冊が本作だった。
正直、本を読んでこんなに感動したのは何年ぶりだろう。と思えたほどだったし、今も2代目が私の本棚の奥に鎮座している。
その感動を味わいたいという思いは今も続いており、今も本を捜し求め続けているのが今の状況。
そう言うこともあって、その映画作はとても観たいという思いもあるのはあったのだが、50年代ハリウッドであの長い作品を一本の映画にするとなると、出来は想像がつくので、あまり観たくないような気もそこはかと…
でも結局は食わず嫌いはいけないとビデオにて拝見してみたのだが…
少なくとも、私が最初に危惧したものは、見事に的中したようだ。
この原作は大変長いのだが、ストーリーフローは実に単純なラブロマンスものである。そして映画にするとなると、その物語を追うだけになるのだが、これでは原作の魅力を全く表現できないのだ。少なくとも、原作ファンの中に、これをラブロマンスとしてだけ解釈する人間ってどれだけいるんだ?
映画としてはそつなくまとめられているし、原作の印象的な物語はちゃんと入っている。だけど作品の持っていた、本質をことごとく無駄にしたとしか思えなかった。
そう作るしかなかったのかもしれないが、これでは原作の魅力をまるで活かしてない。
原作の本当にすごいところは、愛こそ全て!ではなく、赦すということの大切さではないのか?確かにそれは現実離れしたものなのかもしれないが、そう言う幻想だって重要だろう。映画ではその部分がとにかくおざなりにされてしまった感じ。
とても欲求不満に陥ってしまった感じだよ。
ただし、本作は完成までにかなり迷走を繰り返した作品でもある。一旦ジョン・ヒューストンが監督。グレゴリー・ペックとエリザベス・テイラーを主役として撮影が開始されるが中断。無駄になった製作費は200万ドルと言われる(オーディションにはヘップバーンも参加する)。 |
|