マクベス
Macbeth |
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オーソン・ウェルズ(製)
オーソン・ウェルズ(脚)
オーソン・ウェルズ
ジャネット・ノーラン
ダン・オハーリヒー
ロディ・マクドウォール
エドガー・バリア
アラン・ネイピア
アースキン・サンフォード |
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★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
3 |
4 |
4 |
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4 |
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上海から来た女
The Lady from Shanghai |
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オーソン・ウェルズ(脚)
リタ・ヘイワース
オーソン・ウェルズ
エヴェレット・スローン
テッド・デ・コルシア
グレン・アンダース |
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★★★★★ |
物語 |
人物 |
演出 |
設定 |
思い入れ |
5 |
5 |
5 |
3 |
5 |
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刹那的に生きる船乗りのマイケル・オハラ(ウェルズ)は、ある日船員のたむろする酒場で場違いな女性ロザリン(ヘイワース)が暴漢に襲われているところを発見する。ロザリンはマイケルに彼女は弁護士の夫バクスターを紹介し、夫の船の乗組員になってくれないかと頼んでくるのだった。だが、航海中偽装殺人を頼まれたことにより、マイケルは罠へと落ち込んでいく…
ウェルズ監督・主演のフィルム・ノワール。一応原作はあるが、完全にオリジナルの作品を作り上げた。ヒロインにはウェルズの妻である(当時)リタ・ヘイワース(彼女の特徴であったブロンドのロングヘアをばっさり切り落とさせたのはウェルズの悪意ではなかったか?と言う風評も立つ)。
私にとって本作は、かなり衝撃的な作品だった。噂に聞いていたヘイワースを初めて観た作品と言うこともあるけど、カメラ・ワーク、ストーリー、美的感覚、そして緊張感と、一見月並みな物語を見事な作品に変えてしまったウェルズという人物の実力を垣間見た気分。
本作の魅力を挙げるとかなり多いが、感心したことの一つに汗の効果的な用いられ方がある。本当に全編を通して汗まみれの人物ばかりが登場する(私も汗っかきだから映画で汗が演出されると鬱陶しいと思いつつも、つい見入ってしまう)のだが、その汗のかきかたもそれぞれ個性が感じさせられる演出がなされているのが面白い。単に暑いから流す汗。強いられた緊張感によりにじみ出る汗。騙されて焦って流す汗。そして緊迫感から解き放たれ、ほっとして拭う汗。最近妙に汗をかく映画をよく観てるが(『白いドレスの女』(1981)とか『野良犬』(1949)とか)、汗というのは個性を出すには巧い方法なのかも知れないな。本作の場合は緊張感の演出として、これ以上ないくらい効果的に用いられていた。そのアップに耐えるだけの個性を個々のキャラクターが持っていたと言うのが一番の功績。
勿論先に挙げた汗の演出だけではない。水族館での逢い引きの幻想的シークエンス。法廷での絶望的な戦いと意外な脱出方法(ちょっとこれは強引過ぎって気もするが)。京劇観戦の合間の息詰まる攻防。そして有名な鏡の間での銃撃戦の美しさ…様々な映画でパクられてるシーンばかりだ(有名なのはやっぱり鏡の間で、『燃えよ!ドラゴン』(1973)で効果的に用いられていた)。
ストーリーも二転三転。全然飽きさせないが、キャラクターで言えば特にヘイワース演じるロザリンの位置づけが良い。貞淑な妻を演じたり、ウェルズ演じるマイケルへの情熱家を演じたり、そして最後の全てをさらけ出したときの恐ろしさ。フィルム・ノワールに必要なファム・ファタールの要素を兼ね揃えたキャラに仕上がっていた。
低予算で作ったくせに、よくここまで見事な作品に仕上げたものだ。『市民ケーン』にははまれなかった私だが、本作には心底感心した。
のめり込んで観ると、終わった後でものすごく疲れるから、そのつもりで。
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