平安の乱世の中、源頼光には名高い四天王を従えていたが、その中に一人怪童丸だけはなんと女性であった。複雑な出生の秘密を持つ彼女は、源頼光に対する愛情を封じ込め、彼の配下として戦っていたが、彼女の過去は彼女を逃すことはなく、ミヤコを脅かす脅威として襲いかかってくるのだった…
本作は常にチャレンジャー精神を失わないProductionI.G.による一種挑戦的な作品で、題材を未来に取らずに過去に、しかもフルCGアニメでありながら、柔らかい質感表現を目指して作られた。
アニメーションもディジタルの導入によって様々な表現が出来るようになった。ディジタルの良さは、一旦エンジンを作ってしまえば、その後の作品の中でその技術が使えると言う強味があり(端的に言えば同じProductionI.G.の作ったGHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995)で使用された技術はその後のI.G.アニメで徹底的に流用されている事実がある)、そう言う意味で考えるのならば、現在の技術を総動員して、更にその上を目指すことによって、新しい表現を作り出すことが出来るようになる。そう言う意味では本作は次のステップアップのために作られたという位置づけでもあろう。同様な位置づけとしてBROOD THE LAST VAMPIRE(2000)というのもある。
本作は、セルアニメでは出来なかった、まるで水彩画のような描写を確立するには必要なステップだったのであり、それも又、これからのI.G.作品の中で使われていくことになる。
まあ、それで表現の方に重点を置きすぎたためか、物語の方は今ひとつ。と言う感じ。設定がありがちな上にストーリーは既成のものをなぞっていくだけだし、言葉も少ないので、少々退屈。肝心のアクション部分は力が入っていたけど、それも「まあ、こんなもんか」で終わる。アクションというのはやはり単体ではなく、先に物語ありきで、そちらの方がおざなりになってる分、はまれると言うほどではなし。
画面は綺麗だし、色々な技術革新が見られるので、アニメーションの勉強をしたいとか言う人にはお勧めできる。
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