読書日誌
2023’4〜6月

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Book

23'06'26 はじめの一歩132
森川ジョージ (検索) <amazon> <楽天>
 S・ミドル級チャンピオンのキースと鷹村の対戦は、実力的には伯仲しているものの、キースの幸運によって鷹村のパンチは空を切る。徐々に追い詰められる鷹村が取った策とは。

 勝負の行方が決まっているものを、いかにドラマチックに描くかに苦労しているのが分かる。相手がラッキーすぎる場合にどう対処するかという話。描写は丁寧なものの、内容はこんなものか。
<A> <楽>
23'06'23 アザトース
H・P・ラヴクラフト (検索) <amazon> <楽天>
 魔道士の“わたし”が挑戦した異世界の扉を開く儀式の結果、ついに深淵にたどり着くことが出来た。しかしそこにいたのは、思いもしないものだった。

 小説と言うよりはこれから描く作品の冒頭部分みたいな記述だった。実際その通りなのだろうが、後にダーレスによってまとめられたアザトースという名前は元ラヴクラフト自身によって創造されたことが分かった。
<A> <楽>
23'06'20 パタリロ!34
魔夜峰央 (検索) <amazon> <楽天>
 思いつきでテレパシーを受信できる機械を発明したパタリロが、早速その機械を頭に付けたところ、何者かに呼びかけられ、いきなり見知らぬ場所へと飛ばされてしまった。戸惑うパタリロを前に、超能力を使える少年だけがここに来られると説明を受ける。

 超能力少年を相手取った中編が一編と、いつもどおりのマリネラの日常を描く一編、ロンドンでヒューイットの手伝いをさせられる短編一編からなる作品。中編の方は、明らかにセオドア・スタージョンの「人間以上」だろう。ただ、ここまでに何人もの超能力者が出ているのに、超能力が使えるのは少年だけって設定は矛盾が生じてる。
<A> <楽>
23'06'16 ソードアート・オンライン オルタナティブ ガンゲイル・オンライン6 ワン・サマー・デイ
時雨沢恵一 (検索) <amazon> <楽天>
 第3回SJ(スクワッド・ジャム)からヒトツ鬼が経過した。北海道に帰省中の蓮に対するメールで、GGO運営からテストプレイヤーに選ばれたと連絡が入る。あまり気乗りはしないが宿敵SHINCとの対決が出来るかも知れないと参加を決めた。今回のミッションはNPC(ノン・プレイヤー・キャラクター)が守る城の拠点攻略で、ミッションに集まったのは前回SJの決勝に残ったチームばかりだが、理不尽に強いNPCに攻略の糸口さえ見つからなかった。

 初めてSJから離れた話となったが、兵士のリハビリのためにフルダイブシミュレーションを使うというのはありえることで、これはこの後の展開に関わってくるっぽい。
<A> <楽>
23'06'12 僕のヒーローアカデミア12
堀越耕平 (検索) <amazon> <楽天>
 全国的なヒーロー仮免試験が行われる事となり、雄英は1年生全員が参加することとなった。全国の高校から集まった様々な個性を持つヒーローの卵の中で、全員合格を目標に挑む面々。しかし有名校である雄英は毎年真っ先に狙われる立場にあった。

 前巻が重かったが、今巻はかなり軽く、命のやりとりとかはない視研の話になってる。様々な個性が表れ協議する光景はなかなか豪華で見応えあり。元々こう言う作品を読むつもりでいたんだけどね。
<A> <楽>
23'06'09 転生したらスライムだった件8
伏瀬 (検索) <amazon> <楽天>
 聖教会との和解を果たしたテンペストは、リムルの魔王就任宣言と正式な国家樹立を宣言するべく大々的なお披露目式を行うことになった。これを機にテンペストを観光地として売り出そうとしたリムルによって新しい目玉企画が考えられた。国を挙げて娯楽施設作りのために努力する国民達。

 最初に戻ったかのように国造りの楽しさを描く話となった。読んでいて楽しいのだが、話自体は全く進んでいないという問題はある。
<A> <楽>
23'06'05 うちの会社の小さい先輩の話6
斎創 (検索) <amazon> <楽天>
 先輩の妹である片瀬文が、姉に彼氏が出来たと察し、それが誰か探りを入れ始める。偶然から双子の弟章が篠崎と知り合いである事が分かり、そこから彼氏をたぐろうとする。一方篠崎の幼なじみの早川は、妙に主任を意識し始めて…

 二つの恋物語が展開中だが、どちらもなかなか進展しないまま。このまま続いてくれても構わないのだが、そういう訳にもいくまい。むしろ展開を早めた方が良いかも。尚、七月からアニメが始まる模様。
<A> <楽>
23'06'02 戦闘妖精雪風4 アグレッサーズ
神林長平 (検索) <amazon> <楽天>
 雪風と共に一度地球へと戻り、地球が何も変わりがないことを確認した深井澪はフェアリーに帰還するが、何故か基地は無人と成り果てていた幻覚を見せられる。ジャムが人類に対して何を期待し、更に何をしようとしているのか。そのことを知るため、澪と雪風は仮想的であるアグレッサーとして他の機体の訓練を行う事となる。

 前巻ラストで明かされたが、人類とジャムの戦いは大分観念的なものになっている。ジャムを理解するために自らがジャムとして振る舞うことで、何が分かるのか。話もとても分かりづらくなっているが、それでいて読みやすいというのが不思議なところだ。
<A> <楽>
23'05'30 JJM 女子柔道部物語7
小林まこと (検索) <amazon> <楽天>
 道大会でなんと四人もの決勝進出者を出したカムイ南高校。えもも見事に決勝進出して果敢に挑むが、全国三位という強豪相手に全く歯が立たなかった。

 前巻からの続きだが、すっかり強豪校になってしまっている。主人公がいきなり強くなるわけではなく、敵わない相手には本当に敵わないというところがリアル。高校生活はまだ長いので、ここから順調に強くなっていくのだろう。それはそれでとても楽しみ。何より柔道の描写が上手いので、読んでいて大変気持ちが良い
<A> <楽>
23'05'28 デューン 砂漠の異端者3
フランク・ハーバート (検索) <amazon> <楽天>
 砂虫を操る少女シーアナと出会うため、記憶を取り戻したダンカン・アイダホはラキスへと向かった。だがその接触を防ごうとする勢力がおり、ダンカンを付け狙う。一方、別の思惑を持つベネ・ゲセリットも教母をラキスへと向かわせていた。

 今まで読んだデューンシリーズの中で一番読みやすい作品だった。驚くほど頭に入ってくるのだが、一方でなんで主人公であるはずのダンカンが後退して、なんと言うこともないキャラだったはずのテグが中心になってるのかが今ひとつ理解出来ず、更に物語もかなり中途半端。このオチは続編を読むしかないのだろうか?
<A> <楽>
23'05'25 パタリロ!33
魔夜峰央 (検索) <amazon> <楽天>
 幼少時からパタリロのお世話係をしてきたタマネギ1号から6号が全員羊羹になってしまうという珍事が生じた。赤ん坊の頃の自分のしでかしたことだとピンときたパタリロは過去に戻って自分自身と会うのだが…

 今回も短編集で、相変わらずの安定ぶり。今回はパタリロがやり込められるパターンが多かったくらいか。
<A> <楽>
23'05'21 アクセル・ワールド26 烈天の征服者
川原礫 (検索) <amazon> <楽天>
 仲間達を救う唯一の手段として自ら白の軍団オシラトリ・ユニヴァースに入団することとなったシルバー・クロウ=ハルユキ。そこで入団のための試験を受けることになったが、その条件とは、巨獣ビーストを単独撃破するという過酷なものだった。それでも果敢にそれに挑むハルユキだが…

 前回ラストでオシラトリ・ユニヴァースに入団してどうなるかと思ったら、入り口でウロウロしてる状態で、メンバーもよく分からない。ただ実生活の方では今巻では初の黒雪姫とのキスがあったり、彼女の本名が黒羽早雪といいうことが発覚した。1巻からずっと避けていた名前がここで出たと言うことは、次巻で何らかの動きがあるのだろう。
<A> <楽>
23'05'18 銀河鉄道999 17
松本零士 (検索) <amazon> <楽天>
 999は終着駅エターナルに向かうが、行く先々の停車駅が次々と破壊されていく。メーテルによれば全てがダーククィーンによるものだと説明されるが、その目的は一切不明。ハーロックやエメラルダスも協力し、共にエターナルへと向かう。

 かつてのアンドロメダ編とは全く異なり、なんの教訓もないまま次々星が壊れていく。しかもその目的は全く分からないので、何が何だかと言った感じ。
<A> <楽>
23'05'16 ししりばの家
澤村伊智 (検索) <amazon> <楽天>
 夫の転勤で東京に来たものの、友人もおらず家でくすぶるばかりの主婦果歩は、ある日大阪での知り合いだった平岩敏明と偶然出会って家に招かれる。妻の梓とも仲良くなり、寂しさもあって何度も平岩邸にお邪魔するようにになったのだが、少し家の中がおかしいことに気づいていく。そんな時、平岩邸に入ろうとする自分を見つめる男の存在に気づく。

 比嘉姉妹シリーズの長編三作目となる本作は、これまでの真琴ではなく姉の琴子が中心となった話となった。元々霊視が出来た琴子が本物の霊媒師となったきっかけの話と、数十年を経てその決着を付ける話になった。ビジュアル的に真に迫っているので、映像化映えしそうな話だった。
<A> <楽>
23'05'12 デキる猫は今日も憂鬱7
山田ヒツジ (検索) <amazon> <楽天>
 諭吉に懐いているかつての捨て猫ダイちゃんがテレビで大人気となった。それと前後するように忙しくなっていく幸来の周辺。しかし肝心な幸来と諭吉はいつも通りのまったりした日常を過ごしていく。

 大きな物語としてはダイちゃんが有名になったが、本人は相変わらずの諭吉大好きで、久々に会ったらべったりになってることくらい。主人公サイドはほぼ相変わらず。さて次巻くらいで少し動きが出るやら?
<A> <楽>
23'05'09 新本格 魔法少女りすか4
西尾維新 (検索) <amazon> <楽天>
 次々と魔法使い達を撃破し、りすかの父水倉神檎へつながる道を進む“ぼく”供犠創貴と水倉りすか、そしてツナギの三人。しかし実はそれこそが水の上を移動できないという魔法使いを世界に解き放とする神檎の狙いだった。今までの努力が全て神檎の手のひらの上で踊らされていたことに気づいてしまった“ぼく”だが…

 3巻から大分時間が経って出た最終巻。その経過時間さえ作品に取り込み、なんと2020年の新型コロナウイルスまで出てくる。劇中1993年から始まり、27年という時間が経過することを見越して書いていたんだろうか?もしそうなら時間経過さえも予定だったの?
<A> <楽>
23'05'05 新仮面ライダーSpirits22
村枝賢一 (検索) <amazon> <楽天>
 ツクヨミとアマテラスを引き連れて魔方陣の向こうの時空へと向かったゼクロス。そこにいたのは、思った通りの大首領だったが、そこでの戦いは何か違和感だらけだった。一方、地上では竜を駆るかりそめの姿を得た大首領に挑む残った仮面ライダー達だが、全員満身創痍で竜に肉薄していく。

 二つの場所でそれぞれの仮面ライダー達の戦いが描かれるのだが、話はほとんど進んでないも同然。もうちょっとスピーディに展開してほしいところだ。
<A> <楽>
23'05'01 かがみの孤城
辻村深月 (検索) <amazon> <楽天>
 中学入学後に不登校になってしまった安西こころ。ある日部屋に置いてある鏡が光りだし、それに触れた途端、不思議な城の中に送り込まれてしまった。そこにはこころと同じく不登校になっている7人の子ども達が集められており、更に登場したオオカミのお面をつけた少女“オオカミサマ”から、これから九ヶ月の間にこの城に隠された部屋を探すよう命じられる。現実世界と城を行き来して、城に集められた子ども達とも少しずつ打ち解けていくが、謎は解けないまま時間は過ぎ、現実世界でも少しずつ変化が起こっていく。

 映画版が面白かったので読んでみたが、映画が見事に原作をトレースしているのに気づかされることになった。原作の良さを十分に発揮していた。
<A> <楽>
23'04'30 海が走るエンドロール2
たらちねジョン (検索) <amazon> <楽天>
 65歳で美大の映像科に入学したうみ子。これまでの人生の中での常識の違いや全く分からない映像技術に戸惑いながら、それでも映像を撮り続けようとしていた。挫折を感じつつも、自分の出来る映像表現と何かを探していく。

 1巻に次いで本作も面白いが、映像化あるあるの話になってしまって65歳という年齢があんまり活かされてない感じもある。
<A> <楽>
23'04'26 六人の嘘つき大学生
浅倉秋成 (検索) <amazon> <楽天>
 2011年。SNSを中心に一気に人気となった国内会社のスピア・リンクスが初めて新入社員の募集を行った。5000人を超える応募の中、六人が残され、最終面接が始まる。それはその六人が話し合って、最も会社に相応しい人を一人だけ選ぶというものだった。そして最終試験のグループディスカッションが始まるのだが…

 どこかで凄いミステリーと紹介されたので読んでみたのだが、これは面白かった。二転三転する物語の展開も面白いのだが、何より見事な文体でぐいぐい引き込まれる。
<A> <楽>
23'04'23 パタリロ!32
魔夜峰央 (検索) <amazon> <楽天>
 せこい金儲けのために世界中を飛び回るパタリロと、それに付き合わされる面々の顛末を描く短編集。一編、パタリロがほとんど出てこないデュモンとソ連スパイのミハイルの丁々発止のやりとりの話もあり。

 今回はほとんど金にまつわる話ばかり。だんだん登場人物が固定されつつあり、タマネギ部隊の中でも特別な44号が良く出るようになってきた。あとはいつものメンバー。
<A> <楽>
23'04'20 乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった9
山口悟 (検索) <amazon> <楽天>
 王国から、魔法の素質のある子どもが次々に誘拐されるという事件が起こった。男爵令嬢が誘拐された事を受け、魔法省が調査に乗り出すこととなり、上司のララから指名を受け、アリスとソラ、そしてカタリナが港町へ派遣された。身分を隠し、料理屋で働くことになったが、その休み時間に猫好きの青年と出会うカタリナ。

 話はいつも通り。安定してて意外性もないが、それがむしろ本作を読む理由。
<A> <楽>
23'04'18 手塚治虫アシスタントの食卓2
堀田あきお (検索) <amazon> <楽天>
堀田かよ (検索) <amazon> <楽天>
 漫画家としてデビューはしたものの、漫画誌掲載は僅かで、なかなかアシスタント生活から抜けられない著者が、80年代から手塚治虫の死の時まで、そこでの活動と、思い出深い食べ物を綴ったエッセイ的漫画。

 前作が70年代で、本作は80年代へと移行している。その間にも後輩アシスタントにも漫画家として先を行かれ、色々焦ったり、その中で結婚をしたり、手塚治虫の苦労を少し感じたりと色んな感情が込められている作品になっていた。一巻時点は知らなかったが、著者って石坂啓の元旦那だったのね。
<A> <楽>
23'04'14 転生したらスライムだった件7
伏瀬 (検索) <amazon> <楽天>
 魔王となった“俺”リムルはディアブロにファルムス王国のことを任せ、自らテンペストの整備を再開しようとしていた。しかしファルムス王国に悪魔が入り込んでいることを察知した西方聖教会は、ファルムスとテンペストの両国に向けての攻略を開始する。テンペストに向かう軍隊の指揮を執るのは、かつてリムルを屈服させたヒナタ・サカグチだった。

 新展開となり、これからテンペストと聖王国とのやりとりがしばらく続くのかと思いきや、たったこの一巻で和解にまで至ってしまった。その分かなり強引なストーリー運びをしてたり、キャラが一気に増えたりと収拾が付かない部分もあるが。せめてもう一巻使うべきではなかったかな。
<A> <楽>
23'04'10 BEASTARS2
板垣巴留 (検索) <amazon> <楽天>
 暗闇の中、本能のまま兎を襲いかけてしまったレゴシは自己嫌悪に陥っていたが、演劇部の定期公演は滞りなく進んでおり、スターのアカジカのルイは道具係だったレゴシに目を付け、無理矢理舞台に引きずり出す。そんな中、舞台で使う花を借りに園芸部を訪れたレゴシは、自分が襲いかけたドワーフラビットのハルと再会する。

 誰も傷つけないように優しく振る舞いつつ、本能に抗えない灰色狼のレゴシ。これを思春期の衝動に捉えると、この作品はとても身近で怖いものになっていく。自分自身が分からない者だらけの中で自分を見つけようとする青年達の讃歌であると同時に呪いまで描く感じで、とんでもなく面白い。
<A> <楽>
23'04'06 木乃伊
中島敦 (検索) <amazon> <楽天>
 ペルシアがエジプトに侵入した際、パリスカスという武将がこの光景はどこかで見たことがあるはずと思い始める。やがて王族の墓へと入り込むと、その感覚はますます強くなっていく。

 ファンタジックな転生物語。転生先が敵の武将であるという皮肉が実に著者らしい。
<A> <楽>
23'04'03 悪役令嬢転生おじさん3
上山道郎 (検索) <amazon> <楽天>
 グレイスこと頓田林憲三郎は本来の主人公であるアンナと共にこの世界での生活を楽しんでいた。アンナを自分の家に招いたり、変なゲームに巻き込まれたりもして、アンナとの関係を深めていく。そしてそんなグレイスを現実世界からサポートしていく憲三郎の家族達。

 ミニエピソードの連続で大きな進展は無いものの、世界の根幹に関わる伏線がいくつか登場しているところ。現実世界での知識が異世界ではまっていく光景は読んでいて楽しいので、それだけで充分。
<A> <楽>