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ジェフ・ワドロウ
Jeff Wadlow

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鑑賞本数 合計点 平均点
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wiki キネ旬 eiga.com wiki(E) みんシネ
書籍

_(書籍)

_(書籍)
2013 キック・アス ジャスティス・フォーエバー 監督・脚本
2012
2011
2010
2009
2008 ネバー・バックダウン 監督・脚本
2007 デス・サファリ サバンナの悪夢 脚本
2006
2005 クライ・ウルフ 殺人ゲーム 監督・脚本
2004
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2002
2001
2000
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1981
1980
1979
1978
1977
1976 3'2 誕生

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キック・アス ジャスティス・フォーエバー 2013

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マシュー・ヴォーン
アダム・ボーリング
タルキン・パック
デヴィッド・リード
マーク・ミラー
ジョン・S・ロミタ・Jr
スティーヴン・マークス
クローディア・ヴォーン
ピエール・ラグランジェ
トレヴァー・デューク・モレッツ(製)
ジェフ・ワドロウ(脚)
アーロン・テイラー=ジョンソン
クリストファー・ミンツ=プラッセ
クロエ・グレース・モレッツ
ジム・キャリー
モリス・チェスナット
クローディア・リー
クラーク・デューク
オーガスタス・プリュー
スティーヴン・マッキントッシュ
ロバート・エムズ
リンディ・ブース
ドナルド・フェイソン
オルガ・クルクリーナ
トム・ウー
アンディ・ナイマン
ダニエル・カルーヤ
ジョン・レグイザモ
ギャレット・M・ブラウン
リンジー・フォンセカ
ヤンシー・バトラー
ソフィー・ウー エリカ
ウェスリー・モーガン
ベネディクト・ウォン
チャック・リデル
イアン・グレン
★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
マーク・ミラー 、ジョン・S・ロミタ・Jr
特撮事典
 デイヴ(ジョンソン)とミンディ(モレッツ)がそれぞれキック・アスとヒット・ガールの活動を止めて3年が経った。普通の生活に飽き飽きしたデイヴは、再び自警活動を再開しようと、マーカス刑事(チェスナット)に引き取られたミンディに頼んでトレーニングを開始する。だが、それをマーカスに知られたミンディは、普通の女の子になることを誓わされてしまうのだった。諦めきれないデイヴは、スターズ・アンド・ストライプス大佐率いる自警団「ジャスティス・フォーエバー」に入会することにする。だが、そんなデイヴの活動を、キック・アスに父を殺されて恨むクリス(ミンツ=プラッセ)が逐一探っていた…
 スマッシュヒットを飛ばした『キック・アス』(2010)の続編。
 一作目は
いろんな意味で驚かされた作品だった。あの作品の面白さはいくつもあるが、私にとっては何より、私自身がテーマと考えている“ヒーロー論”に直結する内容で、大変刺激を受けた。
 そこでは、何の力も持たない覚悟だけしか持たない一般人がヒーローになれるのか?というところから始まって、ヒーローとは一体なにか?という根本的な部分まで考えさせられた
(その意味では同時期に作られた『スーパー!』(2010)込みだが)

 そして観終わった後にも一つ驚かされたことがある。
 映画に衝撃を受けたため、慌てて原作コミックを購入して読んでみたのだが、正直、原作の方は映画ほど面白くはなかったということ。この原作をよくここまでの作品に出来たもんだと、逆に驚いたくらい。
 原作の目的は、なんの力も持たない普通の少年がヒーローとして生きる事が出来るのか?という観点で固定されていた。それ故
キック・アスは常に痛々しくなければならなかった。キック・アスは格好良くあってはならなかったのだ。だが、それこそが正しいヒーロー論の形でもあった。
 それに対して映画版は付加要素を付け加えた。ヒーロー論を突き詰めた原作に、アクションという付加価値を付け加えたヴォーン監督の力量と、何よりヒット・ガール役のクロエ・モレッツとビッグ・ダディ役のニコラス・ケイジの存在が大きい。原作版では、単に自意識過剰なだけの痛々しいオタクの二人が、本物の戦闘ヒーローになっていたお陰で、演出の緊迫感がまるで違っていたのだ。

 原作には後日譚となる続編が書かれていたようだが、一作目を読んだ限りでは続けて読む必然性を感じなかったので、それは未読のまま本作に挑戦することとなった。
 で、素直な感想だが、原作は読んではいないものの、
非常に原作準拠の話の話と言える。一作目の原作の臭いがプンプンしてくる。つまり、キック・アスがとにかく格好悪いのだ。
 キック・アスことデイヴは正義の心を持った人物ではあるものの、その正義というのは自警団を超えるものではなく、更に自分一人で判断することができない。自分がやってることが本当に正しいかさえも分かってない。ちょっとだけ正義感が強いだけの普通の男である。だから自分を受け入れてくれる人がいたら、それにくっついていくし、自分を肯定してもらいたがっているだけ。だからこそミンディに自分を認めて欲しいと願ったし、スターズ・アンド・ストライプという胡散臭い人物に身を寄せることになる。その結果、セックスフレンドにも恵まれたものの、それも流されるまま。
 そして、その浮ついた性格が危機を呼び、最終的に自分の父の死という手痛いしっぺ返しを食うことになる。
 …という事で、前作に比べてますますイタいキャラとして設定された主人公。一作目であれだけのことをやった上でこれだけの勘違いキャラが出されてしまった。
 正直、この時点で
本作は失敗とも言える。肝心な物語が悪すぎるのだ。

 だが、そんな情けない主人公と、どうしようもない物語の中で、本作にはこれ以上ない売りも又存在する。
 他でもない。ヒット・ガール役のクロエ・グレース・モレッツの事。今回は主人公なんぞいい加減でも構わず、ただ彼女を撮影することだけに特化した作品と言っても良いくらい。
 なんというか、揺れ動く思春期の危うい美しさと言うべきだろうか。全編を通して不安定な感情をもてあます姿はまさにアドゥレセンス。今のクロエだからこそ出来る最高の演技が出来た。それだけで本作はもう充分と言えよう。色々悩むものの、最後には完全に吹っ切れてやりたい放題やる爽快さにも、彼女の描き方の正しさが表れている。
 キック・アスもヒット・ガールも本作では不安定なのだが、それをキック・アスは痛々しさに、ヒット・ガールは美しさへ。それを対比して見せたのが本作の最大の利点であろう。
 正直、このクロエを観るだけでも本作を観る価値がある。それだけで楽しめることは請け合おう。

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