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ウルトラマンタロウ

ウルトラマンタロウ事典
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 1973'4'6〜1974'4'5

 ウルトラマンシリーズも本作で5作目。それぞれに特徴があるシリーズだが、本作のコンセプトは「お祭り」と言っても良い。「ウルトラマンA」で登場したウルトラの父に続き、ウルトラの母や、兄弟総出演の話も多く、そういう意味では大変サービス精神に溢れた作品となっている。
 又、作中でもふんだんに笑いの演出が取り入れられているのも大きな特徴で、本作の味になっている。ただ、時折暴走が過ぎて物語そのものを壊してしまうこともしばしば。子どもの時はそう言う笑いの演出が嫌いであんまり観てなかったのだが、観直してみると、これは又味があり。今から考えると、本作の特徴は徹底して子供の目線で作られていると言うことなのではないだろうか?
 タロウは潜在能力に関しては兄弟随一の強さを持つという設定なのだが、物語の展開上兄弟を呼ぶ必要が多いことからか、やや負けが多いキャラでもあった。ただこれまで歴代の兄弟と較べても、初代「ウルトラマン」に次ぎ、肉体を使ったアクションが多いため、怪獣との戦いは実に見栄えがする。
 いくつもの見所のある作品だが、七五調の予告も見所(聞き所?)。様々な魅力がある作品ではあり。

主な登場人物
東光太郎
ウルトラマンタロウ
(役)篠田三郎。ATG時代の青春ものの作品に出演が多かった。特撮では「シルバー仮面」の春日光三役。シリーズでは前作「ウルトラマンA」で篠田一郎という名前でゲスト出演している。
 22歳。世界各地を旅していたが、白鳥船長の船に乗って日本に帰国。そこで見せた知恵と勇敢さを朝日奈隊長に買われZATに入隊する。ウルトラの母によりタロウと合体し、タロウに変身して怪獣と戦う。
朝日奈勇太郎 (役)名古屋章。日本映画の名優の一人。数多くの映画・TVドラマで味のある演技を見せている。声優としても活躍。
 42歳。ZATの隊長だが、仕事が多いらしく、現場に顔を見せる事は少ない。時折奇矯な行動を見せるが、その作戦指示は的確で、ZATには無くてはならない存在となっている。
荒垣修平 (役)東野孝彦。後の東野英心。東野英二郎の息子でテレビ、映画と活躍していたが、2000'11'14に永眠。
 29歳。ZATの初代副隊長。大柄で無口な性格をしている。朝日奈隊長の薫陶を受けてか時折妙な言動もあるが、隊員からの信頼も厚い。後に宇宙ステーション勤務となる。
二谷一美 (役)三谷昇。数多くの映画・TVドラマに出演しているが、その風貌故か、怪奇ものに数多く出演している。特撮では他に「宇宙刑事ギャバン」の魔女キバなど。
 ZATの2代目副隊長。名前は優しいがれっきとした男。もう中年にさしかかってるが、若い者には負けないと前線に出、日夜密かにトレーニングを積んでいる姿が泣かせる。責任感が強く、自分のミスにはつい涙ぐんでしまうため、「泣きの二谷」と呼ばれる。
北島哲也 (役)津村秀祐。本作がほぼ最初の当たり役。以降は時代劇を中心に活躍中。
 ZAT一の理論家として知られ、怪獣に対してはかなり慎重な態度を取るタイプ。だが、釣りのためなら少々の危険を顧みないという。光太郎以外に珍しく私生活の描写もあり、45話では自分のことを「郷土の誇り」と言っていた。
南原忠男 (役)木村豊幸。
 ややおっちょこちょいの所があるZATのムードメーカー。マシンの操縦や射撃の腕は一流。24話では母親も登場しているが、母には頭が上がらないようだ。
西田次郎 (役)三ツ木清隆。他に「光速エスパー」主人公東ヒカル、「白獅子仮面」の剣兵馬役、「地球戦隊ファイブマン」の星野博士など。
 少々無鉄砲な所のあるZAT隊員。初期には光太郎と良いコンビを組んでいたが、後に宇宙ステーションに転勤となった。
上野孝 (役)西島明彦。出演作は本作および「突撃!ヒューマン」のヒューマン2号のみ。
 西田隊員に代わって第8話から編入となった18歳の若手隊員。光太郎の良き後輩。
森山いずみ (役)松谷紀代子。子役出身で、いくつかの特撮作品でも客演している。
 ZATオペレータだが、時に前線に出て戦うこともあり。実は射撃や運転技術など、他の隊員よりも上手い。光太郎に想いを寄せている描写もあり。
白鳥さおり (役) あさかまゆみ。本作がデビュー作。以降テレビを中心に現在も活躍中。現在の芸名は朝加真由美。
 白鳥家長女。女子大生だが、母がおらず航海に出がちな父の不在に代わり、白鳥家の家事一切を取り仕切っている。スポーツ少女でもあり。光太郎にほのかな思いを寄せている。
白鳥健一 (役)斎藤信也。
 光太郎が下宿している白鳥家の長男。腕白坊主だが怪獣が出た時には立ち向かう勇気も持っている。光太郎が大好きで、タロウに憧れている。
話数 タイトル コメント DVD
第1話 ウルトラの母は太陽のように

  監督:山際永三
  脚本:田口成光
  特技監督:佐川和夫
 世界各地を旅していた東光太郎は白鳥船長の船に乗って久しぶりに日本に帰って来た。南米から持ってきた幻の植物チグリスフラワーの種を港に植え、希望一杯の光太郎だったが、その前に超獣オイルドリンカーが現れ、更に光太郎の植えたチグリスフラワーがアストロモンスへと変身してしまうのだった。宇宙科学警備隊ZATに入隊して戦う光太郎だったが、アストロモンスによって瀕死の重傷を負ってしまった。だがそんな光太郎の行動を見ていた存在が…
 敵はオイル超獣オイルドリンカー。光太郎が日本に帰国した直後に現れた超獣で、「ウルトラマンエース」からの生き残りらしい。石油をエネルギーにしておりオイルタンクを襲う。尚、この造形は「ミラーマン」のゴルゴサウルスからの流用である。そして宇宙大怪獣アストロモンス。光太郎の持ち帰ったチグリスフラワーから誕生した怪獣で、腹に大きな花があるのが特徴。オイルドリンカーを捕食してしまい、超獣よりも怪獣が強いと印象づけるに良い存在だった。空も飛べる。
 シリーズの第一話。主人公はとても明るく、戦いもコミカルに仕上げられており、今までのシリーズとは何か違う。と思わせるには充分な作品に仕上げられているのが特徴。一話目からウルトラ兄弟と初登場となるウルトラの母が登場。
 ZATのメンバーも今からすると蒼々たるメンバーで、力の入れ方が凄いな。
 それに特撮部分の力の入れ方が凄い。火薬の量や倒壊するビルの数々。そして人間と怪獣の対比方法。そして勇壮なテーマソングで戦うタロウの勇姿等々、古き良き特撮の総力を結集した作品と言っても良い。日本特撮を代表する名作の一本に数えられるだろう。
<光太郎はチグリスフラワーを日本に持ち込むが、突然船から飛び降りて持ち込んでた…これ密輸じゃないのか?
 まだウルトラマンの力を得ていない光太郎はアストロモンスと戦うのだが、勿論サイズ的に敵うはずはない。それでもアストロモンスの足に噛みつくとか無茶苦茶なことをしてる。
 その勇気を認めた朝日奈隊長にスカウトされ、ZATに入隊する事となった光太郎。隊長の推薦さえあればZATは入れるんだろうか?…まあ、あの隊長のことだから、色々超法規的な根回しをしてるんだろうけど。
 ZAT基地は都内のど真ん中に巨大な姿を見せている。これは極めて危険な事なのでは無かろうか?
 ウルトラマンが必殺技を叫ぶのは珍しいのだが、タロウに限ってはうまくはまってるね。>
VOL.1
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第2話 その時ウルトラの母は

  監督:山際永三
  脚本:田口成光
  特技監督:山本正孝
 ZATで特殊訓練を受ける光太郎だが、体術はまだまだのため自主トレーニングを続けていた。そんな光太郎に下宿先の健一が何でも飲み込んでしまう不思議な穴を見つけたと報告する。そんな時、奥多摩の工事現場に怪獣が現れる。早速調査に向かうZATだったが…
 敵は液体大怪獣コスモリキッド。山奥の工事現場に現れた怪獣で、舌を伸ばして獲物を捕食する。体を液化させることが出来る。そして再生怪獣ライブキング。何でも飲み込んでしまう不思議な穴の正体で、ポップコーンから人間まで何でも食べてしまう。コスモリキッドまで飲み込んでしまった。叫び声はなんと「わははははははは」とひたすら笑い続けるという変なもの。
 これが初変身シーンとなるが、光太郎がタロウに変身する時、「よし。ウルトラマンタロウになる時が来たぞ」と決意を表明。こんな所にも明るさが表れてる。
<朝日奈隊長が調査に向かわせる際、「夕べカレー食べた奴いるか?」と聞いていた。おい。こんなので良いのか?
 ZATで食事のシーンが描かれる。荒垣副隊長は一人黙々と食べてるけど、食べてるのはカレーとおにぎり…炭水化物ばっかりかよ。
 何でも飲み込む穴に飲み込まれてしまった光太郎。そう言う怪奇現象をこれまで全く調べなかったZATの職務怠慢だな。それにしてもこんな簡単に怪獣に取り込まれてしまう主人公というのも情けない。
 光太郎が飲み込まれてしまい、ライブキングが登場したと言うのに、ZATの面々はのんびり作戦会議。「昨日液体怪獣飲みこんじまったから消化不良なんじゃないですか?」「消化の悪い怪獣飲みこんじまったから酷い便秘になったんじゃないか」「じゃあ早く下剤飲ませたらどうですか?」…健一も呆れてみてたよ。
 ライブキングに飲み込まれた光太郎はそこで変身すれば良いような気がするんだけど、なんか出来ない理由でもあったのだろうか?悪い空気に満ちていて変身出来ないとか。>
第3話 ウルトラの母はいつまでも

  監督:山際永三
  脚本:田口成光
  特技監督:山本正孝
 ライブキングと復活したコスモリキッドを相手にし、タロウは辛くもコスモリキッドを倒すことが出来た。だが、強力なライブキングはまるであざ笑うかのようにタロウを翻弄する。その時、はるかウルトラの星から地球に向かって飛来する影が…
 敵は前回に続き再生怪獣ライブキング液体大怪獣コスモリキッド。ライブキングはとにかく笑い続ける。どれほどのピンチに陥っても、腹に穴が空いても、果ては体がバラバラにされても構わずに笑ってるんだから堂が入ってる。ただし再生怪獣の二つ名は伊達でなく、しっかり復活して再登場。タロウとウルトラの母に宇宙に連れて行かれて破壊された。コスモリキッドの方はウルトラフリーザーに凍らされた上でスカイホエールの搭載したスパイクで粉砕。人間に倒された怪獣が早くも現れた訳だ。
 朝日奈隊長の非凡さと本作のカラーが見事に出た作品で、ライブキングに飲み込まれてしまった光太郎を助けるために朝日奈が頼んだのは、なんとコショウ1トン。それをライブキングに噴霧することで、大きなくしゃみを起こさせ、光太郎を助ける…何という作戦だ
 そしてウルトラの母の登場と初めての戦い。母は主に治癒担当とはいえ、しっかり戦いもこなしてる。今回も見所満載だ。
<ライブキングに投げ飛ばされてすっかり頭に来たコスモリキッドは転げ回りながら駄々をこねる。そりゃ倒れた所を「わははは」と笑われたら拗ねたくもなるわ。
 コショウのお陰でもの凄いくしゃみをしたお陰で光太郎は救われる訳だが、瞬間風速で考えたら、絶対死んでるよ。で、松の枝に腰掛けて「おーい」とか叫んでるし。
 スポーツ服姿でライブキングからふっとばされた光太郎は次の瞬間ZATの制服着て合流してる。いつ着替えた?
 走ってくる新幹線を手でたたき落とすコスモリキッド。こんな非常時に電車走らせるものなのか?都民も怪獣に麻痺してるのか?
 なんと寝そべったライブキングの下敷きになってしまった光太郎。良く生きてるよな。
 そしてとうとうウルトラの母が登場。健一やZATの面々は「ウルトラの母だ」と叫んでるけど、人間に対しては初登場のはずだよ。
 タロウ二度目の登場でライブキングの頭にドロップキックをかますが、その際ライブキングの頭が不自然に曲がってる…中の人、大丈夫か?>
第4話 大海亀怪獣東京を襲う!

  監督:吉野安雄
  脚本:上原正三
  特技監督:鈴木 清
 新聞で南海のオロン島に棲息するキングトータスとクイントータスの捕獲作戦が開始された。平和に住む二匹をそっとしておいて欲しいという光太郎の願いも虚しく、黒崎らによってクイントータスの産んだ卵を持ち帰られるのだった。だが母性本能の強いクイントータスは人間の所行に怒り、東京へと上陸してくるのだった。
 敵は大亀怪獣キングトータスクイントータス。オロン島に住む平和な巨大亀だったが、人間によって卵が東京に持ち帰られ、その卵を取り戻すために東京に上陸してくる。手足を引っ込めて回転しながら飛んでくる様はそのまんまガメラだ。赤い卵のような爆弾を産み、ストリウム光線の直撃にも耐える硬い装甲を持つ。
 『モスラ』や『キングコング対ゴジラ』のような東宝特撮の定番に『ガメラ』や『ガッパ』を合わせたような物語が展開する。平和に暮らしていた動物を強引に持ち帰ると、どれだけ怪獣の怒りを買ってしまうと言う好例。しかも人間の所行でしっぺ返しを受ける訳だから、怪談っぽい演出も映えている。
<クイントータスの前で卵のスープをおいしそうに啜る黒崎達…かなりキてる描写だ。
 光太郎達は黒崎達の乗ってる船ごとクイントータスを平気で爆撃してる。ZATとは怖い組織だ。
 ラビットパンダで哨戒中の光太郎と西田。光太郎は先輩である西田のことを呼び捨てにしてるが、西田もそれを疑問に思ってないらしい。ZATは実力社会なのかな?>
第5話 親星・子星・一番星

  監督:吉野安雄
  脚本:上原正三
  特技監督:鈴木 清
 朝日奈隊長はキングトータスとクイントータスをオロン島に帰す“バスケット作戦”を開始した。だが地球警備隊のスミス長官は二体を危険なものと見なし、攻撃を指令する。地上のどこにも行けなくなってしまった親子怪獣に対し、タロウの取った行動は…
 敵は前回に続きキングトータスクイントータス。そして卵から孵ったミニトータスも登場。
 本作は長いことウルトラマンシリーズに関わってきた上原正三氏による昭和ウルトラシリーズ最後の脚本となったが、今までのシリーズに対する思いをぶつけたような骨太の内容となっている。
 一見ほのぼのした作品に見えながら、怪獣はこの地上のどこにも住む所がないという、怪獣の悲しみを正面から描いた話であり、内容的には大変重い内容になってる。結果としてウルトラセブンの勧めで三匹(クイントータスは既に死亡してるが)をウルトラの星へと連れて行くことになる。なんかやりきれない話だ。特に艦砲射撃で卵を自分の口に入れて守ろうとしたクイントータスがやられるシーンなんかは、今観てもかなり厳しい内容だ。更にそれを殺さねばならないタロウ…地上のどこにも答えが無い。それでセブンがやってくるのは、ある意味ご都合主義ではあるものの、こうしないと話がまとまらないのは事実だし、この地上で本当に生物は共存出来るのか?という痛烈な皮肉も込められていると見られよう。
 朝日奈隊長は警備隊上層部の意向を無視することもあるようだ。人情を知る隊長らしいエピソードである。
<さおりからの差し入れを受け取るZATの面々はバスケットのおにぎりを勝手に頬張ってる。このほのぼのさが本作の身上でもあるが、こんな簡単に差し入れ入れたらテロを簡単に受けるんじゃないか?と思ってしまう。
 バスケット作戦をクイントータスに説明する南原は、自らバスケットを加え、「こうやって運べ」と指示。それで分かるものか?
 爆弾を一つ一つ産んでそれを爆発させるキングトータスの姿を見ていると、なんかボンバーマンみたいな気がする。
 クイントータスの死に際し、黙祷を献げるタロウ…ウルトラの星の作法とは思えないけど。
 クイントータスを殺したタロウを許さずに攻撃を加えるキングトータスとミニトータスだったが、姿はほとんど同じセブンがやってきたら、素直にそれに従ってるよ。>
第6話 宝石は怪獣の餌だ!

  監督:筧 正典
  脚本:田口成光
  特技監督:川北紘一
 さおりの誕生日の前日にエジプトで手に入れた宝石を手渡す光太郎。その宝石はエジプト語で書かれた手紙で包まれていたが、それを開いてしまったことで、、宝石を狙い怪獣がやってくるのだった。
 敵はなめくじ怪獣ジレンマ。満月の度に宝石を食べることで巨大化していくというなめくじの怪獣。尚、名前の由来は宝石を身に付けていると怪獣に襲われるが、身から離すと光太郎に責任が及んでしまうと言うさおりの心境から。熱には極端に強い。
 これまで幾多の(?)危機をくぐり抜けてきたポチがジレンマに溶かされて退場してしまった。可哀想に。で、二代目のポチを光太郎がケンイチにプレゼントするのだが、何故か今度はポメラニアンだった。それにしても、あれだけ大切にした犬が死んでも明るいケンイチ君って、強い子だね(念のため。これは嫌味だよ)。
 本作のメインライター田口成光の脚本だが、やっぱり明るく、そしてツッコミどころ満載に仕上げられてる。これが楽しい人だね。
 特撮部分には相変わらず力入ってる。特にスカイホエールからのナパーム弾投下のアングルは最高。
<エジプトからのおみやげとして宝石を持ってきた光太郎。こいつチグリスフラワーと言い、危険なものを次々と密輸してくるな。大体ヒーローが密輸してどうするよ?
 ちなみに宝石を光太郎に渡したのはエジプトのお婆さんだと言うことだが、それってひょっとして厄介払いしたいだけじゃ?
 光太郎のパジャマの色はピンク色。ついでに花柄のタオルを首に掛けてる。結構趣味悪い。
 「ZATは科学的に」と言いつつ、やっぱり「夕べカレー食べたのは誰だ?」と聞く朝日奈隊長。良い味出してるよな。
 まだ小さいジレンマを見つけた光太郎は、「このおばけナメクジめ!」と叫んで両脚で踏みつける。もし潰れたら無茶苦茶気持ち悪い描写になってただろう。
 で、そのジレンマにいきなりZATレーザーをかます光太郎…まさに「既知外に刃物」の例え通りの反応だ。ヒーローがこれで良いのか?
 ジレンマに対してナパーム弾を使用するZAT…市街地でこれ使うのか?凄すぎるぞZAT。
 ジレンマはペンダントを狙ってきているというのに、さおりは「これはきっと私を守ってくれるお守りだわ」とか言って手放そうとしない。女性は宝石に弱いとは言うけど、ここまできたら立派すぎる…さおりの言葉によれば、このままだとジレンマの出現は宝石を持ってきた光太郎の責任にされてしまうので、命を賭して光太郎を庇おうとしてとのこと…はっきり言ってそれは「無駄死に」って奴だぞ。
 相手がナメクジ型だけに、目が突き出ているが、その目を抜き取ろうとするタロウの姿が…グロテスクな。>
VOL.2
<A> <楽>
第7話 天国と地獄 島が動いた!

  監督:筧 正典
  脚本:石堂淑朗
  特技監督:川北紘一
 南洋のBS海域で次々と船が行方不明となった。海上保安庁の依頼を受けて調査に乗り出したZATだが、そこで彼らが見たものは、なんと二体の怪獣が戦っている姿だった。熱を出して寝込んでいた光太郎だったが、ZATの面々の危機を知って飛び出していく。
 敵は大ダコ怪獣タガール大ガニ怪獣ガンザ。タガールはタコそのものの姿をした怪獣で突然海から現れて墨を吐きながらガンザと戦うが、ガンザに倒されてしまった。ガンザは次々に船を襲っていたカニの怪獣で、ハサミなどは再生能力を持ち、更に溶解液を口から吐く。タガールを倒して八丈島に上陸した所をタロウと戦って破れる。どことなく「仮面ライダーV3」のザリガーナにも似ている。
 怪獣同士の戦いが描かれる話だが、ものとしては『南海の大決闘』っぽい。尚、石堂氏脚本だと何故かカニ型の怪獣が出てくるのが多いが(例えば「帰ってきたウルトラマン」のザニカとか)これは石堂氏がカニ座生まれだからだそうだ。
 北島隊員の釣り好きがよく出ていた話で、なんでも「弁当を忘れてもこいつ(釣り竿)は忘れません」だそうだ。かと思うと南原はパンツ一丁で海水浴としゃれ込んでる。なんとものどかな風景だ。
<風邪で寝込んでいた光太郎。仮にもウルトラマンと合体している人間がそんな甘いこと…と思ったら、風邪など2、3時間で治ってしまい、「後はさおりさんに甘えていただけ」だそうだ。こういう事をさらっと言える主人公はあんまりいないけど、本作のカラーを良く表した台詞だろう。
 ガンザはカニだけに横歩きしかできないらしいが、実際には前に歩いていたシーンもあり。
 ガンザにコンドルが落とされて光太郎が不時着したのはなんとガンザの目の上。普通はこの状態で変身してると思うんだけど、ここでこういう演出をするのも本作らしさ。
 ガンザが倒れると、無数の子ガニへと変化するが、なんとその後、人々がそれを食べてるシーンあり。「これもウルトラマンタロウのプレゼントだ」…ちょっと待て!前のキングトータスの話と思いっきり矛盾してるぞ。>
第8話 人喰い沼の人魂

  監督:岡村 精
  脚本:田口成光
  特技監督:山本正孝
 人喰い沼と呼ばれる沼で人が消えるのを見た次郎少年。だが、その事をZATに通報するも誰も信じてくれず、電話はたらい回しにされる。だがその間に事態は悪化の一途を辿る…
 敵は大蛙怪獣トンダイル。蛙型の怪獣で、人喰い沼と呼ばれる沼で冬眠に備えて次々と人間を捕獲していた。口から出すカプセルに犠牲者を封じ込める。
 怪談ものを組み合わせた作品だが、怖さよりはコミカルさの方を前面に押し出した感じに仕上げられている。これも本作の特徴と言えるか。
 西田隊員が宇宙ステーションV9に転勤になったので、新たに上野隊員が着任してきた。シリーズで主人公の後輩が出来たのは初のこと。
 シリーズにはよく登場する大泉滉が今回も妙な警官姿で登場。相変わらず楽しませてもらえる。
<珍しい立ち小便のシーンがあり。しかもそのシーンは長々と…
 人魂を見たという光太郎に対し、荒垣は光太郎を子供扱いし、両手を顔の横に当ててひらひらさせながら「おこちゃまですね〜」とか。ちょっとおふざけが激しい感じ。
 「調査」と称し、父親を怪獣に飲み込まれた少年の前でのんびり釣り糸を垂れる北島隊員。感情逆なでしてるよ。
 ZATが頼りにならないからと言って、槍で怪獣に立ち向かう次郎少年。無茶な子供だ。
 その槍を投げつけ、トンダイルの目を潰す光太郎。現代からすると描写的にかなりきつい。>
第9話 東京の崩れる日

  監督:岡村 精
  脚本:石堂淑朗
  特技監督:山本正孝
 高層ビルが崩れ去る事件が連続発生する。調査したZATは設計ミスか手抜き工事でと結論付けるが、ノイローゼになってしまった設計者の息子としおは納得いかず、健一と共に独自に調査を開始するのだった。
 敵は大羽蟻怪獣アリンドウ。突然変異を起こした羽蟻が合体して巨大化した怪獣。口から炎や蟻酸を吐き、触覚からは電流を流す。
 脚本は石堂淑朗とクレジットされているが、原案は阿久悠氏の息子深田太郎。「帰ってきたウルトラマン」を思わせるオーソドックス且つ緻密なものに仕上げられている。
 ところで今回朝日奈隊長はお休みで荒垣副長が現場指揮を執るが、他の隊員はなんか嫌々従ってる感じ。朝日奈隊長が偉大なのか、荒垣に人望が無いのか。
 そういえばZAT新隊員の上野に対し、きびきびと指令を与える光太郎の姿が見られるが、先輩って言っても僅か2ヶ月足らずなんだよね。
 キャラのアップや移動など、カメラワークにこだわりが見られる作品だが、手ぶれがちょっと激しいため、決してそれが活かされているとは言いがたいのが残念。
<ZATはビルから蟻の大群をおびき寄せることに成功したが、その蟻を焼き殺そうと、東京上空で火炎放射を使う。下の被害は相当なものになると思われる。
 アリンドウの触角の上に自ら飛び乗る光太郎。こいつはよく人間の姿のまま怪獣と戦おうとするが、まともに考えたら絶対何度も死んでるよ。>
第10話 牙の十字架は怪獣の墓場だ!

  監督:山際永三
  脚本:木戸愛楽
  特技監督:大平 隆
 光太郎は日本アマチュアボクシング新人戦に向け、減量に苦しんでいた。そんな時怪獣デッパラスが現れ、光太郎はボクシング試合と同時に怪獣退治にも駆り出される
 敵は海象怪獣デッパラス。なかなか愛嬌のあるセイウチ型の怪獣。地下で眠っていたが、食べ物を求めて地上に出てくる。満腹するとすぐに寝てしまう。こう見えて結構ナルシストらしく、鏡を見ると、それにくっついてくる習性があり、それを利用され一旦は倒されるが、体中焼けただれた姿で再生すると、逆に怒り狂うようになってしまう。
 光太郎の個人的な事情で危機が訪れる話。一応防衛組織なんだから、体調は万全でないとどんな目に遭うか分からない。と言うことを描きたかったのか?
 ZATの面々もまだ若いから、休暇は女の子たちと合同デートを楽しんでる。一緒にいることは良いことかも知れないけど、やや脳天気な姿が描かれる。
 久々にZAT本部の分離上昇が見られたり、初めて変身の際「タロウー」と叫ぶようにもなった。このかけ声は以降のシリーズの定番へとなっていく。色々トピックの多い話だ。
<減量に苦しんでるという光太郎は何故か皮膚がたるんでるように見えるぞ。
 銭湯に入ってる時にデッパラスに襲われた光太郎は怖がって健一に抱きつこうとする。なんせ裸だからなあ。今は無理な描写だろう。
 光太郎のボクシングの試合に大挙して応援に駆けつけるZATの面々。みんな制服姿なんだが、勤務を抜けてきたのか?朝日奈隊長まで本部でTV観ながら応援してる。
 怪獣が現れた事を知った光太郎は対戦相手に試合延期を申し込むが、試合中のため、マウスピース銜えながら。全然聞こえてない。
 カウント途中でZAT制服に着替えて出動しようとする光太郎。着替えの速さは驚異的。それよりカウントは放っておいて良いのか?
 出動を前に減量後の旺盛な食欲を見せさおりの作ってきた食べ物をもりもりと食べる光太郎。絶対腹壊すよ。
 デッパラスの牙がタロウの腹に突き刺さり、完全に貫通。しかしタロウは何のダメージも無し。バードンの時は突っつかれただけで死んでしまうと言うのに。>
VOL.3
<A> <楽>
第11話 血を吸う花は少女の精

  監督:山際永三
  脚本:木戸愛楽
  特技監督:大平 隆
 謎の連続殺人事件に警察からの要請があったZATは協力し、聞き込み捜査を開始する。その過程で光太郎はかなえという女の子と知り合うのだった。はさみをいつもチョキチョキと鳴らしながらうろつき回るかなえに振り回される光太郎だが…
 敵は蔦怪獣バサラ。元は捨てられて死んだ子供達を供養する為に作られた捨て子塚で土葬された子供の死体を栄養分とした吸血植物だったが、それが成長して人間を襲うようになった。ほとんど妖怪である。よく見ると顔はアリンドウにそっくり。着ぐるみの流用だろうか。
 今回の作品は時代がよく分かる哀しい話が展開。親子の絆を描く作品は数あれど、親子の断絶を正面切って描いた作品はシリーズでは初だろう。まんまホラーで、「怪奇大作戦」っぽい話に仕上げられており、基本的にコメディ路線の本作にあっては異色作と言っても良いだろう。最後に光太郎も世の中の非情さに憤懣を隠しきれない発言してる。
 かなえはその花がどんな効果を持つのか知った上で花を親子に手渡していた。凄い子供だ。無表情に次々と人殺しをしてる子供って凄すぎる。
 今回特徴的なのは効果音。かなえの持ったハサミがチョキチョキとなる音。バサラ自身が出す赤ん坊の泣き声のような叫び声。時折挿入される読経。そして人を苛立たせるようなBGM。なんとも凄い演出だ。
<光太郎は夜勤明けで強引に連れ出される。その際受話器に向かって怒鳴っているが、ZAT隊員がそれで良いのか?
 バサラの蔦は赤ん坊の泣き声みたいだが、バサラ本体の叫び声はオッサンのうなり声に聞こえる。
 話はきついが、タロウとバサラの戦いは結構コミカルで、いきなりタロウがヤクザキックをかましてぶっ倒れた所をストリウム光線で倒してしまった。>
第12話 怪獣ひとり旅

  監督:深沢清澄
  脚本:田口成光
  特技監督:山本正孝
 健一とさおりと共に光太郎は九州旅行に出かけた。その船旅の途中たけしと言う少年の密航者と出会う。たけしは宮崎で温泉掘りをしているという父親に会いに来たのだが、その頃、たけしの父親は怪獣ボルケラーに襲われていた。
 敵は噴煙怪獣ボルケラー。えびの高原地下に棲息していたが、温泉堀のボーリング工事で目覚めてしまう。爆発を伴うイエローガスを吐き出すが、このガスは人間には無害。
 怪獣に食われた父親の仇討ちと言うことから、一見ストーリーは重いはずなのだが、妙に外したギャグが連発した話に仕上がった。これも本作らしさか。怪獣に光太郎がしがみつく描写はこれまでにも何度もあったが、しがみつきながら「熱ち熱ちち…」とか言ってるよ。ちゃんと考えろよ。
<たけしの父親は温泉堀の名人との事だが、「こんな所からは湯が出ない」と断言。出ない所の工事をしないのが名人ってものじゃなかろうか?
 宮崎が舞台のはずだが、そこの社長は何故か博多弁。どことなくせんだみつお風。
 調査を開始した光太郎はZATの制服に着替えてる。休暇でも持ってきてるの?
 社長さんは地震が起きようと怪獣が出ようと関係なくここにホテルを建てると言ってたが、そんな所に誰も来ないと思うぞ。
 たけしはボルケラーに対して石を放り投げるがあんな重そうな石を勢いを付けてボルケラーの頭にヒットさせるとは、実はとんでもない怪力の持ち主かも知れない。
 タロウはたけしの父親を助けるためボルケラーの口に手つっこんで胃袋を取り出してしまう。なんと猟奇な話だ。考えてみると、眠っている所をたたき起こされ、散々攻撃を喰らった後で内臓奪われて宇宙に放り投げられるとは、なんとも悲惨な目にあった怪獣だ。>
第13話 怪獣の虫歯が痛い!

  監督:深沢清澄
  脚本:田口成光
  特技監督:山本正孝
 宮崎でZATの演習が行われた。ところが水中ミサイルの試射をしていたところ、なんとミサイルが海中で眠っていた怪獣シェルターの歯の間に挟まってしまい…
 敵は虫歯怪獣シェルター。海中で眠っていた所を水中ミサイルを撃ち込まれ、それが歯に挟まってしまって、痛みのために上陸。光太郎が間違って普通の歯を抜いてしまったことから凶暴化する。のんびりした顔つきをしているがストリウム光線が全く効かないなど、打たれ強さがあり。
 怪獣の歯に挟まったロケットを取ってやって海に返そう。という、何だかほのぼのした話が展開。しかし、なんとロケットの代わりに本物の歯を抜いてしまったため、凶暴化してしまうと言う…ほとんど冗談みたいな話だ。これも本作の醍醐味って奴か。
 南原隊員の故郷という宮崎ロケの話。怪獣が現れて母を案ずる南原の姿が見られるが、その母というのがかなり強烈なキャラで、近眼のため息子を間違えたり、怪獣の接近に気付かなかったり、挙げ句にメガネをかけて息子を見たら「怪獣!」と叫んだりしてる。一方、宇宙ステーションに行っているという西田隊員の姿もあり。
<シェルターの歯からロケットの代わりに本物の歯を抜いてしまう光太郎。それを見ていたZATの面々は「ありゃ痛いぞ」とかそれぞれ感想を言い合ってる。一方シェルターは目から涙が…分かりやすい演出ではある。
 前回のボルケラーに続き、シェルターも平和に眠っていた所をたたき起こされた上で歯を抜かれ、殺されてしまう。何とも可哀想な存在でもある。
 タロウとシェルターの戦いもなんかほのぼの調。シェルター倒すよりも相手の歯を気遣ってるように見える…結局殺してしまうんだけど。>
第14話 タロウの首がすっ飛んだ

  監督:山際永三
  脚本:石堂淑朗
  特技監督:−
 健一とさおりは休日を利用して田舎へとやってきた。自然が一杯に残っているはずのこの地も、宅地化で山が崩されつつあった。そんな時、切り崩された山の中から不思議な地蔵が掘り出される…
 敵はえんま怪獣エンマーゴ。江戸時代に現れた怪獣で辺り一帯の山を滅ぼしていったが、地蔵によって封印されていた。発破で掘り出された地蔵が怒って呼び出す。手にした剣はあらゆるものを斬り、なんとタロウの首までを刎ねてしまう。地蔵に動きを止められ、復活したタロウのストリウム光線を受けて破壊される。
 完全な妖怪話で、ショッキングなタイトルと合わせ、非常に印象深い話となってる。こういう無茶な話があるからこそ本作は楽しいのだが。タロウの首が落とされた時、梵字とお経が流れる描写も怪奇っぽくて良し。トラウマ描写って感じもするけど。とは言え、このタイトルは妙すぎて笑えてしまうのだが。
<発破工事を行っていると言うのに、平気で子供が近づいてる。現場は立ち入り禁止にしてないんだろうか?
 昆虫採集をしてる最中に造成中の裸山に迷い込んでしまった健一とさおり。どうやったら迷い込めるのやら。
 ZATが調査している時、地主さんがやってきて、「儂が有名な金持ちの島田だ」と自己紹介してた。面白い自己紹介のしかたもあったもんだ。嫌な奴ってよりはネタのようなキャラだった。
 ナレーションで、エンマーゴに首を刎ねられたのは「肉を切らせて骨を断つタロウの作戦だった」と解説される…いや、流石にこれ「肉を切らせる」なんてレベルじゃなかろう。>
VOL.4
<A> <楽>
第15話 青い狐火の少女

  監督:筧 正典
  脚本:斎藤正夫
  特技監督:大平 隆
 那須。狐憑きと噂される孤児のクレナイカオルが山で今は亡きお母さんに叫ぶと、周囲には狐火が舞い踊るのだった。その狐火を見た付近の住民は自警団を結成してカオルを取り囲む。
 敵は狐火怪獣ミエゴン。透明化光線を操り、普段は姿を消しているが、出現する際は放電現象で狐火のようなものが生じる。炎を吐くが、タロウに防がれ、自分の炎に焼かれてしまった。
 展開そのものは「帰ってきたウルトラマン」33話「怪獣使いと少年」によく似ている。あそこまで描写はきつくないけど、石を投げつけられる描写や、怪獣ミエゴンがどことなくムルチに似ているのはわざと?むしろ「ウルトラマン」30話「まぼろしの雪山」に近いか?一応最後は救いもあるし。親子の絆を強く打ち出すのは本作では多い。しかし一方では母親を失ったという物語も多いのは事実。本作は健一とさおりの母親不在も又、話題にされている。展開としてはかなり重め。
 そう言えば「帰ってきたウルトラマン」7話「怪獣レインボー作戦」と同様にペンキを噴射して透明怪獣の姿を見られるようにさせる描写もあり。
 特撮部分は、タロウの右手を大きくしたモデルを使い、空中からのパンチを強調していたりする。
 カオル役の女の子、決して演技は上手くないものの、妙に味のある演技をしている。
<両親について書けという宿題は、こういう事もあって傷つく子が多いため、今ではほとんど出されないと言うが、当時は当たり前のように出ていたんだな。
 自警団に追われたカオルは遊園地に身を隠す。だけど、あんな逃げ方したら普通あっという間に捕まる。
 自警団はカオルのことを「あれは人間じゃない。狐だ」とか言って殺す気満々。法治国家の人間とは思えないような発言だよ。>
第16話 怪獣の笛がなる

  監督:筧 正典
  脚本:田口成光
  特技監督:大平 隆
 学校の宿題だったオカリナの練習を叱られてオカリナを壊された亜理人少年は祖父が作ったという笛を使って練習するのだが、その音を聞きつけた怪獣オカリヤンが現れる。
 敵は笛吹怪獣オカリヤン。大きな出っ歯とにやけたような表情が妙な特徴を持った怪獣。亜理人少年が吹く自分の歯で出来た笛の音に合わせて登場。自分の体に出たコブを投げつけて攻撃する。
 全般的にコミカルな作品で、怪獣自体が妙にとぼけた存在なので、それが味になってる。それにしても効果音が暗いので、ちょっと合ってないような…
 妙に日常感覚に溢れた作品で、亜理人少年の家は子どもを叱る妙に権威的な母親と気弱な父親。そしてZATではみんなでアイスクリーム食べてたり、将棋差してたり。アットホームさが強調されている。
 特撮部分もかなりコミカルで、オカリヤンの攻撃方法は自分の体のコブを飛ばすとか、タロウがオカリヤンの股間を蹴り上げると、オカリヤンの目が飛び出るとか、妙な味があった。前回使われたでっかい拳をくっつけたタロウの人形も登場してる。又、久々にタロウブレスレットも使われている。
 そうそう。さおり役のあさかまゆみは今回で引退。次回からは小野恵子へ交代となる。
<祖父の作ったという形見の笛をあまりにぞんざいに扱う亜理人少年。いくら怒ってるからと言って、簡単に壊してしまうのはいかがか?後で笛を壊されたと怒ってオカリヤンに向かっていくが、自分が壊す分には構わないのか?
 それで壊れた笛を簡単にくっつける光太郎。接着剤が乾く間もなく亜理人少年は笛を吹いてた。
 全然笛が吹けなかった亜理人少年だが、光太郎に褒められた途端吹けるようになる。>
第17話 2大怪獣タロウに迫る!

  監督:深沢清澄
  脚本:田口成光
  特技監督:小林正夫
 火山活動が続く大熊山に健一の友達タケシの父が勤めていた。スイカをおみやげに観測所にやってきた光太郎だが、その頃農家ではスイカを食い荒らす謎の存在に手を焼いていた…
 敵は食葉怪獣ケムジラ。大熊山の火山活動で活動を開始した怪獣。最初は小さな毛虫のような姿だったが、ZATガンのエネルギーを吸収し、巨大な怪獣となった。北島隊員に言わせれば、「体が痒くなりそう」なネーミング。そして火山怪鳥バードン。ケムジラ同様火山活動によって卵から孵化する。ケムジラを餌にして登場する。
 ウルトラシリーズ初の3部作となった一連の話の第1部。ただし物語そのものは、最初のケムジラの登場と言い、バードンの登場と言い、まんま『空の大怪獣 ラドン』(1956)だったりする。
 夜が主体の話で、怪奇描写は満点。更に二大怪獣との戦いで、タロウは絶体絶命の危機に。引きもうまい。
<最初に光太郎と喋る農家の人は由利徹っぽいしゃべり方をする。狙ったのかな?
 荒垣副隊長に再び髭が生えた。評判悪くて止めたんじゃなかったのかな?それと南原隊員がすっきりした髪型になったが、全く似合ってない。
 光太郎のおみやげのスイカを食べて目に怪我したタケシの母親はZATを糾弾する。リアルに考えれば当然の反応。
 タケシの父親は観測基地にケムジラ入りのスイカを剥き出しのまま置いておく。中身は分からなかったとは言え、普通スイカってのは冷やすものじゃないか?いや、それ以前におかしな音がすることが分かっていながらスイカを渡すか?
 ケムジラから上野隊員を助けたタロウはわざわざ上野を池に放り込んでる。なんで?
 ケムジラは煙幕代わりに黄色いガスを出すが、それはお尻からで、しかも出る時は「ブウウゥゥ」と言う音が…良くやるよ。>
第18話 ゾフィが死んだ!タロウも死んだ

  監督:深沢清澄
  脚本:田口成光
  特技監督:小林正夫
 ケムジラとバードンの両面攻撃によって、ついにタロウは倒れてしまった。ケムジラを食い尽くし勝ち誇るバードンの前に、ゾフィが立ちふさがるが、なんとゾフィまでもが…
 敵は前回に続き食葉怪獣ケムジラ火山怪鳥バードン。ケムジラはバードンの餌であり、バードンはそれを食い尽くしてしまう。ZATのトリモチ作戦で絡め取られるものの、タロウ、ゾフィの二人のウルトラマンを倒してしまう実力を持っている。
 タロウおよびゾフィの死という、ショッキング描写満載の話で、タロウの死は血だらけになった上、カラータイマーの完全停止という完全な死を演出している。これまでのウルトラ兄弟の死というと、多くは姿が消えて終わりだったが、ここでは本当に死んでしまった。これは珍しい。
 タロウの死に慟哭する少年たち。その願いがゾフィを呼んだ。そして初めてゾフィの単独での戦いとなる…のだが、全然良い所なく倒されてしまった。兄弟の長兄のくせ、妙に負けが多いのもゾフィの特徴か?
 又、物語として回想シーン以外主人公が一切出てこないのも珍しい。他に考えられるのは「ウルトラマンコスモス」の失われた話くらいかな?
<怪獣が怪獣を食べるというシーンはこれが初めてだったはずだが、なんと目玉まで食べるシーンあり。凄い演出だ。
 タロウが死んでショックなのは分かるが、子ども達がみんな横並びになって泣いてるのは?
 健一の前で光太郎をなじるタケシのお母さん。ここまで主人公が悪し様に言われるのも異例。
 ウルトラ兄弟の軽快なマーチで戦うゾフィ。あまりにも弱い。なんと頭が燃えてしまってる。>
VOL.5
<A> <楽>
第19話 ウルトラの母愛の奇跡!

  監督:深沢清澄
  脚本:田口成光
  特技監督:小林正夫
 タロウのみならずゾフィまでも倒したバードンは日本各地を飛び回り、肉を食べ回っていた。全ての手を失い、途方に暮れるZAT。一方、ウルトラの星に連れてこられたタロウにウルトラの母は治療をほどこしていた…
 敵は三回連続となるバードン。とにかく食いしん坊で、日本全国の肉を食べてしまう。だが最後はあっけなくキングブレスレットの威力に押されて倒されてしまった。火山の中には卵があったが、これはバードンが産んだのか、それとも兄弟なのか…いずれにせよ、それを割られて怒り狂う描写あり。
 三連続作品の完結編で強力なバードンとの決着が付いて、タロウに新しい武器キングブレスレットが与えられる。パターンは「帰ってきたウルトラマン」18話「ウルトラセブン参上!」とほとんど変わってないが、長い話だけに、人間側の絶望やバードンの強さが強調された話に仕上げられている。
 同時にタケシのお母さんの憎々しげな発言も強調。愛情故のエゴは時に人を傷つける。愛によるエゴは本作では特に数多く描かれている。
<市民からの電話が直接ZATへとかかってくる描写あり。精神的には結構きついことだろう。
 バードンが人間を食べる描写あり。これは出来るだけ避けられてきた描写なのだが、そう言う意味では本作のストレートぶりが分かる。
 炎を吐くバードンは、何故かその炎で体まで燃えてる。
 キングブレスレットは確かに強いけど、実質的にバードンを倒したのは騙し討ちだった。
 死んだゾフィはタロウとウルトラの母に手を取られて宇宙へと向かっていく。良い描写だけど、飛んでいく人形を見る限り、ゾフィは自分で飛んでるように見える。>
第20話 びっくり!怪獣が降ってきた

  監督:山本正孝
  脚本:石堂淑朗
  特技監督:山際永三
 夏の休暇を過ごすためさおりと健一と共に信州の山にやってきた光太郎。その民宿には子どもを亡くし、記憶喪失になった母お杉と出会う。その夜行われた花火大会の花火を宇宙から見たフライングライドロンが引力に引かれて落下する…
 敵は鳥怪獣フライングライドロン。母子二体が登場し、子どもの方が地球に落ち、母がそれを守ろうとする。子どもの方は怯えて騒いでるだけだが、人間の目には暴れているように見えてしまう。一方の母の方は子どもが乾燥しないように雨を降らせ続けた。子どもの方はタロウに傷を癒されて親子共々宇宙に戻される。
 怪獣を倒すこと無い異色作。怪獣の親子が出てくるのは4、5話のクイントータスとミニトータス以来だが、本作の特徴と言える母と子の愛情がここでも描かれる。人間だけでなく、怪獣もやはり親子の愛情があるってのは本作の最大の特徴とも言えるだろう。特に今回は子供を失った人間の親との交流が描かれ、その対比が面白い。怪獣と人間の交流話は大変難しいが、本作はそれを上手く仕上げている。
 今回はキャストの演技ぶりがなかなか良い。特にお杉役の磯村みどり氏のうつろな目がなんとも印象的な話になっている。そう言えばさおり役も小野恵子に交代。やや落ち着いた大人の女性になった。
<地球で行われている花火が宇宙から見ると、地球そのものが爆発しているかのように見える。ってか、あれじゃでかすぎだよ。
 光太郎は休暇のはずなのだが、ZATの制服をちゃっかり持ってきている。地球防衛隊には本当の意味での休暇はないのかも知れない。
 フライングライドロンは大気圏内に入れないはずなのだが、最後に出てきてるのはどう見ても大気圏内。
 記憶が戻ったお杉は突然目の前に現れたはずのZATを何の違和感もなく受け入れている。>
第21話 東京ニュータウン沈没

  監督:山本正孝
  脚本:田口成光
  特技監督:山際永三
 昆虫採集してる内に新興住宅地の東京ニュータウンにやってきた光太郎と健一はどこからか大きなセミの声を聞く。実は地下には巨大ゼミのキングゼミラがいたのだ。怪獣ではなくただの大きなセミとして、ZATは保護しようとするのだが…
 敵は蝉怪獣キングゼミラ。東京ニュータウンの地下に眠っていた巨大ゼミ。東京ニュータウンを沈没させてしまう。ただの大きなセミなのだが、その存在だけで周囲の驚異となる。攻撃力はさほどないが、火を吐くことと、飛ぶ際におしっこを出していく。タロウに倒されることなく、宇宙に連れて行かれて宇宙蝉となる。
 コミカルな演出がなされた作品だが、さりげなく急速な都市発展の批判になってるのが特徴。セミの生きていく環境を潰してしまうのも、それを「やかましい」と言って殺してしまうのも人間。そして自分の土地さえ良ければ、他の土地はどうなっても構わないとエゴ剥き出しにするのも。
 怪獣との共存は難しい。当然のことだが、それは一部には人間のエゴであることが語られている。面白いエピソードだ。
<昆虫博士と呼ばれる正一少年だが、そのセミはスーパーで買ったのだという。“博士”ってくらいだったら、昆虫がどこにいるか察しても良さそうだ。
 セミがうるさいと殺虫剤かけてセミを殺してしまうさおりさん。なんか怖いぞ。
 夏の作品なので、ZATの面々も暑そう。基地の中で団扇使ってる光景があり。冷房はついてないのかな?
 キングゼミラを保護するために費やした予算は莫大なもの。子ども一人のわがままは随分高く付いたね。それにしても実際被害出てるのに、怪獣の方を優先するとは、なかなか肝の据わった子どもだ。
 散々キングゼミラは一週間しか生きられないとか言いつつ、宇宙に連れて行ったら、ずーっと生き続けてるとナレーションがあり。どっちやねん>
第22話 子連れ怪獣の怒り!

  監督:筧 正典
  脚本:大原 清
  特技監督:大平 隆
 友人の藤波が軽井沢で結婚式を挙げ、お祝いに駆けつける光太郎。浅間山登山に出た藤波と妻の優子は怪獣に遭遇し、崖から落ちた優子は行方不明になる。怪獣に殺されたと思いこんだ藤波は復讐を誓うが…
 カンガルー怪獣パンドラチンペが登場。おとなしい怪獣で人目を避け浅間山の奥で暮らしていたが、ハンターにチンペを撃たれて激怒して人間を襲う。友好な怪獣だけに、顔はコアラのようで、生態もカンガルーみたいな感じ。
 怪獣と人間の共存は可能か?という問いが描かれる。「ウルトラマン」以来時折こういう物語は作られ続けているが、本作はそれを最もストレートな形で表した形になった。
 4〜5話のミニトータスとの話に続いて怪獣の親子の情が描かれている。ただこちらではチンペを実際に撃ってるシーンがあるので、重い。ちょっと偽善的な気もするけど、バランスは良い方。
 シチュエーションで言えば、タロウとパンドラの戦いに時折モノクロシーンが出たり、火口で戦っているだけに、タロウが人間を“見上げる”シーンがあったり、なかなか凝った映像処理がなされている。
<硫黄が激しくて人間が未だ入ったことのないと言う場所が浅間山にはあったが、その割に道があったり、青々した草木が生えていたり。
 怪我をしたパンドラを守るためと山に残る優子だが、残っていたから誤解されて逆にパンドラを窮地に陥れてしまう。難しいものだ。素直に降りていたらこんな事にならなかったのに。
 「怪獣よ。愛するものを奪われた悲しみを、お前も思い知れ」とか言ってチンペを撃つ藤波…生きてる事は知らされてるだろうに。
 最後に「怪獣を殺すなんて人間の思い上がり」と言って銃を諏訪湖に捨てる藤波。捨てちゃいかんだろう。大体、仲間二人が死んでるんだから、事情聴取とかされてないか?>
VOL.6
<A> <楽>
第23話 やさしい怪獣お父さん

  監督:筧 正典
  脚本:石堂淑朗
  特技監督:大平 隆
 六郎の父はいつも母の尻に敷かれており、それが六郎の不満の種だった。そんな六郎は健一とさおりと共に箱根までドライブにいくのだが、そこで不思議な光景に遭遇してしまう。
 敵は蜃気楼怪獣ロードラ。箱根に潜んでいた怪獣で蜃気楼を発生させ、鼻から吐く息で金属を溶かす。実は貝の集合体であり、体が切断されてもすぐに復活する。タロウスパウトによりミニカーにされてしまった。
 健一の友人六郎とその家族が描かれる話で、この当時にはもう母の方が父よりも強くなっている事を思わされる話になってる。それにしても「強い」と言ってもその強さは嫌味なだけ。何か事があると全部父親のせいにしてしまう。最後は家長としての威厳を見せるというパターン。
 脚本はさほど優れているとは言えず、どこかちぐはぐさを感じるが、それでもさりげなく原子力の平和利用なども語られている。
 ちなみに六郎役は「ウルトラマンA」の梅津ダン役の梅津昭典。
<六郎の母親の横暴ぶりはほとんど常軌を逸してる。自分の利益のためなら、怪獣をも利用しようと言う姿勢には恐れ入る。普通こう言うのは大企業の社長とかのパターンが多いのだが、一般人がそれを言うのが面白い所。ちなみに生け捕りにしたら、無公害のスクラップ工場ができると言ってたけど、その費用とかは全部自分持ちなんだろうね?
 ロードラは金属を餌にしてると言うが、溶かしてるだけって気がするけどね。
 荒垣隊長の髭は板に付いてきたけど、回が進むに連れもじゃもじゃになってるな。
 今回珍しくストリウム光線の際の叫びはなかった。>
第24話 これがウルトラの国だ!

  監督:山際永三
  脚本:田口成光
  特技監督:佐川和夫
 地球から放たれたトロン爆弾によって故郷であるムルロア星を破壊されたムルロアが地球に飛来。タロウを倒して地球を暗黒に包んでしまう。
 敵は宇宙大怪獣ムルロア。トロン爆弾によって破壊されてたムルロア星の生物で、復讐のために地球にやってきた。口から溶解液を吐き、全身から吐き出すアトミック・フォッグで地球を闇に閉ざしてしまった。老人のような顔が特徴だが、そのパワーは強力で、タロウも難なく倒してしまう。そして宇宙蛾スペースモス。ムルロアと共にムルロア星からやってきた蛾のような生物で、暗黒に包まれた地球で毒鱗粉をまき散らす。
 前後編の前編で、これまで部分的にしか出てこなかったウルトラの星の全貌が示される話だが、それだけでなく、親子の情愛、核実験拡大に対する抗議など、様々な内容を含んでおり、前後編としては堂々たる設定とも言える。
 岩森兄弟が登場。六人兄弟で、それぞれウルトラ兄弟の名前で呼ばれている。ちなみにセブンとタロウは女の子。で、帰ってきたウルトラマンが初めて新マンと呼ばれる(ジャックと呼ばれるのはもっと後)。劇中で両親が死んでしまうと言う衝撃的な話となっていた。何度か両親が死んでしまったというのはシリーズでもあったが、これはちょっと重い。特に後半兄弟だけで健気に生きている姿を見ると…
 荒垣副隊長の髭が消えてしまった。どんどん濃くなってたから、評判悪かったのかな?
<ムルロアのネーミングはフランスが核実験を行ったムルロア環礁からだと思われるが、この爆弾に抗議をしたのがフランスというのが面白い所。皮肉か?
 岩森兄弟には女の子もいるが、ウルトラ兄弟のあだ名付けられるのは嫌だったんじゃ無かろうか?セブンはともかく、末っ子の次女は「タロウ」と呼ばれてるけど。
 ウルトラの国を出す都合上仕方なかったのだろうが、タロウがあまりにあっけなく倒されるのはちょっといただけない。>
第25話 燃えろ!ウルトラ6兄弟!

  監督:山際永三
  脚本:田口成光
  特技監督:佐川和夫
 ムルロアの吐く黒煙により地球は闇に覆われてしまった。一方アトミック・フォッグを消し去るためにはウルトラの星にあるウルトラベルが必要と聞かされたタロウは一路ウルトラの星へと向かい、他の兄弟達と共に試練に挑む。
 敵は前回に続き宇宙大怪獣ムルロア。ZATの新兵器AZ1974で倒される。
 前後編の後編で、兄弟達の集結と、初めてウルトラの星の全貌が見える。又、ウルトラの国の説明もなされる。色々複雑な設定が後付で付けられているようだ。公式な設定とも多少違っているようでもある。
 ウルトラの星の説明として内山まもる氏の絵が使われているのが面白い。この人の漫画は昭和ウルトラシリーズを語る上では欠かせない。
 ウルトラマン達が地球を守る理由。それは彼らにとって地球は「第2の故郷」だからという説明が語られる。これも時代によって少しずつ理由が変わっている見たい。
<AZ1974の説明をする上野隊員だが、妙にその説明が嬉しそうで、しかも「俺に撃たせてください」とか言ってる。実は兵器マニアか?
 光の国に帰ってきたタロウは懐かしそうに故郷を見ているが、その中に「ウルトラ小学校」なるものがある。子供の頃に通っていたと言うが…子供ねえ?
 ウルトラベルは確かに平和の鐘だが、宇宙空間で兄弟達が捧げ持ってる鐘楼ってのも、妙にシュールだ。
 ムルロアに襲われる上野隊員を助けるタロウ。だが、そのまま力一杯放り投げてる。死ぬぞ。
 岩森兄弟は両親が亡くなっても健気に生きてるけど、一番上が小学生では本来施設に入れられるはずでは?>
第26話 僕にも怪獣は退治できる!

  監督:深沢清澄
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:小林正夫
 学校帰りの健一は中学生にいじめられている子どもを見つける。一旦は逃げようとする健一だが、その時タロウのお面をみつけて立ち向かっていくのだった。だが一緒に歩いていた竹雄は健一を見捨てる。
 敵は百足怪獣ムカデンダー。神社の裏手から登場した巨大な百足型の怪獣で、毒糸を吐き、バラバラにされても活動可能。尻尾と頭が二方向に上に伸びている姿形の特異さはシリーズを通しても出色もの。
 健一を中心とした話で、健一がちょっと格好良すぎるけど、子どもの成長物語としても見ることが出来る。特に対比的に友達の竹雄君が嫌な奴だからこそそれが映える。「男には、自分の損になると分かっても人のために働かねばならない時がある」と教える竹雄の父。と、どんな馬鹿にしていても、父親の真摯な態度を見て成長する子どもの姿を描くのは、やっぱり良い出来である。
 ちなみに竹雄少年の父で紙芝居屋やってるのは江戸屋猫八。話芸は流石に上手い。
<お父さんから「子ども達を連れて逃げろ」と言われた健一と竹雄。だけど竹雄は父親が心配で駆け寄っていった。で、健一までそれにつきあってるけど、お父さんの命令は無視?
 「怪獣に向かっていくなんて馬鹿だ」。とはっきり言ってる割に父親の容態を放っておいて「あいつが倒れるのを見るんだ」とか言ってる竹雄少年…こいつ嫌な奴だ。
 光太郎は竹雄と一緒にふっとばされた際に変身してる。バレバレ。
 ムカデンダーは顔と尻尾が分離できるが、その際“ペコっ”“ボンっ”とか気の抜けたような音がする。>
VOL.7
<A> <楽>
第27話 出た!メフィラス星人だ!

  監督:深沢清澄
  脚本:大原 清
  特技監督:小林正夫
 健一が属する少年野球チームの陣中見舞いにやってきた光太郎は子ども達に自動販売機のジュースをおごる。だがその夜、チームのエース史男が突然倒れてしまう。入院した病院ではこれは奇病マンダリン病であると診察される。
 敵は怪草マンダリン草。地質時代に生息していた伝説的な植物で、その棘から出る毒は人間を麻痺状態にしてしまう。自動販売機に潜んで人間を待っていた。そして悪質宇宙人メフィラス星人「ウルトラマン」33話「禁じられた言葉」以来の出演。かつてウルトラマンと互角に戦い、騎士道精神を持った宇宙人だったが、ここでは単なる悪人になってしまった。マンダリン草を使って人間を混乱に陥れる。その目的は世界中の子供を虚弱児童にするためだったそうだ。
 「ご存じ怪獣・宇宙人シリーズ」と題し、第一回目のメフィラス星人が登場。しかし「ウルトラマン」に登場した時とはまるで性格が異なり、二つ名通り「悪質宇宙人」になってしまったようだ。何でも元々は違う怪獣が出るはずの話で、急遽登場が決定したため性格も大分変化を受けたのだろう。それにしても「卑怯もラッキョウもあるものか!」はやりすぎ(後に散々ネタ化されているので、これはこれで味があると言えるのかもしれんけど)。
 それでも敵をメフィラス星人と考えないのならば、コミカルさとシリアスさが共存した大変本作らしい作品に仕上がっているのは事実。
 ZATが国際的な組織であることがはっきりと示される。世界中の同じ制服を着た男達が通信を行っているシーンあり。
<マンダリン草が入っている自動販売機はなかなかコミカルで、自動販売機に目とおぼしきものがあったり、自分で移動したり、殴ろうとしたら避けたり…
 マンダリン草を救うためにメフィラス星人を生け捕りにしてくれ。と頼まれる荒垣は最初「無茶な事を」とか言っていながら、すぐに「無茶を、する!」と言い直す。漢だな。
 ラストでZATチームと少年野球チームの対決が見られるが、格好良いことを言ってる割に、光太郎のバットの持ち方が変。野球やったことあるの?>
第28話 怪獣エレキング満月に吼える

  監督:高橋 勝
  脚本:石堂淑朗
  特技監督:山際永三
 月の光を浴びてエレキングが復活した。満月の時にしか姿を現さないエレキングを待ち受けるしかないZAT。一方、光太郎からその事実を聞かされた健一は一人でエレキングを探しに出かけるのだが…
 敵は月光怪獣エレキング「ウルトラセブン」に登場したものと同個体で、セブンによってバラバラにされていたが、長い間月の光を浴びていく内に復活した。活動には月の光が必要なため、満月の時にしか姿を現さない。踊ったり側転したりと、なかなかお茶目な性格になってる。角から月光のパワーを得ているため、角を折られると消え去ってしまう。
 宝探しと忍者ごっこ。実に子供の遊び心満載の作品に仕上がった作品で、本作のコミカルさこそが本作の大きな特徴とも言えるので、素直に楽しむのが正しいのだろう。前回に続き、エレキングである必然性は全くないのだが。
 エレキングは夜にしか動けないという設定のため、戦いは終始夜に行われる。なかなかその姿は映えている。
<光太郎は健一にエレキングが死んでいない事を告げるのだが、そんな重要機密をべらべら喋って良いのか?
 悪ガキ三兄弟に捕らえられてぐるぐる巻きにされてしまった健一。そこに偶然通りかかったのが光太郎という、なんかご都合主義の権化だな。
 三兄弟がそれなりに活躍している中、そのお爺ちゃんのご隠居も槍持ってエレキングに向かっていく。ただし、エレキングが足踏みしただけで倒れてしまったが。
 エレキングは電気ではなく炎で攻撃するのだが、尻尾からも火が出る。その際、まるでおならをするかのような格好で…締まらないな。
 エレキングの弱点である角を取り去ると、そこから多量の泡が出てくる。結構気持ち悪くて良いぞ。>
第29話 ベムスター復活!タロウ絶対絶命」

  監督:山本正孝
  脚本:田口成光
  特技監督:高野宏一
 ヤプール人が復活した。ヤプール人は地球のエネルギーを奪うべく、ベムスターを復活させて再び地球を狙う。ベムスターは健一の友達の父のいるZATステーション・No.1を破壊し、その手は地球へと伸びる。
 敵は異次元人ヤプール人(改造)。エースとの戦いで僅かに残った残党が自らを強化改造した姿。そして宇宙怪獣ベムスター(改造)。ヤプール人によって復活させられた怪獣で、デザインは妙にすっきりした感じ。ヤプールの改造を受けているのかも知れないが、一応怪獣のまま。相変わらず強い。
 前後編の前編。復活怪獣月間の作品の一本で、「ウルトラマンA」の最強の敵ヤプール人および「帰ってきたウルトラマン」のベムスターが復活。
 ベムスターの強さと同時にZATの無力さも強調されるのだが、ここでは子ども達にまでそれを揶揄されてしまっている。特に死人を出してしまった後ではこの台詞は辛い。ZAT大好きな健一は凄く辛い目に遭ってる。話は相当に重いが、あくまで子供視点でそれを見ているのが本作の特徴かも知れない。
 今回のゲストは寺子屋の塾をやってる海野役で大和田獏。子ども達との約束を果たすため、なんと爆弾抱えてベムスターに特攻する。凄い人だ。
<今回のベムスターは妙にお茶目。ホエールの攻撃を軽く受け流しつつウィンクまでしている。
 ベムスターの襲来にあたり、「帰ってきたウルトラマン」18話「ウルトラセブン参上!」のビデオを見て予習する隊員達。それでブレスレットの解析は出来ている。と言っていた。いつそんな解析したんだろう?大体セブンが新マンにブレスレット渡すシーンは誰が撮った?更にそれと同じ強度のノコギリまで開発。凄いじゃないか。
 海野は爆弾抱えてベムスターに特攻。一体その爆弾、どこから手に入れた?「腹腹時計」でも見て自分で造ってたか?>
第30話 逆襲!怪獣軍団

  監督:山本正孝
  脚本:田口成光
  特技監督:高野宏一
 再生ベムスターに立ち向かったタロウだったが、圧倒的強さを持つベムスターの前に敗北を余儀なくされる。子ども達の心に応えるべく、再び立ち上がる光太郎と海野だったが…
 敵は前回に続き異次元人ヤプール人(改造)と、彼に使役される宇宙怪獣ベムスター(改造)。ベムスターは腹が弱点であることを突き止めたZATの濃縮エネルギー爆弾に倒される。そしてベムスター劣勢と知り投入されたさぼてん超獣サボテンダー(改造)およびミサイル超獣ベロクロン(改造)。どちらもあっけなく倒されてしまった。
 前後編の後編。タロウもZATも倒され、光太郎と海野が立ち上がるという話だが、確かにこれは子供心に訴えるものがあると思われる。まあ、無茶は無茶なんだけど、あくまで子供視点で物語が展開するのは本作の大きな特徴だろう。
<ベムスターを倒すために海野が行ってる特訓はロープを使って木から木へと飛び移るというもの。遊んでるようにしか見えないし、子供が真似すると危険。
 ちなみに海野がベムスターに飛び乗る際、ロープを使ったが、物理的に人間はあそこまでロープを投げることが出来ない。
 今回3体もの怪獣が出てきたが、結局タロウが倒したのはサボテンダーだけだった(ヤプールの宇宙船は破壊したけど)。
 子供が読んでた絵本は「ウルトラマンタロウ」だった。どんな内容だったんだろう?>
VOL.8
<A> <楽>
第31話 あぶない!嘘つき毒きのこ

  監督:筧 正典
  脚本:大原清秀
  特技監督:深沢清澄
 地中から現れた怪獣マシュラを倒すタロウ。だが胞子の一つは生き残っていたのだ。健一の友達武田大介に取り憑いてしまった。そして大介は給水塔に毒素をまき、団地の人間を全てキノコ人間に変えてしまった…
 敵はきのこ怪獣マシュラ。キノコの化け物で、ZATの放つ薬品を強力な毒液に変えた。タロウによって焼かれるが胞子が僅かに残っており、それが人間に取り憑いて増殖し、人間が変貌したその容貌はマタンゴを思わせる。体中の水分を失って倒れる。
 今や死後となったが、「鍵っ子」という言葉が出ている。丁度高度成長時代で、親が家にいない世代が増えてきた時代らしい描写だ。だけど大介君のお母さんは見栄を張りたいためだけに仕事をしているという。これも世相か。
 キノコ人間の行進は、なんか夢に見そうな不気味さがある
<テストの答案を返す健一の先生。厳しいけどなかなか話の分かる先生らしく、「ウルトラマンタロウを観てました」という子供に「先生も大好きだ」とか言ってた。叱る時は叱ってるけど。
 大介の家でレコード聞きながらゴーゴーを踊る中学生(?)。数時間も体揺らしてたんだろうか?
 その中学生、大介がキノコになったのを見て逃げ帰ったが、誰にもそれを言ってないらしい。妙な子だ。
 大介が失踪したので、調査を開始するZAT。そんなことまでするのか?
 団地の人間がみんなキノコ人間になってしまったのは水のせいだと看破する光太郎。シャレにならない事態で笑ってると、おかしくなってしまったように見えるぞ。
 キノコ人間は行進を遮られると、それを排除にかかるが、光太郎に対し、ものも言わず徹底的に足蹴にするのはなかなかとんでもない描写。恨みでももってたか?
 マシュラはドライヤー光線で干からびてしまったが、体中から粉をまき散らせてた。タロウの攻撃選択ミス。二次被害が起こらないのが不思議だと思うよ。
 マシュラがいなくなった後、マツタケが多量に生え、それをばくばく食べる描写有り。よく食べられるな。>
第32話 木枯し怪獣!風の又三郎

  監督:筧 正典
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:深沢清澄
 健一のクラスに転校生がやってきた。怪獣好きの空想癖のあるそのドンちゃんに呼応するかのように現れる怪獣グロン…
 敵は木枯らし怪獣グロン。丸い体に一つの目に突きだした口。と、妙に愛嬌の感じられるデザインが特徴。口から空気を吸い込み、突風を吐く。影となって移動することも出来る。健一とドンちゃんを人質に、好き放題街を壊すが、キングブレスレットで口に栓をされて自爆。
 「風の又三郎」をベースにした作品で、謎の少年と、それに呼ばれるかのような怪獣の話が描かれる。
 結局最後までドンちゃんの正体は分からず。まるでグロンを呼んだりかばうかのように行動する行いが一体何故なのか…それこそ「風の又三郎」だ。
 同時に小学校におけるいじめ問題も描いているのが特徴か。人と違った存在は往々にしてイジメの対象になりやすいのは確か。それで最後までドンちゃんを信じる健一君はなかなかいい男じゃないか。
 子供視点で描かれているためか、特撮部分にも高層ビルとか出てこない、庶民的な描写も特徴だろう。
<いつもニコニコしていて何も考えていそうにないドンちゃん。この描写は今では出来そうもない。
 学校の屋上にいる健一達に帰宅を命じる先生の顔はどう見ても悪人顔。
 グロンの弱点は口にあると見破った光太郎は同乗してる北島に「コンドルで蓋をしましょう」と提案する光太郎。流石に北島も大慌てだった。>
第33話 ウルトラの国大爆発5秒前!

  監督:真船 禎
  脚本:佐々木守
  特技監督:山本正孝
 タロウの招待で懐かしの地球にやってきたウルトラ兄弟達。そんな時、実はウルトラの星ではテンペラー星人による爆発計画が進んでいた。兄弟達が地球にいることを知ったテンペラー星人は目標を地球へと変える。兄たちに依存心を持ってしまったタロウを独立心を養うため、それぞれZATの隊員に憑依し、タロウを見守る兄弟達。
 敵は極悪宇宙人テンペラー星人。宇宙の帝王を名乗る宇宙人で、怪獣軍団を影で操っていたという。ウルトラ兄弟に深い恨みを持っているため、兄弟達を全滅させようと狙っているが、末っ子のタロウをほとんど兄弟扱いしない位の実力を持っている。ウルトラボールの中から現れたタロウが急激に巨大化したため、膨張で倒された。
 お祭り的な作品であり、ウルトラ兄弟勢揃いと、人間体の久々の登場が描かれる。物語そのものはコミカルそのもので、お笑いそのものの場面も数多く出てくる。タロウを一人前にするため、敢えて助太刀しない兄弟達の姿も描かれてる。
 かなりお笑いに傾いてはいるものの、兄弟達の性格付けは実は結構しっかりしていたりする。よく見たら脚本は佐々木守か。久々の登場だよ。
 兄弟全員がZATの隊員の姿になったが、大谷博士という形で一応初めてゾフィが人間体になった。
<猿の人形と会話するテンペラー星人。「我々」とか言ってたけど、実は彼とこの人形しかいないようにも思える。なんか宇宙の帝王という割りには寂しい奴に思える。
 テンペラー星人を兄弟達の所に連れて行こうとするタロウは空を飛ぶのではなく、延々と町中を走り続ける。被害を最小限度に留めるはずが、余計被害増やしてない?
 テンペラー星人はウルトラ兄弟達のせいで地球は攻撃を受けていると度々口にするが、誰もそれを聴いてないみたい。
 タロウが倒され、兄弟達が本来の姿に戻って巨大化!戦いが始まると思った途端、タロウ一人の力でテンペラー星人は倒されてしまった。
 度々出てくるウルトラボールなるもの。赤い玉で空高く投げつけると中からパラシュートが出てきてゆっくり落下してくると言うものだが、これが何を意味しているのかは不明。
 ウルトラ兄弟達の格好がボロボロなのがちょっと気になるな。
 個人的な話だが、これを最初に子供の頃観た時、最後に「あ、兄弟がタロウを胴上げしてる!」と思ってたが、今観ると、ちょっと担ぎ上げただけのようだ。>
第34話 ウルトラ6兄弟最後の日

  監督:真船 禎
  脚本:佐々木守
  特技監督:山本正孝
 一人でテンペラー星人を倒したタロウを祝うウルトラ兄弟達。だが自身を付けたタロウはチームワークの大切さを説く兄弟達の言葉に耳を貸そうとはしなかった。一方、ウルトラ兄弟の抹殺を諦めないテンペラー星人は今度はさおりの体を乗っ取り、タロウを人質に兄弟をおびき出そうとする。
 敵は極悪宇宙人テンペラー星人。前回一度倒されているが、あれは囮で、今度はさおりの体を乗っ取り、人質にして兄弟を誘い出そうとした。あくまでウルトラ兄弟抹殺が目的なので、地球とか人間とかには興味がないらしい。
 前回に続き、ウルトラ兄弟全員登場のお祭り的作品。前回タロウの活躍をじっと見ていた兄弟が、今回は全員変身して活躍。本当の意味で今回がお祭りとなった。その意味ではテンペラー星人は貧乏くじを引いたことになるな。
 最初に仲睦まじい兄弟達の姿が描かれるが、すぐにタロウの増長に腹を立てることに。ウルトラ兄弟も兄弟喧嘩をするのか。と当時は結構ショックを受けたもんだ。
 珍しく光太郎の暴走が描かれる話で、光太郎のせいでZATのチームワークががたがたになってしまう。アニメとかだとこう言うのがよくあるのだが、ウルトラシリーズでは極めて珍しい。このお陰で一つタロウも成長する。
 バンクではあるが、前回と同じく兄弟全員の変身シーンがあるのは嬉しい所。そして兄弟全員とテンペラー星人の戦いは大変見栄えがする。
 今回もウルトラボールが大活躍した話だった。しかし、このウルトラボールってなんなんだろう?
<これ以上タロウが勝手な行動を取ったらもはや兄弟でない。という北斗。ウルトラマンは単に強いだけでは兄弟として認められない事がよく分かる
 光太郎の姿でもタロウのことが分かるというテンペラー星人は四つんばいになって光太郎の運転するウルフを追いかけ、やがて目を回してしまう。なんとも情けない話だ。
 さおりさんがテンペラー星人の放ったクモ?に襲われるシーンはなかなかエロチックだ。
 光太郎を人質にしたテンペラー星人は時折光太郎に光線を浴びせつつ、踊り回ってた。お茶目なやつ。
 光太郎を助けたZATの面々(実はウルトラ兄弟)は、テンペラー星人の攻撃に我先に逃げる。結局光太郎は取り残されてしまう…いいのか?>
VOL.9
<A> <楽>
第35話 必殺!タロウ怒りの一撃

  監督:深沢清澄
  脚本:田口成光
  特技監督:高橋 勝
 パトロール中の光太郎は犬を助けるために車道に飛び出した少女マチコと出会う。マチコは光太郎を死んだ兄とそっくりだというのだが、その直後、光太郎は星人に襲われてしまうのだった。
 敵はめつぶし星人カタン星人。タロウの暗殺を企む宇宙人で、光太郎と知り合った少女に取り憑いて近づき、光太郎の視力を奪う。その際「今まで倒してきた怪獣達の苦しみを知れ」と言っているが、こいつも怪獣軍団の一員なんだろうか?
 今回から巨大化した後の戦闘は少なくなっていく。これは予算の関係らしく、ピンポイントで巨大戦を行うことで出費を抑えたらしい。ただ、その分ドラマに力が入っているので、本作についてはなかなか出来は良い。
 久々に朝日奈隊長が登場。その代わり今回は荒垣副隊長がお休み。久々にとぼけた魅力を見せていた。珍しく現場にも出ている。ちなみに上野隊員は今回でいなくなってしまう。
 マチコという少女はウルトラマンの人形を次々に欲しがっているが(最初にゾフィの人形を持っていて、その後光太郎にセブンとエースの人形をねだる)。エースの人形をねだる際、「お兄ちゃんと私が一緒になったみたいな」と発言してるが、これは北斗と南の関係を意味してるのだろうか?それがカタン星人の企みを知る手がかりになるのだから面白い。
 今回唯一のタロウの最大必殺技ウルトラダイナマイトが炸裂。これは自爆して相手を巻き込んだ後で復活するという技で、自分の命を的に使うという、シリーズの中でも最強の技の一つだろう。視力を失ったタロウのため、カタン星人に巨大なベルを取り付けるなど、確かに朝比奈隊長らしいアイディアである。シリーズでは珍しいカーチェイスのシーンもあり。
<気を失ったマチコはセブンの人形が欲しいという。「セブーン、セブーン」とうなされるが、つい「セブンセブンセブン」と続けたくなってくる。
 光太郎の視力を奪ったカタン星人はそのまま光太郎を殺さずじまい。あと一歩だったのに、詰めが甘い。>
第36話 ひきょうもの!花嫁は泣いた

  監督:深沢清澄
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:高橋 勝
 タロウがカタン星人を倒したその夜。姉と一緒に焼き芋を売っていた清彦少年は、姉の婚約者の働く工事中のマンションに宇宙人が潜入するのを目撃する。
 敵はねこ舌星人グロスト。全身が寒色系の色で構成され、凍り付いたようなデザインが特徴。マンションの地下に顔だけの状態で潜伏し、両目から出る光でマンション工事の作業員達を操る。本人も、操られている人間も熱に極端に弱くなってしまう。
 近しい人が異質なものになっていくという冬のホラー作品と言った風情の作品で、この手の作品は特撮では多用される傾向にあり。ただこれは単なるホラーというより、少年が思春期を経て大人になっていく過程を描いたものとも取れる。あくまで子ども視点で描かれるのが本作らしく、演出も結構良いのだが、今ひとつ個性が無い印象。珍しくツッコミ所もないし。なんか「帰ってきたウルトラマン」見てる感じだ。
 一応カタン星人との話の続きと言うことになっているが、基本的に両者に関係は無い。あるいは当時は怪獣軍団への伏線を考えていたのかも知れないな。
 ZATがなんか寂しくなってしまった。前回が朝比奈隊長いたからかな?上野がいなくなってしまったのもその理由かな?
<マンションの工事作業員が怪人化して、それを大人に訴える清彦だが、誰も取り合ってくれない。無理もないけど、大人の対応がちょっと冷たすぎるね。>
第37話 怪獣よ故郷へ帰れ!

  監督:筧 正典
  脚本:石堂淑朗
  特技監督:大木 淳
 突如宇宙から怪獣が落下してきた。その様子を見た荒垣副長は悪い怪獣ではないと判断する。だがそこに現れためぐみという女性はヘルツは悪い怪獣だから早く始末して欲しいと告げるのだった。
 敵は醜悪星人メドゥーサ星人。メドゥーサ星座を完全に支配下に置いた宇宙人で、その口封じのためにヘルツを抹殺しようとしている。人間に乗り移ることが出来、ヘルツを地球人に殺させようとする。そして逃亡怪獣ヘルツ。メドゥーサ星人によって故郷を追われ、地球に逃亡してくる。顔つきは凶暴だが、性格は温厚。
 時折本作で出てくる怪獣の保護を考える作品。その判断をする荒垣副長の姿がなかなか映えている。物語も怪談風味を取り込んで、なかなかの出来。
 久々に光太郎の無茶。ヘルツの足の下に潜り込んでナイフで細胞を切り取ってる。土踏まずがあったお陰で命に別状はなかったが、無茶するよ。
 メドゥーサ星人は森山隊員に乗り移るが、その際化粧を濃くし、口紅をおかしな塗り方をして妖怪じみた姿になってる。簡単なメイクでも充分怖くできる実例だろう。
 森山隊員がメドゥーサ星人に乗っ取られているため、珍しいミニチュアでの空中戦が描かれる。コンドルがこんなに活躍したのは初めてだろう。残像攻撃まで使ってる。
<ヘルツを攻撃するZATに対し、ヘルツは両手で拝んでる。
 ヘルツの細胞を分析する北島隊員はヘルツがメドゥーサ星雲からやってきたことと、メドゥーサ星雲に異常な電磁波が出ていることを突き止める。だったらメドゥーサ星雲が支配されたのは何億年前だ?
 森山隊員に乗り移ったメドゥーサ星雲は自分のことを「蝶のように舞い、蜂のように刺すのだ」とか言ってたけど、どこでアリの台詞なんか学んだんだ?
 最後に登場する巨大メドゥーサ星人は高笑いしながら「儂はメドゥーサ星座を我がものにしようとしたのだ」とか大いばりで喋ってるよ。全部ばらすなよ。
 ヘルツの強力でメドゥーサ星人を倒したタロウの背後に忍び寄るヘルツ。ぱっと見、背後から襲おうとしてるように見えるのだが、実際はタロウを拝んでた。>
第38話 ウルトラのクリスマス・ツリー

  監督:筧 正典
  脚本:田口成光
  特技監督:大木 淳
 クリスマス近く。浮かれる町の中、一人の少女ひとみが羨ましそうに人の家のツリーを眺めていた。実はひとみはかつて怪獣が出現した際、両親は倒れたマンションの下敷きになって死んでしまい、孤児となっていたのだ。
 敵は緑色宇宙人テロリスト星人。ミラクル星人から地球の情報を得、天然ガスを奪うためにやってくる。ミラクル星人の残したビー玉で全身氷付けられ、タロウに倒される。そしてエフェクト星人ミラクル星人。年老いた優しい宇宙人で、孤児となった少女ひとみと優しく接していたが、母星に帰った所をテロリスト星人に殺されてしまう。
 クリスマス特集で笑いの部分と重い部分とが混在した作品に仕上げられた。怪獣が出現すると、当然被害がでるのだが、それは見ないようにされている。それを振り返った作品で、『ガメラ3』に先行している、なかなか凄い話に仕上げられてる。しかも少女ひとみの両親はキングトータス戦で死んだという。怪獣の方に感情移入してしまう話だっただけに、改めて重さを感じ取れる。
 あくまで子ども目線に立つ田口脚本の特徴で、今回もひとみという少女の目線がとても強調されている。両親を殺され、優しくしてくれた宇宙人も死んでしまった。クリスマスプレゼントをくれる人もいない。それで彼女はテロリスト星人に突っ込んで死んでしまおうとする。極端な気がするが、孤独が人を殺すことも確かにあるのだ。しかも彼女は邪魔なだけでなく、ちゃんと戦いの帰趨を決しているのが田口脚本らしさ。
 ちょっと怪獣の造形は酷いのがなんだけど。
<ZATでの森山隊員を巡る台詞の応酬は今ではセクハラものの単語が連発。
 森山隊員が夢見たのはなんと光太郎との結婚だった。で、男性隊員3人の見た夢は三人で仲良く自転車に乗ってるところ。健一は等身大のウルトラマンタロウと会うこと…「ウルトラファイト」かや?
 ここに出てきた子ども達は素人か?すげえ棒読みだよ。
 最後に東京タワーを巨大なクリスマスツリーに変えるタロウ。電波塔をそんなことしていいのか?>
VOL.10
<A> <楽>
第39話 ウルトラの父子餅つき大作戦

  監督:山際永三
  脚本:石堂淑朗
  特技監督:山本正孝
 クリスマスも終わり、町は正月の用意に向けて餅つきのしーずんになっていった。そんな時でもパトロール中の光太郎と南原は町にある孤児院のはこべ園にいる少女と出会う。正月に餅も食べられない少女達に同乗した光太郎はボランティアで餅つきを始めるのだが、
 敵はうす怪獣モチロン。地球人の「月では兎が餅をついている」と言う想いが具現化した怪獣。本物の餅を食べたくなり、気球に乗って地球にやってくる。新潟の米がうまいと言うことを知って、新潟に向かうが、最後はタロウに倒され、ウルトラの父によって本物の臼にされ、これまで食べた分の餅をつかれる事になる。半分亡霊のようなもので、宇宙怪獣としてレーダーにも映らない。あと変な訛りで喋ってる。
 本作品の代表とまで言われる怪獣モチロンが登場。本作最大のギャグ編でもある。月にある臼が餅食べるために地球にやって来るという無茶苦茶な話。
 ウルトラの父が登場するが、同時に「ウルトラマンA」で月に帰った夕子も登場。何と登場シーンではピアノで「月光」を弾いてる。月から来たモチロンが地球人に迷惑をかけている事を知り、地球にやって来た。モチロンからは「姐さん」と呼ばれていた。尚「ウルトラマンA」39話「復活!ウルトラの父」でもウルトラの父と夕子は一緒に出ていたので、両者には何らかの関係があると思われる。そう言えば本作ではウルトラの母は何度も出てるが、父が出たのは25話の絵以外では初めてだった。
 完全なギャグと思いきや、モチロンは人間の願望が具現化した姿であることとか、モチロンによって本当に死人が出るとか、設定はなかなか重い所もあり。時折出るスチールも戦時中のものだったりする。なかなか興味深い作品だ。
<孤児院で餅つきをする際、米をすぐに蒸して餅を作ってるけど、餅米は硬いので、本来一晩水に漬けなければならない…まあ、この辺は細かすぎるけど。
 光太郎と会った夕子はモチロンのことを「ウチのモチロン」とか言ってた…夕子って冥王星に住んでるんじゃなかったか?
 光太郎がタロウであることを知ったモチロンは力比べを挑む。なんでも「年中餅ばっか食ってるから力持ちなんだ」だそうだ。無茶苦茶な奴だ。それでタロウとの戦いも、本当に相撲だった。
 しかし、改めて思うが、ウルトラマンが餅つきをしてるってのは凄くシュールな光景だ。キングブレスレットはこんな使い道もあるらしい。> 
第40話 ウルトラ兄弟を超えてゆけ

  監督:山際永三
  脚本:田口成光
  特技監督:山本正孝
 海王星でこれまでの怪獣や超獣の怨念が凝り固まって生まれたタイラントは立ちはだかるウルトラ兄弟達を次々と打ち破り、地球へと近づいてきた。その頃正月休みでタケシという少年に自転車の乗り方を教えていた光太郎だったが…
 敵は暴君怪獣タイラント。多くの怪獣のパーツを組み上げて誕生した合体怪獣。海王星から始まり、火星に至るまでウルトラ兄弟を次々と倒して地球にやってきた。だがこれだけの強さを見せておきながら、タロウによってあっけなく倒されてしまった。
 正月特番でウルトラ兄弟総出演及び強力な怪獣タイラントの登場となった。バンクも多用された、まさにお祭り的内容。ただその分肝心のタイラントとタロウの戦いはとてもあっけなかった。ほとんど歴代ウルトラマン達の紹介で終わってしまった感があり。出来れば前後編でやってほしかった所。それぞれの惑星で倒れたウルトラ兄弟達のフォローも無し。ま、お祭りだから。
<天王星と土星の異変に気づいたZATだが、そこで星を調べるために荒垣副長が出したのは子ども図鑑。随分簡単なはなしだ。
 ところでウルトラマンの身長は53メートルと紹介されているが、他の兄弟達はみんな40メートルだった。そんなに身長に違いがあるようには思わないけど。
 歴代ウルトラマン達がそれぞれの惑星でタイラントと戦うが、惑星の位置はどうなってるんだろう?直列状態?
 タケシ少年に自転車の乗り方を教える光太郎だが、「勇気を持ってぐっと踏み込めば後は大丈夫」とか言ってた。そんな簡単なものじゃないけどね。
 みんながいる所で「ウルトラサインを見逃していた」と大声で叫ぶ光太郎。悔しいのは分かるけど、ちょっと不用心だぞ。>
第41話 母の願い真冬の桜吹雪

  監督:深沢清澄
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:高橋 勝
 おおぐま座の小宇宙M81が大爆発を起こした。これにより警戒を強めるZATだが、そこから地球にやってきた生命体は監視の目をかいくぐってある家の壁に張り付く。正博という少年がその染みに絵を描いた所、実体化してしまった。
 敵はらくがき怪獣ゴンゴロス。M81からやってきた宇宙生物で、染みとなって壁に張り付き、正博少年が描いた絵から誕生する。体の密度が大変希薄なため、通常攻撃はほとんど通用しないが、水をかけられて落書きのように消され、更に体の中にある核を攻撃されて倒された。攻撃方法はなんとおなら。ぽわわわわ〜とか気の抜けたような音が特徴。
 これも正月らしい話で、子どもの視点から怪獣が描かれる。絵に描いた怪獣が実体化するという設定自体は「帰ってきたウルトラマン」24話「戦慄!マンション怪獣誕生」と同じものだが、やはり本作らしく楽しめるものに仕上がってる。特に心優しい悪ガキと言った正博少年のキャラが立っているのが大きいかな?
 ツッコミ部分に書いたが、さりげなくZATの頭の柔らかさ示した作品でもあり。
<M81が大爆発したと知り、怪獣の警戒を強めろ。と支持する荒垣副長。1億光年先の星雲の爆発でこんな発想が出来る荒垣は素敵だ。
 ゴンゴロスの登場に際し、森山隊員は「壁の中から怪獣が現れました」と言ってたけど、あっけなくそんなことが分かるもんだ。
 ゴンゴロスの攻撃は四つんばいになってお尻を高く掲げ、おならを出す。それでコンドルとスカイホエールに乗ってる隊員は鼻をつまんでいたが、毒ガスじゃなくて良かった…ってか、スカイホエールには機密性はないのか?
 ゴンゴロスとの戦いでは空中に飛び上がったゴンゴロスにタロウが蹴りを入れてるが、なんとタロウ自身が頭から落下…どう見てもタロウの方がダメージ受けてる。
 正博のためにキングブレスレットを使って櫻の枝を出すタロウ。サイズが…>
第42話 幻の母は怪獣使い!

  監督:深沢清澄
  脚本:大原清秀
  特技監督:高橋 勝
 光太郎の中学校時代の後輩島田が帰国した。島田の母聖子は10年前自動車事故で亡くなっており、残された父伸吾はは独自にロボットの勉強をしており、今やそれは完成しようとしていた。だが起動したロボットは信吾の心そのままに自動車を憎み、死んだオウムを怪獣エレジアとして復活させる…
 敵はおうむ怪獣エレジア。島田聖子の飼っていたオウムがロボット聖子により復活させられ巨大化した怪獣。聖子の意志によって車を憎み破壊する。
 自動車事故の復讐として怪獣が現れるという展開は「ウルトラマン」20話「恐怖のルート87」のモティーフと同じだが、話そのものはアンドロイドロボットの方に重点が置かれ、むしろダーク版「鉄腕アトム」と言った感じかも知れない。設定はかなり破綻してるけど、これも持ち味って事かもしれない。
 本作は全体を通して母との関連が事ある毎に語られていくが、特に今回は母の姿をしたロボットを撃てるか?という事をねちっこく描いている。
 今回タロウのストリウム光線は全身の色が変わらず、単に光線のみ出ていた。それでリライブ光線で聖子ロボットを一旦生き返らせたのはやりすぎ。
<独学でロボットを作ったという信吾。彼が超天才としても、この設定だけでおかしいのだけど。それにしてもいくら愛してると言っても、ウェディングドレス姿にするのはやりすぎって気も。大体このロボットの性能は高すぎるぞ。
 母そっくりなロボットを破壊しようと、島田はZATの車から大型銃を取り出す。まさに火事場泥棒だが、随分保安意識が低いもんだ。
 結局聖子はひと言も喋ることはなかったため、感情があったかどうか全く分からない。>
VOL.11
<A> <楽>
第43話 怪獣を塩漬にしろ!

  監督:真船 禎
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:東条昭平
 母親を亡くし失意のタケシ少年は八百屋の父親と衝突ばかりしていた。そんな時、タケシの部屋に不思議な石が飛び込んでくる。そしてそこから現れた生物を育てようと決心するのだが…
 敵は食いしん坊怪獣モットクレロン。これも又、とんでもないネーミングの怪獣。緑のない星から地球のビタミンCを狙ってきた宇宙人の置きみやげで、サッカーボールくらいの大きさの卵から孵化する。野菜が大好きで、食べれば食べるだけ大きくなる。常に「モット。モット」と泣く為にタケシによって名付けられた。結局タロウによって塩漬けにされて元の大きさに戻されて宇宙に返される。
 徹底した子供視点で描かれる話で、子供の成長が描かれる。子供が怪獣を育てると言う設定はどことなく「ウルトラマン」15話「恐怖の宇宙線」のガヴァドンの話に似ている。シリーズでは異色作と言っても良いのだが、殊本作に限ってはさほど違和感がないのが凄い。
 確かにさほどモットクレロンは危険な宇宙生物じゃないけど、それを退治するのが巨大な樽で塩漬けにしてしまうというのは、よく考えついた。と言うか、とんでもない話だ。タイトルそのまんま。
<モットクレロンがあれだけ巨大化するには相当な量の餌が必要なはずだが、八百屋一件分の野菜であれだけ巨大化したのだから、相当に効率が良いと見える。今回に関しては食べ物を粗末にしすぎって気はする。
 本作では結構多いのだが、モットクレロンの攻撃方法はおなら。好きだねえ。
 タケシの父ちゃんの言ってることは、「お前があの怪獣を育てたなら、お前が倒すしかないだろう」だった。無茶な事言う親父だな。
 必然性がないのだが、光太郎がタロウに変身する際、左手に大根持ってる。この大根どうなったんだろう?最後に宇宙に飛んでいくモットクレロンが大根持ってたけど、あれか?
 モットクレロンの退治方法を考えついたタロウの脳裏には、巨大なサイロに野菜放り込んでる姿があるんだが、タロウサイズの白菜とか、ミカン箱とか、すげえシュール。しかも戦いの最中に妙に明るいBGMも流されてるし。>
第44話 あっ!タロウが食べられる!

  監督:真船 禎
  脚本:田口成光
  特技監督:東条昭平
 節分が来て、神社では豆まきが行われていた。それを苦々しく見つめる老婆。実は彼女は地球上では“鬼”とされるきさらぎ星人で、光太郎が豆まきに参加しているのを見た老婆は、同じ宇宙人の分際で地球人の味方をするタロウに激しい敵愾心を燃やす。
 敵はきさらぎ星人オニバンバ。きさらぎ星人は地球上では鬼とされており、豆が苦手。老婆→鬼女→怪獣と二段変身する。口から糸を出してタロウを豆に封じ込め、子供に食べさせようとした。タロウから豆をぶつけられて泣きながら宇宙に帰っていった。
 前回が塩漬けで今回は節分。時事ネタと言うか、ギャグ編というか。まあ、これも本作の特徴だろう。こういう作品があるからこそ本作は楽しくなる。
 それにしても、いくらオニバンバが豆を嫌ってるからと言って、本当に豆まきすること無かろうに。
 今回異様にキャラ立ちしているのがきさらぎ星人の老婆。むしろ怪獣化しない方が怖いくらいだった。
 全般的にとても音楽の使い方の上手い作品で、特に光太郎が豆に閉じこめられる時は妙に明るい音楽が流れていて、グロテスクさを緩和していた。
<北島は光太郎のことを「末っ子」と言っていて、光太郎も「俺は6人兄弟の末っ子」と言っていた。あれ?確か光太郎って天涯孤独の身の上じゃなかったか?…ひょっとしてウルトラ兄弟の6番目って事?
 特殊な糸で封じ込められた光太郎と一郎はやがて小さな豆になってしまう。普通死ぬだろうけど、問題は何でわざわざオニバンバはこの時点で殺さなかったんだろう?
 豆に封じ込められた光太郎は、ZATガンで穴を開けようとする。タロウに変身すれば一発で出られるのでは無かろうか?
 それにしてもいくら子供とはいえ、咀嚼シーンを延々と撮るのは見ていて気持ちいいもんじゃないな。
 タロウが変身した際、一郎を抱きかかえているんだけど、気づかれなかったの?
 オニバンバは地球を去る際、「来年も来る」と捨て台詞を残していたが未だに来てないな。>
第45話 赤い靴はいてた…

  監督:筧 正典
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:矢島信男
 北島隊員はある日赤い靴をはいた女の子を見かけ、子供時代の初恋の人、真理の事を思い起こす。次の日、真理が北島を訪ねてくるのだが…
 敵は凶悪宇宙人ドルズ星人。脳味噌剥き出しのデザインが印象的な宇宙人でメタルーナ・ミュータントみたいな姿をしてる。かつて少年時代の北島の目の前で真里を連れ去り、改造した張本人。そしてうろこ怪獣メモール。北島隊員の幼馴染み真理がドルズ星人によって改造されてしまった姿。真理が赤い靴を履いていたように、メモールも又赤い靴を履いてる。殺されはしなかったが、タロウによって宇宙に放り投げられてしまう。
 今回から4話続けて「日本の童謡シリーズ」を銘打った作品が展開する。その名の通り日本の童謡を流し、それに沿った物語が展開する。今回は「赤い靴」から。主人公を北村隊員に持ってきているが、特にここのところ光太郎の相棒として北島隊員の中心率が高い。
 怪獣に改造されてしまい、「殺して」と叫ぶ少女。これは東映では割と定番なのだが、ウルトラマンシリーズでは珍しく、演出も良いので、結構ぐっとくる感じ。
 赤い靴はいてた女の子、異人さんに連れられて行っちゃった…ほんとうにそのままの物語だ。物悲しい物語だ。
<ZAT本部に真里を入れたいドルズ星人だが、真っ先に中に入れようとしたのは北島の方。危機意識が薄いな。
 ドルズ星人は何故わざわざ子供の頃の真理を連れて行ったのか。その辺が明らかにされてないが、ひょっとしたらこれはドルズ星人が北島隊員の記憶をいじったためかも知れない。
 しかし、これに限らずウルトラシリーズでは女性型の怪獣って不細工なのが多いような気がするんだが(「帰ってきたウルトラマン」44話「星空に愛をこめて」に登場したケンタウルス星人を代表として)、メモールもかなりデザインは悪い。なまじドルズ星人のデザインが良いだけに。
 そのドルズ星人は結局通信で出てきただけで直接物語には関わってこない。何話か続けて出てきて欲しかったな。>
第46話 白い兎は悪い奴!

  監督:筧 正典
  脚本:石堂淑朗
  特技監督:矢島信男
 60年に一度地球に近づくというハーシー大彗星の話題で盛り上がっていた。だがハーシー大彗星には腕白な宇宙人ピッコロが乗っていたのだ。好奇心満点で地球人を見に来たピッコロだったが、あるアパートでウサギが毒殺されそうになったのを見て、地球人は悪人と思いこんで暴れ始める…
 敵はわんぱく宇宙人ピッコロ。わんぱくな宇宙人で地球人を観察にやってきた。根が良い子供のような存在だが、それだけに地球人の非情さが許せなかった。どうみても木で出来た人形で、ピノキオが元ネタと思われる。タロウと戦ってる内に疲れてしまい、タロウに宇宙に放り投げてもらう。
 「日本の童謡シリーズ」第2弾。今回は「因幡の白兎」が元ネタだが、そこにピノキオが絡むという、一種不思議な話になってる。しかし、肝心な「因幡の白兎」とは物語が全然違ってるような気もするんだが?
 今回のゲストキャラは久々の大泉滉氏。この人の存在感は非常に高く、今回も「あんた何人や?」とツッコミを入れたくなる怪演ぶりを見せてくれる。
 話は軽めに見えながら、なかなか重い内容も含まれる。一つには人間優先のマンションでは動物は不要とされ、殺されてもしかたないと思われている面。そしてウルトラマンは地球人を全肯定している訳ではなく、悪があることも認めた上で、全てを否定することはしない。と言っている部分。その汚さは人の美しさを引き立てるためにあると言ってる。タロウも又地球に来て成長してるようだ。
<「ドラゴンボール」の影響でピッコロというと緑色の怪人を思い起こすのだが、本来は楽器の名前なんだよな。それにしても人を食ったデザインだ。
 光太郎を見たピッコロは「ウルトラ王国6番目の子」と言っていたが、別段タロウは王子じゃないと思う。
 ウサギが殺されたからこんな地球なんてどうなっても良いと叫ぶ太一少年。激情のあまりだろうけど、凄い。こんな時にメフィラス星人が来たら喜んで地球を明け渡すだろう。
 人間状態の光太郎に向かって「ウルトラマンタロウ」と呼びかけるピッコロ。それを受けて光太郎と北島の周りに野次馬が集まってるのだが、光太郎はそそくさと逃げてしまう。どう見ても怪しいと思う。
 ピッコロを倒したくないために逃げ回り、追いかけっこになってる姿が妙にコミカルだ。>
VOL.12
<A> <楽>
第47話 怪獣大将

  監督:山際永三
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:大木 淳
 地球に近づいているゴルゴザウルス二世を宇宙の彼方で倒したタロウだが、その戦いで左手を怪我してしまった。一方地球では地中に不気味な震動を感知していた。調査に向かったZATだが、その姿はなかなか見つけられなかった。そんな時、夕陽に向かって泣いている少年を見かける東だったが…
 敵は冬眠怪獣ゲラン。細長い体を持った地底怪獣で、地中から現れた卵から孵化した幼生体を殺したことで怒り狂って現れる。殺されることなく、タロウによって卵ごと氷付けにされて宇宙に運ばれる。そして冒頭で戦った宇宙怪獣ゴルゴザウルス二世。地球の誰も見てないところで孤独な戦いを強いられる。テレポート能力を有し、タロウの左腕に怪我を負わせた。ちなみにこれは「ミラーマン」からの流用。名前も同じなので、この二つの世界観はつながっているのかも知れない。
 「日本の童謡シリーズ」第3弾。今回は「お山の大将」が元ネタとなっている。沢口竜一という少年が中心となった話で、何をやらせても人より抜きんでた能力を持つ少年で、ゲランの幼虫も竹刀で追っ払ってしまったり、機転を利かせてゲランに怪我を負わせるなど、なかなかパワフルな子供である。
 子供の世界にも天才というのは存在し、大人よりも更に孤独感が強い。この話ではそれを決してマイナスには捉えてないのが特徴で、荒垣副隊長は人前で泣くことのない竜一を「男」と称している。これも時代性を感じる話だ。
 特撮部分もなかなか良い出来で、タロウとゲランの戦いが下にいる子ども達の危機になってるなど、なかなか凝った作りになってる。止め絵を多用してるのも特徴か。
<冒頭ゴルゴザウルス二世との戦いで左手を怪我したというタロウ。光太郎になってもギプスで固定されてるが、やっぱり関連性はあるんだろう。ただ、それが戦いには活かされてなかった。
 誰にも負けない能力を持った竜一が泣いているのを「僕には分かる」と断言する光太郎。なんだそりゃ?自慢か?
 今回光太郎はみんなの見守る前でタロウに変身。絶対ばれてると思うんだけどな。
 それにしても怪獣の出現場所にいつも健一が居合わせてるけど、彼こそ怪獣を呼び込む体質なんじゃ無かろうか?>
第48話 怪獣ひなまつり

  監督:山際永三
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:大木 淳
 ひな祭りでにぎわう町に怪獣ベロンが落下した。そんな時太郎少年のところに5人の不思議な宇宙人が現れるのだった。
 敵は酔っぱらい怪獣ベロン。単なる酔っぱらった怪獣。酒焼けした真っ赤な鼻を持ち、町中で座り込んで「酒もってこい」とかクダまいてる。多分シリーズ中最大の迷惑怪獣だろう。テレポーテーションを使えるため、迷惑をかけまくってる。そしてそのベロンを連れ戻しに来た5人のファイル星人。五人囃子の如く、それぞれに楽器を持っており、どんな音楽にも即座に対応出来るらしい。
 「日本の童謡シリーズ」第4弾。シリーズ中でもギャグの割合が異様に高い話で、全編歌や踊りに溢れ、しかも怪獣の退治方法も酔っぱらわせてって言うのが凄い。大体酔っぱらって地球に落下した挙げ句、千鳥足で街を歩いて散々迷惑をかけてるなんてのは前代未聞。これに対抗出来るのはずーっと後、「ウルトラマンマックス」を待つしかないだろう。いきなり山本リンダやフィンガーファイブの歌まで出てくるのは時代性ながら凄い。ZATやベロン、果てはタロウまで踊ってる。
 ツッコムどころか脱力の逆が目白押しの話。
<太郎の二人のお姉さんは太郎を「大切にする」という理由で女装までさせるが、楽しんでるとしか思えない。
 様々な機能を持ったスカイホエールだが、なんと白酒まで造れるらしい。それを提案する北島も北島だが、「出来る」と即答する荒垣の応用力も凄い。
 ベロンは良い気分に酔っぱらうと寝てしまうが、一歩間違えると悪酒になってしまう。厄介な怪獣だ。
 今回キングブレスレットはなんとポリバケツに変形。よっぱらったベロンに水ぶっかけるために用いられた。いろんなものになるけど、こんなものにまで…>
第49話 歌え!怪獣ビッグマッチ

  監督:前田 勲
  脚本:石堂淑朗
  特技監督:矢島信男
 ボッチ谷に住む怪獣オルフィは歌好きで悪さもせず、村のアイドル的存在だった。ZATでもこのようなおとなしい怪獣は守らなければならないと考えていたのだが、そんな時「怪獣オルフィを捕らえる会」なる組織が出来るのだった。
 敵は歌好き怪獣オルフィ。ボッチ谷に数百年間棲んでいる村のアイドル的存在で、通常は寝ているが、年に数回目を覚まして歌を歌う。そして宇宙怪人カーン星人。オルフィを暴れさせようとさせた星人で、「怪獣オルフィを捕らえる会」会長に化けてオルフィを探す。いくら挑発してもオルフィが凶暴にならないため、自分が腹に入ってコントロールするのだが、タロウに引きずり出されて爆発。
 割と軽快に展開する物語で本作特有のコミカルさが前面に出ているが、怪獣の権利や人間との共存など、テーマ性は結構面白い。後の「ウルトラマンコスモス」に通じるテーマと言えよう。出てくる怪獣オルフィもデザインが妙にほのぼのしたもので、全然強そうに見えないが、これもわざとだろう。
<荒垣副隊長の声が変わった。なんでも東野孝彦が怪我のために吹き込みが出来なかったらしい(声は沢りつお)。
 オルフィに撃ち込むはずの麻酔薬を服用した北島隊員は何故か暴れ出す。攻撃出来ずに逃げるしかない光太郎との追いかけっこはコマ落としで。
 麻酔弾を奪われたオルフィを捕らえる会は、次に音楽を流してオルフィをおびき寄せようとする。その際、全員がスーツ姿になってた。更に音楽を聴いたオルフィはなんとへそから楽譜を取り出し、立木をタクトにして指揮者気取り。よくやるよ。
 オルフィの体内に入ったカーン星人を引きずり出すため、タロウはキングブレスレットをマジックハンドに変え、腹に突っ込んでる。手術というか、ほんとにキングブレスレットって何でもありだな。
 最後にZATの面々で「私の青い鳥」を歌いながらかえろうとした所、カーン!と鐘一つ。>
第50話 怪獣サインはV

  監督:前田 勲
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:矢島信男
 町に怪獣ガラキングが現れ破壊活動を行う。出動したZATだが、その混乱の中でガラキングに怒鳴っている女性ユキを目にする。老人ホーム
 敵は球好き怪獣ガラキング。球遊びが好きで町にある球状のものを次々に手に取り遊び始める。自らも球状になり転がることも出来る。ユキのバレーボールを頭に受けて気絶する一方、ストリウム光線も効かないなど、強いのか弱いのか分からない。最後はユキの言葉を聞いたタロウからアタックサーブされて空の彼方へふっとんでいった。
 同時期に放映されていた「新・サインはV」とのタイアップ作品で、主人公役の坂口良子がユキ役として登場している(劇中「新・サインはV」の主題歌まで流れる。怪獣と戦うには何も物理的なものだけじゃない。言葉でだって戦えるのだ!と言うことを示そうとしたのかも知れない。それにしても本作もかなり強烈。怪獣と普通の人が同レベルでバレーボールやるなんて、前代未聞の話だ。とにかく強烈なユキというキャラを描くことが本作の肝で、ほとんどそればかり。
 怪獣との戦いだけじゃなく、核家族の家族時代や老人ホームとの交流も描かれてる。無茶苦茶な話ながら、それなりに時代性を感じられる話でもある。
 今回光太郎はいつもの北島じゃなく南原と行動してるが、ほとんど今回はユキと怒鳴り合うばかりだった。でも、実際この二人は似たもの同士って気がする。
 細かい所だが、登場する老人達や子ども達のキャラも結構立っていた。
<ガラキングに対して怒鳴るユキだが、ガラキングもその話を聞いているようだ。どういうレベルで話をしてるんだろう?
 老人と子供のバレー対決。これは結構心臓に良くないぞ。
 ガラキングとユキのバレーボール対決。これがどうやって可能なのかとは置いておいて、ガラキングは回転レシーブまでこなし、更にバレーボールを頭に受けて気絶。凄いキャラだ。
 ガラキングの最後はタロウのサーブで空の彼方にふっとんでいったが、あれでは単に他の地域に怪獣の被害を与えるだけのような…>
VOL.13
<A> <楽>
第51話 ウルトラの父と花嫁が来た!

  監督:筧 正典
  脚本:阿井文瓶
  特技監督:大木 淳
 怪獣リンドンが現れ、朝比奈隊長率いるZATとタロウの活躍により撃退に成功する。その直後、南原のお母さんが許嫁という珠子を連れて上京してきた。突然の話に驚く南原だったが…
 敵は不死身怪獣リンドン。尻尾のあるオーソドックスな怪獣だが、デザインはあんまり良くない。コンドルの自爆攻撃とタロウによって首を落とされ一旦は倒されるものの、一晩で復活してしまう。ウルトラの父が持ってきたウルトラフェザーで倒される。
 南原が中心の話。13話の「怪獣の虫歯が痛い!」に続いてだが、今度はなんと婚約者の登場と、その死が描かれる衝撃的な話。
 南原の話ではあるが、東野孝彦氏の降板を受けて、荒垣副隊長は宇宙ステーションに移動。代わりとして二谷副隊長が登場している。
 怪獣を倒して後の話というのはそう言えば全然無かった。とりあえず放っておかれて、時間をかけて回収しているようだ。ここではリンドンが倒された場所が観光名所になっていて、屋台も出ていた。
 自分がタロウだと言うことを人に言うことが出来ず、南原のお母さんと珠子の前では変身出来ない光太郎。その優柔不断さが珠子の死につながった。ウルトラマンとは言え、
 更にウルトラの父も再登場。と、今回は色々詰まっていて、なかなか興味深い話に仕上げられている。ただウルトラの父によって復活させられたため、折角の余韻が台無しになってしまった。
<南原に結婚のことを言われ、「まだ考えてないですよ」と笑い飛ばす光太郎。さおりさんのことはどうするの?>
第52話 ウルトラの命を盗め!

  監督:筧 正典
  脚本:石堂淑朗
  特技監督:大木 淳
 ZATの新副隊長となった二谷は体力作りに余念がなかった。そんな時、宇宙から飛来した怪獣ドロボンはパトロール中の新マンと戦い、地球に飛来するのだった。二谷副隊長を人質に取り、太郎を追いつめる…
 敵は泥棒怪獣ドロボン。自分が関わっている宇宙戦争にタロウを協力させようとやってくる。光線をはね返し、それ自身からも光線を放てる巨大な棍棒を武器とする。日本語を喋り、デザインもふざけてるが、これまでZATが戦った怪獣の中では最もエネルギーが高いらしい。二谷副隊長を人質に取り、新マンのカラータイマーを奪い、一時的なパワーアップを図るが、3分後にカラータイマーの点滅と共に弱体化してしまう。
 僅か3話の登場となってしまった二谷副隊長を中心に持ってきた話。二谷はかなり年長者だけに、本当に努力をして体力作りしてたり、ドロボンの人質になったりと、色々動かしてる。
 久々の郷秀樹及び新マン登場…と思ったら、あっけなくドロボンにやられた挙げ句、カラータイマーまで奪われるという情けない役だった。
 タロウが地球で戦っている間に宇宙では大規模な戦争が行われているという、背後のウルトラ兄弟の戦いが暗示された話でもある。新マンが弱くなってしまったのはその戦いでエネルギーが尽きたからと思われる。と言うか思いたい。
 次は最終回だが、次回予告で「ウルトラマンレオ」について宣伝してるのはいかがなものかな?
<二谷副隊長を人質に「タロウを出せ」とZATを脅迫するが、その際二谷の乗ったコンドルをヨーヨーのように振り回してる。遊び好きか?
 責任を感じ、コンドルの中で自殺しようとした二谷だが、銃には弾が入っておらず、コンドルの自爆も出来ない。ZATの整備不良か?…いや、あるいは新マンがそれを阻止していたのかな?
 新マンのカラータイマーを奪ったドロボンは宇宙に向けて飛び立つ際、「シュワッチ」と…>
第53話 さらばタロウよ!ウルトラの母よ

  監督:筧 正典
  脚本:田口成光
  特技監督:大木 淳
 光太郎は夢でウルトラの母と出会い、もうすぐ自分の人生を大きく変える出来事に出会うと告げられる。そんな時、白鳥家の父が長い航海から帰ってくる事になった。だが、その頃伊豆沖で海獣サメクジラが暴れていた…
 敵は宇宙海人バルキー星人。サメクジラを操りタロウを倒そうとする。サメクジラと戦っているタロウの背後から攻撃したり、変身能力を失った光太郎を倒そうとしたりと、なかなかの小悪党ぶりを見せてくれる。最後は光太郎によって倒される。ちなみにこのデザインは次作「ウルトラマンレオ」の没稿であり、カラータイマーまで再現している。そして海獣サメクジラ。バルキー星人に操られた海棲怪獣で、次々に船を襲い、白鳥船長も殺してしまった。
 最終回だが、これまでの明るさから一転。かなり重い話に仕上げられている。隣に北島隊員がいるために変身出来なかった光太郎は、みすみす白鳥船長を殺されてしまった。タロウがいたら父は生きている。と考えるのは自然なことだが、それを否定するのは話としては滅多にない。
 途中ウルトラ兄弟が客演しているが、これがタロウの誕生の再現なのか、それとも光太郎とタロウが分離したことを示すのかは曖昧に描かれている。
 ラスト、健一に一人で生きる力を与えるため、光太郎は自分の正体を明かして敢えて姿を消す。もの凄い寂しい話になった。サメクジラに勝利したタロウの姿もどことなく寂しそうに見える。
 ZATでは久々に朝比奈隊長が復帰。二谷副隊長とは初共演となるが、最後に荒垣のことに言及しているのはサービスかな?
<白鳥船長が出たのは本作を通してたった二回。しかしその一回は写真だけになってしまった。寂しいものだ。
 ウルトラバッジを捨ててしまう光太郎。それって責任放棄と言う奴では無かろうか?まあ、母はそれを認めてるから正しい選択だったのかも知れないけど。
 最後の敵にしてはバルキー星人はあまりに弱すぎ。ウルトラマン似なのにねえ。その辺がとても不満ではある。
 細かいことだが、25話で語られていたエンペラ星人は最後まで出ることはなかった。今だったら伏線になっていたところだが、この辺のおおらかさが初期シリーズの特徴か?>