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年代 | ||
2020 | ウルフウォーカー 監督・製作 | |
2019 | ||
2018 | ||
2017 | ブレッドウィナー 製作 | |
2016 | ||
2015 | ||
2014 | ソング・オブ・ザ・シー 海のうた 監督・原案 | |
2013 | ||
2012 | ||
2011 | ||
2010 | ||
2009 | ブレンダンとケルズの秘密 監督・原案 | |
2008 | ||
2007 | ||
2006 | ||
2005 | ||
2004 | ||
2003 | ||
2002 | ||
2001 | ||
2000 | ||
1999 | ||
1998 | ||
1997 | ||
1996 | ||
1995 | ||
1994 | ||
1993 | ||
1992 | ||
1991 | ||
1990 | ||
1989 | ||
1988 | ||
1987 | ||
1986 | ||
1985 | ||
1984 | ||
1983 | ||
1982 | ||
1981 | ||
1980 | ||
1979 | ||
1978 | ||
1977 | 1'7 北アイルランドニューリーで誕生 |
ウルフウォーカー Wolfwalkers |
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2020米アカデミー長編アニメ賞 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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17世紀アイルランドの町キルケニーでは狼の脅威にさらされていた。イギリスから派遣された護国卿は狼退治のためにハンターを呼び寄せたが、その娘ロビンはキルケニーの町に閉じ込められることを嫌い、父の後を追って森に出てしまう。そこでロビンが会ったのは、人間と狼が一つの体に共存するウルフウォーカーの少女メーヴだった。彼女と仲良くなったロビンだが、彼女こそが父の狙う狼であることを知ってしまう。 一貫してアイルランドの昔話にモティーフを取った作品を作り続ける監督による三作目のアニメーション作品。 本作を単純に観るならば、「自然の保護」と「人間の居住権の拡大」のぶつかり合いで、その狭間で悩む主人公が結論を出す話となる。いわば『もののけ姫』(1997)のテーマ性を掘り下げた作品と言えるだろう。アイルランドはドルイド信仰の深い場所なので、結論は明らかで、もののけ姫が保留した結論を軽々と飛び越えてしまってる。 これを分かりやすい自然賛歌と観ることは間違ってない。この些か単純な結論を判じてもののけ姫を超えたと言ってもかまいはしない。実際そういう側面もあるのだから。 だが、私が本作に本当に惹かれたのはそこではない。本作の奥深い設定と、描写、そしてある種の性癖で思い切り惹かれたからだ。 今回は17世紀。しかも1650年という細かい年が設定されている。これは1949年というのがアイルランドにとって大変な年だったからである。この年、イングランドで起こった清教徒革命の一環としてクロムウェルのアイルランド侵攻が起こり、イングランドの属国にされてしまった。 本作はその翌年。つまりイングランドによる征服が行われており、イギリスから領主として派遣された護国卿がそれぞれの城塞都市を治めるようになっていく。当然征服者なのだから、アイルランドの国民にとってはイギリス人は憎むべき存在となる。当然護国卿に従ってこの都市にやってきたイギリス人は目の敵にされてしまう。そのような状況下での話というのを念頭に置かねばならない。 1650年という限定された年だからこそ成立したこの設定。こう言う歴史に裏打ちされた創作物って大好きだ。 そしてこれは人が精神的に自由になることもテーマにしている。 アイルランドの町キルケニーの中で数少ないイギリス人であるロビンは大変辛い立場に置かれている。なんせ昨年まで敵として戦ってきた民族なのだ。少数のイギリス人が支配者階級としてのさばっているなら、当然市民はイギリス人に対して激しい敵意を抱いているはずである。そんな中で生活をしなければならないのだ。ハンターの父は城塞外で活動するから良いとして、ロビン自身は家に閉じこもるか、あるいは護国卿の下で働くか以外の選択肢がない。 そんな抑圧を受けている状態だからこそ、ロビンは自由を目指す。今の彼女にとってその自由は自慢の狩りの腕を見せてハンターの父の手伝いをすることだったが、彼女の身を案じる父からそれだけは禁じられてしまう。 父は娘を愛するからこそ、その身の安全を願うのだが、それは身を生かしても心を殺すことだった。 そんな彼女がウルフウォーカーの少女メイヴと出会う。これは彼女の人生を大きく変えることになった。 物語的に言えば、ウルフウォーカーの力が彼女に宿り、もう人間として生きていく事が出来なくなるという事だが、テーマ的に見るならば、むしろこれは抑圧され続けるしかなかった彼女の人生が一気に解放されるという、女性の生き方の問題へと話は転換する。いや女性に限ったものではない。自ら枷を作って不自由な生き方をしている人間に対して、その枷を解いた自由について描くのだ。彼女は人外のものになることで、初めて自由を手に入れた。 映画というのはそう言った自由を求める心を大切にしているもので、これはまさに映画!と言った感じだ。ストレートだからこそ作品全体のテーマは普遍的で大きい。こう言うすっきりした自由こそ大切!と言える作品を見せられて、なんか映画の原点を見せられたようでとても心地良い。 もう一つ言うなら、ウルフウォーカーという存在そのものについて。ウルフウォーカーとは狼人間のことだが、これは映画的な主題はとても多い。ただ最近は吸血鬼の添え物にされてしまってる感じが強くなってしまい、ちょっと寂しい感じがあったが、狼人間単独でちゃんと映画が作れてるのは良いし、それに個人的にも犬を飼っている身で、犬の描写があるとなんか嬉しい気になる。 自分の意思とは別にウルフウォーカーにされてしまったロビンが自らを受け入れる過程が良い具合だ。 描写も上手い。日本のアニメに目が慣れていると、一見癖のある絵柄だが、まるで絵画がそのまま動いているかのようで民族性がとても出ていて、慣れると大変心地よい空間となる。 そして本作を特徴付けるものとして、嗅覚を視覚に変換する描写が多いことが挙げられるだろう。狼の主観視点がこんな感じだと考えているのだろうが、人間とは明らかに違った視点は大変魅力的。まるで稲妻が走るかのように嗅覚が研ぎ澄まされる描写は本作特有で、他の作品にはない魅力を醸し出してる。 全体的に褒める部分しかない作品なので、幅広い世代の人に見て欲しい作品だ。 |
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ソング・オブ・ザ・シー 海のうた Song of the Sea |
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2014米アカデミー長編アニメ賞 2014セザールアニメーション賞 2015ヨーロッパ映画賞 |
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ブレンダンとケルズの秘密 The Secret of Kells |
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