クレオパトラ
Cleopatra |
| 1963米アカデミー撮影賞、美術監督・装置賞、衣装デザイン賞、特殊視覚効果賞、作品賞、主演男優賞(ハリソン)、作曲賞、編集賞、録音賞 |
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ジョセフ・L・マンキウィッツ
シドニー・バックマン
ロナルド・マクドゥガル(脚) |
| エリザベス・テイラー |
| レックス・ハリソン |
| リチャード・バートン |
| ケネス・ヘイグ |
| パメラ・ブラウン |
| フランチェスカ・アニス |
| ジョン・カーニー |
| ジョン・ドーセット |
| ハーバート・バーゴフ |
| ヒューム・クローニン |
| マーティン・ランドー |
| ジョージ・コール |
| チェザーレ・ダノーヴァ |
| アンドリュー・キア |
| ロディ・マクドウォール |
| ロバート・スティーヴンス |
| グレゴワール・アスラン |
| マーティン・ベンソン |
| ジョン・ホイト |
| キャロル・オコナー |
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| ★★★☆ |
| 物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
| 3 |
3 |
5 |
3 |
3 |
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紀元前48年、ローマは混乱の極みにあった。シーザーとポンペイウスによる内戦は委任統治国のエジプトにも飛び火し、勝者であるシーザーはアレクサンドリアに足を踏み入れる。そこにいたのは王位を狙う骨肉の争いであり、その一方の当事者である美しき王女クレオパトラ(テイラー)だった。クレオパトラは巧妙にシーザーの援助を行い、首尾良く王位を奪い取り、更にシーザーをローマ皇帝にしようと画策するのだが…
壮大な歴史絵巻。
特にローマ史は私にとっても思い入れが深い。ローマ史を学ぶのは一種の趣味であり、そのお陰で学校の卒論もローマ史で書かせてもらった(尤もそれはこれから3世紀程後の話を書かせてもらったけど)し、歴史のみならず当時の風俗とかについて調べるのが趣味の一つ。ただ弊害として、この時代を扱った映画を観ると枝葉末節ばかりに目が行き、下手すると肝心なストーリーよりそちらばかり見てしまうようになってしまったと言う問題があったりするが…(この時代を扱った映画で風俗や設定まできちんと作られた傑作と言って良いのは『スパルタカス』(1960)とく『ベン・ハー』(1959)らいで、後は設定的に無理があったり、ローマの社会風俗を全く知らずに書いてるとしか思えないものばかり)。
いくつかのローマ史の本を読んでいると、面白いことにこの映画を引き合いに出す事が多い。有名な映画と言うこともあるが、その多くはかなり好意的に書かれているのが特徴だった。
それだけ本作はしっかりした歴史認識に立って作られている。私の目から見る限りでは、不整合は気にならない程度。他の同時代を扱った作品と較べると矛盾は可愛いもので、その点は実に見事な出来だ。。それだけ歴史認識はしっかり作ろうというコンセプトだったのだろう。
ローマ史において、この時代はまさしく歴史の転換期に当たる。カエサルというたった一人の英雄によってローマは強制的に変えられようとしていた。その英雄の名こそがカエサルだった。長い間共和制にあったローマを帝政へと変える足がかりを作り、自ら行程の道を歩みだそうとしたその矢先に殺されてしまう。彼の存在そのものがドラマであり、そして彼ほど後年の歴史家が愛した者はいない(彼に比肩するのは恐らくナポレオンとヒトラーくらいだろう)。ただ、我々の知ることの出来るカエサルの姿はシェイクスピアの「ジュリアス・シーザー」の歪んだ姿であるのが普通。
この作品は物語上ではなく、歴史上のカエサルの姿に近い。そう言う意味では非常にリアルであり、カエサルやアントニウス、オクタヴィアヌス(アウグストゥス)と言った歴史上の人物が上手く配されている。
ただ、それらをまとめる主人公役のテイラー演じるクレオパトラがどうだったか…たしかに貫禄あり、史実にもかなり忠実なんだけど、なんか二人の英雄を手玉に取るほどの魅力がないというか。これだけ魅力あるキャラクターを使っていながら、なんでこんなに退屈なのか。不思議と言えば不思議なものだ(ちなみに20世紀フォックス社長のスパイロス・クラークスはクレオパトラ役にジョーン・コリンズかマリリン・モンローを起用することを主張していた)。
とにかく人とセットをふんだんに用い、それを非常に派手に使ったのがハリウッド風(テイラーは65着もの衣装に着替え、衣装代だけで13万ドルかかっている。更にローマ入城シーンでは10万人のエキストラと30機の飛行機をチャーターした)。しかし、この映画は興行的には失敗し(一応それでも1963年の全米興行収入ではトップなんだが)、20世紀フォックスは多額の負債を得ることになる(ギネスブックによると、現在の貨幣基準に直すと、3億ドル(当時は4,400万ドルで配給収入は2,600万ドルに過ぎない)。しかも元々4時間半の上映時間があったそうだ。最終的に3時間4分にまで縮められたそうだが)。下手すれば倒産の憂き目に遭った可能性だってあったそうだ。結果的に20世紀フォックス社長クラークスは退き、後任にやり手プロデューサーでならしたダリル・F・ザナックが就任することとなった(実は並行して製作している大作『史上最大の作戦』のプロデューサーだったため、何としてもこの映画を作り上げるために社長になったとか…事実、『史上最大の作戦』の成功なければ20世紀フォックスは本当に倒産していたかも知れない)。
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