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宇宙刑事ギャバン

宇宙刑事ギャバン事典
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1982'3'5〜1983'2'25

 「宇宙犯罪組織マクー」の手から地球を守るために、バード星に本拠を置く銀河連邦警察より派遣された地球担当の宇宙刑事ギャバンの活躍を描いた作品で、宇宙刑事シリーズの第一作であると共に東映の新シリーズとなったメタルヒーローものの第一作でもある。
 丁度前年の1981年に特撮の二大シリーズ「ウルトラマン80」と「仮面ライダースーパー1」が終了し、特撮で残ったのは戦隊ものである「太陽戦隊サンバルカン」だけという状況。それでは寂しいと東映のスタッフがなじみのテレビ朝日に申し出て作り上げた作品だった。特撮ヒーローの新作は久々のため、視聴率の心配はあったそうだが、それを跳ね返すヒットを記録(この年放映された特撮ヒーロー作品は本作と「大戦隊ゴーグルファイブ」のみだが、双方平均視聴率が10%以上あった)。
 銀色のスーツを身に纏ったその姿は、いかにも「金属で出来ています」といった風情で、これまでのヒーローにない新しさを感じさせてくれた。

 以降水那岐氏の投稿によるレビューです。

主な登場人物
ギャバン
一条寺烈
(役)大葉健二。JACの一員として東映特撮の初期から参加。「人造人間キカイダー」では殺陣師としてキカイダーの中の人。その後「バトルフィーバーJ」のバトルケニア、「電子戦隊デンジマン」のデンジブルーなどを演じた。後に故郷の愛媛県に戻り、そこで仕事の傍ら、アクションを後輩に教えている。現在もJACに籍を置き、頼まれれば番組にも出演している。
 バード星の宇宙刑事ボイサーと、地球人・一条寺民子のあいだに生まれた。母の早世とともに父とバード星に渡り、宇宙刑事としてのあらゆる訓練を受け、筋金入りの戦士となって地球に帰ってきた。その能力をもって宿敵マクーの悪人どもを粉砕し、彼らが幽閉しているというボイサーを探し続ける。戦うときは少々のことにへこたれないタフガイだが、素顔はひょうきんで女好きである(彼の周囲にはミミー、マリーン、月子と年頃の娘が自然と集まってくる)。
コム長官 (役)西沢利明。数多くのテレビ番組に出演。現在でも活躍中。刑事役が多かった。
 銀河連邦警察最高司令官。科学や武術にも秀で、今の地位に登りつめてなお各星の宇宙刑事を助ける「死ぬまで現役」の人であり、人望も厚い。演じたのは時代劇などでも活躍する西沢利明で、ギャバンと剣を交えて訓練をする時もなるほどと思わせる腕の冴えであった。
マリーン (役)名代杏子
 コム長官の秘書。才女であり、宇宙刑事にその博学さから多くの助言を与え、また各星域で行動する。32話で母親の病気見舞いに里帰りしたミミーに代わり、ギャバンのパートナーを務めるが、これはコム長官がギャバンに甘いのか、それともマリーンのギャバンへの思慕ゆえか?
ミミー (役)叶和貴子。歌手としてデビューし、その後女優業に転身。後に関節リウマチを患ったが、その後芸能界に復帰。
 銀河連邦警察のコム長官の娘。はねっ返りのおてんば。ギャバンに片思いしており、地球に長期滞在するということでレーザービジョン(光線の反射を応用して全く別の存在に姿を変える能力)で小鳥に化け、ドルギランに密航してついて来た。正確には警察官の訓練を受けているわけではないので、ときどきギャバンの足を引っ張ることになるが、情報収集などで活躍する。バード星人の常として予知能力を持つが、それはむしろ『宇宙刑事シャイダー』で生かされることになる。
大山小次郎 (役)鈴木正幸。代表作は「3年B組金八先生」のお巡りさん役。宇宙刑事シリーズでは3作とも同じ役で出演。
 その正体が誰か知ることもなく、なぜか歴代の宇宙刑事と親友になってしまう、自称フリーのルポライター。田舎出身のようだがどこ生まれかはっきりしない。UFOや宇宙人に関する研究をしているらしいが、それがいつも実を結んでいるかも実はよく判らないのであった。
ドンホラー (声)飯塚昭三(1〜10話)、渡部猛(11話〜)
 宇宙犯罪組織マクーの首領。26000年前に獣星帝国を築いている(「♪紀元は2ま〜ん6せんねん」、ってかなりヤバい)。顔や腕を2対持ち、目から破壊光線、牽引光線などを発する。いざというときは頭だけでも戦える。
ハンターキラー (役)飯田道郎
 もともと宇宙刑事だった男だが、裏切ってマクーに寝返り、大幹部の地位を得た。設定ではギャバンの宿敵になる予定だったが、対決することもなく、地味な幹部だった印象は拭えない。ドンホラーの息子サンドルバが戦列に加わって立場の危機を感じた彼は、宇宙刑事専用の暗号でギャバンにサンドルバの弱点を教え、その罪が露見したのちドンホラーによって暗黒銀河に永久追放された。
サンドルバ (役)西田健。
 帝王ドンホラーの息子。魔空城に戻るとともに実質上ハンターキラーから幹部の地位を奪い取り、マクー行動隊長となった。「マクーの若獅子」との異名をとるが、見るかぎり単純バカの猪武者であり、かつマザコン男である。「帰ってきたウルトラマン」岸田隊員役の西田健が演じているとは思えない中年太りであった。
魔女キバ (役)三谷昇。数多くの特撮作品に出演。
 サンドルバの母。はっきり言って「汚ねえババア」(アラシ隊員・談)。魔力を使ってギャバンを危機に陥れるが、正直サンドルバをマザコンに育てた張本人である。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 東京地底の怪要塞

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 宇宙犯罪組織マクーが、建設中のスペースコロニーを破壊した。マクーの戦闘円盤基地が東京の地下に完成したのだ。銀河連邦警察の宇宙刑事ギャバンは、地球に赴任そうそう基地を発見した地球人の協力を得、マクーに立ち向かう。
 敵はシャコモンスターダブルマン(モンスターとダブルマンの組み合わせは13話まで続く)。とにかく第1話だけあって豪華な幕開け。ファニーフェイスがいかすギャバン=一条寺烈(大葉健二)のアクションは本物と唸らされる。特に両腕を平行に上げてのジャンプは印象的。身につけたペンダントの中に入っている父の写真が千葉真一ということで、期待に拍車がかかる出だしだ。
VOL.1
<A> <楽>
第2話 盗まれた日本列島

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 αという組織が50万トン級のタンカーを強奪し、「莫大な量のダイヤモンドをロケットで宇宙に送れ。聞かねば東京上空でタンカーを爆発させる」という。日本政府は海外の力を借り、渋々ながら命令に従うが、今度は富士山を領有させろとαは言ってくる。怪しいと思った烈が調べると、やはりαの正体はマクーだった…。
 敵はガマラモンスター。カエルとラッコを合わせたような愛嬌のある顔が特徴。魔空空間では巨大化して襲ってきた。
 ダイヤモンドと富士山という、わけの判らないものを要求するあたりやはりマクーである。マクー基地への潜入シーンは烈の面目躍如といったところで、途中サービスで『レイダース 失われた聖櫃』(1981)ばりの大岩転がしシーンが見られる。今回のダブルマンの変装は、『シャリバン』のガイラー将軍こと栗原敏。
第3話 大変だ!黒星博士のベム計画を阻止せよ

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 わかばが連れていた山羊が、怪老人の虫取り網(!)に攫われる。ミミーと乗馬を楽しんでいた烈はその老人を追うが、ハンターキラーらの妨害にあい、やむなくドルギランに戻る。そこで彼は、ハンターキラーこそが父ボイサーをマクーに売った張本人だと知る。その頃老人…黒星博士は、地球の生物を空気の薄いところでも生きられるようにするベム計画に着手していた…。
 敵はコンドルモンスター。どのへんがコンドルなんだか判らない長髪ヒッピー風ベム怪獣。甲高い声が特徴。
 ギャバンのスタントなしでの乗馬姿は、やっぱり本物。ところで第1話から登場していた宿敵(のはずの)ハンターキラーの秘密がやっと明らかにされるが、彼に拉致された父のことばかり考えて、ミミーのことなど頭にない烈はやっぱり女心が判らない。
第4話 死を呼ぶ魔人兜

  脚本:上原正三
  監督:奥中惇夫
 考古学者神永教授は、小次郎ら発掘隊とともに、被った者は無敵になる伝説の「魔人兜」を探して洞穴に入る。しかし途中マクーの攻撃を受け、光コンパスを持った小次郎以外は生き埋めになってしまう。追われた小次郎は偶然現われた烈に光コンパスを託す。烈がバード星に問い合わせたところによると、5千年前にそのあまりの危険性ゆえにバード星人が地球に埋めた兜だという。
 ベム怪獣はサソリモンスター。目が尻尾についている、ちょっと特異な形状のベム怪獣。全体的に影は薄い。
 この頃からギャグメーカーの小次郎が烈の仲間に加わり、無二の親友になる。魔人兜のデザインはかなり綺麗だが、なんで地球にそんな危険なものを埋めたんだ、とつっこみたくなる。事実、これを被ったダブルマンを相手にして烈はピンチに陥る。
第5話 ミミーは泣く 猛毒コブラ弾が烈に命中

  脚本:上原正三
  監督:奥中惇夫
 来日した世界的な平和主義者、ジョー・スミスが狙撃された。下手人は宇宙刑事くずれのスナイパー、ハンターキラーだとは夢にも思わない小次郎は、アヴァロン乗馬クラブにいる烈のところに頼みごとをしに来た。乗馬クラブでは、仕事もせず遊んでいる(らしい)烈にオーナー豪介が怒り、給料をわずか3千円にして彼を泣かせていた。そんな烈に小次郎は世界の武器商人が狙うスミスを護衛してくれと頼む。そこにマクーの匂いを感じとった烈は、またも仕事をサボって出動する。スミスを守りつつ、公然と襲ってきたクラッシャー部隊の尾行を列はミミーに頼むが、彼女は厳しい警戒に近寄れないと言う。結局烈は自ら火中に飛び込む。そこをコブラ毒200倍の毒性をもった弾丸でハンターキラーが狙撃する!
 ハンターキラーは1km先から人を狙撃できるスゴ腕。この腕を活用できれば勝機が掴めたかもしれないのに…。一方、ギャバンの給料を渡されたときの情けない顔は傑作。烈にはこういうコミカルさもよく似合う。ところで、コブラ弾の解毒剤を持ってくるのは長官秘書のマリーン。烈を巡ってのミミーとの火花散る対決(?)の日々が始まる。なお、スミスの正体はダブルマン。ベム怪獣もそれに合わせたドクジャモンスターである。
第6話 魔空塾の天才たち

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 オオマダコモンスターの吐き出す「マダコフード」を食べ続けた人間は、3ヶ月で天才になるとともに、ダブルマンに変身してしまう。マクーはこれを利用してダブルマン養成所「大天才塾」を開き、子供たちを学力向上の口実で呼び寄せた。学力不振だった明少年は、ダブルガールの化けた先生に誘われるままにこの塾に入り、瞬く間に天才となる。彼は塾にわかばや陽一までも引き込むことで、烈の疑心をかきたてる。彼はひそかに塾に入り込むが、そこにはマクーの罠が待っていた。烈に襲い掛かる子供たち…。
 オオマダコモンスター。大天才塾に集う子供たちに、「マダコフード」を提供し、天才的な頭脳とダブルマンの適性を与える。ギャバンとの戦いでは巨大化するが、ドルレーザーによってあっけなく退治されてしまった。
 劇中に出てくるミラクルルームが秀逸で、人間がダブルマンに変容する様子を自然に見せてくれる。明が天才になるとともに凶暴になって家庭で見せるのは、『巨人の星』もかくやのちゃぶ台返し。なお、この回から戦闘員クラッシャーが人間臭い声から、ショッカーめいた奇声を上げるようになる。今回のダブルマンは「人造人間キカイダー」のハンペン役で有名なうえだ峻。大山小次郎役の鈴木正幸との競演は新旧コメディリリーフの競演となる。
第7話 怪物がひそむ花びらに少女は口づけした

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 烈は、少女久美に捨て犬をわけてやる。喜ぶ久美を見てこころ和む烈だが、間もなく現金輸送車に出会い、輸送員のつける薔薇の花にベム怪獣を潜ませるのを見てしまう。ベム怪獣が大きくなってダブルマン(黒部進)、ダブルガール(東まりこ)とともに現金を強奪するのを烈は阻止しようとするが、すんでのところで逃げられてしまう。一方、現金輸送員のつけた薔薇を探して薔薇園を巡る烈は、久美とまた出会う。久美が子犬を可愛がっているのを見て我が事のように喜ぶ烈だが、その薔薇園にひそむハンターキラーやダブルマンを発見し、追跡する。犯行を知られたマクーは再び輸送車を襲い、そこに久美の両親を人質にとる。
 子供と犬が何より大好きな烈の一面がクローズアップされる一編。彼の人懐こい表情が垣間見える。
 マクー側を見れば、ベム怪獣はサムライアリモンスター。その目潰し攻撃に敢然と見えぬ目で立ち向かう烈が壮絶。…にしても、なぜ最初からストレートに現金を強奪しなかったかが疑問。薔薇はこじつけっぽいのだが。
第8話 正義か悪魔か?銀マスク大ヒーロー

  脚本:上原正三
  監督:奥中惇夫
 ギャバンによってことごとく作戦を妨害されるマクーは、ギャバンを悪者に仕立て上げることでその捜査活動を封じる作戦に出た。「スペースマガジン」誌でUFO発着場の写真を見た烈は、編集部を訪れ、そこが剣山であるとの情報を得る。果たして剣山は子供らを中心にマガジン読者で一杯であった。そこに現われるカエンザルモンスター。烈は蒸着してみなを助けようとするが、子供らはマクーに連れ去られ、そして意外なところでマクーのカメラが廻っていた。翌日、「銀色の異星人、子供をさらう」との見出しが新聞の一面に躍る。写真に写っているのは子供らを抱えたギャバン!烈はスペースマガジン社に向かうが、そこには誰もいなかった…。編集部員たちもマクーだったのだ!改めて手がかりを求め剣山に飛ぶ烈は、マクー基地を発見する。
 今回の敵はカエンザルモンスター。これを使って、ギャバン悪人化計画を立てるハンターキラーらに、ドンホラーは「押してもだめなら引いてみろというわけか」と納得するが、なにか妙な納得のしかたである。モンスターも派手だが、今回はダブルマンもそれに劣らぬケバケバしさなので、変則的な戦闘が楽しめる。人間側はというと、テレビでギャバンを見た陽一いわく「悪い異星人だ!」…第1話でギャバンに助けられているのにねえ。ギャバンもギャバンで剣山で戦闘中、小次郎が現われたのを見、「小次郎さん、子供たちを頼みます!」…正体バレるぞ、おい。
第9話 美しい人形スパイ

  脚本:上原正三
  監督:奥中惇夫
 細菌研究所からマクーが7年前のデータを奪った。急行したギャバンだが、取り逃がしてしまう。ドルギランに戻った烈は、コム長官からバシラスX0という細菌のことを聞く。一週間繁殖し、その直後死滅するという恐るべき威力を秘めた細菌兵器…それを発見した杉本博士の行方が知れないというのだ。一方、マクーは塚原と名乗っていた杉本博士を追いつめ、バシラスX0を培養せよと迫る。さもなくば娘・奈々恵の命はないと。アヴァロン乗馬クラブに奈々恵を迎えにきた塚原を、烈もまた杉本と見抜く。そして業を煮やしたマクーは、ダブルマンが入って動く奈々恵人形を差し向けて脅迫する。そこへ烈が現われる…。
 今回モンスターは登場せず、8話で出てきた派手なダブルマンだけが相手。おそらく13話以降の対ダブルモンスター戦の実験作なのだろう、じっくり一対一の戦闘が楽しめる。ギャバン、今回は細菌兵器をZビームで破壊…危険きわまりないぞ!塚原には烈の正体がバレているが、彼の性格上気にしないようだ。
第10話 人間クラッシャー部隊を撃破せよ!

  脚本:上原正三
  監督:奥中惇夫
 いやあ、一応悪気もなしに誘いに乗っちゃった人たちなんですから、撃破しちゃうのはマズいんじゃないかと。というワケで別にこの話でも「撃破」はしていません。
 マクーが今回立てた作戦は、体力が人並みはずれて優れた人間を集めて改造し、人間クラッシャー部隊を組織、ギャバンにぶつけようというもの(じゃあ今までのクラッシャーは人間じゃなかったのかい?獣星人と言っても人間だろうが、というツッコミはさておき)
 そこで、ワールドスポーツクラブの小泉博士(ダブルマン)が、ボクシング、野球、剣道などの選手にマクー式特訓を施す。だが、彼らは一様におかしくなってゆく。トレーニングから帰った選手たちは家庭内暴力をふるうようになったのだ(例によってちゃぶ台返しだったりするのだが)。烈はあちこちのジムやスポーツクラブを洗い、マクーの特訓が行なわれているクラブを突き止め、蒸着して若者たちを解放する。だが、若者たちは家に帰らず行方をくらましてしまう…。
 今回の敵はニジチョウモンスター。若者に洗脳を行い、クラッシャーへの道にいざなう。最近影が薄いダブルマンは、ギャバンに命乞いしてだまし討ちにあわせようとするが、失敗して自滅のテイタラク。
第11話 父は生きているのか?謎のSOS信号

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 母との懐かしい思い出を夢に見る烈。そこにシークレットサインでSOS信号がドルギランに入る。ハンターキラーかボイサーしか出せないものだ。もしや、父が…。信号の発信地点に飛んだ烈は、霧吹谷でマクーに襲われる少女、星野月子を救う。彼女はボイサーの写真を持っていた。彼女の父、星野博士は、発明したプラズマエネルギー発生装置をマクーに奪われ、彼女をボイサーに託して絶命したのだ。再び霧吹谷に向かう烈は、父の宇宙船を発見する。
 今回の敵はアルマジロモンスター。形状は嫌いじゃないんだが、いかんせん地味。それより烈単身でのスタントが壮絶。子犬を拾った烈は刺客に襲われ、さらに腕をくくられて馬に引きずり回される。これだけやられても子犬は懐に入れたままで、「ビックリしたなぁ」の一言で済ませてしまう。モンスター、ダブルマンの倒し方はパターン通り。中心はボイサー話だったということ。もちろん、SOS信号を出したのはハンターキラー。
第12話 遊園地へ急行せよ!UFO少年大ピンチ

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 UFO少年っていっても、「UFO少年アブドラジャン」みたいなのは登場しません。判りきった事言うな?失礼しました。
 陽一が従兄弟の少年から、小山タワーからUFOが発進する場所が見えるという手紙を受け取る。学校のある陽一に代わり、烈がタワーのある小山ゆうえんち(まだあるんだろうか?)に向かう。一方マクーは、大谷の石切り場に地盤沈下装置を創り上げようとしていた。これの完成により、マグニチュード10の地震で日本を沈没させることができるという。(従業員へのドンホラーへの言葉が「深く静かに潜行せよ」…って、たぶん一度言いたかったセリフだったのだろう)烈は少年・真とその父を訪ね話を聞こうとするが、見間違えだったと答え、態度がおかしい。裏にマクーがいるのか?その通り、ハンターキラーは真を人質にとる。そして烈は落とし穴に…。
 最後のベム怪獣はゴートモンスター。なんかマヌケなデザイン。おまけにヤギのくせに『ウルトラマン』のアボラスよろしく泡を吐く。今回は遊園地だけあって、お約束の遊園地アクションがてんこ盛り。観覧車の上の戦いなど見せ場がたっぷり。
VOL.2
<A> <楽>
第13話 危うし烈!大逆転

  脚本:上原正三
  監督:奥中惇夫
 ドンホラーに叛乱を起こし、終身刑となったダブルマンに最後のチャンスが与えられる。ギャバンと戦い、見事倒すことができれば罪に問わないどころか、大幹部の地位が与えられるというのだ。もともと強かった上に好条件を与えられたダブルマンは、石油コンビナートを爆破炎上させる大活躍を見せるが、ギャバンのZビームに敗れ、退却する。だが彼の闘志は衰えてはいない。ドンホラーに、モンスターの力を自分に与えてくれれば必ずやギャバンを倒してみせる、と申し出たのだ。一方烈は突然のマクーの暗躍に翻弄されるが、それが何であったかにはまだ気づいていなかった。実は、その間に「生体電送装置」を開発した香月教授が攫われたのだ。マクーは、装置を使って生体合体装置に作り直させようとしたのだ(『蠅男の恐怖』(1958)の原理である)。こうして、サイモンスターとダブルマンの合体生物、初のダブルモンスター、サイダブラーが誕生する。その強さは半端ではなかった。引き分ける烈に勝機はあるのか!?…ところで、「大逆転」していないんですけど…?
第14話 愛と悲しみの別れ とどめの一撃!!

  脚本:上原正三
  監督:奥中惇夫
 ダブルモンスターという強敵をむかえて、死の危険に晒されるかもしれない烈のもとに、コム長官が自ら特訓を授けにやって来た。剣技と研究ののちに、サイダブラーの弱点は右胸にある心臓であることが判明した。一方、サイダブラーも今度こそギャバンを倒すべく特訓を重ね、エネルギー補給に牧場を襲い、好物の牛をむさぼり食っていた(サイって草食なんだけどね)。そして烈はサイダブラーからの挑戦状を受け取る。死ぬかもしれない。烈はこれが最後かもと思いながら、子供たちを思う存分遊園地で遊ばせてやった(費用はミミー持ち)。そしてミミーとも別れの挨拶を交わして、烈はサイダブラーの待つ場へと赴く。シルクハットの怪紳士は見る間に烈の眼前でサイダブラーに姿を変えてゆく。
 さすがに今回も強い。ディメンションボンバーを食らわそうとしたギャバンを片手で捕まえる。右胸の装甲はZビームでも剥がれず、レーザーブレードで初めてヒビが入る。そこを狙い、必殺のギャバン・ダイナミック!今回ばかりはマクーも口惜しがらない。これほどにギャバンを追いつめられる存在を毎回送り出せるのだから…。でも、彼らはこの手の番組の「強さのインフレ」について考えをめぐらしていないのだよね。
 尚、サイダブラーの人間体は潮健児が演じている。トレードマークとも言えるシルクハットと黒いマント姿が相変わらず映える。
第15話 幻?影?魔空都市

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 獣星帝国建国26000年の日がやってくる。ドンホラーは、獣星の神にギャバンの首を掲げよと命じた。
 烈は道端で、高熱に苦しむ少女・千代を見つけて家に送り届け、医者を呼びに行った。病院のビルに入った烈を、医師たちは診療台に乗せて手術室に運び入れる。執刀医はシャモダブラーであった!迫る回転ノコギリから逃れ、病院の窓から下へダイブした烈は、ケーブルにつかまって飛び、屋根から下へ転がり落ちた。「ビックリしたなあ、もう…」ビル街を進む修行僧の群れは、烈を見るなり仕込み杖を抜き、斬りかかってくる。もはや街は日常の仮面を被った異世界であった。橋にたどり着いた烈を、和服姿のミミーと月子が傘に仕込んだマシンガンで襲う。「ミミーと月子がいぢめるぅ〜」逃げる烈は、千代が毬を手にして立っているのを見つける。千代は姿を消し、毬は爆発して烈を吹き飛ばした。この世界を脱出しようとジープを駆る烈。やっと見つけた出口は断崖の真上であった。烈は蒸着してジープの落下から逃れる。そこは魔空空間、すべてを仕組んだシャモダブラーの待つ戦場であった…。
 今回ばかりはストーリーよりは完全に映像美の世界。日常的なアイテムと風景の組み合わせが、思わぬシュールな効果を生む。
第16話 初恋は宝石の輝き さようなら銀河特急

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 小学校に転入してきた雨宮少年にわかばが恋をした。早速いじめられる彼だったが、わかばだけは親切にする。その雨宮に烈は突然出くわす。烈は彼の落したクリスタルを拾い、そして彼がマクーに追われていることを知る。バード星から、彼こそはレイク星の科学者バーンズの息子、ベンであることが伝えられた。バーンズは放射能クリーン装置(『宇宙戦艦ヤマト』に積んであったヤツ?)をマクーの手から守るために、地球に逃げてきたのだ。だが烈がバーンズ邸を訪ねるとすでにバーンズはこの世の人ではなく、ベンが研究の後継者になっていた。その頃わかばはベンの生み出す美しい幻影を楽しんで観ていたが、そこにカマダブラーが急襲してくる…。
 わかばの初恋話。烈がいいお兄さん役を演じている。ベンは何故地球(マクーが本格的に狙っている)にわざわざ来て、しかもその程度の教育はとっくに受けている小学校に入っているのか謎だが、そこらへんはメルヘンということで…(解決してないぞ)。
第17話 走る時限爆弾!白バイに乗った暗殺者

  脚本:高久 進
  監督:小林義明
 買い物に出たミミーは、白バイに轢かれそうになる。あやまる白バイ警官にミミーは一目惚れしてしまった。爽やかな笑顔…。いくら言っても聞き流す烈を、ミミーは兄という名目でその警官にひきあわせた。こういう時にも、ミミーの服装に「これか?ぶりっ子ファッションて」などと言っている烈だが、見ればなかなかの好男子である。彼は大条寺豪と言った。そんな彼が事故にあい、マクーに連れ去られる。烈を呼び寄せたハンターキラーは、その場所に着いた車に乗るように指示した。だがそれはマクーによってコントロールされた止まらない車であった。烈はなんとか脱出したが、豪は実はヒョウダブラーであった。烈の怒りが燃える!
第18話 乙姫様コンテスト ハチャメチャ竜宮城

  脚本:上原正三
  監督:奥中惇夫
 小次郎は海水浴場に来ていて、偶然カメのような生物に海中に引き込まれる女性を撮ってしまった。この写真を見て、烈は早速調査を開始する。一方マクーの海底基地では、拉致してきた娘の足に、アオガメダブラーの持つ靴がピッタリ合うかどうかのテストが行なわれていた。彼の持つ靴に合う足の持ち主こそ乙姫様なのだ(そんなアホな)。マクーは乙姫を見つけ、タイムマシンで竜宮城のあった時代に導いてもらい、財宝を独り占めする作戦を立てたのだ(タイムマシンを作れる科学力の持ち主の考えることか)。失敗続きのアオガメダブラーは、今度は月子を乙姫だと言い出して拉致する。烈は祠から浦島伝説の書かれた巻物を発見、ここは浦島太郎になるしかないと考え(何故?)変装してマクーをおびき寄せる。アオガメダブラーは烈を歓迎し、早速宴を催すためにマクー基地まで案内する(すなーっ!)。だが、ハンターキラーが彼の正体を見破った。そして戦闘が始まる…。
 お気楽な娯楽編だが、もう勝手にやっててくださいとしか言いようがない。ギャバンの世界観というよりは戦隊モノに近いギャグセンス。
第19話 午前6時蒸着!Zビームチャージ完了

  脚本:上原正三
  監督:奥中惇夫
 ダブルモンスター、キョウリュウダブラーはギャバンに一対一の決戦を申し込んだ。午前6時。だがダブラーのかたわらにはハンターキラーやダブルガールの姿があった。そして、コンバットスーツの胸のエネルギータンクを破壊されたギャバンはレーザーブレード、Zビームを封じられてしまう。傷ついて逃げざるを得なくなった烈は、山狩りをするマクーをまき、山に遊びに来ていた一家に助けられた。心和む烈。だが、ダブラーは烈の居場所をつきとめ、処刑しようとした。危ういところを烈はドルギランに救われた。マリーンにコンバットスーツの修理をしてもらい、力を取り戻す烈。だが、助けてくれた一家がマクーに連れ去られたのを知った烈は、モーターボートで湖上のマクーを追撃する…。
 前回とはうって変わってシリアス編。挿入歌の入れ方が実に効果的。
第20話 なぞ?の救急病院!人類の大滅亡が迫る

  脚本:松下幹夫
  監督:田中秀夫
 美しい紫の小石を拾った和広少年は、妹へのプレゼントにしようと持ち帰るが、突如石が発光するとともに水槽から泡が吹き上がり、金魚が骨になるのを目撃する。自らも酸欠に苦しんだ彼は助けを求め、一命を取りとめた。烈は怪しんで調査を開始し、マクーがその石…「鬼火隕石」を鉱物研究所から盗むのを阻んだ。鬼火隕石とは太古に地球に落ち、熱せられることで酸素を破壊して恐竜を絶滅させた隕石だったのだ(要するに『ゴジラ』のオキシジェン・デストロイヤーですね)。烈は隕石のある場所を知る和広が狙われると考え、病院の警護につくが、マクーは医師に化けて和広を連れ出し、隕石のある場所を吐かせた。それを追う烈は立ちふさがるケラダブラーと戦い、出現した鬼火隕石を凍結ビームで包んで宇宙に運ぶと、ドルによって破壊した。
珍しく「宇宙刑事」らしいSFマインドを感じさせる話。最後の隕石処理などは如実に彼の「地球防衛」の使命を表わしている。
第21話 踊ってチクリ大ピンチ ハニー作戦よ!

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 ハニー萬田の経営する治療センターが評判になっている。どんな難病でも彼女が踊りながら触れることでピタリと直るというのだ。豪介も小次郎もとりこになってしまい、全快した人々と一緒に踊りまくる。その上、皆ハニーに寄付をすると言い出した。怪しんだ烈は変装して乗り込むが、色仕掛けで迫られ、ほうほうの呈で逃げ出してしまう始末。マクーに対するハニーの言い分は、「私、ギャバンなんか問題にしていません」と自信たっぷり。医療費を人々からどんどん吸い上げ、マクーに役立てるつもりなのだ。烈は月子を送り出し、決定的瞬間をカメラに撮らせた。ハニーはミツバチダブラーであり、1/1000秒の速さで麻酔針を患者に打ち込んで痛みを癒し、コントロールしていたのだ。調査後ハニーに人質にされた月子とミミーを救うべく、烈は蒸着する。
 マクーの計画にしてはリスクが少なく、知能的作戦であった。
第22話 黄金仮面と妹 太陽に向って走るヨット

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 ヨーロッパ各地で謎の宝石強奪事件が続発。それが悪徳宝石商・石黒の犯行と見た烈は、彼のコレクションが眠る屋敷へと侵入しようとした。だが、その横を疾風の如く駆け上ってゆく影があった。怪盗Xと呼ばれる男である。後日、石黒が世界的宝石ブローカー・大西と取り引きしようとするところへ、怪盗Xが奇襲をかけようとするが、クラッシャーに襲われピンチの所を烈に助けられた。石黒の正体はマクーだったのだ。仮面を外した怪盗Xと妹の前に現われ、危険から身を引くよう説得する烈だったが、そっけなく追い返された。実は怪盗Xは、石黒に殺された宝石商・速水の息子であり、父の秘蔵してきた「アフリカの星」を取り戻すべく行動していたのだ。客船上で開かれるオークション会場に向かうXと、彼を見守る謎の老婆。やがてXが捕えられ、殺人ショーの生け贄にされるところを老婆が救い、老婆は美女(?)に姿を変えた。烈である。さらにローマ剣闘士、ガンマンに変化して敵の目を欺く烈。Xを抱えつつ走る烈を追うクラゲダブラー。絶体絶命のところを烈は蒸着した。
 かなり息のあったXとギャバンのドタバタが楽しめる。七変化では烈の女装姿が吐き気を誘うが、さすがにアップで映されることはなかった。タイトルのヨットはラストに出てくるが、残念、曇り空でした。
第23話 闇を裂く美女の悲鳴!霧の中の幽霊馬車

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 小次郎と同じアパートの女性が、夜道で馬車に乗る怪紳士に遭遇する。偶然顔を出した小次郎は、女性が蜘蛛に襲われ紳士に連れ去られるのを見る。その部屋で気絶した小次郎はブタ箱に入れられた。引き取りにきた烈はその話を聞き、マクーの影を感じる。そして次々に女性たちが連れ去られる。マクーは獣性化カプセルに彼女らを入れ、獣星帝国に迎え入れる計画を立てていたのだ。烈は月子と小次郎にオトリになってくれと頼む。怪紳士の出現に小次郎は気絶、月子はマクー基地に連れ去られる。潜入した烈に蜘蛛が、そして怪紳士の正体クモダブラーが襲い掛かる。蒸着する烈…。
 これまた珍しい怪奇編。山本昌平の紳士がなかなかに渋い。ラストで気絶したまま抛っておかれる小次郎がみじめ…。
VOL.3
<A> <楽>
第24話 ミミーの悪夢か!?吼える切り裂き魔獣

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 ギャバンはサーベルダブラーと対峙する。コンバットスーツを切り裂かれ、川へ転落するギャバン。そしてサーベルダブラーがとどめを刺す…それはミミーの夢だった。だが彼女は予知能力を持っているのだ。不安になったミミーは、烈が小次郎たちと山に遊びにいくのを止める。それどころかバード星へ帰ろうとまで言い出すのだ。烈はミミーを休ませてやる。すると、わかばと陽一が危機に陥る夢を見る。烈は彼らを探しに行った。そして、待ち受けるダブラーの攻撃が夢のとおりに起きる。「我、勝てり!」ダブラーの声を掻き消すように、ミミーはギャバンに心で呼びかける。ギャバンは蒸着し、強敵に立ち向かった。
 ミミーの予知能力ネタは、こののちシャリバンやシャイダーでも使われる。上原正三のメインライターとしての嬉しい心配りだ。
第25話 怪しくゆらめく水中花 わかばが危ない

  脚本:阿部和江
  監督:田中秀夫
 プールの水面に咲く巨大な花にすいこまれる少女。彼女は異様な瓶を手に入れ、性格が凶暴になってゆく。瓶のなかの水中花に性格を変えられたのだ。スイミングスクールのコーチに化けたゴシキダブラーがその元凶だった。瓶はバレエスクールやコーラスクラブにも広まり、そしてわかばにも手渡された。口紅を塗るわかば。怪しさを感じとった烈はスイミングスクールに侵入し、マクーと一戦を交える。彼らの狙いは健康な少女を獣性化し、獣星帝国に送り込むことなのだ。烈はわかばの口紅に発信機を仕掛け、それを追跡した。湖に連れてゆかれる娘たちの前に浮上するマクー母艦。だが、水中花の効力が切れマクーより少女たちは逃れようとする。烈は彼女らを救い、ゴシキダブラーに立ち向かう。
 またもや幻想怪奇編。般若とオーバーラップするダブラーも幻想的。ところで、瓶を手に入れた小次郎がオカマに変貌するということは、ジェンダーが転換するものなのだということか。
第26話 人形は見た!!毒ガス殺人部隊の正体

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 ゲリラ・難民掃討を主目的とする情け無用の毒ガス傭兵団「ドリームバード」がアジアに暗躍している。小次郎は都南大学の学生・坂田が落していった残虐きわまりない写真からその部隊の真実を知り、烈にそれを見せる。烈は坂田が、「進歩のためなら多少の犠牲はやむなし」と主張する一ノ宮教授(実はマクー)に、妹の手術費用を稼ぐために仕方なく従っていることを知る。だがドリームバードはマクーの作戦の一端に過ぎず、マクーは世界規模で紛争のタネを撒き、武器を売りさばいていたのだ。それに苦しんだ坂田は再洗脳を受け、妹のもとを去った。烈は深い怒りに燃え、マシンガン片手に(烈が通常兵器を持つのは珍しく、彼の心情が窺われる)ドリームバードの本拠地に潜入する。彼を一ノ宮率いる武装毒ガス部隊が取り囲む。ここに至り坂田の良心は洗脳に打ち勝ち、一ノ宮を止めようとするが、彼はガスダブラーの本性を現わして坂田を毒ガスで倒す。烈は蒸着してマクーを叩く…坂田の妹の手術は成功したが、坂田は帰らない。
 大葉のシリアスな演技が堪能できる回。現実と連なるBC兵器への怒りが全編を支配している。
第27話 先生たちが変だ!学校は怪奇がいっぱい

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 陽一は小学校のウサギ小屋にエサをやりに行った時、校長がウサギの耳を掴んで取り出し、ともに消え去るのを見る。だが担任はその話を信じてくれず、校長もウサギも変わった様子はない。口惜しさに烈の胸に泣き伏す陽一。烈は学校に向かうが、何事も起こった様子はない。その夜、校長は先生たちを集めて秘密儀式を行なう。ウサギの血をすする校長。そしてドンホラーに連絡をとり、子供たちを邪悪に染める計画が進んでいることを報告する。翌日、バスケットを持って何処かへ出かける校長を陽一は尾行する。バスケットの中身はウサギの死体に違いない。それを埋めたらしい場所を陽一が掘り返し、バスケットを見つけた時、彼の肩を校長の手が掴む…。その日帰らない陽一を不審に思ったわかばは学校に向かい、先生たちの儀式を見てしまう。追われるわかば。そして陽一はすでに捕えられていた。そこに現われた烈は陽一とわかばを救い、校長たちを告発する。校長はジャアクダブラーの正体を現わした。蒸着する烈。
 「学校の怪談」ふうのホラー話。見慣れた風景を異世界に変えるのは「幻?影?魔空都市」の小林義明監督ならでは。校長の汐路章が強い印象を残す。
第28話 暗黒の宇宙の海 さまよえる魔女 モニカ

  脚本:高久 進
      永井達郎
  監督:田中秀夫
 マクーは、宇宙を股にかける殺し屋だったが、老いさらばえて幽閉された魔女モニカを若返らせ、ギャバンを狙わせた。宇宙刑事に怨みをもつモニカは喜んで承諾した。一方、ギャバンの誕生日に花を贈ろうとしたミミーは、烈の眼前でモニカの毒矢に倒れた。その猛毒は宇宙辺境に百年に一度咲く命の花でしか消すことはできないのだ。しかしそれを求める烈は、ハッコツダブラーとモニカに谷底へ突き落とされてしまう。だが、自分の命令を聞かずドンホラーのみに従うモニカを、怒ったハンターキラーは毒矢で貫く。再び幽閉されたモニカの前に、必死で谷底から這い出てきた烈が現われる。ミミーを救おうとした彼に、かつて愛した宇宙刑事の姿を重ね合わせるモニカ。彼女は刑事に裏切られて殺し屋になったのだ。モニカは烈に命の花を渡し、モニカにも分けようとする烈の手を拒む。花は一回使うと枯れてしまうのだ。そこへ現われたダブラーは用済みのモニカを惨殺する。怒りとともに蒸着する烈。…そしてミミーは助かったが、モニカは帰らない。
 シャリバン以降では多くなるゲストが死ぬ話だが、ギャバンでは珍しい。ギャバンとの実力の差か?やたら殺すばかりが能ではないと思えるが。
第29話 電撃マジック合戦!暗殺のプログラム

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 遊園地。プリンセス・テンコーこと二代目引田天功に、ポール一星を名乗るマジシャンが挑戦状を叩きつけた。受けて立った天功は、大技「人間ワープ」で応じる。だが、天功の弟子ふたりはいずれも事故に遭ってしまう。マクーの影を感じとった烈は、天功のパートナーを買って出る。実はマクーであるポール一星は、一石二鳥とばかりにボックスに仕掛けを施し、ギャバン抹殺を企む。そして、決戦の日。天功側の烈はワープに成功する。うろたえたポールは助手をワープボックスに追い込む。烈が罠を仕掛け返していたことを知らぬ助手は、クラッシャーの正体をあらわに消滅してしまった。ポールはマジックダブラーと化し、ギャバンに挑む。
 今回はライトな話。引田天功はまだデビューから間もなく、アメリカ等での人気も肯ける可愛らしさ。しかしマクーは、マクーの尖兵になるマジシャンを育てるつもりだったというが、それが何の役に立つのだろう?超能力が使える味方すらいるのに。

 引田天功が東映特撮に出演するのは「電子戦隊デンジマン」に続き2回目。
第30話 ドンホラーの息子が魔空城に帰って来た

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 ギャバンは呼ばれるまま、小惑星上で謎の武人と対決することになった。彼の名はサンドルバ。ドンホラーの息子である。実力は伯仲し、決着は後日に持ち越された。そのままサンドルバは魔空城での歓迎の宴に迎えられた。だが、近づいてきた彼の冷笑的な口調に怒ったハンターキラーは、宴を抜けて密かにギャバンに警告文を送った。「森が動く時、見るなシャレコウベの目」(『マクベス』か?)サンドルバと共にやって来た母の魔女キバは、ギャバンを決闘の場で金縛りにするつもりなのだ。そして決闘の場。森が動くような幻覚をおぼえた烈は、あの言葉を思い出し、サンドルバの槍のシャレコウベに潜み呪いをかけるキバから目をそらし、惑わされずに済んだ。そこに現われるケイビダブラー。危機に陥った烈を救ったのは宇宙刑事アランだった。蒸着の余裕を与えられた烈はダブラーを倒す。アランはある使命を胸に地球にやって来たのだ。一方、裏切り者がハンターキラーだとキバに教えられたドンホラーは、彼を暗黒銀河へと追放する。
 とにかくゲスト・山場盛りだくさんの回。ハンターキラーが追放されたのは、のちのサンドルバの情けなさを思うとちょっと辛い。宮内洋演じるアランのキザっぷり全開も見もの。
第31話 天使の歌が聞える 人形にされた王女

  脚本:上原正三
  監督:小林義明
 アランが地球にやって来たのは、ビーズ星のリン王女を探すためだった。マクーはビーズ星の王弟と結託し、ダイヤモンドの豊富なその星を支配下に置こうとしているのだ。マクーの使者である人形使いのワーラーは、遊園地に逃げ込んだ王女を人形に変えて隠し、烈やアランを迎え撃つ。激しい死闘は続きアランは負傷するが、リン王女のテレパシーの歌をキャッチし、彼女を追う。彼を援護しようとする烈はワーラーの魔力でアランと分断され、ワーラーはサイミンダブラーの本性を現わす。蒸着したギャバンは人形の王女を救い、アランへと託す。そして戦闘へ…。
 アランの宮内洋が後輩に負けないアクションを披露し、敵ワーラーの潮健児も怪演で応える。
第32話 謎の地底迷路 ターゲットはWX−T

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 母親の病気見舞いにバード星に帰ったミミーに代わり、マリーンがギャバンのパートナーを務めることになった(長官の秘書はどうしたの?)。一方、マクーは地上の輸送部隊をギャバンに攻撃されたため、地上以外で彼を葬ろうと画策する。宇宙ステーションを襲撃して破壊しようとする円盤部隊を、次々撃墜するギャバンとマリーン。その頃、人間が次々と消失する「人食いビル」を小次郎が子供らを連れて探検、トツゲキダブラーに捕まってしまう。烈は彼らを救出するが、キバの罠にはまり無限地獄に苦しむ。だが、それがキバの心理攻撃と判った烈は蒸着し、トツゲキダブラーを倒すのだった。
 全体的に「つなぎ」のイメージの強い回。ギャビオンやマクー戦闘円盤の活躍は新撮影なので、ディテールがよく判るくらいが観どころ。
第33話 新怪物誕生 エイリアンを拾った少年

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 マクーはダブラーを数十メートルの大きさまで急速成長させられる人工受精卵を開発、サンドルバは東京での孵化を決定する。満ち溢れる亜硫酸ガスや窒素化合物はダブラーのこの上ない栄養源なのだ。…と書いた処でイチャモンを。ダブルマンとモンスターの合体生物であるダブルモンスターが、なんでタマゴから生まれるのだろう。上原先生、早くも設定を忘れたか?閑話休題…だがギャバンはそれを察知し、早くも卵を破壊することに成功した。しかし、卵は二個あったのだ!陽一の友人・ひろしは河原で大きな卵を拾い、小次郎や月子たちを呼んでそれを食べることにした(正体不明の卵を普通食べるか?)。小次郎はそれを電子レンジに入れる(卵を電子レンジで温めるのは、それが鶏のであっても危険なんだったら!!)。爆発とともに現われるダブラー。烈はそれを察知して追うが、すでに逃げ去った後だ。怪物は巨大化こそしなかったが、ペットや家畜を食い散らして被害を広げていた。成獣になったカイブツダブラーは、ひろしと姉に襲い掛かる。そこにギャバンが立ちはだかり、一刀のもとにダブラーを葬った。
 意味もなく東京で育てるのではなく、汚染された地域で、というのは考えたネタだ。ただし最後まで知性を持たない怪物は、強力なモンスターで良かった筈である。
第34話 思い出は星の涙 父のない子 母のない子

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 ドクターダブラーは科学医療センター院長となり、宝石商を拉致して記憶操作装置にかける。こうして彼は多くの宝石をマクーに横流しさせるのだ。だが、子犬を追って偶然宝石商の姿を見てしまった陽一は、記憶の一部を消される。その結果陽一に残された記憶は、両親の健在だった頃の記憶、祖父である豪助に引き取られる前の記憶なのだ。豪助は親代わりになれない我が身を悲しむ。一方烈は、突然の陽一の変化にマクーの匂いを嗅ぎ取る。烈は宝石商の事件を追うが、乞食に扮したクラッシャーたちに阻まれる(今なら放送禁止…かな:汗)。そして国防軍隊長の記憶を消し、武器を横流しさせるドクターダブラー。陽一がダブラーの扮した男を見て大声を上げるのを聞いた烈は、彼がマクーだと見破り、建物に入っていく。だがそれは罠であり、烈は装置にかけられてしまった。だが失われ行く記憶を強い意志で取り戻し、蒸着する烈。ドクターダブラーは倒され、陽一と豪助の顔に笑みが甦る。
 中心になるストーリーのなかった豪助にスポットを当てた回。孤児の哀しみも今更ながら描かれる。
VOL.4
<A> <楽>
第35話 マクーの若獅子 サンドルバの反抗

  脚本:上原正三
  監督:小笠原猛
 ドンホラーは、敵ギャバンが特訓に励んでいるのに較べ、我が子サンドルバがガッツダブラーの特訓を横目に酒や女にうつつを抜かしているのに業を煮やし、ギャバンを倒すまで帰ってくるなとサンドルバを追い出した。しかし相変わらず母のキバにギャバンの倒し方を訊ねる有様だったが…。結局、マリーンと月子はショッピング中サンドルバに捕まり、ギャバンを呼び寄せるエサにされた。ギャバンと戦うサンドルバだが、全く歯が立たない(腕がなまったようだ)。ふたりを連れてアジトに逃げ込むサンドルバを追うギャバンだが、マリーンのテレパシーで地雷を察知し、立ち止まる。レーザーブレードを抜くギャバンだが、ふたりを楯にされてやむなく剣を捨てる。サンドルバは魔空空間発生を要請したが、父に拒否された。隙をついてブレードを拾い、ふたりを救出するギャバン。ガッツダブラーがその前に立ちふさがるが、ギャバンの敵ではなかった。
 サンドルバの情けなさと、シナリオを書く時間のなさが如実にうかがわれる一編。アクションシーンのバンクが随所に見られる。
第36話 恨みのロードショー 撮影所は魔空空間

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 『ギャバンへの復讐』なる映画の試写会広告が新聞に出た。烈は奇妙に思いつつも東都撮影所(実際の東映大泉撮影所)に出かけ、その映画を観る。そこには悪逆非道で卑劣この上ないギャバンの姿が紹介されていた。招待者のサンドルバとキバに食ってかかろうとする烈だが、座席から立ち上がれない。そして、突然スクリーンが魔空空間と化し、ウラミダブラーが出現した。蒸着して逃れる烈。…ところが、外は何事もない様子であり、烈は偶然遊びにきた小次郎や月子と釈然としないまま同行する。だが、ウラミダブラーは念写した烈の写真に丑の刻参りよろしく五寸釘を打ち付ける。苦しむ列は医務室に運ばれるが、医者たちの様子がおかしい。ここでダブラーが勝ち誇って出現し、烈を魔空空間へ誘う。数々の復活ダブラーたちを倒しながら、ギャバンは自分のわら人形を発見して破壊し、ウラミダブラーを倒した。
 撮影所は勝手が判っているとあって、思う存分遊んで楽しませてくれるスタッフ。ギャバン対侍軍団などという他では見られないバトルが続出する。
第37話 おてんばひょうきん姫の地球冒険旅行

  脚本:筒井ともみ
  監督:田中秀夫
 烈が馬を駆っていて出会った少女は、妙な言葉遣いのすました娘だった。彼女の名はリララ。彼女はマクーに付け狙われていた。その一方、マクーはホープ星の古文書に書かれた秘宝の場所を探し、アナホリダブラーを派遣させていた。リララは、マクーから自分を救ってくれた礼として、烈にペンダントを渡した。ドルギランに帰った烈がそこを訪れたホープ星人の重臣より聞かされた話だと、そのペンダントはホープ星王女の証だという。リララもまた、地球に埋められたホープ星の秘宝を探しに来ていたのだ。神父に化けたアナホリダブラーは、彼女を閉じ込めて宝のありかを吐かせようとしたが、烈にリララを攫われ、その正体を現わす。蒸着した烈はダブラーを倒し、リララとともにホープ星の宝を掘り出す。宝とは、人が心を忘れたときにその魂を癒す花の種であった。
 概して筒井ともみ氏の脚本はギャバンというよりは、戦隊シリーズ風味。
第38話 包囲された輸送部隊 正義の太陽剣

  脚本:上原正三
  監督:服部和史
 ドンホラーは、ユラシア王国に千年の繁栄をもたらした太陽剣(バルカンロボが使う剣ではない)を欲した。早速それを奪ったサンドルバとキバだが、それは偽物だった。再度彼らは、烈がガードに加わっている本物とおぼしき剣を狙う。早速現われたギャングダブラーに、烈は蒸着して戦いを挑むが、逃げられてしまう。その間に見え見えの陽動作戦ながら、幼稚園バスを狙うダブラーとダブルガール。子供たちに向かって「ぽっぽっぽ〜、鳩ぽっぽ〜」「象さん、象さん、お鼻が長いのね♪」元気に歌いなさいと命じるダブルガールと、子供たちをリードするように大声を張り上げるギャングダブラー(この辺サンバルカン的演出)。ギャバンは子供たちを救出するが、マクーは再度バスで太陽剣を奪おうとし、成功する。ギャバンと戦うダブラー。そこへ太陽剣を持ったサンドルバが現われるが、剣は彼に逆らい、逆にギャバンを助けたのだった。
 やっぱり「太陽戦隊サンバルカン」の匂いがぷんぷんする。それはさておき、26000年王位についているドンホラーにしては千年の時間などセコいように思えるが。
第39話 学校から帰ったら ぼくの家はマクー基地

  脚本:上原正三
  監督:服部和史
 山口さんちにお届け物。ドアを開けた奥さんにヤクザ風の男が凄んで「奥さん。騒がない方がいいぜ」。機材が運び込まれ、熱線銃が組み立てられる。サンドルバも現われ、ここの前の通りにギャバンが現われるため、狙撃に格好の場所であることを説明する。そしてベッドの赤ん坊に近づき「ベロベロバー♪」泣き出した赤ん坊に逆ギレするサンドルバであった(何をやっているんだ、お前は)。ツトム君が帰宅すると山口さんちは男たちに占拠されていた。ヤクザはすし百人前を頼み、ペロリと平らげた。助けを呼ぼうにもこの男たちは危険すぎる(ある意味では確かに危険だ)。風船で助けを呼んだが、それを捕まえた警官のアホさで失敗に終わった。そしてヤクザの熱線銃が烈を狙う!だが前を通ったトラックに当たって不発に終わった(おまえら、ホントに真面目にやってるんだろうな)ノットリダブラーに変身したヤクザはギャバンに立ち向かうが、所詮敵ではなかった。
 今回ギャバンはワキ役。ノットリダブラーの凄みに裏打ちされたマヌケさが光る一編。
第40話 死の谷の大決戦 君も宇宙刑事だ!

  脚本:筒井ともみ
  監督:小笠原猛
 鬼が山でデビルニウムの調査をしていた清水教授が神隠しに遭う。同じ頃、宇宙刑事志望の小次郎の甥、史郎が烈のもとを訪れる。小次郎がいい加減にギャバンに逢わせると約束したらしい。鬼が山の失踪事件にも史郎は同行する。やれやれといった表情の烈。ところが山中にいきなりホットドッグ屋が出現する。つられて入ってしまう史郎だが、出されたジュースは毒入りであった。そして、ヨウカイダブラーの出現。烈は応戦するが、ダブラーは史郎を攫って逃げる。デビルニウムの発掘現場で史郎を奪い返した烈だが、背負っているうちにだんだん重くなり、ダブラーと化す(ヨウカイってのは子泣きじじいか)。ダブラーを退けた烈は、本物の史郎を救出し、彼とともに学者たちを救い出したのだった。
 この回くらいまで低迷は続く。4クール目に入って、ギャバンの父・ボイサー救出の手がかりが見えるまでのつなぎ…か。
第41話 魔空都市は男の戦場 赤い生命の砂時計

  脚本:林 強生
  監督:小笠原猛
 パトロール中の烈は、川に流されている子犬を救う。そして河原で奇妙な砂時計を見つけ、逆さにした途端に周囲は魔空空間に!それは魔女キバの罠だったのだ。…海。海賊に斬りかかられて必死にかわす烈。ビル街。虚無僧(15話にも登場)の群れから逃れ走る烈。仮面を被ったライダー(仮面ライダーではなく、『北斗の拳』のジャギみたいな奴)。マッチョマン。そしてもうひとりの烈(かなり迫真の演技)が烈を襲う。蒸着する烈。それを迎え撃つジゴクダブラー。奴を砂時計の砂が尽きるまでに倒さないと、もとの世界には戻れないのだ。ギャバンはダブラーを倒し、砂時計を破壊してもとの世界に戻る。そして、いよいよ父の救出に向かう烈。烈は父の名を叫ぶ。このほとんど内容がないように見えるアクション編も、一回り大きく成長してラストステージへ向かう烈の姿を見せつけたものと納得できる。
第42話 烈よ急げ!父よ

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 ミミーが吉報とともにドルギランに戻ってくる。烈の父・ボイサーの行方を知る男、ハンターキラーが銀河警察に保護されたのだ。彼の自白したところによると、マクーは月子の父・星野博士を殺害したのち、彼の発明したホシノ・スペースカノンの設計図を持つボイサーを拷問にかけているというのだ。惑星をも破壊するその超兵器は剣山において造られているらしい。烈は剣山へ飛ぶ。剣山に踏み入った彼をひとりの若者が襲うが、烈が密猟者でないと知るとおのれの非礼を詫びた。彼は伊賀電。森林パトロール隊の隊員だ。だが烈と別れ、再び現われた侵入者に立ち向かった電は、侵入者…バッファローダブラーに敗れ瀕死の重傷を負う。烈は電をかばいつつ蒸着するとダブラーを倒し、マクーのアジトに踏み込むがそこには既に父の姿はなかった。大爆発するアジトから、電を抱いて脱出するギャバン。マリーンは医学の発達したバード星で電を治療させるために、彼とともに帰っていった。そして烈は父を奪い返す決意を新たにするのだった。ミミー、ハンターキラー、ボイサー、伊賀電と物語のキーを握る人物が揃い、いよいよ大詰めを迎える。
第43話 再会

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 マクーは鬼首島で、ホシノスペースカノンをほぼ完成させつつあった。だが、レーザー増幅システムの構造図のみがサンドルバの手に入らない。その図のありかを吐かせようと自白液を注射するキバだったが、ボイサーは頑として口を割らない。彼はもはや瀕死の状態であった。牢に放り込まれたボイサーは、死ぬまえにたった一度でも成長した息子の姿を見たいと願う。彼は叫ぶ、ギャバンの名を。その叫びはギャバンの耳に届いた。ドルギランは鬼首島を急襲し、そこへマクーの総攻撃が向けられる。だが、烈はギャビオンで突破し、ホシノスペースカノンを破壊する。逃げるサンドルバには目もくれず、烈はボイサーを捜す。牢にはひとりの男。動かない。烈はそっとペンダントを開く。オルゴールが「青い地球は母の星」のメロディを流す。男はゆっくりと起き上がる…父だ。烈の表情が不安から確信へと変わる。烈はボイサーの手をとる。「ギャ…バン…」そして、ボイサーはドルギランへ。月子とボイサーは再会する。月子の父との約束を守るため秘密を隠し通してきた筈のボイサーが、秘密などは知らない、と謎の言葉を吐く。二人きりになった烈とボイサー。ボイサーは、妻・民子と地球の思い出を語り、そして二度と目覚めぬ眠りにつく。烈はボイサーの掌にレーザー増幅システムの構造図を見る。ボイサーに体温がある限り、それは浮かび上がらない仕掛けだったのだ。烈は父の死を乗り越え、そして最後の任務へと向かう…マクー殲滅。ラストに流れる「父よ」の歌詞がすべてを物語る。大葉健二にとっての千葉真一、また反対の立場でもこれは忘れられない演技となったようだ。ヨーロッパで「ギャバン」が放送されていた時、そこで旅行中の日本人親子に話し掛けられた千葉は、「ギャバンの父です」と応じたそうだ。現実の師弟関係を超えた父子の絆が、たしかに存在した時期があったのだろう。
第44話 ドンホラーの首

  脚本:上原正三
  監督:田中秀夫
 烈がボイサーの墓前に手を合わせている頃、ここに至っても卑怯な作戦にしか頼れないサンドルバは豪介らアヴァロン乗馬クラブの連中を人質にとるが、所詮ギャバンに通じる作戦でもなく皆は解放される。サンドルバは勘当されかかるが、キバと示し合わせてラストチャンスを求める。魔空城そのものをドルギランにぶつけるという大胆な作戦。その実、自分たちだけは逃げようとしていたサンドルバとキバだったが、そんなことはドンホラーはお見通しだった。魔空空間でギャバンと戦わされるサンドルバとキバ。しかし、サンドルバを守るようにミミーや月子たちが現われる。キバの魔術とは判っているがギャバンには手が出せないのだ。サンドルバがギャバンを切り刻もうとした時、赤い光球がギャバンを救った。シャリバンと名乗る赤いコンバットスーツの男だ。彼からファイトを貰い、ギャバンはサンドルバとキバを倒す。そして、魔空城へ。ダブルマンたちには目もくれずギャバンはドンホラーに立ち向かう。そして首を切り落とすが、首だけでも攻撃してくるドンホラーの脅威!ギャバンは燃え上がる闘志でギャバンダイナミックを浴びせた…マクーの最期である。戦いは終わり、烈をミミーとマリーンが迎えた。そしてコム長官もひとりの若者を連れてやってきた。伊賀電…彼がシャリバンだったのだ。ギャバンは銀河パトロール隊長に昇格し、ここにギャバンの物語は幕を下ろす。それとともにシャリバンの物語が始まる見事な交代劇である。