家族を想うとき
Sorry We Missed You |
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レベッカ・オブライエン
パスカル・コシュトゥー
グレゴワール・ソルラ
ヴァンサン・マラヴァル(製)
ポール・ラヴァーティ(脚)
クリス・ヒッチェン
デビー・ハニーウッド
リス・ストーン
ケイティ・プロクター
ロス・ブリュースター |
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★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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ニューカッスルに住む建築労働者のリッキー(ヒッチェン)は、一大決心をして妻のアビーの車も売ってトラックを購入して配達事業を始めることにした。しかし実質それは親会社の下請けで、全ての荷物は親会社が指定するもので、ほとんど休みもなく働かされる上に保証もないという契約を結ばされてしまう。泣く泣くその契約を結ぶのだが、どれだけ働いても全く給与は好転せず、更に思春期を迎えた息子は悪い友だちと付き合い始めていた。
イギリスの市民の目線で、ありふれた庶民のドラマで定評あるローチ監督が2010年代の終わりで選んだのは、今の時代の大手通販事業で働く市民の姿だった。まさにそれは最先端の話題だ。
21世紀になって一気に拡大したビジネスはネット通販で、そのロジスティックとして宅配が一気に拡大した。ビジネスとしては魅力的なジャンルだったが、その実体はどうなのかというと、中間搾取が激しい業界だとは聞いていた。
流通業界にはちょっとした思い出がある。大学時代は宅配業者でアルバイトしていたこともあるが、バイト仲間でその運輸業界に入社した先輩がいた。聞くところではその当時得ていた給料は羨ましい限りのレベルだった。体壊すことを厭わずに本気で働けばお前の倍以上は金稼げると言われたこともあったが、10年も経つとだいぶ変化していた。忙しさは変わらないが、どんどん薄利になっていたと言うのだ。以降はその人物も出世したので、私の知り限りではあんまり細かいところは分からないのだが、どうやらこれを観る限り、世界的な状況はますます悪くなっていることがうかがえる。
世界的に見て、現在の宅配業の何が悪いかがこの作品の中にはっきり現れている。
まず宅配業はこれまでのように大きな会社が従業員を雇って、自社の社員に給料を上げている訳では無い。個人の会社に宅配を委託して業務を行っている。元会社にとってこれは大きなメリットがある。自社の社員であれば保険を掛けねばならないが、相手が他の会社なので、そこで働く社員に保険を適用する必要が無い。しかももし事故が起こった場合、責任を相手に取らせることが出来るため、自社の懐が痛まないどころか損失分の金額を要求も出来る。更に出来高払いのため、残業手当もいらない。元会社には大変有利な状況が出来上がる。
そして個人事業主は、会社の社長となるのだが、社長に労働基準法は適用されない。過重労働であっても、どれだけの時間働いても罪に問われない。更に契約に縛られるため、時間通り荷物を送り届ける義務が生じる。これはつまり自分が荷物を運べない場合、自分の責任で誰かに下請けに出さねばならなくなる。
ここから分かるとおり、個人事業主はとにかく立場が悪い。日本では“社畜”などという言葉があるが、そんなレベルではない。逆に社長の方がきつい。
そして案の定リッキーはどんどん追い詰められることになる。
この辺は観ていて本当に辛い。
リッキーは多少自分勝手なところもあるが、それでも家族を楽にしてあげたいという思いでこの仕事を始めたはずである。しかし実際に仕事を始めてみると、今までよりずっと忙しくなって、しかも薄利。ギリギリで働いているために家族に何かトラブルが起こってもそれに対応出来ないようになる。家族のために始めたはずなのに、家族に負担ばかりを掛けてしまう。
これによって起こるのは、まずリッキー自身の心から余裕が消える。自分の思い通りにならないことを前にすると、自分より弱い者に当たり散らすようになり、周囲が敵だらけに見えてくる。特にそれは家族へと向かっていく。
リッキーは妻や子どもに対して自分を支えてくれないものと思うようになり、精神的に追い詰められていくのだが、それ以上に家族が追い込まれていく。家族一人の不調は一人で終わらない。精神的な痛みは連鎖していく。
主人公の精神的危機が家族の危機になっていく。この辺がとてもリアリティ高いし、それでこれを解消する術がないというのがなんとも暗澹たる気分にさせられてしまう。
これは人ごとではない。日本も同じ状況なのだから。いやむしろ日本の方が悪い。流通業界だけでなく、「派遣」というとんでもないシステムがあるわけだし。背中が寒く感じる。 |
製作年 |
2019 |
製作会社 |
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ジャンル |
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売り上げ |
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原作 |
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歴史地域 |
ニューカッスル・アポン・タイン |
関連 |
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