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テリー・ジョージ
Terry George

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1953
1952 12'20 ベルファストで誕生

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タイトル
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物語 人物 演出 設定 思い入れ

 

ホテル・ルワンダ 2004
2004米アカデミー主演男優賞(チードル)、助演女優賞(オコネドー)、脚本賞
2004ゴールデン・グローブ作品賞、男優賞(チードル)、歌曲賞
2004放送映画批評家協会作品賞、主演男優賞(チードル)
2005英アカデミーオリジナル脚本賞
2005
ヨーロッパ映画音楽賞
2004ロジャー・エバートベスト第9位
2004米俳優組合主演男優賞(チードル)、助演女優賞(オコネドー)、アンサンブル演技賞
<A> <楽>
  
★★★★☆
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 1994年ルワンダ首都キガリ。この年は、これまでかつての支配民族だった少数民族であるツチ族と宥和政策をとっていたフツ族のハビャリマナ大統領が飛行機墜落事件で死んだことによって、民族紛争が再燃した。特にキガリはフツ・パワーを名乗る過激派民兵によってツチ族の虐殺が行われようとしていた。高級ホテル“ミル・コリン”の支配人のポール=ルセサバギナ(チードル)はツチ族の妻ルチアナ(オコネドー)を持つフツ族の人間だった。ついに虐殺が開始された時、ポールは家族とツチ族の住民をホテルに避難させる。外国資本で外国人客が大勢いるのミル・コリンはフツ族の民兵たちもうかつには手を出せなかった。そのため、命からがら逃げ延びてきた人々が続々と集まってくるのだが…
 ルワンダで1994年に実際に起こった民族紛争による80万人以上の虐殺事件の出来事を「アフリカ版シンドラー」と言われ、話術と知力を用いて1200人もの命を救ったという実在のホテルマン、ポール=ルセサバギナの手記を元にハリウッドが作り上げた作品で、公開時は大きな話題になったという。ただし、日本ではアフリカものは売れないと見られたか長らく公開未定となっていた。現在観られるのは有志による熱心な署名活動が実を結び晴れてのこと。その努力に拍手を送りたい。
 先ずこの作品は
“最高の作品”とだけは注意書きをしてから書かせていただこう。
 1994年と言えば、私の今までの人生の中で一番ヒマな時期に当たる
(当時ネット環境もなかったし)。丁度そんな時期に世界各国で民族紛争が起こっており、国際ニュースは何かと面白かったため、テレビや新聞を駆使して国際紛争を調べてみていた(『ブラックホーク・ダウン』(2001)の舞台となったソマリア内戦も同系列)。お陰でその時期にずいぶんと色々と勉強させてもらったものだが(大半は忘れたが)、ルワンダの内戦もその一つ。毎日ニュースで上がってくるのは“何万人”規模の虐殺についてだった。凄いニュースだと思っていたが、その後で新聞で時折取り上げられるのは“フツ族難民”という言葉が多かった。あれ?虐殺にあったのはツチ族では?どうも事態は単純ではなさそうだ…その後忙しくなったし、ニュースさえ流れてこないので、今になって調べてみたが、その辺の記述が書かれているものがみつからない。おそらくツチ族による激しい反撃があったものと思われるのだが…
 ただ、歴史ものの作品を観る場合は
視点を固定化してしまうと危険だと言うことだけ。特に本作は、あくまで一個人の視点に立ってのみ描いているため、歴史的事実という俯瞰の目で見た作品ではないと言うことだ。
 本作は事実を元に描いてはいるが、ここでは政治を一切描いていない。ただ、本作が政治的な観点を考えなかったのか?と言えば、それは違う。本作は歴史の真実としてではなく、一人の男のドラマとして作られた作品だからである。これはルワンダという場所が舞台であっても、
実際には世界のどこでも起こりえる物語なのだから。それこそ日本で同じ事が起こらないとは誰も断言出来ないのだ(確かに現代では起こりえないとしても何十年かのスパンを考えてみれば、何が起こっても不思議はないのだ。過去を見ても関東大震災の際にも小規模ながら似たことは起こっている)
 それで一人の人間のドラマとして本作を考えるのならば、本作の完成度は極めて高い。
 主人公のポールは割と楽天的で、享楽的な考えの持ち主だが、ホテルの支配人になるくらいだから、公平で駆け引き上手な人間。自分がアフリカ人であるから支配人にはなれてもホテルのオーナーにはなれないことをよく知っていて、そこまでの高望みはしてはならない。そして充分にユーモアを理解するという立場を明確にしている事を最初に示し、その中でツチ族の妻と家族を守るために、自分の武器を最大限に使わせている。
 極限状態に陥った時、最も大切なのは何か。それが命であり、一旦人の命を背に負ってしまえば、後はそれを続ける責任をとり続けるしかない。
 彼自身にはコネがあるから、それを最大限に活かし、初期段階で自分自身と家族だけを国外脱出させることも出来たかもしれない。場合によっては「私はフツ族だ」と主張し、自分だけ逃げることだったら難しくはなかった。しかし、一旦他の命の責任を負ってしまった以上、自分の出来る限り、命を守らねばならない立場と言うことをもよく知っているのである。
 他人の命に対し、ここまでの責任を負うことが、人を束ねる立場にいる人間の義務であり、そして彼はその責任を充分に果たした。
 ポールには腕力があるわけでも、銃を撃つわけでもない。ただ彼が出来るのは交渉の能力だけであり、メディアの使い方だった。時としてそれは直接の訴えとして、時としてそれは駆け引きの材料として、最大限に活かして現状の危機を逃れようとするその姿勢の格好良さに痺れる。
 そりゃ勿論そんな義務なんて放り出して逃げ出したかっただろう。最大限でも家族を守るのが手一杯の状態で、
1000人を超える人間の命なんて放っておきたい!と言う思いにとらわれて当然。しかし、ここしか頼ることが出来ないという人びとを断るには、あまりにも彼はホテルマンでありすぎた。これが責任感というものだ。
 それに、この描写はどうだ。一歩ホテルの外に出れば、そこには死屍累々。かつて人間であったものがまるでもののようにごろごろと転がっているシーン。鉈で子供を殺していくシーンまでもあり。更に欧米人から受ける屈辱的な差別意識がここぞとばかり出てくるのは、観ていてかなりきつい。
そのきつさがあるからこそ、本作は間違いなく良作といえるに足る作品に仕上がっているのだ。
  改めて言うが、本作は歴史的な検証として観るのではなく、今も世界で起こっている事であり、平和を当たり前と思っている日本でも起こる可能性があることとして考えるべき作品なのだ。そして平和であることの素晴らしさと言うことを語るべき作品とも言えよう。

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