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ジョナサン・グレイザー
Jonathan Glazer

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Jonathan Glazer
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2023 関心領域 監督・脚本
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2023米アカデミー国際長編映画賞、音響賞、作品賞、監督賞、脚色賞
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デヴィッド・キンバンギ(製)
ジョナサン・グレイザー(脚)
クリスティアン・フリーデル
ザンドラ・ヒュラー
ラルフ・ハーフォース
★★★★
物語 人物 演出 設定 思い入れ
 ポーランドのアウシュビッツ。ここにはナチスによって設置されたユダヤ人強制収容所があり、その周囲には収容所に働く職員の家があった。その中でも一等地にある正門前には収容所所長のルドルフ・ヘス(フリーデル)の一家が住んでいた。高級士官の家族同士仲良く交流し、川遊びをし、夫のルドルフは仕事の効率化のために日中は忙しく働き、夜には帰って家族と食事を取る。家族の子ども達は学校に行き、妻は他の士官達の妻達との会話に余念がなかった。そんな日常の中、静かに時が過ぎていく。

 2023年のアカデミー賞はほぼ『オッペンハイマー』(2023)に席巻された感があるが、他にも結構目を見張る作品があって、特に『オッペンハイマー』と同じ年代を舞台にした本作はその筆頭にあげられるだろう。
 それだけに大変興味深い作品で、実際本作もアカデミー作品賞にはノミネートはされている。ただ本作がオスカーを取るのは無理な作品だった。
 理由は簡単で、本作はワンアイディアの変則的な作品であり、小品にしかならない特殊な作りをしているから。私も本作が極端なメジャーになるべきではないと思う。
 そのワンアイディアというのは、非常に単純なことで、本来悲惨な歴史であるはずのユダヤ人強制収容所を舞台にしていながら、どこにでもある普通のファミリードラマに仕上げてしまったということに他ならない。本来この手の作品の作り方は、強制収容所の悲惨さを表に出して、ドイツ人がどれだけ非情なのかを観て分かるように作るのが普通である。
 それを普通のファミリードラマにしてしまうと言うのはアイディアとしては最高だが、非常識すぎて評価しにくい。変則的な小品という評価で十分だと思うし、その立場でこそ本作は最も輝く。その位置にある限りは本作は最高の作品と言っても良い。

 本作は形の上では明らかにホロコーストを非難する、反戦映画になっているのだが、中でやってることは本当に単なるファミリードラマで、しかもほとんど起伏もない
 夫であるルドルフも妻も基本的には家族第一主義で、家族の平和を守るために仕事をしていたり、家事をしていたりする。立場上彼らは上流階級に属するが、それを鼻に掛けることもないし、むしろ同僚の家族と和を保つように努力している。実にきちんとした家族の様子がメインである。
 だから作品そのものはほぼ起伏のない、対して面白くもないファミリードラマとなる。しかし、耳を澄ましてみると、この普通の家族の物語の横にある壁の向こう側の音が聞こえてくる。それは時に銃声であったり、小さな叫び声であったり。何よりほぼずっと聞こえてくる焼却炉の音が不穏な雰囲気を醸すため、ずっと緊張感が続く。
 それに会話の端々に収容所の話題が出てくることもあるし、暗喩もいくつかあるため、「今の会話は何を意味しているのか?」と考えると、色々と深読みも出来てしまう。特にルドルフの義母が泊まりに来た際、精神的に耐えられなくなって早々に帰ってしまうシーンは印象的。普通の感性を持っていたら、死が隣にある環境に耐えられないモノだが、人間の精神はそれを無視することも出来るという事実をよく表していた。
 結果として、ずっと緊張しながら、頭の中で色々考えながら画面を見続けることになる。とても頭を使う作品だった。
 こう言う頭を使う作品は、つい先頃『オッペンハイマー』で経験しているが、時間にしてもバランスにしても本作の方がぴったりしている。作品の流れがゆっくりしてる分、ゆっくり考えられるのは良かった。
製作年 2023
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