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年代 | ||
2021 | ||
2020 | ||
2019 | WAVES ウェイブス 監督・脚本 | |
2018 | ||
2017 | イット・カムズ・アット・ナイト 監督・脚本 | |
2016 | ||
2015 | クリシャ 監督・製作・脚本・出演 | |
2014 | ||
2013 | ||
2012 | ||
2011 | ||
2010 | ||
2009 | ||
2008 | ||
2007 | ||
2006 | ||
2005 | ||
2004 | ||
2003 | ||
2002 | ||
2001 | ||
2000 | ||
1999 | ||
1998 | ||
1997 | ||
1996 | ||
1995 | ||
1994 | ||
1993 | ||
1992 | ||
1991 | ||
1990 | ||
1989 | ||
1988 | 10'6 誕生 |
WAVES ウェイブス | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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フロリダで暮らすタイラーは成績優秀でレスリング部のスター選手、さらに美しい恋人もおり、充実した高校生活を送っていた。しかし試合後に肩に違和感を感じ、医者にかかったところ、一年間は治らない怪我を負っていることを言われ、レスリングを禁じられる。それでも大学の推薦をかけた試合に無理に出て惨敗を喫してしまう。しかも恋人に妊娠を告げられてしまう。今まで感じたことのない挫折感が繰り返し訪れる中、つい周囲の人たちに当たり散らしてしまい、皆から距離を置かれ始めてしまう。 コロナ禍の中、数少ない新作映画となった本作。当然視聴の候補には挙がっていたのだが、事前情報でかなり重い作品だと聞かされ、この閉塞感の中で重い作品は遠慮したいという思いから結局劇場スルー。最近こうやって名作を劇場で見逃してるのが多い気がする。 設定的には本作はかなり重いが、その重さも描写の上手さで軽快に(?)流れていくため、重いことは重いが、そこまで深刻に重さを感じることもない。 これは主人公が二人いたことによって、違った方面の重さを切り口を変えて演出した事によるものだろう。 最初のタイラー編は、見事な転落を描く話で、これは古くからある手法が用いられている。スターがあることを機会に転落するなんてのは、アメリカン・ドリームの裏返しなので、本当に多くの作品で用いられている。近年では『アリー スター誕生』(2018)がそうだし、実在のミュージシャンを主題にした『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)、『ロケットマン』(2019)など、ほぼ毎年このタイプの物語は作られ続けている。過ぎた思い上がりは簡単な挫折で一気に転落してしまうと言う教科書的な物語である。 そして通常このパターンであれば、前半で転落人生を扱い、後半で再生を描くことが多い。バランス的にもそれが普通だ。ところが本作はそれを用いず、ユニークな方法を用いた。 後半になると前半の主人公タイラーは殺人の罪で収監中で、主人公はタイラーの妹エミリーが引き継ぐ。再生を担うのは、家族の方になる。こちらは現在のネット社会ならではのユニークな物語となった。 現代では、犯罪者の家族というのは昔と較べて遥かに悲惨な状況に陥る。なんせ弱みがあるから“ネットで叩いて良い”存在となる。こうなってしまうと完全に標的である。一度叩いて良い存在になると、ネットではお祭り状態で、その標的となった家族は悲惨な状況に陥る。 そんな家族が主役となる。これで話は全く違った様相を呈する。 自分は何も悪くないのに家族のせいで世界から嫌われるならば、その人物は自分の殻に閉じこもるしかない。生きているのさえ辛いが、まだ若いので将来に期待して閉じこもり続けている。 そんなエミリーに、純粋な好意から手を差し伸べていく青年ルーク。彼が閉じこもったエミリーの心を溶かしていく過程となっていく。この過程がとても丁寧に描かれていく。前半のスピーディーさと較べて随分スローになっているのだが、ゆっくりゆっくりと心が解きほぐされていく。演出が全く違っているのだが、これを同じ監督が作ってるのが面白い。 だんだん悲惨になっていく前半と、最低から始まって癒やしへと入っていく後半。この対比が殊の外良く、観終えるとすっきりした気分となる。 この作品は映画慣れしている人にもちゃんとツボにはまるが、10代の人に観てもらいたい作品でもある。主人公二人はどちらも10代で、ほぼ等身大の思春期まっただ中にあるし、その感情を10代の人にこそ共有して欲しい。 |
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