寒い国から帰ったスパイ
The Spy Who Came In from the Cold |
1965米アカデミー主演男優賞(バートン)、美術装置・監督賞
1965ゴールデン・グローブ助演男優賞(ウェルナー)
1966英アカデミー国内作品賞、国内男優賞(バートン)、撮影賞、美術賞、総合作品賞、国外男優賞(ウェルナー) |
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ポール・デーン
ガイ・トロスパー(脚)
リチャード・バートン
クレア・ブルーム
オスカー・ウェルナー
ペーター・ヴァン・アイク
シリル・キューザック
ウォルター・ゴテル
トム・スターン |
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| ★★★ |
| 物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
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東西に分かれたベルリン。イギリス情報部員リーマス(バートン)は東ベルリンの元ナチ党員で残忍さで知られるムント(ヴァン・アイク)を西側のスパイだと裁判で証言し、東側の攪乱を命じられた。首尾良く東ベルリンへと潜入したリーマスはムントの部下で彼を快く思わないフィドラーにその事を告げ、共にムントを権力の座から引き下ろす工作を開始するが…
ル・カレによるエスピオナージュの同名小説の映画化作品。原作は先に読んでいたが、たいへん優れたリアリティに溢れる作品だった。たいへん面白い作品なのだが、リアリティに溢れすぎていて、読み終わったらどんよりと落ち込んでしまうほどだった。その中でラストにひねりを利かせたのは上手かったけど、そこに至るまでの課程がとにかく先行して読んでただけに物語が分かってきつかった。ここまでやらせるのかよ。と言った感じ。
これを映像化するって事は、かなり陰鬱な雰囲気な作品になるだろうとは思っていたが、予想に違わず。本当に陰鬱な作品になってしまった。画面もモノクロ映画という効果もあって、たいへん暗い感じに仕上がっていた。しかし、それが007とは違い、一種異様なリアリティを持って迫る。劇中でアクションシーンに爽快感はなく、ひたすら任務に忠実な主人公は、あくまで数々の機関の手駒でしかない。
スパイというのは銃を片手に活劇を行う存在よりは情報収集が主な存在であり、時としてこのような謀略も行う。結論を言えば実際のスパイの活動というのは映画向きではないと言うことだ。しかも本作は原作に忠実に映画化してくれたので、救いようのない物語になってた。
本作も実際は活劇らしい活劇が無く、会話中心(しかもその大部分は相手を苛つかせようとする)で、観ていてどっと疲れる感じがする。原作通りだから、それは正解なんだろうけど、観終えた後の爽快感にはほど遠く、なんか落ち込んでしまいそう。
ただ、この映画の素晴らしいところは、冷戦下のベルリンという町をしっかり撮り切ったと言うことだろう。東西に分けられ、まるで島流しにあったような西ベルリン。しかし孤立しているはずの西ベルリンに自由が溢れ、大多数地域であるはずの東ベルリンが窒息するかのような息苦しさに溢れている。勿論これは西側の目で描いた作品には違いないが、壁一つ隔てて異質な別世界となるベルリンという特殊な町をよく表していたと思う。
良い作品だとは思うよ。思うんだけど、良くすればするほどきつくなる物語だからなあ。
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