| やわらかい生活 |
2006日本映画プロフェッショナル大賞主演男優賞(豊川悦司)、特別賞、ベスト第3位
2006ヨコハマ映画祭第8位 |
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| 荒井晴彦(脚) |
| 寺島しのぶ |
| 豊川悦司 |
| 松岡俊介 |
| 田口トモロヲ |
| 妻夫木聡 |
| 大森南朋 |
| 柄本明 |
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| ★★★ |
| 物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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一流大学卒業後、一流企業に入り、バリバリのキャリアウーマンだった優子(寺島しのぶ)。しかし、両親と親友の突然の死がきっかけでうつ状態へ落ち込む。仕事も、男も失った彼女。そんな時、出会い系サイトで知り合った建築家(田口トモロヲ)やうつ病のやくざ(妻夫木聡)、元同級生でEDの議員、本間(松岡俊介)。そして素寒貧で能天気ないとこの祥一(豊川悦司)が優子の周りに集まってくる。入れ替わり立ち替わり現れる彼らとの関わりの中で、少しずつ優子の心情にも変化が訪れる。
絲山秋子の「イッツ・オンリー・トーク」の映画化。鬱病の中年女性を中心に集まってきた男達とのゆるやかな生活を描いた作品。
この作品は年代が特定されていないが、おそらくは90年代初頭か半ば。バブルが去った時代の物語かと思われる。この時代は色々な意味で時代の転換点にあるが、特に人間の精神への理解という意味では大きな進歩を遂げた時代でもある(それが良い意味であれ悪い意味であれ)。
本作は話そのものは実はかなり退屈だし、物語性も低いのだが、そう言う精神的な病が少しずつ理解されていく過程の物語として見ることは出来る。
それが表面化しているかどうかの差だけで、誰もが精神的な痛みを持つと言われている。ただ、世界の大半の人は表面化するほどきつくはなく、それとつき合う術を知っているし、もし表面化することがあっても、時が経過するにつれ、落ち着くことの方が多い。
しかし、時としてこう言った精神的な混乱が修正できない人というのも確かにいる。いくら自分で押さえようとしても、無理な人も。これは純粋な意味で病気と言ってしまって良い。
かつてこういうのは病気とは見られず、「根性がない」とか「甘えだ」とか言われていた。「健全な魂は健全な肉体に宿る」は日本においても大変愛された言葉でもあるから。
本作は、ようやくそれを「病気」として見られるようになってきた頃の物語で、病を患う人と周囲の交流が綴られていく。当然それを認識してない人との間には温度差があるし、逆にいきすぎた思いやりが当人を傷つけていくこともある。そう言ったことも含めてできるだけリアルに描かれていくことになる。特に家族や親類とかは、こう言う時、思い遣りのあると自分では思っている言葉で平気で人を傷つけることがある。距離感のある近しい関係が一番癒される事がだんだんと分かってくる、その過程として捉えられるだろう。
その意味ではやや変則的だが、「愛と死の記録」の現代版であり、自分にも起こり得る、リアリティを持った話として観るべきなのかもしれない。
話に起伏があまりないため、少々退屈な感はあるが、等身大の大人の女性をしっかり描いた作品として評価されるべきであろう。自分の中にも確かにこう言う面があるのは見たくない部分であるのもあったりするが。 |
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